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社長室通信 Vol.75

社長室通信
Vol.75

意見交換会を開催しました

7月26日(水曜日)、増田社長と日本郵政で経理・財務を担当する浅井専務・石川部長が、次のテーマで意見を交わしました。

≪テーマ≫
○日本郵政グループにおける経理・財務業務の現状と今後の展望
○働きやすい職場づくりにおけるリーダーのあり方、実践している工夫

日本郵政グループにおける経理・財務業務の現状と今後の展望

日本郵政株式会社専務執行役
浅井 智範
  • 業務は「会計、税務、財務、内部統制」が4つの大きな柱。主に、内部監査、会計監査人および監査委員会とコミュニケーションを図りながら、4つの柱の業務品質の維持や向上に努めている。
  • 経理・財務業務は、信頼性のある数字を出すだけにとどまらず、経営課題に対するソリューション提供の機能を強化していくべきと考える。
  • 当社はこれまで堅確な実務の安定継続を担う「守り」に徹してきたが、これからは、数字から何を発信し、何を説明するのかという前提に立って、「守り」に加え、付加価値を高めて行く「攻め」の姿勢をとりたいと考えている。特に環境変化や制度変更への的確な対応に加えて、経営企画ラインとの連携を加速し、経済合理性などの観点からの提言ができるよう、機能をさらに強化していく必要がある。
  • また、当社は持株会社であるため、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の独立上場のグループ会社も含めた、グループ全体最適の推進も重要なテーマとなる。
日本郵政株式会社
経理・財務部長
石川 剛典
  • 組織・機能面の特徴は主に3つ。
  • まず、「(1)会計・税務は一日して成らず」。特に通期決算の実務では、習得するのに2~3年を要する。
  • 次に、「(2)会社・事業・取引がある限り対応が不可欠」。会計・税務は日常業務の取引と不可分一体であり、経理・財務の知識を身に付けることはとても重要。
  • 最後に、「(3)ガバナンス強化に伴う対応が増加」している点。会計・税務の制度変更や海外動向の影響もあって、情報開示の拡充などへの対応が増加している。
  • 今後の展望として3つを挙げている。
  • まず、「(1)会計リテラシー涵養の推進」。全社において会計リテラシーの涵養を推進し、例えば、数字の裏側にどのような取引があるのかなどを、自ら考えることを通じて、全社的にコスト削減や収益向上の対策等を考えやすくなるのではないか。
  • 次に、「(2)要員構成の適正化と人材育成」。管理職がノウハウの継承や若手の育成に注力し、そこで計数感覚や俯瞰能力を身に付けた若手を各所に配置することにより、組織全体のガバナンスを質的に強化できるのではないか。
  • 最後に、「(3)グループ全体でのガバナンス向上」。結果としての数字にとどまらず、背後にある取引やプロセスに思考を巡らす習慣を身に付けた社員を全国に配置することで内部統制のセンサーを効かせ、全体のガバナンスの質を向上させることができるのではないかと考えている。

ピックアップQ&A ①人材の充実と組織の活性化

増田社長
  • 昨年から日本郵政グループ各社において他社・他部署の業務を経験するグループ内インターンシップを行っていますが、経理・財務部ではどのような状況でしょうか。
日本郵政株式会社専務執行役 浅井 智範
  • 幸いなことに、経理・財務の業務に興味があるという方からの応募がありました。また、中途採用にも相応の応募があり、採用につなげることができました。
  • 中途採用はまだ始めたばかりですが、組織の活性化にもつながっています。加えて、中間管理者にとって、育成する若手が少ないという課題に対しても、中途採用の若手の育成を通して自身の足元を見直すことができるなど、刺激になっています。
日本郵政株式会社専務執行役 浅井 智範
増田社長
  • 数字が示すものを読み解き、組織運営に活かせるようなことができると良いですね。それによって、将来の成長を考える経営企画と経理・財務のチームが結びつけられ、会社の将来を幅広く考えることができるでしょう。
  • また、管理会計がもっと理解され、人員の層が厚くなれば、企業価値向上につながります。そのためにも、全体の司令塔の一端を担える人がいることが理想的です。
日本郵政株式会社専務執行役 浅井 智範
  • メンバー(部員)の多くは、与えられた課題への対応はきっちりできますが、外部環境の変化が激しいなかで、当社が何をしていくべきか、自分たちで課題を設定していく必要があり、そのための材料の一つが数字になります。
  • 今すぐには成果は出ないかもしれませんが、10~15年先を見据えて、数字を読み解くことができる人材を一人でも多く増やしていかなければならないと考えています。
日本郵政株式会社専務執行役 浅井 智範

働きやすい職場づくりにおけるリーダーのあり方

日本郵政株式会社専務執行役
浅井 智範
  • 「働きやすい職場」にするために、相談しやすく、自分だけで抱え込むことなく、安心して働くことができるという基本を大切にしている。何より、1・2に健康・家族、3・4がなくて5に仕事くらいに思っており、まず、自分自身が健康でないとどうにもならないし、加えて家族も健康でない限り、心配事を抱えたままで良い仕事はできない
  • 他方、プロ意識をもって仕事してほしいとメンバーに伝えているが、そのためにも、まず安心して働けることが不可欠。加えて、「会社や所属部署で、現在、何が起こっているのか、今後の見通しを知ることができる」職場や、「自分の役割期待を理解し、自身の貢献を認識できる」職場であることも心がけている。
日本郵政株式会社
経理・財務部長
石川 剛典
  • リーダーの在り方に関して、5つのことをポイントに置いている。
  • まず、「(1)相互理解の促進」。人と人で仕事をしているので、個人間や部署間の垣根をできる限り低くしたいと考えている。
  • そして、「(2)価値観の共有」。私が経理・財務部長になった際、 自分の考えを1枚にまとめ、どのようなことを大切にしているかなどを理解してもらえるよう説明をした。そのなかには、例えば、「好奇心を持ってほしい」ということや、「コミュニケーションをとるようにしてほしい」ということ、そして、「自ら考え自ら学んでほしい」ということを記した。
  • また、「(3)現状認識の共有」として、可能な範囲で現在議論されている テーマを共有するなどして、配下のメンバーに自ら考えてもらうようにしていた。
  • (4)議論の機会創出」では、コロナ禍前は、ワークショップを開催し、討議などもしてもらった。
  • 最後に、「(5)公平性・安定性の維持」は、あたり前のことであるが、恣意的な行動や感情的な言動は行わないよう心がけていた。
  • 実践している工夫として、まず、よく「聴く・話す」こと。 次に、隣で何をやっているか、昔はどうだったかなどといった人や情報のネットワークを広げられるよう「伝える・つなげる」こと。 最後に、「示す・促す」こと。自分が対応した方が早い場合が多く、ともすると自分でやってしまいがちなケースもあるが、メンバーにヒントなどを示して、極力、自身で考えてもらうよう背中を押すように心がけている。
  • これらの工夫を踏まえた例として、メンバーと価値観を共有するため、社長が就任直後に説かれた『愚直・感謝・誠実・謙虚』について、自身で「挑戦」という言葉を加えて、「かせぐ・けち」という語呂で覚えやすくすると同時に、経理・財務部ならではのコスト削減という面も踏まえてメンバーに伝えたこともあった。また、人や情報の接点を増やし、過去や未来、他社はどうなっているのかといった、考え方のプロセスを共有することで組織全体を強くすることも心がけていた。

ピックアップQ&A ②多様なスキルの獲得に向けて

増田社長
  • 経理・財務部内では、若手を中心に研修のチャンスはあるのでしょうか。私が社員と話すと、もっと研修の機会を増やし、自己の向上欲求を満たしたいという意見を伺うことがあります。
日本郵政株式会社専務執行役 浅井 智範
  • 研修は手を挙げれば受けられるようになっており、加えて、資格試験も受けてもらっています。まず、メンバー自ら手を挙げてもらえるよう、受講を促していきます。
日本郵政株式会社専務執行役 浅井 智範
増田社長
  • 長期間の研修の場合、「上司が難色を示すため、人選が大変」という声もありますが、経理・財務部であればスキルの底上げという面もあるため、率先して行っても良いかもしれません。
  • 日本郵政グループ以外の企業との交流の機会はあるのでしょうか。機会の作り方はさまざまですが、働きやすい職場づくりとして、社員と日本郵政グループ以外の企業との交流機会の設定は意識していただければと思います。
  • また、経理・財務分野では海外の潮流の影響もあり、日本の場合、常に語学はネックになりますが、業務上の課題はあるでしょうか。
日本郵政株式会社専務執行役 浅井 智範
  • 他社とは人事的な交流を継続しています。
  • 経理・財務に関しては、来年以降、英文開示が拡充されるため、英語のできる人材確保が今後の課題となっています。
日本郵政株式会社専務執行役 浅井 智範

意見交換会を振り返って
(増田社長)

増田社長
経理・財務部門では近年、会計基準の改正や情報開示の拡充といった変化への対応を進めていますが、一方で信頼性の高い数字を出すといった従来からの役割に加え、そこから経営課題を示すことがより重要となっていくでしょう。
特に、毎年の規模が非常に大きいわがグループの決算において、その背後にある状況を知ってもらうことは、グループ全体でのガバナンス向上に資するものだと思っています。
引き続き、お客さまや投資家のみなさま、そして社員にも、数字を通して会社の姿を正確に・わかりやすく広めていっていただきたいです。

今後も日本郵政グループ役員・社員と増田社長との意見交換会を定期的に行ってまいります。
開催模様については、随時発信していきますので、ご注目ください。