社長室通信
Vol.57
9月1日(木曜日)、増田社長と日本郵政/日本郵便で広報を担当する三谷執行役(日本郵政株式会社執行役兼日本郵便株式会社執行役員)・鎌田広報部長(日本郵政株式会社広報部長兼日本郵便株式会社広報室長)が、次のテーマで意見を交わしました。
- ≪テーマ≫
- ○日本郵政グループの戦略広報の現状と今後の展望
- ○働きやすい職場づくりにおけるリーダーのあり方
日本郵政グループの戦略広報の現状と今後の展望
- 一口に広報といってもさまざまで、評判形成のための広報もあれば、リスク管理型の広報もある。IRのようなステークホルダーに対する発信も、社員に対する日常的なコミュニケーション業務もある。
- この中で戦略広報は、「前向きに外にメッセージを発信していく」役割を担っている。グループ内外に日本郵政グループや郵便局を「好きだ」と思ってもらうことが大きな目的。
- 日本郵政グループは、社会から必要とされ、選ばれ続ける企業集団になっていかなければいけないので、そのための基盤づくりを行う。それが結果的に、グループの事業への貢献にも繋がると思っている。
- 以前と比べて前向きな情報を、色々な企業活動を伴って世の中に発信できるようになってきている。引き続き信頼回復に向けた活動をしつつも、前向きな情報発信によって、好意的な認知を拡げていきたい。
- お客さまや社員からは「郵便局・日本郵政グループって、地域密着で良いよね」という認識を持っていただけている。これを基盤に、「品質が良い」「お客さま本位を徹底している」とか、更に言うと「スピード感がある」「技術力がある」といったプラスの印象を持っていただくことが今後の挑戦。
- 広報活動は、「誰に対してコミュニケーションを取っていくのか」が重要。日本郵政グループは、ユニバーサルサービスを提供する企業グループなので、老若男女すべての生活者から支持されることが必要。
- また、グループには約40万人の社員がおり、これだけ大きな規模だと、マスコミュニケーションが社員に対しても有効に働く。戦略広報は、こういったグループの特徴を踏まえて検討することになる。
- わがグループにはさまざまな拠点があるが、基本は郵便局。「郵便局」のイメージを徹底的に拡げていってほしい。局舎・そこで働く社員・街にあるポストに対する好意度・認知度を上げてもらいたい。
- そんな郵便局が、生活や年金など、ある種公的サービスの拠点として、安心してさまざまな相談ができる場になると良い。役所の支所のような役割だが、役所よりも更に敷居が低く、気軽に足を運びやすいものになればと思う。今取り扱っている郵便サービスだけでは、どうしても利用シーンが限られてしまうので、生活に関連するありとあらゆるサービスを扱っているイメージを伝えていただきたい。
- ポストを通じて郵便局のイメージを形成すると同時に、街中にあるポストを見て安心を感じてもらえると嬉しい。全国約18万のポストが街中にあるので、そういったものを通じて郵便局の存在やぬくもりを感じられるようになると良い。
ピックアップQ&A ① これからの郵便局イメージ
- 郵便局のイメージに関するこれまでのキーワードとして「親しみやすさ」はありますが、民間企業としての「スピード感」や「変化のダイナミズム」というイメージには繋がっていないと思っています。
- とはいえ「あれも、これも」というわけにもいかないので、悩ましいところです。
- 今後必要なのは、「期待を創る」ということかと思います。郵便局は生活に必要不可欠であると同時に、「何か新しいことをやってくれるのだろう」という期待感をどう醸成していくか。
- そのうえで「日頃から馴染みがあって、相談しやすい郵便局」として、生活の中の情景に溶け込むようなイメージを作っていければと思います。
働きやすい職場づくりにおけるリーダーのあり方
- 私はリーダーとして「オープン&ダイレクト」でありたいと思っている。
- オープンというのは、さまざまな意見に耳を傾けるとともに、色々な立場の人と、忖度なしで議論をしようということ。
- ダイレクトというのは、直接話をしようということ。又聞きの二次情報ではなく、関係者と直接話をすることが意思決定をしていくうえで大事だと思っている。
- リーダーにはいつでも平常心が必要だと思う。
- 実は360度評価を通じて、部下と自分の認識にギャップがあると気づいた。自身はオープンなつもりだったが、部下からは「忙しそうで話しかけづらい、相談しづらい」と思われていた。以来、忙しい時でも精神的な余裕を持つことを心がけている。また、自分だけで完結できる仕事を集中的に処理する時間を設け、それ以外の時間帯に余裕を持たせるようにした。以前と比べて、部全体をもっとよく見られるようになったと感じる。
- もうひとつ気がついたのは、「部下のほうが忙しすぎて相談する時間がない」場合もあるということ。予定をやりくりする等工夫して、話しかけやすいスキマ時間を意図的に創り出すようにした。部下の相談に乗る機会が増え、部内組織の改善にも繋がっている。
- お二人の話を聴いて、リーダーとして、それぞれの流儀があるとわかった。
- 三谷さんのいう「オープン&ダイレクト」は、ぜひみなさんにも心がけていただきたいところ。余計な忖度は要らないので、直接話をすべきだと私も思う。
- 鎌田さんからは、「部下からの評価と自分の評価のギャップ」についての気づきをお話しいただいた。人それぞれ、本人の自覚と周りのギャップは誰にでもある。「いつでも相談してほしい」ときれい事を言っても、本人の雰囲気でそうはなっていないことも、しばしばあるもの。
- スキマ時間を見計らって、部下から相談を持ち掛けられたという体験談は、私たちの世代にとっては「実際に会って相談しないとだめだ」という感覚が強いので共感できる。しかし、若い世代には「直接言いにくいのでオンラインで伝えたい」という想いもあるようだ。実際、同じ場にいる者同士が敢えてオンラインでコミュニケーションを取ることもあると聞く。
- そのうち、コミュニケーションのやり方も変わっていくだろう。ひょっとすると、近い将来「オンラインで普段言えない本音を伝えることこそが、心を開いている証拠」になるかもしれない。
- これから活躍する若い世代とのコミュニケーションについては、今までのやり方に捉われず、改めて考えていく必要があるだろう。
- 上位の役職ほど、若い社員から本音を引き出しにくくなる。リーダーのあり方というのは、本当に難しい。
ピックアップQ&A ② 伝える技術
- 増田社長は、定期的に社員に向けてメッセージ動画を発信されています。そこでぜひ「伝える技術」を伝授いただきたいなと。
- 何かコツがあるのだと感じているものの、うまく言語化できないので、心構えなどあれば教えてください。
- 言語化というのはすごく難しいですよね。実は私も、非常に苦手な部分なんです。
- ポイントは、言葉を磨くことと、冷静になって自分の実力・レベルを正しく認識すること。自分の実力というのは、どうしても過大に捉えがちです。率直に言うと、私自身、まだ言葉の磨きが足りないなと感じることもあります。
- 「伝える技術」の基礎は、リーダーとして、部下から「見られている」という自覚を持つことだと思います。
- 部下はリーダーの後ろ姿を見て判断しているので、日頃の立ち振る舞いに気をつけなくてはなりません。上に甘く、下に厳しい態度は絶対にいけません。
- このように、伝えるということは、言葉だけでなく日頃の行動を磨いていく必要があると考えています。JP CASTの密着取材動画もありますので、そういったところからも感じ取ってもらえればと思います。
意見交換会を振り返って
(増田社長)
- 日本郵政グループは、社員が約40万人、営業拠点が24,000もある巨大な企業グループです。お客さまというのは全ての生活者のことを想像すべきですし、インナーコミュニケーションひとつとっても、社員とその家族にも向けていると思うと、母集団の規模は100万人にのぼると考えられます。その両方をうまく取り込んだ広報を考えていく必要があるでしょう。こうしたことを専門家の眼で見ていただき、ち密に積み上げていってほしいです。
- 私の視点としては、常にお客さまの方を向いて、それが結果として社員へ伝わればと思っています。
- 三谷さん・鎌田さんにはこれからも、グループ内のあちこちへ足を運びつつ、さまざまな観点で挑戦を続けていただきたいです。
今後も日本郵政グループ役員・社員と増田社長との意見交換会を定期的に行ってまいります。
開催模様については、随時発信していきますので、ご注目ください。