社長室通信
Vol.59
10月6日(木曜日)、増田社長と日本郵政で不動産事業を担当する山代専務執行役・横山執行役・板垣執行役・竹本執行役が、次のテーマで意見を交わしました。
- ≪テーマ≫
- ○日本郵政グループにおける不動産事業の現状と今後の展望
- ○働きやすい職場づくりにおけるリーダーのあり方
日本郵政グループにおける不動産事業の現状と今後の展望
- 日本郵政グループにおける不動産開発は「事業を通じて地域に元気を与え、地域の力をもらって事業を発展させる」という相互の関係性が生命線。これは郵政事業のビジネスマインドである「共存・共栄」そのもの。行政や隣地所有者、関係事業者等を巻き込んだ事業スキームをいかに構築するかが重要。
- 私見だが、不動産事業のデベロッパーは狩猟型と農耕型に大別される。多くは「良い物件を探して、取りにいく」狩猟型だが、日本郵政グループの不動産事業は、「一所懸命に土地を肥やし水を引くなど、日頃から地道に取り組む」農耕型。したがって、地域をいかに豊かにし、本業に還元していくかという努力が必要。
- 不動産投資市場は競争環境が激化している。数ある案件の中から取捨選択をして、確実性の高い物件をどう取得していくかが課題。
- 大規模物件への投資を通じた地域貢献的な開発には、日本郵政グループのブランドを使っていけると考える。こういった案件にも常に機会を求めていきながら、しっかりと利益に貢献する物件を今後も取得していきたい。
- 分譲事業にも取り組んでいきたいが、住宅産業はアフターサービスに対して莫大な費用や労力が掛かるというビジネスの特殊性がある。まずはマイナーシェアでどのように利益を確保していくかを冷静に考えつつ、分譲ノウハウの蓄積に向けて挑戦しているところ。
- 現在の建設市況は、コストが嵩み、工期が伸びてきている。また、不動産マーケットは金融情勢等のさまざまな影響で不透明になりつつある。コロナ禍でオフィス需要や働き方にも変化が起きており、こうした部分をしっかりと見極めていく必要がある。
- 郵便・集配機能補完との両立が必要。不動産開発を都心、地方の郵便局で成功させるには、開発対象局を含むエリア単位での郵便・集配機能の再編等をグループ全体で検討していかなくてはならない。
- 再編にあたっては、郵便局単独建替と不動産開発と一体となった建替とを比較し、効果を検証して進めるべき。
- 施設部・施設センターの課題は人材確保。建築技術は、建築、電気設備、空調衛生設備に分類できる。現在設備系の人材が業界全体で不足しており、育成・維持が課題。地域採用等柔軟な採用を推進したい。2014年より新卒採用を行い、技術系の若手の割合が3割強となった。その技術力を底上げし、グループに貢献したい。丸山局やJPデジタルのオフィスなど若手の発想は組織活性化に資する。
- 建築技術を活かし、DXやSDGsといった他分野でもノウハウを活かせる場を創造したいと考えている。
- 分譲事業は大変なことも多いとは思うが、資金回収も早いため、うまく取り組んでいっていただきたい。いろいろな関係先と協力しつつ、立地の特性にもよく目を配って進めていただきたい。
- 丸山局やJPデジタルのオフィス工事のように、これからも、若手にどんどん活躍できる場を与えてほしい。
ピックアップQ&A ①山代流・人と街の育て方
- 不動産事業を今後ますます発展させていくためには、営業や運営管理の人材も必要になってくると思います。外部人材の登用を含め、考えていかなくてはなりません。
- また、若手社員がよりスキルを磨き、ネットワークを拡げるために、どのような育成をしていくのでしょうか。
- 営業のスキルを持った人材は、たとえば不動産仲介会社から外部登用する方法が挙げられます。現状、30代前後の比較的若い社員が多く来てくれているので、それを更に充実させる必要があると考えています。
- また、人材の内製化も必要です。プロパーの若手社員に営業を経験させ、鍛えていくというのは、どこのデベロッパーでもやっていることで、われわれもやっていきたいと思っています。もちろん時間はかかりますが、将来的には大きな財産になると信じています。
- 今後、人口動態は大幅に変わっていくでしょう。そのような中で、地方の主要駅前の一等地における開発というのは、たいへん重要だと思っています。ぜひその好立地を最大限に活かしてほしいです。
- 地方ほど、行政当局との方向性が噛み合うことも大事になってきますね。うまく活用するにはどうすべきか、課題でもあり、楽しみでもあります。
- まさにそのような場所こそ、もっとも料理の仕方が問われると思っています。
- 地方物件は、元のマーケットがそこまで大きくないので、普通に事業をやっていこうとするとうまくいかないでしょう。地域に合わせ、事業に特色を持たせることがポイントです。
働きやすい職場づくりにおけるリーダーのあり方
- チーム内では正面を見せ、チーム外では背中を見せられるリーダーでありたい。
- リーダーたるもの、一生懸命に部下の話を聞いて物事を決め、そして決定したことを対外的にまたは上司に説明する際は、先頭に立っていく気概を見せることが重要。これが私の持論。
- 私の考えるリーダー像は、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」という山本五十六の言葉にあるような「率先垂範」。
- 留まっていては何も動かないので、まずは自ら動き、傷を負うところも含め見せることを心掛けている。
- これは民営化直後、大手デベロッパーからの出向者が全員復帰し、不動産事業の経験がないプロパー社員のみで事業推進する必要が生じた際、新たにプロジェクトリーダーに就いた自分に課した姿勢であり覚悟でもある。
- リーダーには、ゴールのイメージを的確に伝え、その先にある組織の将来像をスタッフと共有できるスキルが必要だと思う。
- 不動産は新しいことをやっていく部門なので、若手を含め、会社の未来像をはじめとする先を見据えた議論ができるよう、こちらから仕掛けていくことを意識している。
- また、女性が働きやすい組織にするために、とりわけ子育て中の女性社員をしっかりサポートするとともに、身近なところから活躍のモデルケースを見せていくことが大切。こういったことが会社の強みになっていくと考えている。
- チームの一人一人の思いや状況を理解し、一緒に考え、動けるリーダーを目指している。
- 若手社員はいろいろな発想や、やりたいことを持っている。それをしっかり意識し、実現できるようにサポートしていきたい。当然失敗もあると思うが、その時は一緒に謝りにいくなど、部下と一緒になって考え、一緒に動くことで組織を活性化していきたい。
- 先ほどは、丸山局やJPデジタルのオフィス工事で若手社員が活躍したとお話しいただいた。今後も社員たちの士気を更に高め、ますます活躍できるように、引き続き工夫を凝らしていただきたい。
- 毎年、全国の施設センターに配属される新入社員が、今後も各拠点内でグループ各社の社員としっかり交流を持てるよう、気にかけてあげてほしい。
ピックアップQ&A ②働きやすいオフィスづくり
- 大手町社屋の24階にある日本郵政不動産のオフィスは、興味深い場所ですね。グループ4社とは違う、独特な雰囲気があります。
- 「海外は自宅が広いので、オフィスを立派にして、仕事しやすい環境を作らないと社員が出社したがらない。一方で、日本は自宅が狭いのでオフィスにコストがかからない」という意見も耳にします。
- しかし、若手社員の転職事情を見ていると、オフィスにもしっかり投資が必要だなとも感じます。やはり、働き方の変化に合わせて、オフィスの作り方も大きく変わってきているということでしょうか。
- 独特な雰囲気の正体は、何と言っても「フリーアドレス」でしょう。この方式を採用しているデベロッパーは多いです。席は自由ですが、チームで仕事をしているので、完全にバラバラになるわけではありません。現状は、リモートワークと出社が約半分ずつで、うまく回っています。
- しかし、リモートワークが増えたからといって、その分オフィスを狭くしようという考えでは上手くいかないと思います。もしもフリーアドレスにするならば、通常のオフィスよりも、むしろスペースは広く用意したほうが良いでしょう。社員に選ばれ続けるためには、オフィスも魅力的であるべきです。
意見交換会を振り返って
(増田社長)
- 不動産事業は、今後の日本郵政グループのなかで、収益を長く支えていくためにも確実に育てていかなければならない分野です。
- これからのオフィスや建築そのものにおいて、IT・DX系のインフラは必須であり、先を見据えて取り組んでいく必要があります。不動産事業に携わる役員・社員のみなさんには、JPデジタルをはじめとする専門家とも早い段階から相談して、検討を進めていただきたいです。
- 将来的には、小規模な郵便局の窓口でもタブレット等を活用し、遠隔相談窓口につなぐような業務スタイルが主流になっていくでしょう。つまり地方部を含め、これまでの郵便局の標準モデルから今後どんどん変化していくということです。ぜひ、こうした将来像に合った不動産を開発いただければと思います。
今後も日本郵政グループ役員・社員と増田社長との意見交換会を定期的に行ってまいります。
開催模様については、随時発信していきますので、ご注目ください。