現在位置:
日本郵政ホームの中の
社長室通信の中の
社長室通信 Vol.55

社長室通信
Vol.55

意見交換会を開催しました

7月28日(木曜日)、増田社長とグループ本社社員との意見交換会を開催しました。
各社の防災・危機管理担当の社員4名が参加し、「防災・危機管理における課題とあるべき姿」というテーマで意見を交わしました。

社員からの主な意見

  • 近年は災害が激甚化する傾向にあり、従来の災害対策やBCPでは対応が難しくなっている。また、同じような災害であっても、発生規模や地域によって対応が変わってくる。100%備えることは不可能だが、少しでも想定外を減らす努力が必要。マニュアル等を分かりやすく見直すとともに、社員に内容を理解し行動してもらう必要がある。
  • 発災直後は現場がかなり混乱する。本社は状況把握のために現場にあれこれ確認・報告を求めるが、それに現場の労力を割くのは非常にもったいない。セキュリティカメラ等を活用し、報告せずとも本社が能動的に状況把握できることが理想。
日本郵政グループ 本社社員

増田社長からのコメント

  • 危機管理において、フロントラインでの対応と、本社が果たすべき役割は異なる。本社では、基本的でわかりやすい対応方針をフロントに示しつつ、同時にエリアごとに噛み砕いて現場へ伝えられるような体制を作っていかなければいけない。
  • 首都直下地震が昼間に発災した場合は、帰宅困難者であふれかえらないよう、きちんと抑えられるかが課題。大雨・台風・噴火はある程度予測がつくようになっているが、地震は未だに難しい。地震の発災時の対策は念入りにお願いしたい。
  • 通信障害は、影響を最小限に抑えるための努力が必要。防災・危機管理担当のみなさんには、しっかりとグループ会社間で横の連携をとっていただきたい。

社員からの主な意見

  • 発災時に、必ずしも出社しなくても良い体制を整える必要があると思う。特に首都直下地震など、出社すること自体に建物の倒壊や火災といった危険が伴う。
  • 防災は、ある課題に対しひとつの対策を用意していれば良いのではなく、複数の選択肢を持つことが会社として大切なのではないか。たとえば地震で出社は困難でも、回線が使えればオンラインで対応することもできるかもしれない。さまざまな手段を選べるようにしておくという「攻めの危機管理」が必要。こうした空気の醸成ができるとよい。
  • 夜間・休日に発災した際は、社員を出社させるかどうか、安全性の確認を踏まえて慎重に判断すべきだと思う。例えば首都直下地震が発生したとして、首都圏以外の地域で本社の代替拠点が機能していたり、リモートワークが可能な状況だったりした場合、本当に出社させるべきなのか、何のために出社させるのか、非常参集要員(※)に求められる役割についてご意見いただきたい。
  • ※夜間・休日等に大規模な災害が発生した場合に、職場に出社して災害対応業務を行う(非常参集)ことをあらかじめ指定されている社員
日本郵政グループ 本社社員

増田社長からのコメント

  • 非常参集について。社長・副社長が非常参集し、災害に係る重要な判断をするためには、被害状況の把握等が不可欠であり、危機管理担当以外にもそれなりに動ける要員が必要になる。裏を返せば、重要な判断ができる環境を用意するために、非常参集要員がいるということ。
  • もちろん、危険な状況下で出社すべきか否かという点は個別で考えていく必要があるが、機能を維持するためにも、特に非常参集要員に指定されている社員のみなさんには、普段から意識を高めておいていただきたい。
  • とはいえ影響が小さい災害の度に参集していると、危機対応への嫌悪感が出てきてしまう。危機のレベルを判断するのは難しく、安易な考え方に流されがちだが、トップでしっかりと判断し、必要最小限の参集とすべきだと思う。

社員からの主な意見

  • 郵便局は指定公共機関であるため、災害時でも配達や窓口業務をなるべく継続する努力をするという会社の姿勢がある。社員が真面目で、業務継続を大事に考えるあまりに、災害時に命の危険があるにもかかわらず「現場に居る」という判断をしてしまうのではないかと心配している。
  • 災害対策は、自分の命を守るための備えが大事だと言われる。社員一人ひとりが、自宅でも対策できているかが心配。例えば、自宅内の危険箇所の確認、自治体から配布されているハザードマップのチェックや伝言ダイヤルの活用などが考えられる。
  • コロナ感染者が激増している。社員のみなさんには、自分と家族の命を守るため、そしてエッセンシャルワーカーとしての自覚をもって行動いただきたい。
  • 現地で状況を見て判断すべきこともある。しかし、あまりに行き過ぎると「発災してみないとわからないから、今は考えなくても大丈夫」という発想に陥り、準備が不十分になり、発災時の対応に支障をきたしかねない。そうならないためにも、社員のみなさんにおいては、起こり得る事象についてできるだけ事前に考えを巡らせておいて、BCP策定や訓練の段階では積極的な問題提起をいただければと思う。
日本郵政グループ 本社社員

増田社長からのコメント

  • フロントラインへの意識浸透は常日頃から経営陣も含めしっかりとやっていかなければいけない。基本はマニュアルだが、最後はフロントライン次第。「それぞれの郵便局・支店・営業店で動きを確認しないと、危機管理体制というのは実際には機能しない」ということをよく伝えていただきたい。
  • 特に4月期には異動がある。体制が変わったときに発災し、引継ぎ不足で対応のレベルが下がらないように注意してほしい。連絡体制が整っていて、顔を突き合わせて話せばいろいろな知恵が出てくるような状態だと良いが、ひとりだけで居るときに被災すると、どうしたら良いかわからなくなってしまうこともある。特に夜間は手薄になりがちなので、念入りに備えておいてほしい。
  • 定期的に行っている訓練では、どうしても「きれいに仕上げたい」という意識が強くなりがち。しかし訓練の本来の目的は、間違いや課題をしっかりと洗い出して、本当に災害が起きたときに失敗を繰り返さないような答えを探し当てること。「訓練が滞りなくできてよかった」と安心するのではなく、意識浸透させるとともに、実地訓練を通じて実際に動いてみるのも大事かと思う。
意見交換会の模様

参加者の感想

参加者
意見交換会を通じて、増田社長の考え方を知ることができ、有意義でした。
参加者
増田社長が、一人ひとりの発言内容について丁寧にフィードバックしてくださったことが印象的でした。
参加者
普段以上にグループ内他社の現状や課題について知る機会にもなり、グループ連携という意味でも大変良い機会になりました。

意見交換会を振り返って
(増田社長)

増田社長
私の経験上、実地訓練をやっておかないと、いざというときに役に立たないと思っています。責任者が居なくては指揮ができないし、社長一人が出てきても、必要な事柄の判断はできても細かな機材の扱い等はわからないので、災害担当の社員も居なくてはいけません。こうした訓練は、年1回はやらないと忘れてしまうものです。社員一人ひとりが防災意識を持ち、いざという時に行動に繋げられるように、いかに発災時の対応を浸透させていくかが課題です。
 
防災・危機管理担当のみなさんは、昼夜問わず、急ぎ対応しなければならないことも多いでしょう。大変な仕事であり、感謝申し上げるとともに、今後の災害に備えた対策を、引き続き頑張っていただきたいです。
 
郵便局は指定公共機関なので、できるだけ事業が滞らないように努力する必要があります。しかし事業継続のためにも、「人命第一」が前提です。そのうえで、インフラとしての役割を果たし、社会の期待に応えていきたいと思います。

今後も日本郵政グループ社員と増田社長との意見交換会を定期的に行ってまいります。
開催模様については、随時発信していきますので、ご注目ください。