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社長室通信 Vol.79

社長室通信
Vol.79

意見交換会を開催しました

8月30日(水曜日)、増田社長と日本郵政で内部監査を担当する西田執行役・丸山部長が、次のテーマで意見を交わしました。

≪テーマ≫
○日本郵政グループにおける内部監査の現状と今後の展望
○働きやすい職場づくりにおけるリーダーのあり方、実践している工夫

日本郵政グループにおける内部監査の現状と今後の展望

日本郵政株式会社執行役
西田 晃久
  • 過去は部署別監査、準拠性監査が一般的であったが、社内外から内部監査高度化の要請があり、次のような施策を実施している。
    1. オフサイトモニタリング
      会議体資料などの常時モニタリングや会議体陪席、役員インタビューなどによりリスク把握を行い、リスクが高い領域やテーマの監査を計画・実施している。
    2. 事業子会社を含む組織横断的なテーマ監査
      最近の取組としては、かんぽ問題を踏まえて、2020年度から日本郵政経営陣及び本社がフロントラインの実態を把握することを目的にオンサイトモニタリングを開始したほか、2021年度からグループに跨る金融分野の課題についてグループ監査を実施している。また、2022年度にグループ内部監査基本方針(以下、「基本方針」)を制定したほか、監査委員会から内部監査の実効性について評価を受ける仕組みも取り入れた。さらに、2023年度から日本郵政と日本郵便の内部監査部の一体的な運営を開始した。
    3. グループの業務運営の課題を改善する「経営に資する監査」
      基本方針では、内部監査の目的は「グループ業務運営に価値を付加し、改善する」ことであり、内部監査部門は「グループ経営目標の達成に貢献する」ことを部内に周知し、「経営に資する監査」を志向し取り組んでいる。
日本郵政株式会社
内部監査部長
丸山 元彦
  • 現状、内部監査に関する大きな課題としては2点。
    1. 監査人材の育成
      人事ローテーションの関係で、ある程度経験を積んでも数年で異動してしまう。じっくり専門性を身につけることが難しい。
    2. 内部監査に対する社内の理解・信頼
      例えば、監査実施通知を行わないオフサイトでのモニタリングの際などに「なぜ監査でないのに資料提出やヒアリングが必要なのか」といった意見が出ることもある。これに対しては、地道に理解と信頼をいただけるように、監査活動を通じて「監査が役立った」と感じていただける仕事をしていくことが重要と考えている。
  • 今後の展望として、内部監査において、経営の方向性や経営陣が考えていることを深く理解するとともに、現場で起きていることを正確に把握することが重要
  • この両方ができてはじめて、経営の意思がよりよく執行されるために役立つ助言ができると考えている。このような役割を果たすことができるようになれば、監査人材から経営人材も輩出されるようになるのではないか。

ピックアップQ&A ①オンサイトモニタリングにおける体制

増田社長
  • 日本郵便の支社や郵便局へのモニタリングは現在どのように行っているのでしょうか。
内部監査部長 丸山 元彦
  • 日本郵政では郵便局、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の営業店社員へのアンケートやインタビューに加え、支社やエリア本部にも赴いて、支社長などの幹部をはじめ、事務方含めたさまざまな立場の方へのヒアリングも行っています。
  • 日本郵便でも支社監査専門の部隊や郵便局インタビューをする専門の部隊があり、役員が支社長にヒアリングする機会もあります。
内部監査部長 丸山 元彦
増田社長
  • 日本郵政と日本郵便からそれぞれ監査が来た際、現場社員はいつも同じようなことを伝えることになるかもしれず、それについて現場社員が負担を感じることにならないでしょうか。
日本郵政株式会社執行役 西田 晃久
  • 両社の監査および金融2社の代理店監査に加え、検査、コンプライアンスも含め実施拠点が重複しないように、年度ごとに事前に調整しています。
日本郵政株式会社執行役 西田 晃久
増田社長
  • 特に郵便局の社員から見ると、両社から同じようなことを聞かれると負担感が生じます。みなさんには大いに訪問してほしいものの、複数の機会で同じ意見を伝えたのに本社が状況を変えてくれない、ということにならないよう、よく連携していただければと思います。

働きやすい職場づくりにおけるリーダーのあり方、実践している工夫

日本郵政株式会社執行役
西田 晃久
  • 6月に役員に就いて、すぐに開催した全体ミーティングで両社内部監査部員にお願いしたことが3つある。
    1. 否定から入らない建設的な議論、協力的な行動様式
      グループ各社間あるいは部署間にある縦割り意識あるいは子会社の独立性を理由とした否定的な考え方を超えて、建設的、協力的な姿勢で仕事をしてほしいと思っている。
    2. フラットな組織運営、自由闊達なコミュニケーション
      心理的安全性を確保して、言いたいことが言い合え、人の発言に進んで耳を傾けることを心がけるよう、部内会議では、冒頭に司会者から、自由に発言できる環境であることを宣言してもらうようにしている。また、上意下達、その裏腹の指示待ちにならず、自律性・自主性を持とうということや、階層構造をフラット化する観点から、役職でなくさん付けで呼び合おうと言っている。
    3. プロフェッショナルとしての誇りと監査スキルの向上
      「グループの経営目標達成への貢献」を果たすためには、監査スキル・専門性を常に上げていかなければならない。加えて、他部署にも言えることだが、安易にコンサルタントなどの外部人材に頼り切ってしまうのではなく、ノウハウを取り込んで自分たちでできるように学んでいってほしいと伝えている。
  • 昨今、パーパス(企業の社会的な存在意義を意識した)経営ということが言われており、内部監査部を一つの会社に見立てて、私が考えるパーパス、ミッション、ビジョン、バリュー(PMVV)を紹介した。
    Pパーパス(存在意義):内部監査は内部統制の要であり、取締役会などの監督機能の一翼を担う
    Mミッション(果たすべき使命):「経営目標の達成に貢献する」こと
    Vビジョン(ありたい姿):内部監査を成熟させて「信頼できるアドバイザー」になること
    Vバリュー(行動基準):(1)内部監査の利用者である経営や被監査部署に役立つことに責任を持って全力を尽くすこと、(2)素直さと謙虚な心を忘れず、自律的かつ建設的・協力的な姿勢で挑むこと、(3)仲間の成長を手助けしたとき、あわせて自分も成長すること
日本郵政株式会社
内部監査部長
丸山 元彦
  • この1年、部内では「心理的安全性」の観点から、メンバーが話やすい雰囲気作りを心がけていく。西田役員からも「心理的安全性」の重要性を強く打ち出していただいており、日常の職場の内外で、気軽にコミュニケーションを図れるようにしていきたい。
  • また、会社全体では、以前に比べて時間外の社員とのコミュニケーション機会、例えば、運動・文化サークル活動、県人会などの触れ合いが減ってきていると感じている。私自身は、長年、日本郵政の将棋部やテニス連盟に所属しているが、そのような活動により、さまざまな職場の知己も増え、また全国大会などを通して各地の仲間を作ることができた。これらの方とは、仕事の話でも現状や思うことを本音で語っていく関係になれることが多く、業務上も大変助かっている。
  • 内部監査部は、フロントラインや支社などの社員から必要以上に敬遠される傾向があるように思う。監査方針でも、従来のような「準拠性に重きをおいた監査」や「重箱の隅をつつくような監査」ではなく、経営にも被監査部署にも真に役立つ監査の実施を目指している。グループの若手社員にこのような状況を理解してもらい、内部監査部に積極的に手を挙げて来てもらえたらよいなと思っている。

ピックアップQ&A ②監査人材の強化にむけて

増田社長
  • 外部採用について、現在はどの企業も圧倒的に新卒採用が多いものの、新卒入社後、3年程度で転職をするパターンも増えています。中途採用でも、永続的に1つの分野で働くことを強制せず、本人の意思を積極的に受け入れる姿勢で募集を行い、適性のある方に来てもらうのがよいかと思います。監査は専門性が高い分野であるため、検討してはいかがでしょうか。
日本郵政株式会社執行役 西田 晃久
  • おっしゃるとおりです。日本郵政の内部監査部門はゆうちょ銀行やかんぽ生命とは異なり、現状、金融機関などの外部出身の社員は少ないです。内部監査においては、組織独自の思考だけでなく、外部の異なる目線も必要であると感じています。
日本郵政株式会社執行役 西田 晃久
増田社長
  • その観点では、特に日本郵政と日本郵便の体制を整える必要があります。経営に資する監査の実現や他部署との連携も見据え、どのように人材を強化していくかが大切です。
  • 一方で、当グループ社員における内部監査部への配属状況はどのようになっているのでしょうか。
内部監査部長 丸山 元彦
  • 日本郵政内部監査部は、グループ各社からの出向社員が多いです。
  • 社内公募も行っており、近年は多様な人材が応募をしてくれています。実際、有望な若手からも手が挙がってきており、このような方からは、職務への意欲の高さが見受けられます。
  • 社内からの信頼を高めるためにも、さまざまな部署から人材を集めて監査を行うことがよい経営につながると思います。人材を積極的に取り入れたいです。
内部監査部長 丸山 元彦

意見交換会を振り返って
(増田社長)

増田社長
内部監査部では、昨年度に基本方針を策定し、郵便局などへのモニタリングや本社の監査など、この1年力を入れて取り組んできたと思います。一方で、他部署からは「監査で指摘が入るのでは」などと敬遠されてしまいがちです。内部監査のみなさんはそのような考えを払拭し、経営という観点から監査の意味を理解してもらうために、日々奮闘しているところでしょう。監査の結果、どのように改善されたのかを内部監査部門から積極的に発信し、各部もそれを受け止め理解することで、監査の実効性を深めていただきたいと思います。
コンプライアンスも同様ですが、客観的な視点を活かし、会社の成長に資するものとして、内部監査を位置付けたいと考えています。また、グループ全体で一緒に成長するためにも、内部監査部からさまざまな提言が出ることを期待しています。

今後も日本郵政グループ役員・社員と増田社長との意見交換会を定期的に行ってまいります。
開催模様については、随時発信していきますので、ご注目ください。