グループ・コンプライアンス

日本郵政グループ(以下「当社グループ」といいます。)は、コンプライアンス推進が経営の最重要課題のひとつであると認識し、お客さまを始めステークホルダーや地域・社会から信頼され、グループの経営理念の実現と持続的成長の基礎となる経営基盤を強固なものとし、企業価値の向上を図るべく、コンプライアンス経営を推進しています。なお、「コンプライアンス」とは、経営理念等に基づき、すべての役員及び社員が法令等を遵守するとともに、お客さま、地域・社会、株主その他のステークホルダーの期待に応えるべく行動することをいいます。
グループ各社では、事業の公共的特性に配慮した実効性のあるコンプライアンス態勢を整備し、リスクベース・アプローチによるコンプライアンス・リスク管理の高度化等により、お客さま本位の業務運営を徹底し、お客さまに安心してサービスをご利用いただけるよう努めています。
また、グループコンプライアンス委員会を定期的に開催するなど、グループコンプライアンス機能を強化するとともに、グループのコンプライアンス経営の推進状況等を適切に開示し、透明性を確保します。

グループのコンプライアンス態勢

グループ各社のコンプライアンス部門がコンプライアンス推進を統括する態勢を整備し、コンプライアンス担当役員のもとにコンプライアンス統括部署を設け、コンプライアンス推進の企画立案・管理等を行っています。コンプライアンス推進の方針や対応等については、経営会議の諮問機関として設置したコンプライアンス委員会において審議し、重要事項は、コンプライアンス担当役員が経営会議、取締役会等に報告しています。
また、グループコンプライアンス委員会を定期的に開催し、コンプライアンスに関する課題や取組状況等の共有・協議等を通じて、グループコンプライアンスを推進し、リスクベース・アプローチによるグループのコンプライアンス・リスク管理の高度化に努めています。

全体像

グループ各社のコンプライアンス態勢等

グループ各社は、以下のとおり、コンプライアンス態勢を構築し、コンプライアンスを推進しています。

1. コンプライアンス態勢

  1. コンプライアンス・ラインの整備
    グループ各社は、業務推進部門から独立したコンプライアンス統括部署を設けるとともに、コンプライアンスの推進を担う「コンプライアンス・オフィサー」を、本社各部署や支社・郵便局・支店などにコンプライアンスの推進に責任を持つ「コンプライアンス責任者」を配置することにより、コンプライアンス・ラインを整備しています。
  2. コンプライアンス違反への対応

    グループ各社では、内部通報その他の情報提供等により、コンプライアンス違反を疑わせる事情等を把握した場合、主にコンプライアンス部門において速やかに調査を行っています。この調査では、コンプライアンス違反の事実の有無や発生原因等を解明し、これらの内容に応じた再発防止策を講じています。さらに、必要に応じて、コンプライアンス・リスクの低減措置等の実施やコンプライアンス態勢の見直し等により、お客さま本位の業務運営を徹底します。
    お客さまに特にご迷惑をおかけした重大なコンプライアンス違反事案(犯罪に該当する行為を含む)が発覚した場合、当社グループとして撲滅に努めるとともに、早期発見と調査等の対応、速やかな公表等によりお客さまへの被害が拡大しないよう努めています。
    なお、行為者に対しても、社内規程等に基づき、懲戒解雇を含む懲戒処分とする場合もあります。
    2020年度以降、お客さまに特にご迷惑をおかけした重大なコンプライアンス違反事案の主な類型は、下記一覧表の記載のとおりです(事案概要等は全て公表済みです)。
    今後も、お客さまに安心して当社グループのサービスをご利用いただけるよう、グループ一丸となって、コンプライアンスの推進に全力で取り組んでまいります。

    2020年度 2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
    配達すべき郵便物等を配達しなかった事案 17件(3件) 13件(1件) 7件(0件) 7件(3件) 6件(2件)
    お客さまの財産に被害を与えた事案 12件(1件) 8件(2件) 5件(1件) 11件(3件) 8件(2件)

    上記各事案のうち、日本郵便以外で発覚した事案(お客さまの財産に被害を与えた事案)は、ゆうちょ銀行における2023年度1件、かんぽ生命保険における2021、2022年度各1件、2024年度2件です。

    1. 注 発覚日を基準として年度別に集計しています。括弧内の数字は、受託者による件数を再掲したものです。
  3. 法改正に伴うお客さま情報の保護・管理の取り組み

    2022年4月に施行された改正後の「個人情報の保護に関する法律」において、個人の権利利益を害するおそれが大きい個人データの漏えい等について報告義務が課されており、2024年度における同法等による分類に従った報告件数は38件となっています。
    なお、各年度の内訳は下記一覧表に記載のとおりです。
    個人データの漏えい防止策として、お客さまの個人情報が記載された書類等の紛失防止等に取り組んでおり、郵便局での保存書類の削減、紙帳票の電子化(ペーパーレス化)等の業務手続の見直しを推進するとともに継続的な社員指導により、個人情報保護・管理の徹底に努めています。

    「個人情報の保護に関する法律」等による分類に従った各年度の内訳
    2022年度 2023年度 2024年度
    要配慮個人情報が含まれるもの 20件 4件 5件
    不正に利用されることにより財産的被害が生じるおそれがあるもの 22件 19件 22件
    不正の目的をもって行われたおそれがあるもの 4件 2件 5件
    個人データに係る本人の数が1,000人を越えるもの 0件 2件 6件
    46件 27件 38件
  4. 内部通報制度の改善と適正な運用
    当社グループの内部通報制度に対する取り組みについてご覧いただけます。

2. コンプライアンスの推進

  1. コンプライアンス・プログラムの策定
    グループ各社においては、毎年度、コンプライアンス推進の具体的な実践計画である「コンプライアンス・プログラム」を策定し、その取り組み状況を定期的に確認しています。
  2. コンプライアンス項目の取り組み
    グループ各社においては、重点的にコンプライアンスの推進を行うものとしてコンプライアンス項目を定め、コンプライアンス項目ごとに責任を持ってその推進を行う責任部署を定めたうえで、取り組むこととしています。また、コンプライアンス統括部署は責任部署のコンプライアンス推進を統括し、コンプライアンスに関して会社全体の一元的推進管理を行います。
  3. コンプライアンス・マニュアルなどの作成、配布
    グループ各社においては、コンプライアンスを実現するための具体的な手引書として、コンプライアンス態勢やコンプライアンス項目などを解説した「コンプライアンス・マニュアル」、及びマニュアルの要点を解説した「コンプライアンス・ハンドブック」を作成・配布し、研修に活用するなどしてコンプライアンス意識の向上に取り組んでいます。
  4. コンプライアンス研修の実施
    グループ各社においては、法令などの理解促進とコンプライアンス意識の向上のため、集合研修やDVD、eラーニング等により、コンプライアンス項目に係る各種研修を実施しています。特にハラスメント根絶の観点から、ハラスメントに関するトップメッセージの発信、全社員を対象とした周知・啓発、実例を扱った管理者研修の実施や冊子の配布等の取り組みを行っています。

3. マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融対策への取り組み

国際的なマネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融注1(以下、「マネロン等」といいます。)対策の重要性はこれまでになく高まっており、年々複雑化・高度化するマネロン等リスクの変化に応じた管理態勢が求められています。

注1 当社グループでは、マネロン等対策を、経営上の最重要課題であると位置づけ、FATF注2等の国際機関の要請及び金融庁の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」等の法令・ガイドラインに則して、基本的な方針を定め、マネロン等対策に係る統括責任者をコンプライアンス部署担当執行役・執行役員とするなど、マネロン等対策にかかわる役員および社員の役割・責任を明確にして経営主導により態勢整備を進めています。
具体的には、当社グループが提供している商品・サービス等がマネロン等に悪用されることを防止する観点から、リスクベース・アプローチによる対策を講じています。
当社グループにおけるマネロン等対策に係る方針の主な取り組み事項は以下のとおりです。

  1. 当社グループは、グループ一体としてマネロン等対策に取り組みます。
  2. マネロン等対策に係る統括責任者をコンプライアンス部署担当役員とするなど、マネロン等対策に係る役員および社員の役割・責任を明確化しています。
  3. コンプライアンス部署がマネロン等対策に係るリスク低減措置等の枠組みを構築・整備・実行します。また、内部監査部署が独立した立場で、リスク低減措置の有効性の検証を定期的・随時に実施しています。
  4. 関係法令等に即してマネロン等対策を適切に実施するための組織体制や内部規程を整備しています。
  5. 取引開始時および取引開始後、継続的顧客管理措置を実施しています。
  6. 顧客管理措置には、顧客の本人特定事項・取引目的等の確認、実質的支配者の確認等を行っており、その際、信頼できる情報を用いて確認を行っています。また、顧客等が国際連合安全保障理事会の決議等により指定された経済制裁対象者等に該当するか否かの確認等を行っています。
  7. マネロン等のリスクの大きさに応じて、必要なリスク低減措置を実施しており、なりすまし等の疑いがある、リスクが高い顧客と取引開始する場合には、担当部室の長等による承認等により厳格な措置を講じています。
  8. 関係法令等に即して、マネロン等の防止に関連する文書や記録を保存しています。
  9. 役員および社員に対して社内研修を行い、マネロン等を防止するための義務や要請を周知徹底しています。
注2 FATF(Financial Action Task Force):マネー・ローンダリング対策における国際協調の推進を目的とした政府間会合

日本郵政グループ マネー・ローンダリング、テロ資金供与及び拡散金融対策に係る方針別ウィンドウでPDFを表示[PDF:95kバイト]