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日本郵政株式会社の社長等会見
- 2025年4月2日 水曜日 日本郵政株式会社等 社長等会見の内容
2025年4月2日 水曜日 日本郵政株式会社等 社長等会見の内容
- [会見者]
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日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
日本郵政株式会社 常務執行役 根岸 一行
日本郵便株式会社 代表取締役社長兼執行役員社長 千田 哲也
日本郵便株式会社 常務執行役員 小池 信也
- 【増田社長】
- 日本郵政社長の増田でございます。本日はお集まりいただきましてありがとうございます。
私、6月下旬の当社の株主総会の日をもちまして、5年半務めた日本郵政の社長を退任することといたしました。後任は、現在、当社の常務であります根岸一行氏に務めていただくことにいたしました。当社の常務と言いましたが、3月31日までは日本郵便の東海支社長をいたしておりました。昨日付で当社の本社に戻したということです。
私は2020年の1月に社長に就任いたしました。その後、これまで日本郵政グループの民営化の一層の推進のために、当社株式の政府保有比率を下限の3分の1程度まで引き下げるとともに、当社が保有するゆうちょ銀行およびかんぽ生命の保有比率を50%前後まで引き下げることなどを行いました。また就任当初から不動産事業を当グループの第4の柱にすると申し上げており、こちらについては現在、大体年200億円弱の利益を見込めるくらいまでには成長していると思います。また、ガバナンス改革ということで、内部通報制度などを整備いたしまして、社内はもとより社外の外部専門チームによる窓口を設けて対応してきたところです。また、グループ一体化による企業価値向上などに努めてきたところです。ガバナンスの関係につきまして、社内通報制度などは整備いたしましたが、昨今、特に非公開金融情報の関係についての不祥事が発生し、金融庁から指摘も受けております。制度は作りながらも必ずしも十分機能してなかったということがございます。この点は、またいろいろご質問があるかと思いますが、この5年間で行ってきたことをおおむね申し上げますと、そのようなところでございます。
そして、既に社長就任5年半になるという時期であり、また、今年の4月、5月から次期中期経営計画策定作業が本格化いたしますので、この時期が交代時と判断いたしました。
隣に座っております根岸ですが、時代の変化に鋭敏な感覚を持つ、いわば次世代のエース的な存在ですし、本社の常務に、この世代では一番早く就任した後、日本郵便の支社のトップも経験しております。時計の針をできるだけ早く回したいということで、大幅な若返りを図るという考えの中で今回就いていただくということでございます。指名委員会等設置会社ですので、指名委員会などにおいて慎重な審議や面接などを行った上で、今回の決定に至ったものです。
冒頭、私からは以上です。
- 【根岸常務】
- 日本郵政の根岸一行でございます。よろしくお願い申し上げます。
次期社長として指名された以上、非常に重責ではございますけれども、真摯かつ謙虚に取り組んでまいります。
私は、郵政省に採用されて以来、31年になります。このうち25年以上郵政事業に携わってきており、直近、先ほど増田社長からありましたように、2年間は支社長を仰せつかっております。
今回の指名は、そうした経緯を踏まえまして、郵便局をはじめとしてフロントに近い感覚を事業経営に生かせということだと認識しております。お客さまから見ますと、グループ各社ということではなく、郵便局ということになりますので、郵便局の目線、お客さまの目線でグループ一体の経営をさらに進め、適切なガバナンス、リソース配分、リスクコントロールをしながら、郵政ネットワークを最大限活用することで、地域の方々や株主の皆さまなど、さまざまな方々の期待に応えていきたいと考えております。郵政・郵便局のネットワークに対する期待はまだまだ大きいものがあると感じておりますので、これまで取り組んできました、自治体をはじめとする地域のニーズに応じた郵便局の活用や、保有不動産を活用した地域の再開発事業への参画など、こうした取り組みの速度をさらに上げていきたいと考えております。また、社員の中には、当グループの将来に対して不安を感じるという者もおりますので、将来イメージを共有することで安心して働くことができ、さらには、新たな取り組みにも積極的にチャレンジできるような環境を作っていきたいと考えております。こうした取り組みを通じて、当グループの経営理念でございます郵政ネットワークの信頼と安心を礎として、お客さまと社員の幸せ、この実現に向けて歩みを進めていき、社員が誇りを持って働けるグループとしていきたいと考えているところでございます。
しかしながら、直近、お客さまの信頼を裏切るような不祥事が続発しておりますので、その是正、再発防止、あるいは組織改革が最優先の課題だと考えております。改善に向けての取り組みは既に進めているところではございますけれども、倦むことなく、定着するまで継続的に取り組んでまいります。
2025年度は、中期経営計画の最終年度ですので、現在仕掛り中の各施策については着実に推進していくことが重要ですけれども、夏以降は、次期中期経営計画を検討することになりますので、今取り組んでおります共創プラットフォームの実現を目指して、着実な成果につなげていきたいと考えているところでございます。皆さまのご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
- 【千田社長】
- 日本郵便の千田でございます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。
まずは、非公開金融情報の不適切な取り扱いを始めとしまして、これまでの一連の事案につきまして、郵便局をご利用いただいているお客さまをはじめ、関係の皆さまにご不安、ご心配をおかけしましたこと、改めて心よりお詫び申し上げます。このような事案を発生させたことを経営として重く受け止め、今後決して同様な事案を発生させないように、再発防止に向けて全力で取り組んでまいります。
一方、経営として体制の立て直しも必要と考えておりまして、ちょうど今から2026年度以降の次期中期経営計画を策定する節目の時期にもなりますことから、これからの当グループを担う若いリーダーが中心となって、次期中期経営計画の策定にあたってもらったほうがよいと考え、このタイミングで私も退任することといたしました。私の後任の小池信也氏は今も直属の部下でございまして、現在、当社の近畿支社長として活躍しております。小池は郵便物流事業にも精通しており、沈着冷静な判断と事業に対する情熱を持った人物でございます。私が社長就任以降進めてきた改革につきましては、おおむね継承してもらえると思っています。他方で、ガバナンスについては、私自身が本当に不十分であったと反省しております。小池には、大きくこの分野については進化していただけるように、残された3カ月でありますが、ガバナンス改革についてどのように進めていけばいいか、お互いに話をしていきたいと考えております。退任と申しましても、まだ3カ月弱ありますので、残りの期間においても、引き続きお客さまのため、社員のため、諸課題の対応に全力を尽くしてまいりますとともに、小池新社長にスムーズにバトンタッチできるように努めてまいりたいと思います。私からは以上です。
- 【小池常務】
- 日本郵便の小池でございます。本日はありがとうございます。私は、地域に密着した仕事がしたいという思いから、1992年に当時の郵政省へ入らせていただきまして、約四半世紀にわたり郵政事業に携わってまいりました。特に昨年度は、支社長として近畿支社に赴任し、現場に近いところで深く業務に携わるということができ、大変有益な経験をいたしました。今回、このようなお話を頂戴いたしました以上は、これまでの経験を生かしつつ、当グループが持つ資源を最大限活用して、成長ステージに乗せていけるよう、各事業の強みを生かしながら、全体最適を目指してまいります。
まず、郵便・物流事業につきましては、必要な投資をしっかりと行った上で、荷物収益の拡大を進めてまいります。次に、郵便局窓口事業につきましては、郵便局のネットワークを最大限活用し、お客さま本位を実践してまいりたいと思っております。それから、不動産事業につきましては、所有不動産の有効活用を行い、そして国際物流事業についても、ロジスティクス事業の成長、フォワーディング事業の改善に取り組んでまいります。しかしながら、実際足元で起きていることは非公開金融情報の不適切な利用や点呼の不備などで、お客さまに大変なご迷惑をおかけしております。法令順守、ガバナンスの確保が最重要事項と考えているところでございます。このような状況を一刻も早く是正できるよう、現状の実態をしっかりと把握すること、そして、お客さま本位、法令順守という意識を醸成するということ、こういったことをやり切る覚悟を持って取り組んでまいります。
日本郵便は人で持つ会社でございます。全社員が明るく元気に働けるということが大切だと日ごろから考えておりますので、社員の皆が納得感を持った上で仕事ができるような仕組みを整えてまいりたいと考えております。
そういった取り組みを基本としながら、中期経営計画の最終年度である今年度が成長ステージの転換につながるように、強い意志を持って全力で取り組ませていただきます。以上でございます。よろしくお願いいたします。
- 【記者】
- まず、増田さんと千田さんに、改めて今回の人事に至る経緯をお伺いしたいと思います。いつ頃から退任を意識されて、人選を進めてこられたかというところと、あと、後任のお二方の評価、冒頭述べていただきましたけども、改めて、それぞれの方選ばれた理由をですね、力量といいますか、手腕を、どういう点を評価されているかというところと、何か一緒に仕事されている上で具体的なエピソードがあれば、あわせてお伺いをしたいです。それが1点目です。根岸さんと小池さんにはそれぞれ、今回の人事をいつ頃聞かされてですね、そのときの率直なご感想をまずお伺いしたいというところと、今後、ほかの役員人事など、これから考えられていくと思いますけれども、ほかの役員の方々も含めて若返りというものも進めていかれるのか、今考えていらっしゃることがあればその点もお聞かせください。
- 【増田社長】
- それでは、まず私からお話し申し上げます。昨年6月の株主総会で決議され、私の新しい任期である1年が始まりました。当社は指名委員会等設置会社ですので、役員人事は指名委員会の中で議論した上でということになりますが、そこでは、私も、それから指名委員の皆さま方も、最後の1年ということで、今年6月での交代を前提にしておりました。指名委員会の中での後任の人選につきましては、具体的には、指名委員会懇談会という形で、かなり密度を濃くして人選してきました。ここはもう、むしろはっきり申し上げたほうがいいかと思いますが、二様の考え方がありました。これまで当社は、外部から来た人が社長に就任するというのをずっと続けてきました。外部に優れた経営者がいれば当然それは有力な候補ということになります。一昨年まで、私自身もかなり早い段階からいろいろ打診をしてまいりました。それぞれ立派な方々は、就任するのはすぐ来年というわけにいかないので2年後ですとか、さまざまな条件をつけてお話をしてまいりました。しかしながら、こちらの捉え方ですが、相手方から見れば、いろいろな意味で、なかなか火中の栗を拾うというような形にはいかないという、外部の方から見ると、かなり温度の高い栗と思われていた節がございます。
そういうこともございまして、昨年は、私、あるいは指名委員のみならず、ほかの人たちも外部にはアプローチしておりません。もう既に内部の中から適任者を選ぶという、そのプロセスに入っていた。それが実態です。
当初から指名委員の中でも、もうずっと外部登用が続いていたので、郵政事業庁、それから公社、そして民営化ということで、事業体としても24年の、歴史があり、内部登用を図るべきではないかと。他社の話になりますが、NTT様にしても、JT様にしても、みなさん最初は外部登用であっても、その後はしかるべき時期から内部登用している。それがやはり職員の、特に民営化後に入った多くの若い職員にとってモチベーションの向上につながるので、内部登用を考えるというのも、今の段階では非常に重要だという意見もございました。
それで、内部登用としてどういう資質が必要なのかということについて、昨年、経営者の指名委員の皆さま方と何回か議論いたしまして、その中で、若い方に思い切ってバトンタッチして、それを周辺できちんとサポートするという形で固めるというのが非常に良い体制ではないかという議論を随分してまいりました。この2人は、私に比べて年齢的にはるかに若いですが、一方で、次の質問にも関わりますけれども、根岸について言えば、世代の中で一番早く執行役、そして常務に昇進し、非常に沈着冷静であります。かつ、2人ともそうですが、採用当初は郵政省採用の官僚ではありますけれども、郵政事業庁、公社、それから民営化し民間会社としてもう四半世紀を過ごしてきています。まさに事業体の中の生え抜きと言っていいと思います。事業のさまざまな面を全て見聞きしているということを重要視いたしました。
私がかんぽ生命の不適正募集などで社長に就任した際、どのようなことが行われてきたかということをいろいろ確認しました。あのころはコンサルタントがかんぽ生命に移籍しておらず、全員日本郵便に所属していたものですから、日本郵便からいろいろ話を聞きました。根岸は当時日本郵便にいて、私のところにさまざまな件で説明に来ました。論理一貫していて、そして実態も現場もよく把握していました。ただ残念ながら、まだ現場をしっかりと経験したことがございませんでした。この2年間、より現場を見やすい支社長経験を積まれ、また、支社で本社の足らざるところも経験されたと思います。そういうところをうまく生かしていただければと思います。
少々長くなりましたが、以上です。
- 【千田社長】
- 私は、今年に入り増田社長と、2025年度4月以降の新体制をどうやっていこうかという話を相談する機会を複数回持ちました。その中で、私も増田社長と同じ、2020年の1月にかんぽ生命の社長に就任していますので、社長経験が5年半になり、そういう時間が経過をしているという話になりました。それから、2025年度というのは、2026年度以降の次期中期経営計画を策定していくという、節目の年になりますので、それについては、やはり作った人が実行していくというほうが良いのではないかという考えに至りました。なおかつ、増田社長が根岸と言われたとき、なるほど、本当に世代を思い切り若返らせるという、そういう意思なのだと思いました。もちろん、当然、指名委員会で議論し承認いただいているということだと思いますけれども、私もそのとおりだと思い、ご一緒させていただきますということになりました。日本郵便はどうしようかと考えたときに、やはり今、近畿支社長に出ていて、根岸よりは少々年上ではありますけれども、それでも私からすると、年次で言うと、九つぐらい下の小池が一番ふさわしいのではないかと増田社長と話をしました。3月に入り、私のほうから小池にお話をして、3月28日に取締役会で全員の方に同意をいただいて発表したという経緯でございます。
それから、小池の力量についてですが、小池とは、私が社長に就任して1年間は本社で一緒に仕事をしていました。その後、増田社長ともお話をしながら、小池がやはり近畿支社長として良いのではないかという話もして、近畿支社長に着任していただいたという経緯もあります。私事で申し訳ありませんけど、コーチングということをいろいろやっておりました。自分のことはやはり自分が一番よく分かっていないものです。同僚や部下、役員の人たちなどから「ここがおかしい」「ここは良い」といった話を聞いたり、批判をいただいたりしないと、本当の意味での経営というのはできないと思っています。大体は皆、都合がいいことというか、私本人に対して、「あなたのここがおかしい」とか言わないのですけれど、小池だけは、私も相当思い切ってスピードを上げて改革しようとしていましたので、「千田さんが一生懸命頑張ろうとしているのは非常によく分かるし、方向性も間違っていないと思うけど、ちょっとやはり勢いが強過ぎるのではないでしょうか、皆も本当に頑張っているので、そこをリスペクトしながら動かれたほうがいいと思います」といった、そういう話をしっかりしてもらいました。そういう間柄の中で、本当にいろいろな仕事を小池にもお任せをしながらしっかり動いていって、それで近畿支社長にもなっていただいたという経緯もございます。
ですので、私より非常に若いですけれども、沈着冷静、自分の意見をしっかり持ち、郵政事業に情熱を持って動いていらっしゃる、本当にしっかりとした、私としてはもう全部任せられる後任だと思っております。
- 【根岸常務】
- 私からお答え申し上げます。3月にお話をお聞きしましたときの率直な感想でございますけれども、正直、全く想像していませんでしたので、聞きながら、青天のへきれきというのはこういうことを言うのだろうなと思いながらお話を聞いた記憶がございます。全く想像もしていませんでしたし、それから重い責務であることは承知していましたので、正直、どうしたらいいだろうというのが、そのときの率直な感想ではございました。一方で、「人の一生は重い荷物を負う」という言葉もありますので、指名された以上は期待に応えるべきだろうと、人生とはそういうものだろうと覚悟を決めて進むしかないと思っていますのが、その後の心境でございます。
それから、若返りを進めるかどうかという点でございますけれども、もちろん若い社員のいろいろな意見には、しっかりと見るべきもの、取り入れるべきものがありますので、そうした意見は積極的に取り入れたいと思います。一方で、自分より年上の者たちをどうするかということでございますけれども、私自身、やはりさまざまなところで足りない部分があろうかと思います。これまでの経験をやはり当グループとして生かしていくことが重要ですので、チームとして最大限何が良いかということ、一律に年齢でどうこうということではなく、むしろ経験を十分積んだ方に引き続き重要な職務として担っていっていただきたい。そこはバランスを取りながら、個別に考えていくべき話と考えているところです。
- 【小池常務】
- 私も3月にこのお話をお聞かせいただいたときには本当にびっくりしました。のけぞったと言ってもいいぐらいびっくりいたしまして、言葉も出ないぐらいでした。しかしながら、こうなったからには、やり切る覚悟と強い意志を持って、今大変な時期ではございますけれども、日本郵便というこの巨体を何とか成長路線に乗せていかなければならないのだと腹を決めたわけでございます。
昨年の6月25日に近畿支社長に赴任しておりますが、千田社長が就任して1年間は本社で一緒に仕事をしておりましたから、いろいろな動きについて、私自身も一緒にご意見を申し上げながらやってまいりました。その後、支社の立場で本社を眺めたり、あるいは現場近くということで、そちらのほうにのめり込んだりしておりましたので、まだ6月までは時間がございますから、この間、いろいろな最近の動きを再度キャッチアップしながら備えたいと思っております。
若返りをするかというところにつきましては、先ほど根岸も話したとおりだと思いますが、適材適所でやっていきたいと思っております。もちろん諸先輩、それから若い社員、いろいろな知見を持って努力をされてきているということは事実でございますし、やはり日本郵便は人で持つ会社ですから、そういった中での幹部はしっかりと知見や見識のある方がやっていただくというのが妥当だと思っているところでございます。以上でございます。
- 【記者】
- すいません、補足でお伺いしたい。根岸さんと小池さん、3月に聞かされたということですけど、28日の指名委員会が終わった後に話をされたという、そういう理解でよろしいのですか。
- 【根岸常務】
- 指名委員会の前に、検討いただいているというような意味でお話を聞きましたので、事実上、そのときにはそういうことがあり得るのだろうと思いましたので、3月の指名委員会より前のタイミングの話でお答えをしたものでございます。
- 【記者】
- それ、増田さんのほうから伝えられた。
- 【増田社長】
- 私から。彼を呼んで、直接言いました。3月に入ってからです。ちょうど6月下旬が株主総会なので、3カ月以上前にちゃんと伝えておかなければいけないと思い、3月に入って本人に直接伝えました。指名委員会のほうは、手続き的には3月28日となります。ただし、もう既に指名委員会も含めて、全部レールに乗せた上での取り扱いということになります。
- 【記者】
- 小池さんも同じタイミングだったということでよろしいですか。
- 【小池常務】
- 私も、報道発表の後というよりは、それより前にお聞かせをいただいたということになります。
- 【記者】
- 本日はありがとうございます。2点ありまして、1点目が増田さんと根岸さん、2点目が根岸さんにお願いします。1点目が、自民党のほうで郵便局網維持のための支援策、その他いろいろ検討、法律が検討されていて、その内容というのが、結果、落ち着きどころとしては微妙ですけども、ある種の官業としての郵政を維持するかのような内容に見受けられる内容になっていると。こういったものを日本郵政の立場として、増田さん、根岸さんはどう受け止めてごらんになっているのかというのをお聞かせいただきたいのが1点目です。2点目に関して、根岸さんに、2万4,000の郵便局網、これを活用した事業ということで、増田さんが共創プラットフォームということで打ち出して取り組んでこられました。今後は、ますますこれの具体化、具体策というのが求められる局面に入ってくると思うのですが、考え方で結構ですので、どういったものを強化して、この共創プラットフォームの具体化を図っていきたいと現時点で考えておられるのか、ここをお聞かせください。
- 【増田社長】
- まず、私のほうから、法案についての受け止めですが、そもそも今の民営化自体も、自民党のみならず、それをワンイシューで総選挙を戦ったぐらいですから、政治の大きなテーマの中で国論を二分というか、結局は自民党が圧勝しましたけれども、そういう中で成立したということになります。今、内容を見ますと、その民営化の道筋が、当分の間ということになっていますけれども、持株会社がしばらく金融2社の株を持つということになっていますので、変わってきているという印象はございます。しかしながら、これもどう考えるかは、最終的には立法府の考え方であるので、それにのっとった上で会社経営を進めていくということかと思います。再三申し上げていますが、やはり重要なことは、特に当グループの金融2社がどれだけ規制の緩和によって、自由度を高められるか。私の在任中に2分の1まで持株会社の保有割合を下げましたので、上乗せ規制が認可から届出に変わってきておりますけれども、まだ、それだけでは私としては不十分と考えておりますので、今回の法案の中に、そういった部分をより強く入れていただく必要があるのではないかと思います。ほかにもいろいろお考えになっているところもあるようですが、今の国会の状況を考えれば、自民党だけではなかなか法案が成立をしないと思います。各党とこれからお話をされていくのだろうと思いますが、いずれにしても、どういう資本構成割合にしていくのかというのは、やはり政治の、立法府のほうで決めていく話だと思っておりますが、重要なのは、会社として金融2社の規制緩和がその中でしっかりと位置付けられるかどうかということです。ぜひ位置付けていただきたいと、それが最重要かと思っております。
- 【根岸常務】
- まさに今、増田社長の答えと重なりますけれども、立法府でこれだけ議論されている話ですので、むしろ私としては、それを踏まえた上で、グループ全体としての企業価値をいかに上げていくか、ここが与えられた責務だと思っております。したがって、企業価値を上げるという意味では、やはり事業のいろいろな規制がありますと、そこがなかなか動きづらい部分がございますので、そうした点でいいますと、金融2社の規制を緩めていただくことというのは、これは企業価値を向上させるところの部分の大きな要素になり得ると思っております。そういった点についてお願いをしたいと思いますが、いずれにしましても、立法府でこれだけ議論されている話でございますので、その議論を踏まえた上で、最大限企業価値を上げることに尽きると思います。
そのこととやや関係しますけれども、まずは2万4,000のネットワークという意味では、特に支社長の経験で申しますと、まず一義的には、やはり地方の自治体から、もう少し郵便局をいろいろと活用したいといった声は、これは多くの市長さんなり町長さん、村長さんからお聞きしております。面として、これは一つの取っかかりとして、多分、広がることができるだろうなと思っております。この上にそれぞれ地域の中、特に地方のほうになりますとコミュニティーを支える担い手が少なくなっていますので、そのようなところで郵便局の支援ということでできる部分もございますけれども、これもまた都市部と違った部分がありますので、先ほど申し上げましたように、面では自治体との連携をいかに進めていくのか、それを足掛かりにして、それに地域ごとの実情に応じて、ここは地方ごとの創意工夫の中で、ただ、創意工夫ができるような体制はしていきませんと、それぞれ自主性を発揮できませんので、そんな基盤づくりに取り組んでいきたいなと考えているところです。
- 【記者】
- ありがとうございます。手短に、すいません、増田さんに1点だけ確認で。先般の全銀協、半沢会長の会見でも、巨大なまま郵政の金融2社が規制緩和によって力をつけることというのは、やはり民業圧迫につながる旨の趣旨の発言がありました。こういった民業からの反発に対してはどうお答えになるのでしょうか。
- 【増田社長】
- この時代の変化の中で、メガバンク、地方銀行、信用金庫などが郵便局を、事業の一つの拠点として使うような動きがございます。これは人口減少だとか過疎化の進展の中で、彼らのほうも、むしろ郵便局を使ったほうが有利と考えるところも増えてきているのが実情だと思います。私は、銀行業界と張り合って郵便局が預金を取り合うような時代ではもうないと思いますので、できるだけ役割分担をしながら協調していく。実際に、地域に行きますと、いろいろな金融機関が撤退して、年金の受け取りは、もう郵便局のみというところも随分広がっています。これから急速にもっと広がっていきますし、おそらく役割分担をこれからしっかりと考えていきながら進んでいくということが必要です。私どもも先ほどから規制緩和などと言っておりますけれども、銀行なりそういう既存の金融機関同士で、いろいろなお客さまを取り合う時代ではないと思います。
- 【記者】
- よろしくお願いします。1問目は増田さん、2問目は新しく社長になるお二人に、ちょっとお伺いできればと思います。不祥事の関係です。不祥事が、この5年間、相変わらず止まらない理由について、ちょっと改めて増田さんの考えをお伺いしたいと思います。この間、いろいろな不祥事ありましたけれども、そのたび、調査、あるいは処分の不十分さというのが指摘されてきたかと思います。特に、郵便局の顧客情報が郵便局長会の政治活動に流用された問題のときにはですね、総務省の有識者会議で専門家からも、かなり批判が相次ぎましたが、そのとき、増田さんは、見解の違いだといって調査打ち切りを容認しておりました。こういう不正の調査とか、その真因分析の不十分さみたいなことが、今、現状とつながっていることはないでしょうか。これが1点目です。
関連して2点目、新しい社長になるお二人は、この1年、2年、支社長として現場を見てこられたわけですけれども、この1、2年の間にも、新たな法令違反の不祥事というのが出てきて、それはまさに近畿支社はじめ、現場で、しかも外部から指摘されるような形で出てきたものだと思います。ご自身たちの、なぜこういうものを見抜けなかったのか、それから支社長としての責任、それから今まで変えられなかったものが、これからどう変えていこうと思っているのか、そこのあたりをお二人に聞かせていただければと思います。
- 【増田社長】
- まず、1点目の関係です。今、不祥事がずっと続いているのではないかと、これは事実関係としてそうだと思いますが、それに至った原因などについては、多少、その事柄の性格によって違っている部分があるのだろうと思います。今、ご指摘をいただきました不祥事のときに、私どもとしても調査や、関係者からのヒアリングなど、日本郵便で行える範囲で、行えるところは尽くしたと思います。
もちろんさらにもっと大がかりな委員会などを会社で作るかどうかの話はあろうかと思いますが、事柄に応じた調査は、それはそれで実施して、その真因を明らかにしてきていると思っています。
ただ、先ほど申し上げました内部通報制度などを整備することによって、社員の皆が見聞きした違反になるであろう事案について、かなりグレーなものも含めて、しっかりお知らせをいただけるようにかなり丁寧に慎重に作ってきたつもりでありますけれども、十分にそういったことが活用、ないしは抑止力に働いていない部分があるのかもしれないと思っております。非公開金融情報の関係については、原因などについて、かなり真因分析も含めて明らかにしたと思います。その再発防止策は練ったことになりますが、まだ、今現在調査中の点呼の問題、これはこれでまた違う原因があるのだろうと思うのですが、そこはまだ今、調査中でございます。
基本、こういったものが、やはり一人一人の仕事に当たっていく考え方だとか、お客さま本位というところを、どこまで全員が理解して進んでいくかということかと思います。2019年のかんぽ生命の不適正募集ですが、あそこまでのものはもう二度と繰り返さないような仕組みづくりはできていると思いますけれども、今回の非公開金融情報については本当に痛恨の極みであります。これについては、再発防止策が十分ではなかったと思います。それから、郵便局長会の関係です。郵便局長会は任意団体ですので、私どもの調査の限界もありますが、ただ一方で、郵便局長は私どもの社員ですから、当然、さまざまな社内ルールに従って仕事をしてもらわなければいけないということになります。そういう社内ルールの徹底は基本中の基本ですので、これは新しい経営陣にもぜひ、その点について徹底し、考え方をしっかり引き継ぎながら、取り組んでいただきたいと思います。
- 【根岸常務】
- ご指摘のとおり、支社長在任のこの1、2年でもいろいろな不祥事件がございました。改めて私なりに考えてみますと、例えば、かんぽ生命不適正募集の問題が起こったとき、その問題は改善するようにしましたけれども、根本のところでちゃんとやろうという考え方が、ほかのものはどうなのかというところが、きちんと浸透していないのだろうかと思ったところでございます。
例えば、研修や改善計画を実施しておりますけれども、その時点では、そこは是正をされたとしても、また別のところで起きるというのは、やはりそのやり方なり何なりに不十分なところがあったのだろうということです。ですから、単に通り一遍の研修ではなく、その考え方の基本的な部分まで本当に理解できるような、単に聞くだけではなくて、自分なりに考えて行動するような、そういうところまでの研修を繰り返し行うことが必要です。リスク意識やリスク感度を上げるといっても、本社だけがリスク感度を上げていても、例えば、郵便局や社内でリスクが分かったときに、それが一つの事象だけではなく、もっとほかにもリスクがあり得るのではないかというようなところまで考えるような感覚、対症療法ではなく、普段からそういうことを念頭に置きながら仕事をするような、そういったところまで考え方や仕事の進め方を変えていかないと問題は無くなっていかないと思います。
さらに、これまではどうしても何かありますと、では、郵便局なり何なりしっかり点検しようと、これで終わっていたわけですけれども、むしろこれですと、やはり何らかの問題が起こるリスクはありますので、例えば、可能であれば、システム的な担保を行うということも並行して進める。こういったことをトータルでやったときに、まだまだ不足分もあるのかなと思っています。
内部通報制度とか、そういったものについての枠組みはだいぶ整理されてきてはおりますけれども、その通報を受けたときに、リスク感度を上げてより幅広い形で、より早めに手を打つ、こういうところについてはまだまだ不足な部分はあろうかと思っております。
支社長としての責任でございますけれども、今現在進行中で調査されている部分については、まさに真因などについて調査しているところでございますので、その中で整理されれば適切な対応をとっていくことだと思っておりますし、今回、私が指名された理由を考えますと、まさに支社から見たときの本社の足りない視点ということになりますと、今申し上げたようなところがかなり不十分なところと私なりに理解をしてございます。それを別の立場でしっかりと是正すること、これが与えられた責務だろうと思っております。
持株会社の立場ではありますけれども、一義的には日本郵便ということで任せきりにするのではなくて、そこは持株会社としてのモニタリングなり、検証なりでしっかりそれをグループとして定着させること、これが責務だと思っておりますので、しっかり取り組んでいきたいと考えているところです。
- 【小池常務】
- まず、支社長として、近畿支社が外部からの指摘を受け、報道によって点呼不備の問題が拡大してきているという事実は重く受け止めております。どうして見抜けなかったのだろうという思いです。いろいろ問題が起きて、例えば、かんぽ生命の不適正募集、あるいは、非公開金融情報など、これは本社がその解釈を正しくできずに現場に迷惑をかけたということですけれども、それとは違った意味で起きたのが点呼の話だと思っております。
もちろん日常にこういうことをしなければいけませんという教育訓練はしているわけですが、ある意味、法律を守るということは当然のことですので、それが当然できているということの上に、いろいろな研修ですとか指導というのが成り立っていったのではないかというところを見過ごしてしまったのではないかというのが私の今の個人的な見立てです。
もちろん今、調査を進めておりますから、軽々なことは全体としては申し上げられませんけれども、少なくとも近畿支社管内で点呼ができていなかったという事例が起きていたというのは事実でございますから、なぜ分からなかったかというふうに問われれば、今、申し上げたようなことかと思います。
そして、責任をどう考えていくかということですが、当然、当該支社の支社長でございます。それはいつ始まったというのは分からないにしても、現時点で私の配下にある社員がしっかりとやれていなかったということには、当然私に責任があると思っております。
じゃあ、どう変えていくのかという点につきましては、ここは冒頭でもコメントさせていただいた点、2点ございまして、1点目が、現状の把握というところ、2点目は意識をどうやって、もっとやっていけるようにするかというところです。
1点目につきましては、何が起きているのかというのを、例えば、点検をして、帳簿につけて、はいできていますと、それも、点検していないのにしたことにして、とにかく調べに来るから様式だけ整えていけばいい、という意識がもしかしたらあったのかもしれない。でも、そうではなく、人の手だけではなく、例えば、近畿支社を含め全国的にですが、カメラに向かって点呼が必ず映るようにしなさいという指導を行っております。あるいはタブレットを配備して、特に小さい局については、点呼を行っているところを受け持ちの局でも分かるように、見えるようにするというようなことを個別に始めております。そういったことを行いつつ、より進めて、例えばアルコールチェッカーを吹けば、それがシステム上反映されてちゃんとリストになる、あるいは管理職のパソコンで見られるというようなそういう仕組みができないのかなど、人手だけではなく、システム化も含めて、そういった対処ができないかということは、投資対効果の面もありますが検討の余地が大いにあるだろうと思っております。それが実態として何が起きているかというのをしっかりと把握するというのが1点目です。
2点目は、意識の問題です。こういった不祥事が続いているというのはご指摘のとおりでございますので、全体として私どもの会社が何を目指して、少なくとも何を守った上で何をやっていかなければいけないのか、ということを再度原点に立ち戻って、それを日々の業務にどう生かすのかということを、本社役員をはじめ支社の幹部、それから郵便局長、社員の皆にどう浸透させていくのかということをもう少しやらないといけないと思っております。いろいろな仕組みが、先ほど根岸からお話があったとおり整いつつあるので、そこに魂を再度入れ直す、あるいは別の形でもう一回、その意識を喚起するというような取り組みをしなければいけないのではないかと私自身、近畿支社長という立場と次期社長候補という立場の両方から考えております。そういった点はどうやって具体化できるかということを引き続き考えてまいりたいと思っております。
- 【記者】
- ありがとうございます。重ねて増田さんにもう1点、今、小池さんや根岸さんがおっしゃられたことは、これまで増田さんが割と早い時期からですね、魂を込めることも含めておっしゃってきたことであるのではないかとお聞きしていて思いました。そして、2020年9月には、お客さまの信頼回復に向けた約束というのをなさっていて、ここで法令ルールの順守、顧客本位の事業運営というのを約束したかと思うのですけれど、この約束は、結局、今、果たされているのかどうか、果たされてないとしたら、いま一度それはなぜなのか、それからこれはいつ、これから実現できるのか、そのあたりをちょっと増田さんにいま一度整理していただけますでしょうか。
- 【増田社長】
- まず、やはり、乱れている組織風土をきちんと正すという、トップとしての強い意志がこういう場合必要です。また、絶対これだけは、どんなことがあっても守るというビジョン、それは、私はお客さまの立場に立つということだと思います。必ず、全員がお客さまの立場に立って、お客さまの利益を守るということ。これが二つ相まって、それも、安心して緩むことなくやり続けることが、徐々に組織風土に浸透し、強い堅牢な組織になっていくのではないかと思います。
そういう強い意志を持って自分なりにはやってきたつもりです。自分のことですので、皆さま方が評価していただければいいと思いますが、なかなか結果として十分に社員に伝わっていないところがあるかもしれませんが、とにかく私どもは常にお客さま本位で行動していかなければいけないということは繰り返し、さまざまな場面で言ってきたつもりではあります。
特にかんぽ生命の不適正募集の場合は、典型的なものとして、高齢者の方に相当な無理をして、一方の契約を解約させて違う保険に乗り換えさせるような、全くお客さま本位とは真逆のことを平気で行ってしまいました。年配のご両親がいた社員などは多分良心の痛み、何らかのものを感じたのではないかと思いますが、このような事例が現実に行われたわけです。ただ、当グループが150年を超える歴史を持って存続できてきたということは、やはりお客さまのために雨風の中でも確実に信書をお届けしようとか、そういう強い意識があったからだと思います。
それが、もし、いろいろな金融商品が入ってきたり、仕事の複雑さの中で少しずつ薄れてきたりしたのであれば、これは大変なことで、そこをもう一回ちゃんと原点を取り戻そうということで、コミットメントというか、原点に返ってもらおうということだったと思います。
私は2020年、2021年と実際にはコロナで実は現場にあまり行けなかったのですが、いろいろ話を聞いていると、確実に社員の反省の意識が高まってきていると思っていました。ただ、ここには落とし穴があって、今言ったようなことは少しでも油断すると駄目で、常にさまざまなやり方で見ておかなければ、いろいろな意識改革を行っても、すぐ陳腐化してしまいます。安心した途端に絶対駄目になるということかと思いますので、その点は、十分にお約束できていなかったのは事実です。保険商品のコンサルタントたちは今回、今のところはあまり大きく関わっていませんけれども、ほかの仕事をしてきた社員に十分そういう意識が浸透していなかったこと、あるいは会社の中であるところが問題となっているのを脇から見て、あまり自分事として見ていなかった社員もいるのかもしれません。
やはり、まだまだ不十分であり、もっともっと徹底してやるべきというのは大いに反省点です。これから酌み取れる教訓はさらに酌み取ってまいります。非公開金融情報は主に窓口にいる社員に対して適切な個人情報保護の奥深い考え方を十分徹底し切れてなかったということで、個人情報の問題は今後もずっと付きまとう話だと思いますので、ずっと伝えていかなければいけないと思います。
申し上げたいのは、私は前よりそこが一段上がっていると思いますが、十分ではないですし、しかも一段上がったと思った途端に崩れるような性格のものです。今回新しい経営者に代わりますけれども、今回のことを教訓に、また自分流に言い続けてほしいと思います。
- 【記者】
- 増田さんと新社長のお二人に質問お願いいたします。郵便局のネットワークを例えばどう維持するかとかですね、もしくは整理再編していくのかなど、さまざまな課題がある中で、われわれのような外野から見て政治もそうなのですけれども郵便局長会の存在、例えば権力みたいなもの、そういったところがですね、経営がなかなか踏み込めない、ガバナンスをきかせることが難しい組織の深い要因ではなかったのかというふうに感じることがあります。今後はこうしたある意味、業界のタブーというか、しがらみというのか、複雑な構造を、変えていかないと、抜本的な改革っていうのは難しいようにも感じてしまうのですけれども、こういったところ、増田さん、どういうふうに考えてらっしゃったのか、新社長のお二人はどうやって構造を変えていけばグループの良い方向に向かうのか教えてください。
- 【増田社長】
- まず、郵便局ネットワークで、地方と都市部ではネットワークの価値や意味合いが大きく違うのではないかと思います。地方のネットワークは、いろいろ言われますが、やはりそこがなくなると本当にリアルの拠点というのがなくなってしまいます。むしろ、郵便局で取り扱う仕事の内容をもっと拡大していくということが必要になりますし、地域の自治体もその方向を期待しています。
一方で都市部のネットワークというのは、金融関係の仕事であれば、周辺にかなり多くの代替の金融機関が存在する場合が多いです。東京都内などは特にそうです。それから、公的な証明書の発行なども、既にコンビニがかなり取り扱っていますので、そういうところは人口構造が今後変わっていく中で、在り方を考えていかなければいけないと思います。 その意識は、多くの郵便局長が来局者数を見て如実に意識しているところではないかと思います。来局者数の減少など、昔に比べて、時代の変化は実感として分かっているところではないかと思います。しかし、そのことが本当に今後の経営をどうするかというところで顕在化してくるのは、正確にはもう少し先になるのではないかと思います。地方のネットワークは維持的なコストがもちろんかかりますが、都市部に比べると、だいぶ少額です。社会の中での郵便局の役割を考えると、都市部の郵便局をこれから本当にどうしていくのか。昔は路面店でしたけど、ビルの2階、3階に上がって使い勝手が悪いけれども借り賃はかなり高いようなところが出てきています。
そういった社会情勢の変化に対応するため、双方が率直に冷静なデータに基づいて話し合っていくことが必要です。それについての双方の合意というのは、私が在職している間はまだまだ不十分で、今後の大きな課題になると思います。多分、先に進めば進むほど、そのあたりの数字は顕著になってくると思いますが、それは、地域、周辺の利用者たちの声も十分反映しなければいけません。配置の場所をいろいろ考えて、相当な仕掛けをつくっておかないと実現はしません。最近はいろいろな買い物をする上でも、そういう拠点的なものが地方にもだいぶできているので、そこに郵便局を移すとか、町中の拠点的な所に、お客さまの利便性を高めて郵便局も一つの拠点になるとか、町づくりの中での話ですので、私は社内だけではなくて周辺の自治体を巻き込んで、これからそういうビジョンをつくっていくことが大事だと思います。当グループだけではやはりなかなか、そういったところを進めていくのは難しくなってくると思いますので、少し大きな仕掛けをこれから考えていく必要があるのではないかなと思います。
私の在任中に、何とかぎりぎり間に合いましたけど、主に過疎地の郵便局で、買い物支援や遠隔医療などのものには特別交付税が入るような財政支援の制度ができました。郵便局長や私ども経営陣だけで考えるのではなくて、もう少し地域に広げて、置き換えていく仕掛けをもっとつくっていく必要があるかと思いました。私のときにはそこまで出来上がっていませんし、途中でコロナなどもあり、そういった仕掛けはつくれませんでした。社人研から新たな人口減少の数字に関する資料が随分出てきていますので、ぜひそういったものをベースにして、自治体も入れて、議論を進めていくことが大事かと思っています。
- 【根岸常務】
- 郵便局のネットワークにつきましては、先ほど申し上げましたように、自治体の皆さま、地域の皆さまからいろいろなお声がありますので、それをどうやって活用していくかという方向をまず考えることが重要だろうと思っています。
その中で、郵便局長は、やはり地域の状況をよく把握している、これは事実です。郵便局長は当然社員ですので、密にコミュニケーションを取っていく必要があるのだろうと思っています。事実、支社長としても多くの郵便局長とコミュニケーションを取ってきたと思います。もちろん同時に、会社の社員ですので、ちゃんと会社としてのガバナンスを守っていかなければなりません。必要な指示、指導は行っていく、これは当然のことだと思っています。
したがいまして、そういったコミュニケーションの結果として、いろいろなことを議論していけば良いのだと思いますけれども、ここについては、まず、申し上げましたように、いかに郵便局を活用していくかというところから、真摯に話をしていくことが重要だろうと思っています。いずれにしましても、地域の中で郵便局を役立てていきたいというのは一緒ですので、そこから一歩一歩始めていくものと思っております。
- 【小池常務】
- まず、郵便局ネットワークを生かしていくという観点で何ができるのかといったところが今、考えるべき課題なのだろうと私は思っております。近畿支社に出て、改めて私も体感したところです。近畿支社は大阪など大きな都市部から地方部まで2府4県、約3,000局ありまして、先日も、その中で本当に小規模な郵便局へ行きました。その郵便局は本当に地元において果たす役割というのがあるわけです。ではそれと、今後のネットワークの在り方として、郵便局長会をどうするのかというところは、郵便局長も日本郵便の社員でございますから、いろいろなコミュニケーションを取り、意見を聞き、そのガバナンスを利かせていくことは当然会社としてやっていくべき話でございます。
郵便局長会がどうかというところはもちろん会社としては一義的には関知はしないわけですが、郵便局の局舎の在り方、ネットワークの在り方といったところは、地元の郵便局長というのは、本当に地元において、いろいろな人脈もあるわけなので、そういったところはよくよく意見交換をしながら、その土地ごとに合わせた郵便局の活用の仕方、買い物支援といったところもありますし、遠隔医療が具体化をしている地域もございますから、そういったニーズを地域ごとに伺いながら、郵便局のネットワークの価値を高めていくという必要があるのだろうと思います。
- 【記者】
- 新社長お二人には、支社長をご経験されたというところで、現場に近い場所だと思いますので、そこで本社にいなかったときに発見した、新たな、何か、どちらかというと、いいことのほうがいいと思うのですけども、何か発見されたことということで、例えば、次期中計に盛り込んでいきたいような何かがもしあったら、イメージでもいいのですけれども、お話しいただきたいのと、あと、増田社長と千田社長様には、本当にかんぽ生命の不適正募集問題のときから、特に千田社長様は、当時、かんぽの副社長のときからものすごくご苦労されて、ここまでやってこられたのだと思うのです。もちろんガバナンスという意味では、もしかしたら、私が言うのも生意気なのですけど、途中なのかもしれませんけれども、改善された部分というのも多分たくさんあったのじゃないかなと思っていますが、逆に、お辞めになられるお二人の社長様には、この5年半というか、つかんできて、こういう部分は逆にすごく改善されたから残していったほうがいいとか、また、ビジネスでも物流でも何でも、これはぜひ次期中計に入れたほうがいいとか、何かそういうような、残しておきたいというか、よくなった部分みたいなところで、ちょっとお話しいただけたらと思います。
- 【根岸常務】
- やはり支社におりますと、いろいろな郵便局を回ることができまして、東海地方とはいえ、過疎地ですとか、あるいは離島の郵便局などもございます。そういう郵便局を回っていますと、単に周辺のお客さまの数が少ないとかというだけではなく、いろいろなところで、自治体から、こういうことを郵便局でやってほしいだとか、農協さん、漁協さんが撤退をしてしまって郵便局しかもう残っていなくてと、唯一そこが、金融や郵便を受け付ける場所だとか、物流などの拠点になっていると。こういうことが実体験として得られたというのは、非常に大きな機会だったなと思っております。
したがいまして、こういった点については、それをどのような形で中期経営計画の中に織り込み、かつ、その収益性とのバランスを取っていくのかということは、非常に大きなテーマだろうと思っております。
それから、もう一つ、3月に名古屋で「ズッキュン♡郵便局」、これは日本郵政の施策でありましたけれども、東海4県の社員に参加してもらいました。結構、楽しそうに社員が動いていました。従来と同じような郵便のサービスであっても、視点を変えてやると、お客さまだけではなく社員も楽しそうに、あるいは、そこからいろいろなアイデアが出てくる余地があるのだなと感じました。そういった、地域の皆さまのお役に立てること、あるいは社員が生き生きと活躍できることが、やりようによっては、まだまだできるのではないかと、実際に体験として感じられたのは、この2年間、非常によかったことだと思っております。
- 【小池常務】
- 私からは、支社長として経験した中で発見した点について2点申し上げたいと思います。
1点目は、郵便局の価値、魅力を向上したいとかねがね思っており、それは千田社長も今、旗を振られておられるわけですけれども、とりわけ、ユニバーサルサービスというのは何なのか、ユニバーサルサービスを果たす意味、重要性を実感することができました。私も、近畿地方の山が険しい離島に行きまして、4輪の車で行けないところは、2輪で重たい水の荷物などがあれば配達に行く。1回で少量の荷物しか運べないので、繰り返しピストン輸送するような。それも渡船で渡って配達をするのです。そこまでやっているので、お客さまに大変喜ばれている、そういう姿を間近に見ました。当然、その郵便局だけ、そういうことをしているわけではないわけです。
しかしながら、私どもは、特に荷物は全国で競合相手もいながら行っているわけですから、どうやって採算を取っていくのか、そして利益を出すのか。冒頭申し上げましたように、荷物収益、利益の拡大をどう図るか、必要な投資もしながらやっていきたいと思っていますが、その点の深掘りというのは、やはり私の一存で中期経営計画が決まるわけではもちろんないので、重要な柱の一つになるのではないかと思っています。
2点目は、自治体との関係です。これはもう、先ほどから話が出ておりますけれども、いろいろな郵便局に対するニーズがあるというのは、自治体の方とお話をするとよく分かります。それを結局、まだ生かし切れていないのではないかというのが、短い期間ですけれども私が近畿支社で感じたことです。ですから、ニーズをお聞きしながら、郵便局がせっかくあるのですから、もっとうまくご利用いただければ、といったところを議論していきたいと思います。何を具体的に一緒にやるのか、郵便局が持ち出しということではなくウインウインで行うことを理解してくださる首長さんもいらっしゃいますので、それをどう具体化していくのか、買い物支援や遠隔医療のみならず、いろいろな分野であるのではないかなと思っております。
- 【増田社長】
- 私から、ぜひ残しておいてほしいこと、あるいは私がそれに向けて取り組んだことを申し上げます。就任当初、かんぽ生命の不祥事の嵐が吹き荒れていました。日本郵便、かんぽ生命、それからゆうちょ銀行も、実は投資信託の販売でいろいろ問題が起きていましたので、率直に言って、お互いの会社に対しての不信感が相当高いなと思いました。
一方で、お客さまから見ると、やはり郵便局の脇にゆうちょ銀行があるわけですが、同じ局舎に入って一体になっています。ですから、お客さま視点で見ると、全体として一つの郵便局と見られています。資本関係が今後、だんだん株の売却で薄れていくであろうということも相まってかもしれませんが、非常に一体感が失われ、ばらばらになっていたように見えたものですから、グループ一体ということを特に強調しました。すでに申し上げましたように、金融2社の株の売却は進めてきましたけれども、むしろ、お客さまから見て、当グループのそれぞれの価値が合わさることが、より企業価値全体の向上につながるというところを、繰り返し、経営陣トップ4人集まる場で話すとともに、現場にもそういう意識を、より徹底させてきたつもりであります。
銀行法と保険業法、よって立つ法律が異なりますので、どうしてもそれぞれの規律が若干違いますけれども、それを超えて、グループ一体的な価値向上を図らないと、グループとして生きていけないと私は思います。ただ、そこで重要なのは個人情報の問題をちゃんと理解すること。その上で、同意をいただいているお客さまには、より幅広くさまざまな商品を、資産形成などでお勧めできるわけですから、これからも、グループ一体的な価値向上を、しっかりとルールを守った上で、進めていくことにぜひ知恵を出して考えていただきたいと思います。
- 【千田社長】
- かんぽ生命の不適正募集のときも、かんぽ生命はやはりお客さまと接する人たちが少なかったということもあって、そのときは日本郵便の社員であったコンサルタントにかんぽ生命へ全員出向してもらう形で、かんぽサービス部という部署をつくりました。やはり私どもが、現場目線といいますか、働いている人たちが、お客さまとどう接しているのか、そこがどんなに大事なのかというところを、分かるような会社になれたという意味でも、本当にやってよかったなと思っています。
日本郵便に来ても、やはり郵便局というところが全ての原点であって、生産拠点でもあります。そこが本当に私どもの、当グループの一番大事な部分です。そこに本社や支社が指示を出して、「自分たちの言うことを聞きなさい」ではなく、どうやったら郵便局が一番活躍できるかということを、本社・支社がしっかりタッグを組んで取り組んでいくということを実現するために、いろいろなコミュニケーションの改革にも取り組んできました。そこはぜひ、本当に魂といいますか、そういうものをしっかり、まだまだ半ばだと思いますので、植え付けていっていただきたいと思います。特に、社員は今、不祥事などいろいろあって、本当につらい思いをしているかもしれませんが、ほとんどの社員が本当に真面目に一生懸命、お客さまのためにということで頑張っています。管理者も、そういう人が本当にたくさんいます。そういう社員をしっかり元気づけて、モチベーションを上げて、自分の会社に誇りを持って動いていけるようにすることによって、私どもの会社の力が出てくると信じています。社員を大事にし、管理者も大事にして、ESなくしてCSなしと言いますけれども、社員が満足できるような、そういう会社になっていってほしいと思っておりますので、そこはぜひ新しいお二人に引き継いでいっていただきたいなと思っております。
- 【記者】
- 増田社長と根岸さんにお伺いしたいのですけど、最初は増田社長にお願いします。24年にグループ内から登用するということをお決めになって、25年の3月に直接、根岸さんにお伝えしたということだったと思うのですけど、これを根岸さんに決めたのはいつだったのかというところと、そもそも例えば、グループ内で登用しようとしたときに、もう根岸さんというのが頭の中にあったのかというところと、あと、そもそもグループ内で探るにしても、多様な人材がいらっしゃると思うのですけど、この根岸さんを選んだ理由、先ほどもいろいろ語られましたけど、改めて教えてくださいというのが1点目です。
- 【増田社長】
- 根岸に決めたのは、昨年の暮れです。情報管理の関係がありますので、その時点ではもちろん本人にも伝えていません。6月の末の就任ですから、それはしかるべき時期にということですが、指名委員会の中でいろいろ適格者を絞っていって、昨年の暮れにはもう、書類審査なども含め、候補者を絞っていましたので、やはりここは大幅な若返りという要素の中で、ほぼ決めていたという状況でございます。
- 【記者】
- 決め手のところは。
- 【増田社長】
- 決め手については、やはり時計の針を進めて、大幅に若返りをし、多様な人材を登用していくということです。若返りだけではなくて、先ほども根岸からも申し上げましたけれども、いろいろな経験を生かすということが大事だと思います。トップは若い人間で、社内にはさらに下に大勢の資質のある人たちがいます。根岸は今、54歳ですけれども、ゆうちょ銀行の笠間社長は今51歳だったと思います。小池は56歳です。そういう人物が先頭に立って、年齢だけではなく多様な人材が、一つのチームとしてやっていくべきということで、根岸が適任だと考えました。
それと同時に、あるいはそれ以上かもしれませが、支社のトップを経験しているというのは、私としては大きなポイントとなりました。支社には、何でも本社が決めたことをやるだけという人もいますが、支社長になれば、それはそれで自分が最終的な責任者として、いろいろなことについて苦渋の決断をしていかなければなりません。これまで残念ながら、支社長、地域の最終責任者として実務をとってきた人が、本社の中枢にいることは、実は少ないものでしたので、2人とも支社長を経験しているというのは、非常に有力な要素として、ほかの指名委員の人たちにも申し上げました。
- 【記者】
- 根岸さんにお伺いしたいのですけど、先ほど役員人事の話もちょっとありましたが、日本郵政という会社、そもそも、やはり年功序列というところが結構大きいテーマとしてあって、増田社長がこの大きい、大幅な若返りというのも、ある意味、そういうところを変えたいというところの思いもあるのかなと思うのですけど、一方で、やはり若返りをするっていうときに、ご自身より上の年次の方々を、じゃあ、全部排除するかっていうと、そういうわけにはいかないと思うのですけど、実際、じゃあ、そこを処遇するってなったときのマネジメントの難しさというのもあると思うのですけど、このあたり、どのように対応されていくお考えか、教えてください。
- 【根岸常務】
- 私が常務になりましたのも6年ほど前でございます。そのときも、郵政省に入った年次でいいますと、自分より先輩の人に部下として仕事をしていただいたこともございます。プライベートなときは敬意を払うとか、そういったことはもちろん良いと思いますけれども、やはり仕事ですので、ちゃんとした対応をとってきたつもりです。今後も、自分より年次が上だからといって、仕事をその処遇としてしっかりとやっていただければいいし、単に、何か充て職みたいに、何か仕事をやらなくても、そのポジションにしますというのは、組織としておかしな話です。したがいまして、適材適所、多様な人材という意味では、別に自分より年齢が高い低い、これは全く関係ないことだと思っています。
- 【記者】
- ちょっとさまつな質問で、最後ちょっと恐縮なのですけど、発表されてから、実際何日かあいてからこういう会見をされていることになっていると思うのですけど、このあたり、何か理由があればお伺いしたいなと思うのですけど。
- 【増田社長】
- 特に理由などはありません。3月28日に、指名委員会から取締役会に報告がありました。同日夕方に公表いたしましたけれども、それから記者の皆さまを招集するのはあまりにも夜遅くなるということがございました。土日を挟んで、月曜日は3月31日で年度末とこともあり、加えて根岸と小池は支社におりました。4月1日は入社式などがあり、できるだけ早くこの会見の場を持ちたいとは思いつつ、そういう物理的な事情もあり、今日にさせていただいたということでございます。
- 【記者】
- よろしくお願いします。増田社長に質問なのですけれども、今、支社長になったことが今回の人事の決め手の一つとおっしゃられたのですけれども、先ほど、恐らく現役の支社長を社長に登用されるというのは、恐らく初めてではないかと思うのですけれども、先ほど以来、支社も本社も経験している、支社の立場で本社を見る、あるいは自治体との関係という、これに触れたご発言が相次いだのですけれども、改めまして、現役の支社長を社長に登用するということの意義と意味についてお聞かせ願いますでしょうか。よろしくお願いします。
- 【増田社長】
- 郵便局を舞台に仕事をするというのが当グループの事業モデルです。例えばさまざまな事業を変えていくときに、郵便局の人たちがそれについてどういう受け取り方をするのかというのは、やはり現場に近いところの人のほうがよく理解できます。新しい事業を始める、今までの事業のやり方を変える、不祥事については今後こういう対策をとるといったことを、現場に指示文書で流すということが、日本郵便では頻繁にございます。ですが、もう山ほど、鉄砲のように指示文書を流しますので、それはしっかりと優劣を振り分けてやっているかどうかと、私はいつも問いただしますが、少し経つと、またすぐ指示文書を流しましたということになります。これで一応やるべきことはやったという感じになる訳です。
けれども、郵便局へ行って聞くと、とても指示文書を読みこなす時間はない、郵便局長が分かりやすく郵便局員に話している場合が多いのですが、現場の人たちの、そういう指示文書だとか指示の受け取られ方というか、要は、非常に重要なことも軽んじて受け取られている場合が多いのではないかと思いました。そういうものをできるだけフロントで、克明に郵便局を回って聞いてもらうためには、本社から行ったのではとうてい無理です。現場に非常に近いところで、難しい意思決定を自分の責任で行ってきたという資質は、非常に重要だと思いました。
もう一つ言いますと、逆にそのことによって、ある不祥事が起こったときに、本社のほうで責任を持っていろいろなやり方を正していくということは往々にしてあるのですが、いかに本社のほうが十分徹底する努力を怠っているかということ、支社の立場から本社の足らざるところを見てきたことも非常に役立つと思います。私が就任してから何人か、これだと思う人を支社長に出して、全員今、経験を生かして本当に枢要なところに戻ってきていますが、特に若い2人には、そういう経験を積ませたいと思っていました。
そのことと、もう一つは、郵便局の機能、役割が、自治体から見ると相当変わっていく、あるいは今後、相当変わる可能性があるということがあります。郵便局を単に金融商品あるいは郵便、荷物を扱うということではない位置付けで見ている自治体が非常に多くなってきていますので、支社長に地元の首長を私からも随分紹介しまして、知事のところに行ってもらったり、市長のところに行ってもらったりしています。やはり、そのあたりの肌感覚というのを養ってもらう上では、支社長の経験というのは非常にプラスになると思います。今後において、そんな気がして、今の話の中でも申し上げましたが、支社長を経験しているということは、今回の2人ですが、特に根岸を選定する上での大きなポイントでございました。
- 【記者】
- 本日はありがとうございます。増田さんに1点と、あと根岸さんと小池さんに1点お願いいたします。
まず、増田さんに、今回、中計を、1年前なので中計を策定するタイミングとしてよかったということで、今回このタイミングでというふうなお話だったかと思うのですけども、そうすると、今も一応、この中計が進んでいる中で、最後、この今の中計に対するコミットメントというのが、ちょっと弱かったのではないかというふうな見方もあると思うんですけども、改めて本当に今回のタイミングで退任される理由というのをちょっと改めてお伺いしたいというところが1点でございます。
あと、根岸さんと小池さんに伺いたいのは、先ほど増田さんのお話でも、火中の栗を拾うというお話でしたけども、改めて、この、これからの3年、4年とたつ中で、業績的にもかなり厳しい状況があるのかなと思うのですけれども、そのあたり、将来の業績をどう見通されているのかというところを、ちょっとお二人、伺ってよろしいでしょうか。
- 【増田社長】
- まず中期経営計画の関係について申し上げます。中期経営計画は、計画ですので、決算の数字を踏まえて、それで数値を入れてつくるのが次の中期経営計画だと思います。これはほとんど多くの企業がそういった作り方をしています。その前段に、数字なしで、おおよその考え方を出すということもあります。私はそれについては、中期経営計画ではなく、中期経営方針ぐらいだと思いますが、そういう作業があってもいいかと思います。ちょうど今まさに年が替わってからは、次の中期経営計画の議論を、少しずつ始めていますが、来月、決算の数字が出ますと、どこをもっと強化していくという具体的な話になりますので、そのときは、後任の根岸にも参加してもらって、早い段階から、この策定に向けて十分にコミットしてもらおうと思っています。
また、現行の中期経営計画についての関わりが少し薄くなるのではないかという話がありましたけれども、現行の中期経営計画は5年になっていまして、中間年となる3年がたったときに、「JP ビジョン2025+(プラス)」という形で若干変更を加えています。ただ、大きな精神は変わっていませんので、今の中期経営計画については4年間ずっと見てきたことになります。したがって、今の中期経営計画を就任の翌年つくった責任者として足らざるところも、3年たったところでいろいろ付加して、今の中期経営計画の内容については関わってきたと判断しておりまして、今のこのタイミングを逃すと、次の中期経営計画が出来上がった状態で新しい経営者が、それを実行していくだけという形になりかねません。民間企業ですので、5年半、実質は就任がイレギュラーな時期だったため6年ぐらい、会社トップとしてやっておりましたので、むしろ、この時期に必ず替わらなければいけないと考えております。
- 【根岸常務】
- せっかくのご質問ですが、確かに足元の郵便事業などが非常に厳しい経営環境ではございますけれども、その先行きの見通しは、今後どういう経済環境になるか、金利や物価がどうなっていくか、あるいは私どもがどういう取り組みをするかによっても変わってきます。まさにそれを今後詰めていくということだと思いますので、現時点で業績見通しについては、コメントを差し控えさせていただければと思います。申し訳ございません。
- 【小池常務】
- 私も同様でございます。いろいろな条件を見ながら予測をしていくといったことかと思いますので、現時点では、あえてそこについては触れさせていただかないのがいいのだろうと思います。
- 【記者】
- 郵政民営化法の件でもう1点、先日もちょっと質問したのですけれども、この改正の概要の中では、財政支援も新たにですね、検討されていて、年650億円規模のものを盛り込むことが自民党のほうで検討されています。これについて、特に今回の郵政民営化法というのは、先ほども質問に出た、まさに社員である郵便局長たちが要望して、この改正の検討というのを進んでいると承知していますけれども、その点も、それも踏まえてですね、この財政支援が国会でかなうかもしれない。ここはどういうふうに経営陣として受け止められているのかを、いま一度、増田さんと根岸さんにもお聞かせ、お伺いしてもよろしいでしょうか。
- 【増田社長】
- 財政支援については、私は郵便局長たちのいろいろな改正項目についてのトッププライオリティーになっているとは聞いておりません。国会議員の皆さまが、いろいろ工夫しながら、こういったものを編み出していると聞いております。ご質問の情報は持っていませんが、一応やはり根っこは国会議員の皆さま方がいろいろ工夫されてこうなってきたというものだと思います。
いずれにしても最終的には立法府なり政府の財政当局がお決めになる話でしょうが、直接的に会社に交付されるお金は、それによってネットワークの強化ができるということにつながっていきますが、それだけでなく、私自身が財政支援ということで念頭に置いておりましたのは、自治体への特別交付税などの財政支援をしていただくということです。自治体の判断で郵便局をどう使うかという観点で非常に重要になってきます。これは自治体に対しての財政支援の強化であり、その一部として、郵便局の活用があるのではないかという、そのあたりのストーリーをうまくつくってほしいということを相当政府にも申し上げてきました。
いずれにしても、そういうことが実現できるかどうかについては、立法府なり、それから国の財政当局の判断でありますので、民営化法全体が、これからどのようになっていくか、よく見ていきたいと思います。皆さまそれぞれ、いろいろな考え方で、郵便局ネットワークをより活性化させていくために、知恵を出されていくので、議論がどんどん広がっていきます。そのことによって、国民的な議論に広がっていきますから、私としては、国民の皆さまに今の郵便局ネットワークをどうしていくのかを関心を持って見てほしいと、その一つのきっかけになっていくのではないかなと思います。
要は、誰が見ても、人口がどんどん減っていく中で、郵便局のネットワークを維持していくこと、そして、ユニバーサルサービスを提供していくというのは、非常に難しい状況です。もう北欧のある国はポストも廃止するなどのことが決定していて、アメリカは完全に国営企業がやっています。日本は、国民的な合意のもとで、政治によって民営化が進められてきましたが、当時とは置かれている社会環境は相当変わってきているので、やはり、いろいろな観点で、今のユニバーサルサービスの在り方を、検討し、関心を持っていただくということは、私としては大変歓迎するところです。
- 【根岸常務】
- 今の立法府の議論についていろいろなお考えがあるのは、この2年間、東京を離れていたとはいえ聞こえてきておりましたが、具体的な背景や意図を承知してございません。この議論につきましては、さまざまな方からいろいろなご意見をいただいて議論されている話ですので、立法府の考え方、結論に基づいて、その中で最大限、当グループの価値を上げること、これに努めるというのが私の立場でございます。
- 【記者】
- 分かりました。あと、今、ユニバーサルサービスに関して、2005年は確かに国民的な関心事になってですね、法律ができたかと思うのですけれども、2012年に、このユニバーサルサービスの、これは規制の強化だと思いますけれども、金融や貯金や保険にまでユニバーサルサービスの対象を広げるというのは、専ら今回と同様、郵便局長会の要望をもとに対象が広がったという経緯があったかと思います。
で、今回、またユニバーサルサービスを理由に国のお金をもらったりする要望をしているわけですけれども、逆にそういう、今回の改正案でも、政府の関与が強まるところ、要素というのが含まれていると思います。そうすると、ユニバーサルサービスの国の規制を、はたから見ていると郵便局長を中心に、自らその規制を強めて、それによって何か国のお金を引っ張り出そうとしているようにも見受けるのですけれども、増田さんが歓迎するお考えというのはそういうことなのか、逆に経営から考えると、むしろユニバーサルサービスの規制を緩めて、より効率的に経営するという考え方もあると思うのですけれども、そこは、むしろ規制強化でお金をもらうという方向が望ましいことなのでしょうか。
- 【増田社長】
- 強化かどうかというのは、なかなか判断がつきかねると思います。どういう形で、このネットワークを維持するのか。ユニバーサルサービスの水準自体が、問われるのだと思います。やはりこれは国民の皆さまの中で、地方の隅々まで、ユニバーサルサービスが必要かどうかというのは、地域の人たちを巻き込んだところで、レベル感を決めていかなくてはならなくて、それは当グループだけではなく、ほかの分野も含めて、例えて言えば、交通の問題であれば、バス路線も含めて全部、どの程度のサービスを維持していくのか、そのためにコストをどうしていくのかというのはいろいろなところで出てくる話です。それに対して、どれだけ財政的にコミットするかというのは政治のほうで判断していくべき話で、いろいろなところでそういう問題が出てくると思います。
政治が動いていく上で、いろいろな地域のステークホルダーの話を聞いていくことになると思うのですが、政治のテーマとして、政党で日本の地方の姿をどう考えて、そこにどれだけ郵便のネットワークを展開するのか。郵便物は、どうやってもこれから大きく減っていく流れだろうと思いますが、その中で、その郵便のネットワークをどうしていくのか。これはまさに地域の声、そして、国政の中で地方の在り方をどうするかというところで決めていく話なので、単に会社がどうだとか、郵便局長がどうだとか、そういうことだけで決められるものではないと私は思います。
- 【記者】
- あともう1点、同じお二人にお伺いしたいのですけれども、増田さんが就任時も、郵便局、この窓口の価値向上というのをうたわれていたと思います。で、今も郵便局の価値をさらに、機能なり価値なりを高めるということがうたわれていて、増田さんが来られる前からもずっと、この窓口の価値を高めるってずっと言われてきたことのように思います。もちろん個別の取り組みでは興味深いものもあるのですけれども、やはり全体としては、その価値向上って、この十何年間、あまり進んでいないのではないかというふうに見受けるのですけれども、それがこの先、何か急に変われるのかどうか、これまでできなかったことが、あるいはなかなか進まなかったものが、これから何か窓口が急に変わるのかという、何か期待できるような、あるいは、そこをどういうふうにお考えなのか、教えてもらっていいでしょうか。
- 【増田社長】
- 郵便局自体がリアルな店舗と、デジタル的なサイバー空間上の二つに必要です。それを会社としてできるだけ整備をしていくということです。リアルな郵便局に関しては、もうそこにしか拠点があり得ない状態になっているので、あまり価値向上が進んでいないというお話がありましたけれども、逆にそこの間口を私どもが広げておけば、同業であり、いわゆるライバルである他の金融機関なども、郵便局をできるだけ使おうという話は随分私どものほうにも来ています。
現実に、当初はライバル関係で、ほとんど、そういう話し合いがなされなかったのが、今はだいぶいろいろな郵便局に、地銀のATMが置かれるようになってきて、やはりそれが一つの拠点としての意味合いが大きくなってきています。
それから、鉄道事業者との駅と郵便局の一体化などは見かけではそんなに進んでいませんが、人が集まる拠点として、お互いに持っているものを一緒にすることで地域の価値を向上させていく。それが翻って、窓口の価値向上につながるという意識は、異なる業態の企業との話の中でも頻繁に出てきます。それをどう実現していくかは、これからいろいろなやり方があるだろうと思います。ぜひそのあたりは、これから自治体だけでなく、いろいろな他の企業とも、前広に話してもらえればなと期待しています。
- 【根岸常務】
- 例えば、自治体の業務一つとっても、恐らく5年前などは一つや二つ、本当に点で取り組んでいたにしか過ぎなかったのが、今では、数はこれからであったとしても、少しずつ面で、複数の自治体が考えていただいている状況です。あるいは、実際に委託をしてくれているという形で、広がりが出てきており、この5年間で、だいぶ進んできたのではないかと思っております。
一方で、ただ待っているだけではなく、私どもからも、こんなこともできますということを丁寧にお伝えするという努力もしていかないといけないと思っています。この5年間積み上げてきたものを、スピードアップさせるために、こちらからご提案をすることによって、さらに面を拡大していきたいということで申し上げたものでございます。
- 【記者】
- 今日はありがとうございます。1点だけ先ほど来から出ている財政支援策の絡みで、お伺いします。増田さんがおっしゃるようにユニバーサルサービスの水準であるとか、そこに財政的にコミットするかどうかというのは、広く議論が必要だというのはおっしゃるとおりだなと思って聞いておりました。一方で財政支援ということになると国民負担ということになると思います。それで今の日本郵政の相次ぐ不祥事であるとかガバナンスがきいていない現状に照らしたときに、日本郵政の自意識として650億の国民負担で支えてもらうという、言い方難しいですけども、現状の経営の状況というのが、それに値するかどうか、資格があるかどうかというのを増田さん、根岸さんの自意識としては、自分、ご自身の認識としてはどのように思ってらっしゃるか、お聞かせいただければと思います。
- 【増田社長】
- 郵便局のネットワークは全国に展開されていて、毎日さまざまな業務が行われています。日本全国、24時間365日、動いているのでどうやって滞りなく機能させていくのか、これはユニバーサルサービスをどのレベルで維持していくかの話だと思いますので、これは私どもとして間違いなく今、しっかりとやれていると思っています。
一方で、お話になったとおり不祥事がいろいろと発生しているのも事実です。このような問題の中にいる社内の人間として、財政支援の判断はやはり立法府なり、財政当局で決定する話であると思いますが、交付金を受領するにふさわしいのかどうかということを問われると、もし仮に交付金の実施が実現するとなれば、今ご指摘いただいたような不祥事の頻発などがないようにしていかないと、交付するにふさわしいかどうかという判断は当然あると思いますし、もし仮にそれがふさわしいとなってもすぐに支給停止になる可能性がございます。
私どもとしては、やはりネットワークを維持する資格、それからルールを守る意識も含めて、それに足るものとして全員が努力を行い、国民の皆さま方の期待に応えられるようにしなければなりません。なお一層しっかりとやっていかなければ、すぐ停止となってしまいますので、とにかくレベル感をもっと高めていく意識を常に持って、これから事業や不祥事のことに取り組まなければいけないと思います。
- 【根岸常務】
- 基本的には同じでございますが、支社長の目線から見ると、本当に全国津々浦々、毎日天候が非常に厳しいときも配達をしています。そういったネットワークを提供している点は評価されてしかるべきとは思いつつも、ご指摘ありましたように、そういったことに足る企業であるかどうかというのは常に問われています。ご判断についてはいろいろ立法府含めて国民の皆さまの議論の中ではありますけれども、やはりそれに足る企業として不祥事件を根絶していくことに取り組むというのが、これは最優先で取り組んでいきたいということでございます。
- 【記者】
- 度々失礼します。増田社長にお伺いしたいのですけど、2024年の末に根岸さんの社長打診っていうことを心の中で決められたということだったと思うのですけど、その後に不祥事のものが相次いで外部からの指摘で発覚したと思うのですけど、これを受けて、ご自身としては何か考えを改めるようなことはあったのかっていうところを改めてお伺いしたいなというところと、あとこのタイミング的にちょっと不祥事が続く中で辞任するっていうところ、増田社長が就任する前のかんぽ生命の不祥事を受けた、その引責辞任みたいなところとちょっと重なる部分があるのですけど、このあたりについてお考えを教えていただけるとありがたいです。
- 【増田社長】
- 特に不祥事が出てきたことと、私が根岸を選ぶということに影響は受けておりません。もう、そういう既定路線で進んできていた話でございます。いろいろ不祥事が出てきて、日本郵便では、まだけりがついてない点呼の問題などありますけれども、例えばいわゆる非公開金融情報の関係については責任の所在は既に明確化しているので、再発防止策の実行は今まさに日々やっているところです。これは新しい体制で進めていくべき話だと思います。私自身はいずれにしても就任からかなり長い年数がたっておりますし、後任に譲るタイミングを見ていく必要がありますので、今年の6月が一番いい節目だと思っています。
- 【記者】
- 念のため確認なのですけど、責任の所在を明確にしたっていうのは減俸処分のところを指してですか。
- 【増田社長】
- そうです。
- 【記者】
- 端的に根岸さんに、これまでのご経歴の確認といいますか、経企部長とかやられて本社のコーポレートのご経歴が長いように見えたのですけども、改めてどういったお仕事をされてらっしゃってきたかっていうところと、何かご自身の中で代表的な、これっていうような仕事内容があればちょっと教えていただきたいというところと、あとちょっと軟らかい質問もと思いまして、ご自身の性格というか、自己評価でどういう性格かみたいなこともあればちょっと教えてください。
- 【根岸常務】
- そういう意味で申し上げますとおっしゃるとおり、支社長として2年間、その前の2年間はコンプライアンスの担当をさせていただきました。その間もいろいろと不祥事が起きまして皆さんにご心配、ご迷惑をおかけしたところでございます。その前10年ほどは日本郵便、統合前の郵便局会社、郵政公社で経営企画をやっておりました。比較的会社全体の経営計画を取りまとめる立場にあったということだと思います。
したがって中期経営計画などについても、郵便局の価値向上についてずっと言い続けてきて、それがようやく少しずつ花開いてきた状況だろうと考えております。それをしっかりと、この立場になって成果として結びつけていきたいと考えているところでございます。
それから性格を申し上げますと、なかなか自分で言うのは言いづらいものですけれども、恐らく多くの方が私のことを、比較的バランス感覚があるということで評価いただいているかと思います。いろいろなリーダーシップの仕方があろうかと思いますが、どちらかというと多くの方々の意見を聞いて、その中であるべき方向に行くよう、バランスをとって、先ほど人事の話もありましたけれども、一義的に何かこちらの方向でということではなく、それぞれの長所を生かして、より全体として最適な方向に向かうようにするなど、比較的そういったことに向いている性格なのではないかなと考えているものでございます。
- 【記者】
- 先ほどの日経新聞さんの質問と重なる、重なるというか、念のため日本郵便の千田さんにも、不祥事の影響っていうのは、退任に何も影響がなかったのかどうか、確認、教えていただいてよろしいでしょうか。
- 【千田社長】
- 今回だけでなく一連の不祥事がたくさんありましたので、それについての私の責任というのは痛感しております。そこはもう一番初めの冒頭のごあいさつでも申し上げたとおりでございます。
ただ、ここで退任しようと思ったきっかけについては私の思いの中にいろいろな思いがあるということはもちろん事実ですけれども、ただ、退任のきっかけは不祥事の影響によるものではなかったということでございます。
- 【記者】
- 重ねて一つ、増田さんがおっしゃる、若い人がリーダーになり、経験豊かな人が周りでサポートするというと、増田さんにしても、千田さんにしても、例えば会長職で残るっていう選択もあったかと思うのですけど、そういう議論はこの間なかったでしょうか。お二人に聞いてもよろしいでしょうか。
- 【増田社長】
- 私は、全くそのつもりはないです。当グループで以前は会長という役職はありましたが、私自身は、それは置くべきではないと思います。最終的な責任の所在が見えにくくなるだろうと思いますので、私自身の意見としては断固反対ということであります。
- 【千田社長】
- 私も同じで、増田社長ともそういう話をしていないわけではございませんが、会長のような役職に就くことは、増田さんも私も希望しておりません。辞めるのであればきちんと離れましょうということで、決断しております。
- (※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)