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2026年5月15日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]

日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 根岸一行

社長

 本日は決算会見も含めて資料がかなり大部になり、恐縮でございます。私からは新中期経営計画「JP プラン 2028」について、お手元の資料に基づきご説明申し上げます。
 「JP プラン 2028」は、昨年11月に骨子としてお示ししたものに基づき、今後3年間で取り組むべき具体的な施策・数値目標を策定したものです。これを指針として、3年間、着実な変革に取り組んでまいりたいと考えているところです。
 資料に入る前に、「JP プラン 2028」の特徴的な点、これまでの中計から前進させた点について3点申し上げます。一つ目は、経営資源の成長領域へのシフトについて、より具体的な計画としている点でございます。郵便、郵便局窓口事業のユニバーサルサービスについては、その持続性に非常に危機感を持っておりますので、効率化をはじめとする事業構造改革に取り組むとともに、不動産、物流といった成長領域に資本を投下し、利益の拡大を実現してまいりたいと考えております。
 不動産事業を例にとりますと、この中計期間中に銀座郵便局をはじめとする都市部の郵便局の移転・集約を進め、その跡地で不動産開発を実施すること、また少し先になりますが、2040年に営業利益目標500億円とお示しするなど、中長期的な成長の姿を明らかにしております。
 二つ目は、市場の声を踏まえ、情報開示に積極的に取り組む点でございます。株主をはじめとする投資家、市場から、経営の可視化や保有資産の潜在的価値の開示が求められておりますので、日本郵政・日本郵便が保有するキャッシュ、これはゆうちょ銀行・かんぽ生命を除いた分ですが、このキャッシュをどう活用するかの方針を「キャッシュアロケーション」としてお示ししております。また株主還元についても、上場以来初の増配、期間中の累進配当を導入することとしたものでございます。
 三つ目はガバナンスの強化でございます。ガバナンス・コンプライアンスについては従前から掲げてきたことですが、不祥事の再発を防止できていない状況でございますので、今回新たに県単位に人員を配置し、きめ細やかな指導・支援を徹底することなどを打ち出したものです。
 以上3点が特色となりますが、以降はお手元の資料に沿ってご説明申し上げます。
 少し飛びますが、6ページをご覧ください。6ページは骨子でもお示ししました、日本郵政グループが長期的に目指すべき姿を記載したものでございます。当グループは、「お客さまと地域を支える共創プラットフォーム」を発展させ、「総合物流」「総合金融」「生活サポート」という三つのプラットフォームに不動産事業を加えた姿へ深化させていくものです。
 総合物流プラットフォームは、ラストワンマイルに加え、国内外の企業間物流を強化し、国際・国内物流を一体で事業運営する物流網を構築し、利便性の高いサービスを提供していくものです。総合金融プラットフォームは、商品ラインアップを拡充するとともに、店舗、アプリ、リモートの各チャネルの相乗効果などによりチャネル間で顧客情報を連携し、きめ細やかなサービスを提供していくものです。最後の生活サポートプラットフォームは、地方公共団体の事務受託やみまもりサービスなどを通じ、生活サポート拠点としての機能を発揮し、地域の生活を総合的に支えるサービスを提供していくものでございます。これらのサービスをグループ横断で一体的に提供することで、お客さまの利便性や体験価値を向上させていきたいと考えております。
 例えば、ゆうIDを通じて異なるサービスの住所変更などの手続きを一度でまとめて完結できるようにすることや、ライフイベントに合わせてグループ会社の特典・サービスなどを提供していきたいと考えております。こうした姿を目指し、着実な変革に取り組む第一歩が今回の中計として位置付けられております。
 一方で、このプラットフォームの基盤となる郵便及び郵便局のネットワークが、郵便物数や来客者数の減少、コスト増といった構造的な課題を抱えており、このままでは持続的なユニバーサルサービスの提供に支障が出る可能性が顕在化していると考えております。従って、今回の中計は、重点戦略にも書いてございますが、ユニバーサルサービスの持続性確保と新たな事業領域での成長を同時に実現していくための3年間と位置付けております。
 具体的には三つの重点戦略を実行していきます。一つ目の「ユニバーサルサービスの持続的な提供に向けた事業構造の見直し」では、郵便・物流事業と郵便局窓口事業の構造改革を進めます。二つ目の「成長領域での利益成長による企業価値向上」では、金融事業の利益拡大、不動産事業を新たな収益の柱として確立すること、さらには総合物流企業への転換を進めていきます。三つ目の「グループ経営基盤の強化」として、DX、人的資本経営、ガバナンスの強化、資本政策の高度化を進めるものでございます。
 8ページをご覧ください。8ページは経営目標を示しております。まず財務面では、ROEの目標として2028年度に5%から7%超、当期純利益では5,000億円から7,000億円超を目指すものでございます。国内金利が上昇していることもあり、右下に記載のとおり、後ほどゆうちょ銀行からも説明があると思いますが、ゆうちょ銀行においては円金利資産の再構築、運用ポートフォリオの最適化などを通じた資金運用収益の増加により、当期純利益1兆円超を見込んでおります。かんぽ生命においても、運用関係損益を着実に積み上げることで修正利益1,900億円を見込んでおり、グループ全体として増益を見込んでおります。
 左上の表にございます純利益5,000億円から7,000億円という2,000億円の差は、郵便料金改定の有無によるものでございます。効率化が大前提ではありますが、郵便のユニバーサルサービスには中計期間中に郵便料金の改定が必要だと考えております。ただ制度的な側面があり、当社の意向だけでは必ずしも実現をお約束できませんので、郵便料金改定を実施しなかった場合は5,000億円、2027年度に実行した場合は7,000億円という設定としており、ROEもこれに連動したものとなっております。株主還元につきましては最後にご説明申し上げます。
 右上は人的資本経営、サステナビリティを推進して企業価値を高めるための非財務目標でございます。例えば育休取得率については、既に2025年度は男女ともに100%となっておりますが、引き続き環境整備を行い、育児と会社業務の両立支援に取り組んでまいります。
 ここから9ページ以降、先ほど申し上げた三つの重点戦略について具体的にご説明いたします。まず9ページ、郵便事業でございます。郵便物の減少、人件費の上昇に伴い、今年度も1,000億円を超える営業赤字を見込むなど、厳しい事業環境にあります。従いまして、左の図にありますように、集配拠点の集約、地域区分局での郵便物や荷物の集中処理、四輪車による広域配達といった、いわば業務のやり方を抜本的に改革するとともに、物流事業についても生産性を向上させ、企業間物流やロジスティクス機能の強化を通じて利益成長を実現してまいりたいと考えております。
 右側に記載がありますように、現在約3,200か所ある集配拠点を約2,700拠点に集約するなどして、業務の効率化を進めてまいりたいと考えております。
 10ページでございます。輸配送部分や局内作業についても、AI活用などを含めた省力化投資を進め、生産性を向上させることで、この3年間、2028年度までに業務に必要な労働力1万人分を減らしていきたいと考えております。
 11ページでございます。コスト削減に加え、郵便商品の魅力向上など収益向上にも取り組んでまいりますが、郵便サービスを持続的に提供するためには、先ほど申し上げた各種郵便サービスの料金の見直し、さらには現行法令で求められているサービス水準の見直しについて要望し、郵便事業が将来にわたって安定的に利益を確保できる道筋をつけてまいりたいと考えております。
 12ページをご覧ください。窓口事業でございます。人口減少や過疎化の進展により地域事情が多様化している中、地域事情に応じた柔軟な運営体制にしていきたいと考えておりますし、併せて暮らしを支えるサービスを提供することで、地域の皆さまの生活サポート拠点としての機能を発揮してまいりたいと考えております。こうしたサービスを提供することで、先ほど申し上げた成長する金融事業の強固な基盤として、安定的な利益確保につなげていきたいと考えております。
 12ページ下部に記載がありますように、具体的にはお客さまの利便性に配慮しながら、「JP プラン 2028」の期間中に150局程度の半日営業を導入するなど、営業時間の弾力化を一層進めてまいります。これにより生み出されたリソースは、他局の業務支援や生活サポートサービスに活用し、事業全体として効率化を図っていきたいと考えております。
 13ページでございます。生活サポートプラットフォームの部分でございます。自治体との連携、買い物支援、シニア向けサービスなどを通じて、地域インフラ機能の維持やライフステージに応じた暮らしを支えるサービス提供を、従来から取り組んできたものをさらに拡大してまいりたいと考えております。
 冒頭、司会から申し上げましたように、郵便・物流、郵便局窓口事業の収支改善に向けた具体的な取組内容・効果については、収支改善計画にも記載しておりますので、この点については会見終了後、担当から個別にご質問に対応させていただきたいと存じます。
 14ページをご覧ください。成長領域についてのご説明です。まず金融事業でございますが、記載のとおり、若年層から中高年層に向けた商品ラインアップを拡充してまいります。
 例えばゆうちょ銀行では、「ゆうちょ通帳アプリ」が1,600万口座を超えるご利用をいただいておりますが、幅広い年齢のお客さま向けに、NISA、iDeCoなど少額で始められる積立型投信を中心とした投資信託商品の拡充や、相続に備える遺言信託など、高まるニーズに応じた商品導入を進めていく予定でございます。
 かんぽ生命におきましても、老後に備える資産形成商品や基礎的な保障ニーズに対応する保障性商品など、新たな導入を検討しており、保障内容を柔軟に変更・継続できる制度の拡充も検討しているところでございます。
 併せて、5月2日に保険料率および商品の一部改定を実施しておりますが、保険料負担の抑制、保障内容の分かりやすさ・利便性向上を通じて、既存商品の魅力向上にも取り組んでいるところでございます。
 15ページをご覧ください。こうした金融サービスを、従来からある郵便局などのリアルチャネルに加え、アプリなどのデジタルチャネル、リモートチャネルで提供することにより、専門的知識を持つ社員との応対が可能となります。これらを相互に組み合わせることで、お客さまとの多様な接点やサービス機会の拡大を図るとともに、チャネル間の連携などを通じて、よりきめ細かいサービス提供を実現してまいりたいと考えております。
 この件に関しまして、非公開金融情報の不適切な取り扱い事案が発生しましたので、2024年10月より停止しておりました郵便局からのお客さまへの来局のご案内を、本日より再開したところでございます。お客さま本位の業務運営を徹底し、適切なお客さま対応に取り組んでまいりたいと考えております。
 16ページをご覧ください。不動産でございます。不動産事業は、これまでオフィスを中心とした賃貸事業を中心に取り組んでまいりましたが、今後は新たな領域の事業拡大として、分譲マンション事業、用地仕入れ・開発・売却によるフロービジネス、マネジメント事業によるフィービジネスに取り組み、領域拡大を図り、利益拡大・収益向上を目指していきたいと考えております。都市部については、郵便関係の集配拠点再編と連動し、集約された郵便局跡地で不動産開発を行うなど、グループ保有不動産を一体的に開発・事業化する取り組みを加速していきたいと考えております。
 17ページでございます。こうした取り組みにより、中計期間中には事業利益280億円、さらには将来的には500億円を超える規模の総合デベロッパーへ成長し、グループ全体の利益拡大にも相応に貢献する事業へ発展させていきたいと考えております。
 1ページ飛ばして19ページをご覧ください。既に日本橋郵便局の集配拠点については移転しておりますが、この中期経営計画期間中に、銀座郵便局につきましても同様に移転・集約し、不動産開発に着手していきたいと考えております。
 続きまして20ページ、物流事業でございます。総合物流プラットフォームとして、トナミホールディングスのM&A、ロジスティードとの資本提携などを活用し、総合物流企業への転換を進めてまいります。また、先日公表しましたとおり、ロジスティードによるトールのフォワーディング事業およびアジア地域におけるコントラクトロジスティクス事業の一部出資に係る基本合意を締結しております。ロジスティードとの間で海外における協業を一層加速してまいりたいと考えております。
 少し飛びまして24ページをご覧ください。サステナビリティ経営の観点から、優先的に取り組むべき経営課題としてのマテリアリティを設定しておりますが、こちらは今回の「JP プラン 2028」と連動して策定したものであり、それを24ページにお示ししたものでございます。
 ガバナンスの関係で25ページをご覧いただければと思います。過去不祥事が起きておりますので、再発防止策を徹底し、安心して郵便局をご利用いただくためのガバナンス強化が必要と考えております。具体的には、右の図にありますように、県単位のレベルで、全国で50か所程度になろうかと思いますが、従来の支社に比べてより郵便局に近接したところに人を配置し、郵便局員一人一人の顔が見えるレベルで実態把握、法令等のルール浸透、業務品質の確保、指導・支援を行う新たな組織を支社の中に設置することとしております。
 27ページ、最後の資本政策、株主還元等でございます。株主還元につきましては、3年間の累計総還元性向50%以上を目指すとともに、金融2社が大幅な増益を見込むことから、配当については2026年度に60円へ増配すること、業績に応じた累進配当を導入すること、さらには継続的・機動的な自社株式取得を行っていきたいと考えております。この増配は、2018年3月期の郵政民営化10周年の記念配当を除けば、上場以来初めてであり、利益成長の成果を株主に適切に還元していきたいという考えに基づくものでございます。
 情報開示を進めるということで冒頭申し上げましたが、28ページにございますように、ゆうちょ銀行・かんぽ生命を除く日本郵政・日本郵便のキャッシュアロケーションをお示ししております。金融関係がありますとキャッシュの状況が分かりにくいところがございますので、営業キャッシュフローやゆうちょ銀行・かんぽ生命からの配当に加え、一部資産売却による資金創出も活用し、こうしたキャッシュを成長投資と株主還元に適切に配分してまいりたいと考えております。
 以上が「JP プラン 2028」の内容でございます。まずは業績が悪化している日本郵便の経営改善に真正面から向き合い、ユニバーサルサービスを持続的に確保するための抜本的な構造改革を何よりも強く進めていきたいと考えております。そうした経営改善に取り組むとともに、金融・不動産事業の成長を確実にすることで、持続可能な事業成長を実現し、ステークホルダーの皆さまの期待に応えていきたいというのが今回の中計でございます。駆け足になり恐縮でございますが、私からの説明は以上でございます。

記者

 2点お願いいたします。1点目は、先ほどのお話で郵便料金の値上げの必要性がありましたが、資料の中では郵便のサービス水準の見直しというのも出ています。料金はいつごろ、どのぐらいの水準の値上げが必要なのか、サービス水準の見直しの方向性としてどういうことを考えているのか、これが1点目です。

社長

 はい。まず料金でございますが、今年度、2026年度も1,000億円の赤字でございますので、可能な限り速やかにお願いしたいと考えております。ただ制度的なこともございますので、できれば、早ければ来年度中にも何かできないかということで考えておりますが、これは制度次第ということになります。
 そして上げ幅ですが、前回の値上げ幅を踏まえ、20円上げた場合に、2028年度1年間で約2,000億円程度改善するとした場合の試算としてお示ししたものでございます。当然、そのときどきの状況や商品の組み合わせ等もございますので、その時点の経営環境を踏まえ、適切な水準になると考えております。新しい法案の中身を見ますと、料金値上げの算定根拠・算出要領のようなものをつくることがありますので、それにのっとった形で、法案が通れば認可をお願いし得るだろうと考えております。
 サービス水準につきましては、現行は法令で規定されているものであり、この中計期間中に議論を開始してほしいということでお願いするものです。まだ時期等は明確になっておりませんし、サービス水準の中でどの部分をどう見直すかについても、利用者の方々のご意見も踏まえて今後の議論になります。ただ、これまでと全く変わりませんということになりますと、持続的なサービス提供はかなり難しい状況でございますので、その点についてのご議論をお願いしたいと考え、今回お示ししたものです。

記者

 2点目は金融2社株の売却に関してです。次の中計期間での目標、あるいは想定として、どのぐらい売っていくかということについてお考えはあるのでしょうか。

社長

 これまで50%を切るところまでということでお示ししてきましたが、今まさに国会の中で郵政民営化法についていろいろ議論されている最中でございます。その動向を見極めないと、現時点で具体的には言えない状況です。
 また、ゆうちょ銀行については50%を切ってからまだ1年たったばかりですので、この50%の枠内で認可から届出に変わる部分の見極めもございます。従来からご指摘を受けているユニバーサルサービス確保の状況なども総合的に判断しなければいけませんので、この中計期間中に具体的にどの程度売却するかについて、今お示しできる状況ではないと考えています。今後のいろいろな議論を踏まえ、その都度適切に対応させていただきたいというのが現状でございます。

記者

 関連ですが、今、話が進んでいる民営化法改正を見極めないとというお話がありました。この新中計との関係を端的に確認したいのですが、民営化法の改正がなったときのことはこの中計では織り込んでいないのか、織り込んではいないが念頭には置いて整合性はとってあるのか、あるいはいったん脇に置いて、意識せずにつくったのか、このあたりをどう理解したらよろしいでしょうか。

社長

 企業経営のフレームワークを決めることですので、全く見ていないということはありませんし、よく注視していきたいと思っております。ただ、公党間・政党間での議論が続いている状況ですので、明示的に織り込める状況ではありません。そういった意味で、その効果等については織り込んでいないという状況でございます。

記者

 それでは、法律が出来上がって現実のものになったときには、中計も見直したり修正したりすべき部分が出てくる可能性があるという理解でよろしいでしょうか。

社長

 はい。中身によっては、そうした可能性はあろうかと思います。一方で、利益水準そのものが大きく変わらないのであれば、影響があっても他の要素で相殺されることもあり得ます。その場合は中計として見直さないことも十分あり得ると考えています。
 附則の中で今後の政府の検討に委ねる部分もあるようですので、さらに時間がかかる部分もあろうかと思います。正直なところ、内容をよく見極めたうえで、変える・変えないということも含めて判断するしかないという状況でございます。

記者

 少し似た質問で恐縮ですが、郵便料金値上げに関連しまして、8ページの経営目標で親会社株主に帰属する当期純利益に幅があります。一番高い7,000億円超については、郵便料金を大体どれくらいの時期にどれくらいの幅で値上げしたというシナリオを想定しているのか、郵便法の制度設計も関係すると思いますが、可能な範囲で教えてください。

社長

 ここは時期にもよりますが、2028年度の目標であり通年1年間のものです。郵便料金は2027年度中に一部上がるところもありますが、この部分に掲げている分については、2028年度時点で1年間平均20円程度上がった場合という仮定で計算したものでございます。
 繰り返しになりますが、いろいろな要件がございますので、あらかじめ何かが決まっているわけではありません。ただ、何らかの仮定を置きませんと数値としてお示しできませんので、過去の直近の上げ幅などを踏まえ、一番近い丸めた数字として20円程度で計算したということでございます。

記者

 具体的に現時点でどの程度にしたいなどというものがあるわけではないということですね。

社長

 そのときの制度設計次第で変わってきます。今、閣議決定されている法律案などを見ますと、算出要領的なものをつくることになろうかと思いますので、その時点の状況を反映したものが基本になり、そこに多少の要素を加えることになると思います。従って、今の時点でいくらと明確に申し上げることはありませんが、数字としてお示しするための仮定として20円程度という前提を置いているということで、ご理解いただければと思います。

記者

 もう1点、9ページの集配拠点の集約についてですが、500拠点の集約による効率化効果約50億円とあります。この中身について、もう少し詳しくお伺いできますでしょうか。

社長

 地方では数名の社員が集配を行っているような規模のところがどうしてもございます。そういったところを複数まとめて一つ、あるいは二つに集約することで、従来よりも人数が減るケースがあり、人件費として削減効果が出てきます。
 一方で、配達距離が伸びる部分もあるのではないかというご懸念もあると思います。そうした地域では二輪車での配達が難しい場合もあり、左の図にございますように、四輪車による配達で郵便物であっても広域で配達するケースもあろうかと思います。ただ、配達距離が伸びた分の費用よりも人件費の削減効果が上回ると見込んでおり、その差分が50億円程度という形で考えているものでございます。

記者

 端的に何点かお伺いします。先ほどの集約化の部分で、郵便局数自体は維持するという理解でよろしいのかという点と、集約化後にどう配送を効率化するかについて、効率的なルート見直しや、軽四輪でバイクより遠方の郵便・荷物をまとめて配送するイメージなのか、もう少し詳しく伺えればと思います。

社長

 集約化についてですが、郵便局数という意味では、郵便局には窓口部分と、集配を行う一部の局についてはバックヤードで郵便区分や二輪・四輪を置いて配達する部分がございます。集配拠点というのはそのバックヤードの集配機能の拠点のことでございますので、お客さま向けの窓口部分は引き続き残る前提でございます。
 具体的なオペレーションは地域ごとにさまざまなパターンがあると思います。例えば広域になるところでは、四輪車で荷物と郵便を一緒に配達することもあろうかと思います。もう少し距離が近いところでは、従来はA地域を1人、B地域を1人、別の局でC地域を1人といった形で3人でやっていたところを、拠点を集約することで、AとBの半分を1人、Bの残りとCを1人で担当するなど、3人を2人にできる地域もあります。そのような地域の距離感や配達物数に応じ、バイク・車両を組み合わせながら効率化していくイメージです。

記者

 次、2点目の不動産のところで、今回の19ページの部分はどこが今日初めての情報なのか、教えてください。

社長

 具体的には19ページ右下の銀座局と京橋局の部分でございます。特に銀座局は面積も広く、地域的にも開発余地があると考えています。従来から開発候補としたいと考えておりましたが、移転先のめどがついておらず、明確に開発とは申し上げておりませんでした。今回、ある程度めどがつきましたので、中計期間中に銀座局については集配を廃止し、開発に着手できると考えております。
 銀座局と京橋局がそれほど遠くないこともあり、京橋局についても時期を見て集約し得るだろうと考えています。ただ、京橋局の移転時期については中計期間を少し越える可能性があります。いずれにせよ、銀座局と京橋局を再編候補として明示し、特に銀座局については、中計期間中に集配業務を外し開発に着手していくということは、初めて報告させていただくものです。
 一方、日本橋局については既に市街地再開発事業区域となっており、取り組みについてはこれまでもお話しする機会があったかと存じます。

記者

 銀座局の用途は商業用なのかオフィス用なのか、まだ未定ということでよろしいでしょうか。

社長

 まだ移転をようやく決めた段階で、まさにこれから具体的に詰めていきたいと考えております。

記者

 最後に、こうした集約化などによって、今後特に郵便・物流セグメントにおいて、どう経営を改善していきたいか伺えればと思います。前提として、この後の決算でも3年連続赤字かと思いますが、これは点呼問題も絡んでの赤字なのかも含め、今後の経営改善の方策を教えてください。

社長

 郵便については人件費が非常にかかる事業であり、まずいかに人件費のかかる部分を効率化し得るかが大きなポイントだと思っています。
 資料10ページにも端的に書いておりますが、集配拠点の見直しに加え、拠点を集約しないところでも、従来10人で配達していたところを、郵便物数の減少に合わせて9人にするなど、柔軟な要員配置が可能です。
 荷物の部分では、部外への委託をかなり行ってきましたが、郵便の要員を減らした部分を活用して、一部荷物を自社執行に切り替えることも考えられます。さらに、AIの活用など技術的な手段により、人の習熟に時間がかかる部分の効率化も図っていきます。
 いずれにしましても、郵便物数の減少に対し、どこにどのように人員を効率的に配置するかが基本となりますので、この部分を徹底していきたいと考えています。地方では配達に時間がかかる部分もありますので、ユニバーサルサービスの見直しをお願いすることで、要員面での調整がよりしやすくなると考えています。
 点呼問題につきましては、2025年度と同程度の費用が発生する見込みですが、基本は信頼ですので、適正な業務運行を前提に効率化を進めていくことに尽きると考えております。

記者

 経営という意味では、集約化によるコスト削減と、不動産展開による収益拡大という効果を期待されているということでしょうか。

社長

 そうです。ただ、集約化による50億円の効果は1,000億円の赤字からすると相対的に小さいため、集約化をしない大規模局などで、10人を9人にするといった積み上げのほうが大きな効果を持つと考えています。郵便・物流事業の中ではそうした人員効率化が中心となりますが、会社全体としては、不動産へのシフトにより、全体の収益拡大を図っていきたいと考えております。

記者

 今の流れの中で出てきた11ページの郵便減少の見通しですが、2028年度の数字はどれぐらいに置いているのか教えてください。値上げの有無によっても違うかと思いますが、先ほどの20円程度の値上げ想定の中で、どれくらいと見ていらっしゃるか、まずお願いします。

社長

 日本郵便の担当からお答えします。

事務方

 日本郵便でございます。収支改善計画のほうにお示ししておりますが、2028年度の郵便の引受物数については105.2億通とみてございます。

社長

 それは郵便料金の値上げを前提としていない数字です。値上げをした場合は仮定の話であり、現時点で何円ということが決まっていない以上、何億通と明確にお示ししているわけではないということをご理解ください。

記者

 では、このカーブというのは、値上げが決まっていない状態でのものということですね。

社長

 はい。現状の見通しとして、こういう状況にあるため値上げも必要でありますし、将来的にはサービス水準の変更についてもご検討いただけないかという趣旨でございます。

記者

 もう一点、21ページのゆうパケットとゆうパックですが、ゆうパケットは大きく伸びる見込みかと思います。その根拠を教えてください。

社長

 ゆうパケットは小さい荷物であるため、お客さまにとっても価格を効率的に安く設定できます。パッケージもコンパクトにできるようになってきており、足元の状況を考えると、ゆうパケットのほうが伸びると見ています。当社は二輪車での配達網もあり、小型荷物については業界の中でも強みがありますので、こうしたお客さまニーズと当社の強みを踏まえると、ゆうパケットのほうが伸びる余地があると想定しています。

記者

 最後に1点だけ短く。21ページにもある「他企業との連携を強化」について、現在の所感や今後どうしていきたいか教えてください。

社長

 ここは抽象的な書き方になっていますが、具体的にはこれからです。特に人口減少の中で、地方での配達を維持するのは、ユニバーサルサービスがあってもかなり厳しい状況です。そうしたところでのいろいろな連携は十分考えられますし、長距離輸送でも人手不足の中、空いている容積をどう効率的に使うかという課題があります。限られたリソースでサービスを維持するために、さまざまな連携を考えていく必要があると認識しており、その念頭でいろいろな方々とご相談していきたいという趣旨です。

記者

 料金の値上げについて確認ですが、定形郵便物、通常はがきそれぞれ20円ずつの値上げを想定して試算されているということでよろしいでしょうか。

事務方

 定形も2種も20円で想定しております。それ以外のものについても全く想定していないわけではなく、前回と同程度の料金改定を想定し、一定程度見込んだうえで計画をつくっているということでございます。

記者

 もう1点、人員の配置計画についてお伺いいたします。先ほど郵便・物流セグメントで人員マイナス1万人想定というお話がありましたが、グループ全体では人員は減る計画なのか、それとも別の配置で全体としては維持されるのか、どちらでしょうか。

社長

 全体としては採用数の抑制などにより減る状況になっております。細かい場面ごとに違いはありますが、全体としては減る見込みです。

記者

 全体としてどれくらい減る想定でしょうか。

社長

 今、データが手元にないため、概算でお答えできるか確認します。いずれにしろ、人件費を計算するうえで何らかの仮定は置いておりますので、確認の上で、後ほどお答えできればと思います。

記者

 26ページのROE、株主資本コストのところですが、資本コストを見直して7~8%程度とされています。現在PBRは0.6倍程度だと思いますが、1倍超えを見通されているのか、それともユニバーサルサービスというインフラ的な仕事をしながら市場の期待に応えるのは難しいとお考えなのか、そのあたりをお聞かせください。

社長

 株価として評価していただきたいとは思っていますが、評価するのは市場の皆さまです。不動産の時価や含み益などもお示ししていますので、こうした点が株価等にも適切に反映されるよう、投資家の皆さまと対話していきたいと考えております。その結果として、株価水準を1倍に必ずというよりは、少しでも評価していただけるよう努力していくというスタンスでございます。

記者

 2点目ですが、戦略投資として3,000億円を掲げていらっしゃいます。インオーガニック案件に使うということですが、物流事業、不動産事業など成長領域において優先順位のお考えがあれば教えてください。

社長

 不動産か物流かという優先順位をあらかじめ決めているわけではなく、それぞれで投資に値する相手方・案件が出てくるかによると考えております。相手のある話ですので、3,000億円としていますが、適切な出資先があればプラスアルファになることもあります。その場合は資産売却なども含めながら検討していきます。ご質問の趣旨でいえば、不動産・物流について良い案件があれば、積極的に議論を進めていきたいと考えております。

記者

 窓口の構造改革ですが、この弾力的な運営体制の構築は、コスト減というより限られた人員の中でネットワーク・郵便局をどう維持するかという取り組みだという理解でよろしいでしょうか。

社長

 全体の人口減少のなかで限られた社員を有効に使うという意味合いもありますし、お客さまニーズに合った対応という意味合いもあります。一部地域では都市部で窓口人員が足りないところもあります。こうした部分も含め、コスト面でも効率的になりますので、どちらか一方というより両方を見ながら、利益水準ぎりぎりで運営している窓口事業を効率的に取り組んでいくという認識です。

記者

 場所によっては余裕のあるところから応援に回して足りない部分を補うことで、コスト的にも効率的にもなるし、人員的にも充てられるという理解でよろしいでしょうか。

社長

 はい。まさにその考えでございます。

記者

 一方で、特に地方では局員さんを確保するのが大変だという声も聞きます。現状の人的リソースの効率的活用に加え、減っていく中で最低限必要な人員の確保策をどうお考えでしょうか。

社長

 今でも、同業他社と比べると、新採の応募数などを見ても、厳しいところはありますが、おかげさまでおおむね想定どおり確保できているのではないかと思います。地域の学校との関係を引き続き維持するなどの努力もあります。
 郵便の局内作業などの期間雇用・非常勤の方については、現在のように毎日来ていただく形だけでなく、時間単位で働いていただくなど、より柔軟な働き方の選択肢もあろうかと思いますので、そうした組み合わせで必要な人員確保をしていきたいと考えています。
 また、窓口時間を短くすることで、通勤に時間がかかる地域でも少し遠くから働きに来ていただく余地も広がると考えています。離島などではそうした工夫もあり得ると思います。こうしたことを総合的に組み合わせることで、中計期間中に人が足りなくて運営できないという状況にはならないと考えております。

記者

 2万4千局維持が前提の計画となっていますが、地方の最後のとりでとしての役割と書かれています。一方で都市部では過密などもあり、郵便窓口需要は多いが金融需要は少ないなど、最適配置の余地があるという声もあります。このあたりの考えと、2万4千局という数字自体を将来的にどう考えるべきか、現時点のお考えをお聞かせください。

社長

都市部では確かに繁華街などで局が近接しているところもありますが、夕方などは郵便の需要もそれなりにあり、窓口が混雑しているところもございます。ビルの地下など視認性が悪いところをどう移転するかといった個別の話はあるにしても、トータルで局数を直ちに減らすというより、時間帯ごとの人員シフト、金融だけでなく複数事業を扱う窓口としての役割を踏まえたシフトや、休憩のために過配置している部分のスリム化など、まだまだ余地があると考えています。まずはそこから取り組むべきと考えております。

記者

 2点、集配局の再編で、1万人減は委託の方も含めての想定とのことでしたが、これは自然減として見込むものと理解してよろしいでしょうか。

社長

 従来から一定年齢の社員に対して勧奨退職などを継続的に行っておりますが、そうしたことや採用抑制による退職・採用バランスのコントロールの範囲で対応していく想定です。大規模に退職金を積み増して希望退職を募るようなことは想定しておりません。

記者

 例えば、郵便のセグメントで浮いた人員を窓口に配置転換することは想定されていますか。

社長

 どちらかというと、窓口では金融関係の業務も多く、ある程度のスキルが必要です。郵便側で効率化できた要員が出れば、むしろゆうパックなど荷物の配達を委託している部分を自社執行に切り替えることに充てるほうが先ではないかと考えています。委託先ではご高齢の方に頑張っていただいているケースも多いため、そうした負担の軽減にもつながると考えております。

記者

 もう1点、議員立法の質問ですが、現状成立していないため想定していないとのことでした。ただ、議論が進んでおり今国会成立もあり得ると思います。現時点での議員立法の内容の受け止めと、グループに与え得る影響をどうご覧になっているか伺います。

社長

 議員立法につきましては、3年ほどかけて国会の先生方で議論されてきたものと理解しています。私どもとしてはもともと経営の自由度を確保したいという希望はありましたが、決められたフレームワークの中でしっかり経営していくという方針は変わっておりません。
 3年という長い期間ご議論いただいたことには感謝していますし、いろいろな形で一定の整理をしていただけるのであれば、そろそろ時期的にも整理していただけるとありがたいと考えております。

記者

 12ページの窓口営業弾力化で、半日営業を2028年度までに約150局程度とありますが、2026年度の目標・計画はありますか。

社長

 2026年度については始めたばかりのため、数局程度とかなり限定的なところにとどまると思います。もう少し積み増しができればと思いますが、どちらかというと2027・2028年度に厚くなっていくイメージです。補足があれば。

事務方

 収支改善計画に記載しておりますが、半日営業は2026年度で20局程度を一定の目標としております。

記者

 それは全部半日営業ということですか。それともパターンが複数あるのでしょうか。

社長

 地域ごとの事情があるため、一律ではありません。配達をする局もあれば、他局の応援が中心となる局も相当程度あると思います。応援のほうが同じ業務を行いますので、社員としての親和性が高い部分もあります。従って、当該20局は、郵便の業務を手伝う・行うことを中心に考えている局だけではなく、いろいろなパターンを想定しています。

記者

 25ページのガバナンス体制強化のところで、この新組織「郵便局近接地域」は既に稼働しているのでしょうか。

社長

 これから間もなくという形で考えております。今、人選等を各支社で進めてもらっているところで、上半期中のどこかのタイミングで早期に立ち上げたいと考えております。

記者

 29ページの投資計画で、郵便局窓口事業のシステム投資はデジタル的なものという理解でよろしいでしょうか。

社長

 まさに郵便局でのデジタル化、社員の端末を含めて進めているところでございますので、郵便局全般のデジタル化に向けた投資ということでございます。

記者

 そうしますと、この中には生活サポートサービス事業への現段階での個別の投資額というのはなく、法改正などと絡めつつ、既存のシステム投資を活用していくということでしょうか。

社長

 生活サポートの部分については、郵便局窓口の端末など既存の基盤を使いながらできる余地があると考えています。収益規模としては限定的になると見ており、システム投資としては窓口事業全体の中で生活サポートにも使い得るものとして位置付けています。生活サポート事業だけにいくらと明示しているわけではなく、実際に業務を行うのは窓口領域であるため、窓口事業のシステム投資の中に含まれているとご理解いただければと思います。

事務方

 先ほどご質問をいただきました、グループ全体でどの程度の人員削減になるかという点ですが、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の金融2社を除き、おおよそ1万2千人分の労働力削減という形でお考えいただければと思います。
 金融2社の数字は開示できませんが、生成AIの活用等による業務効率化を進める一方で、有望な分野、例えば営業などに人を振り向けていく必要もあるため、グループの労働力削減という観点からは、日本郵便を中心に約1万2千人分というイメージで捉えていただければと考えております。

(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)

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