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社外取締役メッセージ

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社外取締役 諏訪 貴子

はじめに

日本郵政グループを支えてくださる皆さまに、心より感謝申し上げます。当社は、「日本全国すべてのお客さまへ信頼と安心をお届けする」という使命の下、時代の変化に適応しながら、持続可能な成長を目指してまいりました。

私は日本郵便の社外取締役を経て、日本郵政の社外取締役に就任いたしました。日本郵便では、郵便・物流事業の運営や業務改善、サービス向上、リスク管理に関与し、現場の課題解決に取り組んでまいりました。一方、日本郵政では、グループ全体の戦略策定やガバナンスの強化、資本政策の最適化に携わり、より広い視点から企業価値の向上に努めています。日本郵便での経験を活かしながら、日本郵政の社外取締役としてグループ全体の発展に貢献したいと思っております。

経営環境の変化と日本郵政の役割

近年、私たちを取り巻く環境は急速に変化しています。デジタル技術の進展、人口減少、そして持続可能な社会の実現に向けた企業の責任が、これまで以上に問われる時代となりました。こうしたなか、日本郵政グループは全国に広がるネットワークと長年培ってきた信頼を活かしながら、社会とお客さまに貢献し続けることが求められています。

郵便・物流事業では、電子メールやオンラインコミュニケーションの普及により、従来の郵便物の取扱量が減少する一方、EC(電子商取引)の拡大に伴い、小包配送の需要が増加しています。この変化に対応するため、業務の効率化を進めるとともに、デジタル技術の活用による迅速で利便性の高い配送サービスの提供が必要とされています。

また、金融事業においては、お客さまのライフスタイルの多様化に伴い、従来の店舗中心のサービスから、オンラインやモバイルを活用した利便性の高い金融サービスへの転換が進んでいます。日本郵政グループとしても、郵便局ネットワークを活かしながら、地域の皆さまに寄り添った金融サービスの提供を強化する必要があると思いますので、取締役会での議論を重ねてまいりたいと思います。

日本郵政のROEについて

日本郵政グループの持続的な成長と企業価値向上を目指す上で、ROE(自己資本利益率)は重要な指標の1つです。現在、日本郵政グループのROEは、金融事業を中心とした資本構成や事業特性の影響を受け、一般的な上場企業と比較して低水準にとどまっています。その要因として、金融事業における低リスク資産の運用を重視した経営方針、持株会社としての資本効率の課題、郵便・物流事業の収益性低下などが挙げられます。特に、日本郵政本体が直接事業を行わない持株会社の構造上、資本効率を高めながらグループ全体の収益性を向上させることが重要な経営課題となっています。

私は社外取締役として、経営の透明性を確保しながら、ROE向上に向けた施策が適切に実行されているかを見極め、経営陣と積極的に議論を重ねてまいります。短期的な数値改善だけでなく、長期的な視点での成長戦略を支援することが求められており、日本郵政グループが安定的に利益を創出し、株主やステークホルダーの期待に応えられるよう、ROEの改善と企業価値の向上に貢献してまいりたいと思います。

ガバナンスと企業価値向上への取り組み

企業経営において、ガバナンスの強化は不可欠です。特に、日本郵政グループのように社会的責任の大きい企業においては、透明性の高い経営と健全なリスク管理が求められます。社外取締役として、経営の健全性を保ちつつ、企業価値の向上に向けた助言を行ってまいります。

また、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営の推進も重要な課題です。環境負荷の低減に向けた取り組みとして、EV(電気自動車)の導入拡大や、再生可能エネルギーの活用などを進めています。さらに、ダイバーシティ&インクルージョンの推進を通じて、多様な人材が活躍できる職場環境を整備し、社員一人ひとりが誇りを持って働ける企業を目指し助言を行ってまいります。

非公開金融情報等の取り扱いについて

昨年度、非公開金融情報等の取り扱いに関する課題が指摘され、お客さま本位の業務運営が十分であったかが問われる場面がありました。非公開金融情報等を利用した商品案内は本来、お客さまの同意の下にニーズに沿った適切なご提案を行い、より一層ご満足いただくための手法ですが、同意をいただかないまま郵便局への来局をご案内した事例が確認されました。これは、お客さまの信頼を損なうだけでなく、企業全体のガバナンスにも影響を及ぼします。

社外取締役としては、経営陣と対話を重ねながら、透明性の高い販売プロセスの構築と徹底、お客さまに対する説明責任の強化を求めていきます。また、販売現場の意見を聞く機会を増やし、経営層と現場の間にある課題のギャップを埋める役割も果たしていきたいと考えています。

ゆうちょ銀行の売却資金について

ゆうちょ銀行の株式売却は、日本郵政グループの経営戦略における大きな転機となります。この売却資金をどのように活用するかは、日本郵政の将来を左右する重要な決定です。

売却資金は、短期的な利益の追求ではなく、長期的な企業価値の向上につながる形で活用されるべきです。具体的には、物流ネットワークの強化やデジタル金融サービスの拡充、新たな事業領域への投資など、持続的な成長に向けた施策を推進する必要があります。社外取締役として、経営の透明性を確保しながら、売却資金が最も効果的に活用されるよう助言を行ってまいります。

おわりに

日本郵政グループは、社会の変化に適応しながら、お客さまとともに歩む企業であり続けます。そのためには、社員一人ひとりが誇りを持ち、使命感を持って業務に取り組むことが不可欠です。私自身も社外取締役として、皆さまとともに、より良い未来を築くために全力を尽くしてまいります。

今後とも、日本郵政グループへの変わらぬご支援とご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2025年3月

社外取締役

諏訪 貴子