日本郵便株式会社の業務概要

日本郵便(株)は、日本郵政グループにおいて郵便・物流事業、金融窓口事業および国際物流事業を営む会社です。

郵便サービスをなるべく安い料金であまねく公平に提供することに加え、(株)ゆうちょ銀行から受託する銀行窓口業務および(株)かんぽ生命保険から受託する保険窓口業務についても、郵便局を通じて全国のお客さまに提供しています。

今後も、国民共有の財産である郵便局ネットワークの水準を維持し、公益性・地域性を十分発揮するとともに、郵便局のサービスをさらに便利なものとし、地域のお客さまの生活を総合的にサポートできるよう取り組んでまいります。

1.業務・サービスの概要

郵便・物流事業

郵便サービスを全国一律の料金であまねく公平に提供し、国内郵便に加え、万国郵便条約などの条約・国際取り決めに基づく国際郵便(通常・小包・EMS)を提供しています。

また、お客さまの郵便発送業務一括アウトソーシングのニーズにお応えするため、JPビズメール(株)などの子会社において、郵便物などの企画・作成(印刷)から封入・封かん、発送までをワンストップで請け負うトータルサービスを提供しています。

そのほか、国からの委託による印紙の売りさばき、お年玉付郵便葉書の発行などの業務も行っています。

物流サービスとして、ゆうパック、ゆうメールなどの荷物運送サービスを行っており、eコマース市場の成長に伴う多様な顧客ニーズに的確に応えたサービスを提供しています。一方、多様化・高度化する物流ニーズに対しては、お客さまに最適な物流戦略の設計、提案、構築から運用までを行う3PLサービスの提供を、物流ソリューションセンターを中心として、(株)JPロジサービス、(株)JPメディアダイレクトなどとともに展開しています。

※EMS=国際スピード郵便(Express Mail Service)

金融窓口事業

お客さまにサービスを提供するための営業拠点として全国に設置した郵便局において、郵便・物流事業に係る窓口業務、銀行窓口業務、保険窓口業務などをはじめ、物販事業、不動産事業、提携金融サービスなども行っています。

・郵便・物流事業に係る窓口業務

郵便物の引受・交付、郵便切手類の販売、ゆうパックなどの物流サービスの引受、印紙の売りさばきなどを行っています。

・銀行窓口業務など

(株)ゆうちょ銀行から委託を受け、通常貯金、定額貯金、定期貯金、送金・決済サービスの取り扱い、公的年金などのお支払い、国債や投資信託の窓口販売などを行っています。

・保険窓口業務など

(株)かんぽ生命保険から委託を受け、生命保険の募集や保険金のお支払いなどを行っています。

・物販事業

全国各地の名産品を掲載しているカタログや地域に密着した商品を掲載したチラシなどを郵便局に設置し、掲載商品の販売斡旋を行うカタログ販売事業と、フレーム切手に加え、オリジナルの郵便関連商品などを開発し、販売を行う店頭販売事業を行っています。

・不動産事業

保有する不動産の有効活用策の1つとして、東京駅前に建設した「JPタワー」をはじめとする事務所、商業施設、住宅、保育施設、駐車場などの賃貸事業等の収益事業に取り組んでいます。

・提携金融サービス

(株)かんぽ生命保険以外の生命保険会社や損害保険会社から委託を受け、がん保険、引受条件緩和型医療保険、変額年金保険、法人(経営者)向け生命保険および自動車保険の販売を行っています。

国際物流事業

子会社の豪州物流企業トール社を介して、オセアニアおよびアジアにおけるエクスプレス物流、オーストラリアおよびニュージーランド国内における貨物輸送、アジアからの輸出を中心としたフルラインでの国際貨物輸送ならびにアジア・太平洋地域にお ける3PLプロバイダーとしての輸送・倉庫管理などのサービスを提供しています。

また、日本と中国などアジアを中心とした物流ニーズにお応えするため、JPサンキュウグローバルロジスティクス(株)を中心に、総合的な物流ソリューションを提供しています。

さらに、越境eコマースを中心とした小口荷物の国際宅配のニーズにお応えするため、アジア、オセアニア、ヨーロッパエリア宛てには、香港レントングループおよび仏ジオポストとの資本・業務提携により、また、米国宛てにはフェデックス エクスプレスとの業務提携により、国際宅配便サービス「ゆうグローバルエクスプレス(UGX)」を提供しています。

2.日本郵便(株)の取り組み

ネット通販の拡大、スマートフォンやタブレット端末の普及など、日本郵便(株)の事業を取り巻く環境が刻々と変化する中、環境変化に的確に対応し、安定した経営を定着させるため、収益の確保、生産性の向上などに努めています。

ゆうパック・ゆうメールについては、eコマース市場を中心に積極的な営業活動を展開するとともに、受取ロッカー(はこぽす)やコンビニ受取、郵便局窓口受取サービスなどの受取利便性の高いサービスの推進などにも取り組んでいます。また、10月からは、ゆうパケット基本運賃(サイズ制)を新設し、小型物品配送サービスを拡充しています。

金融サービスについては、(株)ゆうちょ銀行・(株)かんぽ生命保険と連携した研修等による人材育成に取り組んでいます。また、10月には、引受条件緩和型医療保険の取扱局を拡大しています。

このほか、2016年4月には、「KITTE博多」、「JRJP博多ビル」を開業、2017年4月には「JPタワー名古屋」を全面開業するなど、不動産事業の推進にも取り組んでいます。

今後も、さらなる収益向上に努めるとともに、より多くのお客さまのニーズにお応えしながら、健全経営の維持に取り組んでまいります。

(1)商品・サービスの充実
受取利便性の向上

・宅配BOX

集合住宅向けの取り組みとしては、2014年10月から差入口の大きな郵便受箱の普及取り組みを実施しています。厚さ3.5cmのゆうメール等も収納可能な差入口の大きな郵便受箱をJP推奨規格とし、この規格を満たす集合受箱の製造メーカーについては、ゆうびんホームページで紹介しております。

また、戸建住宅向けの取り組みとしては、株式会社ナスタ、大和ハウス工業株式会社と協力し、2017年2月から越谷レイクタウンの分譲住宅へ、宅配荷物や書留郵便物が受け取れる宅配ボックスの標準設置がスタートしたところです。

・コンビニ・郵便局窓口受取サービス

2016年4月に、株式会社ecbeing、5月にはジオシス合同会社が運営するインターネットショッピングモ-ル「Qoo10」とシステム連携を行い、コンビニ・郵便局窓口受取サービスをより多くのEC事業者さまにご利用いただき易くなりました。また、2016年5 月には、楽天市場で購入いただいた商品を受け取れる拠点としてファミリーマートが加わりました。拡大するEC市場の活性化を推進するとともに、お客さまの受取利便性の向上に取り組んでいます。

・「LINEで郵便局」の機能拡大

「LINEで郵便局」(日本郵便LINE公式アカウント「郵便局[ぽすくま]」)では、その機能拡大を行い年賀状づくりだけでなく、ゆうパック等の追跡サービス、再配達の受付や集荷のお申し込み等ができるようになり、これまで電話等で受け付けていた再配達や集荷のご依頼などが、「LINEで郵便局」から気軽に、そしてますます便利にご利用いただけるようになりました。

ゆうパケット基本運賃(サイズ制)の新設等
〜ゆうパケットのサービス拡充〜

郵便受箱への配達を行い、宅配便よりも受け取りやすい小型物品配送サービスとして通販事業者さまを中心に多くのお客さまにご好評をいただいていた「ゆうパケット」を、個人のお客さまにもご利用いただきやすいよう、厚さ3cmまでの段階運賃を設定するとともに、事前手続を不要とすることで手軽に郵便差出箱へ投函いただけるサービスとして展開しました。

クールEMSの新サイズの保冷容器導入および国際郵便物の料金の一部改定

「クールEMS」は、保冷による小口配送需要に対応するEMSによる保冷配送サービスです。お客さまからの大きな商品を発送したいとの要望を踏まえて、従来よりも大きいサイズのクール専用の保冷容器を導入しました。また、引受郵便局も2017年4月1日現在で121局47都道府県に拡大しました。「EMS」および「国際船便小包郵便物の第1地帯(東アジア)」は、海外の郵便事業体に支払う配達費用や国内処理コストの増加により、採算性が悪化していることから、安定的なサービス提供を維持するため、2016年6月1日に料金改定を行いました。

日本郵便の「健康増進サービス」実証実験の実施

郵便局ネットワークを活用した高齢者向け生活サービスや地域に密着したサービスのひとつとして「健康増進サービス」の展開を目指し、2016年5月から11月まで福島県伊達市において実証実験を実施しました。

同サービスは、人々の健康増進を支援し、人々が活き活きと生活できる社会を作ることにより、健康寿命の延伸、ひいては日本の高齢化社会における課題解決に貢献するとともに、地域の活性化、地方創生に貢献することを目指すものです。

この実証実験でのお客さまの声および実験結果を基に、同サービスの利便性を向上し、事業展開に向けて検討しております。

ふるさと納税

2016年3月までは、地方公共団体が寄附者へ送るお礼の品の企画や調達という形で、サービスを提供してきました。

2016年4月からは、ふるさと納税の専用サイトと連携し、寄附の受付からお礼の品の配達までの一連のサービスを提供しています。

国際eパケットライトの取扱国・地域の拡大

「国際eパケットライト」は、主に越境eコマースのお客さま向けの商品です。荷物の配送状況が確認でき、2週間程度で受取人さまの郵便受箱へ配達するもので、軽量で比較的低廉な内容品を送付するのに適しています。2016年10月1日から取扱いを開始して、2016年11月12日から引受郵便局を1,084局に拡大し、2017年4月1日からは、あて先国・地域を拡大して、32か国・地域あてに提供しています。

提携金融サービス商品の取扱局の拡大

各種提携金融サービス商品を、より多くのお客さまにご利用いただけるよう、順次、取扱局を拡大しています。2016年10月から、住友生命の引受条件緩和型医療保険の取扱局を、1,000局から1,467局へ拡大しました(一時閉鎖局1局を含む)。

今後も、身近な郵便局を通じて、より多くのお客さまのニーズに一層お応えしていきます。

カタログ販売

カタログ販売では、地域に密着した商品を産地から直接ゆうパックでお届けしているほか、衣料品や服飾雑貨等の非食品の商品を中心としたJPセレクトカタログの全国展開を行っており、お客さまの様々なニーズに対応した商品を販売しております。

「ドラゴンクエスト誕生30周年記念フレーム切手」や「浅田真央・リカちゃん人形セット(フレーム切手セット付)」など、アニメ、スポーツ、乗り物、名所や風物などを題材としたオリジナルフレーム切手も販売しました。

協業関係

・イオングループとの協業の推進概要について

イオングループと日本郵政グループは、2006年から包括的業務提携関係にあり、昨年で10年の区切りを迎えました。地域に密着したサービスの開発・展開に取り組むという共通の価値観を持ち、イオングループ店舗への郵便局の出店等(16局:2017年4月末現在)を通じ、提携関係をさらに前進させてまいります。

・ベトナム郵便のサービス品質向上に関する協力プロジェクトの実施

ベトナム郵便との間で、「ホーチミン地域における郵便業務改善プロジェクト」および「新郵便区分センターの建設計画策定プロジェクト」の2件のコンサルティング契約を締結。現地に郵便局長経験者等の専門家を派遣し、日本郵便(株)のノウハウを生かして、郵便業務の品質向上や将来計画の策定の協力を行いました。今後も、様々な分野での協力を進めていきます。

年賀の取り組み

・2017(平成29)年用年賀はがきの取り組み

年賀はがきの切手部分等に「ハローキティ」をあしらい、通信面を無地としたインクジェット用年賀はがきを初めて発行し、ご好評をいただきました。

また、お年玉賞品の「お年玉切手シート」は、これまでと趣向を変え、シート全体を絵本のようなポップなタッチでまとめ、切手部分に、干支である酉(にわとり)のつがいを描きました。背景は、金色・銀色を使用した色鮮やかなデザインとし、花模様等の穴を空ける特殊加工も施しています。

はがきデザインキットのスマホアプリ版では、一部コンビニエンスストアのマルチコピー機において年賀状が印刷できるようになり、ご自宅にプリンターが無い方でもコンビニでのお買い物ついでに年賀状を印刷できるなど、利便性の向上に努めました。

また、今年もLINEの公式アカウント『郵便局[ぽすくま]』のトーク上で、写真を送るとすぐに年賀状を作成する機能をご提供し、多くのお客さまにお楽しみいただきました。

不動産開発事業

日本郵便(株)が保有する不動産の有効活用策の1つとして、駅前や都心部・地方都市等に立地する収益力の高い資産を開発して賃貸事業を中心として、長期的・安定的な収益事業となるよう不動産開発事業に取り組んでいます。

賃貸事業のうち、商業施設としては、2013年3月に開業した「JPタワー」の「KITTE」が東京・丸の内エリアのにぎわい創出に寄与しているほか、2016年4月には、博多駅前にて、「だれでも、気軽に、毎日でも」お越しいただけることをコンセプトとした大規模商業施設「KITTE博多」が開業しました。

さらに、2016年6月に開業した「JPタワー名古屋」の「KITTE名古屋」は、名古屋中央郵便局をはじめ、便利に利用いただける店舗をそろえ、地元名古屋の人に親しまれる施設となっています。アトリウムには金鯱をモチーフにしたアート作品「GOLDFISH」を設け、新たな待合せ場所として親しんでいただいており、SNS等でも話題となっています。

賃貸ビルとしては、「JPタワー(2012年5月竣工)」をはじめ、「札幌三井JPビルディング(2014年8月)」、「大宮JPビルディング(2014年8月)」、「JPタワー名古屋(2015年11月)」、「JRJP博多ビル(2016年4月)」が順調に稼働しております。

住宅としては、2015年5月、第一弾として東京都品川区に「JP noie 旗の台」、続いて、2016年1月、東京都大田区に「JP noie 本羽田」、2017年3月、東京都練馬区に「JP noie 練馬中村南」が竣工、運用を開始しています。今後、住宅に限らず、保育施設などの賃貸事業も進めていく予定です。

これからも、不動産開発事業を通じて人と人、人とモノ・コト、まちと人をつなぎ、地域・社会の価値向上に貢献できる空間づくりに努めていきます。

(2)2016年度の新たな取り組み
協業関係

・株式会社ファミリーマートとの業務提携に関する基本合意

2016年4月に、株式会社ファミリーマートと業務提携に関する基本合意書を締結しました。両社のインフラ等を活用し、お客さまのさらなる利便性向上や地域への貢献に取り組んでいきます。

・Hondaとの社会インフラ整備に向けた協業の検討を開始

日本郵便(株)とHondaは、郵便配達業務における地球環境に配慮した電動二輪車や郵便局での充電ステーションの実証実験を行い、持続的な地球環境への貢献に向けた協議を進めていきます。

また、郵便事業のユニバーサルサービスの維持に 向け、保守体制、保守品質の確保についても協議を 進めていきます。

郵便料金の改定

郵便料金は、郵便物の減少が続く中、機械化等による生産性向上や各種コスト削減に取り組み、1994年の改定以来、2014年度の消費税増税時を除き実質的に23年間据え置いてきました。

しかし、近年、人件費単価の上昇等により、郵便事業の収支が悪化している状況にあります。

また、大型の郵便物等の増加により、持戻り・再配達を行うことによるコストが増加しています。

このような状況を踏まえ、今後も安定的なサービスの提供を維持するため、2017年6月から郵便料金等の一部(年賀葉書を除く郵便葉書および定形外郵便物の料金ならびにゆうメールの運賃)を変更することとし、2016年12月に総務大臣への料金届出を行いました。

新料額の普通切手および郵便葉書の発行等に関する発表

2017年6月1日の郵便料金改定に伴い、2017年5月15日に新料額の普通切手62円および郵便葉書62円を発行しました。

意匠は日本の自然をコンセプトに描いています。

トピックス

メッセージフェスタ

手紙の楽しさを体験できるイベント「メッセージフェスタ」を2016年9月と2017年2月および3月に開催しました。

延べ10万人以上のお客様がお手紙ワークショップや著名人のトークショー、日本郵便(株)のキャラクターぽすくまと仲間たちとの記念撮影会などを楽しみました。

手紙の書き方体験授業

手紙による子どもたちの心の交流の促進を目的として、全国の小・中・高等学校(特別支援学校ほかを含む)を対象とした「手紙の書き方体験授業」用の教材などをご希望の学校に無償で配布しております。

2016年度は、小学校は全国約12,300校、約278万人の小学生に、中学校は全国4,100校、約98万人の中学生に、そして高等学校は全国約1,800 校、約38万人の高校生に参加いただきました。

ふみの日のイベント

より多くの方に毎月23日を「ふみの日」と認識していただき、手紙に親しんでいただけるように、2016年度は、全国27カ所のイオンモールおよび、7月23日(文月ふみの日)、24日にKITTEで「ふみの日イベント」を開催しました。

11月12日、13日にイオンモール幕張新都心で開催されたイベントでは、日本郵便(株)のキャラクターぽすくまと仲間たちがダンスステージに登場し、大勢の来場者と交流しました。また、イベントでの「手紙作成ワークショップ」に参加の子どもたちの保護者から「子どもたちが文字と絵を使って一生懸命思いを届けようとする姿が良かった」といった声が聞かれました。

商品広告の展開

お笑い芸人の松本人志さん、女優の木村多江さんにご出演いただき、ゆうパックの広告「バカまじめな男」シリーズを展開しました。毎回違うゲストタレントにご出演いただき、大変好評です。ゆうパックのほかにも、年賀はがき、郵便局の年賀状印刷なども広告を展開し、いずれもCM好感度調査では、上位にランクインしており、多くの方に日本郵便(株)の商品・サービスについて身近に感じていただける広告を目指しています。

  • ランスタッドアワード