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2015年4月1日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2015年4月1日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
本日は、昨年2月26日に発表させていただいたグループの中期経営計画を1年ローリングしまして、新しい中期経営計画、「日本郵政グループ中期経営計画~新郵政ネットワーク創造プラン2017~」を発表させていただきます。
 昨年の発表の時に、この中期経営計画はグループを取り巻く環境変化の中で、郵政グループが持つ豊富な経営資源を活用して、郵便局ネットワークを一層活性化し、さらにお客さまや地域・社会のお役に立てる存在となるために、企業価値の向上を目指していくということを、お客さまをはじめとしたステークホルダーの皆さまにお示しするものである、そのように申し上げました。
 その基本的な考え方は全く変わってはおりません。しかしながら、低金利環境の継続ですとか、あるいは少子高齢化、過疎化の進展など、グループを取り巻く経営環境は予想を超えた厳しいものとなっています。
 さらに、この1年間は、金融2社の株式上場準備の進捗や、あるいはグループの事業領域拡大に向けての取組みの進展など、様々なことにチャレンジをしてまいりました。それらの取組みにつきましても、一定の成果はあったものと考えております。
 今回は、それらの環境変化等を踏まえて、新たなグループ経営の方向性をお示しすることにいたしました。
 見直し後のグループ中期経営計画では、従来の中期的な経営方針を踏まえつつ、「グループの更なる収益性の追求」、「生産性の向上」、「上場企業としての企業統治と利益還元」といった新たな3つの課題を克服していくために、「5つの事業戦略」と「5つのグループ戦略」を策定いたしました。
 さらに、グループの経営基盤強化のために、投資戦略の内容、利益目標をはじめとする経営目標、株主の皆さま方への利益還元の考え方につきましても、具体的に盛り込んだつもりでございます。
 今後、グループがこれらの戦略を一丸となって展開していくことによって、「トータル生活サポート企業」、この本当の意味での「トータル生活サポート企業」であることを目指していきますので、ご理解の程、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 それではスライドを使わせていただいて、資料の説明に移ります。ここに映りますのは、皆さま方のお手元に差し上げた冊子になっております計画、それを一部抜粋したものでございます。そのつもりでご覧いただきたいと思います。
 まず、資料の第1ページをご覧いただきたいと思います。今回発表させていただく中期経営計画の構成でございます。第1章として、2015年度から2017年度、その間のグループ経営戦略を取りまとめています。今回の中期経営計画改定の目的、それから2014年度の成果、そして、先程も申し上げたグループの経営戦略と経営目標を具体的に取りまとめてございます。
 第2章としまして、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、この3つのグループ各社のアクションプランをまとめているということでございます。
それでは、内容に入りますが、次に資料の4ページをご覧いただきたいと思います。
 現在の外部環境です。ご承知のとおり、現在も超低金利環境が継続をしております。その他、景気の緩やかな回復基調の継続、少子高齢化・過疎化の進展、あるいはインターネット環境の普及とeコマース市場の拡大、雇用情勢の改善による人材確保の困難化といった環境変化が基礎的にございます。
 一方、グループの内部環境といたしましては、昨年12月に日本郵政及び金融2社の株式上場スキームを発表いたしました。12月の末でございます。3社同時上場を目指すということにいたしました。また、昨年の9月には、ご記憶のとおりでございますけれども、ゆうちょ銀行の自社株買い、これで得ました資金で、日本郵便の増資を引き受け、それから日本郵政の整理資源と称する過去の債務、それを整理資源のオフバランス化を掲げております。これでグループ内の資本構成を再構成することにいたしました。
 さらに事業領域の拡大、それから機動的なサービス提供を目指した子会社戦略・他企業との提携として、オーストラリアのトール社の買収の合意、フランスのジオポストや、あるいは、香港のレントングループとの資本・業務提携、あるいは、アフラック社のがん保険取扱の拡大も展開をしてまいりました。
  これらの内外の環境認識のもとに、日本郵政及び金融2社の株式上場に伴う経営環境変化、さらにステークホルダーから求められている上場企業としての基本的な考え方や2014年度の取組の評価・反省を踏まえまして、グループ中期計画を1年全面的に更新をするということにいたしました。
資料5ページが既に発表させていただいております株式上場のスキームであります。
 資料の6ページが、昨年策定しました中期的なグループ経営方針である「主要三事業の収益力と経営基盤を強化」し、「ユニバーサルサービスの責務を遂行」、そして「上場を見据えグループ企業価値を向上」するという基本的な3つの柱であります。
 これらの経営方針に基づきまして、2014年度の具体的な取組みの成果を7ページから9ページまでにお示しをしております。
 ほとんどのことというか、全て既に発表済みのことでございますし、これらの具体的な取組み成果、これにつきましては詳細な説明は省略させていただきますけれども、すべての施策がおおむね順調に進捗しているものと認識をいたしております。
資料10ページに進ませていただきます。中期的なグループ経営方針と日本郵政及び金融2社の株式上場に伴う経営環境等の変化、さらに2014年度の取組・環境を踏まえまして、グループには、新たな「3つの課題」があると考えております。
 これがここに示してございますけれども、郵便、貯金、保険の主要三事業の収益力の強化として、郵便局における金融窓口サービスの長期安定的な提供を前提として、グループの収益力強化を展開していく必要がございます。
 また、お客さま一人ひとりの多様なライフスタイル・ライフステージに対応した新商品・サービスの開発・提供も必要となります。
 さらに、郵便局ネットワークのポテンシャルを最大限活用するために、適切な労働力管理によるコストコントロールに努めて、生産性の向上を目指してまいります。
 また、IT化によって業務改善を推進するとともに、基幹系システムの構築・維持コスト等を精査していく必要があると考えております。
 さらに、業務フローの見直し等を推進して、グループ内のコスト削減の徹底にも取り組む必要があります。
 三つ目の課題は、上場企業としての企業統治と利益還元ということであります。
 IR機能の整備や説明責任の遂行など、コーポレートガバナンスの強化に努めます。さらに、コンプライアンス態勢の更なる強化、内部者犯罪の根絶、反社会的勢力の排除にも精力的に取り組んでいくつもりでございます。
 なお、昨日、東証への予備申請をさせていただきました。この予備申請を行ったということは、私どもの上場に対する最終的な決意を正式に表明したことになります。
 そして、その後、予備申請の後には、当然のことながら本申請が待っておりますけれども、この本申請までの間、長期にわたって、ゆうちょ銀行の社長を兼務する、これは私自身もガバナンス上、問題があると認識をいたしております。したがいまして、本申請までには、現在の私自身のゆうちょ銀行との兼務は解消する予定でございます。
 上場企業としての利益還元については、既に計画には盛り込んでおりますけれども、安定的な配当の実現や、トータル生活サポート企業として、公益性・地域性を発揮し、ユニバーサルサービスの確実な提供とみまもりサービス等の地域に密着したサービスの展開をやっていくということでございます。
それでは、資料の12ページをご覧いただけますでしょうか。
 この図は、これまで申し上げてきたことをまとめたものでございます。
 先程申し上げました「3つの課題」というのは、グループの「更なる収益性の追求」、「生産性の向上」、「上場企業としての企業統治と利益還元」ですが、これらを克服して、郵政グループが更なる成長・発展を遂げるためのグループ戦略を新たに策定し、これらの着実な実施によって、新しい郵政ネットワーク経営の基本的な考え方を提示してございます。
 グループ戦略のポイントは、事業の成長・発展、これはいわばタテの成長でございますけれども、これを目指した事業戦略と、それからネットワークの拡大・機能の進化というヨコの進化、この二つを目指したグループ戦略の同時展開であるというふうに考えております。すなわち、郵便局を中心にしたグループ一体経営という、私どもの持っている最大の強みを発揮させつつ、一方で、グループ各社も環境変化に合わせた事業展開等によって強みを発揮していくことだと、そういうふうに考えております。
資料13ページにお進みいただきたいと思います。
 事業の成長・発展、これはタテの成長でありますけれども、それを目指した事業戦略について、ここに5つに分けて、事業戦略というふうに出しております。これは、ここに書いてございますように、1つは「郵便・物流事業の反転攻勢」、2つ目は「郵便局ネットワークの活性化」、3つ目は「ゆうちょの収益増強」、それから4つ目は「かんぽの保有契の底打ち・反転」、更に「収益拡大を目指した資金運用の高度化」、この5つを事業戦略の基本と位置付けております。
次のページ、14ページに移りますと、郵便・物流事業の反転攻勢でございます。ゆうパックの黒字化と拡大を目指して、現在、取扱個数が約4.9億個でございますゆうパックを、2017年度には約6.8億個、ゆうメール、ゆうパケットは、現在約33.8億個ありますけれども、これを2017年度には約41億個まで増やすということを目指しています。
  さらに、これに重ねて、トール社をプラットフォームにしました国際物流事業の展開、郵便の新たな需要の開拓を目指した新しいデジタル・メッセージ・サービス、これは今年中に開始いたします。
  それから、あとは、その次のページ15ページ、郵便局ネットワークの活性化について少し申し上げます。地域貢献として、郵便局ネットワークの維持・活性化、郵便、貯金、保険のユニバーサルサービスの堅持、郵便局のみまもりサービスの提供・拡大、ふるさと納税への貢献などを実施していきたいと思っております。
 さらに、商品・サービスの充実、収益拡大を目指しまして、提携金融サービスの多様化によって2017年度で200億円規模の収益を、物販ビジネスの拡大によって2017年度連結売上高では1,500億円の規模まで、これは単体では200億円です。それから不動産事業につきましても、安定した営業収益250億円規模、これを目指しているということでございます。
 さらに、これに加えて、働く女性向けの商品・サービスの提供案内や郵便局の立地に応じた営業時間の弾性化にも取り組んでまいります。このページまだ少し付け加えて申し上げれば、地域創生という今の内閣の一番中心になっておりますコンセプトに私どもとしては全力を挙げて貢献したいということでございます。
では、16ページ。これはどうもご質問が時々ありますので、不動産事業につきまして、現在の取り組みをまとめてございます。昨年も申し上げましたけれども、不動産事業というのは足の長い事業ですので、投資から回収までの期間が非常に長い。短期間で利益を生み出すまで成長するものではありません。長期的、持続的な収益の柱として育成することを目指していきます。現在進めている主要な不動産開発事業はここに記載のとおりでありまして、景気動向等を踏まえつつ、今後も引き続き不動産開発を進めていきたいと考えております。
それでは、17ページ。ゆうちょの収益増強につきましては、総預かり資産の拡大として、3年間で貯金については+3兆円、その他に資産運用商品としては+1兆円を目指しております。この3兆円というのは、この前の昨年2月に発表したものでは6兆円となっておりましたものを大幅に減らしております。また、これを遂行するに当たっても、地域金融機関とも十分に連携をとりながらやらせていただきたいというふうに私どもは考えております。お客さまのライフサイクルに応じた、給与、年金口座等のクロスセルの促進をして、お客さまとの取引を更に深めていくという必要があると思います。さらに、役務手数料の拡大、資産運用商品・ATMの連携等、成長分野の拡大も目指していきたいと思っております。ATMにつきましては、現在の私どもの持っておりますATMよりも小型のATMの機動的な設置、あるいはネットバンキングやコールセンター機能の品質向上にも取り組んでいきたいと思っております。
それでは、続きまして、18ページ、かんぽの保有契約の底打ち・反転。これはかねてから言われていたことでございますけれども、今度の3年間でこれを実現させたい、させる可能性が強くなってきたと、いうことでございます。2016年度に500億円台に乗せて、更に拡大するということで、2017年度以降の保有契約の底打ち・反転、これを目指していくという、それについての成長の確信がございます。
 さらに、販売チャネルの強化、商品・サービスの充実を目指しまして、郵便局の営業人材の育成や、養老・終身保険の販売強化、短期払養老保険の開発、養老・終身保険の加入年齢の引き上げ、高齢者サービスの充実に取り組みます。これは、いわばプラチナエイジの方々に対するサービスが一番充実しているのは、かんぽ生命だと言っていただけるようなことを実現していこうということであります。
続いて、19ページ。収益拡大を目指した資金運用の高度化でございます。運用資産につきましては、昨年度の第3四半期末現在で、ゆうちょ銀行が約205兆円、それから、かんぽ生命が約85兆円を保有しております。
 ゆうちょ銀行におきましては、運用戦略の高度化、それに伴う態勢の整備と適切なリスク管理に努めて、更なる運用収益を追求することを目指しております。
 また、かんぽ生命につきましては、運用資産の多様化を促進するとともに、総合的なリスク管理、ERMといいますけど、によりまして、財務の健全化の維持と、それから、資本効率、収益性の向上を図りながら、安定的かつ持続的な利益、企業価値の向上を目指すこととしたいと思っております。
では、資料の20ページ。これは、あくまでもご参考と申し上げた方がいいかもしれませんが、郵便局ネットワークの将来イメージ。少し派手派手しく書いてございますけれども、郵便局ネットワークを中心としまして、現在までに取り組んできたものに、これまで申し上げてきたことを加えて、更に将来を展望したイメージであります。このように郵政グループがトータル生活サポート企業として進化・発展していくことを目指していきたいと考えております。
資料21ページをお願いします。ネットワークの拡大、機能の進化、これはヨコの進化というように言えると思いますが、これを支える5つのグループ戦略をここに書いてございます。今回の中期経営計画では、「営業・サービス戦略」、「IT戦略」、「投資戦略」、「効率化・コストコントロール戦略」、「人材育成戦略」、この5つを重要なグループ戦略と位置付けて、そして、それぞれをしっかりと推進していこうということを書き入れてございます。
資料の22ページをご覧ください。営業・サービス戦略といたしましては、郵便・物流における中小口営業の拡大、営業スキルの向上・集荷力の強化、物流ソリューション営業の推進、金融窓口事業における周回活動など営業活動を更に拡大する必要があると思います。そして、総合データベースの構築によって、クロスセルの促進等、顧客基盤の強化・拡大、あるいは、金融銀行面における、お客さまのライフサイクルに応じたメイン化商品の利用促進や営業推進、生命保険業におきましては、お客さまとの接点を増やし、お客さまへの提案の機会の拡大に進んでいきたいと思っています。
次は23ページ、IT戦略でございますけれども、これにつきましては、まず基本的に、ともすれば、ばらばらになっていたIT戦略を、やはり1本の筋の通ったIT戦略として組み直しながら、IT基盤の開発・運営の促進を目指していくということであります。各セグメントの事業戦略推進をサポートすることにしております。基本的なコンセプトはサービスの拡大・品質の向上、業務効率・業務品質の向上、コンプライアンスの遵守・危機管理、コスト削減、システム信頼性の向上ということで、これらはIT戦略そのものを全部一貫して我々としてやっていかなきゃいけないことだと思っています。これは、相当に時間のかかる話にもなるんだろうと思います。
続いて、資料24ページです。投資戦略としましては、お客さま満足の向上、営業力の向上、業務効率化等の経営基盤強化に資するようなインフラ整備を推進するとともに、不動産開発、金融2社の株式売却収入を活用したグループの成長に資するような戦略的な投資を実現するとの基本的な考え方に基づきまして、2015年度から2017年度で総額では1兆9,600億円の投資を行う予定であります。内訳としましては、施設・整備への投資が6,700億円、システム投資で4,200億円、不動産開発投資が700億円、成長に資する戦略的投資、これは既に発表のトール社の買収も含みますけれども、約8,000億円ということになっております。これらにつきましては、引き続いてグループの経営基盤の整備に必要な投資と考えております。次の25ページに主な投資計画とその効果についてまとめております。更に、26ページ、主な投資のうち、特にコスト削減に資する投資計画とその効果についてもお示ししております。コストコントロールにつきましては、これは特に日本郵便でございますけれども、ゆうパック等の物量の増加や、主に保険の営業のための渉外社員2万人体制の構築といった労働力の増要因に対しまして、システム化による事務作業の軽減、それから、事務フローの見直し等、生産性向上に取り組む部分によって、トータルとしてのコストを適切にコントロールしていこうというように考えております。
続いて、資料の27ページをお願いします。人材育成戦略としては、ダイバーシティ・マネジメントの推進としまして、特に女性の活躍を推進していきます。さらに、豊かな営業力を有する人材の育成、専門性の高い人材の育成、期待役割を果たすような人材の育成、いろんな意味で人材の育成には積極的に取り組んでいきたいというように思っております。
資料29ページです。グループ連結の経営目標のところでございます。これまで申し上げてきました戦略の着実な実施によりまして、2017年度にはグループ連結当期純利益4,500億円程度を目指すこととしております。なお、この利益の中には当然のことながら、少数株主損益も含めております。
 日本郵便につきましては、連結営業収益が3.1兆円、うち郵便・物流事業収益が2兆円、金融窓口事業収益が1.1兆円、連結経常利益350億円程度ということで、連結当期純利益では300億円、EBITDA、これを計算しますと、1,900億円程度を目指しております。なお、これらの収益、利益につきましては、既に発表済みのトール社に関する数値、これはまだ手続き的に買収を完了しておりませんので、当然のことながら、これには含んでおりません。
 ゆうちょ銀行につきましては、2017年度までの3年間で、先程も申し上げましたけれども、貯金のプラスが3兆円、これは前回の発表の半分に減らしております。その他に資産運用商品が1兆円、経常利益4,800億円程度、当期純利益3,300億円程度、物件費削減の分が、これが2014年度対比でいえば、約500億円以上の削減を目指して、その合算をここに出しています。
 それから、かんぽ生命につきましては、新契約月額保険料を2016年度に500億円の大台に乗せ、当期純利益では800億円程度を目指すことにいたしております。
資料の30ページです。株主への利益還元についての基本的な考え方を申し上げます。経営成績に応じた利益還元を継続して安定的に行うということを目指す、そして、将来における安定的な企業成長と、それから、経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保するということを目指しております。
 具体的な配当性向の目安はグループ連結で50%以上、ゆうちょ銀行につきましても同様に50%以上、かんぽ生命につきましては、これはまだ確定できない要素が実はございますので、30ないし50%程度ということにさせていただいております。
以上が第1章の説明でございます。
 最初に申し上げましたとおり、第2章につきましては、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命のグループ各社のアクションプランをまとめて、それぞれ書いております。内容的にも重複するところがございますので、今回の皆さまに対する説明からは省略させていただきたいというところでございます。後程、それぞれ個別にご覧いただければ幸いでございます。
 以上で最初の説明は終わらせていただきます。
【記者】
よろしくお願いします。2点お願いします。
 1点目はですね、ゆうちょの目標ということで、貯金3兆円と資産運用商品1兆円増、その全体集計の目標6兆円から大幅に減らしたということなんですけれども、この背景と、どうして減らしたのかということについて、もうちょっと、すいません、詳しくお願いしますということが1点。
  あと、もう1点がですね、現在、自民党でゆうちょとかんぽの上限額の引き上げというものを議論していますけれども、この見通しについてどうご覧になっているか、これがですね、実現した場合、実現しなかった場合の中計の目標達成に向けてですね、どのように響いてくるとご覧になっているか、お願いします。
【社長】
説明の中でも何度も申し上げましたように、昨年作りました中計そのものは、実は昨年の状況の中で、我々としてできる精いっぱいの計数を出したつもりです。しかしながら、あの中で、相当無理のある数字というのもございました。その一つが貯金の増額の話です。これは大体メガバンクさんが、このところ、年率で言うと3%近くの貯金の増がある、それよりも相当低い1%位のところで、金額的には6兆円ということを、いわば腰だめで入れたわけですが、これは少し多過ぎるなと、もっと我々が必要なのは堅実な貯金の伸び。それを入れておくのが中期計画としては正しいだろうと。それと同時にですね、数字的に、私どもとしては、日本の中の地銀ですとか、あるいは信金、信組、その他、私どもが今まであまりお付き合いをしなかったような金融機関との連携も、これからやはり国民のためにはやらなければいけない。お互いに金融機関として、この日本のトータルの仕組みの中で生き延びていくためには、私どもとしても、そういうオープンな態度というものも必要だろうということもございました。それで、貯金のターゲットは、大幅に下げるという決断をいたしました。
 もう一つのご質問は、上限額の話です。私どもは、ここに入れております計画に、まだ決まっていないことを見込みで入れるということはしたくない。現状で、自民党の公約の、一部では書いてありますような上限額の引き上げが論議されていることは重々承知しておりますけれども、これを今、私どもが期待を込めてそこに入れるようなことは、やはり決まっていない以上はやるべきではないと。私ども、それが決まることを待ち、それによって、いわば他力本願的な成長を期待するというよりは、現在ある法律、現在ある規制というものがそのままあるという前提で、これから先の堅実な計画を作っておきたいということです。
 実際にこれが決まった時には、それはもちろん法律がそうなるわけですから、そのメリットを、どのように考えるかでございますけれども、なかなか時間の掛かるお話だろうなと想像しております。
【記者】
お願いします。利益の還元のところをお伺いしたいんですけれども、配当性向50%以上にした理由、狙いと、あと、この数値は、同業他社に比べると非常に高いように見えるんですけれども、この数値というのは、この中計の中だけでの話なのか、それとも、この数字を続けるという趣旨なのか……。
【社長】
前にもこの記者会見の時にいろいろお話ししましたが、今、日本で長期保有をしていただけるような、いわば安定的な株式というものが、数が少なくなってしまった。これは簡単に言えば、電力会社はもともとそういう地位にあったんですけど、電力会社の株が現在のような状況になってしまっている。私どもはやはり株式市場の、いわばマジョリティーである小口の、あるいは個人の方々に、長期的に保有していただきたいし、そしてまた、それに報いるために、できる限り配当性向ですか、それを確保するのがいいだろうということで、差し当たって、少なくとも、この見えている3年間の間は、50%は確保するつもりであるということです。それから先もそれを継続しようと考えておりますが、将来のことまで全部確約するわけにいきません。そういう状況です。
【記者】
そうするとですね、お言葉を返すようなんですけれども、もし長期保有をして欲しいということであれば、あまり高い数字を付けずにですね……。
【社長】
どこをつかまえるか、あまり高い数字とおっしゃるかわかりませんけれども、私どもはこれを作るに当たって、各事業単位で、下から積み上げ、そして削るべきものは削り、伸びる部分は伸ばしてという作業を積み重ねた結果、ここにお出ししたような数字が、やっぱり実現可能であると思っておりますので、それをここで発表させていただいたということです。
【記者】
ゆうちょの資金運用のところで、「地域経済の活性化」という項目があるんですが、具体的にどういうことを考えているか、お教えください。
【社長】
そうですね。今のご質問は、例えば、政府の今やっておられる地域創生の具体的内容を見た場合に、非常に回答としては難しくなるのと同じです。私どもは、それぞれの地域のニーズに応じて、地域の金融機関とも連携をして仲良くしながら、地域再生、地域創生のために尽力をしていきたい。これは特に地方自治体、その仕事を私どもはお手伝いするとか、そういうことを含みます。これから先の私どもの意気込みを、これに込めたつもりの「活性化」です。
【記者】
これまでも、重ね重ねお伺いしていることではありますけれども、今回、上場申請の手続き、申請をされたということで、改めて、今後の上場に向けた決意と、この上場の郵政グループにとっての意義について、再度、お聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
【社長】
私どもが新しい事業計画を発表することができるようになったのは、改正郵政民営化法が施行されたからです。約10年間唱え続けられるも、途中で挫折をしていた郵政民営化というものが、改正郵政民営化法によって、私どもの行くべき道がはっきりと明示され、法的にも示されたと思っております。
 これを実現するために何ができるかということを考えた時に、郵政民営化法というのは、そもそも何かというと、郵政という会社を、市場に出して、民営化していくということ。これはずっと10年間、唱え続けられて一度も実現していない。これを実現するというのは、我々グループのミッションだと思っております。
 そういう意味で、今年の一番の目標は、今年度中に民営化を本当にスタートしたいということを世間にも問いたい。あるいは、国民の皆さまに対して、今まで期待しておられた民営化というのは、こういう形で第一歩が踏み出せました、ということを示させていただきたい、そういうことです。
【記者】
2点、お願いします。先般、募集をされていた、ゆうちょ銀行の運用にも書かれているんですけど、人材というんでしょうか、態勢づくりの進捗状況、これ、現時点の内容で結構ですので、教えてください。
 もう1点が、こちら「運用、安定的な調達構造のもと、国債をベースとしつつ」というのがありますけれども、国債をリスク資産とみなすか否かというのは、世界の金融のところで議論されていると思うんですけれども、この導入されるか否かということはあると思いますけれども、国債のリスクに関して、どうご覧になっているのか、これをお聞かせいただければと思います。
【社長】
まず、人材につきましては、ご承知のとおり、2月18日から公募をさせていただきました。それで、現在のところ、公募期間が締め切りになりまして、約40名のご応募をいただいております。相当に無理なクオリフィケーションであろうという気も私どもしていたんですが、積極的にそれに応じてくださる方々が、少なくとも40名位はいらっしゃって、その中で、それぞれ個別に審査をし、そして、面接をし、それで実際にチームができ上がる、その時の仕上がりの人数については、まだ確信は全く持てません。まずは、私どもと一緒に新しい境地を開くことに協力していただくという方が少なくとも現状で、約40名いらっしゃるというのは心強いことだと思います。しかし、態勢が整う時期については、少し時間を掛けてやらせていただかないといけないんだろうなと思っております。理由は、実は、実際に仕事をしておられる方がほとんどなんですね。ということは、現在、勤めておられるその企業、それとの関係もあります。私どもはご迷惑をかけるような引き抜きはしたくない。やはり、それはちゃんと納得づくで、相手先の企業にも、ご納得いただいた上で、進めるべきだと思っております。無理をしないで、時間を掛けて、しかも、その中で、志のある優秀な、経験のある人を選んでいきたいと思っております。ですから、場合によっては、二次募集もやるかもしれませんけれども、現在のところは、まだ面接を始めておりませんものですから、ちょっと時間を掛けざるを得ない。ただ、心強いことに、非常に優秀な方々で、ご応募いただいているということは事実です。現在の収入よりは、私どもの給与基準でやりますから、はるかに少ない収入であっても、新しい試みに参加してみたいとおっしゃる方が、相当数いらっしゃる。それは心強いことであると。しっかりとこれはやらせていただきたいと思います。
 それからもう一つは、国債をリスクと見るかどうか、これはご承知のとおり、非常に論議を呼んでいるところでありますし、私どもは、前に、国債の保有についてお話をした時は、大体50%位の国債という話があるのと同時に、日銀の次の大量の国債ホルダーということになりますから、自分で国債をリスクにさらすような、自分の鉄砲で足を撃つみたいなことはしたくないと申し上げました。現状では、これから先の運用方針は、新しい運用チームがしっかりと考えながら、リスク管理をしっかりやりながら、資産運用、預かり資産の運用については、積極的に、国際的な水準でやっていくということになります。結果として、国債がどう動くかということについては、これは日銀の方がお考えになられる。私どもは、幸いにして、これだけの国債の保有高がございますので、リスク資産になるか、ならないかということを心配しながらということは、ここでは横に置いて、それで、日本の金融機関として、具体的にこういうことをやっていきたいという、いわば高度な預かり資産の運用と、それから、リスク管理、これを実現することができればと思っています。
【記者】
質問が2点ありまして、1つずつお願いしたいのですが、配当性向を連結で50%以上を目指すとあるんですけれども、この6月にもですね、2015年3月期の配当利払いがあると思うのですが、この時点では、どれぐらいの配当性向を目指されるのでしょうか。
【社長】
本年6月の配当の話というのは、この次の上場に当たっての、いわば本申請に当たっての検討事項というか、発表事項のうちに、大まかな形は必ず書き込まなければいけませんから、それまでには、はっきりいたしますけれども、まだ。
【同席者】
今年の6月の配当の話なんですけれども、まだ上場前でございますし、株主が100%財務省ですよね。したがいまして、これから財務省と相談をして決めていくということになりますので、まだ全く白紙でございます。
【記者】
逆に言うと例年どおり、持株単体ベースの利益水準から25%から30%の軸で払うというのが……。
【同席者】
決まったわけではございません。
【記者】
もう一つなんですが、今回、2回目の中期経営計画を発表されてですね、ちょっと抽象的な質問で恐縮なんですが、西室社長としてですね、この中期経営計画は、日本郵政の上場に注目している投資家に対してですね、十分な情報開示に、正当性を示すとか、そういうことも含めてですね、十分な情報提供に達したかどうかという評価を、ちょっとお聞きしたいんですけれども。
【社長】
すごく難しい質問ですね。これから先のことを考えて、私は今回の中期経営計画というのが、昨年との比較論においても、そして、それ以前は大体中期経営計画がない会社でしたから、そういう意味では、相当な進歩があったと思います。ですから、私自身としては、本当によく皆さん努力をしていただいて、それぞれの部門で最大限のリスクも考えながら、できる範囲のことを積み上げた結果、こういうものができたということには満足感を覚えています。
【記者】
言葉尻を捉えるようで大変恐縮なんですが、確かに1年前の中期経営計画に比べるとですね、具体的な数字の盛り込み方とか、施策にも断然グレードアップしているとは思うんですが、一方で、これまで何回も言っているようにですね、ROEとか、OHRとか、他の会社、上場している企業、同業他社との比較を容易にするような横軸のラインの数字が一切ないというところがですね、投資家からも従来指摘されているところでもあるし、今回の中計の中に盛り込まれていないというのは、ちょっと何かこう……。
【社長】
誠にご不満を感じられるのは、よくわかるんですけれども、私どもも不満を感じています。これはですね、上場会社と非上場、未上場会社というのは、市場あるいはレギュレーションの取り扱いが全然違うんです。未上場の会社が、そういう詳細について発表するという行為については、法的には大変問題がある。それで、最終段階で私どもはまとめて、ここまでは何とか公開してもいいだろうなという限界がこれ。もっと詳しい数字はいっぱい作ってあるんですけれども、これを今から公表することについては、法的な疑義があるというように、弁護士さんと相当激しいディスカッションを重ねました、そういう結果として、何とかこの程度、というところで止めているという理由は、法的にまだ未上場の会社が上場会社と同じようなパラーメータを発表するのは大変危険である、というふうに言われたからです。それで、それに従っているというのが現状です。
【記者】
事務方の方でもいいのですが、1年前に発表した中計だと最終損益が3,500億円で、今回が4,500億円にしたと。足元の今期の今走っている期の状況を見れば4,500億円というのは足元を見ながら考えられたのかなとも思うんですけど、去年立てたときに3,500億円だった、先ほど社長の話だと、状況は結構、外部環境厳しいという話の中でこういう数字になっているというのは、どう理解したらいいのか教えていただきたいのと、これは社長にお伺いしたいんですが、この4,500億円という数字は、足元の数字を見ていると安定感、安定していますよ日本郵政、という感じのような気もするし、いや、ちょっと成長していきますという成長路線を打ち出したとも言えるし、安定か成長かどちらか教えてください。
【社長】
それでは、最後の質問は私宛てですから、私の方からお答えすれば、安定と成長と両方を淘汰したものを加味した上で、結果的にこの数字になったということでありますから、数字としては、我々としては、現在出せる数字という意味では、こんなところかなと思っています。
【同席者】
統括的なことを申し上げますと前回初めて中計を発表して、いろんな計数、目標が相当保守的に作ったところは否めないというところでございますけれども、今回ですね、特にゆうちょ銀行等の資金収支ですね、みたいなものをですね、もう少し当方の実力に沿った形で見直して、ある程度当方の実力に沿った計数を出したというのが、一番大きかったところでございます。
【同席者】
今、ご質問のかなりの部分がゆうちょ銀行の数字に影響されておりますので、当行は、2017年度の利益目標、先程、西室社長の方からご説明申し上げたように3,300億円でございまして、前回出しました時が2,200億円でございます。その要因は、資料でいいますと、今日お配りをしております資料で申し上げますと、前提条件が50ページで、要因は49ページでございますけれども、ここにもございますように、やはりその時よりも金利の前提条件がマイナスになっているという中で、外国証券を中心にこのサテライト・ポートフォリオのところを更に拡充した計画になっているということ。それから、これまでに円高局面を捉えて投資をしてきております外国債券の償還に伴う為替差益が2017年度以降本格化するという要素もあること、それから、ご案内のとおり、預保料率が引き下げられておりまして、その分、コストの削減になっていること、あるいは若干ではございますが、法人税も若干プラスに働いているといったようなことを、いろいろ細かいことを精いっぱい積み上げまして、この数字になっているということでございます。
【記者】
あともう1点、郵便の話で、一つは日本郵便としては、これからの3年間、基本的にはちゃんと利益を出していけるということでいいのかということと、その中でも郵便事業というところはどういう利益になっているかというのを教えてください。
【同席者】
日本郵便につきましては、この3年間も安定的な利益の確保ということができると考えております。計数につきましては、先程もございましたとおりで、連結当期純利益300億円。ただ、先般のトール社の買収にもございますように、これから国際物流というようなところにも目指してまいりますので、国際的にも比較できる数字ということでEBITDAなどを1,900億円ということで、利益の目標ということで書かせていただいたところでございます。トール社につきましては、先ほども西室の方からもございましたとおり、今現在でまだディールが終わってございませんので、計数の中には入れてございませんけれども、これを除きましても、いわゆる荷物の分野というところで、2016年度のゆうパックの黒字化というようなところを軸にいたしまして、特に通販の市場というところで、積極的な営業の展開と一層の生産性の向上というようなところをやっていきたいというところでございます。
 ただいま現在の、昨年公表させていただいた中計では、2016年度でゆうパックが5億個というような目標を掲げさせていただいたんですけれども、本日の資料にもございますとおり、2014年度末でですね、既に4.89億個ということでございますので、ほぼほぼその目標に近いような個数で目標を立てさせていただいた感じでございますので、2017年度にはありますように6.8億個までこれを伸ばしていきたい。それに伴って費用の増というようなところをネットワーク再編等によりまして、できるだけ業務量の増加に対して費用の伸びを抑えるというような戦略でもって安定した利益というところを郵便・物流事業分野でも確保していくような戦略でございます。
【記者】
ちょっと細かい話なので、もしかしたら、ゆうちょ銀行の方の方がふさわしいのかもしれませんが、運用戦略のところの考え方を教えてください。サテライト・ポートフォリオを拡大するというお話があります。これは、国債がどんどん償還部分を新しく国債に投資しないで、サテライト・ポートフォリオの方に振り替えていくという考え方なのか、それともある一定の国債の部分は売っていかないと、この45兆円から60兆円に拡大というのは進んでいかないという計算になっているのか、そこのところを1点教えてください。
 2点目は、新しく外部運用を、委託運用をするというアクティブ運用の開始とあります。これは時期、見通しいくらとか、今わかる範囲でどういう高度化を図っていくのかというのを教えてください。以上、この2点。
 もう一つ、西室社長にお伺いしたいのは、もちろんこれ中計とかには入らないんでしょうけれども、今後の買収戦略についてですね、大型買収も発表されましたけれども、今後さらにエクイティストーリーを作っていく上での買収戦略ということについて、どのようにお考えなのかをお聞かせください。
【同席者】
まず、お尋ねのこのSPの残高につきまして、2014年度見込みが46兆円位を60兆円ということでございまして、かなりの数字上はご案内のとおり、結構な急ピッチでございますけれども、この今の計画上は毎年の償還を迎える国債はもう少し、当然多ございますので、計画上は償還を迎えたものを振り向けていくということで、数字は達成ができる、数字上はできるということでございます。もちろん、ただ、その前提のもとで、どういう具合の具体的なオペレーションをしてまいるのかというのは、先程社長がご説明申し上げましたように、その時々の金利状況等、あるいは私どものマーケットにおけるポジション等を十分に考えながら、配慮してまいりたいというふうに思ってございます。
  それから、2点目の委託運用におけるアクティブ運用ということで、これは今、これは私ども中計期間中に意識をしているものでございまして、いつ具体的にということは申し上げられませんけれども、少しアセットクラスをですね、委託運用、委託者の方の裁量でチェックするということも認めたらどうかということを考えているということでございます。
【社長】
これから先の投資はどのように考えるかというご質問ですよね。具体的には申し上げられませんけれども、積極的な投資を続けていくつもりで考えております。やはり、これからグローバル化するんだ、という大きな意味での経営目標は、これは私どもが今まで日本の国に育てていただいた企業ですけれども、私どもができることから考えたならば、やはりロジスティクス全体を考えると、更に投資が必要だろうと思います。それ以外の投資機会もあるだろうと思います。それについては、積極的、前向きにこれからも検討していきたい。多分、その後で質問が出そうなのは、この前の資本のリアロケーションだと、何だかその分は全部トール社に使ったんじゃないかという話になるのかもしれませんけれども、これは、それだけが資金ではありませんので、それ以外の資金調達その他も、決して私どもの信用を持ってすれば、困難ではないと考えております。
【記者】
積極的な投資は、物流のロジスティクスのところだけを……。
【社長】
それだけではありません。
【記者】
金融の2社でもあり得ると……。
【社長】
それはあり得ると思います。
【記者】
ゆうちょ銀行の、資産運用の評価なんですけれども、社長にお尋ねしたいんですけれども、これがゆうちょ銀行の将来のビジネスモデルといいますか、日本郵政全体の収益基盤なり収益力に与える重要性というのをどのように見ていらっしゃるかというのが1点、もう1点が、先ほどガバナンス強化ということで、本申請、上場の本申請までには兼務は解消されたいということなんですけれども、本申請の時期の目途ですとか、その時期の目途を教えていただければと思います。
【社長】
これは、実はですね、資金運用、つまり、預かり資産をどのように効率よく運用するかということは、当然のことながらリスク管理も含めての話になります。この二つを今まで日本の金融機関の大きなサイズの金融機関では、具体的にいうと、世界標準からいったら、相当に違っていたように思っております。そこで先程から申し上げている、新しい人員の募集、これを何でやるかというと、全く新しい発想で世界的な基準から見ても、しっかりとした資産運用とリスク管理ができているなというご評価がいただけるようになりたいということで、今それを育てようという姿勢を皆さま方にも公表し、やっているということであります。
 それから、もう一つの兼務の期間というのは、先程説明しましたように、本申請の時期と、それまでの間には何とかしようと。実は、昨日、予備申請やらせていただきました。それで、予備申請は井澤前社長の名前で出させていただいた。それで、今度、本申請を出す時には、私の名前ではなくて、新しくゆうちょ銀行の社長になられる方の名前で、本申請はやるべきだと思うし、それはやれると思っております。それで、その時期の問題ですけれども、ご承知のように、予備申請というのは、普通、審査に約3カ月程度は掛かりますから、3~4カ月たって、それで、それが過ぎてから本申請ということになります。そういう意味で言うと、少なくとも3カ月という予備申請の審査期間がありますから、その期間内には新しい方がちゃんと座るようにしたいということを、どうも一々それを解説するのはまずいとは思ったのですが、そういうことです。
【同席者】
まだ時期は確定できません。
【社長】
時期が確定しているのだったら、このように言わないで済むのですが、まだ確定していないので。けれど、いずれにしても本申請をやる時には、きちんと新しい社長の名前でやりたいと。それをやるのは、私自身もコーポレートガバナンスについて、今回の兼務をすることについては疑問というか心配もいろいろあります。殊に株式市場に対する影響等も考え、差し当たっては、一時的にやらせていただきますけれども、やっている間はまじめにしっかりやるつもりですが、同時にまじめにしっかり人選も進めるということにしたいと思っています。
【記者】
かんぽ生命のところで、高齢化社会に向けた対応みたいなお話が少し出てきたと思うんですけれども、今後、グループとして介護事業などの何かそういう戦略というのは、お考えでいらっしゃらないでしょうか。例えば、そのような将来的な話として、リバースモーゲージだとか、そういうことに対して西室社長はどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、というところについてお願いします。
【社長】
ありがとうございます。私どもが、みまもりサービスをやるということを始めて以来、地方の創生、その他、付託される範囲の中の延長で、介護事業というのはあり得る話だと思っています。つまり、まずは一番大事なのは、我々の事業の中の保険事業というのを、今日お約束したというか、今日発表したような形で、しっかりと反転をさせるということがあります。そこに留まるのではなくて、せっかく、これだけの、日本最大の生命保険会社になっているわけですから、そのデータベースを積極的に活用して、その結果として、やれることの一つは、多分介護の事業だろうと思います。ですから、そういう部分についても何らかの形で考えていきたいと思います。
【記者】
あと、もう1点だけ、申しわけありません。これは投資にも関係してくるんですけれども、このトール社以外の1,800億円位の成長的な投資額のところで、先程、金融だとか、いろんなものにも使えるとのことですけれど、今、いろんな子会社がどんどん増えてきているように見えるんですけれども、グループ経営ということを、グループとして大きくなろうとしていらっしゃるということなのか、そのあたりをちょっとお願いします。
【社長】
郵政グループというトータルのまとまりの中で、それはどの会社がやるのが適当かというのは、それぞれの会社に分けて考えなければいけないし、その上に直接、子会社が、あるいは本社がやるべきものかどうかということについての分類も、これも考えておかなければいけないということであります。というのは、ご承知のように、金融事業というのは、いろんな意味で規制が多いところですが、それを規制の範囲内でやっていく上で、いろいろな仕組みが必要になってくるだろうなと、考えています。だから、介護の話も含めてですね、投資の対象には、当然なると思います。
【記者】
ITの活用とか、業務の見直しなどで生産性を高めていくということですけれども、いわゆる総体労働力というものは、これから2017年度にかけて増えていくと。これは、どこに人をこれから配置していくのか、重点的に配置していくのかというのが1点です。
 もう1点は、郵便局ネットワークといいますと、郵便局の数については、この中計の期間、どういう見通しでご覧になっているのかという、この2点、お伺いします。
【社長】
それでは、2点目の郵便局の数の話から先にしますと、かねがね申し上げているように、私どもは経済的な判断だけで郵便局を閉めることはしません。これは、私が着任以来、ずっと申し上げてきたことです。今の法律でユニバーサルサービスが要求され、そして、地域、社会のために、しっかりと貢献しろという前提が付いている以上は、我々の、いわば経済的な理由だけで郵便局を閉めるということはありません。
 それから、今の、人をまたたくさん採るようだけど、どこに使うのかという、こういうご質問ですね。ご承知のように、私どもの会社、既に相当大量な雇用をしております。しかし、この中で、人を増やさざるを得ないような部分というのは、実際には決まった形の雇用を既にしている部分、それにほとんど重なるような気がいたします。前から申し上げているように、トータルの雇用人数を問われると、ほぼ40万人と、こう申し上げています。組合員の数が23万人。そのギャップの部分というのは、いわば雇用の形態が違う方々ということになりますよね。それで、これから先の労働需要の切迫も考えれば、やはり私どもは、社内化できるようなことについては、社内でやっていくということにせざるを得ない、それでないと、安定的な企業運営ができなくなる時代が、目の前に来ているような気がします。そういう意味から考えて、雇用数は増える方向にあると言わざるを得ないと思います。
【同席者】
日本郵便の方から補足をさせていただきます。資料で申し上げますと、41ページのところでございますけれども、労働力の見通しということで、2014年度総体労働力36万1,714名が、2017年度で37万人ということになりますので、おっしゃるとおり、労働力の数としては増えるということになります。これは、先ほど申し上げましたとおり、ゆうパックでございますとか、そういった、主として郵便・物流関係の、処理しなければいけない業務量に係る、荷物の数、業務の数自身が、物量の数自身が増えますので、ある程度やむを得ないということではございますけれども、点線の中に括弧書きで再掲出してございます新一般職という形で、こちら、役職への登用もないかわりに、転居を伴う異動もない、こういうものでございます。こちらの方が約1万5,000名ほど増えているということでございますので、本年度の、特に運輸業界一般で人手不足ということがあり、期間雇用社員の定着にも、やはり私どもとしても苦労したということがありまして、こういった部分につきましては、やはり、この中にもございますが、安定的な労働力の確保ということで、正規の社員という形でその措置をしていきたいということから、特に新一般職という部分で労働力の分ということは増えていると、こういう形でご理解いただければと考えております。
【記者】
収益拡大のためのですね、戦略のところですね、国内物流事業について1点お伺いしたいんですが、ご説明されなかったセグメント別のですね、アクションプランの方ですね、37ページにあるかと思うんですが、こちらの方に取組みがいくつか書いてある中で、ゆうパケットによる他社宅配便からのシェア獲得というのが一つあるんですが、これについてですね、先般の参院の予算委員会の中で、特定信書便問題といって質問があったかと思うのですが、この中で、割りとやりたくない事業、JPでやりたくない事業だけをですね、開放しているのではないかといった指摘も議員からあったかと思うのですが、先般のヤマト運輸がメール便事業から撤退したということもあるんですが、そういった中で、こういった信書便問題、特定信書便問題ということと、ちょっと言い方悪いですけれども、間隙を突いたと言うような、ちょっとイメージもあるんですが、そのあたりも含めて、ちょっとご所見をいただければと思うんですが、よろしくお願いします。
【社長】
ちょっと書き方がまずかったかなという気がするんですが。
【同席者】
まず、信書便、国会で、先日来そういうやりとりがあったと聞いておりますけど、信書便事業についてどうするというところは、もちろんこれは私どもが決める話ではございませんので、政府の方でお決めになることです。今回の国会にも特定信書便の範囲を見直すということで法案が提出されていると聞いておりますので、その件についてはそちらで議論されるお話かなと思っております。今回の私どもの物流事業の成長戦略というのは、そういうところとは、あまり強く意識しているわけではございませんで、通販事業が大きくマーケットとして成長していく中で、私どもの特徴を生かして、良いサービスを提供して、ゆうパック、ゆうメールのですね、個数を増やしていこうということですので、規制の方の話とは、直接関係してやっていくことではないということでございます。
【社長】
あえて付け加えさせていただきますとね、今、非常に小口のデリバリーというのが、どんどん需要が増えているのです。それで、この広大な、つまりeコマースが非常に盛んになっている世界の中で、非常に増えている部分で、それのデリバリーを必要とされる方々から、私どもにいろんなリクエストがございます。もう少しサイズの小さいの、定型的なやつはやれないかとか、かねてからいろいろご要請もあったので、それで新しい形を、この間もゆうパケットというのを出したんです。それから……。
【同席者】
ゆうパケットと、それから先日出したのがスマートレターという、レターパックの小さいようなのを出しております。
【社長】
それは要するに、別にヤマトさんからシェアをとろうと思っているのではなくて、非常に膨大なニーズがあるその市場の中で私どもは、しっかりと私どもにできる事業を確保して差し上げるのが我々の義務だと思います。ですから、そういう形でお考えいただきたいと思います。何しろ市場の拡大の仕方が非常に大きいものですから、だからその中で何もしないでそのままにしておいたら、多分、私どもはシェア的に小さくなるだろうと、それで、やはり大きくなっていく市場の中で、シェアはしっかりと取っていきたいというのは、ちょっと表現の仕方で勇み足になったかもしれませんけれども、よそ様の仕事を奪い取るというつもりでやっているわけではありません。
【同席者】
これは当然、国内向物流事業の中の項目として書いていますので、先程おっしゃられた信書云々というような話ではない。荷物の分野で、我々がビジネスとしてどのような手を打っていくかというところの1つとしてこれを書いておりますので、そういう中では、やはり我々は小物、薄物をメリットというふうな相対的な強みとして出しておりますので、この中で、当然宅配便という分野の、その中の競争として、結果的にはシェアを獲得していくということも当然あり得るだろうということで書いているものでございます。
【記者】
トール社の扱いで確認したいんですけど、目標の純利益とかには、トール社の分は入っていないという、開始前ということで入ってない数字だと思うんですけれども、この38ページとかで、グローバルTOP5とかですね、理念のところだと、トール社を含めたものとかですね、書かれていると思うんですけど、現状で見込まれるトール社の分の上乗せとかですね、もしトール社を得ることでの国際物流の展開によって、御社の事業としてどれだけ効果が見込めるのか、現状でもし見込める期待値みたいなものがあればどれ位になるか。
【社長】
現状では、まだお話をするには早過ぎると思います。しっかりとトール社のディールが完成するのは、やはり夏近くになると思いますので、そうなった時に、いろんなメリットについてのお話もできると思いますが、今、まだ不確かなお話についてお答えする場所ではないと思います。
【記者】
では、この4,500億円の数字にトール社が加わって、そのプラスアルファの部分は、加わってくると見ておいてよろしいでしょうか。
【社長】
加わりますね、結局は。
【記者】
日本郵便に関して質問が2点あるんですが、1つは、その投資額ですね、こちらの資料では、主要な投資だけで7,400~7,500億円になるかと思うんですが、この前提は外部からの資金調達は不要で、これは十分投資できるということでよろしいのか、これが1点目です。
 2点目は、昨年9月に資本配分をグループで見直されたと思うんですが、やや日本郵便の手元資金、資本構成、例えば西室さんのおっしゃったような、ややトール社の買収で薄くなってくる部分があるかと思うんですけれども、上場前にまた資本の配分をされる可能性があるのかないのか。あるいは、上場時の売却、金融2社の売却収入をですね、増資資金に充てるという可能性はないのかどうか、2点お願いします。
【同席者】
日本郵便として、この投資につきましては、基本的に、今の計画上、他からの更なる資金調達というものは、考えておりません。
 ですから、当然、これによりましてかなりキャッシュアウトというふうなところが、生じるというのはおっしゃるとおりでございますけれども、現時点ではですね、それに伴って何らかのものというようなところを前提としている計画ではございません。
 ただ、今後の展開で様々なことというのは、当然検討はされておりますけれども、この計画上は、そういったところは全くない、自前で全てキャッシュ的にもあるという計画になっております。
【社長】
それでよろしいですか。さっきのディテールのお話は、申しわけございませんけれど、資本政策、あるいはキャッシュフローの政策についてのご質問ですから、ちょっと今は答えられないというのが一番簡単な答えです。
【司会】
それでは、ここで中計の関係の質疑は終了にいたします。続きまして、もう1点、お話がございますので資料を配布いたします。
(資料配布)
【社長】
これは、私どもの子会社の投資案件ということでございまして、そういう意味では、価値が低いのかというと、私どもとしては、グループの将来について、非常に重要な買収案件だと思っております。
 ここにありますように、日本郵政の100%子会社である日本郵政スタッフという会社がございます。これがテレマーケティング企業の株式会社ツーウェイシステム、これを子会社化する、つまり買収をするということが本日決定をいたしまして、それの買収のディールが成立いたしました。
 具体的に言いますと、本日、4月1日で日本郵政スタッフが株式会社ツーウェイシステムの創業者であり現社長の千田敏雄氏及び株式会社JCBと株式譲渡契約を締結いたしまして、発行済み株式の82.87%を取得することになりました。
 日本郵政グループとしましては、業務効率化の観点から日本郵政スタッフを軸にグループ共通業務のシェアード化を進めてまいっております。コールセンター事業というものは、お客さまとの重要な接点でありますので、効率的な運営とともに、高い業務品質が求められると思っております。業務品質や効率的な運営で競争力を有するツーウェイシステムを買収させていただくということによって、グループのコールセンター業務の早期のシェアード化を達成することができると思っています。
 それとともに、現在、ツーウェイシステムの非常に高いレベルのコールセンターのソフトウエアの競争力、それを日本郵政グループのブランド力と融合をさせることによって、さらなる収益の拡大を図ることができるだろうと思っています。
 日本郵政スタッフ、それからツーウェイシステムの詳細につきまして、お手元のパンフレットをご覧ください。先程発表いたしました「日本郵政グループの中期経営計画~新郵政ネットワーク創造プラン2017~」にも掲げられているとおり、日本郵政グループとしては、「トータル生活サポート企業」として、お客さまの一人一人のお役に立ちたいと考えておりますので、本件はその推進に大きく貢献してくれるものであると思っています。
 ちょっと言葉をかえて簡単にお話をすると、コールセンターというのは、非常に各企業にとって大事な部分であります。それで、その部分について、コールセンターをアウトソースするか、インハウスにするかということから始まって、いろいろなやり方があります。このツーウェイシステムの持っているコールセンターのシステムというのは、現状では最も優れたシステムだと私どもは評価させていただいております。これは、コールセンタービジネスということを考えた時に、このビジネスの中で非常に意味のある会社の買収であると思っております。
 そういうことで、今日、わざわざ時間をいただいて、発表させていただいたということでございます。
 以上です。
【記者】
1点だけ、ツーウェイシステムの買収にかかる費用はどの位で、もしきっちり言えなかったら桁位をお伝えいただければと思うんですけど。
【社長】
約50億円位。
【記者】
この会社を手に入れるということで、コールセンターという話がありましたけど、どう活用していくというのは……。
【社長】
コールセンターを効率的に運用するという、そもそも日本郵政スタッフというのは、そういうこともやっている会社なんです。それをどうやったらもっと効率的に見ることができるのかということで、ツーウェイシステムというのが一番現状ではいろんな意味で優れているということです。それだったら、その会社を獲得することによって、将来のビジネスの可能性を広げ、コールセンター事業分野への進出を拡大させる可能性は、将来あるだろうと思います。
【記者】
どこかに書いてあるかもしれないんですけど、売り上げと利益の規模を教えてください。
【同席者】
このツーウェイシステムのですね、売上高だけ申しますと、2013年度で56億円ですね。利益は公表されていません。
【記者】
今のところで、利益を公表してないということですけど、赤、黒とか含めてということですか。
【同席者】
もちろん黒です。
【記者】
黒。それはぎりぎり黒なのか……。
【社長】
価値観の問題ですから。これはしっかりと黒字を上げている会社で、コールセンター事業というものはこれから先、発展の可能性があると思っております。
【社長】
どうもありがとうございました。

関連情報

グループ中期経営計画については、以下のページをご覧ください。
グループ中期経営計画

会見模様(動画)は以下のページをご覧ください。
2015年4月1日 水曜日 「日本郵政グループ中期経営計画 ~新郵政ネットワーク創造プラン2017~」の策定について