- 現在位置:
- 日本郵政ホーム
- 日本郵政株式会社の社長等会見
- 2024年6月26日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
2024年6月26日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
- [会見者]
- 日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
- 【社長】
- 本日は日本郵政グループの新しいコミュニケーションについて発表させていただきます。
お手元の報道発表資料をご覧いただきたいと思います。当グループが2021年度に策定をいたしました中期経営計画、「JP ビジョン2025」という名称ですが、今年、中間年で見直しを行い、先月、その改定版ともいうべき「JP ビジョン2025+(プラス)」を公表したところです。今年度、2024年度、そして来年度、2025年度の2年間を計画期間とした中期経営計画の改定版ということになります。
この「JP ビジョン2025+」の実現を広報・宣伝活動の領域から後押しするとともに、当グループおよび郵便局への期待感を醸成していくために、来月7月から当グループ横断で新しいコミュニケーションを展開してまいります。本日はその新しいコミュニケーションのコンセプトを一足先に、記者の皆様方にご紹介をさせていただきたいと思います。内容を取りまとめたコンセプトムービーを上映したいと思いますので、ご覧いただきたいと思います。
〔映像上映〕
テレビCMの展開については、まず持株会社である日本郵政のグループ広告を7月中旬より開始をして、その後、日本郵便、かんぽ生命についても7月中に開始をする予定であります。また、その前段として、グループ広告の内容に期待感を持っていただけるような予告の広告を公式SNSアカウント上で展開させていただく予定です。
なお、日本郵政のグループ広告の詳細につきましては、7月10日水曜日に報道関係の皆様にお知らせをさせていただきますので、ぜひご覧いただきたいと思います。今後もグループ一体となって郵便局のブランドイメージを高めて、郵便局への期待感の醸成やグループの収益力向上にもつながるよう取り組んでまいります。
私からは以上でございます。
- 【記者】
- 郵便事業についてお尋ねいたします。日本郵便において、はがきなどの値上げを発表されておられます。郵便事業、いったん黒字になると思いますけど、将来的には赤字になる試算をされています。今後の再値上げを視野に検討を進められるのか、検討のスケジュール感も含めて、ご見解をお聞かせください。
- 【社長】
- 郵便料金の引き上げの関係でありますが、先般、手続きが終わりましたので、本年の10月1日に料金改定をさせていただく旨、今月の13日に日本郵便から報道発表をしたところでございます。
今お尋ねがありましたとおり、今回の料金改定を行っても、郵便事業の収支自体は厳しい見通しを持っておりますが、今はまず、お客さまにご理解いただくために、今回の引き上げ内容についてお知らせすることに全力を挙げております。その上で、できるだけお客さまのご理解をいただきたいと思っておりますが、料金の引き上げが郵便の全体量にどのように影響するかについて、一定の予測はしておりますが、実施してみないと分からないところもあります。とにかく今はしっかりお知らせをして、10月1日から料金引き上げをした上で、新しいサービスも投入し、収益をできるだけ上げていくように、懸命な努力を行っていきたいと思っております。
その上で、少し時間が経過した後、収支状況やお客さまに郵便料金の引き上げがどの程度受け入れられるのかという受容性を含めて総体的に判断して、今後どのようにしていくのかを考えていきたいと思っております。再引き上げをするかどうかということを今決めるわけではなく、まず、今回の引き上げをご理解いただくための準備に最善を尽くし、料金の引き上げによって最大の収益を上げられるように全力投球をしていくというのが今の段階です。
その先については来年以降考えていきたいと思いますので、そういった際にまたお話をできればと思っております。
- 【記者】
- 前の質問と関連して、ご説明の中で新商品もというようなお話がありましたけれども、収益性を高めるという点で、新商品の導入というのも大事なことだと思うのですけど、現状可能な限りでどういった点を考えてらっしゃるかお考えを伺いたい。
- 【社長】
- まだ具体的にお話しできるほど固まってはいないのですが、例えば代表的な商品である2025年用年賀はがきについて、より魅力を高められるようなことができないのかといったことを、日本郵便の中でいろいろ検討をしているというのが一つあります。
それから、日本郵便の商品の中でかなり優位性があり、お客さまからも好評なポスト投函商品、現状ですとレターパックプラスやレターパックライト、スマートレターなどがありますが、これは大変お客さまからも好評ですので、そういった全国で17万5,000本程度あるポストを使ったポスト投函商品のようなもので、また新しいものが工夫できないかどうかといったようなことを検討しているところです。
- 【記者】
- 総務省の審議会で、郵便料金(制度)の見直しに向けた議論がこれから始まると思います。これまでも見直しが必要だという話は出ていたと思いますが、日本郵政が会社として、この郵便料金(制度)の見直しに向けた議論にどういったことを求めていくのか、ヒアリングもあると思いますけど、今、現時点で考えていることがあれば教えていただければと思います。
- 【社長】
- 審議会でどの範囲まで議論するのかということについては、これから総務省でお考えになると思います。総務省から十分話を聞いているわけではないのですが、7月に入ってから実際に会合が開かれて、私どもも早いタイミングで呼ばれると聞いておりますので、今の郵便料金の仕組みや、現状どういう点が問題になっているか、今内部で内容を検討しています。これからさらに検討して、審議会の場でお話をしたいと思っています。
現在は、郵便分野で収支を全て見る形になっていますけれども、例えば同じ分野では物流分野もあって、郵便・物流全体で見る形にするのか、もちろん会社として全て決めているわけではありませんが、そういうのも一つ論点になると思います。それから、料金改定について多くの手続きが必要になっていて、これは主に、総務省でそういう手続きをやられるわけですが、そういった手続きなどの面についても、恐らく議論になるのではないかと思っています。当グループとしても料金制度の仕組みや、収益をよくするための料金設定の在り方について、これはまさに、私どもの経営努力にかかっていると思いますが、総務省ともよくお話しをしながら、どこまでのことを審議会の場で議論するか確認した上で、中身を決めていきたいと思っています。
- 【記者】
- 現段階では、何か御社としてのスタンスを示すというよりは、そのヒアリングのタイミングまでに固めてということでしょうか。
- 【社長】
- そうです。今のところ、そういうつもりですし、お伺いした限りでは、1年ぐらい時間をかけて総務省で議論されると聞いておりますので、今回の10月の値上げの効果が見えてきた段階でも、審議は続いていると思いますので、そういったことも念頭に置いて、総務省とよく議論していきたいと思います。
- 【記者】
- 山口県内で郵便局を使ったオンライン診療が、実証ではなくて、実装として始まったことが報じられましたけれども、今後の横展開的な動きに向けて、日本郵政グループとしてのお考えをお願いいたします。
- 【社長】
- 郵便局を使ったオンライン診療というのはこれまでも実験的に、震災のあった能登地方の七尾市でも、昨年の秋から行っていましたし、震災の後も少しですが行いました。また、今お話しいただいた山口県周南市でもこれから始めますし、愛媛県宇和島市でも行っておりました。
いずれもやり方が少しずつ違っていて、七尾市などは、政府で手配してもらった予算などを使って、政府から自治体に働きかけをして、地域の医師の協力もいただいて、オンライン診療ということで、利便性を高めてきたところです。今回については、私が聞いたところ、医療体制を確立していく上でオンライン診療が非常に有用だということで、地元の市でいろいろ予算なども組まれて、郵便局を巻き込んで実施されるということのようです。仕組みが今までとは少し違うということですが、地元の行政で熱心でやられるということは、ニーズがそれだけ高いからということだと思いますので、今回の山口県のオンライン診療も、しっかりと成果が地元に見えるように、私どもとしても最善の努力をしていきたいと思います。いい効果が見えてくれば、同じような課題を抱えられている自治体の有用な取り組みの一つになると思いますので、私どもとしては、この山口県内のオンライン診療の成功に向けて期待をしていますし、努力をしていきたいと思っています。
- 【記者】
- 先月行われた「ローカル共創イニシアティブ」のイベントで、増田社長が、企業や団体が地域との関係性を持とうとするときに、郵便局がつなぎ役になっていけるような仕組みを本格的につくろうとしているというようなことをおっしゃっていたのですけれども、具体的にどのような形で、どこまで進められていらっしゃるのでしょうか。
- 【社長】
- 全国に2万4,000近くある郵便局のうち、いわゆる地方部のかなり人の少ないところにある郵便局というのは6,000~7,000局程度あると思いますが、そのような郵便局が地域課題の解決のために機能を発揮できると、非常に地域にとっても役立つと思います。一方で、郵便局自体も小規模な郵便局が多く、そこに社員が多くいるわけでもありませんので、むしろ郵便局が声かけの中心になって、そこにある企業やいろいろな団体、それからもちろん自治体もそうですが、そういうところのハブ的な機能を果たすことによって、何か地域課題の解決につながればと考えているところです。
郵便局長をはじめ郵便局の人たちは、どこに誰がいて、どういったスキルを持っているのかということはよく知っている者が多いので、この問題だったらこの方の力を借りると解決につながるというようなことをかなり具体的に提示できる場合もあるのではないかと思います。そういう意味で、郵便局が地域の企業だとか団体の、そういうつなぎ役を果たせればということをあの場で申し上げました。
「ローカル共創イニシアティブ」でそういった取り組みをやろうということで、当グループの社員を派遣し、いろいろ経験も積んできたこともありますので、これまで取り組んできたことや今派遣されている先でもいい事例をさらにつくっていければと思っています。自治体からも、郵便局の参加を呼びかける自治体もだんだん出てきていると思っております。自治体の証明書の発行だとか公的業務以外にも、地域に存在する郵便局が力になれるのではないかという、そういう意向や雰囲気も出てきていると思いますので、地域の課題解決につなげていけるのではないかと思います。
具体的に動き出すのはもう少し時間がかかると思っていますので、一つ一つ、可能性が高いものは実現に向けて、一つのプロジェクトとしてつなげていければと思っています。
- 【記者】
- 日本郵政グループの危機管理について、特に自然災害に対する人員体制やシステムは、今どのような形で準備を進められていますでしょうか。
- 【社長】
- 最近はかなり災害が多くなっています。本社のある東京は首都直下地震のリスクもあるので、災害危機管理体制については強化に努めております。例えば本社でも、自衛隊のOBの方を社員として採用して、災害危機管理部門を担当してもらい、役員を含めて何回か訓練も行いました。9月も訓練を行いますし、昨年も非常参集訓練として、私も朝早く本社に自宅から徒歩で出社するといったようなことを行っています。
非常参集後、基本3日間ですが、本社や支社で他からの補給なしでしっかりと機能を果たせるように、また、拠点的な郵便局が災害のときにも役割を果たす必要がありますので、そういうところも含めて、体制、システム、通信などを強化して、災害の危機に備えるということをやっています。
本社が被災したとしても、例えば国立に中央郵政研修センターがありますが、そこに代替の拠点を設けるようなことも含めて、今いろいろ整備をしている最中ですので、一度に立ち上げるというより、毎年いろいろな訓練を行うことと、施設などの整備強化や拡充なども、毎年積み重ねることがどうしても必要になってきます。そういうことをここ数年、毎年ずっと行ってきております。
それから、自衛隊OBの災害危機管理のプロの方たちについては、本社だけではなく支社の強化も今、考えているところで、そういったことも動き始めたところであります。
- 【記者】
- 郵便局で販売をされている文具、かわいいのとかも多いのですけれども、少し高いような気がして、将来、百均とかと協業してみるようなお考えというのは全くないでしょうか。
- 【社長】
- 郵便局の窓口事業の収益が今厳しいので、収益拡大策の一つとして物販の強化ということもあると思います。私自身は日本郵便からは聞いてはおりませんが、担当の部署はいろいろなことを考えているのではないかなと思います。
- 【記者】
- 昨年度より進めていらっしゃるヤマトの投函商品の委託の問題ですけれども、今どう進んでいるとか、時間制社員さんの採用をこんなふうに進めていますとか、進捗があれば、教えてください。
- 【社長】
- ヤマト運輸様と昨年来、小型、それからDM便について協力を進めていまして、DM便は今年の2月に全量が私どものほうへ移管されたのですが、スムーズに現場でこなせているということです。それから、クロネコゆうパケットは、フェーズを5回に分けてやっておりまして、今第2ステップまで来ているところで、特段問題は生じておりません。
第3ステップが8月、第4ステップが10月、それから最終的には来年2月に全量移管をするということですが、日本郵便からは体制も含めて、ヤマト運輸様とも随分、開始後も何度も話をして順調に移行が進んでいると聞いています。私どもが取り扱う量も増えていますし、当初考えたような形で、スムーズにヤマト運輸様との協業が進んでいると理解しています。
もちろんステップが進むにつれ、これから量もさらに増えていきます。東京のような非常に規模が大きなところは、最終、来年2月の第5ステップに移管となるため油断はできませんので、そこはこれからもよくよく見ておきたいと思いますが、今のところは、想定していたトラブルは起きておりませんし、順調にヤマト運輸様と協業は進んでいると判断しています。
- (※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)