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2024年5月15日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2024年5月15日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
日本郵政株式会社 専務執行役 浅井 智範
【社長】
日本郵政の増田でございます。本日は、2024年3月期末決算、それからもう一つ、中期経営計画「JP ビジョン2025」を見直しまして、新しい名称を「JP ビジョン2025+(プラス)」といたしましたので、その内容についてご説明をいたします。
 初めに、決算の関係です。2024年3月期末決算の日本郵政グループ全体の要旨および配当などの株主還元についてご説明申し上げます。お配りをしております資料をご覧ください。2024年3月期のグループ連結の当期純利益、これは親会社株主に帰属する当期純利益でございますが、こちらは2,686億円、前期と比べまして1,623億円のマイナス、約4割の減益でございます。減益となった主な要因は、昨年の3月に実施いたしました、ゆうちょ銀行株式の売却です。ゆうちょ銀行株式を89%程度持っていたものを、現在61%程度まで比率を下げました。この売却による持ち分比率の低下、これが一番大きな要因ですが、そのほか、日本郵便における郵便や荷物、それから年賀はがきの取り扱い数の減少による減益も影響しております。通期の業績予想については、4月30日に上方修正いたしましたが、見直し後の通期業績予想2,700億円に対しまして、達成率は99.5%でございます。
 なお、見直し前、すなわち昨年の5月公表の通期業績予想は2,400億円でした。そちらに対する達成率は112.0%となります。
 次に、2025年3月期はグループ連結の当期純利益で、前期比113億円増の2,800億円と予想しております。その主な要因ですが、本日、報道発表させていただきましたアフラックインコーポレーテッドへの持ち分法適用化による持ち分法投資損益の計上およびゆうちょ銀行の増益、この二つの要素によるところが大きくなっております。また、主要子会社の状況ですが、まず日本郵便は郵便料金の改定やヤマトグループ様との協業効果によって、その部分は増益になると見込んでおりますが、郵便局窓口事業における銀行手数料、保険手数料の減少、それから営業費用の増加による減益を見込んでおります。会社全体では赤字決算の見込みとしております。それから、ゆうちょ銀行とかんぽ生命ですが、ゆうちょ銀行は資産運用収益が増加するということでの増益、かんぽ生命は一時払い終身保険の販売に伴う標準責任準備金負担の増加および保有契約の減少といった影響がございまして減益と、それぞれ予想しております。
 続きまして、株主還元についてです。2024年3月期の配当につきましては、昨年12月に当初の予定どおり中間配当25円をお支払いしておりまして、期末配当も予定どおり25円とし、1株当たり年間通算で配当は50円といたします。上場来1株当たり年間50円以上の配当を継続してきておりまして、2025年3月期の配当予想につきましては、同じように1株当たり年間配当50円、こちらも中間配当25円、期末配当25円としております。また、株主還元の充実と資本効率の向上を目的として、昨年度より500億円を増加させて、トータル3,500億円を上限とする自己株式取得を実施することといたします。これは明日からということであります。来年度以降も、引き続き自己株式取得などの株主還元を検討し、実施してまいります。
 決算について、私からの要旨の説明は以上でございます。詳しい説明は専務執行役の浅井から行います。中期経営計画の見直しについては、その後、私のほうからご説明申し上げます。
【専務】
浅井でございます。よろしくお願いいたします。グループ全体の要旨について社長から説明がありましたので、私からはこの2024年3月期の決算の概要に沿って説明いたします。日本郵便の郵便・物流事業からご説明させていただきます。
 まず、取り扱い数量をご覧ください。全体では通数174億6,100万、前期比では5.8%の減少ということで減少率が拡大しております。ゆうパック、これはゆうパケットを含む数字ですが、こちらは、ゆうパケットが好調ということを背景にゆうパック全体ではプラス3%、前期のマイナスから増加に転じております。ゆうメールは前期に引き続きまして7%台の減少、さらに郵便は6%減少ということで、前期よりも減少率が拡大しております。この主な要因は、前期はマイナンバーカードの申請やワクチン接種券の送付など、スポットの増加要因があったことと、当期の年賀はがきが減少したことが主な要因でございます。
 これを受けました損益の影響でございますけれども、営業収益が800億円ほど減っております。普通郵便、それから切手はがきの販売、年賀はがき、これで大体600億円ほど減っております。それから、荷物や特殊取り扱い関係などで、全体では大体4%ぐらいの減収でございます。人件費と委託費、これらは費用関係でございますけれども、人件費のほうは、春闘によるベースアップ、窓口事情による郵便局窓口事業からの一部社員のシフトなどもございまして、64億円増えております。それから国内集配運送委託費は、いわゆる契約の見直しなどで増えております。国際運送料につきましては、前期に一部中国向けを停止しておりましたけれども、これが再開したことで、取扱量や運送量が増えております。この結果、営業収益が800億円ほど減収、費用も200億円ほど増え、営業損益は、前年に比べまして1,016億円減少ということで、郵便物流事業は、686億円の営業損失という結果になりました。郵便物流事業は減収減益でございます。
 続きまして、郵便局窓口事業でございます。受託手数料、主に金融2社からの手数料でございますけれども、こちらが384億円減っております。銀行手数料は、ゆうちょ銀行直営店の効率化推進に伴う手数料率ないしは単価の見直しなどで減。それから、保険手数料につきましては、保険募集の件数減少と過去の保有契約の減少に伴って減っております。これに対して交付金、これは予定されているものですが、結果的には受託手数料の約半分が交付金で補われているということでございます。さらに、その他収益が580億円と大きく増えておりますけれども、不動産事業、特に麻布台ヒルズ森JPタワーの竣工などもございまして、これによって収益が大きく増えております。人件費、こちらは郵便局窓口事業から郵便・物流事業への人員のシフトなどもございまして減っております。一方、経費のところは、不動産関連の販売原価、それから一連の費用、維持管理費、減価償却費、一部手数料などもございますが、こういったもので経費が増えております。この結果、営業収益は388億円、3.6%の増収、費用は、経費が増えた結果、全体としては152億円、1.5%増えて、最終的には、営業利益は、前期比236億円、48%増益の729億円ということで、郵便局窓口事業は増収増益という結果でございます。
 続きまして、国際物流事業でございます。営業収益は、前期比ですが、10億9,900万豪ドルの減収ということで2割弱減っております。主にフォワーディング事業の世界的な貨物運賃の下落、それから取り扱い数量の減ということで、これが主に減収要因ということでございます。営業費用も10億8,600万豪ドルとかなり減っております。これは、取り扱い数量の減少に加えまして、人件費、オペレーションの合理化など、効率化で人件費も一部減らしておりますが、収益減をカバーするところまでは至らず、営業損益は1億豪ドル、前期比1,200万豪ドル、約1割の減益ということで、国際物流事業は減収減益ということでございます。ちなみに、セグメント別には一番濃い緑の部分が、ロジスティクス事業となります。輸送・倉庫管理など、そういったものの物流ですが、こちらは、合理化などを進めた結果、前期から1.5倍の損益となりました。他方、青緑のフォワーディング事業のほうは、先ほど申し上げました世界的なマーケットの不調ということもあり、前期から反転、若干の赤字という状況になっております。
 次ページが、今の3事業セグメントを踏まえました郵便連結の概要でございます。今申し上げましたように、郵便物流事業が前期に比べて1,000億円強減に対しまして、郵便局窓口事業のほうは240億円弱打ち返しておりますけれども、全体としては、営業利益は最終的に63億円、前期比774億円、92%の減益ということです。そのほか、特別損益、それから法人税の負担が一部減っているということもございますが、最終的に当期純利益につきましては、72億円、前期比548億円、88%の減益ということで、日本郵便全体では減収減益ということでございます。
 これを受けまして、1ページ目までお戻りください。冒頭社長から説明がありましたけれども、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、日本郵便を含めたグループ連結の概要は、経常利益は6,683億円ということで、前期に比べて106億円、こちらは増益でございます。金融2社の増益が主な要因ということでございます。それに対しまして、当期純利益につきましては、2,686億円、前期比1,623億円、4割弱の減益ということでございます。冒頭ありましたゆうちょ銀行の株の持ち分比率の低下影響、これが大体1,000億円弱ございます。これと日本郵便の減益というのが主な要因ということでございます。それから、通期業績予想との対比でございますが、ご覧いただきましてお分かりのとおり、主要3社とも100%を上回っておりまして、グループ連結につきましても、直近では若干100%を割っておりますが、昨年期初に発表しました当期純利益2,400億円に対して112%と、上回る結果となっております。
 2025年3月期通期業績予想ですが、冒頭、内容につきましては社長のほうから説明をさせていただきましたが、数字を改めて確認させていただきます。当グループの通期予想ですが、今申しました経常利益は、前期に比べて917億円、13.7%増加の7,600億円を見込んでいます。主な要因は、ゆうちょ銀行、かんぽ生命などの増益要因が背景ということでございます。
 これに対しまして、当期純利益、こちらは前期比で113億円、4.2%の増益予想となっています。主な要因は、ゆうちょ銀行の増益と今期から米国のアフラックコーポレーテッド様を持ち分法適用にするということで、これに伴う投資利益が480億ほど含まれているということでございます。
 一方、日本郵便の郵便物流事業につきましては、今期予定しております料金改定、それから、ヤマト運輸様をはじめとする各社との協業によって、増益を見込んでおりますが、郵便局窓口事業では金融2社を中心とする手数料の減少、それから、足元の営業費用の増加など、DX推進やオペレーション改革に伴う投資などに伴う費用増も見込んで、減益ということで、郵便全体では赤字決算という見込みでございます。
 日本郵便のセグメント別につきましては、資料に記載のとおりでございますので、ご覧いただければと思います。
 それからもう1点、不動産事業ですが、今期営業利益を40億円と見込んでおりますが、今期から不動産事業は成長分野の一つとして、単独セグメントとして管理運営、開示をさせていただきます。日本郵便の不動産事業と、それから、当社の直接子会社であります日本郵政不動産の連結を取り込んだ形で今後お示しをさせていただきたいと思います。
 株主還元につきましては、冒頭、社長からの説明のとおりでございます。
 私からのご説明は以上です。
【社長】
決算は以上でございます。
 続きまして、中期経営計画「JP ビジョン2025+(プラス)」をご説明いたします。
 当グループは、2021年5月に2025年度までを対象期間とするグループの中期経営計画「JP ビジョン2025」を策定して、これまでこれに基づいて施策を実施してまいりました。ちょうど公表から3年が経過をしたこの時点で、物価上昇やデジタル化の進展など、グループを取り巻く環境は大きくかつ早く変化しています。したがって、そういうこともあるということを見越して、そもそも中期経営計画は3年を目途に計画の見直しを行う前提としておりました。これを踏まえて、こうした変化に対応するための計画として見直しを行い、「JP ビジョン2025+」として策定をいたしました。
 そのポイントとなる今後の経営の基本方針、取り組みの柱、2025年度の主要目標について順次申し上げます。
 当グループは、これまで信頼回復を第一に、お客さま本位の業務運営、グループガバナンスの強化に取り組むということと、お客さまと地域を支える共創プラットフォームを目指して、アフラック様、楽天グループ様、ヤマトグループ様など他企業との協業を推進してまいりました。これらが一定程度進捗する一方で、業績面については、ゆうちょ銀行株式の売却による影響などもあり、利益の減少傾向が続いているという状況です。
 この状態が今後も続いた場合、安定的な経営に支障を来す厳しい状況になると認識をしておりまして、今後も当グループが健全に事業運営を行い、目指す姿である共創プラットフォームを実現するためには、グループ全体で直面するさまざまな課題をまず克服をして、成長ステージへと転換することが必要だと考えております。それを実現する今後の戦略として、3つの転換のためのドライバーと3つの取り組みの柱というものを策定いたしました。
 3つのドライバーですが、資源配分、郵便局、人材システム、この3点を考えております。これらを現状から変えることによって成長する企業グループへ変わっていくという考え方です。
 まず、資源配分についてですが、当グループが成長分野と考える物流分野、それから、不動産事業へ資金や人材をより積極的に配分できるよう、仕組みを変えていくということです。
 次に、郵便局につきましては、より地域の実情に応じた個性ある郵便局へと進化することを目指して、郵便局ネットワークの価値・魅力を向上させる郵便局サービスの充実や柔軟な営業体制の構築を行いますとともに、お客さまの利便性を踏まえた店舗の最適配置、窓口営業時間弾力化などによりまして、生産性の向上を図ることとしております。
 最後の人材システムにつきましては、当グループの事業活動を行う上で最も重要な人的資本への投資を成長に向けた投資の一つとして位置付け、社員体験価値向上に取り組むとともに、DXの推進などによりまして、人口減少、要員不足といった環境変化に適応可能な柔軟で強靱な業務システムを有した組織へと変革をしてまいります。
 この「JP ビジョン2025+」におきましては、これらのドライバーの変革を通じて直面する課題を克服することにより、2025年度は当初設定した利益目標を上回って達成する計画としておりまして、連結の当期純利益は、当初目標は5,100億円だったものを600億円増の5,700億円に、それからROEについても、4%以上としております。ROEは今まで4%程度としておりましたが、4%以上に見直しをしております。
 次に、主要施策である取り組みの3本柱について申し上げたいと思います。
 1つ目の柱は、収益力の強化でありまして、収益を強化するために、物流と不動産事業を成長分野として捉えて、経営資源を積極的に投入してまいります。
 物流分野ですが、ヤマトグループ様などとの協業の深化に加えて、強靱な輸配送ネットワークの構築、差し出し・受け取り利便性の向上によりまして、荷物収益の拡大を目指していきます。
 また、今月5月9日に日本郵便から西濃グループ様との業務提携を発表いたしましたとおり、今後、幹線輸送による共同運行を通じて、物流課題、2024年問題やCO2の排出削減といった問題解決に取り組んでまいります。
 不動産事業におきましては、郵便・物流拠点の再編と連携した不動産開発、すなわち、そういった拠点は、駅前の郵便局からできるだけ今後の展開を踏まえて、郊外に集約化して移すということで、駅前の好立地な郵便局のスペースが空くということがございますし、容積率もまだ十分に使ってないということもありますので、そういった郵便・物流拠点の再編と連携した不動産開発を行って、安定的な収益を確保し、グループ収益の柱の一つへと成長を図っていきます。
 郵便局窓口事業については業績見通しが厳しい状況となっておりますことから、社員スキルの強化、それから営業専門人材の育成による営業力の強化、お客さまや地域のニーズに応じた日常生活をサポートするための商品・サービスを充実させるとともに、窓口のオペレーション改革を推進してまいります。
 2つ目の柱は、人材への投資によるEXの向上です。EX(Employee Experience)とは社員体験価値をあらわしております。労働人口の減少に伴う人手不足や価値観、ライフスタイルの多様化など、外部環境の変化に対応して優秀な人材を確保し、育成していかなければなりません。そのために社員エンゲージメント、誇りとやりがいの向上や同質性の高いクローズドな組織から柔軟で多様性のある組織への転換に取り組んでまいります。
 特に多くの社員により事業を運営している当グループにおきましては、事業戦略と連動した社員の柔軟配置の実現、それから検討を始めた外国人労働者の採用拡大など、採用手法、それから採用対象の多様化、こういうことが必須であるということから、今、進めておりまして、外国人労働者の採用については特定技能の導入検討などに取り組んでまいります。
 最後の柱、DXの推進などによるUX(User Experience)の向上です。グループDXの推進でお客さま、社員双方の視点からUX、すなわちユーザー体験価値の向上に取り組むということで、デジタルへの移行が急速に進む中、お客さまサービスや社員の働き方をDXにより利便性を高める、また効率化していくことは必須となっております。お客さまサービスでは、昨年リリースした郵便局アプリの機能拡充、グループ各社の保有データを統合した住所変更手続きなどのワンストップ化、それからポイントプログラムの導入によりましてサービスの利便性や体験価値の向上を目指します。また、社員の研修会に使用する端末の集約高度化、ネットワークのオープン化により働きやすさの向上、事務負担の軽減を目指してまいります。
 最後に新たな主要指標についてご説明いたします。当社のROE、それから当期純利益の推移は記載のとおりですが、当期純利益、当初目標から600億円の上方修正となる5,700億円としております。また、2025年度のROEについては4%以上を目標としております。
 ただし、当社の株主資本コストはおおむね5%程度と認識をしておりますので、早期に5%程度を上回るROEの達成を目指すとともに、資本効率の向上を図ることによって市場から期待されているPBRの改善を図っていきたいと考えております。
 セグメント別の主要目標についてでありますが、郵便・物流事業は郵便料金の改定が一つあります。それから日本郵便の強みが生かせる小型荷物を中心とした荷物の量の増加によりまして、営業利益ベースで900億円としているところでございます。
 郵便局窓口事業のほうですが、これは収益の多くを占める手数料収入の減少などによりまして490億円ほどの赤字としておりますが、収益力の向上や効率化による生産性の向上に取り組んで2026年度以降、早期に黒字基調への転換を目指してまいります。
 銀行業および生命保険業ですが、こちらは銀行業が金利の上昇などを踏まえて当期純利益4,000億円と目標を500億円ほど上方修正、生命保険業は修正利益970億円を目標ということでございます。
 また本日プレスリリースいたしましたが、今年度からアフラック様が持ち分法適用となりますので、これによる利益を480億円見込んでおりまして、これを契機として同社との今後のさらなる協業の進化を図ってまいりたいと思います。
 私どもの説明は以上でございます。
【記者】
日本郵便の業績の評価についてなのですけど、足元非常に厳しい決算で次期も赤字見通しということで、日本郵便として発足して多分、初の赤字決算になるのだと思うのですけれども、この現状を増田社長、今、率直にどう評価してらっしゃるかというのをまず伺いたいっていうのと、今後どう立て直していくかっていうところでのこの中計の見直しだと思うのですけども、この郵便事業の900億円っていうのは値上げなど、ヤマトさんとの協業の効果がフルに乗ってきたタイミングだから、この数字だとは思うのですけども、その後だと値上げは25年度で一応、郵便事業は黒字転換しても、その後また需要の減少でまた赤字に転換していくということで、26年度以降というのが多分、どう立て直していくかっていうところが次の中計ということになるとは思うのですけども、そのあたりの考え方をも含めてちょっとお伺いできればと思います。
【社長】
日本郵便の業績は大変厳しく、このままであってはいけないと思っています。
 幾つかあるのですが、郵便・物流事業について、SNSなどがやりとりに非常に多く使われている今の状況の中では、やはり郵便が大変厳しい状況であり、今回郵便料金の値上げをお願いしております。今は審査途中ですが、お認めいただき今年の秋から値上げされるとすれば、今年度は半年分、来年度は今おっしゃられたとおり1年間全ての期間が値上げ後の料金ということでありますが、そういうことだけに頼るのではなく、年賀も含めて、できるだけ新しいサービスや、ポストを使った商品などをより工夫して、いろいろな商品をもっと、他企業様などとも協力しながら出せるのではないかと思っております。レターパックやレターパックライトは相当ご利用いただいておりますが、そういった利便性の高いものを工夫して出していきたいと思います。
 また、郵便・物流事業全体とすると、ゆうパック、ゆうパケットなどの物流については、利幅も大きいですし好調であります。ヤマト様との協業によって荷量を増やし、西濃グループ様と特に長距離の共同輸送を進めていきたいと思っております。こういった取り組みを一つのモデルにして、ほかも含めてコストを効率化させていきたいと考えております。それから新東京郵便局をはじめ、基幹的な3大都市圏などの郵便・物流専門の郵便局は、今まで投資をしてこなかったこともありだいぶ生産性が低くなってきている部分もありますので、これらの郵便局を昨年2月にオープンした市川南郵便局のような最新鋭の設備のものに変えて、コストも含めて生産性を上げ、物流へのリソースシフトなどでこの事態を乗り越えたいと思います。
 それから、郵便局窓口事業についてですが、今までの決算ではこちらに不動産事業も入っていたので、少し見えにくくなっていたところがありました。今後、不動産事業は分離してお示しをいたします。不動産事業は先ほど申し上げましたとおり、これから伸ばしていける分野だと考えております。
 窓口での販売について、全国ネットワークを持っているというのは当グループにとって大変な強みです。今、投資信託や損害保険などをオンラインや電話でお客さまにご案内する金融コンタクトセンターの活用を4,000局以上でやっています。金融コンタクトセンターは現在、京橋・世田谷などで行っていますが、次は横浜にも増やしていきますので取扱い局も増やしていきたいと思います。全国でタブレットを使って、専門性の高い商品・サービスの窓口での販売をもっと増やしていき、窓口を魅力あるものにしていきたいと思います。
 また、物販や生活サポート、例えば終活だとか空き家の見守りサービスといったものや、今後ニーズ高まってくると思われる自治体の業務など、そういったものによって、もっと窓口自体を魅力あるものに切り替えていきたいと思います。
 あわせて、先ほど申し上げた国際物流の関係は、現在、トール社はロジスティクス事業が中心になっていますが、東南アジアで活動している日系企業を中心に、もっとセールス活動を積極的にかけて、より多くの仕事を受注するようにしていきたいと思います。このあたりは、シンガポールにあるトール社ともより緊密にコンタクトを取っていきたいと思います。
 そのようなことを含めて、日本郵便の今後の経営を立て直すということを行っていきたいと考えています。
 今ご質問いただいたように、今回の中経の見直しは、一応、2025年度までとなり、残り2年度に入っているこの時期ですから、やれることには多少、制約があると思いますが、これまでも取り組んできたことでもありますので、今申し上げましたことを基調にして、次の中経にもまたがる話ですが、とにかく日本郵便では、郵便局窓口事業を、2026年度以降、できるだけ早期に黒字基調に持っていきたいということで検討、見直しをしているところですので、持株会社も含め、そういった多様な取り組みを実行して、いわゆる共創プラットフォームがしっかりと機能するようにしていきたいと思います。
【記者】
まず決算のほうで、窓口事業は、一応、増収増益だったのですけれども、2年後には490億円の赤字を試算されているっていうことだと思うのですが、これは、どこまで、その金融2社からの手数料が少なくなっていくっていう考えに基づいているのだと思うのですけれども、そのときの、何ていうのですか、どれぐらいのパーセント、持株会社が、金融2社の株式を持っているそのパーセンテージをどれぐらいで試算してこの計算が出てくるのかっていうところを教えていただけますでしょうか。
【社長】
現状と同じです。この決算では郵便局窓口事業は増収増益になっていますが、それは先ほど申し上げたとおり不動産事業がその中に入っているということです。
【記者】
なるほど。何かちょっと、1月から少し売れるようになったっていうのを聞いていたので、もしかしたら改善してきたのかなと。
【社長】
かんぽ生命は1月になってから、新しい商品の一時払い終身保険を発売しており、それが委託手数料に反映されますので、それは今後も続いていくと考えておりますが、いずれにしても、今回の増収は不動産収益が大変大きく寄与しているということで、いわゆる金融2社の関係での手数料については、なかなか厳しい状況が続くと考えております。
【記者】
かしこまりました。あと、郵便局現場の人手不足、3万人削減の中で、人手不足の大変な中に対して、現実的なDX化っていうのが進んでいなくて、本当に現場が大変になっているようにも思えるのですけれども、そこをあと2年間で、どのように急激に進めていかれるっていうような、何か、そのあたりをちょっと教えていただきたいのですけれども。
【社長】
いろいろやり方はあると思いますし、既に行っておりますが、例えば、今回西濃グループ様と取り組むような、他の物流会社と協力して、全体をもっと効率化して生産性を上げることによって、人手不足を解消するとか、今はまだほとんど使われていませんが、いわゆるドローンや自動運転の活用、ないしは、市川南郵便局ではかなりの省人化を図るよう、ロボットなどを活用して業務をおこなっておりますが、そういうテクノロジー、技術を使って人手不足に対応していくことなどがあります。市川南郵便局のようなやり方は、今後一つの柱になってくると思います。
 それから、人的な関係で申し上げますと、窓口のオペレーション改革なども進めて、窓口の負担を減らしつつ、業務量など、地域によってだいぶ違ってきておりますので、できるだけ人を柔軟に配置し、職種の転換もやりやすいようにして、人手不足に対応していくということも、もう一つ大きな柱ということになっていくかと思います。
 また、今、当グループでは主要4社の正社員だけで、100人弱ぐらいの外国籍の方が働いておりますが、そういったことについても、今後、制度をもっと整えなければいけません。ダイバーシティー、多様性ということも記載しておりますが、そういったこともこれから、どの企業も必須になると思いますが、当グループでも、そのような多様な働き方に対応した仕組みを整えて、全体として社員満足度を高めていける、そういう会社を目指していきたいと思います。
【記者】
自民党のほうで、郵政民営化法の見直しの議論が今出ていると思うのですけども、これ議論の内容を見ると、やはり現状の日本郵政の経営の立て直しっていう観点も含まれていると思うのですけど、この議論、なかなかコメントしづらいのかもしれませんけれども、増田社長としてどう見ていらっしゃるかとかですが、議論の中で、当該企業として何か要望というか意見みたいなものが伺いたい、この1点お願いします。
【社長】
まだ自民党の中でも内容が十分固まっていないと思っております。非常にまだ流動的なため、私どもとしても、おっしゃるとおり、コメントは今の段階ではまだできないと思っております。以前から申し上げていますとおり、グループの環境は随分変化してきている中で、当グループ全体の企業価値が上がるような方向に行けばいいと思っておりますが、それ以上のところは特に私どもとしてのコメントはなく、どのような議論になっていくのかということを、今、見ているところです。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)