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2024年3月26日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2024年3月26日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
本日は「ローカル共創イニシアティブ」第3期の実施について発表いたします。お手元の報道発表資料をご覧ください。
 まず、この取り組みですが、公募により選出された日本郵政グループ各社の本社社員を2年間、地域で活躍するローカルベンチャー企業や自治体に派遣するというもので、地域における新規ビジネスの創出を目指すものとして、2022年4月より第1期生、2023年4月より第2期生を派遣しております。
 今回、第3期として来月4月より、新たに公募で選出された社員6名を派遣します。派遣先ですが、栃木県の宇都宮市、島根県の海士町、島根県の大田市大森町、高知県高知市、熊本県南小国町、宮崎県日南市、こちらで活動を開始いたします。具体的な派遣先につきましては、報道発表資料でご確認ください。
 この取り組みですが、これまで第1期、第2期といたしまして、10名の当グループ社員を7地域9組織に派遣し、現地関係者様とともに新規ビジネス創出に向けた挑戦を行いました。第1期につきましては、今月で任期を終了いたします。
 具体的な成果として、例えば先日、3月14日に報道発表をしたものですが、奈良県の奈良市で、郵便局と日本郵便の配達ネットワークを活用して、地域コミュニティーの強化を図る新しい買い物サービス「おたがいマーケット」の提供を開始したところです。
 また、本日、報道発表資料をお配りしておりますが、島根県の雲南市におきまして、郵便局が地域の住民自治組織から、営農広域組織の事務局サポート業務を受託する実証事業を開始することとなりました。これは、農業などの担い手不足が深刻な課題となりつつある地域において、地域に根差した郵便局が営農広域組織の運営委員会の運営補助や行政提出書類の作成・提出などの業務を行うことによって課題解決をサポートし、郵便局と地域コミュニティーとの協働実現をするものであります。このように、派遣者を起点に、派遣先企業の知恵と、郵便局を活用した共創事業が生まれております。このほかにも、第1期、第2期派遣を起点に具体化を進めている企画もありますので、具体的な形になり次第、随時公表してまいります。
 日本郵政グループでは変化の激しい時代に突入した今、このような取り組みを積極的かつ主体的に行うことにより、持続可能な地域社会づくりに貢献できる新たな役割を模索してまいります。私からは以上であります。
【記者】
先日、日銀の決定会合で、マイナス金利政策の解除を決めました。これを受けて、大手銀行、大手銀や地銀の間でも、普通預金金利の引き上げの動きが広がっていますけれども、ゆうちょ銀行の預金金利について、今後引き上げの考えがありますでしょうか。あと、今回の政策変更は、金融、特に2社にとって経営環境の改善も期待されると思いますけれども、今後の業績や経営戦略に与える影響について、お聞かせください。
【社長】
まず、ゆうちょ銀行の貯金の金利の関係でございます。今現在、市場金利などを注視しながら、貯金金利の設定についても、さまざまな検討を行っている段階であると承知しておりますが、現時点で、金利の引き上げに関する方針を決定したという事実はございません。今後、そうした貯金金利の変更を決定した場合には、速やかにゆうちょ銀行から公表いたします。
 それから、今回のマイナス金利の解除により、当グループ、特にゆうちょ銀行とかんぽ生命の金融2社への業績に与える影響ということでありますが、まず、ゆうちょ銀行から申し上げますと、収益面では新規の投資利回りの改善が見込まれますので、今後、収益拡大につながっていくと考えております。
 当然、今後、長期金利も上昇していくものと思われますが、そういうことになりますと、今現在、保有している日本国債などの評価損益が悪化することも考えられる一方で、これまでも金利の上昇が行われるであろうということを見据えてリスク管理を行ってきておりますので、全体とすれば、プラスの方向に働いてくるものと思っております。
 また、今後についてですが、全体に円金利が上昇するだろうということは、昨年来より、ある程度想定しておりましたので、日銀への預け金から国債への投資シフトなども、ゆうちょ銀行はこれまで行ってきております。今後も、金融政策、金利動向をよく見ながら、これからの経営戦略を考えていくものと思います。
 それから、かんぽ生命についてですが、こちらも基本的には同じようなことでありますが、国内金利の上昇ということは、かんぽ生命にとりましても再投資金利の向上ということで、資産運用収益が拡大をすると捉えております。
 したがって、他の生命保険会社も恐らく同じかと思いますが、収益、それから企業価値にとってはプラスにつながっていくと考えております。これまでも、金利動向、日銀の金融政策が、恐らくいずれかの段階で変更されるだろうということを見越したリスク管理をかんぽ生命においても行ってまいりました。これからも円金利資産への投資といったことなども含め、しっかりとしたリスクコントロールの中で行い、全体として収益性を確保する対応をしていきたいと考えております。
【記者】
1点お願いします。本日、郵政民営化推進本部が開催されまして、岸田総理のほうからも郵便事業の安定的な提供を確保する観点から、郵便料金に係る制度の見直しも視野に入れて検討する必要があるとのご発言がありました。今後、総務省の審議会で検討が開始されると思いますけれども、改めて、現状の郵便料金制度の見直しの必要性ですとか、検討における要望などがございましたら、お伺いしたいと思います。
【社長】
本日、郵政民営化推進本部が開かれたということは承知しております。今ご指摘いただいた郵便料金制度については、総務省でお決めになっていて、その見直しについても総務省に宿題がおりていると理解しております。当然のことながら、私どもも、まだ今のところは、総務省から具体的に何かお問い合わせですとかお話をいただいているわけではございません。私どもがこれからさまざま実務を進めていく上で、総務省で制度の見直しを行われる際には連携をとって対応していきたいと考えております。
 それから、先般の郵政民営化委員会の「郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証に関する郵政民営化委員会の意見」の国会提出が決定されたものと承知しておりまして、民営化委員会のリポートの中でも幾つか指摘をされている事項もございます。私どもも指摘されている課題や方向性にしっかりと対応していきたいと考えております。
【記者】
すいません、少し話題変わるのですけれども、今ニュースになっている大谷選手と元通訳の方の問題について、お尋ねします。日本郵便でも、大谷選手の切手とか結構たくさん出されていて、少なからずゆかりがあるかと思うのですけれども、この点についてもし現状、増田さんのご所感があれば、お聞かせいただけますか。
【社長】
大谷選手は国民の、特に若い人たちにとっては憧れの存在であると思います。今朝ほど、コメントを発表される際の映像を私も拝見しました。新しいチームでこれからまさに溶け込んで、実力を発揮していこうというスタート時期ですから、早く事実が解明されて、エンゼルスで残したような成績をさらに上回るような活躍をぜひ遂げていただきたいなと思います。
 通訳の方の違法賭博の疑惑が報道されていますが、一刻も早く事実が解明され、できるならばその疑惑が払拭されて、大谷選手自身がすばらしい活躍ができるような舞台づくりがされればいいと期待しております。
【記者】
「おたがいマーケット」なんですけれども、「ぽすちょこ便」第2弾の発展形みたいな形になると思うのですけど、第3弾、第4弾とかというのはもう既に予定されていらっしゃるのか、「ぽすちょこ便」としてのニーズ的なものだとか、あとPRをどのようにされていらっしゃるのか。あと、「おたがいマーケット」で、イオン様との連携で、それ以外のスーパーだとかコンビニだとか今後そういう連携も含めて検討されていかれることになるのか、そのあたりのお考えをお話しください。
【社長】
「ぽすちょこ便」は、最初に山形県鶴岡市で行ったものです。今回の奈良市の東部地域、いわゆる月ケ瀬地域というのは奈良市と合併した地域でもあり、奈良市中心部とはだいぶ状況が違って、日常の買い物もなかなか不便な場所ですので、現地に派遣している当グループの社員も、イオンリテール様や地元と一緒になって仕組みを作り上げ、昨年、当該地域での実証実験を行ったものです。当該サービスの配達は、日本郵便が日常の配達における余積を活用し、配送先はまとめて置き配で対応することにし、イオンリテール様のネットスーパーの仕組みと商品を扱います。昨年の実証実験では、随分多くの方にご利用いただきましたので、地域のニーズは十分あるものと思っております。
 郵便局の力もうまく活用できるということで、昨年よりも一歩前に進めた事業化のところまでこぎ着けたのですが、ほかの地域で同じような条件、要は買い物不便地域であり、日常の生活を支えるという上で郵便局のネットワークがうまくビジネス的にもそこにはまるようなところにはこういう取り組みを、地域に沿う形でやり方をうまく変えながら何か根づかせられればいいと考えており、可能性があるところではもっと広げていきたいと思っております。山形での「ぽすちょこ便」の取り組みをはじめ、今回の奈良の取り組みについても、こういう取り組みは効果があるということを当グループ内にも周知しておりますし、もちろん、ご利用者様にもPRを行うことにより、それによって、他の地域でも、こういうものをやってみようという事例がもっと出てくればと思っております。これから奈良の取り組みがより確実に根づいていくことと、さらに第3弾、第4弾に向けての横展開を考えていきたいと思っております。
【記者】
今後、社会から求められる郵便局の在り方について、コミュニティーというのは一つのキーワードに思えるのですけれども、そうした人の集まる場づくりと、あと、一方、この決算でも上昇気流に乗ってきた不動産との連携方針みたいなものがもしあればお話しください。
【社長】
今、既にそういう形で郵便局が地域で存在感を示しているところは数多くあり、本日発表した雲南市の地域自治組織と郵便局がコラボレーションした活動は、まさにそこで営農組織の仕事をお手伝いするということが農村地域のコミュニティーで郵便局が機能を発揮するということにつながってきます。そのような取り組みは他にもいろいろ掘り起こしたいと思います。それから、不動産事業についてのご質問ですが、事業の目的はどちらかというとかなり大規模な、将来に向けた収益を確保するような不動産活用です。そのため、決算においても不動産事業を郵便局の窓口からセグメントを分けて独立させます。郵便局の機能、コミュニティーの核としての郵便局の活用は、それはそれでこれからもより積極的に掘り起こしを図っていきたいと考えております。
 いろいろな地域の課題、あるいは地域でなかなか担えなかったところを郵便局でうまく課題解決につなげられるといいと思います。雲南市の取り組みはまさにそういうことですが、そういったものを見つけ出して、もちろん料金もそれなりに頂戴しますが、地域のコミュニティーづくり、あるいはコミュニティーの維持、活用、活発化につなげられればという想いで、これからも取り組んでいきたいと思います。
【記者】
あと1点だけすいません。前回も郵便局の防災活用を質問させていただいたのでちょっとしつこいかもしれないのですけれども、災害の初動時の通信に必要となる電源につきまして、総務省様が停電時も安否確認や避難誘導を可能とするAI活用の郵便局のみまもりサービスの実証実験を行いました。コストの問題などさまざま課題はあると思うのですけれども、今後、郵便局へのそうしたものの導入に対するご見解をお願いいたします。
【社長】
地域の防災力の向上につながるということが見込まれるものにはできるだけ協力していきたいと思います。そのために、どういうものをそこに備えればいいのかというのは、自治体、特に市町村とよくお話をする必要があると思います。また、消防庁をはじめ、国の機関にお声がけをいただいて、その中に私どもも入って、地域の防災力向上のために、郵便局として常日頃、「こういうものがあります、ぜひその際には活用してください」ということをPRしていくということには、私どもも全く異存ありませんので、積極的に協力していきたいと思います。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)