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2024年2月7日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2024年2月7日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
日本郵政の増田でございます。初めに令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被害に遭われた方々に心よりお見舞いを申し上げます。日本郵政グループでは災害救助法が適用されたことに基づきまして、非常取り扱いや災害義援金の無料送金サービスなどを実施しております。また、当グループ4社は今回の地震で被災された方々に対する義援金として、総額4,000万円の寄付を行わせていただきました。このほか、ゆうちょ銀行では株主優待制度の中で、社会貢献活動団体へ寄付できる仕組みがあり、今年度はその寄付金のうち1,000万円程度を、中央共同募金会を通じて被災地支援への支援金として贈る予定です。
 本日は、能登半島地震による当グループ業務への影響と、今後の業務の見通しについて申し上げます。まず、郵便局建物への被害が246の郵便局で確認されております。石川県が一番多く、そのほか、新潟県など、周辺の県にも広がっております。発災後、延べ120の郵便局が窓口業務を休止しておりましたが、2月7日の午前中現在、休止している郵便局は新潟県で3局、石川県で50局、合わせて53局となっております。
 次に今後の見通しについてです。まず、窓口業務についてですが、ただいま申し上げました業務を休止している53局のうち、局舎そのものが深刻な損傷を受けたため、開局できない郵便局が新潟市に3局、能登半島北部を中心に17局ございます。これらの郵便局は大規模な修繕工事や、場合によっては局舎の建て替えなどが必要になってまいります。また、建て替えの場合には地域の復興計画、地域住民の移転状況なども踏まえる必要があると考えておりまして、再開まで相当程度の時間を要する見込みです。
 その他の33局ですが、こちらについては局舎修繕が必要な郵便局、道路、電気、水道などのライフラインの影響などにより窓口業務が再開できない郵便局となっております。これらの郵便局に関しましては、修繕工事を行うとともに、ライフラインの復旧状況を見ながら随時開局をさせていく予定です。
 奥能登地域に所在する郵便局、奥能登地域と申しますのは輪島市、珠洲市、穴水町、能登町の4市町を指しますが、この地域に所在する郵便局については、本日までに合計11の郵便局で郵便物などの引き受け業務を再開し、また合計9の郵便局で金融窓口業務を再開しております。その他の郵便局については、建物修繕など済み次第、順次、営業を再開してまいります。また、ATMについては、この地域では現在15局でご利用いただけます。
 なお、穴水局については建物修繕の必要がございまして、1月24日から車両型郵便局を派遣して、郵便物などの交付業務を行っております。また、ATMの使用開始に向けて現在準備を進めております。こちら、開始日が決まり次第お知らせいたします。
 今後の奥能登地域における再開見通しについては、2市2町でサービスニーズの大きい地区を中心に、2月中に合計10局程度の窓口サービス、ATMの再開を優先的に取り組み、できるだけ多くの地域の皆さまに郵便局サービスを提供できる状態になることを目指して取り組んでおります。
 続いて、郵便物や荷物の集配の関係について申し上げます。配達に関しましては、発災翌日の1月2日に石川県の志賀町、中能登町以北の地域で休止となりましたが、1月5日に志賀町において配達を再開したほか、1月9日以降、七尾市、中能登町における配達を順次再開しております。
 一方、奥能登地域については、1月24日から郵便物やゆうパックなどを郵便局窓口でお渡しする業務を開始し、1月31日からは郵便局窓口での郵便物などのお預かりのほか、市役所・町役場などへの配達業務、また取集可能なポストからの取集業務も順次開始をしております。避難所への配達については、現在、自治体と調整中です。
 また、穴水地域ではヤマト運輸様との協業の一環として、日本郵便の荷物の引き渡し拠点として、ヤマト運輸様の能登営業所を共同利用し、差し出されたゆうパックの引き渡しを1月19日から開始しています。
 奥能登地域での業務の状況はお話ししたとおりでございますが、この地域の2市2町宛てのゆうパック、ゆうパケット、ゆうメールのお預かりは現在停止しております。全国から奥能登地域宛て新規差し出しゆうパックの局留めサービスは今月中の再開を目指して今準備をしているところです。今後の道路状況、天候および業務運行状況を踏まえて、準備が整った地域から順次、新規の郵便物などのお預かりおよび配達業務の再開を予定しており、再開のめどが立った時点でお知らせいたします。
 そのほか、全日本トラック協会様などから緊急物資輸送の依頼を受けており、これに対しては、日本郵便の子会社である日本郵便輸送株式会社を中心に対応させていただいています。
 お客さまには大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解を賜りますようにお願い申し上げます。
 最後に、報道関係者の皆さまには当グループの震災対応の状況などに関しまして、いつも迅速に報道いただきましてありがとうございます。グループを代表して御礼を申し上げます。1月24日から輪島市など4市町で開始した荷物や手紙の郵便局窓口などにおけるお引き渡しをはじめといたしまして、業務の再開に際して被災者の方の喜びの声を報道で私も拝見いたしました。大変うれしく思うと同時に、当グループの社会的使命の大きさを改めて痛感したところでございます。引き続き被災地復興の一助となるべく、郵便局の窓口や集配の再開に向けて、グループを挙げて全力で取り組んでまいります。
 私からの報告は以上でございます。
【記者】
先日、一部の地域で、ゆうパックの配達にかかる時間が後ろ倒しになるということを発表なさいましたけれども、関連して、昨年末には郵便料金の値上げ、こちらを発表したばかりということで、一部ではサービスの品質が下がっているのではないかというような声も上がっているかと思います。こうした声に対して、どう説明なさって、また、サービスの品質の維持や向上のために今後どういったことに取り組まれますでしょうか。
【社長】
今、お話がございましたとおり、昨年末に郵便料金の引き上げに関して公表されました。また先月、ゆうパックのお届け日数の見直しについて日本郵便から発表させていただきました。特にゆうパックのお届け日数の関係ですが、こちらは2024年問題のドライバー不足に拘わる問題を踏まえたものです。また、改善基準告示というものがありまして、いわゆるドライバーの拘束時間などの関係ですが、この告示の改正への対応と、大きく言うとこの2つの関係で、どうしても一部後ろ倒しをせざるを得ないということで、このような発表をさせていただいたところです。
 対象となるのは長距離運送便となります。短距離の方はさまざまな工夫で吸収できますが、長距離運送便については、これまで直行便でかなり長距離を運んでいたものを、途中で中継を入れて、荷物を引き継いで中継輸送していくという、そういったオペレーションに切り替えざるを得ないということがございました。
 結果、荷物の配達局への到着時間が現行よりもどうしても遅くなるということがあり、今回の決定に至ったものです。
 ドライバー不足などの問題もあり、今後のことを考えると、ドライバーの数を大幅に増やすことはなかなか難しいと思われます。そういたしますと、中継地点でのオペレーション、中継のやり方をできるだけ短くするということを検討したところ、今まであまり活用していなかった高速道路のインターチェンジに近い郵便局をうまく、そういった中継作業に使えるように整備を行うなど、さまざまな工夫を行いました。その上で、どうしても見直しをせざるを得ないものを先般発表いたしました。
 量的には極力少なくなるようにということで対応しましたが、私どもの想定では全体の約3.4%が見直しの対象になると考えております。例えば東京から山口県に持っていく荷物ですとか、東北方面から東海方面に持っていくようなものが対象となります。対象を極力減らす対応をした上で、今回の決定に至ったということです。
 ご指摘のようなサービスレベルというのは常に見直しをして、向上する方向に持っていかなければいけませが、人員の関係は、今、非常に逼迫しているということもありますし、影響度合いをできるだけ少なくするような工夫が何かできないかということは、今後もさらに考えていきたいと思っております。ただいまご指摘いただいた点については、理由も含めて丁寧にご説明をして、ご利用いただける皆さま方に極力ご理解いただくようにしてまいりたいと思います。
 大口でご利用されるお客さまには、もちろん個別でいろいろ話をさせていただいておりますし、一般のお客さまにもお知らせをしているところですが、そういった際のお問い合わせなどについても、事情を誠心誠意お伝えしてまいります。私どもとしても、今後もさらに工夫をしながら、特に、こうした長距離運送便のサービスの確保ということに臨んでいきたいと考えております。
【記者】
先ほどの質問に関連しますけれども、私からも郵便物流事業について伺います。先月30日に出た12月直近までの郵便物、荷物の引き受け物数で言いますと、4月から12月までの累計で5.5%減ということで、中間期以上に、より実需は減っているという状況かと思います。中間期に関して言えば、事業もそうですし、日本郵便としても赤字に転落したという状況で、決算発表控えておられますので、細かいところまでお話しいただきにくいとは思うのですけれども、非常に赤字の可能性が濃厚であるということについての現状認識について、改めてお伺いします。あわせて、前回の会見のときにもお伺いしましたけれども、いろいろな形で事業の合理化、業務効率の改善などを進めていくということで取り組み進められていると思いますけれども、その進捗状況だとか、何かご説明いただけるような進捗などありましたらお願いします。
【社長】
決算は現在集計中ですので、確定させるのはもう少し先になりますが、今、ご指摘いただいた4月から12月の中で申し上げると、第3クオーターである9月から12月は例年、年賀はがきやお歳暮など、全体としては非常に大きく商品やサービスが動く時期ですが、今回はなかなか苦戦をいたしました。これは同業他社様の荷物の動きを見ても、やはり同じように、全体として非常に苦戦をしておられると思います。コロナ期に巣ごもりということで、かなり多く動いた荷物が、コロナが落ち着いたこともあり、多くのお客さまが外に出て、買い物をするといったことが反映されていると思います。それから、郵便物については、どうしてもSNSなどに押されるなどで年々減少することは覚悟しておりますが、そうしたことがまとめて出てきているものと考えております。
 これに対してどう打ち返していくのかということについては、郵便と物流、それぞれ考えていかなければいけませんが、全体のボリュームをどのように増やしていくかということについて申しますと、一つはやはり、ヤマト運輸様との協業などで、双方でウィンウィンの関係になるように、双方の強みを生かすような形で、全体及び当グループとしても量的なものを増やしていくということが取り得る手段です。それから、先行してもう既に佐川急便様とは幹線輸送の共同運行などを既に実施しております。このような、他社とそれぞれのお互いのメリットを生かしていくという取り組みが一つあると思います。
 また、日本郵便としては、新たな区分機を入れ性能を改良し、郵便物の処理速度を速めるといったようなことを行っております。荷物についても、フラットソータとかパケットソータなどを導入することによって、郵便局の作業をできるだけ効率化をさせていくということがありますが、今後もさらに進めていきたいと考えております。
 昨年春2月に開局いたしました、市川南郵便局のような物流専門の郵便局、首都圏で荷物が一番集まる局ですが、そういったところに処理能力が高く、少人数で対応ができる機械や、無人搬送車などを入れて、省力化を進めています。現在検討中のものですが、また新たに、特に大都市圏である東京、名古屋、大阪あたりには、そういった局の開局などを行うことによって、できるだけ全体の物流のオペレーションを効率化させてコストを低減させることで、この事態を乗り切っていかなければいけないと思っております。
 荷物など全体の総量を引き上げていかないと、競合各社で取り合いをしているということでは、やはり消耗戦になってしまいます。私どもの強みは、全国で17万5000本ほどあるポストから差出できる商品、配達時にポストに投函できる商品で、これは再配達もほとんどなく、ご家庭のポストにそのまま入れれば良いという非常に優れた特性があるものです。こういったものをさらに開発して、そちらに多くのお客さまのニーズを誘導していくということも今後考えられると思います。今お話がございましたとおり、第3クオーターの決算は今、数字の確定作業を進めていますが、なかなか物流関係は厳しい決算がもう既に他社様から出ていますが、日本郵便も傾向としては恐らく、なかなか厳しくなるだろうということではありますが、今いくつか申し上げましたようなことを、これからさらに、できるだけスピーディーに進めていって、収益向上をしっかりと実現していきたいと思います。
 今、中期経営計画の見直し作業をしておりますが、その中でも、今言ったような考え方を中に入れ込んで、経営環境の改善、それからサービスの向上に努めていきたいと考えています。
【記者】
大規模修繕、局舎建て替えで、相当程度時間がかかるのではないかという新潟の3局、石川の17局についてお聞きします。この局の局長の職場は、当面どちらになるのでしょうか。それと、この局長の給与というのはどういうふうになるのでしょうか。それと、この局舎の建て替え費用というのは、どなたが負担するという形でしょうか。以上です。
【社長】
今、私の手元にその資料がございませんので、恐れ入りますが、この記者会見の後で日本郵便からお伝えするようにさせていただきたいと思います。
【記者】
今回の被災を受けた、郵便局を活用した防災の在り方で、新しい構想というのはありますでしょうか。各地域の細やかなデータを活用した防災マップや、あと防災地図、あと備蓄と局舎の防災拠点の活用など、これまでも言われていて、実際に取り組まれてらっしゃるところもあると思うのですけれども、そのあたりの新しい考え方みたいのが出てきたらお教えください。
【社長】
今回の災害を受けて、今後どのようにこれを具体的に生かしていくかというのは、これは必ずやらなければいけないと思っております。今何が起きて、どこが非常に大変な状況になっているかということをしっかりと整理して、今後の状況に生かしていきたいと思います。
 現状、そういう今後に向けての検討を進めているかというと、まだそういう状況には至っておりません。元日に発災して、まだ窓口閉鎖しているところも50局以上ございますし、郵便・物流のほうもまだまだ局留めの扱いなど、お客さまに郵便局に取りに来ていただいている状況です。先ほど報告いたしましたように、市役所や避難所などにできるだけお届けできるようにしていく、そちらを最優先にして、今対応しておりますので、まだ、その次の段階まで、いろいろ力を向けるところには至ってないというのが今の正直なところです。
 ただ、これまでひと月と1週間ぐらいたった時点で見ますと、やはり状況としては、半島地域のこういう災害は厳しいと感じており、当グループの業務を今後継続していく上でも問題が生じています。半島地域であることから、道路が東日本大震災のときと違っている点があります。東日本大震災の地域は縦に災害に強い道路が幾つかあって、それを横にどんどん広げていくということが出来たのですが、今回のケースは道路が1本しかなく、七尾から先に、さまざまな人員などを投入することが非常に難しい状況です。また海岸沿いに周遊している道路がかなり傷んでおり、ほぼ寸断されていて、その間にある集落に郵便局が結構ありますので、このような地域のオペレーションを今後どのようにしていくのかということを考えていかなければなりません。非常に大変だと感じております。
 ご質問に災害の備蓄の話もございました。これは進めていきたいと思っておりますが、今回被害に遭った郵便局では、そういった災害物資の備蓄を行っているところはございませんでした。大きな郵便局、単独マネジメント局などではスペースに少し余裕があるところもありますが、小さな郵便局はそういう形になっておりません。ですから、これも今後全国で、半島部などにある郵便局でどのようにしていったらいいのかということをよく考えていく必要があると思っております。
 熊本の地震の際などは、多方面、複数の方向から支援を地域に入れていくことができたのですが、今回は半島の先のほうで、海が基本的にほぼ使えず、金沢方面からの道路が1本で、そこから先の展開が非常に難しいという状況になりました。こういった特性を持った地域はほかにもかなりありますので、このような場合にどのような対応をすればいいのか、これは当グループだけで考えるというよりは、地元の自治体とか、国の担当、これは内閣府の政策統括官でその担当しているところがありますので、そこともいずれよく話をしながら、基幹インフラの復旧について考えていかなければいけないと思っております。いずれにしても、まだこの作業はこれからというのが正直なところです。
【記者】
ありがとうございます。あと、全国郵便局長会が復興に向けて、会員の方の寄付を義援金として集める「赤いポストの会」を設置されました。会社も大切なご予算から義援金を4,000万円も拠出されたと思うのですけれども、あと、先ほどのお話でも、それ以外にも何か集められたということなのですが、例えば本当にこう、1円でも10円でも、社員の方全員が寄付をできるような取り組みをこれからされるようなお考えというのはありますでしょうか。
【社長】
被害状況などを見て、スピーディーに被災地にお届けしたほうがいいだろうということで、先ほど申し上げましたように、まず被害の規模などに鑑みて、グループとしてお金を拠出させていただきました。
 こういった災害は日本でも最近頻発しておりまして、義援金を送付する窓口が、例えばテレビ局などさまざまなところがございますので、現地を助けたいと思っている社員がたくさんいることとは思いますが、もう既に相当数のさまざまな簡易なアクセスの仕方が出てきていますので、それをぜひ使うというのが非常に有効ではないかと考えています。ただし、私どものグループのリソースを使うというときは、手数料などを無料にして、それで、現地にできるだけ早くお届けするようにするといったことがグループとしては良いのではないかと考えております。今は特別に、社員専用の窓口を設けるというよりは、社員にはぜひ各地域でいろいろ設けられているそういう窓口をお使いいただければと思っております。
【記者】
ありがとうございます。あと1点だけ。郵政民営化法を見直す動きがある中で、これまで増田社長は会見でも2回ほど、上乗せ規制の撤廃のことを触れられていらっしゃいましたけれども、上乗せ規制が外されたりだとか、緩和、一定程度されたりするのでしたら、持ち株会社様として一定程度、金融会社様の株式を持ち続ける形もよいというふうにお考えでいらっしゃいますか。
【社長】
どのような内容になるのかというのはまだ分かりませんので、早計にそういったことについてコメントするのはまだ難しいと思っております。
 あえて申し上げるならば、会社の企業価値がどう向上していくのかというあたりが大事なポイントだと思いますが、現行法体系のもとで、私どもとしては事業をやっていくのがとにかく果たすべき役割ですし、それをどのように変えていくのかというのは、いろいろ考え方がおありになろうかと思いますが、やはり、そういったものをトータルで見ていく必要があると思いますので、会社としては、その点についてコメントは控えておきたいと思います。
【記者】
すいません。2問ちょっとお願いします。郵便局の収益というか、持続可能性高めるためということで、これまでもいろんな多角化をされていると思うのですけども、今、振り返りを1点お聞きしたくて、コンビニ大手さんとの提携とかで、物売りというか、販売の機能も持たせようというのを何年か前から取り組み進められていると思うのですけども、あれの評価というか、今後の方向性って今どんなふうに考え、何ですかね、将来性があるというふうに判断されているのか、まだまだ検討中にとどまるというのか、その辺、今の小売り拠点としての郵便局の可能性についてお聞かせください。これが1つです。
 もう一つは、これ、昨年から少し話題になりかけていましたけども、楽天グループさんとの関係の現在についてなんですけど、資本提携の株価についてはいったん底打ちしたということですけども、まだまだ取得されたときからは半分強ぐらいの評価で、何ですかね、日本郵政として投じられた資金に対して、何というか、どこまで成果があったかというのが、何かちょっと外からは分かりにくいので、改めてどんな成果が出たのですかという振り返りと、今後の期待というか、何に取り組みたいかを改めて社長からお聞きできますでしょうか。
【社長】
まず1点目です。小売りの拠点としての郵便局の活用ということですが、小売りの拠点がどんどん撤退している地域が全国的にございますので、そういったところでの活用方法というのは、かなり可能性としてはあるのではないかと思います。
 都心部で言えば、コンビニが相当密度濃く展開されています。そうではない地域も、今後また増えてくるかもしれません。ただそのときに、拠点としてうまく機能していくためには、配送網をどうするかという点が重要です。日本郵便が荷物の配送などやっておりますが、小売りの品物を運んでいくのと扱う内容が異なっていますので、すぐに日本郵便で代替できる形にはなっていません。したがいまして、一部物販などで成果を上げているところもありますが、まだまだこれからこの点については、可能性をより高められないかという観点で検討をさらに進めていきたいと思います。
 昨日の発表で、通信業者も入られて、コンビニでさらに事業展開されるような報道がありました。当グループは全国に郵便局を相当持っていますが、業務の内容をより地域のニーズ、実情に合った形で仕立て直すということは、当グループとしてはぜひやりたいことですので、物を販売するという拠点としての可能性についても、物流網と併せてさらに追求していきたいと思います。
 それから、楽天グループ様との関係ですが、これは一義的には楽天市場の荷物を増やしたいということが一番大きなものです。ゆうパックの荷物の下支えに相当なっておりますので、これはこれで意味あることだと思っています。一方で、楽天グループ様全体については、eコマースですとか、それから金融事業は非常に好調だと聞いていますが、楽天モバイルの初期投資が非常に大きいので、株価については先ほどご質問になったような状況ですが、他社の株価のことですので、私のほうから申し上げることはありませんが、私どもが期待している荷物の取り扱い、楽天市場のさまざまな出展者が、今、当グループから見ればライバル会社でいろいろ配送を行なわれている方を、できるだけ楽天グループ様にも協力いただいて、私どものサービスをご利用いただけるよう、全国的にもっと広げていけば、さらに成果が出てくるだろうと思っています。
 それから、当グループの日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命とさまざまなサービスを展開していくにあたり、ネット上でのIDがそれぞれ異なっているということがございましたので、そういう点をグループとして、より使いやすくするために、グループ共通IDへの切り替えや、以前から申し上げておりましたが、グループ全体としてのポイント制などの導入も図っていきたいと考えており、その作業をずっと進めております。そういった点について、かなり楽天グループ様の知見を活用させていただいております。順次サービスの内容については、これから提供できる段階で公表していきたいと思っていますが、そういうソフト面でのオペレーション、操作性の向上やサービス内容の向上などにも、楽天グループ様のリソースをより活用できればと考えております。
【記者】
今、実証実験をしているドローンとか、郵便局のほうでしているオンライン診療なのですけれども、いつまでも実証実験ということではなく、今回、能登半島で道路の寸断とか、今でもまだ、なかなか通りにくいという話も聞いていますけれども、あと、避難所に3月までには手紙や、荷物はちょっと分かんない、手紙は届けられるというようなことなのですけれども、ドローンの活用とかオンライン診療、今回実証実験じゃなくて活用したらどうかと思うのですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
【社長】
ちょうど能登の七尾市の郵便局で、昨年の秋からオンライン診療について実証実験を行っておりまして、今回、被災したのですが、1月の半ばぐらいから再開しています。1月中にオンライン診療が6件、患者様が郵便局で診療を受けたということでございました。全国でこういった取り組みをうまく展開できれば、より広がっていくと思います。いろいろクリアする課題を今回の実証実験でより明らかにしようということで取り組んでいるところですが、診療所と郵便局を結ぶ回線ですとか、診療報酬の点数のつけ方など、遠隔医療について抱えている問題がありますので、そこが解決をされると弾みがつくと思います。また、併せて一般的なオンライン診療を、より広げていくということを関係者の皆様でやっていただくことや、自治体の協力などをいただければ当グループとしては展開しやすくなると思います。いずれにしても、七尾市での実証実験はしっかりと継続して、その内容について次に生かしていきたいと思います。
 それから、ドローンの関係ですが、これも規制面の関係で、レベル4の機体で現在は積載量が1.7キロぐらいまでだったと思いますが、今年中に5キロまで積めるよう、新しい機体を開発することで進めております。その機体がレベル4の認証を取ると、実際にさまざまな業務に投入できるということになります。
 ただ、レベル4までになると、ご承知のとおり、それを操作する側も、より高度な資格なども必要になってきますし、規制当局も安全性の関係で、こういった規制を解くことには相当慎重になっています。私どもが今先陣を切っているとは思いますが、ドローンの実務への投入も、計画どおりしっかりと進めていって、災害のときなどにも活用できるようにしたいと思います。
 5キロぐらい積めるようになると、郵便物だけではなく荷物のほうでも、軽いパケット型のものなどは今まで以上に積めますし、新しい機体は航続距離が35キロぐらいまで延ばせる予定ですので、活用の範囲が増してくると思います。
【記者】
レベル3でも、例えば能登の地震の場所であれば、人が住んでないところとかもたくさんありますし、何かそのために緊急に使ってあげたりとかして、より暮らしやすくしてあげるのもいいのではないかと思っているのですが。
【社長】
レベル3で飛ばすのも、認証が必要となります。まず道路を開通させるのが大変だと思いますが、日本郵便でも使えるものはできるだけ使うというのは、全くそのとおりだと思います。
【記者】
何だか、ACSLさんももう能登に入っているという話を昨日ちょっと聞きましたけれども。
【事務方】
事務的に補足させていただきます。おっしゃっていただいたように、今出資をしておりますACSL様では業界とも相談しながら、できるところからやられているということです。
 私どもとしても、交通網を含めて状況が非常に厳しいという部分はありますが、その中でドローンをどのように展開できるのか検討をしております。ただ、社長の増田が申し上げましたように、現地の空路も含めて、規制当局との調整やどのようなものを運ぶのかなどの課題があります。ですので、今、業界団体を通じてできるところからという事で、ACSL様を含めて取り組みを進められており、私どもも一緒に取り組んでいるというのが今の実態でございます。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)