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2023年4月4日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2023年4月4日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
本日は私から3件、発表いたします。
 1件目です。日本郵政株式会社の組織機能強化を図るために、4月1日付で2つの組織を新設いたしました。お手元の報道発表資料をご覧いただきたいと思います。
 まず、初めに、スポーツ&コミュニケーション部の設置です。日本郵政グループ女子陸上部は、当グループ創業初となる企業スポーツチームとして、2014年に創部をして、今年で10年目を迎えました。これまでは女子陸上部の運営事務局を、日本郵政の広報部に置いておりましたが、このたび、女子陸上部の運営面を強化するとともに、スポーツを軸にした地域貢献活動などを積極的に進める体制とすべく、広報部から独立した専門の部を設置したものです。
 企業スポーツの開始から10年目の節目を迎えて、これからは競技活動にとどまらず、スポーツを軸としたグループ内外のコミュニケーションの活性化や地域貢献、社会貢献に資する活動にも、これまで以上に積極的に取り組んでまいります。その中核の施策の一つとして、全国の学校における部活動の指導者不足の解消に向けて、当グループとして協力するということを考えております。
 現在、全国の学校における部活動の指導者不足が社会問題化しております。全国各地で少子化、過疎化が進む中、子供たちのスポーツ、文化芸術活動も縮小、もしくは消滅してしまう危機があると伺っておりますが、子供たちのスポーツをする権利を守り、将来のアスリートを輩出することは、日本の将来にとっても非常に重要な問題です。
 この問題については、スポーツ庁、文化庁をはじめ、関係機関において対応を進められていると伺っておりますけれども、当グループにおきましても、できるだけこの問題に対し、解決のお手伝いができればと考えているところです。
 当グループには多様な人材がおります。実際に地域で子供たちにスポーツを指導している社員もおりますし、文化芸術活動に秀でた社員もおりますので、これらの社員の得意分野を地域に還元する仕組みを考えたいと思っています。早期の実施に向けて、関係機関との調整や人事制度上の整理などを速やかに進めてまいります。
 次に、組織機能強化の2つ目の組織として、グループガバナンスの強化、特にクライシスマネジメントの高度化を目的として、クライシスマネジメント統括部を設置いたしました。
 クライシスマネジメント統括部におきましては、2021年4月に、JP改革実行委員会からの提言を受けて設置した、グループコンダクト統括室における2つの機能、すなわち、グループ内ミスコンダクト事象などの把握機能、報告体制の整備と過去のコンダクトリスク顕在化事案の反省を踏まえたグループのクライシス事象への初動対応プロセスの整備などの機能、そして総務部危機管理室におけるグループの危機管理体制の整備機能などの機能、この2つの室における3つの機能を統合するとともに、一層の高度化を目指すものです。
 同部におきましてはグループのクライシス事象への対応全般、および危機発生前後のグループ危機管理委員会運営などを一元的に担うことによって、クライシス事象などがグループ経営に及ぼす影響の極小化を目指すことといたします。
 発表の2件目です。東京都千代田区にある麹町郵便局での開発計画についてです。麹町郵便局において、同局の隣地を取得の上、郵便局と賃貸オフィスの複合ビルを建設いたします。
 麹町郵便局は、当グループの中期経営計画「JPビジョン2025」でも開発候補不動産の一つとしております。本開発では、いったん麹町郵便局の集配機能と窓口機能を別位置に仮移転させて、現在の郵便局舎を解体した上で、新しく集配機能を備えた郵便局と賃貸オフィスの複合ビルを建設する予定です。
 先日、竣工いたしました広島JPビルディングや東京のJPタワーには、集配機能は残っておりませんが、麹町局のように集配機能を残したまま、郵便局の建て替えと不動産開発を同時に行うのは初めてのプロジェクトとなります。
 限られた敷地ですので、最大限有効活用し、1階は複合ビルとしてのエントランスや集配機能のトラックなどの発着スペースとしまして、業務用車両の駐車場は地下に計画しています。2階の郵便局窓口は、郵便局ロビーとビル全体の共用ロビーを一体化することで、DXを活用した新たな郵便局サービスを展開する未来の郵便局の取り組みを行う予定です。
 また、SDGsへの貢献としては太陽光発電設備の設置や屋上緑化などを計画しています。詳しい開発計画については、具体的な形になり次第、随時公表いたします。
 今後も全国の郵便局などを開発候補不動産として、不動産事業への活用を進めてまいります。  発表の3件目です。ゴールデンウイーク期間中における、ゆうちょ銀行の各種サービスの休止についてです。既に2月に本件は報道発表を行っておりますが、改めてお知らせをいたします。
 ゆうちょ銀行では、今後も安定的に各種サービスをご利用いただくため、約10年ぶりに基幹システムを更改いたします。これに伴いまして、ゴールデンウイーク期間中の5月2日火曜日の23時55分から5月の6日の土曜日の午前7時までの間、ゆうちょ銀行のほぼ全てのサービスを休止いたします。
 日ごろから多くの皆様にご利用いただいております、ゆうちょATM、これは提携している他の金融機関のATMも含みます。そしてスマホ決済のチャージなどの各種送金決済サービスを、この期間はご利用いただけません。お客さまには大変ご不便、ご迷惑をおかけいたしますが、何とぞご理解、ご協力をいただき、サービス休止前に入出金、送金、チャージなどご利用いただきますようにお願いいたします。
 現在、郵便局やゆうちょ銀行の店舗において、ポスターやチラシなどでご案内しており、今後はテレビCMや新聞広告、インターネット広告などの媒体を通じて、お客さまへお知らせをする予定です。私からも、この場をお借りして、改めてお知らせをさせていただいた次第であります。
【記者】
先週、総務省が、郵便局を活用した地方活性化方策を取りまとめました。さまざまな施策が含まれている結構大きなものだと思いますが、当該方策、取りまとめについての社長のご所感と、その他、方策に取りまとめられていないものも含めて、今後、どのように政府と連携していくのかについてのお考えをよろしくお願いいたします。
【社長】
まず、当グループでは、中期経営計画として、「JPビジョン2025」を2021年5月に発表しており、お客さまと地域を支える共創プラットフォームという考え方をそのビジョンの中心としております。すなわち、当グループの最大の強みである、郵便局ネットワークによってサービスを提供し、グループ外の多様な企業や地方公共団体と連携して、お客さまの生活を支えていく。これが、共創プラットフォームの考え方になっております。
 今回、総務省で公表した郵便局を活用した地方活性化方策を拝見いたしましたが、自治体などと連携を行う幅広い施策が盛り込まれておりますので、当社グループが目指す姿、方向性、すなわち共創プラットフォームの考え方と方向性が一致していると思います。
 総務省で公表された地域活性化方策をどのように具体化していくのかについては、既に実行に移しているものもあります。例えばマイナンバーカードの申請サポートなどは既に実施している取り組みですが、そのほか、郵便局が保有・取得するデータを活用した取り組みといったことなど、今後に向けての取り組みなども記載されています。
 郵便局では多様なデータを扱っておりますが、そういったものを例えば災害時などにどのように活用していくのか。自治体と今後よく協議をさせていただき、連携をしていくことになると思いますが、総務省も含めてよくお話をして、公益性の高い多様なサービスが具体的に郵便局を通して実現できるように取り組みを進めていきたいと考えています。
 このようなデータ活用がこれから非常に重要になってくると思いますが、そのほかにも、既に自治体と協力しながら、スマートスピーカーを活用した高齢者に対する「郵便局のみまもりサービス」を実施しており、空き家についても、「空き家のみまもりサービス」の試行を開始しています。
 今、包括連携協定を締結している自治体は44都道府県、1,389市区町村に及んでおります。全国で今、約1,700程度の市区町村があるかと思いますが、そのうち1,389市区町村と協定を締結しておりますので、その協定の中に盛り込まれているもの、あるいはこれから可能になってくるものもあると思いますので、精力的に協議を進めていきたいと思います。
 総務省で出された地域活性化方策は、総務省でも広く周知をされると聞いておりますが、私どもも郵便局に周知をして、自治体と郵便局との話し合いがより活発に進められる方向で取り組んでいきたいと考えております。
【記者】
3問あります。1点目は3月24日に水戸地裁において、懲戒解雇された日本郵便社員の解雇無効の判決が出ました。これで解雇無効は4人目です。受け止めを教えてください。一問一答でお願いします。
【社長】
私どもの主張が十分認められなかったということでありますので、日本郵便から控訴したと聞いております。また上級審、高裁でしっかりと私どもの主張を展開して、司法の判断を仰ぎたいと思います。
【記者】
2点目です。この水戸の裁判では、顧客からの手紙が証拠として提出されており、自らの意思で解約を申し出たのに、解雇につながるとは思いもよらなかった、申し訳ないと。これは深掘り調査の在り方に問題があったというふうに取らざるを得ないと思います。解雇に限らず処分された者は多数いるわけですけれども、ほかの処分された社員も、自分の処分は果たして正しかったのかというふうに疑心暗鬼にならざるを得ないと思いますが、こういった状況についてはいかがお考えでしょうか。
【社長】
今の段階では、裁判に関することについてコメントは控えたいと思います。高裁において改めて対応してまいりたいと思っておりますが、解雇に向けてのプロセスに誤りはなかったものと思っており、しっかりとした手続きの上で解雇という判断にたどり着いたと考えています。
【記者】
3点目です。4月1日付で日本郵便からかんぽ生命へ転籍する社員に対して、転籍前日の3月31日付で停職や減給などの懲戒処分が多数出ているようです。増田社長、このことはご存じでしょうか。昨年4月までに、不適正募集の人事処分というのは終わらせたはずですが、なぜまたこのように処分がなされているのでしょうか。
【社長】
不適正募集についての処分については、3月31日、すなわち昨年度いっぱいで終わらせるという方針で取り組んでいたと聞いておりますので、最後まで残っていたものを3月31日付で処分をしたのだろうと思います。個々に、どういう処分を下したかということまでは聞いておりませんが、3月31日をもって、全体の処分を終わらせるようにするとのことでした。今のご質問はその処分のことを指しておられるのではないかと思います。
【記者】
確認ですけども、昨年3月31日ではなく、最近の3月31日までに終わらせようとしていたということなのですね。
【社長】
そうです。
【記者】
2月に日本郵便が集配業務の委託先への価格転嫁状況について指摘を受けた件で、その後、自主点検を行っていたと思いますが、その状況について社長に報告は既に上がっていますでしょうか。もし今後のご対応の方針などあれば、お教えください。
【社長】
価格転嫁の関係については、まだ協議中との報告が上がってきており、私からは、できるだけ早いほうが委託先の方にとってもいいと思いますので、来週、4月10日の週にはその状況を公表するように進めてほしいと日本郵便に話をしております。
 自主点検についていろいろな作業があるため、しっかりとしたまとめにはなっておらず、まだ中間的な状況となるかもしれませんが、いずれにしても、公表を行うということで作業を進めていると思います。
【記者】
今年度の事業計画の中で、ゆうパックの値上げの方針についても示されていると思いますが、その値上げの分が下請け業者に対する還元の原資の一部となるというふうに理解してもいいでしょうか。
【社長】
ゆうパックの関係については、基本運賃の引き上げを今、検討しており、事業計画にその考えを盛り込んでおりますが、諸物価の高騰が郵便やゆうパックの経費にも影響してきておりますし、新たにゆうパックの競争力を高めるためにさまざまなサービスを進めていきたいと思っておりますので、それを具体的に展開していくための値上げという要素もあります。
 しかしながら、ストレートに値上げを協力会社様の価格転嫁のほうに充てるという考え方は持っておりません。間接的には協力会社様への委託価格などにも影響が出てくることは否めませんが、ゆうパックの基本運賃を引き上げようと考えていたのは、それ以前から社内では、内々にいろいろ考えていたことです。
 競業をする他社も運賃の引き上げを、既に4月から行っていますし、そういう中での競争力なども考えながら、私どもを選んでいただけるお客さまの価格の選好といったことを考えていたものであり、直接的に、協力会社様への価格転嫁のことを考えて、ゆうパックの基本運賃を引き上げるという、そういう思考にはなっておりません。
 実施時期は今年の秋を考えておりますので、具体的にどの程度上げるかは、詳細が決まりましたら公表いたしますが、もう少し先になります。物価の上昇の影響などをよく見ながら考え、決めたいと思います。
【記者】
今出た、ゆうパックの関係ですけれども、日本郵便の先日の説明では、過去の状況については、2月末までに自主点検する、さらに3月中に業者とのコミュニケーションをとって、料金改定について協議するというお話だったかと思いますが、2月末までに終えると言っていたものも、現時点では、増田さんのところには報告がなく、来週、何らか公表する見通しだと、こういうことでよろしいでしょうか。
【社長】
そういう理解で結構です。自主点検を2月中に行うということで、点検結果の集計をしたり、調査先にもう一回聞いたりという作業があり、取りまとめに少し時間がかかっていると聞いておりますので、今、お話しになられたような状況です。
【記者】
ゆうパック運賃の値上げについて、前回の記者会見では、ちょっと具体的な文言は忘れてしまいましたけどかなり消極的な説明をされていたかと思います。今、表面に出ている事象だけを見ると、中小企業庁の調査結果や下請け業者の声を踏まえて、今回、値上げをするというふうに見てとれますが、そこは先ほどの説明だと、何かかなり強く否定しているようにも聞こえたのですが、そこはどうでしょうか。
【社長】
一番大きな問題はやはり2024年問題です。日本郵便社内で随分前から、対応として中間地点の設備や、ドライバーさんの人数などについて考えなければならない問題でした。これはもうずっと以前から制度上決まっていたことではありますが、ただ、値上げについて考えるというのは、やはりよほど慎重に決めないと、お客さまなどにお知らせする段階にまではいきません。
 今、申し上げました2024年問題や、諸物価の高騰の影響などをいろいろ考えて、総務省に、3月の初めに事業計画の認可申請を出しましたが、それまでに、しっかりと内容を固めようということで作業を行ってきておりましたので、前回、2月の会見では、情報を出す段階にも至っていなかったというのが正直なところです。
【記者】
ゆうパックの現場の方々にちょっとお話を伺っていると、今、ゆうパックの荷物量自体が、横ばいか少し少なくなっている状況ですけれども、日本郵便の社員や、あるいは直接雇用している者が、ゆうパックを運んで、下請けに委託する量を減らすような動きも何となく見てとれるのですけれども、大きな流れとして、下請けへの依存度を今後どのようにしていきたいのかという何かお考えは、増田さんにはおありでしょうか。
【社長】
荷物の量や、時期的なもの、地域性で、相当左右されますので、支社ごと、あるいは県ごとによっても違うのかもしれません。
 協力会社様を、日本郵便の社員に振り替えるということが可能な地域もあるかもしれませんし、やはり難しいという地域もあるかもしれません。荷物の量などによって、各地域でいろいろな会社にご協力いただいております。そのあたりはいろいろ状況を調べれば、地域性や季節性があると考えています。
 eコマースなどによって荷物の量は増えていますので、やはり基本は、協力会社様にお願いするという構造は、これからも続けていかないと難しいと思っています。そのときに、ちゃんとした関係が築けるかどうか、やはり日本郵便が信頼あるパートナーとして見られないと、将来荷物をお願いするのが難しくなってきます。eコマースの関係で荷物が増える中で、それを決められた期間にさばけるという体制、そういう視点で、しっかりと取り組みたいと思います。
【記者】
前回の記者会見では、2月の中小企業庁の発表内容が出たばかりで分からないような状況だと、ご説明されていたかと思いますが、その後、結果の内容をご覧になって、どういうふうに受け止められたか、いま一度、お願いできますでしょうか。
【社長】
中小企業庁様が協力会社様に対してどのような調査、聞き方をされたのかというのは、なかなかつかめないところが正直あります。また、どの事象を捉えて、そのような反応になったかというのが分からないところがあります。公正取引委員会様の調査も当然、この問題を扱っており、そちらは質問項目が分かっておりますが、いずれにしても、中小企業庁の発表内容で日本郵便の点数が非常に低いというのは不名誉なことですので、しっかりと協力会社の皆様方と事前に協議をする、協議の場を設けていく必要があると思います。契約の更新は年度末が多いわけですが、年度末の決められた期間を、協議期間として、きちんと協力会社様と向き合うことが、解決につながると思います。支社で十分内容を把握し、協議が調わないときには、内容によってはちゃんと本社まで話を上げて解決を図るという体制を築きましたので、それに則って今後やっていきたいと思います。中小企業庁の調査を契機に改善をしっかりと図って、似たような調査が今後あったときには、低い、マイナス以下の点数をとらないようにしっかりと努力したいと思います。
【記者】
値上げをお願いしたけど対応してくれなかったという証言をする業者が、私どもの取材でも何社か見つかっていますが、そこは増田さんの認識としてはいかがでしょうか。
【社長】
まだ自主点検などの結果が上がってきていないので、結果を見てからということで、個別には把握しておりません。
【記者】
かんぽ生命の不正問題で、業務改善命令を受けてから3年以上が過ぎていますが、この改善命令が長く続いている理由について、増田さんとしてはどういうふうに整理、考えておられますか。
【社長】
不正事案が案件として重大かつ量的にも多岐にわたったということではないかと思います。業務改善命令であり、大きな事案ですので、監督される当グループとしても、当然、そう簡単に解除されるようなことではないと、最初から覚悟はしておりました。いずれにしても、毎回しっかりとご報告をして、とるべき対応策について、挙げられていたものは全て、実施フェーズに入りましたので、また、その状況をちゃんとご説明して、当局のご判断を待つということで進めていきたいと思います。
【記者】
楽天グループさんとの業務提携について2年というか1年過ぎていますけれども、これまでの成果、あるいは評価みたいなものを改めてお伺いできないかというのと、これからのポイントというか問題意識みたいなものを改めてお伺いできませんでしょうか。
【社長】
資本業務提携をして、やはり一番大きいのは、楽天市場に出ている荷物の取り扱いが進んできているということだと思っています。
 JP楽天ロジスティクスという会社をつくり、倉庫数を増やし、人員を確保して、業務がしっかりと回っていくまでにいろいろ浮き沈みなどございましたが、最近の楽天スーパーセールの状況などを見ておりますと、非常に多くの荷物が当方に来ている状況でもあります。今後も荷物をさらに多く取り込んで、ゆうパック全体の荷物の量の増大につなげていくことに、注力をしていきたいと思っています。
 そのほか、ゆうちょ銀行デザインのクレジットカードを出したりといったようなことを進めてきていますが、そういう個別の事業会社の取り組みと同時に、全体的にDXを進めていく上で、楽天様側から人材を派遣してもらったり、完全移籍ではなくても、プロジェクトを進めていく際に、例えば「みらいの郵便局」でのOne IDだったり、プラットフォームアプリをつくったりという作業の中で、相当、楽天様から協力していただき、DX人材の不足を補ってもらっていますので、全般的なDXについての取り組みの促進ということで、これからも楽天様とより協力して進めていきたいと思っています。
【記者】
そうすると、これまでのところは、プラスということでしょうか。それとも、まだ先行投資期間という感じでしょうか。決算の前なので、言いにくいところがあるかもしれませんが、そういう評価はいかがでしょうか。
【社長】
やらないと前に進んでいけません。そういった意味では中期経営計画で共創プラットフォームという概念を出していますので、その中で、他企業との連携として楽天様というパートナーとしっかりやったという成果の一つだと思います。
 具体的に、数値などについては、決算のときにご判断いただければと思いますが、とにかく、これからDXも進めていかなければなりませんし、成長に向けて、常にさまざまトライしていかなければいけないので、そういう意味で、非常に大きな一歩になっているというふうに思っております。
【記者】
昨年度は楽天さんの株価が大きく下がってしまっているという状況がありますが、これについては、所見はお伺いできないでしょうか。
【社長】
他社の株価についてはコメントを差し控えます。
【記者】
欧米で金融不安といいますか利上げの影響と見られるような銀行不安が一部生じています。外債価格が下落しているという中で、かんぽ生命や、ゆうちょ銀行、金融部門への影響は、足元で見られているのでしょうかというところと、今後出てきそうですというような警戒感はあるのかどうか、まだ決算前ですけど、教えていただければと思います。
【社長】
クレディ・スイスについては、銀行によってはAT1債などについて、評価損の形のような影響があるようですが、当グループの金融2社についてはほとんど影響ないと今見ています。ただ、今置かれているグローバルな状況というのはよく注視をしておかなければいけないということになりますので、当然のことながら、金融関係がこれからどうなっていくかは、十分に注意を払いながら、リスク管理もしっかりしながら注視しているという状況です。
【記者】
ゆうちょ銀行の株を売却されましたが、1兆円余りのお金が郵政のほうに入ってくるということで、どのようにそれを活用するか、方針みたいなものが、具体的なものはまだないかもしれないですけれども、方針のようなものがあれば教えてください。
【社長】
おおよそ1.2兆円強の売却収入がございますが、DXや不動産投資など成長に向けての投資に充当していきたいと思います。DXについては、社員の業務負担を軽減させて、新しいサービスをいろいろ展開していきたいと思います。それがネットワークの維持強化につながると思います。また、経営の柱に仕立てたいと思っている不動産といったところに、今後その資金を使いたいということと、株主還元も考えなければいけませんので、自己株取得などにもそういった資金を割り当てることも、また考えていかなければならないと思っています。詳細が決まれば、発表すべきものは発表したいと思いますが、いずれにしても、グループ全体の将来、成長につながる分野に、よく見極めて使っていきたいというふうに思います。
【記者】
DXや不動産に投資ということですが、M&Aで、何かどこかの企業に買うとか、そういったことはありますか。
【社長】
今考えているもの、公表できるものはございません。
【記者】
日本郵便が、昨年度から、新たな人事制度として、地方本部長を設置されましたが、これはやっぱりエリマネ局との連携が主な狙いだったと思いますが、1年たって、どのような評価になっておりますでしょうか。もし改革がまださらに必要であれば、また何か考えていらっしゃることを教えていただきたいと思います。
【社長】
地方本部長は県内に1人、規模の大きい県には2人など、複数人おります。自身の担当エリアの局長のところに相当足しげく顔を出しているという実態を見ておりますので、間違いなく意思疎通はさらに濃密になっているものと思います。
 1年たって、去年の秋ごろに私が本部長に会った際には、受け持ちエリアの人数が多いので、まだやっと担当エリアを一巡したぐらいといったような人もいました。部会で集まっているときは、当然のことながら局長には会えるのですが、個別に郵便局などに足を運ぶことがやはり大事でしょうから、そういうことからいうと、まだ大きな成果を期待するにはちょっと日が浅すぎると思います。今後の様子については、年度が替わり、これから私も地方に出かけていきますので、よく話を聞きたいと思っております。
 いずれにしても言えるのは、これまでの活動を見てきていても、今まで以上に、ずっと濃密なコミュニケーションが支社と図られつつあるのではないかと期待していますが、今後も、よくそのあたりも含め、確かめていきたいとは思います。
【記者】
今日発表されたクライシスマネジメントとも少し関係すると思いますが、郵便局を活用した防災倉庫というのを、消防庁が今年度から本格化するようですけれども、そういう防災倉庫という取り組みについて、増田社長がどのようにご覧になられているのかというのをお話しください。
【社長】
郵便局の集配機能の見直しなどにともない、空きスペースが出ているところもかなりあります。郵便局の空きスペースを公的にどう活用するかというのは、これから重要な課題になると思います。災害が今、局地的に多発しておりますので、消防庁のほうで、防災倉庫などで常日ごろから防災備品などを備える拠点にしたらどうかとのお考えがあると聞いております。私どもとしても協力をして、郵便局の空きスペースを公的に有効に活用していく、そういうお手伝い、郵便局の活用の在り方を進めていきたいと思います。
 実は防災だけではなく、もっと公的な役割、活用方法があれば、できるだけ私どもとしても前向きに捉えていきたいと思っていますが、防災倉庫というのは非常に利にかなったものではないかと思いますので、そういう活用方策、どういったものをどういう形で保管するかなどについては、よくノウハウを教えてもらって、それでしっかりと対応したいと思います。
【記者】
日本郵政が保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式が、最終的にはゼロを目指すことになっている民営化法のままで、グループ一体は難しいのではないかとする声も高まってきていますが、増田社長として、きれいごとではなく、3事業一体や郵便局ネットワーク維持のために、例えば法律を改正したほうがよいなどの思いはございますか。
【社長】
法律については、やはり立法府のほうでよくお考えいただくことかと思います。特に当グループの民営化については立法府で、かんかんがくがくな議論をした経緯がありますので、軽々に実行部隊である経営陣が申し上げるべきではないと思いますが、申し上げられるのは、中計期間中に当社の保有割合を50%以下までは早急に売却をするというところで、そこまではしっかりと中計の実施期間中にやるということです。まだ、ゆうちょ銀行が50%以上残っていますが、それを行うということと、その先については、私どもとしては、法律の規定に沿って粛々とやっていくということだと思いますが、やり方や、考え方をまだしっかりと整理しているわけではありません。
 今後、検討する必要があると思いますが、ただ、今の民営化法上は100%株式を売却することとなっておりますが、ビジネスモデルは完全に郵便局中心に、金融2社も行うような形になっておりまして、実際のビジネスに対しての、国民ですとかご利用される方の信頼感から言えば、郵便局とは切っても切れない形になっておりますし、郵便局抜きでは到底やっていけないと思いますので、私は、資本関係がどうなるかということはあまり心配していないというか、多様な事業をやっている会社がグループの内にあり、それは郵便局を中心にあるということをグループの社員がちゃんと意識をしていれば、グループの強みを発揮できると思います。
 それから、ゆうちょ銀行の直営店などが規模の大きな郵便局では併設となっているのですが、ご利用される方も会社が違うと意識されている方は、まずほとんどいないと思います。郵便局に来て、お金を下ろしたり預けたり送金したり、金融の相談を郵便局の方と相談しているというふうに思っていらっしゃると思いますので、そういうことがこれからもずっと続くと思います。ビジネス、事業とすれば、グループの一体となった強みを余計に発揮していくような形にしていきたいと思います。
 法律に基づく要請、株式の売却は、今、決められた枠組みの中で、私どもとしては考えていきたいと思います。
【記者】
あと、ゆうちょ銀行のシステム更改について、かなりPRされていらっしゃると思いますが、この後にキャッシュレス化に向けた、大きな何かを目指しているところがあるのかというようなお話と、それに関連して、ゆうちょ銀行とかんぽ生命と郵便局のシステムが今ばらばらだと思うのですが、それを将来的に一体化するようなお考えというのはありますか。
【社長】
ゆうちょ銀行のシステム更改は非常に重要でありますし、トラブルがあったら絶対にいけませんので、とにかく慎重の上にも慎重に、何度も準備を重ねてやって来ています。あともう少し、ひと月後になりますので、緊張感を持って進めていきたいと思います。
 更改を何のためにやるのかというと、今のシステムが使い始めてだいぶ時間がたっているということでありますが、やはり新しいサービスを提供するためにも、勘定系のシステムの更改をして、いろいろなサービスに対応できるだけのしっかりとしたシステムの基盤をつくっておく必要があるということで、今回行うものです。新サービスの投入についてはその都度、今後また発表していきますが、お客さまサービスの範囲を広げてより高度化するための今回のシステム更改と、ご理解いただければと思います。
 郵政グループで大きなシステムは、おっしゃったように日本郵便、それからゆうちょ銀行、かんぽ生命とそれぞれが抱えており、これを無理に統合すると大変なことになりますので、連携はできるだけ強めるようにしたいとは思いますが、基本はそれぞれの3つのシステムを持ちながら、運営を進めていくということにこれからもなっていくと思います。お客さまサービスなどの提供に、それぞれの会社をこえて、シナジー効果が出るようなサービスというのは、これからも考えていきたいと思いますが、ただシステム自体は、今あるシステムを、それぞれをしっかりと運用していくということになるのだろうと思います。サービスの内容については、各社のシナジー効果が出るような新しいサービスをつくりたいと思っています。
【記者】
郵便局長による郵便局舎の取得の手続きについて、これまで支社の社員が虚偽の報告を行い、その報告内容に基づいて、取締役会から郵便局長が移転先などの土地、あるいは局舎を取得する承認を引き出していたという事案かと思いますが、いわば取締役会、日本郵便の取締役会が、うその報告でだまされていたということであるかと思うのですが、取締役会のメンバーでもある増田さんの受け止めと、把握されている限りでどういう不正、問題がどのぐらいあったのか。特に組織的、支社での組織性がなかったのか、この辺の認識を教えていただきたいのが1点です。
 もう1点、日本郵便、この件についてほとんど説明をしない姿勢でして、理由は契約に影響が出るからというようなことを説明されていますけれども、件数を公表したりすることで、どんな影響出るのかが分かりませんし、いろいろな専門家からも、説明が不十分だと。公正な調達が期待できないという指摘なども出ています。この説明の姿勢についてもあわせてお願いいたします。
【社長】
まず、取締役会にちゃんとした書類で、正確に書かれたものが出てきてないということは大変重大な違反でありますので、そこはそのような書類を作成したところも含めて、しっかりと是正をするようにということを申し上げました。社内処分も含めて、体制をより強化したと日本郵便から聞いております。
 取締役から見ると信頼、あるいは信用失墜行為でありますから、もちろんあってはならないことです。そこは猛省をして、ちゃんと対応していただかなければいけないと思います。
 公表や、あるいはどのくらいの欠損があったかということについては、先般国会のほうでもやりとりがあったと聞いており、日本郵便の衣川社長もどのようなことができるかを考えたいと、今、正確な答弁は手元に持っておりませんが、そのような趣旨のことを言っていますので、それを踏まえた上で何らかのものは公表をすることで、日本郵便において検討していると聞いています。
 どのような形で出すかということは、私は承知をしておりませんが、国会でも答弁をしておりますので、日本郵便のほうで、それを受けての対応をしっかりととってもらえるものと思っています。
【記者】
今の点で2点願いします。
 1つは、国会で質問を受けて、今後、公表するのはいいことだと思いますが、そもそも国会で質問が出るまでは全く公表しない姿勢だったので、この姿勢についてどのように思われるか1点お願いいたします。
 また、増田さんは、取締役会に正確に書かれたものが出ていないという表現をされましたけれども、私の理解では、地主が日本郵便に土地を譲ってもいいというふうに言っているのに、それとは全く違う、地主は日本郵便に譲りたくないという趣旨の報告をしているのであって、今おっしゃった、正確に書かれたものが出てないという表現とは全然レベルが違うと思うのですが、今の増田さんのコメントは、正確に書かれたものが出ていないということを前提にしたコメントなのか、今、私が申し上げたような、全くのうその報告をされたことに対するコメントなのかでもだいぶ評価が変わってくるかと思いますので、前提のご認識、いま一度お願いできませんでしょうか。
【社長】
取締役会に出て書類を見ているのと実態が違うと、正確でないということを申し上げたので、今おっしゃった話と、私が言った正確に書かれてないということの違いはあまりないように思ったのですが、要は事実でないことが、書類上は出ているということですので、正確でないということを申し上げました。
 また、日本郵便のそれまでのやりとりをちゃんと全部把握しているわけではないですが、社内規範に違反しているのであって、局舎に何か問題があるということではなく、詳細に公表すると、その地域のコミュニティーでいろんな疑心暗鬼が出てくるおそれがあるということを言っていたように思います。
 いずれにしても、社内調査したのであれば、公表すべきではないかということについて、日本郵便が考えているようなおそれがないように公表すると言っておりますので、どういう形で公表されるのか、私も見たいと思います。
【記者】
正確ではないというと、うっかり間違えてしまったとか、あと十分に調べていないけど適当に書いたようなものも含まれると思うのですが、増田さんの認識としては、それとはさらに超えて、私が申し上げたような全くのうそが書かれているものも含めて先ほどのような表現だったと、こういう理解でよろしいでしょうか。
【社長】
全くのうそかどうかという調査も含めて、日本郵便のほうでやられている調査があると思いますので、それをよく見る必要があると思いますが、いずれにしても、出てきている資料がちゃんと実態を反映してない、正確でないという受け止めをしているということです。
【記者】
先日の事業計画では、郵便料金の24年度以降の値上げについても触れられていましたが、ここの考え方についてご説明お願いできますでしょうか。
【社長】
郵便料金については、今、諸物価がガソリン価格も含めて随分上がっています。幾分か下がっているところもありますが、基本的にはエネルギー価格が上昇し、それ以外の部分も上昇している状況です。また、先ほど言いました、郵便物などを配る際の、2024年問題という非常に大きい問題もあります。一種定形郵便物については1994年、二種郵便物については2017年以来、消費税率改定分の転嫁を除けばずっと据え置かれてきたということもありますので、その間、あまり諸物価が変わってなかったということがあるかもしれませんが、最近の状況を考えますと、引き上げということも当然考えていかなければならないと思います。
 事業計画の中で、今年度の事業計画ですので、今年度は引き上げまで考えているわけではないということですが、検討をちゃんとしておこうということで、今年度の事業計画の中にも、その旨記載をしているということです。今年1年間、一種、二種になると思いますが、どういう料金が事業を継続していく上で適正なのか、サービスを持続できるのかよく検討したいと思います。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)