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2022年12月23日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2022年12月23日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
まず、12月17日からの大雪により被害に遭われた被災者の皆様に慎んでお見舞いを申し上げます。日本郵政グループとしても、災害救助法に則りまして、非常取り扱いなどを実施しております。詳しくは各社のホームページをご覧いただければと思います。

 本日は、私から3件報告します。
 まず1件目です。このたび、郵便局ネットワークを活用した取り組みとして、全国で初めて、空き家の調査業務を三重県玉城町様から受託することとなりました。
 本年9月30日の会見で「空き家のみまもりサービス」の試行についてお話を申し上げたところですが、シンクタンクのシミュレーションによると、日本全国の空き家数は、2018年には849万戸、空き家率にして13.6%でありましたが、将来推計によると、20年後の2038年には1,367万戸、空き家率としては21.1%と、20年間で約60%も増加するといったような試算となっています。
 空き家が及ぼす防災、衛生、景観などの観点からの悪影響が既に各地域で顕在化しており、地方公共団体の中には、地域内の空き家の実態把握にご苦労されているところもあると伺っております。そうした課題の解決に、地域に密着した郵便局ネットワークや配達ネットワークの強みを生かすことができると考え、日本郵便において空き家調査業務を受託することとしたものです。
 期間は2022年度内ということで、来年1月から3月まで三重県の玉城町様から業務を受託して、空き家の現状の確認を郵便局が行います。具体的には、日々、町内を配達業務などで回っており、建物の場所や道路などにも精通をしている郵便局の郵便集配業務を担当する社員が、玉城町様から示された調査項目をもとに空き家の現状を確認するということになります。
 また、確認時には当該空き家の外観撮影も行い、玉城町様にそれを提供することで、同町におけるより正確な空き家の実態把握のお手伝いができればと思っております。
 玉城町様では今回の調査データをもとに、空き家の活発な利活用や適切な安全対策を推進させる予定と伺っております。空き家相談会、空き家バンクへの登録促進など、空き家の利活用を図り、関係人口の創出につなげていただけるものと思っております。
 なお、本受託業務は、2020年度の総務省の郵便局活性化推進事業の内容を踏まえ、事業化して、初めて受託するものです。空き家に関する課題を抱えておられる地方公共団体は多く、現在、複数の地方公共団体から本業務に興味を示していただいているところです。今後もそれぞれの地方公共団体の課題やご要望などを個別にお伺いしながら、受託拡大に向け取り組んでいきたいと思います。
 また、地域に密着した郵便局ネットワークや配達ネットワークの強みを生かし、より多くの地域の課題解決を支援できればと思っております。

 2件目です。このたび、携帯電話ショップのない全国723の市町村、2,294の郵便局で来年1月10日から3月末まで、マイナンバーカードの申請サポート事業を受託することとなりました。
 なお、本件については、本日の総務大臣の記者会見の際にも総務大臣のほうから触れられたとお聞きをしております。
 現在、マイナンバーカードの普及促進は、国の最重要課題の一つと認識をしております。日本郵便では、総務省による郵便局を活用した地方活性化方策検討プロジェクトチームの中間まとめで、郵便局を活用した当面のマイナンバーカード普及策について掲げられたこともあり、マイナンバーカード関連の地方公共団体事務として、マイナンバーカードの申請支援事務、キオスク端末の設置・運用事務を受託し、マイナンバーカードの普及促進に協力をしております。
 マイナンバーカードの申請支援事務の受託においては、今年の10月末までに全自治体へ提案し、11月末現在で全国28自治体から受託をしております。今後も受託数はさらに増える見込みです。今回の受託は、携帯電話ショップがない市町村の郵便局においてマイナンバーカードの申請支援を行うというものですが、既に一部の郵便局で実施している申請支援と同様、紙の申請書を使っての申請を郵便局社員がサポートします。
 具体的には、マイナンバーカードの申請のご意向確認、マイナンバーカード申請に必要となる写真撮影、印刷を含めた申請書作成の支援、マイナンバーカードの受け取り方法、照会先などのお客さまへの説明、お客さまから提出をされた申請書の所定場所への送付などを行います。

 続いて、3件目です。年末の業務運行の状況などについて申し上げます。
 今年も残すところ、あと1週間となりました。冒頭申し上げたとおり、12月17日からの大雪により、主に新潟県内を中心に配達の遅れや一部地域でのゆうパックなどの引き受け停止を実施しております。今後も天候により運行状況などを変更する場合もございますが、詳しくはその都度、日本郵便のホームページをご覧いただきたいと存じます。お客さまにはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 なお、今月15日に引き受けが始まった年賀ですが、12月21日時点において、対前年で91.2%の約1.4億枚の差し出しがありました。今年は久しぶりにふるさとにといった方もいらっしゃいますが、新型コロナウイルスの感染状況も高止まりしておりますし、また、大雪ということもありますので、まだまだ帰省ができないという方も多くいらっしゃり、年賀状を出したいといった声も私どもに届いております。
 今週末の25日までに投函をしていただくと、元日にお届けすることが可能ですとお知らせをしておりますが、25日以降にお出しになられたものにつきましても、できる限り元日にお届けできるよう最大限努めてまいります。
【記者】
ドローンについて1点お尋ねします。12月5日にドローンのレベル4が解禁されました。御社でもこれまで実証実験を重ねてきていらっしゃいますが、改めて日本郵便におけるドローン配送の今後の展開、それから期待についてお願いいたします。
【社長】
まず、ドローンについては、大変、その利活用に期待をしております。と申しますのは、配送する拠点の郵便局は、集落の中心部に多く位置しており、今回レベル4で目視外での運航が解禁されたわけですが、道路や民家の上空の飛行が避けられないルート、こういうものが多く今後出てくるものと思っています。そのようなことにレベル4ですと対応できますので、特に中山間地域などで大いにこの効用を発揮できるものと考えております。
 ただ、中山間地域のみならず、今後、運航の習熟をしていく中で、都市部などでもこれから利活用の経験値を積むと、領域も広がってくるというふうに思いますので、この分野については大変期待しているところです。
 今お話がありましたように、法制度がレベル4対応まで変わったということと、もう一方で、機材の開発などもだいぶ進んできており、当グループのJPキャピタルが出資しているドローン専門の開発会社ACSL様が、日本郵便のオペレーションを念頭に置いて、物流専用機というものを開発しております。
 先般、マスコミの皆さん方にご披露させていただきましたが、まだ認証を取得していないので、レベル4に現時点で対応できているわけではありませんが、今後認証を取得して、レベル4に対応できるようにし、その上でいろいろ訓練を重ねて、実用化を図っていきたいと考えております。
 今使っている従来の機体ですと搭載重量が1.7キロまでですが、先般開発したものは約3倍の5キロまで搭載できるようになりました。また、航続距離が現在の10キロから3.5倍の35キロまで伸びますので、うまく利活用すれば大変効果を発揮するものと思っています。
 今は郵便局からお客さまのお宅にダイレクトに荷物などをお運びして、お渡しするということを想定していますが、将来的には郵便局間の輸送にも活用できるのではないかと考えており、活用の幅も、今後の習熟度合いに応じて広げていきたいと思っております。
 いずれにしても、先般から三重県熊野市の入鹿郵便局で実証実験を実施しておりますが、来年以降、さらに実証実験の範囲を広げて、できるだけ早くレベル4にしっかり対応できる実用化を図っていきたいと、こういうふうに考えております。
【記者】
社会の動きと相まって、マイナンバーカードと郵便局の関係で、大きな動きが出てきたように見えるのですが、増田社長として、直近の今日発表されたものだとか含めて、一連の動きについて、意気込みのようなものがあればお話しください。一部、交付事務関連も報道されていますけれども、そうしたことも少し含めてお話しいただければと思います。
【社長】
マイナンバーカードについては、その交付と、それから、その後の例えば、暗証番号変更や、紛失した場合の再発行など、メンテナンスでさまざまな業務が出てくる可能性があります。それは基本的には今、自治体で行うということになっていますが、自治体だけですと、恐らく全てを十分に今後カバーしていくことが難しいだろうという想定があるのだと思います。携帯電話の会社でも申請のサポート業務を、全国8,000カ所ぐらいで行うようになってきています。しかし、そちらは都市部に多くありますので、今日、会見で発表しましたように、携帯電話ショップがないところは郵便局がサポートしますし、携帯電話ショップがあるところでも、自治体からの依頼を受けた場合には、私どもも申請のお手伝いをいたします。
 実際に、大変多くの市町村長から、郵便局で取り扱うことについてのご要望、ご要請を受けております。今、法律で、本人確認などは自治体に限定されていますので、私どもも申請のサポートということで、申請書作成や、写真撮影などをお手伝いすることを、現行法上の範囲の中でやっております。今後、これは法律改正を行う予定と報道などでお聞きしております。私どもから軽々に言える話ではないのですが、法律改正を行って、申請についてより深く郵便局が関われるようにすることを、総務省のほうでもお考えになっているとお聞きしておりますので、引き続き法律や制度の改正の動向をよく見ながら、マイナンバーカードが、より多くの人たちに普及する、そのさまざまな形でのサポートをしっかりと郵便局でやらせていただきたいと思います。
 従来から申し上げておりますように、これも法律で決められておりますが、自治体のさまざまな業務を郵便局で今、受託をすることができるようになっており、それについてもお問い合わせをいただいており、実際に受託している業務が非常に広がってきています。これは自治体の対住民との個別の接点というものが、今どんどん少なくなってきておりますので、それを代替するところは郵便局しかないと思います。それに加えて、業務量的に今後、非常に多くなることが見込まれるマイナンバーカードの業務を請け負うことは、これから必要なことになると思います。しっかりと対応できるような条件整備が必要になりますので、条件をよく関係機関などとご相談をしながら、郵便局の業務に支障がないような形で、マイナンバーカードの交付、それから、その後のメンテナンスをしっかりと行うようにしていきたいと思います。
【記者】
あともう1点、これも今日発表された空き家調査受託業務ですが、こちらも公益的なサービスというか、事業の実証だと思うのですが、公益的なサービスに伴う新ビジネス、不動産含めて、新ビジネスを今後、経営の柱みたいにして、3事業だけじゃなくて柱の1つにしていくようなお考えというのはありますでしょうか
【社長】
空き家について申し上げると、以前発表したものは、個人を対象に、その方のお持ちになっている、例えば、遠く離れた実家の空き家を見守るというものだったのですが、今回は、自治体サイドから、そのエリア内の空き家について、利活用面も含めて、まず郵便局に実態を把握してもらうという業務を私どもが請け負ったということです。郵便局で集配業務を取り扱っている社員は、そのエリアの中を日々走っていますので、そういう仕事の形態に一番なじむものと考えておりますし、それから、公益的にも意味があると思います。
 自治体側から見ると、例えば今回の大雪などで数日前もテレビで放送されておりましたが、空き家があると、雪で押しつぶされて、それで近隣の方に非常に支障になるようなところが出てきているわけです。したがって、空き家を把握するというのは、自治体の仕事の中で、重要度が高くなってきていると考えられます。空き家を利活用できればいいのですが、なかなか利活用に向くものも少なく、非常に老朽化して倒壊の危険性がでてきているものも多くあると思います。危険な空き家を事前に把握して対策を講じるというのは、自治体側としても必要性の高いものとなっていることから、自治体側から一番なじみのある郵便局に、今後、声がかかってくるのではないかと思います。
 こういった自治体側からの地域の仕事としてご要請のあるものは、公益上も必要でありますので、できるだけ受けていきたいと思います。その際、やはりどうしても費用面で、新しい施策をやるときの負荷が私どもにかかりすぎても困りますし、大体そういう需要がある市町村というのは財政力も限りがありますので、そこをどう折り合いつけるかは、今後、個別によくご相談をしていかなければいけないと思っています。多くの市町村で、こういった今回の空き家についての把握業務など、類似のものが今後、多く出てくる可能性がありますので、できる限り内容をよく見た上で、ビジネスとして十分成り立ち得るかどうかということを前提に、できるだけご協力をしていきたいと思っています。
【記者】
3点あります。1点目は12月20日に増田社長が71歳になられました。また、今月末で社長就任後、丸3年になります。そこで、ご自身の任期についてはどのようにお考えなのでしょうか。
 何がどんなめどがついたら後任へバトンタッチするというようなものはあるのでしょうか。それが1点目です。
【社長】
特に、今この場で申し上げるようなものを持っているわけではございませんが、やはり仕事をやっていく上で、常に会社のトップというのは、どういう場合でも後をどうしていくかということは最優先で考えていくのだと思いますので、それをちゃんと見定めた上で、自分の実力と、それから後の体制などを考えて、自分の任期をしっかりんと決めていくものだろうと考えています。これはトップに立つ者としてやはり非常に重要な問題です。
 あとは当然のことながら、取締役なりは最終的には株主総会、当社の場合ですと指名委員会などございますので、まずそこで議論していただくということになろうかと思います。
【記者】
2点目です、12月8日に、札幌地裁で解雇した社員の解雇無効の判決が出ました。原告に属人的な解雇事由がないから無効という判断でした。司法の判断は謙虚に受け止めるべきだと思いますが、増田社長の受け止めを教えてください。
【社長】
司法の判断というのは、こういう労働問題のみならず、特に雇用にかかるものについては、ちゃんと受け止めて、やっていくべきだと思います。わが国はご承知のとおり三審制をとっていますので、一審、二審というところでしっかりと議論していただく必要があると思います。一審でそれぞれ納得の上で解決する場合もあれば、控訴して二審で判断いただくということもあると思います。今回ご承知のとおり、日本郵便が控訴していますが、裁判所に真摯に私どもの立場を主張して、ご判断いただきたいと思います。
【記者】
3点目は、増田さんは就任時にうみを出し切るとおっしゃいましたが、この解雇無効ということになりますと、うみではない社員を社外に放逐してしまったということにはならないでしょうか。
【社長】
今おっしゃった解雇無効というところが今回争われているので、そのことについて、二審の札幌高裁のご判断を冷静に待ち、受け止めたいと思います。
【記者】
また、札幌地裁は調査員の作成した多数契約調査用紙の内容を信用できないというふうにしました。深掘り調査が当時どのように行われてきたのか。調査の在り方について検証が必要になるのではないでしょうか。
【社長】
ご指摘の問題も含めて、控訴審の判断をいただいた後、日本郵便として考えていくべき話かと思います。今必要なのは、当社としての真摯な主張と、それから相手方の主張を受けた上での札幌高裁のご判断を冷静に待つべきと思います。
【記者】
アフラックについてお伺いしたいのですが、日本郵政として、その議決権比率が20%を超えて持分法適用会社になる、その時期の見通しについて、当初だと来年かなと思うのですが、その時期の見通しについてお伺いをしたいのと、足元、そのがん保険の販売のところ、あまりちょっと郵政グループとして販売があんまり芳しくないようですけれども、今後の販売強化に向けて、何かその対応策として考えているものがありましたら、ご教示いただけますでしょうか。
【社長】
まず、がん保険の販売については、アフラック様と、当グループのかんぽ生命で、何度もいろいろな研修などを積み重ねております。先般のかんぽ生命の問題でがん保険についても、以前に比べると販売の契約件数は減っておりますが、そういった研修を踏まえて、お客さまのところに、がん保険のよさや利点をしっかりとお伝えをして、その上でご判断いただくということを今やっておりまして、直近ですと一時期よりも上向いてきていると聞いております。さらに、アフラック様と郵便局で、一緒にお客さまのところに行ったりして、少しでもお客さまにがん保険のよさをご理解いただくようにしていきたいと思います。
【事務方】
アフラック様の持分法適用の関係については、陪席のほうからお答えさせていただきます。アフラック様の持分法適用の時期についてですが、2024年の5月に予定されておりますアフラック様の株主総会において当社の議決権比率が確定いたします。その議決権比率の確定を受けて、そこで20%以上であれば持分法適用になりますし、20%未満であれば、持分法適用は適用されないということになります。いずれにしても2024年5月に予定されておりますアフラック様の株主総会で確定する議決権比率を踏まえて決まることになります。
【記者】
もう一問追加で。その持分法適用になったことで何かその日本郵政としてのアフラックとの関わりとか、何か販売施策の面での何か変化とかというところで何かございましたら、教えていただければと思います。
【社長】
持分法適用になるということは、より緊密なコンタクトができるということになると思います。今まで以上にこれから企業として相互にどう成長していくか、よく相談をしていきたいと思います。
 持株会社であるアフラック・インコーポレーテッドでは、エイモス様が会長をしておられますが、三十何年連続、ずっと全世界で右肩上がりの成長をしておられます。今年夏に来日したときにお会いをしており、当グループと緊密にコンタクトをとって、日本市場で特に、お客さまが期待できるような、お客さまを支える事業を展開していきたいということを相互に確認しております。従来からも、日本法人のアフラック生命保険株式会社のレイク会長や古出社長とは、定期的にいろいろ打ち合わせをしておりますし、インコーポレーテッドのほうとも、グローバルな視点で打ち合わせなどを行いつつ、将来の成長戦略をお互い共有しておきたいと思います。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)