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2022年6月28日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2022年6月28日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
本日は、私から3件、発表します。
 まず、1件目です。日本郵政グループの全社員、役員の統一的な企業行動基準として、JP行動宣言を策定し、7月4日から運用を開始することとしましたので、ご報告します。
 JP行動宣言は、当グループがステークホルダーから信頼され、成長し続けていくための全社員、役員の基本姿勢を表したものです。策定に当たり、本年4月に設置した、外部有識者で構成されるグループコンダクト向上委員会の会合において、委員の皆さまからも、さまざまなご助言をいただいたところです。
 JP行動宣言の各フレーズは、当グループの全社員、役員が、お客さまや社会、地域の皆さまといったステークホルダーのご期待に応えるために行動していくことを覚えやすく、端的に表しています。今後、全社員、役員が確実に実践できるよう、周知、浸透を図っていきます。
 さらに、日々の業務の中で、JP行動宣言に沿う行動、沿わない行動についての気づきを投稿してもらい、その内容を経営改善に役立てるため、新たに「JP行動宣言みんなの投稿箱」を設置し、投稿を受け付けることとしました。
 今後、グループ各社においてもさまざまな推進、浸透策を展開し、当グループの全社員、役員が、これまで以上に、お客さまや社会、地域の皆さまに信頼され、成長していけるグループとなることを目指して取り組みを強化していきます。
 続いて、2件目です。日本郵政グループ健康宣言の制定についてご説明します。
 当グループは、昨年5月に発表した中期経営計画、JPビジョン2025の中で、社員視点に立った働き方改革を推進することとしており、その1つとして、健康経営の推進を掲げております。社員一人一人が持てる能力を存分に発揮し、生き生きと働くためには、心身の健康が大切であるとの認識の下に、当グループでは、2016年度から健康経営の取り組みを本格的に開始しました。これまでの間、長時間労働の抑制、生活習慣病の予防、改善に向けた保健指導、メンタルヘルスケアなどの健康保持増進施策に取り組むとともに、健康診断結果や医療費などのデータ分析、グループ4社社長をトップとする推進体制の構築、健康経営KPIの設定などを行ってきました。
 そして、今般、社員が心身ともに健康であることが経営の基盤であることを改めて明文化した日本郵政グループ健康宣言を制定、公表することとしました。本宣言をはじめ、当グループの取り組みを社内外に発信することで、健康経営を強力に進めていきたいと考えています。
 さらに、今年度より、当グループの健康経営の取り組みをまとめた、日本郵政グループ健康白書を発行します。今後も継続的な情報開示を行っていくとともに、当グループの健康管理業務を担う日本郵政コーポレートサービス株式会社や、保険者である日本郵政共済組合とも連携をしながら、グループ一体で推進をしていきます。
 続いて、3件目です。グループ中期経営計画のJPビジョン2025の施策の1つであります、リアルの郵便局ネットワークとデジタルを融合するみらいの郵便局の取り組みについて、ご報告します。
 4月から当グループ本社ビル1階の大手町郵便局を、みらいの郵便局の実現に向けたDX実証実験郵便局として選定し、さまざまなお客さま体験向上施策導入の準備を進めております。間もなくレイアウト工事を終えるところですが、金融や生活の相談がもっと身近にできるライフカウンセリングのスペースや、待ち時間をより快適に過ごし、楽しい購買体験ができるラウンジのスペースを新設し、来月、7月中旬からいよいよDX実証実験を開始します。
 開始に当たり、開始日前日の7月14日に記者の皆さま向けに内覧会を実施しますので、ぜひご参加をいただけますと幸いです。詳細については、改めてご案内いたします。
 将来的には、みらいの郵便局の全国展開を目指して、局の立地の特性に応じて、段階的に実施していきながら、お客さまにとって、よりスマートで、より快適な体験価値を提供できるよう努めてまいります。
【記者】
グループ中期経営計画で、期間中にゆうちょ銀行の株式を50%以下とするとなっていますが、今後の売却の予定など、進捗のスケジュールなどを教えてください。
【社長】
ゆうちょ銀行の株式については、ゆうちょ銀行の経営の自立性、それから自由度を広げるという観点から、中期経営計画の期間中である2025年度までに、日本郵政の保有割合が50%以下になるよう、中計期間のできるだけ早い時期に処分をしていきたいと考えています。
 具体的なスケジュールや方法、内容について、現時点で申し上げることは難しいですが、5点の要素を勘案して検討しています。1点目はゆうちょ銀行の経営状況、2点目がユニバーサルサービスへの影響、3点目がグループの一体性確保、4点目が当社の資金需要および連結業績への影響、そして5点目ですが、市場マーケットの動向です。こういったことを勘案しつつ、現在検討しており、できるだけ早期に実現していきたいと考えています。
【記者】
郵便局長の後継者育成マニュアルのことでお尋ねしたい。日本郵便が先日公表した調査結果では、マニュアルの記載内容について、採用選考に局長会が関与していると指摘できる記述は認められなかったという結論が出ていました。しかし、マニュアルでは、部会長や地区会長の立場の方が人物調査をしたり、面接を実施したりするということが記載されています。つまり、局長会が会社の採用試験の前に、独自に選考を行っていると書かれているわけですが、こういうことを書かれているということは、局長会が間接的にせよ、採用に関与していることになると思うのですが、いかがお考えですか。
【社長】
まず、全国郵便局長会は任意団体ですので、会社としての局長の選考、採用にはこれまでも関与させておりません。先日、日本郵便から発表した内容にも記載しているとおり、その点をさらに広く周知をしておく必要があると思います。局長の採用に当たっては一定の応募資格はありますが、それを満たせば誰でも応募は可能です。厚労省が公表している公正な採用選考の基本に即して選考を実施しています。
 それから、事前研修などの受講は受験に当たっての要件としていないという旨を、日本郵便ウェブサイトの採用情報の該当箇所にもはっきりと書くということで運用をしています。これは、再度、はっきりと申し上げておこうという措置であり、局長の採用については、従来から公平に行ってきたということです。
 従って、局長会が作成しているマニュアルについては、私どもが関与するところではないという立場であり、その旨、日本郵便でさまざまな調査なども行って、総務省にも報告いたしました。これからも局長の採用については厳正に行っていきたいと考えています。
【記者】
会社としては、採用に関して、公平に選んでいるということだと思いますが、局長を志望する、御社で就職したいと考えている方の目線で考えると、このマニュアルによれば、局長会の選考で落とされた方というのは、採用されれば、その同じ地区、同じ部会や連絡会の上司になるような方から面接を受けていて、その方からふさわしくないということで落とされることもあるわけです。将来の上司に当たるような方から、局長会の選考で落とされた人が会社の採用試験を受けに来ると思われますか。
【社長】
局長として必要な資質、例えばマネジメントの能力や、金融などについての十分な知識、郵便局のこれまで果たしてきた役割、将来像について、しっかりとした考えを持っていただく必要があります。そうした局長としてふさわしいかどうか、これをまずしっかりと審査し、それに足るという方であれば、局長に採用することになります。
 会社として、局長会が会社の外で行っているものについて、選考がどういう結果であったかということを知る立場ではありません。また、局長会の事前研修の有無についても、私ども、日本郵便としても知る機会はありません。しかしながら、配属などについては、その当事者の意向に沿った形で考えていきますので、お話にあったような懸念などを払拭していくことが大事だと考えます。今の人口動態の中で、これから、局長への応募は非常に厳しくなっていくと思いますので、今後さらに多くの方に、局長への登用について応募していただきたいと思います。
 これは他の企業もそうかもしれませんが、多くの方、有為な人材に心配なく応募していただけるように、さらに、企業体として努めていきます。今のご指摘は日本郵便にも伝えておきます。
【記者】
局長会が事前にやっている面接で落とされた方が、もうこういう人たちと働きたくないと応募しなかった場合は、実際、採用に影響したことになると思いますが、そこはいかがでしょうか。
【社長】
応募される方がどのようにお考えになるかによりますが、私どもはとにかく広くお声をかけて資質のある方を選考したいと、繰り返しこれからも伝えていきたいと思います。採用された後の職場環境、配属地も含めて、十分に能力が発揮できるように、しっかりと対応していくつもりです。それがないと安心して仕事ができないと思いますので、それを徹底していきます。
 また、その考えをできるだけ外部にも伝わるようにしていきます。もちろん当グループの中でも、ちゃんと伝えるということも大事だと思いますし、広く応募していただくために、どうすれば働く環境がちゃんとしているということを伝えられるのか、日本郵便において工夫するよう伝えたいと思います。
【記者】
マニュアルでは局長会の選考を通った後の方が、局長会の研修も受けることになっていて、その中では、局長会の活動や選挙活動など、業務外のことも一緒にやるということを、局長会に加入する前提で指導することになっていて、実際に局長を志望した方の中には、そうした業務外のことはしたくないということで、会社の採用試験を受けること自体を諦めた方というのも実際にいます。こうした事例も、広い意味では採用に影響を与えていると思いますが、そこは与えてないということでしょうか。
【社長】
業務外にどのような活動されるかは、本人のお考え次第ということになりますが、業務外の活動と業務での活動との峻別をしっかりする必要があります。業務はしっかりとやっていただかなければいけないというのは大前提ですが、業務外のことが業務に影響することのないように、会社としてしっかりとしていきたいと思います。
 実際に局長からさまざまな話を聞くという、そうした体制もこれまでは、支社では十分整っていなかったため、地方本部長を各県ごとに配置し、局長の話をもっと聞いたり、あるいは各地域のエリアマネジメント局の様子をちゃんと聞いたりといった、支社の体制も厚くしています。
 従って、これからそれがうまく機能することによって、ご懸念が払拭されるものと思っていますが、今、局長の採用に応募しようと思われている方々に対しても、働く職場環境をさらによくするように努力していくということは、しっかりとお伝えをしていきたいと思います。
【記者】
任意でされている活動なので、その活動は自由だという立場かもしれませんが、会社にとっては就職や登用を希望しているような人に対して、管理者である人たちが勝手に、あなたはふさわしいというようなことを言ったり、業務外の活動を求めたりしているわけですが、そういうことはもう我慢してくださいと言うしかないのでしょうか。
【社長】
会社の中で、通報制度などについても相当整備しました。業務上の話なのか業務外の話なのか、グレーゾーンなものもあると思いますので、気になることについては、そうした形で通報していただくなど、さまざまな形で声を寄せていただきたいと思います。もし、そうした活動がプレッシャーであるとか、ある種ハラスメントに近いように感じている方がいるとか、個々具体的に事案がつかめれば、私どももすぐに対応したいと思います。
 今どの企業もそうだと思いますが、会社にとって人が一番重要な財産です。今、世間でも人への投資ということを言われていますが、せっかく当社を希望して、あるいは志を持って来られる方については、できるだけ良好な環境を整備していかなければいけません。
 業務外のことについては、企業体によってはみなし公務員のような制度があって、その活動について制約を受けるような特殊法人のようなものもありますが、当グループの社員は完全に民間会社の社員と同じであり、政治活動なども含めて、業務外については自由に行えるということになっております。繰り返しになりますが、業務に影響があるのかどうなのかを含めて、本人の考えもあると思いますので、ちゃんと声を汲み取るということで対応したいと思います。
 今の話も日本郵便によく伝えて、良好な環境保持に、さらに、やれることがあるかどうか、検討したいと思います。
【記者】
参議院選挙が間もなく投票日ですが、全国郵便局長会は、集票のノルマを課せられた上で政治活動を行っているという声が上がっています。増田社長も擁立した候補の出陣式に出席されていると思いますが、全国郵便局長会と政治活動の関係について、どのように考えているか教えてください。
【社長】
政治活動については、業務外で整理をしておりますので、それぞれのご本人の考え方によって活動されることは、認められていると思います。ただし、しっかりと法令などを守って、会社の業務と重なり合うことのないようにしなければいけないと思います。
 私自身も、日本郵政の社長に就任してから、昨年の衆議院選挙、それから今回の参議院選挙、会社の立場では動いていません。個人の立場では、昨年の衆議院選挙、それから今回の参議院選挙も、いろいろな形で、そういうところに顔を出すということもあります。当然、個人の立場ですから、秘書などを連れていくことはありませんし、会社の車で行くこともありません。個人の政治活動として行うことはありますが、政治活動は思想信条の自由の範囲に入ると思いますので、それは、私自身の政治に対しての思いで行っています。
【記者】
先ほど業務内、業務外をしっかり分けて考えるとおっしゃいましたが、取材を進めると、局長による勤務中の選挙活動の常態化や、選挙活動に関する物品の配布などを告発する声も出ています。選挙違反について、日本郵便として把握しているものはありますか。
【社長】
日本郵便からは特に報告は受けていません。何かあれば、すぐに報告があると思います。
【記者】
候補の長谷川英晴氏についてお伺いします。日本郵便が制作したカレンダーを自民党支援者に配布した問題での郵便局長会の実質的責任者とも言われていますが、候補として資質に問題はないとお考えでしょうか。
【社長】
回答は控えさせていただきます。資質をどう判断するか、まさにそれが選挙だと思います。
【記者】
局長の採用に関しては、ホームページなどで、表示を改めましたが、採用そのものはこれまでと変わらないということでよろしいですか。
【社長】
採用は、支社によってやり方が多少違うと聞いていますが、論文を書かせたり、面接をしたりという基本構造は、これまでどおりの形で実施することになると思います。面接の対応をする者の役職のレベルがどうなるかについては、これから、それぞれ考えるかもしれませんが、構造は変わらないと思います。
【記者】
局長会の研修というのは、いわば現役の局長によって、試験の対策や、応募動機の添削が受けられるということがあると思いますが、局長会に推薦される人だけが、現役局長の研修、指導、試験のための指導を受けられる。局長会の推薦を得られない人は、現役局長の指導を受けるチャンスがないかと思いますが、今、明らかになっている部分で言えば、推薦情報を九州支社では把握していて、公正な試験かもしれませんが、結果として、合格者は、ほぼ全員が推薦者で占められていて、局長会の推薦がない人はほとんど受からないということも出ているわけですが、こうした構造は、やはり局長会に入らない人にとっては不利であって、これが変わらない、この不利かどうかということとで、この実態に関しては、どのようにお考えですか。
【社長】
局長会の研修が、どのような形で実施されているかは会社の採用選考と関係がないため、分かりません。会社としては採用について、受験された方の人柄や持っている資質をよく見抜くというところを磨くということに尽きると思います。
 一般的に何か採用試験があるときに、確実に突破したいと思う方は、ご自分でもいろいろ努力もされると思いますので、採用する側の立場に立てば、付け焼き刃で来た方ではなくて、本質的に局長にふさわしいかどうかということを、採用する側も見抜く力を持って、それにふさわしい採用活動をしていくということに尽きるのではないかと思います。
【記者】
問題ないということでよろしいですか。
【社長】
今申し上げたことが、私の答えです。採用されたいと思う方は、いろいろ努力もされると思います。今の日本郵便の立場でいえば、局長会で実施している添削などは把握しておりません。やはりご本人が局長としてふさわしいのかどうか、日本郵便として、しっかりと採用に当たって、ふさわしい人物かどうかを判定するという力が問われていますので、今まで以上に日本郵便の人事採用担当の力をしっかり発揮していくということになると思います。
【記者】
把握していないというのは、ちょっと事実と違うと思います。少なくともマニュアルの中に、どういった指導をしているかというのは書かれているかと思います。
【社長】
マニュアルに記載されている内容が、現実にどう運用されているのか、そこは日本郵便では実際の活動に携わっていないので、局長会としてどういった活動をしているかは、日本郵便では把握していないと言っています。
 紛らわしいのは、以前局長会側が実施していた研修に、会社から講師を派遣していたということがあって、その研修に参加しないと採用されないのではないかという誤解を生むような形になっていましたので、そこはやめるようにしました。今はもうそうしたことはしていないと思いますが、そのあたりは一線をちゃんと画す必要があると思います。
【記者】
改めて、局長になりたい人の立場に立ったとき、今、努力すればということをおっしゃいましたけれど、局長会に入ることも努力に含まれるのでしょうか。
【社長】
そこはご本人がどう考えるか。それが必須ではありませんので、いろいろな素質があって、すぐに受けて合格される方もいらっしゃるかもしれませんし、そこはご本人のお考え次第だと思います。
 日本郵便でも、採用に当たっては、その方のお持ちになっている資質をよく見極めて採用しています。面接も1回ではないわけですから、しっかり論文などを見て、それを基に、あるいは別の意味でもよく面接をして、採用する側もしっかりやらなければいけないと思います。
【記者】
少なくとも局長会に入りたい人だけが、現役局長の研修を受けられるという状況については、今後変わることはないのでしょうか。
【社長】
局長会の研修には関わっておりません。局長会が今後どうするかということについて、私どもが左右はしないという立場です。
【記者】
何もしないのですか。
【社長】
私どもが左右しないという立場です。局長会が研修を実施するかどうかについて、私どもとして、特に何か申し上げることはないと思います。
 会社としての採用は私どもの観点で採用しますので、局長会の研修は全く関わりないことは常に申し上げていますし、これからも申し上げたいと思います。それが受験される皆さま方にちゃんと浸透するように、私どもとして努力していかなければならないと思います。
【記者】
局長会に入る人だけが現役の局長の研修を受けられる。局長会に入らない人は、そういう機会を得られない状況で受験せざるを得ないという状況は変わらないですよね。
【社長】
局長は地域にいろいろなネットワークを持っていますので、局長の話を聞く機会は、一般の方でもあると思います。局長を志望したいという方がもしいらっしゃるとすれば、身近にいる局長に、どんな仕事をしているのかなど、いろいろ話を聞くチャンスは随分あると思います。
【記者】
昨年の12月の記者会見では、後援会の参与にはならないということをお話されたが。
【社長】
今回の候補者のですか。
【記者】
はい。つまり19年の参院選では、各社トップが参与になっていると、名を連ねているということに対して、12月の記者会見では、私はそういうことはしませんという趣旨のご回答だったと思いますが、出陣式に行かれたりすることと、参与とは。
【社長】
参与は関係ないです。
【記者】
関係ない。
【社長】
後援会のほうにはまったく、入っておりません。今選挙中なのであまり申し上げませんが、特にそういう役職などに当社の人間は就いていないと思います。
 いずれしても、今、選挙期間中ではありますが、そこにどう関わるか、昨年の衆議院選挙もそうですが、個人の思想、信条の範囲の中で実施していますので、会社の業務とは全く別ですから、私自身混同しないように気をつけていますし、私の思想、信条の中で活動させていただいています。
【記者】
局長会の研修を受けるかどうかというのも、本人が考えるし、本人の考え次第だということですが、マニュアルに書かれているのを見ると、配偶者への面接をしたり、選挙の指導をしたり、かなりプライベートなことに立ち入ったり、将来上司になるような人から、そうした面接を受けたりということですが、それも我慢してくださいという立場でしょうか。
【社長】
会社の組織上、仮に、そうした受験をされた方が局長になると、近隣の郵便局長との付き合いは当然出てきますが、本人がどのような意向であるのかが非常に重要になりますので、そうした活動については、本人の意向を十分聞きながら、本人の意思を阻害しないように、会社としても、仕事の環境を整備するということに尽きると思います。
 また、業務外において、思想、信条、配偶者への対応について、会社として、それがなければ絶対困るということは全くありません。いずれにしても、ご本人の資質ですとか活動のお考えなどを聞いて、ふさわしいかどうか判断するということに尽きると思います。
【記者】
別の言い方をすると、就職を希望して、会社にとっては、ある意味、やりたいということで、志望してくれる人に対して、管理職の人たちが勝手に配偶者に面接したり、政治活動に協力してくれと言ったりしている、ある意味、ストレートに入りたいところに、そのフィルターをかけているわけです。しかも外部の人ではなく、管理職の社員なわけで、そのことを会社として、社長として何とも思わないのかが疑問なのですが。
【社長】
管理者に、そうした人たちがなっているということは別の話だと思います。会社の役職は会社の観点で決めており、そこが今までほぼ同一だということが誤解を生んでいたと思いますが、局長会の組織の中でも、いろいろな職があるようですが、それとは別に、会社として人事は決めていくわけです。会社の管理職がそうしたことをすれば、おそらくハラスメントに該当しますので、そのような通報があれば、適切に対応するということになります。局長会という任意の組織での役職と、会社の役職をしっかりと峻別をするということから、この問題は始める必要があると思っています。
【記者】
ただ、受ける人からすると、今は業務外の、局長ではない顔の人だと思って、この人に面接で要らないと言われたとして、業務になったら全然違う扱いをしてくれるかどうかというと、そこは分けられないと思いますが。
【社長】
業務外の活動が十分でないということで、業務に影響が出るというおそれ、恐怖感、あるいは、そうしたリスクを感じるということ自身が、おそらく通報制度の対象になってくると思います。
 また、局長の周りには社員もいるため、その局長に対して周辺がどのように当たっているかということも分かるので、そうした全体の職場環境をしっかりと整えて、リスクがあるようなもの、コンプライアンス上問題があるようなものは、ちゃんとそれを抑えていくことが、この組織、特に日本郵便において必要だと思っており、そうしたことを見直すようにさまざまな取り組みを行ってきたところです。
【記者】
では基本的にはマニュアルの記述自体は問題がなくて、それに基づいて行われる活動についても問題はないという考えというのは変わらないということでいいですか。
【社長】
郵便局長会が作成したマニュアルに基づく研修を受けている、いないに関わらず、会社としては応募された方の資質を見た上で、必要な人をちゃんと公平に採用するということをしっかりと確保することが重要であり、また採用された方が心配なく働けるような環境にしていくことが必要だと思います。その旨もちゃんと総務省に報告し、そうした考え方で、そのマニュアルもしっかりと見ました。今後も必要なことは総務省に報告しつつ、対応していくことを申し上げています。
 郵便局長の採用は年に何回かありますので、今後もさらに厳正な対応を図っていきたいと思います。
【記者】
去年の10月の記者会見で、局長会の推薦というのはとっていないが、それが実質的にちゃんと機能していくように、もっとすっきりした形で社員にも分かるようにしないといけないとおっしゃっていて、これは採用の在り方をもっと見直すと受け止めていたのですが、さらにマニュアルの存在というのも出てきて、より局長会の介在というのも明らかになったと思うのですが、そのときに比べて、社長のおっしゃっていることは後退しているような、今の在り方は問題ないとおっしゃっておるように受け止められるのですが。
【社長】
昨年との比較で言いますが、考え方は変わっていません。局長会が作成したマニュアルがあり、局長会の研修を受けているかどうかは、会社としての採用試験に当たって、全く影響しないということです。社員として今働いていて、局長採用試験に応募したいという方もいると思いますし、全くの外部の方で、試験に応募したいという方、両方いらっしゃると思いますが、ご自分でこれはと思うような形で試験に臨んでいただければいいということです。これはこれまでと全く同じように、あるいは、最近はより強く申し上げています。
 以前、局長会から情報提供を受けていたということがあったのは事実なので、その上で、今度は採用する側には自分のしっかりとした目で、そうしたことは一切なしに、ご本人を見抜く力を持って採用するようにということをグループ会社、特に日本郵便の採用担当には言っています。
 さらに言いますと、将来的な懸念が存在するとすれば、働く環境や、場合によっては配属地も含めて考えていく必要があり、そこを十分行うことをしっかりと繰り返していけば、そうした疑問というか、心配も徐々に払拭されていくと思います。
【記者】
つまり、局長会の研修を受けなくても採用は平等であり、入った後も局長会に入らなくとも不利益は受けないとおっしゃっているのですか。
【社長】
はい。
【記者】
本日発表された健康経営で、社員の方々の心身ともに健康でいてもらうことで、収益的にどれくらい、いつまでに改善するなどの具体的な目標はありますか。また、国内で健康白書をつくっている企業というのはどれぐらいあるのでしょうか。企業としては結構珍しいことなのかどうか、教えてください。
【社長】
健康白書をつくっている企業がどのくらいあるのかは、後で調べてお答え差し上げるようにしますが、健康白書という名前でなくても、こうした健康に関しての、社員の状況をまとめたものを出している企業が幾つかあるというのは、私も目にしたことがあります。
 健康経営の中で、KPIがいろいろ書かれており、いわゆるハイリスク者と言われるような、健康状態が悪化して思うように働けなくなる社員が増えてしまうことは、企業としては将来に向けた損失になりますので、例えば糖尿病のような重大な疾病について、それを早く治すように受診を促していきます。また、そもそも医療機関での受診がまだ十分でない社員もいるようなので、いわゆるハイリスク者の社員割合を1%以下にするということもあります。さらに、データを見ると、フロントラインの、特に郵便・物流部門のほうが少し高いのですが、喫煙者が一般よりも少し高い数値になっている部分があります。健康被害への影響なども懸念されますので、そうした健康についてのリスクをもっと下げるように、KPIをちゃんと設けて、職場全体で取り組んでいきます。
 また、そうしたリスクがある事象から逃れやすいようにしていく、保健指導のようなものが徹底されることに尽きるかもしれませんが、そうした機会をもっと増やしていき、社員、その家族も含めて、健康について心配ないようにしていきたいと思います。やはりグループで見える化をしないと、なかなか意識が向かないので、今回、白書を作成したり、4社長でのメッセージを出したりして、もっと意識を持ってもらうために、担当する部署と相談して行ったところです。これから人材の確保が、おそらくどこの産業分野も難しくなっていきますので、できるだけ今いる社員の健康に、企業体として気を遣って、心配なく働いてもらうようにしていきたいと思います。
【記者】
北海道と楽天グループ、日本郵政グループの3者連携で地域課題の解決に向けたデジタル実装の推進や地域創生の取り組みを行われていると思いますが、うまくいけば、他の地域でも展開するような話があったと思いますが、現段階でのその見通しはどのような状況でしょうか。
【社長】
もう少し北海道での取り組みについて成熟させて、それから全国展開ということになります。3月から本格的に始めたので、まだ北海道の取り組みの評価をちゃんとしている段階ではなく、もう少し時間をかけて練り上げたいという段階です。いずれは他の地域でも、次の展開を図っていきたいと思います。
【記者】
いわゆる地公体ビジネス、自治体のビジネスで得られた販売手数料が会社の評価基準に該当しないことから、自治体や地元企業と郵便局が連携するビジネスを本格的に成長させていくことが難しいというような話を聞いたことがありますが、今後3事業以外で評価する仕組みをつくっていく考えはありますか。
【社長】
方向的にはぜひそうしたいと思っています。自治体のビジネスで、郵便局で行うのにふさわしいもの、これは法律、政令を変えないとなかなか広がらないので、そうした要望を国にも出していますし、それに伴うコストを手数料というかたちで私どもとしてもしっかりといただいた上で事業を展開していきたいと思っています。そういったコストについても手当てをしていただきたいということを、総務省に申し上げています。
 以前と違い、1つの地公体の案件を処理すると、この業務については1件いくらという算式で実施していますが、全体の数が増えれば、さらに見直しをして、双方にとってやりやすい形に切り替えたいと思っています。どのような水準にするかは、相手先もあることですから、こちら側では一方的に決められませんが、しかるべき手数料はしっかりといただきたいと思っています。
 人件費などをどう考えるかが大きな問題としてありますが、いずれにしても、必要な手数料などはいただかないと継続できませんので、担当する総務省ともそのあたりの実態も踏まえた意見交換をして、より増やしていく方向で検討していきたいと思います。
【記者】
JP行動宣言をつくった経緯としては、かんぽの問題やここ昨今のいろいろな不祥事というのが全て念頭にあって、それらを踏まえて今回この宣言の策定に至ったのでしょうか。また、投稿箱を設置されるということですが、どういう内容を想定しているのでしょうか。最後に、みらいの郵便局について、もう少し具体的に教えてください。
【社長】
JP行動宣言については、報道発表資料に山を登るときの図が書いてあります。これまでは、企業にとって一番大事な経営理念や経営方針に考え方が書かれているわけですが、いわゆる具体的な歩き方、登り方ということがなかったため、端的な言葉でそれを行動宣言としたものです。
 不祥事が全くなく、順調に進んでいるところにおいては、JP行動宣言のようなものは必要ないという考え方もあったかもしれません。
 これまではマイナスをゼロにするということについていろいろと取り組んできましたが、それがゼロになったかどうか、皆さまの評価もあると思いますが、このJP行動宣言はマイナスをゼロにするということとの対比でいうと、ゼロをプラスにしていく取り組みです。経営理念の登り方も、端的に皆でしっかりと頭に入れて、地域に信頼される企業体として、もっと前に進んでいこうということです。
 私もいつも持ち歩いていますが、この冊子に経営理念から何から記入されています。これをぼろぼろになるぐらい、あちこちで使っていました。その最後のほうに、行動宣言というのを新たに1ページつけ加えました。来週からこれでもう一度、皆で笑顔や誇り、新たなステージということで、さらに前に進んでいこうということです。
 不祥事などもあり、信頼回復のために、あるいは信頼を新たに築き上げていくために、ゼロからプラスにするということで行動宣言をつくったということです。
 投稿箱については、とにかく何でも気づいたことを出してほしいというのがこちらの趣旨です。今、社員の社長への意見箱のようなものもありますし、コンプライアンスでちゃんと調べなくてはならないものもあるので、重なるところはあると思います。そうした類いのものが入ったとすれば、そちら側のほうに移管をして、社員の声をできるだけ聞いておきたいと思います。私どもとしてはウェブ上のものも含めて社内の情報誌や、あるいは研修用資料などの事例集に社員の声を入れていきたいと思っています。
 JP行動宣言の中で、いつも言われているのは、こうしたものはミドル層、例えば支社の担当部長などがどれだけ腹落ちして下に伝えられるかが、これだけ大きな組織では大事だと言われていますので、これまでも4社長で、支社の、特に担当部長クラスの社員と、支社を地域分けしていろいろと意見交換をしてきました。そこでのいろいろな声の中には全社的に共有したほうがいいというものが随分ありましたので、こうした投稿箱で、行動宣言に伴う運動を実践していくための声をどんどん寄せてもらい、全社的にフィードバックする、そうしたツールとしてこのようなものをつくったということです。
 みらいの郵便局は、内覧会のときにご覧いただきたいと思っていますが、全国展開するにはまだ難しいが、まず試行的にやってみたいということで、相続の相談のような内容が高度なものについて、窓口に来ていただいて、専門の方にいろいろ相談をしていただくような取り組みなどです。郵便局の窓口の社員全員が、高度な知識や対応方法を持つというのはなかなか難しいのですが、そうした高度な専門的なものも、郵便局の窓口で、さまざまなツールを使ってできるような、そうしたものを展開していきたいと思っています。また内覧会で、具体的なものをご覧いただきたいと思います。ツールとすると、デジタルサイネージのような、基本的にはデジタルなものをいろいろ用意したいと思います。
【記者】
特別調査委員会の3人の委員の1人である早川真崇氏が、4月1日付で日本郵政の常務執行役CCOになりました。チーフコンプライアンス・オフィサーということですが、その理由について日本郵政に確認したところ、コンプライアンスの強化のためということでした。コンプライアンスの専門家に来ていただいたということですが、特別調査委員会の3人の委員の1人でなくても、コンプライアンスの専門家はいると思います。なぜ、あえて特別調査委員会の委員をコンプライアンスのトップに今回据えたのかお聞かせください。
【社長】
早川氏の経歴として、東京地検の特捜部にも在籍していましたし、弁護士としても、この分野に大変精通していて、力をお持ちの方だと思いました。私どもとしても、強化をすべき部門に就いていただくのにふさわしい方だと思いました。
 ご本人もいろいろとお考えをお持ちで、弁護士になってから法律事務所に所属をしていましたが、その法律事務所には復帰せず、日本郵政でしっかりと仕事をしていきたいということでした。大変な使命感や仕事のやりがいを感じ、ぜひ日本郵政で、コンプライアンス部門の強化確立の仕事に携わりたいという強い思いをおっしゃっていましたので、私どもとしても、双方の思いをベースに、こうした役職に、就いていただきました。
【記者】
コンプライアンスというのは、法令を守ればそれで足るということではなくて、疑われるようなことはしないと。疑われるおそれがある場合は説明を尽くすというものだと思いますが、今回、この4月1日の人事について、これまで何も説明されてこなかったのはなぜでしょうか。
【社長】
外部から来られた方の採用に当たっては、今までと同様に報道発表して、その方のご経歴、前職も、従来と同じような形で出しています。特別調査委員会との関係では、もう活動終了から2年経過していますので、もう既に相当な時間がたっていると判断をしています。これまでも外部から民間の方を随分採用しており、今後もそういった採用については行うこともあると思いますが、双方にとって大変プラスになると思いますので、そういったことについてはちゃんとお答えをしていきますし、対応していきたいと思います。
【記者】
2年経過しているから問題ないというのは会社からも聞いていますが、早川氏は、特別調査委員会の調査が終わった後、すぐJP改革実行委員会の横田弁護士、横田委員の調査のサポート、補助をしていました。つまり、郵政改革との関わりということでは一貫しており、2年間開いているということではなく、常務執行役に就任する前月まで、その頃はもう終わっていたかもしれませんが、調査作業は、かなり最近まで関係していたので、2年間開いているのはあくまでも形式的な見え方であって、実態は、ずっと郵政改革に関わってきたのではないでしょうか。
【社長】
特別調査委員会との関係でいうと、活動の終了から2年経過しているということを申し上げました。それ以降について、弁護士として随分いろいろな仕事をやっていらっしゃるので、当然のことながら、いろいろな案件を扱います。弁護士法などもあるので、その法律や、職業倫理としても、携わっている案件について公益を害するようなことがないように、いろいろ訓練されている方です。JP改革実行委員会も、あの5人のメンバーと、多くの方がその背後でサポートをされていますが、そこはしっかりと峻別をされていると思います。
 繰り返しになりますが、本人は、相当な使命感を持って来ており、問題に対してのやりがいということに、随分強い思いを持っています。私どもも強化したい分野ですので、早川弁護士をお迎えして、うちの役員としてしっかりと仕事を展開してもらうことに期待しています。既に、4月以降そうした形で働いており、弁護士は、さまざまな案件について関わりますが、他の者に対しては職業倫理の中で、関わっている案件については、しっかりと守秘義務を果たしながら仕事しているので、私どもとしてはこれまでの経験をさらに生かして、しっかりと当社の企業価値向上に寄与していただきたいと思います。
【記者】
今日の会見でも、外部通報窓口が機能することは大事だと、増田社長は何度もおっしゃいましたし、このことは就任後から一貫して言われていることではないかと思いますが、窓口を受けている法律事務所は渥美坂井法律事務所であり、これは早川弁護士が3月まで在籍していた事務所です。今もこの外部通報窓口は渥美坂井が受けています。ある社員によれば、CCOの古巣、あるいは出身母体が外部通報窓口をやっているということは、先輩後輩の関係で情報が漏れるのではないかという心配をするので、外部通報しにくくなったと言います。そのことを日本郵政に確認したところ、プロフェッショナルとして、弁護士だから大丈夫だと。また、ちゃんとした運用をしていくし、しているのだということを社員に徹底して伝えていくと言うことですが、これはあくまでも社員の心の問題なので、不安があるという払拭をするところまでなかなかいかないと思います。
 不思議なのは、外部通報窓口を請け負うことのできる法律事務所というのはほかにたくさんあり、渥美坂井法律事務所ではない他の法律事務所にすれば済む問題なのに、なぜそれをしないのかと思います。
【社長】
外部だけで一連の事件の調査からその処理まで完結するような外部通報窓口を行う上で、私どもの担当で幾つかの弁護士事務所を念頭に、どこがふさわしいか審査して決めています。ちゃんとした手続きでそこは決めていますが、いわゆる、先輩後輩といった話は、一度、どこかで一緒に仕事をしていれば、そうした関係性は、外形的にはどうしても出てきます。ただ、実際に、弁護士はさまざまな案件を扱っており、それを漏らすようなことは法律上も禁じられています。
 社員の不安を払拭することは、今後やっていかなければならないと思いますが、ちゃんと運営されて時間が経てば、そこは、社員から信頼されていくと思います。
 昨年の9月に外部通報窓口を整備して、月々の通報件数が定着して上がってきていますので、後の処理もしっかりと行えば、十分にそうした心配は払拭できると思っています。
 担当している方は、向こうの事務所でも弁護士だけではなくて、それ以外の人も含めて相当な数、携わっていますが、そうした通報内容が漏れることのないように、繰り返し申し上げているところです。そこは、今後も引き続き、先方にも強く申し上げていきたいと思います。
【記者】
日本郵政・日本郵便モニタリングレポート2022というのを6月17日に総務省から受け取られていると思います。この内容は多岐に渡りますが、やはりこのコンプライアンスに問題があって、そこの強化をモニタリングしていくということで、これは監督強化と受け止めていいと思うのですが、コンプライアンスに対して、あるいはガバナンスに対して一生懸命取り組んでいらっしゃったとは思いますが、あまり総務省には評価されていない、むしろ監督を強化すると言われているという事態についての増田社長の受け止めをお聞かせください。
【社長】
金融庁が金融2社に対して出しているモニタリング結果と同じように、それぞれ監督官庁として役割を果たしていくということで、それを手がかりに、双方のコミュニケーションをしっかりと、今まで以上にとっていきましょうということを、総務省から言われています。
 したがって、私はむしろ、こういう形で総務省がモニタリングした結果、気づきを私どもが受け取って、それを基に双方でコミュニケーションをとっていくことは、企業としての姿をよりよくする方向つながっていくと思います。私としても、総務省との関係をより強めていきたいと思いますし、一方で、さまざまな不祥事があるため、総務省としても、そういうところをしっかりと見たいという思いは当然のことであると思います。そうした不祥事払拭のためにも、さらに、こういうモニタリングレポートを手がかりに、一層努力していかなければいけないと、総務省にこの間も申し上げています。
【記者】
九州支社の人事担当者が、昨年あった裁判で明かされている限りでは、局長の合格者というのは、結果として局長会の推薦された者ばかりであるということです。局長会と無関係の人は誰一人受かっていないと説明されていますが、こうした結果にはどうしてなっているとお考えでしょうか。また、この結果について、割合などを変えていく必要性があるかどうかについては、どのように考えていますか。
【社長】
正確ではないかもしれませんが、局長会からの推薦、という言葉を使っていたと思います。局長会からの推薦があっても、全部合格しているわけではないということが、供述調書に書いてあったと思います。実際に局長会の推薦というのがどれだけどのようにあって、母数がどうなっているかは分かりませんが、やはり局長会の研修を受けて、局長会から推薦というのが届いていたと思うので、そうしたことが実際に行われているということだと思います。供述調書の中では、落ちる人もいるが、採用されている人もいるという記述になっていたかと思いますが、そのあたりが疑念を招くもとになっていたのではないかと思います。詳しくその人数などは分かりませんが、今回のこうした問題を契機に、より会社としての選考、採用については厳選していく必要があると思います。あのときのバックグラウンドである数字などは特に承知しておりません。
【記者】
供述調書を基にすれば、もちろん全員が合格するわけではないのですが、合格者を見れば、ほぼ全員が推薦者であって、局長会の推薦がない人はほとんど受かっていないということです。自分が、人事担当者が知る限り、誰も受かってないと。よって、結果として、合格者に占める割合が、ほぼ100%という、局長会の推薦者がほぼ100%を占めるという結果について、何か変えていく必要がある、あるいは、どうしてこのようになったと思われますか。
【社長】
局長会の研修をどれだけ受けているか、それ以外の人がどの程度応募したのかということを把握していないので、なかなかそうした質問には、十分お答えできません。
【記者】
例えば男女の平等を語るときに、当然その過程や結果を踏まえて、必要があれば割合を変えていくというのが、世の中の趨勢だと思いますが、やはり局長会に入らない人が、例えばどのぐらい採用されているのか、あるいは入らなくても差別がないのかということを、何かもう少し指標や目安、数でもって説明していくことがあれば、もう少し説得力を増すと思うのですが、そこはどのように考えていますか。
【社長】
会社の立場で、局長会は社外の任意団体だと申し上げておりますので、その団体に所属しているかどうかを聞くことはなかなか難しいと思います。局長会に所属しているのか、あるいは推薦をもらっているのかというのは、会社として、そのような情報はもうもらわないということを徹底するので、相手がどのような団体に所属しているかとかいうことは、もう考慮しないということを、会社の内外に宣言しているわけです。
 そうした中で、応募した方に、局長会の推薦をもらっているのか、もらっていないのかを聞くのは、事実上難しいと思います。ご指摘の通り、今まで非常にグレーゾーンというか、ほぼ一体にやってきたのではないかという、そういう疑念を持っていらっしゃるのかと思いますが、試験を受けるときに、性別を聞くかどうかについても、さまざまな議論が出てくるわけです。そうしたところは極めてデリケートな問題にもなり得ますし、会社としても、年齢は60歳以下にはなっていますが、できるだけ広く、資質のある方に応募していただきたいと思っていますので、私としては、どのような組織に所属しているかということは、一切先入観なしに、しっかりと採用に臨んでいただければいいと思います。
【記者】
正確な言葉は失念してしまいましたが、その裁判では、統括局長から、局長会に入る者だけが局長になるべきだという趣旨の説明もされていましたが、こういう考えを局長の幹部の方々が持っていることも、やむを得ないことなのでしょうか。
【社長】
私も詳しくは忘れてしまいましたが、そういったことを言った局長が、強要罪か何かで処罰された件でしたか。
【記者】
その後任の統括局長の方でした。
【社長】
その人ではなくて。
【記者】
はい。他の方も、ご本人も思っていたかもしれませんが、後任の統括局長が、局長会に入る者だけが、局長になるべきだということを言っていました。
【社長】
それは会社の考えとは合いません。会社とすれば、どういう方であれ応募していただき、会社の観点で資質があると考えた方には、局長になっていただくということです。その後、こうした組織に入りなさいということが、今後、会社で仕事をしていく上で、何か強要されるようなことになれば、それはまずいと思います。やはり会社とすれば、会社の業務のために必要なこと、そこに全力投球できる仕事の環境をつくっていくということに尽きると思います。ハラスメントになるかどうかは個別案件ですが、いろいろなことを強制的に行わせるということがないようにしていきたいと思います。
【記者】
夏の節電について。早く梅雨明けもしましたし、電力逼迫で、このままだと明日も注意報が出そうです。全国的に展開する郵便局を抱える御社として、節電について決めたことがあれば教えてください。
【社長】
昨日も注意報が出ていたため、電気を一部消灯しました。それから、エレベーターの稼働の台数を減らす、エアコンの設定温度を28度前後まで全体として上げる、ということを、特に東京電力管内のところにそうした連絡をして、本社でもそういう形で運用しています。
 一方で、こうした夏場で、気温が非常に高い中、仕事、あるいは健康に支障が出たら困ります。冷房を使うことも当然必要ですので、そこは注意しながら、節電要請にはできるだけ協力します。
 要請の趣旨として、夕方くらいの時間から、ソーラーの発電がぐっと落ちてきたときに、電力が逼迫しますので、時間帯によってこまめに、できるだけきめ細かく応じるようにということだと思います。経営会議や、各社とのグループ運営会議などでも、そういったことをグループ全社で徹底して、取り組みをしっかりと行うこととしています。
 注意報段階ではここまでですが、警報に切り替わって、節電要請がぐっと強くなった場合はさらに一段と強めて、もっと節電に協力するような、段階的にどういうことをするかというのを決めて対応します。冬までにいろいろ打ち出したいと思っていますが、今の段階でも、注意報の段階ではここまで、それが警報に切り替わったらもっとこうするということを、会社としても取り決めをして実行していきます。
【記者】
局長人事の件で、端的にお答えいただけたらと思いますが、基本的にこのマニュアルを作成していて、それに基づく活動が行われていることについては、何かその申し入れや、採用に影響しないようにしてほしいと局長会に働きかけたり是正を求めたりすることは、今のところ考えてないということですか。
【社長】
今回も局長会に、採用については、企業としてしっかりと決められた形で、マニュアルなどとは別に、公平な形で行うということは伝えてあります。
【記者】
会社としてというより、局長会に対して。
【社長】
局長会に対して伝えてあります。
【記者】
何かを求めているのでしょうか。
【社長】
任意団体に対して何とかしてくれという問題になると思いますが、会社として、採用についてはこういう方針だということを、今回、改めて伝えていると同時に、局長や担当者を集めて、さらに研修することにしています。
【記者】
局長会がどんな活動をしていたとしても、会社としてはそれと関係なく採用していますよということを。
【社長】
はい、そうです。
【記者】
伝えたということ。
【社長】
はい、伝えています。
【記者】
局長会に対して、どうしてくれ、こうしてくれということを言っているわけではないということですか。
【社長】
そこは、局長会のお考えになると思いますが、会社としては、こういうことでやりますということは伝えてあります。
【記者】
今回のマニュアルの報道が出た後ですか。
【社長】
はい。そうです。
【記者】
もう調査とか、そういうことは、基本的にはこの前のもので終わりということですか。
【社長】
そうです。日本郵便の先日の調査で終わりということです。
【記者】
母数などがずっと分からないので検証のしようがないというお話だったと思いますが、どの人が局長会を経てきたかというのを調べれば分かるとは思うのですが、そういうことも基本的にはしないということですか。
【社長】
郵便局長に対して、あなたは局長会で、何かメンバーですかということをいろいろ調べたり、ご質問の内容以外でも業務外の活動について一斉に調べたりすることは難しいと考えます。採用の活動をとにかくしっかりとやることに尽きると思います。
【記者】
先ほど研修とおっしゃったのは。
【社長】
採用を担当する支社の担当者に対して、採用についての考え方や採用する局長はこうあるべきだということを、改めてしっかりと指導・徹底したいと思いますし、局長に対して、通常行っている研修の機会などを通じて、会社としてこういう採用方針だということがちゃんと伝われば、局長たちの行動も変わってくるのではないかと考えております。
【記者】
業務外でこういうことをしたらいけないとかいうことではなくて、会社としてこういう人材を求めているということや、こういう採用しているっていうことですか。
【社長】
私も詳しくその研修の内容について日本郵便から聞き取っているわけでありません。必要であれば、日本郵便にお聞きいただければと思います。
【記者】
分かりました。
【社長】
これからということになりますが。
【記者】
株主総会の賛成率ですが、増田社長が一番低かったわけですが、この点については何か至らないところがある、足らないところがある、こういう理由だから低かったなどありますか。
【社長】
失礼ながら、賛成率は見ていませんでした。
【記者】
見ていなかった。
【社長】
失礼しました。低かったですか。
【記者】
低かったとはいえ9割台はあるので、難癖のような質問ではありますが、99%の人が結構いる中で94%ということでした。
【社長】
94%ですか。
【記者】
はい、一番低いのですが。
【社長】
昔、東京電力様の社外取締役をやっていたときはもっと低かったことがありました。それは言っても仕方がない話ですが。
 どうでしょうか。94%だとすれば、あと6%の方がいらっしゃるので、さらに精進しますということが、株主総会で取締役として信任をいただくときの基本的な臨む考え方だと思いますので、100%ということはないと思いますけれども、できるだけ承認いただけるようにということになります。
 一般論でいうと、今日は東芝様が株主総会をされていますが、一番責任を負っているトップの承認率が、ほかの取締役より高いということはないと思います。執行を兼ねている取締役、代表者が、一番、全責任を負っているわけですので。今回は見なかったものですので、失礼しました。いずれにしても、今まで以上に、そういう数値を励みにして精進をするというか足らざるところを改善して、もっと皆さま方にご納得いただけるようにしていきたいと思います。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)