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2022年2月10日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2022年2月10日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
初めに、楽天グループ様との協業に関する件です。楽天グループ様とは、両者のシナジーの最大化が図れるよう、これまで精力的に協議、検討を行ってきました。本日は、その中で進展のあった2件についてご報告します。
 1件目です。楽天様が運営するフリマアプリの楽天「ラクマ」において、両者が連携して提供する配送サービス「かんたんラクマパック」での置き配メニューの提供を2月14日から開始します。本件は、楽天「ラクマ」において、配送方法を日本郵便の「かんたんラクマパック」に指定した出品物のうち、ゆうパックで配送された荷物について、購入者に自宅内の配達場所を選択していただければ、置き配にてお届けをするものです。お客さまには、フリマアプリ、楽天「ラクマ」で、お受け取り時間を気にすることなくお買い物を楽しんでいただけるようになります。また、このように、さまざまな場面で置き配を拡大することにより、再配達の削減に資することができ、逼迫する労働環境の改善や、CO2排出量の削減につながるものと考えます。
 今後も、日本郵便では、お客さまの荷物の差し出しやすさ、受け取りやすさを追求したサービスの改善に取り組んでまいります。
 2件目は、モバイル事業に関する進捗です。2月1日現在、182の郵便局で楽天モバイルの申し込み等カウンターを設置しておりますが、本年3月末までに47都道府県全ての、全国285局への拡大を目指すこととしました。
 昨年6月から8月まで、東京都、千葉県、埼玉県の郵便局10局で楽天モバイルの申し込み等カウンターを試験的に設置し、実証実験を進めてきました。実証実験の結果、一定の契約実績があり、また当グループとしても郵便局スペースの有効活用が確認できたため、昨年11月から順次取り扱い郵便局を増やしてきたところです。
 なお、こうした取り扱い郵便局の拡大に当たっては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も勘案しながら検討していきます。
 続いて3件目です。このたび、集配用のEV車両の導入計画を前倒しすることにしました。
 現在、当グループ全体として、2050年のカーボンニュートラルの実現、その節目のポイントとして、2030年度までに対2019年度比で温室効果ガスの46%削減を目指したさまざまな取り組みを推進しています。その一つとして、中期経営計画で2025年度までに軽四輪車両を1万2,000両、二輪車両を2万1,000両、EVに切り替えることを計画しています。これは中期経営計画で明らかにした数値ですが、この計画をさらに前倒し、軽四輪は1,500両、二輪は7,000両を上積みします。それにより、2025年度、中期経営計画の計画期間中に、軽四輪のおおよそ50%、二輪の40%がEVに切り替わることになります。
 前倒しをする理由は3点あります。まず昨年11月から栃木県小山郵便局で行っている実証実験がありますが、一定の航続距離の延伸が検証されました。それから2点目として、EV二輪のバッテリー性能が向上しているということがあります。3点目として、複数のメーカーが商用EV軽四輪への数年内での参入を表明している状況を踏まえて、導入計画の前倒しが可能であると判断しました。
 また、カーボンニュートラルの推進に向けた実証実験に、現在、共同で取り組んでいる東京電力グループ様、三菱自動車工業様といったパートナーの皆さまとも、引き続き協力をして、地域のEV充電インフラの充実、また寒冷地へのEVの配備なども検討してまいります。
 こうしたことを通じて、今後も企業として温室効果ガス排出量の削減に貢献していくため、さらなる前倒しも視野に、随時、EV導入計画の見直しを行ってまいります。
 続いて4件目です。ローカル共創イニシアティブの開始です。
 これは、公募により選出した当グループ会社の本社社員8名を、本年の4月から2年間、地域で活躍するローカルベンチャー企業や自治体に派遣することで、地域における新規ビジネスなどの創出を目指す新たな取り組みです。
 社会課題に先行して取り組む地域で、経済の活性化、関係人口の創出、自治機能の維持・向上などに資するサービスに精力的に取り組んでいるベンチャー企業、それから自治体とともに当グループとして現場で活動し、貴重な経験を積むことによって、起業家マインドを有する人材の育成につなげていきたいと考えています。
 また、ベンチャー企業や自治体とパートナーシップを組むことによって、社会課題の解決に向けた新規ビジネスなどの創出を目指すこととしています。
 当グループとしては、変化の激しい時代に突入した今、このような新たな取り組みを積極的かつ主体的に行うことによって、持続可能な地域社会づくりや地域の方々の生活の向上に貢献できるように、新たな役割を模索してまいります。
 それから、5件目です。昨年12月の会見でもお話をさせていただきましたが、本年1月1日から、郵便局の魅力を発信するツールとして、ウェブメディアJP CASTをスタートしました。その現在の運営状況についてです。
 おかげさまでスタートから1カ月で数十万人の方々にご覧をいただいており、感謝申し上げます。JPデジタルの取り組みや、ファミリーマート様との川越西郵便局での省人化店舗の記事といった内容が人気を集めていると、私どもの分析では出ております。
 引き続き、ご愛顧のほどよろしくお願いします。
 また、より多くのお客さまにJP CASTをご覧いただくために、2月3日より新たな企画、「わたしたちの郵便局ものがたり」を公開いたしました。この 「わたしたちの郵便局ものがたり」は、モデルの佐藤栞里様や、作家の江國香織様をはじめとする5名の著名人に、「私たちにとっての郵便局」のエピソードを語っていただきます。他の著名人の方のエピソードも順次、公開をしていきますので、ぜひご覧いただければと思います。
 今後も、このようなバラエティー豊かなコンテンツ、そして、当グループならではの情報を公開して、たくさんのお客さまに郵便局や働く社員の魅力を伝えてまいります。
 大変巨大なグループですので、社内に対しても、新たな活動や、こういう社員がいるということを伝えることは、効果があると思っております。  私からは以上となります。
【記者】
不祥事が相次いでいることについて、お聞きします。今回、総務省がモニタリング会合というものを設置して、監督の強化に乗り出すという事態にもなっており、民間企業として自浄作用が問われかねない事態にもなっています。増田社長として、根本的な問題が何であって、これから体質を改善するに当たって、どう取り組む必要があるとお考えか、お聞かせください。併せて、これまでの会見で増田社長も問題意識をご披露された支社の人事権の強化といったことについて、現在どのように取り組んでいらっしゃるのか、また、課題など見えてきたものがあれば、併せてお願いします。
【社長】
総務省がモニタリング会議を開く原因となっているさまざまな不祥事が起きていることに対して、大変申し訳なく思っており、これまでに郵便局をご利用いただいている多くお客さま、国民の皆さま方におわび申し上げます。
 その理由となっている一番大きな不祥事が、かんぽ生命の問題ですが、その後も局長が絡む犯罪、管理者が絡む犯罪、それから現場の社員が絡む犯罪などが多々続いております。それぞれに事案の特徴があると思っていますが、コンプライアンスの意識を高め、細心の注意を払って仕事をしていかなければいけないところ、まだまだ意識が不十分であり、会社として、いわゆるガバナンス、統治の仕組みが十分に機能していない部分もあると認識しています。
 こうしたことに対して、より現場に近い支社機能をもっと充実強化していくことや、グループ全体として、いわゆるコンプライアンスの意識を高めるということで、例えば、相互けん制効果という意味では、これまでは十分に機能していなかった内部通報制度の秘匿性を高め、今まで十分に把握できなかった現場で起こっていることをしっかりと把握するようにしたり、フロントライン、支社、本社のそれぞれで、ちゃんとしたガバナンスが発揮できるようにしたりなど、その組織・人員についても強化する対策を講じて、それぞれの監督官庁などにも報告し、ご説明してきました。
 制度として、充実強化をさせてきましたが、それが本当にうまく機能しているかどうか、今後、さらによく見ていく必要があると思いますし、一方で、例えば支社機能の充実強化などについては、本格的に取り組むのは本年4月からということになりますので、何年か掛けてやっていかなければならないところがあると思います。こちらは日本郵便を中心に準備を進めています。
 内部通報制度も昨年の9月からということで、まだ十分に時間がたっておりませんが、やれるべきことについてはこれまでも行ってきたつもりです。あとは、それがちゃんと機能するか、それから修正、改善することはないか、そして、新型コロナウイルスの影響で若干やりにくい点もありますが、全般の考え方などについて、現場への落とし込みをこれからも繰り返し行っていくことを続けていきたいと思います。
 モニタリング会合については、現段階では総務省から、当グループで何かするように言われている段階ではありませんが、お話があれば、しっかりとそれに協力しながら対応していきます。
【記者】
先月、ゆうちょ銀行が硬貨の取り扱いに新しく手数料を設けました。いろいろなご反響があったかと思いますが、活動費を募金活動で集めているような公益法人など、影響が大きいというような声を、我々も取材で拾うことがありました。これから実際に運用していくに当たって、何かご対応があれば、お願いしたいと思います。また、いろいろな反響の声が、増田社長ご自身の耳にも入っているかと思いますが、受け止めも含めてお聞きできたらと思います。
【社長】
今まで無料だったものが有料になりますので、お客さまからも当然、多くの声をいただいております。事前の説明が十分でなかったのではないかといったような、さまざまな団体からの声も私どものほうにいただいています。
 これまで硬貨をカウントする機械が詰まったりして、利用者の方を長時間お待たせしてしまうなど随分ご迷惑をおかけしたということがありました。また、金銭的にも機械の保守費用などで相応のコストを要しており、経営環境も厳しくなる中で、有料に切り替える時期に来ていると、ゆうちょ銀行で判断して今回の変更に至ったわけです。
 義援金などを扱う口座については、これまでも、ゆうちょ銀行の店舗などにご相談の上、申請をしていただき、ゆうちょ銀行の社内の判断基準に従って、無料にするかどうかという判断を行ってきました。これからもそういった判断を丁寧に行い、基本的には有料に移行させていただきますが、そうした世の中の声にも応えられるところは応えていきたいと思っています。
 一般公開はしておりませんが、ゆうちょ銀行の支店に行くと、大きな硬貨をカウントする機械がありますが、センサーのところが非常にセンシティブなので、多少のほこりや古い硬貨のさびなどが入っていると、それが目詰まりを起こして、十分に機能しないというようなことがありました。多くの硬貨を扱っている業種もありますし、家庭内で溜めておられる方も多いかと思います。無料で取り扱える枚数など、いろいろと制約がありますが、義援金などを扱う口座については、団体から提出された申請書の内容や、お取引の状況などをゆうちょ銀行の社内基準に照らして審査をさせていただきますので、ご相談を寄せていただければと思います。
【記者】
2問お願いします。1問目は、記者会見について、昨年までは月1回必ずやっていただいていたものが、今年から頻度が減るとお聞きしたのですが、その方針を理由も含めて教えていただければと思います。
 2問目は、日本郵便が1月に公表した顧客情報の流用の問題について、もう調査しないとおっしゃっていますが、この方針についてどう思うかです。これまで公表された調査結果は、自己申告を集計しただけで、少なくとも発表上は原因や背景には触れていません。また、複数の地方郵便局長会では、顧客をターゲットにして支援者を獲得するよう指示が出ていることが文書でも明らかになっていましたが、こうした指示をしたと疑われる地区統括局長や副統括局長への処分はもちろん、調査することもしないと言っています。
 カレンダーの問題では記者会見をされていましたが、日本郵便は違法な個人情報の取り扱いが判明した後には記者会見を開いておらず、深刻な問題と捉えてないようにも受け取れますが、増田さんは日本郵便の取締役でもいらっしゃいますので、どのように評価しているのか、その方針、対応に問題がないということであれば、その理由も含めて教えてください。
【社長】
1問目の記者会見の関係ですが、できるだけ関係の皆さま方に情報をお伝えするのは重要だと思いますし、私自身はこれまでも記者会見は相当な数をさまざまな立場で実施してきましたので、ぜひ記者会見には臨みたいと思っています。
 具体的な日程などについては、その時期が近くなったら調整しますが、一定の間隔でちゃんと行っていきたいと思っています。何か考え方を大きく変えたということは一切ございませんし、来月も行います。
 それから、調査の関係ですが、日本郵便で経費の問題、カレンダーの問題、そして、個人情報の問題についての調査を行いました。ご承知のとおり、私どもは、違法あるいは会社のルールに違反することがあれば、厳正に処分しますし、そういったことについて情報が寄せられたときには、その処分なども考えて、調査を工夫しながら行っています。
 業務外で政治活動などが行われるのは、当然、認められていますので、業務の中で行われることのないようにというのがルールです。政治活動などについて、これまでは調査なども行われてなかったようですが、どういう形で調査できるのか日本郵便で検討し、基本は自己申告制で今回調査を行ったということです。調査といっても、なかなか正直に回答いただけないことも多いかと思いますので、アンケートをとり、そのアンケートの結果から、一般局長のルール違反の数が多いところは関係者にヒアリングを行うなど、そういったことも含めて、調査を行い、日本郵便で一連の調査を終えて、社員の処分までしました。それがしっかりと今後の警鐘となり、今後そうしたルール違反が行われないように、研修などにつなげていければいいと思います。
 日本郵便で処分を行った局長に対して、ちゃんと研修を行って、二度とそういうことがないようにしていただければと思います。
 カレンダーの業務外利用による配布と、それから個人情報を流用するという、どちらもやってはいけない活動になるため、処分したわけですので、日本郵便でも重く受け止めていると思います。
【記者】
一例として、地方郵便局長会、それぞれ2,000人や3,000人が所属しているわけですが、この地方郵便局長会で、顧客を狙って支援者を獲得せよという指示が出ていた、そういうことを確認しながら、日本郵便はほとんど調査もしないし、地区統括局長たちに質問することさえ避けています。これで調査が十分だと言えるのかどうかというのが1点です。あともう一つ、何が原因なのかということがほとんど示されておらず、特に調査結果では一文字も書いていませんが、その一方で、再発防止策としては、個人情報保護の研修をするといったことが書かれています。しかし、局長たちが個人情報のルールを知らなかったことが今回の問題の原因ではないと思います。いくら研修をしても、局長たちが個人情報のルールを知りながら、目的外利用してはいけないということを分かりながら、それでも不正に走った人たちがたくさんいたという状況なので、その根本的な原因をほとんど調べずに再発防止策を打っても、似たようなことがまた起きるのではないかと思いますが、そのあたりはどう考えていますか。
【社長】
地区統括局長たちに対しての調査のレベルが十分かどうかということについて、これは見方が分かれる部分があるのかもしれませんが、日本郵便として、申告をベースに一般の局長たちのルール違反が多かった支社については、地区統括局長のヒアリングを行ったと聞いております。それがご納得いただけるレベル感に達しているかどうか、これは見方の違いがあるかもしれませんが、日本郵便として、そういった部分に初めて調査をしたということはあったと思っています。
 個人情報については、法律が制定されることも含めて、近年、その取り扱いについてのレベル感はずっと上がってきていますが、これまで表面的な研修は行ってきたものの、現場までしっかりとした研修が、十分に行われていなかったのは事実です。したがって、個人情報についての取り扱いの研修をちゃんと行うというのは必要だろうと思います。
 また、それ以外にどういった原因があったのか、選挙の後援者名簿などに流用したなど、地区統括局長からのプレッシャーがどこまであったのかということについては、どこまで迫れるかという問題かと思います。いずれにしても、個人情報についての意識の低さと、上層部からのプレッシャーがどのようにあったのかについては、程度の問題はあれ日本郵便で調べて、処分まで行ったと理解しています。
 問題は、これがどこまで現場に浸透しているかですので、処分したからいいというつもりは全くなく、これからも違法な活動が行われないよう、ちゃんとした意識改革や、何かおかしなことがあればすぐ通報が来るような点について、今後は今まで以上に厳しく見ていく必要があります。だからこそ、支社機能についてレベルを高める必要があると思います。
【記者】
今のお話は、基本的に、日本郵便がこれで調査を終えるということに関しては、問題は特にないと思っているということでよろしいですね。
【社長】
はい。調査をして、処分を終えたということで、カレンダーの問題と、個人情報の流用の問題については、実際に流用が行われていたものについては、その情報を消去したということ、それから、流用された当事者に対しての謝罪もほぼやり終えておりますので、日本郵便としてはやるべきことは全部終えたと、私は理解しています。
【記者】
一連の局長の政治活動の問題について、個々の局長の問題はいろいろあるかと思いますが、会社組織や経営のあり方の観点で、社長は、どういうところが問題だった、原因があったかということをお考えになっていますか。
【社長】
カレンダー問題のときに特に出てきましたが、カレンダーに限らず、郵便局をご利用いただいた皆さま方に、一般的な会社の業務として、さまざまな景品をお渡ししています。一方で、それを会社の業務とは言えない、例えば、選挙の際の支援者の方に対しての感謝の意味での使用や、新たに支援者の方を開拓するために使われるということは、会社の業務とは別のことになりますので、そういったことが、峻別されずに、混然一体となって行われたことが問題です。
 端的に言うと、それが局長会の活動で、これまで混然一体となった活動が現実に行われてきた部分がありました。そういう任意組織、会社の組織ではないものですが、会社の業務とそうでない部分を混然一体となって行うようなことがあったということです。
 局長は日本郵便の社員であり、現場の責任者ですから、現場で行われる仕事や、お客さまの思いを現場で把握できる、重要なポジションであるため、局長の声を拾い集めていくというのは非常に重要だと思いますが、局長会という組織が、会社のさまざまなガバナンスの中で非常に大きな部分を占めていて、人事権の発令など、本来は支社長に権限が集中していることについても、そこが必ずしもそう見えないような部分があるということが、組織構造として問題だったと思います。そのため、支社の構造を変えていく必要があると思いますし、業務と業務外を峻別するということを、一つ一つしっかり行うことが、必要なことです。これは会社の努力として行っていく必要があると思っています。これまで、その部分が欠けていたということは事実ですので、今後、しっかりと会社としての活動の中で実行していきたいと思います。
【記者】
取材をしている中で、やはり会社の指示よりも局長会の指示のほうを優先したり、人事についても局長会が事実上それを握っているといったりすることは、まさにそこが本質的な問題ではないかと思っているのですが、支社の機能を強化する、あるいは局長会とどう向き合うのかということについて、具体的なスケジュールや、こう変えていくというイメージを、もう少し具体的に教えていただければと思います。
【社長】
現場の社員も含め、それから簡易局と単独マネジメント局を除くと約1万9,000人のエリアマネジメント局長がいます。業務外は別にして、業務上の評価を、会社として行いますが、そうした機能を果たすのは、最終的には支社の支社長以下が行う必要があると思いますが、今は支社の体制が十分ではなく、最終的には局長ということになっており、実際手足となる部隊が少ない状態となっています。
 それから、局長会での評価、局長同士の部会を単位とした働き具合というのは重要な要素だと思いますが、そういったものをどう人事評価に結びつけていくかということが、支社側でブラックボックスになっている部分もあると思います。これは非常に時間のかかる問題で、遠く離れている人からの評価というのは正しくない場合もありますし、それをあまり形式的に実施するのではなく、実質的に行う必要があると思います。誰が一番会社として地域から信頼され、しっかりとした仕事ぶりをしているのかということを判断するには、多様な観点が必要になります。非常に難しいことですが、それを今年の4月から、支社機能を充実し、体制を強化する中で改革に取り組みたいと思います。それから、意識改革といった話を繰り返しエリアマネジメント局長に話すことも重要だと思いますので、今、その準備を日本郵便中心に行っているところです。何年かがかりになるかと思いますし、意識改革をしていく上でも時間はかかると思いますが、現在、作業に入っております。4月には、支社の体制を厚くいたしますので、それについてもいろいろご意見をいただければと思います。
【記者】
最後に、関連して1点、人事評価の問題もそうだと思いますが、登用、採用する場合にも、ほぼ局長会が決めている実態があると思いますが、そのあたりも検討の対象になってくるのでしょうか。
【社長】
採用について、何か局長会のお墨付きや推薦がなければいけないということでは決してありませんし、局長への登用については、もう少し構造的な問題があると思っています。局長会に聞いても、局長にする候補者を見つけるのが非常に大変だという実態が、正直あります。これは地方創生の問題にも絡んできますが、地域でリアルな郵便局の果たす機能は非常に重要だと思う一方で、なり手の問題というのは会社全体としてもう少し考えていかなければいけないということです。
 親子で続いたりするのは、コンプライアンスやガバナンス上も問題だと思いますが、なり手をどう確保していくのか、昔のような感覚とは、だいぶ変わってきているところも出てきていると思います。
 局長会の推薦やお墨付きが必要ということは制度としてもありませんし、名実ともに局長の資質としてふさわしい人を登用するようにしていきたいと思います。局長のなり手を見出していくことは会社にとっても大変なことですので、広くなり手を探すということを、考え方も変えながら行っていく必要があると思っています。
【記者】
会見の開催頻度について、また来月も実施するということですが、来月というのは3月ですか。本日の会見は、定例会見としては1月の会見ではないかと思いますが、2月は実施しないということですか。
【社長】
定例会見については、これまで月末にやっていることが多かったのですが、大きな休みが入るところや期末や中間決算のタイミングなど、そこの部分は除いて行おうと思っております。例えば暮れから正月の休みや、お盆休み、ゴールデンウィークなどが入ったときなどは、少し調整をさせていただきたいと思っています。
【記者】
すると、2月はもうやらないということですか。
【社長】
はい、2月は本日行いましたので、次は3月ということになります。
【記者】
原則1カ月だけれども、いろいろな休みなどを考えながら、原則1カ月は変わらない、そういうことですか。
【社長】
はい。必ず固定しなくてはいけないのは、企業として決算を発表する5月や11月の半ばですので、それ以外は、少し調整したいと思います。
【記者】
カレンダーで個人情報の政治利用があったということですが、個人情報は郵便局の情報でもありましたが、かんぽ生命やゆうちょ銀行の情報もありました。金融機関の個人情報が政治利用されるというのは、前代未聞だと思いますが、その辺のご認識はいかがですか。
【社長】
個人情報について、さまざまルールが決まっておりますし、流用、あるいは目的外で使用するということは、あってはならないことです。私どもも、そうした利用の形態について、今後、二度とないように、しっかりと取り扱っていきたいと思います。これまでに起きてしまったことについては深くおわび申し上げますとともに、今後、そうしたことが起こらないよう、ちゃんとした一人一人の研修などを確実に行い、当グループに対しての信頼感を高めていきたいと思います。
【記者】
特に不適正募集が大量に発生したかんぽ生命においては、信用回復の上で、今回の個人情報の政治利用というものは、影響は小さくないと考えますが、いかがでしょうか。
【社長】
個人情報の流用自体は、どの会社にとってもあってはならないことですが、かんぽ生命の金融代理店業務を行っている郵便局で実際に行われていましたので、そうしたことが二度とないように、ちゃんとしていかなければいけません。かんぽ生命は、今、信頼回復の途上にもかかわらず、そうした信頼回復に水を差すようなことになりますので、なおさら、そうした個人情報の流用については、しっかりとした対応をしていかなければいけないと思っています。
【記者】
増田社長は地方創生有識者懇談会の座長だけではなく、デジタル田園都市国家構想実現会議の委員もお務めですが、郵便局が身近な公的拠点として、地方創生の役割を果たしていきたいというご発言を、昨年末にされたようですが、本日発表されたローカル共創イニシアティブも、その取り組みの一つと捉えてよろしいでしょうか。このほかに、もし検討中のものが、地方創生の取り組みとしてあるようでしたらお願いします。
【社長】
本日発表した取り組みは、デジタル田園都市国家構想の実現に資するものであり、郵便局の将来の役割模索や業務の拡大という意味でも重要だと思っています。そうしたデジタル田園都市国家構想を支えるものとして郵便局を位置付けていきたいと考えております。また、そのことによって地方の郵便局の新たな業務の開拓にも結びつけていければと思っています。
 以前は第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略の中に郵便局を位置付けていただきました。現在の政権においては、デジタル田園都市国家構想において、これから人口がどんどん減っていく中、地方のリアルの郵便局が地域の中で果たす役割を、できるだけ残していきたいと思うと同時に、地域に貢献するという会社の経営理念と考え合わせますと、郵便局が核となり、公的な証明書類の発行といった行政が行っている一定の役割、人材紹介、さまざまな地域のご相談やお問い合わせの専門家への取り次ぎや仲介機能を果たすことができればと思っています。
 今回派遣する当グループの社員には経験値を積んでもらいたいと思っています。そして、新しい仕事を発掘して、2年間出向の後、持ち帰ってきてもらいたいと思います。こうした社員を直接派遣すると同時に、郵便局を試行的に始まっている相続や地域でのお困り事の相談業務に対応できるようにしていくことも大事だと思います。
 そのようなことをこの取り組みでうまく考えることができれば、デジタル田園都市国家構想にもつながっていきますし、政府がデジタル田園都市国家構想の中で用意している交付金などをうまく導入できると郵便局の活動が事業としてより活性化しますので、そのような動きにもつなげられればと思っています。
【記者】
春からの新しい営業体制の中で、国民の資産形成に日本郵政グループとして役立つために、郵便局の力をどのように引き出していきますか。
【社長】
かんぽ生命の営業体制は、いろいろな不祥事などの問題もあり、コンサルタントの研修や指導、監督のようなことも考えて、新しい営業体制として、かんぽ生命の中で直接実施できるようにしますが、今、市町村で金融機関が郵便局以外一つもないというところが、33町村に広がっているのではないかと思います。他の金融機関の動向を見ていると、おそらくこれがどんどん広がっていきますので、郵便局の金融機能というのは、より地域で欠かせないものになってくると思います。コンサルタントが集約され、かんぽ生命でいろいろ資質向上をして、うまく窓口と連携して、お互いにトスアップしていくことも重要だと思います。
 あまり小さな拠点ばかりというわけにいかないと思いますので、一定のコンサルタントの集約はせざるを得ないと考えていますが、逆に補完する地域の郵便局の機能は重要になりますので、これから、特に郵便物だけではなく、金融機関としての郵便局の機能をもっと維持向上できるよう、しっかりと機能が果たせるように取り組んでいきたいと思います。
【記者】
楽天モバイルのスペースを使った販売は、3カ月ほど10局で検証して、一定の申し込み件数があったということでしたが、3カ月で1局当たりどのぐらいという具体的な実績を教えていただけますか。
【社長】
実績については、楽天様の件数ですが、非公表とさせていただいております。
【記者】
記者会見について、2月は結果的になくなることになるので、この2年間、少なくとも12回は実施されてきたと思いますが、このペースは多少頻度としては減るという理解でよろしいですか。それとも、結果として12回ぐらいは実施されるのでしょうか。
【社長】
おそらくこのような記者会見というかたちでは12回は実施しておりませんが、最初のころは不祥事で臨時の会見を結構実施していましたので、それを含めると、そのくらいになるかと思います。多少その分が減るかもしれませんが、減らすという意図もありませんので、1カ月と少しくらいの間隔で実施できればいいと思っています。
【記者】
顧客情報の流用問題に関して、1月25日にあった総務省の郵便局データ活用の検討会で、かなり多くの出席者から、この時点で調査を終えるのは論外だという意見や、原因にまでメスを入れないとまた起きるのではないかといった批判が多数あったかと思います。これも調査レベルについての見方の違いということになるのでしょうか。前提となる信頼が、今の状態は破られているという評価もありましたけれども、データ活用への影響についても教えてください。
【社長】
データ活用については、そもそも個人情報をどう使うかということについて、まだ全体として入り口のところだけですが、相当慎重に扱う必要があると今回の問題が起こる前から私は思っていました。
 デジタル地図のようなものは、メンテナンスが非常に重要で、常に更新していく必要があります。車にカメラを積んでおいて、ビッグデータ的にそうした情報を全て公開情報として使うかという検討もあります。また道路など、さまざまなところのリアルな情報を得て、将来の自動運転などをスムーズに行うことにも貢献できるのではないかと思います。そういったことについて、データ利用というのは、今後、私どもとしても貢献できる、あるいはビジネス化できるものがあると思っていますが、個人情報の扱いについては相当慎重にやるというのは当然のことです。
 今回の情報流用を踏まえて、一層慎重に扱う必要がありますし、信頼回復がないとなかなか次に進んでいけないと思っています。
 それから調査については、実際にどういう手法でやったかも含めて、実態解明して、訴訟になっても耐えられるだけの懲戒処分につなげるということが必要だと思います。
 そういったことを考えながら、これからも一つ一つ捉えていく必要があると思っていますので、今回の調査については、日本郵便で処分し、情報回復もほぼ終わりましたので、終了にするという意向ですが、グループ全体としては、この問題について内部通報などで端緒を得たら、今後も分野を問わず、コンプライアンス違反のようなものがあれば、しっかりと調査をするということで臨んでいきたいと思います。
【記者】
総務省の会議で出た意見としては、指示の文書がありながら、それを調べない、いわゆる端緒があるのに調べることもない、そういうことも含めて、現状の調査が不十分ではないかという意見が多数あったわけですけれども、これは見解の違いだということでしょうか。
【社長】
主幹地区統括局長についても、調べるべきところについては調べ、先般、追加で処分をしておりますので、日本郵便で全く調べていないということでは決してないと理解しています。あるいは、別の端緒をお持ちになったのかもしれませんが、少なくとも日本郵便としては、程度の問題はあれ、調べるところは調べて、処分したと理解しています。
【記者】
今のところは日本郵便から私が受けている説明とは違って、少なくとも3つの地方郵便局長会で出た指示に関して、その指示をしたことを認めた局長、あるいは顧客情報の流用につながる指示をしたと認定された局長は一人もいないという説明でしたが、調べてわからなかったということかもしれませんけれども、そこは後でご確認いただければと思います。
【社長】
分かりました。
【記者】
昨年の秋以降のカレンダー問題や、今回の顧客情報も含めて、増田さんが幕引きを急いでいる印象を受けるのですが、そういう意識はあるのでしょうか。例えば7月の参院選が近づいていることも一つの要因として想像はできますが、そういうことで何か調査や結論を急いでいるところはないのかどうか、ご見解をお願いできますか。
【社長】
確かに今年は参議院選挙が決まった時期にありますが、それを意識して幕引きを急いでいるという意識は全くありません。調査については、今以上の何か別の方法の調査ができるかどうか、全国で行われている調査に、誰を動員してどうやっていくのかについてもご意見ございました。日本郵便のカレンダーの経費の予算化については、外部チームを使って政治資金規正法違反があったのかどうかを調査しました。
 先ほどのカレンダー問題の調査については、どのようなチームでどのようにやるかということを考えると、リニエンシーを活用した自己申告と、コンプライアンスの部署を使って調査を行うことになります。これは支社ではなくて本社のコンプライアンスの部署になりますので、やはり人員などの体制にも限りがあるうえ、また、ある程度の期間を決めて、結論まで持っていかなければなりません。さらに、処分まで行って、次のさまざまな活動に対して警鐘を鳴らすという必要がありましたので、そのような考えで、日本郵便でも調査を行ったのではないかと思います。私自身、その後のいろいろなことを意識していることは全くありませんが、ある程度スピード感を持って調査を行わないと、その間、何をしているのかという話になると思いますので、そういう意味で、調査した結果がこうなったということだと理解しています。
【記者】
今回の不祥事に関連して、増田社長のお話を伺っていると、支社の問題と、全社的なコンプライアンスの課題、そしてもう1点、任意団体ではありますが、郵便局長会と会社の業務が混然一体となって、ある種、会社業務の阻害要因となり得るというところが課題としてあると思いますが、これらいずれも、事業リスクとして、上場企業ですと有価証券報告書上に記載する必要があるかと思いますが、そちらについて記載されるのか教えてください。
【社長】
有価証券報告書にどのような記載をするかは、まだ社内で十分な議論をしておりません。有価証券報告書の記載事項などについては、取締役会にも報告をする必要があるので、そういった手続きを経て、公表していきたいと思います。
【記者】
増田社長個人としては、記載の必要はないというお考えでしょうか。
【社長】
有価証券報告書全体でどのような記載にするかは、一年間のさまざまな活動結果をそこに記載しますので、よく考えていきたいと思います。
【記者】
今回、かなり大規模なもので、なおかつ何度も繰り返されている事例ですので、こういった個人情報の流用などの不祥事関連は繰り返されていますので、当然、非常に大きなリスクとして記載するべきものかと思いますが、そういったお考えは、現状はあまりないということでしょうか。
【社長】
有価証券報告書の内容について、しっかりとした検討を、これから手続きを経て行っていくということですので、まだ公表できる段階にはありません。
【記者】
今回、楽天のフリマアプリ「ラクマ」と、物流面で連携されたというところですが、今回のラクマの件のほかにも、EC物流での協業など、どういったところが今進んでいるのか教えてください。
【社長】
EC市場は、例えば楽天様もセールなどを実施すると、荷物が大変よく動きます。楽天様と共同で作っているJP楽天ロジスティクスは倉庫を幾つか持っています。千葉県の流山など、私どもの倉庫に入っている商品は、日本郵便を使って確実にお届けできますので、購入された方、あるいは出品者の皆さま方の意思によらず、日本郵便で獲得できております。
 一方、アマゾン様など、ほかのECサイトと楽天様、両方に出店されている店舗さまの荷物などがまだ十分取れておりません。また、一番最近できた神奈川県大和市のところの倉庫については、フル稼働が昨年の11月くらいからですので、まだ少しスペースに余裕があり、そこに今、どんどん荷物が増えている状況です。
 こういった倉庫に荷物がもっと入ってくれば、より日本郵便の荷物の獲得につながっていくと思います。
 もし、楽天様とそうした取り組みをしていなければ、そういった荷物を十分取れていませんでしたので、EC市場の中でも失っている部分が多かったと思います。今回の新しい置き配、配達場所の指定で、よりお客さまがストレスを感じないよう、ニーズに応えられるようになると思います。置き配などを選んでいただければ再配達がなくなりますし、先ほど申し上げた倉庫がフル稼働するなど、より日本郵便の物流分野の収益の増加につながってくるのではないかと期待しています。
【記者】
日本郵便の中ですと、ECの取扱量は、これまで順調に増えてきたかと思いますが、足元の取り扱い個数として、競合と比べて非常に厳しい状況にあると思います。増田社長が、EC市場の中で失っている部分も多かったのではないかというお話をされていましたが、事業環境のご認識と、失っている部分というのはどういったものを想定されていらっしゃるか教えていただけますか。
【社長】
JP楽天ロジスティクスで、楽天様と組んでやっておりますが、やらなかった場合には、余計荷物を失っていたであろうということです。倉庫は今、全国4カ所を借りているものなど、いろいろありますが、基本的に楽天様が持っている倉庫の荷物が全部増えてきており、そういうところのものが日本郵便で全て取れていますので、そこは私どもとして、より今回の楽天様との子会社によって得られたものだと思っています。その部分については、そうではなかった場合に比べて確実にプラスになっていると思います。
 それから、価格競争にあまりウエートを置かないようにしてやっていかなければいけないということで、競合する物流事業者も、価格の面ではだいぶご苦労されているように聞いておりますので、EC市場について、全体としては増えてきておりますが、まだ当グループの努力で取れる部分がこれからも出てくると思いますので、そういうところに今後期待していきたいと思います。
 また、サービスのメニューを広げていくということが重要だと思います。出店者さまがご自身で倉庫を手配したり、あるいはアマゾン様と楽天様の両方に出店したりしている場合で、商品がアマゾン様の倉庫に入っているものは、恐らく他社が運ぶということになってしまいますので、楽天様サイドのいろいろなセールなども含めて、魅力アップのメニューをいろいろ増やしていくことが重要だと思います。
【記者】
アマゾンさんなどに出店している事業者の荷物はまだなかなか確保できていないとのことですが、競合であるヤマト運輸さんですと、これまでヤフーさんや、アマゾンさんに対して価格を抑えた、価格攻勢したようなサービスメニューを展開されていましたが、御社としては、この点について、楽天さんと連携して提供していくようなお考えはあるのでしょうか。ヤマトさんの弁では、効率化が進んでいるので価格は抑えられるというコメントをしておりますが、日本郵便の立場ですと、そのあたりはどうでしょうか。
【社長】
効率化して価格面で反映したいというのが正直なところですが、一方で、そのことでなかなか他社も収益につなげづらいという報道もあります。
 EC市場の中で、組んでいるところとどのように価格を設定していくかというのは、非常にデリケートな問題だと思います。この点については、こうだという方向性をこの場で申し上げるだけの材料はありませんが、今の情勢の中で日本郵便にはよく、これからの価格設定などについても考えていただきたいと思います。その上で、世の中に魅力あるものに打って出る武器になっていくと思いますので、そういう魅力につなげていきたいと思います。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)