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2021年10月29日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2021年10月29日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
本日は私から5件発表させていただきます。
 1件目です。ファミリーマート様との2つの取り組みについて報告します。1つ目は、郵便局への無人決済システムを活用したファミリーマート省人化店舗の出店についてです。埼玉県川越市の川越西郵便局のお客さまロビーに、TOUCH TO GO様が開発した無人決済システムを活用したファミリーマート様の省人化店舗が出店され、本日営業が開始されました。無人決済システムは、コロナ禍においても安心してご利用出来る新たな決済システムとして注目され、既に実用化されているものですが、このたびの出店は、新たに開発された小型モジュールを実用化した第1号店舗です。
 2つ目は、郵便局内でのファミリーマート取扱商品の販売です。こちらは、茨城県稲敷市の柴崎郵便局のお客さまロビーに、ファミリーマート様の商品陳列棚および冷蔵商品用ショーケースを設置しました。商品はお客さまにお選びいただき、代金は郵便局の窓口でお支払いをいただく仕組みです。これらの取り組みにより、郵便局のお客さま、また周辺にお住まいの方々に、郵便局でお買い物できることの便利さ、また地域の拠点としての郵便局の新たな可能性を実感していただきたいと考えています。
 ファミリーマート様と日本郵政グループ各社は、2016年4月に業務提携に関する基本合意書を締結した後、両者のインフラやノウハウを活用し、社会構造の変化や多様化するライフスタイルに対応する新たな取り組みを協議・検討し、順次実現してまいりました。今後もお客さまの利便性向上、地域への貢献に向け、さまざまな取り組みを行ってまいります。
 2件目です。既に10月20日に日本郵便より発表したものですが、このたび、JR東日本様によるシェアオフィスサービス「STATION WORK」を日本郵政グループの3カ所の施設で開業することになりました。働き方の多様化により、テレワークなどが普及する中で、地域社会のインフラとして安心して働くことができるスペースをご提供するため、多くの方にご利用いただきやすい新宿郵便局、大宮JPビルディング、そしてKITTE名古屋の3カ所に設置いたします。週明けの月曜日、11月1日から開業となりますので、改めてご案内を申し上げます。
 本日ご紹介した取り組みも含め、当社グループはお客さまと地域を支える共創プラットフォームを目指し、引き続きさまざまなグループ外の企業などとの連携を進め、お客さまの利便性向上に努めてまいります。
 続いて、カーボンニュートラル化の推進に関する取り組みについて2件ご説明いたします。
 初めは、東京電力グループ様および三菱自動車工業様との協業です。日本郵政グループは、2050年のカーボンニュートラルの実現、その節目のポイントとして2030年度までに温室効果ガスの46%の削減、日本政府は2013年度対比ですが、私どもは2019年度対比で46%削減を掲げてさまざまな取り組みを推進しています。その中の1つ、本年4月23日に発表しました東京電力グループ様との戦略提携で、本年秋ごろを目途に実施をするとしておりました静岡県の沼津郵便局、栃木県の小山郵便局での実証実験について準備が整いましたので、お知らせします。この実証実験は、郵便や荷物の配達などに使う車両のEVへの置き換えに際して必要となる急速充電器を地域の方々にもお使いいただき、EV充電インフラの整備に貢献することなどを内容としたものです。小山郵便局では、11月10日の水曜日から、沼津郵便局では11月18日の木曜日から、それぞれ実証実験を開始します。この実証実験では、災害時に動く蓄電池でもあるEV車両からの給電といった地域協力もできるため、地元自治体とも活用に向けた協議を始めています。オープン当日は、それぞれの郵便局で小山市長、沼津市長にもご参加いただいて、セレモニーを開催いたします。また、この実証実験には、新たに集配用EV四輪を供給いただきます三菱自動車工業様にも参加をいただくことになりました。三菱自動車工業様は、1年365日走り続ける郵便局の集配用EV車両の走行データと、電池残量の推移などのデータを取得し分析を行います。この取り組みを通して、郵便局の集配用EV車両の走行性能の向上はもとより、商用EV全体の性能向上を図り、地域のカーボンニュートラル化の後押しとなることを期待するものです。
 このようなさまざまなパートナーの皆様との協働は、先ほど申し上げました共創プラットフォームの実現に資するものでありますので、パートナーの皆様との協力のもと、カーボンニュートラル化に向けた取り組みを一層推進してまいります。
 4件目ですが、カーボンニュートラル化の推進に係るもう1つの取り組みです。
 カーボンニュートラルの実現に向けたさまざまな取り組みの一環として、日本郵便では、従来よりも環境に配慮した郵便局、「+エコ郵便局」(プラスエコ郵便局)の建設を推進することとしています。このたび、+エコ郵便局第1号店舗として、千葉県南房総市に丸山郵便局を開局します。この丸山郵便局では、郵便局として初めてCLT(クロス・ラミネイティッド・ティンバー)建材を用いることにより、循環型資源を活用するほか、太陽光による自家発電設備の導入などにより、従来の郵便局よりも環境に配慮した取り組みを始めます。
 CLTというのは、間伐材などを直交するような形で組み合わせてつくり上げる建材ですが、建材としては非常に強く、ヨーロッパなどでもかなり高層の建築物の主たる構造材に使われているものです。このCLTを使って、初めてつくる郵便局ということになります。
 日本郵便では、今後、2023年度末までの間に10局程度の郵便局を+エコ郵便局として建設をする予定です。この+エコ郵便局を通じて、太陽光、木質バイオマスなどの再生可能エネルギーを導入し温室効果ガスの削減を図るとともに、CLTを活用することにより、循環型社会の形成に寄与し、SDGsへの貢献を果たしてまいります。
 最後、5件目です。日本郵政グループにおける災害発生時の緊急物資輸送の実施に関して報告します。日本郵便は、これまで、災害対策基本法に定める指定公共機関として、災害時においても可能な限り被災地における郵便業務を維持するとともに、郵便局の商品、サービスを全国ネットワークで提供するための取り組みを行ってまいりました。昨今、自然災害が激甚化、頻発化する中で、国土交通省様、そして全日本トラック協会様などと調整をして、これまでの指定公共機関としての郵便を配達するという役割に加え、新たに災害発生時の緊急物資輸送を行うこととしました。
 具体的には、日本郵便が全日本トラック協会様からの輸送依頼を受けて、日本郵便の指示のもと、輸送に適した大型車両を有する子会社の日本郵便輸送、またはトールエクスプレスジャパンが実際の輸送を担ってまいります。日本郵政グループは、今後も関係機関と連携しながら地域社会を支えてまいります。
 以上5件ですが、さらに1つ、当社株式の3次売り出しについて、つけ加えます。
 おかげさまで、本日10月29日に売り出し手続きが完了しましたので、この場をお借りして報告いたします。2015年の上場以来、今回を含めて3回の売り出しと、その間の自己株式取得を経て、法律に規定する株式保有義務水準まで政府による売却が完了しました。
 政府が法律に定められた保有義務の水準まで、当社株式の売却が完了したことは、郵政民営化の大きな節目であると考えます。
 今後はより一層、株主の皆様に向いた経営を行い、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。
 私からは以上でございます。
【記者】
ファミリーマートとの新たな取り組みについて、全国数多くある郵便局の中で、埼玉と茨城の2局から始めた理由は何ですか。
【社長】
郵便局への省人化タイプのファミリーマート店舗の出店と郵便局内でのファミリーマート取扱商品の販売を行うことをまず両者の協議で決め、私どもがそれにふさわしい郵便局の候補を出し、それをファミリーマート様にご覧いただき、コンセプトに合う郵便局を決定しました。2つの方式はコンセプトが若干違うため、実施する郵便局は主としてファミリーマート様に決めていただきました。私どもはスペース貸しに加えて、ファミリーマート様の店舗に入っていただくことで郵便局へ来られるお客さまの数が増えるというメリットがありますので、最終的に双方で協議して決めました。
【記者】
いつまでに全国どれくらいの郵便局で店舗を出店したり、商品を取り扱ったりという数値目標はあるのでしょうか。
【社長】
まだそれはありません。まず、今回2つの方式を始めて、しばらく継続したうえで、評価を行います。その後どうするかは今後の課題です。将来のビジョンを双方で決めているものではありませんが、まずは始めてみるということです。
【記者】
直近行われた人事について、元財務省の美並さんが日本郵便のほうにいらっしゃったということで、郵政の歴史振り返ってみても、結構珍しい人事じゃないかなと思っています。この経緯と、何を意図して起用をされたのかをお伺いしたいです。また、谷垣さんがゆうちょ銀行に行った経緯や狙いも、教えていただければと思います。
【社長】
日本郵政グループ全体として、人材については随時いろいろ網を張っており、多様な人材を採用していきたいと考えています。日本郵便にこの時点で美並氏に来てもらったわけですが、以前から非常に実力のある人だということを周辺、それから私自身も知っておりますので、彼が財務省を辞めるという情報を得て、いわゆる財務省関係の団体などに行くこともなく、自分で何かやっていこうという考えのようでしたので、注視しておりました。
 当社との関係では、理財局在職時に株式の売り出しの担当をしていたということで、日本郵政グループの事業に通じているところもあるため、私どものグループに来て、いろいろ活躍してもらいたいという思いがあり、スカウトしたということです。
 衣川社長の考えもありますが、社内に入ってしばらく慣れてもらったところで、郵便局のビジネスをどう展開していくか、郵便のコア事業の収益を向上させるために、必要な活躍をしてほしいと期待しております。
 谷垣氏につきましては、今まで日本郵政グループの主要なポストを経験して、グループのさまざまな問題に通じている実力者であると思います。
 直近は、いわゆるかんぽの宿関係を主に担当してもらっていましたが、かんぽの宿の事業譲渡については一定の節目を迎えたと思っています。一方、ゆうちょ銀行のお客さま対応や、コンプライアンス対応などは、非常に資金量も多い中で、現状、社長と副社長1人ずつで担当しているので、谷垣氏を人材のリソースとしてゆうちょ銀行でも存分に活躍してもらうのは大変いいことだと思っています。
 2人とも来週11月1日から異動発令になります。以前から申し上げていますが、こうした人事は、4月や6月の末など決まったものではなく、タイミングが来れば随時やるというのが大事なことだと思いますので、それぞれ取締役会の手続きが必要な人事ではありますが、一刻も早く新たな仕事でも能力を発揮していただきたいと思います。
【記者】
ユニバーサルサービスの提供義務の定義についてお伺いしたい。直近の郵便局数の推移を見ていると、簡易局を中心に、かなり数が減ってきていて、遅かれ早かれ2万4,000というずっと使い続けてきた言葉が使えなくなるような気がしていますが、そういった中で、ユニバーサルサービスの提供義務というのは、局舎の数とリンクするという理解でしょうか。それとも、機能的に担保できるものがあれば、局舎の数にはこだわらない、どちらでしょうか。
【社長】
これまでの歴史的な考え方を見れば、局舎の数とユニバーサルサービスの程度はリンクしていたと思います。現在、全国で約1,800の市町村があると思います。市町村合併などで減ってはきていますが、依然多くの数があります。
 全国あまねく郵便局がリアルに所在して、そこでさまざまなサービスを提供するというのは、やはりユニバーサルサービスとかなり同義だったのではないかと思います。しかしその後、人口減少について、最初は少しゆっくりした下降線だったのですが、これから驚くほど人口が減っていくという予測があります。簡易郵便局が設置されている地域は、過疎地域で人口減が大きいところであり、場所によりますが、来局者数も、平均すると非常に少なく、2桁のかなり少ない数ぐらいではないかと思います。
 DXやデジタル郵便局という、機能面でリアルを補うようなやり方というのがこれからどんどん出てきますので、こういったユニバーサルサービスの提供義務は、だんだんと郵便局の数ではなく新しいものに置き換わっていく形になるだろうと思います。一方で、自治体によっては、支所を撤退して本部に全部統合するなどという実態があり、農協や地銀もどんどん地域から撤退していっています。
 そうした役割を、郵便局が担う方向に来ています。ユニバーサルサービスというのとは少し違いますが、やはり郵便局が地域にあるということは、地域の安心感につながると思います。このあたりは地域性、自治体との関係にもよると思いますが、いずれユニバーサルサービスは郵便局の数ではなく、機能面に切り替わっていきますが、徐々にそうした推移をたどっていくことになると思います。
【記者】
郵便局長の政治活動についてお尋ねします。全国の郵便局長が経費で購入したカレンダーを政治活動に利用していたという問題が明らかになりました。日本郵便で調査中だとは聞いていますが、現時点で判明している事実関係、それから社長の受け止めをお願いします。
【社長】
カレンダーについては、2018年から日本郵便の経費で購入するという形になったと聞いています。当時も社員や局長に話をしていますが、本来の目的は、ほかの物品と同じように一般的なお客さまへの年末年始のご挨拶に使用するため、年末年始なので特にカレンダーを持参するのが大変喜ばれるということで、地域貢献も含めて、経費化したと聞いています。
 一方で、これが政治活動の道具として使われているのではないかという報道がありましたので、事実関係を今、調査中です。まだ調査の結果は出ていないため、私もまだ報告は受けていません。現時点で申し上げられることは、11月中には調査を終えて、その結果を分析して、公表したいと考えていることと、暮れもだいぶ近づいてきているため、実はカレンダーはもうでき上っているという話は聞いておりますが、そうした疑念が出てきていますので、カレンダーに限らず、局長が暮れにお客さまに訪問活動するのは、今年は控えることとしています。
 今申し上げたように、実際にこれまでの間、どのような形でその活動が行われていたのか、まずそれを解明したいと思います。
【記者】
まだ実態が分かっていないとは思いますが、2019年、2020年にもこうしたことが行われていたと聞いていまして、当時は増田さんも社長に就任されて、かんぽの問題もあって、組織風土を改革しようということをちょうどされていた時期だと思いますが、こういう時期にこういうことが起きていたとすれば、社長の責任や受け止めについてはどのように感じられますか。
【社長】
まず調査してどのような活動が行われていたかを確認したいと思います。また、このカレンダーを会社の経費で購入して、どこまでその使い道をちゃんと徹底するということを行っていたのか、それについてもまだ調べるところがあるので、そういった会社側の意図や、現場での受け止め、それから実際にどう使われて、どのような活動が行われていたのか、これらを総じて調べてみて、その結果をどう受け止めるか分析していきたいと思います。
【記者】
今回の原因について、郵便局長会の政治活動が過剰になった結果、業務と政治活動の線引きが曖昧になっているのではないか、有給休暇をとって政治活動をしていたということも結構頻繁にあると聞きますし、そういう背景や原因についてはどのようにお考えになりますか。
【社長】
まだ背景や原因はこの段階では申し上げられません。現場の声をしっかりと吸い上げないといけないと思います。カレンダーを届けているのは間違いないので、そのときにどのような言い方で、どのような相手に届けているのか、そのとき届けた人が、局長会の組織の活動として届けたのかどうかなどをよく見ないといけないと思います。局長会も全国組織と、それから各地域の組織と階層的になっていますので、そのあたりでどういうやりとりがあったのかも見ないといけないと思います。
 疑念を持たれているのは、会社の業務として行われていることと、政治活動との線引きがどうなっているのかということです。政治活動は個人としては行ってもいいと思いますが、業務との線引きがちゃんと引かれていたのか、グレーなままにやっていたのか、よく実態を把握したいと考えています。
【記者】
政府の布マスクの在庫が大量に8,200万枚あって、去年の8月から今年の3月までに、保管だけで6億円かかったという報道がありますが、これに関して日本郵政グループの倉庫で保管されていたという話があるのですが、現時点で分かっていることはありますか。
【社長】
グループ内で倉庫を持っているとすると、日本郵便になろうかと思いますが、報告を受けていないため、すぐに調べます。おそらく政府の経費で保管していると思いますが、事実関係は調べます。また、それをどう取り扱っているかなどについて、日本郵政グループで判断する余地があるのかどうかも含めて、日本郵便に聞いてみます。
【記者】
福岡で起きた内部通報の強要未遂事件で、先週、民事訴訟の判決がありました。これに関して2つお聞きしたい。1つは、被害者、あるいは裁判でいうと原告の複数の方が、日本郵便の人事でも降格になっています。特に副統括局長だった方は直後の2019年3月に部会長になり、副部会長だった方々はパワーハラスメントで職務が続けられないという希望を出して、それが通っている。こういった人事は妥当だったのかということと、この降格が通報を受けた不利益に当たるのか、救済や回復とかについての考え方を教えてもらっていいでしょうか。
 併せて、その判決の中では、局長会に入っていないと、仕事の支障があり、さらに役職に就くことは困難だということが認定されています。今まで人事が連動しているということと同義だと思います。局長会に入ると一方で政治活動を求められ、自民党費は自動的に引かれたりして、自民党員になるようなものですが、こうした状況を考えると、局長会に入っていない人、あるいは入りたくない人や、自民党員になりたくない人に対して、日本郵便は、局長になることであったり、役職につくのが非常に難しいという状態だと言えると思うので、何か政治活動の自由への配慮であったり、信条の自由への配慮ができてないのではないかという評価が成り立つと思うのですが、そのあたりも含めてお願いします。
【社長】
福岡の事案については、当時の調査や加害者側に対しての処分が不十分だという認識と、一方で、パワーハラスメントを受けた側の方、7、8人がまとまって裁判を起こしたり、改めて私どもに内部通報をしたりしたわけですが、そういう人たちの、当時の処分やケアも含めて、2019年時点のところで問題があったのではないかと思います。
 現在、民事訴訟でいくらか金銭的な回復が図られるのでしょうが、やはり仕事を継続する上で、しっかりとした職場環境、人間関係も含めて、会社として十分なケアができていなかった部分があるだろうと思っています。こうした人たちの考えを十分に聞いた上で、会社として気持ちよく働いていただけるように、ケアをしていく必要があると思います。
 隣同士の郵便局の関係など、その地域全体でどのようにケアするかというと、やはり支社において、被害に遭った人たちの話をよく聞いて、一人一人の考えに沿うということがまず基本だと思います。いずれにしても、被害を受けられた方々のケアを、よく話を聞いた上で、会社としてやっていくということに尽きると思っています。
 それから、2つ目、局長会に入会していないと、さまざまなことが困難になるのかどうかということですが、以前の人事異動などの考え方とも通ずるところがありますが、支社の総務・人事部において、適性を見ながら人事異動を行っていますが、いわゆるエリアマネジメント局については、評価がなかなか難しいという現状があり、そのため、支社の体制を強化することとしております。社員はもちろん、特に局長の異動についても、支社において実質的な意味で判断ができるようにする必要があります。もちろん局長会のほうで役職にある人たちの話もよく聞くということは必要だと思いますが、その上で、実質的に適否を判断できるようにしていかないと、会社形態としては不十分ではないかと思います。今、そうしたことのために支社の体制を厚くすることに取り組んでいます。
 局長会に入会していないと、何かが困難になるということは、会社としてはもちろん考えておりません。そういうことがあってはいけないと思いますし、政治活動は会社の業務とは一線を画して、分けなければいけないと思っておりますので、局長登用のときなどもそうですが、局長会から推薦があるということは一切なく、やはり公平に人を見ていかなくてはいけませんし、局長会に入会していないことで、何か困難さが生じることのないように、仕組みを直していかなければいけないと思います。
【記者】
局長会に入っていない方でも、あるいは自民党員になるかどうかにかかわらず、局長の登用や役職、人事を決めていくということですか。
【社長】
そこはちゃんとした公平な形で登用していかなければいけないと思います。制度としても、局長会の推薦ということはとっていないと、日本郵便からは聞いております。それが実質的に、しっかりと機能していくように、もっとすっきりした形で社員にも分かるようにしていかなければいけないと思います。
【記者】
昨日、近畿地方郵便局長会が、カレンダーの配布先のお客さまの個人情報をエクセルファイルでリスト化して、参院選の選挙の投票行動の評価も書き入れて、局長たちに配っていたということを報じさせていただいた。これは単に経費の流用だけではなく、顧客情報も政治流用しているのではないか。近畿に限らず、局内で支援者を獲得しなさいとおっしゃっている地方会も複数ありました。こちらについても、その調査の状況や、現時点での問題認識、それと先ほど、11月までとおっしゃった調査に含まれるのかどうか、教えてもらっていいですか。
【社長】
昨日の報道を見ました。これまで経費の流用で、政治家の後援会に入っている人たちにカレンダーを配っていたということでしたが、それだけでもなく、もっと広がっている可能性もありますので、いずれにしても、どういう形でその活動が行われているか、全体を把握するため、全国的に今、調べているところです。
 したがって、その内容がどこまで広がりがあるのかは、お客さま情報の取り扱いも含めて、11月中に、その段階で分かっていることは公表していきたいと思います。
【記者】
エクセルファイルを配った事実は、かなり明白だと思いますが、現時点でまだ確認はできていないですか。
【社長】
まだ、私どもに報告は来ておりませんが、幾つかのチームが入って調べています。そういう点も含めて、明らかになった事実はちゃんと公表します。
【記者】
しつこいようですが、エクセルファイルで、お客さまの政治行動、選挙の投票行動を評価する欄があったことを考えると、カレンダーをもらった相手が知らないところでそうした評価をされていたということだと思いますが、この点は、増田さんから見て、率直にどういうふうに感じますか。
【社長】
お客さま情報をどういう形で使うのかですが、日本郵政グループで持っている情報というのは厳格に管理されています。総務省で先日、15日にそれについての委員会が立ち上がったぐらいですので、法律上も相当厳しく決められていますし、私どもが持っている情報を、別の用途で使うというのはあってはいけないことです。
 いずれにしても、どのような形で行われたのか、会社のパソコンなどで行ったということであれば、ある程度調べやすいのですが、違う形だと難しいところもありますので、全体像を何らかの方法で明らかにしたいと、今、調べている段階です。
【記者】
今のお話からすると、11月というのは最終報告に必ずしもならないということですか。
【社長】
11月中には、最終報告まで行くようにしていきたいと申し上げておきます。
【記者】
美並さんの件ですが、財務省の文書改ざん事件の当時、近畿財務局の局長を務められていて、自殺されてしまった職員の手記には、改ざんを承知していたとか、関与していたと書かれていた人物ですが、その点、ご本人はどういう説明をされているのでしょう。社員からすると、そこの部分で疑問を感じる方もいらっしゃると思いますので、ご説明お願いします。
【社長】
あの事案が発生したときに、彼は近畿財務局長に在籍していて、それで処分を受けていますので、私どもも当然、そういうことは十分承知の上で、一体どこまでどういう形で関与していたのかということを、事前にしっかりと調べています。
 あのときの調査報告書の中では、彼は監督責任を問われています。部下について、いろいろ捜査していたことを、もっと深くいろいろ聞いておけばよかったのですが、本省の理財局と、それから近畿財務局の国有財産の担当が直接やり取りを行っていたので、細かいことを報告しなくていいから、全部責任はとるというようなことで対応していたようです。監督責任とはいえ、それなりの役職にある人間がそうした処分を受けたということは、本当はあってはいけないことですので、本人も深く反省をしています。
 もっとこうすればよかったという思いもあると言っていますが、一方で、そうした処分を受けて、それを一生背負うということではなく、当社で、それを完全に払拭できるぐらい、しっかりと挽回してほしいという思いもあります。ですから、彼がそういう、ある種、原罪を背負っているということは、私どもも隠しもしませんし、明らかな事実ですから、そういったことを社員も基本的には分かっているという中で、社員の信頼、また親近感を持たれるぐらいに、今まで以上に、早く成果を出してほしいと思っています。こうした人を私どものグループにとることについて、いろいろなプラスの面、それからマイナス面もあると思いますが、トータルとして、私どものグループにとってプラスの面があると考えています。
【記者】
改ざんそのものを承知していた、容認していたかということですが、今の話からすると、そうではなくて、改ざんそのものが起きているとは知らなかったけれども、監督責任があったという理解でよろしいですか。
【社長】
そうです。報告書を全部見ても、そのような認定になっていて、監督責任を負いそれで処分されたという理解の上で採用しています。
【事務方】
先ほどの国からお預かりしたマスクの関係につきましてお答えさせていただきます。マスクの配布ですが、当初は全戸配布でしたが、その後、ご希望の方への配布ということで、途中からマスクの配布方法が変わりまして、その余りの分を私ども日本郵便に委託いただき、倉庫に保管をしていたということです。
 一部は、私どものアセットとしての倉庫に置いていましたが、ほとんどは私どもが倉庫をお借りして、そこに保管をしていたということです。私どもの倉庫に保管していたものは、注文があったときに、それを梱包して送り届けるというために保管をしておりました。
 2020年の1月には、厚生労働省のほうで契約を変えていただき、そのときに全てお返ししているというのが実態です。
【記者】
保管費用は。
【事務方】
私どもからの回答は控えさせていただきます。
【記者】
ファミリーマート以外も含めたコンビニなどと連携し、将来、郵便局を自動運転車やEVなどを使った買い物サービスを請け負う拠点にしていく考えはありますでしょうか。
【社長】
コンビニと郵便局の連携については、ローソン様と今までも多様な連携を行ってきており、合意書も締結しております。ファミリーマート様とは2016年に基本合意書を締結し、本日発表した取り組みもその基本合意書に基づいて行っているものです。
 コンビニは、地域でさまざまなサービスを提供しており、今、指定公共機関にもなっています。民間会社ですが指定公共機関になるぐらい地域の拠点になっているローソン様やファミリーマート様などと郵便局ネットワークの連携は、私どもの共創プラットフォームの考え方に沿うものでありますので、今後も御相手先がどう考えるかということではありますが、必要なことや両者として実施できることについては、さまざまなサービスを展開していきたいと思っています。
 例えば、なかなか外に出歩くのが困難な、高齢者の方や、障害をお持ちの方、病気をしている方などに対して、何らかの形で連絡があれば、コンビニがそろえている品物をご自宅までお届けする買い物代行サービスの類いは、今後あり得るだろうと思います。今、コンビニ各社様といろいろな検討を行っておりますので、買い物代行サービスもあり得るかと思いますが、今は、具体化してこの場で公表できるほどのものはない状況です。
 ラストワンマイルに非常に強い当社として、これからどういうサービスを展開していけるのか、今はローソン様とファミリーマート様と提携していますが、さまざまな企業と連携して買い物代行サービスなども実現できればいいと思います。
【記者】
新しい営業体制の役割分担で、コンサルタントの方が中心に扱うことになるかんぽ生命やアフラックの商品を、郵便局の窓口でも今後も扱っていくというふうに捉えてよろしいでしょうか。
 それと関連して、今後、投資信託の取り扱い局を増やす計画のようなものは、具体的にありますでしょうか。
【社長】
投資信託ですが、今すぐ取り扱い局を増やすということは聞いてはおりませんが、その可能性はあると思います。しかし商品の内容も非常に高度化しているので、体制を整えていく必要があると思います。いずれにしても取り扱い局については、要望があれば、いずれは増やすということもあり得る、その可能性は排除しないということです。
 コンサルタントは基本的にかんぽ生命の商品中心にお客さまのご自宅などにご訪問し、取り扱うということになります。郵便局の窓口でも当然、かんぽ生命の商品は取り扱いますが、コンサルタントとは役割分担となります。ただ、地域的に、コンサルタントでカバーできないエリアもありますので、郵便局の窓口の社員が訪問活動で保険を取り扱うことも、地域によってはあり得るのではないかと思います。来週から11月ですが、第4回目の地域ごとの説明に入ります。いつからどの地域で説明を開始するかなどの詳細を聞いておりませんが、これから先はエリアを見ながらの具体的な説明になっていきますので、その中で地域事情、どう考慮するかという話がいろいろされると思います。
【記者】
今後の日本郵政グループは、データビジネスでどのような活用を考えていらっしゃいますか。不動産企業との連携は考えていますか。それに関して自治体との連携というのはどういうふうにお考えですか。
【社長】
データビジネスについては、総務省のほうで、私どもが持っているデータをどのようにしていくのか、法律を超えるような形での利用はできませんが、社会でそれを受け入れられるかということも大事ですので、総務省の委員会で検討すると聞いています。
 ただ、やはりどこの金融機関、企業でも、これからのデジタル化の中でデータビジネスという考え方も非常に重要だと思いますので、どういうことができるか、データビジネスの可能性については、順次中でもよく検討しておきたいと思います。
 不動産会社や自治体との連携というのは、これからも随時やっていきたいと思っています。特に自治体との連携は、さまざまな自治体業務を請け負っていく上で、待ったなしで出てくる話だと思います。また、不動産については、大きな柱に不動産業務を育てていきたいと思っているので、その中で連携のような話は、今後随時出てくる可能性がありますし、現実として、大きな開発は単独で行わず、必ずどこかと組んで実施していますから、そうした中で、連携の強弱というのは今後も出てくるのではないかと思います。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)