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- 日本郵政株式会社の社長等会見
- 2021年6月30日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
2021年6月30日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
- [会見者]
- 日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
- 【社長】
- よろしくお願いします。
まず、5月に発表した中期経営計画「JPビジョン2025」についてですが、その新しい取り組みから発表いたします。
ビジョンで掲げておりますお客さまと地域を支える共創プラットフォームでございますが、既にその実現に向けて一つ一つ取り組んでおります。例えば今月の15日に発表いたしました、日本郵便と日本郵政キャピタル、ACSL様との資本業務提携もその1つです。共創プラットフォームのパートナーとして、このようなドローンベンチャーと組むことで、日本の物流イノベーションに挑戦をいたします。
また同じく今月18日、アフラック様と当社、それから日本郵便、かんぽ生命が連名で、戦略提携のさらなる発展について合意をし、プレスリリースを行いました。
当グループが掲げる共創プラットフォーム、この実現に向けて、真にお客さま本位となる営業推進体制の強化や、金融・保険分野におけるDXの推進をさらに連携を強めて取り組んでまいります。
これから発表する取り組みについても、一言で言えば未来に向けた挑戦ということであります。郵便局ネットワークの将来の基盤づくりであり、組織と事業を改革し、発展させるための先行投資ということになります。
1件目です。スライドで投影いたしますが、まずDXの新会社、株式会社JPデジタルの設立とその狙いについてご説明をいたします。お配りをしておりますプレスリリースの背景にある戦略も含めて、スライドでご説明します。
現在、中期経営計画で発表したリアルの郵便局ネットワークとデジタルとの融合に向けて、その取り組みを加速しております。中でもデジタル郵便局は成長戦略のコアであり、最重要の施策と位置付けております。これはお客さまに対して24時間365日、いつでもどこでも郵便局サービスをご提供すると同時に、新たな価値を創造するためのプラットフォームとなります。このデジタル郵便局を早期に立ち上げてサービスインすることが今回の狙いです。
デジタル郵便局が提供するお客さまサービスですが、大きく3つあります。1つ目は、リアルの郵便局におけるお客さま体験価値の拡大です。スライド下側の左側に簡単なポンチ絵を出しておりますが、リアルの郵便局の中に、技術を駆使しデジタルの窓口を設置して、郵便局のサービスをより簡単により便利にしていきます。
2つ目は、郵便局の外でのお客さま体験価値の創造ということで、ご自宅や外出先などでスマホやウェブなどを通じて、いつでもどこでも郵便局のサービスをご利用できるように整備をしてまいります。
3つ目は、デジタル郵便局ならではの新たなサービスの開発です。地域コミュニティーやパートナー企業と積極的にコラボレーションして、リアルとデジタルを融合した価値の共創に挑戦します。
このデジタル郵便局を早期に実現する推進部隊として、新会社の設立を決定しました。新会社の社名でありますが、株式会社JPデジタルです。明日7月1日に設立し、営業開始は8月を予定しております。資本金は6,000万円で当社が100%出資します。JPデジタルは、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命などの当社グループのDXを推進するため、DX専門人材を社の内外から広く集めて一体的な開発環境体制をリードしていく役割を担います。
このJPデジタルの事業領域は大きく4つあります。まず1つ目は、グループDX施策の実行、それから2つ目として、各社からの依頼によるDX施策の支援、3つ目として、デジタルテクノロジーを活用した新規サービスの構築、そして、4つ目がグループ横断でのDX人材の育成になります。
推進スキームとして、グループのCDO、チーフデジタルオフィサーを長とする各社横断のDXコミッティーを設置します。そして、JPデジタルが扇のかなめとなって、各社と連携して、デジタル郵便局を早期に実現してまいります。
このJPデジタルですが、グループ各社のスペシャリストを集結させて、社内にDX部門と人材育成部門を設けます。それぞれ郵政グループの一体的、横断的なDX施策のリードと将来を担うDX人材の育成に取り組むこととしておりますが、一方で現時点では、私たちだけではケイパビリティーが不足しておりますので、そこで、SOMPOホールディングス様、電通グループ様、楽天グループ様といったDXによる顧客体験でノウハウを持つ企業にご支援をいただきます。
具体的には、データ、AI、UI・UX、それからデジタルマーケティング等の第一線のDX人材のご支援をいただきます。
さらに今後は、この3社様以外にもご賛同いただける企業を拡大していく予定であり、共創プラットフォームとデジタル郵便局をともに創造するパートナー企業と広くコラボレーションをしていきたいと考えております。
そして、デジタル窓口の実現に向けて、郵便局にデジタルデバイスを設置し、さまざまな地域、年代のお客さまに便利で新しいサービスをご利用いただけるように準備をしていきます。いつでもどこでも郵便局の窓口サービスをご利用いただけるように、ウェブやアプリの開発を進めてまいります。また、ワンアイデア・ロイヤリティプログラムをはじめ、お客さま一人一人のニーズにいち早く応えていく機能を整備いたします。
併せて、地域コミュニティーやパートナー企業とデータやサービスを連携して、魅力的なサービスを展開するプラットフォームを構築してまいります。
続いて、2件目です。社内組織でありますが、JP未来戦略ラボの設置についてお話をさせていただきます。
中期経営計画のJPビジョン2025には、郵政創業150年という節目に当たって、当グループが新たなステージに進んでいく、未来に向けて大きく生まれ変わるという決意が込められております。共創プラットフォームの実現には、外部とのコラボレーションだけでなく、私たち自身が自ら変わっていく、内側から変えていくこと、これが必要だと思っております。つまり、当社グループの内部の変革、イノベーションを加速させるための仕掛けが必要だと考えております。そのための新たな組織として、当社内にJP未来戦略ラボを設置することとしました。こちらも、明日7月1日付となります。
JP未来戦略ラボは、日本郵政グループの変革に挑戦するイノベーションチームと言えると思います。そのミッションですが、グループ横断的な重要課題に関して、取り組み方針、計画の立案や提言を行うこと、また郵便局のフロントラインも含めたグループ各社や外部からの知見を取り入れながら、イノベーションの創出につなげるための検討を行うことであります。ラボは、社長である私の直下の組織とします。グループ各社からも人材を集め、当初は32名で立ち上げるということになります。ここに集まるメンバーのほとんどは、グループ各社において実務の中核を担う30代の社員ということになります。民営化後に民間企業として入社した社員を集めております。あえてこの若い世代を中心とするということで、古いしがらみにとらわれず、柔軟な発想を持って課題の検討に当たってもらいたいという狙いを込めております。そして、グループの中長期的な課題にチャレンジする機会も持ってもらうことで、将来経営を担う人材の育成にもつなげていきたいと思います。
また、ラボには、グループ各社の経営幹部に対して直接提言をさせますが、検討だけを行うシンクタンクというようなものではなくて、施策の実行まで担当することで成果に責任を持たせます。
私は、社内ベンチャーのような形で、きちんと実行させていくことも今後考えていきたいと思っています。
ラボのミッションを一言で表現するならば変革ということであります。グループ横断的な人材によるシナジーと、それから既存の枠組みにとらわれない若い力、この2つを掛け合わせることで、あるべき組織風土への変革、さらなるお客さま本位への変革を進めていく考えです。例えば人材育成では、意欲のある社員が挑戦する機会が不足している、このことが課題だと捉えておりました。このラボ自体を1つの解決策とするとともに、多様な人材が成長活躍できる環境の実現に向けた人事戦略の検討にも取り組んでまいります。
また、当グループにまだまだ足りてない徹底したお客さま本位、マーケティング志向も課題であり、お客さまとの距離を縮め、お客さまのニーズを深く把握するための仕組みづくりにも取り組んでまいります。これまで、ともすれば自分本位、会社本位になりがちでしたが、真の意味でお客さま本位に生まれ変わることで、ラボを中心としたこの変革が、当グループが経営理念として掲げておりますお客さまと社員の幸せ、これにつながっていくと考えております。
今、スライドにメンバーの写真が映っておりますが、ここには新しい日本郵政グループをつくるという志を持ったメンバーが集まっており、郵政創業150年という節目に誕生する、このJP未来戦略ラボを、自らの力で古い価値観を壊し、新しい価値観を打ち立てる起爆剤にしたいと考えております。先ほど申し上げました社内ベンチャーということにも取り組んでいきたいと思いますし、ここに入りたいという社員はどんどん公募で手を挙げてもらい、入ってもらうということもあると思っております。今後の当グループの変革と成長に向けて大きな役割を果たすものと期待をしております。
続いて、3件目であります。
4月28日に既に発表いたしましたJP楽天ロジスティクスでありますが、予定どおり、明日から始動する運びとなりました。こちらについてもご報告いたします。
JP楽天ロジスティクスですが、JPビジョン2025で掲げた共創プラットフォームの一翼として、物流分野のDXを強くけん引していくエンジンのような役割を果たしていきます。代表執行役会長は、楽天様ご出身の武田和徳様になります。トヨタのご出身で、それから楽天様のほうに来られた方だと、このようにお聞きをしております。代表取締役社長には、6月25日まで日本郵便の副社長だった諫山親が就任する予定です。社員は、日本郵便からの出向だけでなく、楽天様でドローンや無人走行車両を担当している方にも出向していただく予定でございます。ドローンなどの社会実装に向けて、よりスピード感のある取り組みができればと考えております。両グループで連携を密にして、全国津々浦々のお客さまが抱える物流課題にお応えをするとともに、eコマースに関わる全てのステークホルダーがともに成長していける社会の実現を目指してまいります。
なお、お知らせになりますが、JPビジョン2025において、収益の柱の1つに成長させることとしている不動産事業の一部である、蔵前一丁目の開発事業についてお話しをさせていただきます。
この蔵前開発は日本郵政不動産で新築工事を進めているわけですが、正式名称は蔵前一丁目開発事業計画となっております。オフィス棟には、本社ビルとしてライオン様が入居予定ですが、ライオン様と共同で、CASBEEのスマートウェルネスオフィス認証の最高位となるSランクを取得することができましたので、お知らせをするものです。要は健康で新しい働き方に対応した、未来先取り型の不動産サービスとして高い評価をいただけたものと、このように考えております。92点を今回獲得してSランクに位置付けられたのですが、92点まで獲得したというのは、ほかに先行する事例が1つあるだけで、いずれにしても得点としては一番高いものであると聞いております。
今後も、引き続き不動産事業によってさまざまな取り組みを進めていきたいと思います。詳細は、お手元のリリース資料をご確認いただきたいと思います。
それから、最後になりますが、自己株式の消却の件になります。6月18日、取締役会で、当社が保有するほぼ全ての自己株式を消却することを決議して、適時開示で公表していますが、本日、予定どおり消却されました。この結果、発行済み株式総数は約45億株から、この時点で約37億6,787万株余りに減少しております。政府の保有割合は60.6%となっております。自己株式の消却によりまして、今後、自己株式が市場に放出され、株式価値が希薄化するのではないかという投資家の懸念も伝わってきておりましたが、そうした懸念が払拭されるものと考えております。
私からは以上です。
- 【記者】
- 幹事社から3点ございます。
1点目ですが、今、お話もありましたが、今月、自社株買い、自己株消却を発表されました。株価がなかなか上がらない中で、政府保有株式の売却が遅れていると思いますが、今後の株価上昇に向けてのご対応をお聞かせください。
- 【社長】
- ただいま申し上げましたとおり、自己株式を消却しましたが、これも株主還元の1つだと思っております。株主還元の強化、それから私どもは資本効率を上げるという意味で自己株式を消却したのですが、株価については、市場の評価なので私どもはニュートラルでありますが、やはり株主様たちの期待に応えるということは大変重要なことでありますので、これからも、中期経営計画でお示ししているとおり、まず会社の企業価値を向上させるために、成長に向けての投資を含め、さまざまなことをやっていかなければいけません。一方で、資本政策として自己株式の取得についても、今後も適時、必要であればためらわずにやっていきたいと思っております。もちろんそれ以外にも株主還元政策ということを念頭に置きながら、これからも取り組んでいきたいと思います。これは政府のほうのご判断ですが、まだ株式の売却が当社についてもあると思いますし、私どもも、かんぽ生命については50%以下になりましたが、ゆうちょ銀行の株の売却等も考えていかなければなりませんので、いずれにしてもマーケットの期待にトータルとして応えられるように、しっかりと頑張っていくということになるかと思います。
- 【記者】
- ありがとうございます。2点目です。今、先ほども7月の物流会社設立のお話がありましたが、楽天グループとの、業務提携の進捗状況について、物流、モバイル分野では取り組みを発表するなどスタートをしていると思いますが、金融、EC分野での提携協議の進捗状況をお伺いします。
- 【社長】
- まず、ゆうちょ銀行のほうですが、ゆうちょ銀行と楽天様の間で継続的に協議をしておりまして、ゆうちょ銀行を発行主体とするクレジットカードを発行していきたいということが、少し先の目標になっていますが、まずは、ゆうちょ銀行専用デザインの楽天カードの年内取扱い開始に向けて準備を進めています。デザインがゆうちょ銀行で、実際には楽天様のカードということになります。年内に取扱い開始を目指しているので、そこに対してのメリットのつけ方と、システム改修等の必要があるので、それを今、調整しています。ただ、それでおしまいということではなくて、冒頭、申し上げましたように、ゆうちょ銀行を発行主体とするクレジットカードを発行したいと思っていますので、その発行を目指して、今、協議をしているところです。
それから、かんぽ生命については、今、ここで具体的にすぐにこういうことをすると申し上げるものはございません。決まりましたら、すみやかにお知らせしたいと思います。保険分野では、ウェブでのお手続きなど、非対面、非接触でということをポイントに、楽天様とどういうことができるかを今、検討しています。
- 【記者】
- 3点目ですが、本日、発表をいただいたJPデジタルについてなのですが、主な事業内容の3点目、新規サービスについて、何か具体的なもの、ありましたらお話しください。
- 【社長】
- アイデアはいっぱいあるのですが、デジタルとリアルの基盤、両方を掛け合わせて、それを1つのプラットフォームとして、そこにさまざまな企業や地域のコミュニティーに入ってきてもらおうということが共創プラットフォームの基本です。そのパートナーと、どのようなサービスができるかということをいろいろご相談しながら進めていきたいと考えておりますが、今の時点で具体的な新規サービスについて申し上げる段階にはございません。
- 【記者】
- JPデジタルについて何点かお伺いします。デジタルというと官民ともにデジタル人材の確保というのは急務で、争奪戦とも言えるような状況になっていますが、まずどのような戦略を持って、何人程度、JPデジタルに人材を集めてくるお考えでしょうか。
- 【社長】
- スタート時点では30名程度、それから当然他社から、先ほど申し上げました3社から、1ないし2名来ていただいて、それで人材を確保するということで、3社と話を進めておりますが、それ以外の企業からも入っていただいて、規模感で言うと、2年たったところで200名ぐらいには、人の数を増やしていきます。郵政グループの中でも、いわゆるIT部門に今配属されている人材等もいますし、それ以外にもやってみたいという社員もおりますので、広く募集をして、獲得していき、事業を大胆に進めていきたいと思っております。
- 【記者】
- 今、30名と200名という数字が出ましたが、30名はその社内の数字でプラス数名この電通グループとか楽天から採るというイメージですか。
- 【社長】
- 30名については、主に今は社内ですが、明日スタートしますので、3社から来ていただく人についても、順次増やしていきます。明日の時点ですと、当グループの人間が、30名の中に多く含まれているということです。
- 【記者】
- その2年後の200名の中には、増田さんのイメージとしては、社外の人ってのは、内数としてはどのぐらい。
- 【社長】
- 内訳は決めておりません。
- 【記者】
- 社内外合わせてという感じでしょうか。
- 【社長】
- 合わせてです。全体の規模感やおこなっていく事業の規模から言うと、やはりそのくらいは体制を整えておかないといけないと思っています。
- 【記者】
- あともう1点、JPデジタルのCEOに飯田恭久さんが就任されていますが、改めて飯田さんをCEOに据えた理由をお聞かせください。
- 【社長】
- DX人材のプロということで、来ていただいておりまして、グループ全体のCDOにも就任してもらっていますので、彼に指揮官として、全体の采配を取っていただきたいと思っています。
一方で、子会社化して、人の獲得などについても柔軟に対応できるようにして、十分目配りをして事業を実行していく体制をどんどん強化していただきたいと期待感を持っています。
- 【記者】
- 2点、お願いいたします。1点目が先ほどの方に続いてJPデジタルです。グループ横断でということなのですが、日本郵政の中でやるということもできたと思うのですが、これを別会社にしたというのは、将来的にこのパートナー企業とか、出資とかそういう受け皿にしやすいとのお考えとかそういうのがあるのかどうかというのを1点目伺いたいことです。
2点目が自社株消却の話ですが、中計発表されてから結構動きが早かったと思うのですが、株主目線では確かにすぐやったほうがいいというのは分かるのですが、成長投資考えると、この間、楽天への出資とか結構キャッシュを使っていると思うのですが、改めて今このタイミングでやったということについての、増田社長のお考えをお聞かせください。
- 【社長】
- まずJPデジタルを別会社にしたということですが、開発自体をアジャイルでやっていこうということもありますし、スタート時点で自社と別会社のどちらの形態がいいかと考えた際、やはり人材の獲得等についても別会社のほうがやりやすいというのが理由の一つです。人材獲得をしてく上では、社外から来ていただく方、それから、兼務で来ていただく場合など、さまざまな形態があると思うので、待遇面等も含めて、別会社の方が機動的にできるということもあって、別会社でスタートしたほうがいいと判断しました。
当初は当社が100%出資としておりますが、そういう資本形態も含めてこれから世の中の動向に応じて、柔軟に考えていきたいと思っております。
それから、自己株式取得についてですが、おっしゃるとおり、さまざまな成長投資を実際に行っていかないと会社というのは成り立っていきませんし、企業価値は向上していかないと思います。中計の中で投資の枠についても、DXについて4,300億円だとか、不動産については5,000億円とか、M&Aについては1兆円程度までの規模というのはもう既に織り込んであります。一方で、自己株式取得も中期経営計画の中ではっきりと世の中に明らかにしました。実際には先般、かんぽ生命が自己株式の買付けを行い、当社はその自己株式の取得に応じた売付けを行いましたので、私どものほうにその分のキャッシュが入ってきております。そのまま置いていたのでは、やはり資本効率が悪いという批判も招きかねませんので、中期経営計画で申し上げてきたことを早めに実行したほうがいいだろうということで、今回行ったということです。
- 【記者】
- JPデジタルについてお伺いしたいのですが、先ほど映像やスライドなどでご説明いただいて、安心だとかプラス驚きみたいなキャッチコピーがありましたが、具体的な収益向上の施策というのが見えないといいますか、そもそもないように感じられまして、本日の説明を伺っていますと、デジタルとリアルを融合してプラットフォームをつくろうと。とりあえずつくればいいと、つくれば何かしら収益に貢献するだろうというようなお考えが伝わってきまして、具体的にこういうふうに収益を上げるというイメージ図、青写真が全く見えてこないのですが、この部分についてちょっともう少しご説明いただけないでしょうか。
- 【社長】
- 収益については、具体的な数字を社内で持っています。当然新たに会社をつくるわけですから、当初は赤になりますけれども、少し経ってから完全にそれを取り戻すという計画ですが、それは経営戦略そのものですので、公表は差し控えさせていただきます。
それから、具体的にどういう分野で何をして打ち勝っていくかというのは、人材を集めていく上でも非常に重要なところですが、現時点ではまだそこまで申し上げる段階には来ておりません。
ただ、おっしゃるとおり、このJPデジタルは、最初はやはり社内で仕事を受けるということになりますが、いずれは他からの仕事もきちんと受けられるくらいまで実力をつけていかなければいけません。グループ外から人材を集めていく上でも、しっかりと明らかにしていかないと集めづらいということがありますので、それは追ってこれから具体化していきたいと思います。
当グループの中で、デジタル化をもっと進めていくのは、JP楽天ロジスティクスです。そこが主体になりますが、さらに話を進めて、データドリブンを展開していくときには、JPデジタルがおこなった作業を通じて進んでいくことになると思います。それから金融2社についても、さまざま持っているデータを基に、新しいサービスに結びつけていく際に、JPデジタルが金融2社のサービスに貢献をすることになると思います。
- 【記者】
- 今おっしゃっていただいたところで、まだ非開示であるというお話だったのですが、子会社新設して、しかもそれが重要な役割を担っていると。で、当初の初年度は赤になるというところであれば、当然株主に対しての説明、投資家に対して説明する責任というのがあるものなのですが、それに対して、計画あるけども非開示というのは、これはちょっと、先ほどの株主に対して還元していくという方針と相反するのではないかと思うのですが、また社内として見ても、社員としてもちょっとこれ何をするのかと分からないと、業務面でどう協力していいのかというのはなかなかしづらいのかなと。単純に負荷が増すだけで、果たしてこれが収益向上につながるのか、あるいはグループ全体に貢献しているのか分からないという形になると思うので、ここは説明すべきだと思うのですが、このあたりどうお考えなのでしょうか。
- 【社長】
- まず、社内に対しては、既に各グループ社長間で相当な打ち合わせをしています。これからデジタル郵便局ネットワークの構築を進めていくために、デジタル化に向けての推進組織が必要との合意が取れております。また、既にこれまで考えていたことや、新たなことも含め、担当者の皆さんともしっかり共有しておく必要があると思います。
それから、当社がデジタル郵便局ということを打ち出したのち、どこでどう進めていくかというのは常に求められる話です。その推進組織がJPデジタルです。それをこれからどのように進めていくのかというのは、今後、一つ一つ段階を進んでいくごとにきちんと説明していきたいと思います。これは投資家に対しても、それから、投資家以外の方々も、世の中でご関心を持っている方々には、きちんとそれにお答えしていかなければいけないと思っております。今日の段階では、他の企業も含めて、ご賛同いただいた皆さん方に入っていただいて、こういう形で推進組織を立ち上げることを発表したと、こういうふうにご理解いただければと思います。
- 【記者】
- 最後に1点、細かいところですけど先ほど増田社長、少したてば黒字化するだろうというお話だったのですが、これは中期経営期間中、5年以内にも黒字化のめどが立っているということなのですか。
- 【社長】
- そこはどういう規模感で仕事をしていくかによります。先ほどもご質問があったのですが、各方面の人材をどれだけ獲得するかにもかかっておりまして、実はこの人材確保が大変ハードルが高いと思っています。コストセンターではないのかとのご指摘もあるのですが、具体的に動きだして、半年とか1年たって、200人ぐらいは必要な人材を確保して、具体的な事業を進めていきたいのですが、必要な人材がきちんと予定どおり集まるかどうかにもよりますので、まだ申し上げられる段階にはちょっと早いかなと思っています。
- 【記者】
- 郵便局長の最近起きている不祥事についてお伺いしたいのですが、前提として、まだ正式な公表はされていませんが、大阪府守口市で複数の郵便局長が不正な経費を精算しているような報道も一部あって、一部の局長は解雇にもなっていると聞いているのですが、この件で、今、可能な範囲で教えていただけますか。
- 【社長】
- 不正な経費の請求の件については、告訴をしなければいけないと思っております。この事件は警察に相談しており、捜査に支障があるので、今、これ以上、なかなか申し上げづらいところがあるのですが、大阪府守口金田郵便局の元局長による会社経費の不適正な取り扱いというものがあり、その当該局長を含む地区連絡会内の社員を懲戒処分したと、日本郵便から報告を受けております。今おっしゃられたように懲戒解雇、減給になった者もおりますし、複数の社員がこれで処分を受けているということも報告は受けております。
公表については、警察の捜査との関係があって、もう少し今の状態にさせていただきたいと思っていますが、これについては必ず公表いたします。
- 【記者】
- 今の可能な範囲でいいのですが、解任になっている局長の数、それから解雇、減給などの処分の数というのは、おっしゃれるのでしょうか。
- 【社長】
- 現時点で詳しい内訳は差し控えさせていただきたいと思いますが、必ず公表をします。
- 【記者】
- この件も含めて、今月、九州では逮捕者複数、昨日もありましたが、局長によるこういう犯罪も含めて不祥事が相次いでいることについて、一言お伺いしたいのと、どういう原因とか背景、お考えなのか教えてもらっていいでしょうか。
- 【社長】
- このように犯罪が多発しているということがあり、地域の被害に遭われたお客さまには大変なご迷惑をおかけして、お詫びするしかございませんし、こういった犯罪によって、非常に関係各方面にもご迷惑をかけており、また、不信感も非常に生じていることと思います。
いずれにしても、郵政グループのトップとして深くお詫びします。それから、原因についてはそれぞれ事案で多々あると思うのですが、いずれにしても、郵便局長に対しての信頼感を逆手に取って、それで犯罪を起こしているという部分があると思います。これはもう否めない事実だと思います。そうした郵便局長に対しての信頼感を損なうことについて、大変遺憾に思いますし、言語道断だと思いますが、そういったことを起こさないような再発防止策を含めて、対応策をとっていくということに尽きるかと思っています。
- 【記者】
- その背景のところで、今、信頼とおっしゃいましたけれど、転勤がないことも含めて、局長の人事制度に関する課題というのは何かお感じになっていることはありますか。
- 【社長】
- 転勤がないとか、世襲のようなことが行われているのではなど、さまざまご批判があるということは承知しています。
少しこの点について申し上げますと、全ての局長を変えるということがいいのかどうか、それできちんとマネジメントできるかどうかというのが、まず一つあると思います。地域の防災士とか、いろいろな資格を取っているからなどという話もありますが、人が代わっても、そういう意味での地域貢献はできると私は思います。ただ、一番大事な郵便局の局長に対しての信頼感というのは、私も岩手県の知事をしていたときに、随分多くの局長を存じていましたが、ずっとそこで、こつこつと仕事をして築き上げた地域のまとめ役みたいな信頼があって、やはり郵便局で局長からいろいろ紹介されれば、商品を購入したりしていたと思います。郵便局で行っている、特にエリアマネジメント局は全国で1万8,000人を超える、いわゆる旧特定局長が、地域で長く築き上げていった信頼感のようなものの中で、お客さまが局長からいろいろ勧められた金融商品の購入をするといったようなことが行われてきているわけです。
ビジネスとしても、そういう局長の信頼をバックに行ってきたので、長崎住吉局のような、それを逆手に取ったような犯罪があってはならないことです。旧特定局長の地域でのそういう存在というものを一つ前提にしつつ、一方で、犯罪に結びつかないようなけん制策をきちんと入れていかなければいけませんので、何年かたてば、一定期間はそこに別の局長が入って、きちんと郵便局を調べるといったようなけん制抑制効果を効かせたり、あるいは、親族間で局長を交代する時には必ず一定期間、親族以外の人間を挟むことによってけん制効果を発揮するといったようなことを、きちんと検討して実行するよう日本郵便に指示をしているところです。人数は確かに多くはないですが、エリアマネジメント局長については年に600人程度を人事異動で動かしているので、これは1つのファクトですが、けん制効果をより強くしていくために、600人という規模をもっと拡充するように日本郵便に指示しています。その上でもまだ異動の対象にならない郵便局長は多いのですが、5年超えるのであれば、5年の間に1回は、ひと月とかふた月の間、郵便局長を交代させて、各種の書類等を確認するといったけん制策を行ったり、あるいはもっと短い期間で、局長を一定期間交代させるようなことを制度として入れるように、こちらも日本郵便に指示をしています。
日本郵便でそういったことを踏まえて、今後、どういうけん制強化策を講じるか、考えて、それを実行していくことにしていますが、ご質問の趣旨をトータルで見れば、不転勤とか、世襲の問題などについて、この時代に合っているのかどうか、これは多くの方からご指摘をいただいていますが、私自身は、これまで郵便局長が獲得してきた、信頼感の元というのはやはり地域で、しっかりと仕事をしつつ、それ以外にもいろいろな役割を果たしてきたことによってできている無形の資産のようなものがあります。それも一方で保持しつつ、金融犯罪につながらないようなけん制策を講じて、マネジメントをしっかりとやっていくということが必要ではないかと思います。
それから、支社がエリアマネジメント局に対して、もっと人事のことも含めて見ていく必要がありますが、実際に今、支社の体制を見ると、今すぐにマネジメントを全部行うというのは体制的に難しい状況です。これは長い歴史の中で、支社は基本的に単独マネジメント局のほうを中心に見てきているためです。今後、支社の人事部をもっと充実させていって、エリアマネジメント局全体を見渡せるようにします。今の郵便局ネットワークに対しての信頼がさまざまな事件で落ちてきていますので、それをきちんと向上させるようなことを、トータルで考えていかなければいけない大事な時期かなと思っています。
- 【記者】
- 今、最後のところとも重なるのですが、郵便局長会に関して、認識をちょっとお伺いしたいのですが、経営の方針であったり、あるいは人事に対する影響力について、日本郵便さんの方では完全に否定されているのですが、地方の局長会と支社との関係も含めて、人事や方針決定への影響力について、どういう今認識をお持ちでらっしゃいますか。
- 【社長】
- エリアマネジメント局の人事については、支社ごとにいろいろ濃淡はあるようですが第1次的な案というのは、連絡会でつくっているところもあれば、支社のほうでかなりコミットしているところもあります。私も幾つか調べましたが、現場に近いところで第1次案はつくっているため、実際に多くのものは局長会の人事と、日本郵便の人事等が同じようにダブっていることがあると思います。人事権は、ご案内のとおり、日本郵便の支社にあるので、局長会でつくっている人事案が実際の人事とずれているものもありますが、現実には非常に多くがダブっているところがあるのは事実だと思います。
今、エリアマネジメント局についてのマネジメントを大きく切り替えて、人事まで深く見ようとすると、それは支社の人事体制を相当厚くしないと、現実には見きれないという事情があるので、先ほども申し上げましたが、支社の人事部を厚くしていって、全体とすればマネジメントを統一する方向に持っていかなければいけないと思っています。それにはかなり時間がかかることは事実だと思います。私は、多くの犯罪があるのは局長自身、特に管理者としての根っこから、そもそもの部分が少し違っているところがあるのだと思います。ですので、そういうことが頻発する今こそ、変えるところはきちんと変えていかなければいけないと思いますので、けん制効果を高めるということと、それから、自分が局長であることによってずっと培っている、あるいは周りの人たちが、自分に対して寄せる信頼があるということを、深く自覚していかなければいけないと思います。経営理念などをずっと日々繰り返し、繰り返し研修等でやっていかなければいけないと思っています。
- 【記者】
- 分かりました。最後、今、統一する方向に持っていかないといけないというのは、そのエリマネと単マネの運営を統一する方向という理解でいいのですか。
- 【社長】
- 今も形式的には、支社で人事を決めています。ただ、それが、形式的にと申し上げている意味は、1次案をどこが作成するかということです。普通は人事案というものは人事担当部署が全てを作成するというのが一番すっきりした形かと思いますが、ただ、エリアマネジメント局は非常に数が多いですし、日々の行動とか実力を支社で全部見ているわけではありません。それから、単独マネジメント局についても、かなり内容を把握はしていますが、非常に現場に近いところに意見を聞きながらやっています。実際の運用の強弱の問題で、今の仕組みは出来上がっているのですが、エリアマネジメント局人事案などを多く連絡会に頼っているというところを、支社の人事部がもっと見るような体制に、動かしていく必要があるのではないか思います。これは、仕組みとか制度の問題というよりは、事実上運用の問題です。エリアマネジメント局については地区統括局長が一番、日頃から見ていますので、そういう人たちの意見も十分聞きながら、運用をしていく必要があります。やはり、現場に一番近い人たちで常日頃から多く見ている人たちの中で、誰々はマネジメント力があるだとか、この人は少しマネジメント力が足りないとかいう、そういう日々の積み重ねを含めて人事に反映していかなければいけないので、それについては両者でよく双方の意見を尊重してやっていかないと、うまい人事はできないというふうに思います。
- 【記者】
- 今のお話の前提は、人事を厚くするということは、その前提として課題が今あるということでいいわけですよね。
- 【社長】
- エリアマネジメント局の人事を見ていくという前提に立つと、支社の人事の体制というのは十分でないと思います。それは、民営化の頃に支社をだいぶ細くした時期というのがありました。しかしながらいろいろな事件が起きているわけです。そうすると、一人一人のマネジメント、特に局長のマネジメントを常日頃から見ておく必要があります。部会などで近隣の局長たちもお互いをよく分かっている部分もある一方で、分からない部分もあります。そういうところを、支社がもっと入っていって、よく見られるような体制に厚くし、それから、支社の人事部も、近隣の局長の話もよく聞いて、どういう方が、実力があるのかということを常日頃もっとやらないと、うまくいかないと私は思っています。ただ、建前だけで切り替えたのでは、なかなかうまく運用できない。2万局で2万人いますので、そのマネジメントを、日々の行動を見て、判断していくのは、やはりよほどいろいろな人たちの協力を得ながらやっていかないといけないのではないかと思います。たった13の支社でやっているわけですから、これは相当時間もかかるし大変な仕事になると思っています。
- 【記者】
- JPデジタルについて改めてお伺いしたいのですけれども、先ほど黒字化の話もありましたけれども、デジタル郵便局、これそのものについては、いつスタートするのかと。ユーザーがいつサービスを受けられるのかということについて、その時期が改めてあるのであれば教えていただきたいのですが。
- 【社長】
- デジタル郵便局をいつスタートしますかということですが、ある日、それがフルスペックで動くということではなくて、先ほどの映像でもありましたとおり、リアルの郵便局の窓口のサービスを、今、紙ベースになっているものをタブレットとかスマホだとかに切り替えたり、窓口のリアルのところでは十分取り込めていない、例えば1つの例ですが、相続などのご相談に対して、テレビ画面のようなブースをつくって、別のところにいる専門家とつないで相談をする。これは一部の郵便局や他の金融機関などで始めていますが、そういったサービスをリアルの郵便局で行ったり、それから、スマホ上で、いわゆるスーパーアプリのようなものを使って手続きをするなど、そういったものが順次出来上がったものから実用化されていくことなどを、総じてデジタル郵便局としています。他の金融機関も、今、フィンテックでどんどんデジタル化を進めています。新しいサービスを投入した結果、デジタルとリアルの両方が並行して走っていくような形態に、時間をかけて切り替わっていく、こういう形になると思います。
- 【記者】
- 確認ですけど、それ、8月営業開始ということですか。
そこから順次切り替わっていくということですか。
- 【社長】
- 8月はJPデジタルが事業をスタートさせる時期になります。そこからサービス開発をして、それからグループ各社がそれを実行していくということになりますので、順次できるものからまた別途発表していかなければいけないと思っています。
- 【記者】
- 分かりました。関連してJPデジタルについてもう一つですが、社長の飯田さんは楽天から来られたということで、今後のJPデジタルに関して楽天からの今後の支援というものは、人員の受け入れの話がありましたが、どういうものがあるのでしょうか。人員にとどまるのか、それともプラスして何かあるのか。併せて、これに関連してですが、楽天自身がデジタルの金融サービス、楽天銀行とか楽天証券とかをやっていますが、このデジタル郵便局を開設するに当たって、楽天の何か参考になるノウハウみたいなのがもしあれば、お聞かせいただきたいです。
- 【社長】
- 楽天様から来ていただくのは人員を考えています。それからあと、ほか、2社様もございましたけど、今現在、資本を入れていただくなどということは考えておりません。各社様とこれから進めていくのは、いずれにしてもデジタルにたけた人材に来ていただくということで進めていきたいと思います。それから、その3社様に限らず賛同いただけるところにもっと広く募って、人材を出していただく、そこを確保するということがまず最優先されると考えています。
それから、楽天様は楽天銀行とか、保険もやっておられますが、オンラインで展開するサービスとして、参考になる部分は参考になると思いますが、郵政は郵政で、いろいろな既存のシステムがそれぞれありますので、それを使って、切り替えながら展開していくということになります。要は、参考にすべきところはどんどん参考にさせていただき、その上で新しい、私どもに合った仕組みを開発するということになっていくと思います。
- 【記者】
- 分かりました。それと、最後に、次はJP楽天ロジスティクスなのですけれども、社長に諫山さんが、副社長を退任されてこちらの専属になるというイメージだと思いますけれども、これ、人事的狙いといいますかね、郵便全体の副社長が、社長へ、専属ということでよろしいのですかね。
- 【社長】
- JP楽天ロジスティクス専属になります。
- 【記者】
- 専属でやられると。楽天の武田さんは専属じゃないと思うのですが、諫山さん、副社長から今回、この合弁会社のトップに専属でやられるということの狙いといいますか、増田さんの期待と狙いと人的、その意味合いみたいなものがありましたらお聞かせいただきたい。
- 【社長】
- 今まで諫山もそれから楽天様の武田様も、これまでも双方ヘッドとして、今回の倉庫も含め、配送のところ、楽天市場のさまざまな出店のところをどのように取り込んでいくかをずっと検討してきたという経緯があります。
おっしゃるとおり、会長は武田様で、それから諫山が社長になりますが、実質、常駐してさまざまなことを進めていく責任者は諫山ということになります。これまで物流について大変長けた、物流分野全体にも通じている、そういう能力を持っているので、彼のこれまでの能力を最大限生かして、実質最高責任者としてまず一番にJP楽天ロジスティクスを急いで立ち上げて、しっかりとやっていただきたい、そのような期待を持っています。
- 【記者】
- 分かりました。最後に、このJP楽天ロジスティクスですが、こちらについても収益化といいますか、EC向けの物流委託サービスというのも成長の期待があるところとかと思うのですが、現行、これも当初赤字スタートということなのか、黒字化の計画があれば、その事業計画について概要を教えていただきたいのです。
- 【社長】
- 具体的な事業計画については、楽天様とつくって、その後、いろいろまたさらに詰めておりますが、いずれにしても、日本郵便は需要をかなりかたく見積もって、これまでも来ているのですが、コロナも受けて、eコマース分野というのは相当伸びており、これからもさらに伸びが期待されるので、かなり多くの量を扱うことになります。要するに、出店企業の直営店だとか、それから直轄でやるところは全部JP楽天ロジスティクスが取り扱いますし、それ以外のところは出店側で、例えばヤマトさんを選ぶなど、そこは自由にできるようになっていますが、直営店ですとか、いろいろ楽天様側でやられている比率をこれからもっと高める工夫をして、そこを取り込むようにしています。こういった倉庫等についても、また新しく建てたり、いろんな投資も今後考えていかなければいけない時期も来ると思いますが、いずれにしても、きちんと収益を出して、それで日本郵便、楽天様双方にとって、全体にいい効果が出るように、これまでずっと楽天様との関係に携わってきた諫山に行ってもらいます。
昨年の12月にこの分野についてはいろいろと具体的な協業をしていこうということを発表しましたが、ご承知のとおり、楽天様とはそれよりもだいぶ前からさまざまな取り組みを行っております。そのときからの信頼関係が彼はずっとできていますから、実際にこういう共同倉庫等も使ってやっていけば、早い段階でいい効果を出してくるのではないかと期待しています。
- 【記者】
- 先週、総会で社外取締役全員が今回は特に新しい人も入らず、辞める人もいないということで、再任されました。こちらについてのご認識をお聞きしたいです。特に、トール社を買収したころから今も社外取締役をされている2人いますよね。三村さんと石原さん。あと、かんぽの不適正募集をされていた頃もほかの4人がですね、社外取されていたわけですから、このあたりはどのように考えたらいいかと。まずその点をお聞かせください。
- 【社長】
- 基本的には指名委員会でどう判断するかが一番大事な点だというのを前提に少し申し上げますと、9人でいいかどうかということですが、多過ぎるのではないかという観点も最近出てきたという話ですが、多い少ないというのは私個人としては申し上げられません。取締役会の実効性評価をいつも行っていますが、そういうガバナンスをしっかりとやっていく上で、取締役会の果たす役割がどんどん重要になってきています。そこにスキルマトリックスのようなものを入れて、多彩な分野で、多様な観点からいろいろ物事を判断していく必要があるということを言われているので、今の9人で決して多過ぎるという感じはないかと思っています。
それから、確かにトール買収のとき、あるいはかんぽ問題のときからの方もいらっしゃいますが、これも取締役会として、私から見れば、執行側に対して、当時どのように取り組まれたかということを私自身が全部熟知しているわけでありませんが、少なくとも私が来て、少し前のかんぽ問題のときからいろいろ話を聞かしていただきましたが、一つ不十分だったと思うのは、執行サイドから取締役会に本当に十分に情報がしっかり渡っていたのか、トータルできちんと取締役の皆さん方が判断できるような形になっていたのかどうか、ここについては、執行側でもっと適時適切に、各取締役にかんぽ生命のさまざまの問題についても頻度を上げて報告をする、あるいは取締役会の開催についてもっと頻度を上げてお願いするようなことがあってよかったのではないかなと思っています。
要は取締役会で社外の皆さんに入っていただいておりますけども、その方々と執行側とは明らかに情報量の非対称性がありますから、執行側で、きちんと社外取の皆さん方に情報をお伝えした上で、経営の大きな部分を判断いただかなければいけないので、私自身は、今回、指名委員会の判断で現状のままの体制ということですが、とにかく執行側も兼ねた取締役でもありますので、さまざまな判断をいただくべき事項については、とにかく多く情報を取締役に個々に持っていただく、それから、開催の回数についても、当然、定例のものだけではなく、臨時も含めて、必要なときはどんどん遠慮なく開催させていただくこと、それ以外にも、個別にお会いして、いろいろご意見を聞く、こういうことをやって、いわゆるガバナンスを、しっかりと確立するようにしておりますし、今後もしていきたいと思います。
当社は、指名委員会等設置会社になっているので、どうしても指名委員会を越えて私のほうでいろいろ言うわけにはいかないのですが、私は率直に、やはり今の大変見識をお持ちの方々のご判断というものがきちんとなされるように、情報をお渡しして、判断していただくということに大変重きを置いて、今、取り組んでいるとこであります。
- 【記者】
- 指名委員会が決めているからと言われると、もうこれ以上質問できなくなっちゃうのですけど、一応確認のためにあえて言いますと、三村明夫さんは、兼任が多過ぎる。人が多いというのと、そうすると、やはり実効性評価されているってことですけど、そんなにこう、割く時間も少なくなってしまうのではないかという懸念を持っているのでお聞きするのですけど、三村明夫さんは東京海上、日清製粉、石原邦夫さんは東急、ニコン、三菱総研、秋山咲恵さんはソニーグループ、オリックス、三菱商事と、何かそれぞれ大きくて大変な会社の社外取を兼任されているので、心配しているのと、あと、社外取の何か指定席みたいなことになっているところがあって、それは検察とか裁判所の方が、笠間さん、宗像さん、青沼さん、貝阿彌さんとこう続いているわけです。だからここ、既得権益化して、厳しい意見が言えなくなってしまうのではないかという心配があると思うのですが。
- 【社長】
- 今の関係で言いますと、他社について兼務されている方もいらっしゃいますが、ただ、今、名前を挙げられた方も、当社の経営についてはいろいろ問題があるということもありますが、相当時間を割いてやっていただいています。私が相談するときは、いつも最優先でやっていただいていますので、確かに割く時間をどういうふうに工面されているか私は存じ上げませんが、多くの時間を割いてもらっており、それは私自身も上場企業のいろいろ問題ある企業の社外取締役をこれまでやってきた経験がありますけど、やはり気になるところはどんどん資料をくださいと言ったりしたことがあります。そういう形で、今の社外取締役の人たちからも相当資料を要求されたりすることがあります。絶対聞きに来るなと思って、事前に行くと、説明を待っていたという話もあったりします。
そこは当社側から見れば、十分時間を割いていただいている認識でおります。個別に申し上げるとすると、法律の分野は必ず必要になります。法律の専門家の方々は、典型的には裁判官か検事の方か、いずれにしても法曹の資格持っている方か、あとは大学の教授の方です。その中で適切な方を選びます。やはり相当な法律についての知識も必要になるので、この分野から来ていただくというのはどうしても避けられないのではないかと思います。
- 【記者】
- 最後に1点、全く別の話です。先ほどの質問に関連するのですが、もちろんご案内のとおり、四国支社の深浦郵便局で抜き打ち調査を受けたら、局長はどこかに行ってしまって死亡したという報道されています。2億円の現金が見つからないというような話です。この件は、四国支社として、あるいは日本郵便として、あるいは日本郵政としても、この抜き打ち調査に問題はなかったのかの調査も当然やっていかれるということでしょうか。
- 【社長】
- このような問題が出て、大変深くお詫びしたいと思います。今、ある程度分かってきているところですが、局長がお亡くなりになっているので、警察とよく相談をして進めてまいります。事実がどうだったのか、大量のお金が消えているので、これは犯罪があったのは間違いないと思いますが、どういう類いの犯罪であったのかということは今調べていますので、これも分かり次第、きちんとご報告をしたいと思っています。
金額にして2億4,000万円の不足が生じています。端緒があったので現場に行ったところ、急に局長が見えなくなって、亡くなられたということですが、調べたところ、事務処理上のミスもないということなので、これは重大な不正が行われていたというふうに推測されます。可能な限り早期の究明を行わなければいけないと考えております。
事実関係の究明、それから、犯罪であれば告訴するか。あるいは被害届を出すというのが通常ですが、それについても警察と今、相談しているところでありまして、遅くとも7月中には事実関係を究明するようにということで、日本郵便に指示しております。
調査結果については、公表したいと思います。
- 【記者】
- 旧特定郵便局長の再発防止策の件で、追加で教えてください。まず、人事制度と、その人事の体制だと思うのですが、いつまでに再発防止策として出したいかというところと、先ほど人事制度のところで、不転勤の問題と世襲の容認の問題、少し指摘されましたが、これは制度の抜本改革というよりも、ちょっとしたけん制を入れるというような表現とも読み取れたのですが、もうちょっと詳しく、どういった方向性で今、指示、検討されているかというところを教えてください。
- 【社長】
- 前者のほうで言うと、先日、裁判所からも判決が出ましたが、やはり急ぐのは福岡の事案など内部通報制度の関係です。これを再構築する必要があると思っており、9月には新しい制度を実施したいと考えています。そのために、本事件について、まだ引き続き調査をしています。どこをどのようにしないときちんと内部通報制度が動かないのか、そこをしっかりと調査をして、その上で、新しい内部通報制度を走らせたいと思います。
それから、局長の人事の話ですが、バックグラウンドは犯罪の抑止ということにつなげて考えるべきだと思いますが、転勤をどのように導入するかというのが一つあると思います。地銀あるいはメガバンク等は一定のサイクルで、全て転勤をさせていくわけです。当グループ、日本郵便はそういう形でしていないのですが、それはそれで、長い歴史の中で、やはり地域に根差して、そこで仕事をしているということによって得られる、その信頼感につながっている部分があるということ、それから、あれだけの郵便局数、約2万4,000局で、旧特定局は約1万8,000局程度の数ですが、それ全部を人事評価して、マネジメントしていくということは大変です。今、実際にやっているのは、エリアマネジメント局、単独マネジメント局と大きく2つ分けて、その中でそれぞれやっていますが、そのやり方を大きく切り替えることを今すぐできるわけでもなく、今の体制、やり方の中で、支社が人事権を持っているわけですので、それを前提に、その人事権がきちんと発揮できるようにしていきます。そして、犯罪につながらないようにけん制機能をもっと高めるようなことを入れていくということでしかないのではないかと思っています。
何年かたって制度を全部変更するというより、また犯罪につながるようなことはあってはいけませんので、支社の人事マネジメントをする部署の体制をもっと強くするということは、これから13支社について取り組んでいきます。全国で年間、異動しているエリアマネンジメント局長は約600人ぐらいです。その中にはマネジメント不足や、あるいは本人の希望で支社に挑戦したいとか、いろいろな理由で異動しているのですが、いずれにしてももっと数を増やすということをしたいと思います。
それから、異動しない局長については、5年経過したところは少なくとも1カ月以上は元の郵便局を空けて、そこに違う局長に行ってもらい、チェックをするようなことでけん制効果を入れるようにしたいと思います。最低でもやはり5年ということですぐにスタートさせたいと思います。さらに、もっと間隔を短くしたり、郵便局を空ける期間を長くできないかなどについて、日本郵便に今、検討してもらっています。
もう1つ、先ほどもご質問ありました世襲の関係ですが、これについても、けん制が甘くなる可能性もありますので、交代の間に他の親族関係のない局長を入れて対応するだとか、また、いきなり局長になるということではなくて、例えばご子息が局長になるときは、別の会社の経験をした上で局長になるとかがあると思います。今までは、直接、局長になっている例もあったようですが、そのようなことはしないで、社員としての経験をするといったようなことを行って、それでけん制効果を高めることをまずしていくことが必要ではないかと考えております。
- 【記者】
- その人事制度については、いつごろまでを予定されていますか。
- 【社長】
- 早く、できるところからスタートさせようと思っています。異動は、全て4月1日ではなく、いろいろな事情で少し時期もずれていますが、既にさまざまな事案が発生していますので、日本郵便で検討をしたうえで、やれることから早く取り組むものと思っています。今年の秋ごろからか、大きな異動の山というのはどうしても4月になりますので、そういう節目節目でやることになると思います。
- 【記者】
- 今年の秋から徐々に始めて、来年春の人事で本格的にということですか。
- 【社長】
- 第1弾は、基本的にはやはり来年の春になると思います。マネジメント不足で、よほどいろいろな問題があるのであれば、もっと早く、今年の秋からでも問題のある人たちは異動させなくてはいけないと思います。これは、早めに日本郵便で対応してくれると思いますが、いずれにしても、来年からは5年以上異動がない局長は、何年か掛かると思いますが、けん制効果をより高めるような措置をとっていきたいと思います。
- 【記者】
- 人事異動について伺います。監督官庁の総務省と郵政のほうの人事交流があると思いますが、監督官庁からの受け入れということに対してのお考えと、あと、これまで私が担当している間はこのような話はなかったのですけど、民営化以降、監督官庁からの人材の受け入れというのはあったのでしょうか。
- 【社長】
- 民営化以降も監督官庁から現役出向で来ていただき、当グループで仕事をしてもらって、また総務省に戻るということはやっています。今年も、間もなく総務省へ戻る人もいます。
監督官庁との関係では、幹部層、特に取締役には監督官庁出身者はあてないという考えが基本と考えています。当グループの経営者が代わって、また違う考え方が出てくるかもしれませんが、いずれにしても取締役にはあてないつもりです。
それから、昨今言われているようないろいろな癒着とか慣れ合い、そういうことにならないようにしなければいけませんので、常にこれには目を光らせる必要があると思います。ただし、一方で、霞が関の監督官庁は監督官庁として、この郵政行政に携わっていたということで、相当の知見を持っています。人材のリソースとしては非常に重要なところだと思っていますので、現役出向で何年かこちらに来ていただき、仕事をしてもらうことは引き続き、マイナス面が生じないように注意しながら、これからもやっていきたいと思います。
- 【記者】
- かんぽの問題とか、局長さんの不祥事がたくさんあって、今回、監査があったり、新しいデジタル化に向けて経営企画に来られたりしているのですが、どのような仕事をしていただきたいのかということを教えていただけますか。
- 【社長】
- やはりその分野に精通した人材ということで来ていただいております。これから当社の成長にうまく資するような仕事をしていただき、能力を発揮してもらいたいです。一言で言うと、監督官庁にいる時の倍ぐらい、こちらに来て働いてもらって、貢献していただきたいなという気持ちです。
- 【記者】
- デジタル郵便局の映像で、マイ郵便局というものが出てきましたけれども、見守りサービスの形は、先ほどの映像にあったような形に、近い将来、変わっていきますでしょうか。
- 【社長】
- 見守りサービスは、当グループのネットワークを使った中でやれるサービスであると思っています。
ご承知のとおり、人口の構成が、特に当グループのネットワークでカバーしているエリアのかなりの部分で相当年齢層が高くなって、2040年ぐらいまではいわゆる高齢者層がこれから実数でも増えていきます。特に80代ぐらいの方になると、見守りサービスでケアしていくような、そういうことが多くなってくると思いますので、それに対して、いろいろな業界が入ってきて競っているところではあるのですが、当グループでも以前からやっていたものより、もっと地域のニーズに合った見守りサービスを展開したいということは考えております。
したがって、先ほどのビデオは1つのイメージですが、現実にどのような形で展開するかはこれから、JPデジタルなどを中心に、介護業界の人たちなどの意見もよく伺って、タイアップしてやっていきたいと考えています。SOMPOホールディングス様からJPデジタルに来ていただく予定ですが、SOMPOホールディングス様はご承知のとおり、介護業界で日本でも有数の、SOMPOケアというところで全国展開をされているので、そういうことについての知見も大変、グループにお持ちになっておらますので、そういうノウハウとか知見も沢山得られるといいなと思っています。
- 【記者】
- ありがとうございます。あと、JP未来戦略ラボと局長の将来PT、あと中堅、若手などとの連携は何か方策として考えていらっしゃいますか。例えば、アイデアの交換みたいな。
- 【社長】
- JP未来戦略ラボは、各社に声をかけて、年齢層30代でそろえたのですが、これから公募などで、何かこういうことをやりたいというアイデアを持っている人に、参加してもらうようなことを考えています。要はそれぞれの地域の郵便局にいる人たちで、地域のニーズだとか、地域で展開できたらいいサービスだとか、そういったことを実現したいという、そういう意欲にあふれる人たちにどんどん来てもらいたいと思います。地域のニーズを発掘するという意味では、地域に行って、どんどんコミュニケーションを取って、それをJP未来戦略ラボでそれを熟成していくということは大いにこれから考えられる展開だと思います。
- 【記者】
- あと、株主総会のときに、ゆうちょ銀行で積立投信を郵便局の花形看板商品にという話も出ていて、中計では、つみたてNISAの目標値も出されていらっしゃいますけれども、グループとして信頼回復と同時に、並行した営業体制をどのような形で指揮を執っていかれる方針なのかというところでお話しいただければと思います。かんぽ生命も民営化法上で上乗せ規制が外されて、第3分野も特約でなく、単品商品の開発や販売もできる可能性も高まってきたように思えるのですが。
- 【社長】
- まず、ゆうちょ銀行ですが、郵便局ネットワークを活用し、投資をはじめてご経験されるお客さまに積立投資を提案するということは、とりわけゆうちょ銀行はそうですが、当グループ全体にとってもそういうある種堅実な、将来の長い年代にわたって、特に若い人たちが将来に向けて資産運用にしていくというのは、当グループの果たす役割にも非常に沿ったものだと思います。ワンショットでの投資信託ではなく、積立での投資信託を主に提案していくべきだと思いますので、その第一線として郵便局の役割は非常に大きいと思います。
それから、かんぽ生命も49.9%まで持ち株比率下がりましたので、商品のラインアップをこれからもっと充実させていく、そういう可能性が拡大をしたということです。あとは、現場でのニーズとアイデア次第ですが、これから新商品の開発をおこない、さまざまな声に応えていく中で、かんぽ生命の経営にも資するような形にぜひ持っていってもらいたいと思います。かんぽ生命にはもっと努力して頑張ってもらいたいし、今回、営業体制も大きく変えて、かんぽ生命の商品を売り込んでいく社員について、兼務という形ではありますが、かんぽ生命と郵便局の両方の立場を持つようになります。それによりかんぽ生命の商品の深い知識が現場に入っていくことになりますので、現場でのニーズを即かんぽ生命のほうに伝えて商品設計に生かしていくということも、従来よりはダイレクトで伝わりやすくなるはずです。経営の自由度を増すという意味で、今回持ち株比率を下げたことをかんぽ生命の自社の経営に生かしてほしいと思います。
- 【記者】
- あと最後にすみません、1点だけ。犯罪は、本当にひどいと思うのですが、けん制のために、局長の転勤がもし必ずとなってしまうと、逆に郵便局の地域を定点観測できる持ち味を失って、メリット以上にデメリットのほうが大きくなるようにも思えます。地方創生に向けて、地元企業や自治体とのマッチング役を担うことも難しくなるように思えます。
確かに犯罪は本当ひどいものですが、しかしも、そうではない局長さんもたくさんいるので、そのあたりでメッセージのような一言をいただけたらと思います。
- 【社長】
- 1つの勤務地で長くお客さまの、本当に家族構成から全体を熟知している、そういう局長がそこにいて、いろいろな仕事をしていることによって培われた信頼感、ここはきちんと大事にしていきたいと思います。
一方で、現実には何名かの局長犯罪が起きてしまい、これも抑えないとせっかくこれまで培った郵便局に対する信頼感が低下してしまいます。金融機関ですから、けん制効果をより高めるのと同時に、多くの局長たちがそこで長く仕事をしていることによって得られるメリットもきちんと評価して、郵便局ネットワークという価値を高めることをしていく必要があると思っています。
ですので、私は、しっかりとした制度をつくっていかなければなりません。支社の機能も強化することによって、地域の郵便局、特に局長が地域で気持ちよく働けるように、そういう形にしていきたいと思います。
- (※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)