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2021年3月30日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2021年3月30日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
日本郵政の増田でございます。本日は私から4件ご報告をし、その後、ご質問をお受けします。
 初めに、ガバナンスの強化を目的とした組織、人事の措置について、ご報告いたします。お手元に資料をお配りしておりますので、ご覧ください。
 1件目。グループコンダクト統括室の設置です。本年の1月29日に開催された第8回のJP改革実行委員会、その場で、ゆうちょ銀行のガバナンスに係る検証結果について、ご報告をいただきました。その報告の中で、ゆうちょ銀行に対する提言とともに、日本郵政に対しても提言がございました。
 具体的には、グループガバナンス強化の観点から、子会社からのコンダクトリスクに係る情報を迅速に把握し、グループとして一体的な対応を可能とするための体制整備をすること、というものでございました。これを受けまして、4月1日付で日本郵政の中にグループコンダクト統括室を設置することといたしました。
 この統括室では、グループガバナンスの強化の観点から、持株会社として郵政グループ各社における業務や営業に関する申告等のリスク情報について、第1次的に受け付けをして、グループとしてリスク情報を迅速に把握し、グループの関係部署間の連携を強化、一体的に対応することを目指しております。
 この体制をより実効的なものとして確実にグループをグリップして、施策を遂行するため、室長には日本郵政の専務執行役であります河本を当てることといたしました。
 まずは、グループ各社との連携体制を強化することによって、コンダクトリスクの早期検知に努めますが、将来的にはシステムを活用したリスク検知手法の構築を行い、リスク情報に対して、より広範囲、かつ迅速、確実に情報の把握が可能となるよう、検討を進めてまいります。
 こうした取り組みによりまして、迅速かつ適切なリスク対応を行うとともに、リスク管理の高度化を進めます。そして、かんぽ生命の不適正募集問題、ゆうちょ銀行の即時振り替えサービスにおける不正出金問題のような事象の根絶を図り、お客さまに安心して各種サービスをご利用いただけるよう、努めてまいります。
 2件目です。先週24日に報道発表しておりますが、日本郵政、日本郵便の一定の役員、社員を4月1日付で兼務をさせることにいたしました。この人事の趣旨、目的でございますが、グループ運営を主導する日本郵政と郵便局を運営する日本郵便を一体的に運営することによりまして、郵便局を核としたグループ運営を徹底することにあります。
 また、日本郵政と日本郵便のそれぞれの機能には、重複することが多々ありますので、一体的に運営することによって、より効率的、かつ効果的な運営が見込め、さらに組織風土を融合し、縦割り意識を払拭することにもつながると期待しています。
 3件目。JPボイスプロジェクトであります。本件は、昨年6月の定例会見でプロジェクトの立ち上げを公表いたしました。本日はその後の取り組みをご説明します。
 一昨年の12月、かんぽ生命の契約問題の特別調査委員会、いわゆる特調からの報告書で、内部通報窓口を通じて寄せられる社員の声の重要性が指摘をされました。さらに、2019年度でありますが、1年間で日本郵政グループに約680万件ものお客さまからの声が届けられております。このような事実を踏まえて、昨年6月、グループを取り巻くさまざまな声の活用の高度化を検討するJPボイスプロジェクトをグループ横断プロジェクトとして立ち上げ、検討を進めてまいりました。
 具体的には、プロジェクト内に8つのチームを設けて、郵政グループ各社がお客さまからの声の分析のために、共通で活用できるシステム基盤を構築して、声の傾向をとらえるいわゆるテキストマイニングなどのツールの導入、およびSNSなどの外部の声の把握、分析に取り組み、幾つかの分析モデルを設計いたしました。
 この仕組みによりまして、お客さまからの声を網羅的にフォローして、分析結果も分かりやすく社内や郵政グループ会社間で共有できるようになったことから、お客さまの声をより確実、迅速に事業改善に生かす基盤ができたところであります。
 来年度はさらなる作業の効率性向上と分析結果の高度化を目指して、AIを活用した分析モデルの構築に取り組むこととしております。
 これらの取り組み成果を通じて、日本郵政グループ内のお客さま本位でない業務運営の実態把握および是正を行って、継続的にお客さまに良質な商品サービスが提供できる、そのような体制を構築してまいります。
 最後ですが、グループの内部通報制度の見直し状況についてです。
 本年の1月29日に開催された第8回のJP改革実行委員会で、郵政グループの内部通報窓口、その他各種相談窓口の仕組みおよび運用状況等に係る検証結果について、ご報告をいただきました。今回の検証報告を受けて、今後、これからご説明する取り組みを通じて、社員が安心して積極的に声を寄せられる内部通報制度へと再構築をしていくことといたします。
 なお、見直しはJP改革実行委員会からの提言の範疇にとどまらず、よりよい通報窓口の構築を目指すことといたします。
 そのために、グループとしての改善方針を定め、マインド形成、信頼回復フェーズ、利便性向上フェーズ、中長期的検討フェーズの3つのフェーズを設定して、改善に取り組みます。
 第1フェーズの具体的な取り組みですが、まずは、相談者、通報者保護の徹底を図るための施策に取り組みます。既に規程の改正に取り組み、4月1日からは内部通報窓口で受け付けた通報情報の共有範囲を厳格化することを明確にするとともに、社外窓口で受け付けた通報情報を社内に提供する際には、通報者の同意をとることを徹底することといたしました。
 次に、第2フェーズの具体的な取り組みでありますが、制度の利用者である社員に寄り添ったわかりやすい制度を確保するとともに、適正な調査が行われるよう、外部の弁護士などを活用して調査を行う新たな制度の導入を検討します。
 さらに、ワンストップ相談通報プラットフォームを導入することにより、相談内容に応じた窓口の選択と、高度なセキュリティーシステムの導入によりまして、情報漏えいを防止できる仕組みの導入を検討して、内部通報制度の利便性を向上させます。
 なお、外部の人材を活用した新たな制度およびワンストップ相談通報プラットフォームについては、今年の夏ごろをめどに構築する予定であります。
 今後、社員の声からより幅広く早期にリスクの芽を検知することを通じて、真のコンプライアンス経営を実現し、お客さまによりよい商品、サービスを提供できる企業グループへの変革を目指してまいります。
 私からは以上です。
【記者】
2点質問がございます。1点目が、先週発表いただきましたかんぽ生命保険と日本郵便の不適切契約問題について、累計3,300人超の人事処分と大規模な人事異動が公表されました。こうした判断に対するご所感と理由をお聞かせください。
 続けて2点目が、それに合わせて4月から保険営業を本格的に再開されることになります。このタイミングで再開する理由と、再発防止のために旧来とは異なるような営業手法、また、今後の方針についてお聞かせください。よろしくお願いします。
【社長】
今般の人事処分数が、全体で3,300人に至ったという事実を大変重く受け止めています。原因についてはこれまでもさまざまなところからご指摘を頂いておりましたが、無理な営業目標ですとか、その目標の必達主義、それから、さまざまな不適切な行為を後で発見できる、そういう仕組みが不足していたということです。インセンティブのつけ方等、直接的な原因の他、間接的な原因も考えられ、最後は組織風土に連なると思いますが、こうした点について改善策をしっかりと講ずる必要があります。
 今後も真摯に改善策に取り組んでいきたいと思っております。
 それとつながってまいりますが、私どもの組織・人事を刷新して、この4月から新たな段階に進んでいきたいと考え、先般人事異動を公表いたしました。新しい陣容の下でマネジメント体制の確立に全力で取り組んでいきたいと、このように考えております。
 それから、営業も4月からもう一歩、前に進んだ段階に進んでまいります。お客さまへのお詫びについては、当然のことながら引き続き行います。加えて、アフターフォロー活動もしっかりと行っていくということが前提ですが、募集人調査や人事処分のめどが立ったこと、研修等によりお客さま本位で行動していくという意識の定着化も進んできており、また、重層的な募集チェック体制を構築してきたこともございますし、募集人からも一定の提案をお客さまにきちんとして、その上でしっかりとした営業をしていきたい、そんな機運も高まってまいりました。
 今申し上げましたようなことを総合的に考えて、新たな営業の体制に進んでいくと判断したところでございます。4月1日という年度変わりの時期、ここが一番タイミングとしてはよかろうということでございまして、昨年の10月5日から現場のほうに出始めたわけですので、ちょうど半年経過をしたところです。この一連の不祥事を重く受け止め、その反省に鑑みて、今後新年度からは、さらに社員一体となって、お客さまに真摯に向き合いながら営業活動を実践していきたいと、このように考えています。
【記者】
3つあります。1つ目が3,333人の社員処分、52人のパワハラ処分についてです。一般企業では考えられないほどの大規模な処分で、普通の上場企業だとこれは経営責任が問われてしかるべき水準と存じます。
 経営責任は前経営陣が辞任したということで、十分果たされたと増田社長はお考えでしょうか。
 2点目は、人事異動についてです。13支社長の全員交代に象徴される大規模な人事異動ですが、これで人心一新ということですけれども、よくよく中身を見ると、横滑りが多くて、組織の体質がこれでは変わるわけがないという声も現場から聞こえてきます。支社によっては本部長6人のうち5人が前任者ということで、人心一新になっていない状況です。なかなか申し上げにくいのですけれども、この人心一新というのは絵に描いた餅ではないかという声も現場からは聞こえてきます。それについてお考えをお聞かせください。
 3点目はDXの取り組みなのですけれども、楽天との提携などで非常に前を向いたような感じもするのですが、日本郵便の役職員はパソコン1人1台というのが実現できていないと聞きます。社内アドレスがない社員も少なくないと聞きます。パソコンは4人で1台を共有、メールは印刷して配布ということです。しかもあまり発信していないメールアドレスは、取り上げられるということも聞いています。メールを印刷するなどカーボンニュートラルの実現ということからはほど遠い状況です。
 社外に巨額を投じる一方、渉外社員の携帯端末の整備に衣川社長が会見で難色を示しているなどを見ても、社内のDX強化というのは後回しになっているように見えるのですが、いかがでしょうか。
【社長】
まず1点目、経営責任の関係ですが、前経営陣が辞任をしたということと、併せまして、今回の不祥事がおおむね過去5年間に行われた行為ということで、その間に管理者あるいは本社・支社の責任者であった者、これは現在の衣川社長、それから千田社長なども含まれておりますが、そうした人も先に公表したとおり、処分をしております。前経営陣の辞任に加え、当時のさまざまな役職の役員・社員の処分を行ったということで、関係者の責任については追及したと考えています。
 それから、人事の関係ですが、私から見ると従来よりも少し規模は大きくなっていると思います。1年で9割異動ということでなく、2年かけての9割の異動ということでありますので、従来より、全体で見ると少し規模は大きくなっているのではないかと思います。
 ただ、人事のことですので、各論で細部を見れば部署毎で違っている部分もあるかと思いますが、全体的に見れば、従来より少し規模が大きくなって、さらに言うと体制を刷新するという方向で動かしていると、こういうことは社員にも伝わるのではないかというふうに思います。あとは、4月からの仕事をまたもう一度しっかりと新しい体制でやっていただくということに尽きるかと思います。
 それから、DXの取り組みですが、DXを進めていく中で、当然業務との関係で必要な端末などは配布をして、各施策に取り組んでいかなければいけません。次期中期経営計画の中で、DXについての取り組みも数字を含めて明らかにしていきますが、優先度を決め、さまざまな機器を更新したり、追加で配備を行ってまいります。さまざまなツールの更新の時期など、全体を考えてやらないと、手戻りが生じてはいけませんので、そうしたことも含めて今、細部を詰めているという段階です。
【記者】
先般発表されました楽天さんへの出資の資本業務提携の件なのですけれども、出資者の一角であるテンセントをめぐって、3月29日には予定どおりに払い込みがなかったようです。31日という報道も出ていますが、その背景にですね、外為法の関係で事前の届け出がなかったことで、その手続きの問題が生じているという話が出ております。巨額の出資をして、テンセントさんもかなりの出資をするという中で、増田社長として事実関係をどの程度把握していて、そのリスクをどう判断して今回出資を決めたのかと、そこら辺の事情をお伺いできればと思います。
【社長】
イメージ・フレーム・インベストメント様、これはテンセント系ですが、そこが出資するということについては、私どもは2月の中旬に聞いております。テンセント様と楽天様がどのような関係を構築するかというのは双方の関係ですが、私どもが業務を進めていく上で、テンセント様とは直接何かをするということはありませんし、それから、私どもの楽天様と共同でやる仕組みについて、それがテンセント様のほうに情報が流出するということはないということも確認しております。いずれにしても、まだ業務は始まっておりませんので、これから楽天様とどうしていくかということを、今検討しております。楽天市場等、実際に相当さまざまなデータを既にお持ちになっているわけですので、楽天様自身がいろいろなことで防御措置は考えておられると思いますけれども、私ども自身としても、今後、楽天様と業務提携をしていく上では、きちんとルールに従って、楽天グループ様でデータを管理するよう、その都度、求めていきたいと考えております。
【記者】
追加で確認ですが、最終的にテンセントへの出資がどうあれ、日本郵政としては資本業務提携を発表したとおりに進めていくというお考えなのかということと、あと、データの扱いについてですが、これは今のお話ですと、楽天を介して、あるいは、共同でいろいろと会社とか組織とか立ち上げていく中で、日本郵政のデータが、例えば、テンセント系のところに移動するようなことはないのか、そこの点はいかがでしょうか。
【社長】
まず、出資の関係ですが、テンセント系のイメージ・フレーム・インベストメント様と私どもの出資というのは全く無関係です。私どもは私どもの観点で楽天様に出資をいたします。これはもう既に昨日完了しております。
 それから、情報管理についてはしっかりとやっていく必要がありまして、楽天様と今後、業務提携をいろいろ進めていく上で、当社のデータがテンセント系のところに流れることのないよう、個人情報等々についてはルールがございますので、きちんとそのルールに従って、ルールが守られるような形でにしていきたいと考えます。
【記者】
内部通報制度に関連して、昨年1月に発覚した福岡の事件ですが、コンプライアンス担当役員から情報を得た有力な郵便局長が絶対につぶすというような表現で、通報者を脅して、その局長の取り巻きの局長たちも通報者は名乗り出させようということがありました。通報者が絶対に言わないでと言っていたのに、全国郵便局長会元会長の会社幹部が直接通報者に連絡するということがありました。この事件へのコメントを改めていただきたいと思いますが、報じられて1年以上たっている中、増田さんも、あるいは、衣川さんもこの事件について、社内に対して説明していなかったことが、内部通報制度を信用できないと思わせる一番の原因じゃないかと思いますが、その点に対するコメントと、あと、今回の見直しによって、こういうことが起きないようにならないのかどうか、そこも併せてご解説いただけないでしょうか。
【社長】
まず、福岡の事案でございますが、これは今、訴訟になっていると聞いております。それとは別に、私ども、事実関係をこれまで確認しておりまして、それに基づいて、局長に新たな非違が認められましたので、近日中に厳正に処分をいたします。
 それから、通報者に対して日本郵便の幹部が、どうしたということをいろいろと取りざたされているということもあります。通報を受けて、現地で調査に入るときに現地の第三者である役員が通報者に連絡したりすることは、確かにあることはあります。しかし、そういったことが、調査のためと言いつつ、内部通報制度に本当にそれが合うのかどうかということをもう一度考える必要があります。確かに調査は進むかもしれませんが、内部通報した側の立場から見ると、内部通報制度そのものの信頼に響いてくる気もします。内部通報制度の趣旨を逸脱する可能性もありますので、その点は今後よく検証いたします。もしそういった内部通報制度の趣旨を逸脱していたという事実があれば、処分の可否について、さらに検討していきたいと思います。
【記者】
今おっしゃった処分数というのはお一方に対してなんですか。可能な範囲で構いません。
【社長】
個別のことなので、申し上げられませんが、近日中に処分を実施するということで、今、手続きを取っているところであります。
【記者】
調査の過程の問題もあったと思いますが、専務が直接通報者に電話するというのは、調査とほとんどあまり関係なく、電話していたような節もありますが、そこはいかがでしょうか。
【社長】
そこは事実関係を検証しています。
【記者】
今回の見直し策によって、福岡のようなことが起きないというふうに言えるのでしょうか。
【社長】
起きないようにしたいと思います。福岡事案のやりとりも再検証して、新しい事実をきちんと突き止められればと思っています。内部通報制度が信頼感のあるものにしていかなければいけないので、順番に正してまいります。
 信頼のある内部通報制度とし、いろいろな不正事案を見聞きしたときに、そこに通報すると不正事案が未然に防止され、事後的にも正されるということを目指しています。先ほど申し上げました3つのフェーズを順次実施していかないと、なかなかそのレベルに達しないと思います。それから、外部の弁護士などもどのように組み込んでいくかなどの論点もあります。この4月に規程の改定等をやって、通報の範囲もかなり絞っていますが、外部の弁護士が登場する場面については、少しまだ時間がかかります。夏までにはこのような論点も片づけて、より信頼感のある内部通報制度にしていきたいと思います。
【記者】
最後に、福岡の事件で、通報者捜しをした人たちがいけないのは当然ですが、日本郵便本社の側に何か反省点や課題というのは、現時点であったとお考えですか。
【社長】
内部通報制度を担当している側も日本郵便の社員であり、全て日本郵便の中で起きている案件ですから、組織的にこうした問題が起こらないようにしていく必要があります。個人でどうのこうのというよりは組織的に原因を解明して、それで正していく必要があるのではないかと思います。どの部門にどのような反省が必要なのかということについては、詳細はまだ今、解明している最中です。
【記者】
3点伺わせていただきます。今回の人事で、日本郵政と日本郵便の兼務されている方も多いと思いますけれども、支社長など人事刷新される中で、増田社長がリーダーの方に求めたいものをお聞かせいただきたいと思います。
 2点目が、楽天との提携の中で、物販事業も含まれておりますが、その延長線上で郵便局での日用品などの販売にもつなげていきたいという思いはありますでしょうか。
 3点目です。金融窓口が郵便局の営業の主体的な役割を持つことになると、先般、日本郵便の衣川社長がおっしゃられていたのですが、これまで郵便局長や社員の方々が、地域に長く根差して、地域に貢献されてきたことを生かしていくことや、グループ一体化をさらに強めていくことについて、増田社長のご見解を伺えればと思います。
【社長】
3点ございましたが、初めに、リーダーに求めたいものについてお答えします。特に支社長などに求めたいものですが、フロントラインからは、支社、まして本社は非常に距離が遠く見えており、フロントラインと支社ですら非常に距離があるということを言われていますので、フロントラインと支社との距離をできるだけ縮めるような行動をしてほしいということです。先日、新任の支社長への研修の場がありましたので、そのようなことを言いました。それから、日本郵便の支社ですが、ゆうちょ銀行、かんぽ生命と一体として郵便局を運営していくということになります。今、申し上げた支社とフロントの距離というのは、いわゆる縦のような関係ですが、ゆうちょ銀行、かんぽ生命も含めた日本郵便との一体的な話は横の関係になりますので、横の関係ももっと連携をするようにしてほしいと、そして、郵政グループ外の地元の自治体、あるいは企業とも今まで以上に連携をとってほしいということを伝えました。そういうことを念頭に、支社単位で仕事を思う存分やってほしいと思います。
 2点目の楽天様との提携による郵便局での日用品等の販売ですけれども、eコマースの関係で、楽天市場などと連携するというのは大変期待もしているところであります。まだ公表できる段階には至っておりませんが、将来的にさまざまな地域の物販などについて、楽天様の仕組みをうまく取り入れるということは当然、今後考えられることであります。
 最後ですが、郵便局の活用に関する話かと思います。郵便局は、置かれているところによってさまざまで、機能も違うと思います。中規模の都市、あるいは中小市町村のようなところでは、郵便局が一つの大きな拠点になるようなことで、周辺の自治体も郵便局に期待する部分が多いと思います。これまで、様々な地方公共団体業務の受託については、料金面などが整理されていなかったので、改めて料金も整理して、私どもにとって単なるボランティアではなく、経済的なメリットも出るような形でさまざまな機能を果たせるようにしていきたいと思います。
 それから、都市部の郵便局はまた少し違って、周囲にいろんな金融機関があります。郵便・物流機能というのは少し別とは思いますが、金融の機能をどう維持していくのか、これから都市の再開発等も含めて、よく考えていく必要があると思います。場合によっては、郵便局を、不動産としても大きく開発して、その中に郵便局機能を入れて、それで他の金融機関等々と連携をすることが考えられます。
 どの地銀も今、ビジネスモデルを構築するのが難しい状況となっていますが、私はもっと個別の地銀といろいろな話し合いがあってしかるべきじゃないかと考えております。まだ具体的に申し上げるところまで至っておりませんが、単に金融商品を販売するだけではなく、もっと金融商品について工夫があってもいいと思いますし、それから、もう少し地元の企業に対して、さまざまな人材を紹介する拠点になるとか、機能の果たし方をもっと広げるいろいろなアイデアをそれぞれの地域の郵便局でも出していってもらいたいと思っております。
【記者】
2点お願いします。郵便物流事業で荷物の引き受けが収益の寄与度が高いので、今後課題になっていくと思いますが、それに向けて、郵便の配達をどう効率化していくか、増田社長のお考えを教えていただきたいのと、あわせて、先般の楽天との提携で、例えば、今取り組んでいらっしゃるルートの自動設定みたいな部分で、楽天がデジタルのノウハウを用いて郵便の配達に何か生かしていくというようなお考えはあるでしょうか。
 2点目ですが、先ほどほかの方が質問されていたテンセントの絡みですが、ゆうちょのキャッシュレス問題、ある意味で提携先との連携が1つ課題になって、ああいう事象が発生したと思いますが、今回の提携先である楽天と、その先にいるテンセントの関係で、データの信頼性はどう担保されていくのか、もう少し、今おっしゃれる範囲で教えてください。
【社長】
1点目ですけれども、郵便・物流事業の効率化には、AIなどをもっと取り入れていきたいと考えています。今、AIにより最適な配達ルートを探索する仕組みの開発が軌道に乗ってきています。それをより高度化することで極力コストを下げていきたいと考えております。ユニバーサルサービス、これは私どもが最後までリアルの現場でやっていかなければいけないことなので、そこに最新の技術をどんどん取り入れていきたいと思います。
 その関係で、日本郵便としても公道で配送ロボットを実験していますが、楽天様も公道でのロボットの実験等も行っていますので、同じようなことを実用化する上で、ここは一緒になってやっていける余地があるのではないかと思います。それぞれの技術はおそらく違っているとは思いますが、協働してやることは可能ではないかと思います。
 それから、2点目のセンテント様の投資の関係ですけれども、まず、テンセント様が楽天様に出資をするということですが、楽天様で大変多くのデータを持っておられますので、楽天様も当然、データの取り扱いは十分注意されると思います。私どもはこれから、テンセント様とは別に、楽天様とECや物流の場面でさまざまなサービスをこれから提供していくということが考えられますので、私どもと楽天様の間だけで一番双方にとってメリットのある業務提携、仕組みを構築していきたいと思います。
 取り扱う様々なデータが外側に出ないようにしていくことは、楽天様自身が今の段階で既に楽天様の持っているデータをどうするかということで、楽天様において、お考えになっていると思いますが、私どもは私どもで、さらに今後楽天様と話を進めていく上で、何もテンセント様だけでなく、他社様も同様ですけれども、情報が外に出ていかないような、きちんとした仕組みというのを楽天様とともに構築していきたいと思います。
【記者】
楽天との提携のところで2点質問がございます。
 今回、1,500億円を投じて、8%の出資比率で出資されたということですが、1,500億円あれば、先ほどの社内ITの整備というのもある程度完了できるはずだったのですが、それをせずに、楽天への出資を選ばれました。なおかつ8%ですと、関係会社ではないので、影響力としてもかなり限られてしまいます。8%を1,500億円も投じて取得する意味、日本郵政としてどういったものがあったのかそこの点についてご説明いただけますでしょうか。
【社長】
まず、私どもの趣旨ですが、単なる物流だけの業務提携ではなく、今後、他の分野、金融の中でも銀行、保険含めて、さらに協業を進めていく、DXを取り込んで進めていくという上で必要なこういった投資だと理解をしています。その上でリスクやリターンを踏まえ、1,500億円という数字にいたしました。私どもとしてはこれから楽天様とどういう協業をしていくのかということをまとまり次第、公表できる段階で順次発表していきますので、そういった中で皆さんに明らかにしていきたいと考えております。
 いずれにしても、こういった形で楽天様と私どもが協業するということは、私どももDX化をこれまでも少しずつ進めてきたとはいえ、まだだいぶ遅れている部分がありますので、リアルで非常に大きなネットワークを持つ私どもと、ネット世界で大きな楽天経済圏を構築してきた楽天様が組むというのは、大変大きなことだと思います。その成果については今後順次明らかにしていきたいと思います。
【記者】
楽天の飯田上級執行役員が先日、日本郵政に異動してきたということですが、これは日本郵政から要請して飯田氏がよいと指名された結果なのでしょうか、それとも楽天側から選択された結果送り込まれてきたという形なのでしょうか。
【社長】
来られるのは4月1日からです。それから、DXについて詳しい人材をぜひ欲しいというのは私どもからのリクエストです。それにふさわしい人材が誰かというのは私どもは分かりませんので、楽天様側で人選していただき、その上で私も事前に会いましたけれども、飯田さんに来ていただくということになりました。
【記者】
役員では飯田氏が今回異動する、転籍するという形ですが、それ以外の人材の受け入れはあるのでしょうか。
【社長】
今のところは考えていません。
【記者】
楽天からは飯田氏のみという形で。
【社長】
そのとおりです。
【記者】
通報制度の絡みで、週内厳正処分とおっしゃっていましたけれども、可能な範囲で構わないのですが、通報された側、今回で言うと局長のどこかを指すのか、それとも郵便の本社も含まれるのか、その対象というのは、非違行為の対象はどういうところにあるのでしょうか。
【社長】
非違行為の対象は複数の局長です。
【記者】
かんぽの関連で、先日公表された処分では、管理職以上の方々の処分というのは1,000人規模でありましたけれども、その中で不正を知っていた、把握していたということを認めて処分された人はたったの2人ということでした。残りの方はまさか不正があったとはという前提で、処分されていまして、増田さんはこれまで公平な処分とおっしゃっていましたけれども、これが実現できているのかどうか、コメントをお願いします。
【社長】
管理者処分は、確かに2人ということですけど、懲戒処分をする場合日時が特定されないとできないのです。かなり具体的な事実がないと懲戒処分までは踏み切れず、管理者に対する処分は、いわゆる監督責任的な形の処分です。これはいろいろな不祥事等があったときに、どうしても実行行為者と、その上にいた者をどうするのかということは、必ずいつも問題になります。手を下した実行行為者の処分の範囲から、上の管理者だけをさらに重くするというのはなかなか難しいのですが、直接パワハラとか非違行為があればもちろん単独で、重ければ懲戒解雇もできるのですが、懲戒処分だと一定の限界があるのは事実です。これは日時が特定されて、何か問題になり裁判等になったときには、申告した者が証言するとか、いろいろきちんとしたことがないと懲戒処分が難しいのです。管理者についても、可能な限りの人数を調べたと日本郵便から聞いておりますが、これまでにない例の不祥事ですから、中には悪質なものも多くありますので、それを前提に処分としてやれるものは今の中でやり尽くしたということになったのではないかと私は思っています。
 ただし、まだ深掘調査がまだ残っているのと、これからも、実はこういうことがあったと、特にインストラクターからいついつこういうことがあったということがもし出てくれば、それは当然証拠になりますので、処分して然るべきだろうと思います。
【記者】
例えば1つの典型例として、全然別の業界から転職してきて、初めての郵便局長、初めて就いた郵便局で、部長ですとか、今おっしゃったようにインストラクターからこうやって売ればいいんだよと、不正手法を教わって、ああ、なるほどとやってがんがん売っていたら、数年後に処分され、昨年のその調査で今おっしゃったように、日時はと聞かれて答えられない人というのはたくさんいたと思います。やっぱりそこが実態と、処分の結果が合っていないのじゃないかと思いますし、社内ももちろん不満がありますけれど、お客さんから見ても、やらせたほうというのがあまり十分処分されていないのじゃないかと映ると思うのですけれども、そこは増田さん、どのようにお考えでしょうか。
【社長】
何々インストラクターからこういうことをされたと、名前がきちんとでてきていれば、両当事者に話を聞くということになるかもしれませんが、懲戒処分の場合、一般論としては、やはり日時は特定できないと多分処分は難しいのではないかと思います。私も最近はそういう処分に直接立ち会う立場にないのですが、過去、その当時の仕事でいくつか関与したことはあります。懲戒処分をするとなれば少なくとも日時を特定して、それから、どういう言動があったかということを当然双方に確認しなければいけませんし、調書を取らなければいけませんが、かなり厳密にやらないと多分難しいのではないかと思います。一般論で言えば、他の会社から来て、今おっしゃったように郵便局で募集人になって、インストラクターからいろいろ示唆があったということであっても、やはりそれを取り上げて懲戒処分に持っていくとなると、ちょっと難しい部分もあるのかと思います。ただし、件数が非常に多いとか、多数契約とか、お客さまにいろいろな話を聞くとか、そのときに本人だけじゃなく違う人がついてきたとか、いろいろな状況があると思いますので、徹底的に調べることはやらないといけないと思うのですが、その上で、今回の処分者数が相当多かったということがあっても、今回で調査を完全に打ち止めで全ておしまいということではありません。どうしてもということがあれば、多分、内部から申告が出てくるのではないかと思うので、そのような場合は真摯に対応していく必要があると思います。
【記者】
今日の人事で、日本郵政のこのグループコンダクト統括室長の人事が出ておりますけれども、この専務の方、たしかJP改革実行委員会の担当もされているかと思うのですけれども、以前は日本郵便でたしか保険の営業の推進をされていたかと思います。社内ではやっぱり過大な営業目標を課した方であり、社内では不正の実態を多少知り得たのではないかというふうに疑って見る声もそれなりに聞くのですけれども、こういう方にあえてこういう役割を担わせるというのは、僕はありかなと思うのですけれども、一方で、この専務の方がかんぽの不正に対してどういう思いを持ってやられているのか、お聞きになっている範囲で、あるいは社内で説明されているのかどうか、そのあたりちょっと教えていただいてもいいでしょうか。
【社長】
私も、本人はどう思っているかとか、社内でどのように説明しているかということはわかりません。彼は、今、コンプライアンスを担当しておりますが、その職務に精通しており、きちんと対応しているということもあり、今回のコンダクトリスクに関し、グループ全体で取り組むということについて、一番適任ということで任命をしています。
【記者】
通常国会で衛星放送会社やNTTによる接待が取りざたされていますけれども、郵政グループによる総務省幹部への接待の状況を把握していれば、どんなものがあるのか、それから、社内ルール、例えば、NTTはまた見直しをされたりしていますけれども、見直しの必要性とかについて、ちょっとコメントをお願いします。
【社長】
個別に一つずつ申し上げる必要はないと思うのですが、社内ルールが整備されている上で会食等をやるかやらないかとかいうことが一番問題になるのでしょうが、会食をやる場合には、社内のルールに則って行う必要があると思います。総務省側も大臣はじめ、政務三役の規範があり、特別職ではない国家公務員には、ご承知のとおり、割り勘のルールだとかがあるわけで、やる場合には、きちんとルールに則って行う必要があると思います。郵政グループにも社内のルールはありますが、私は、そもそもやるかどうかということ自体が問題なんじゃないかと思います。
 私は、ルールは今の社内ルールでいいと思います。NTT様の対応が問題になっておりますが、他社様のことですので、私のほうから特に申し上げるものは何もありません。当グループとしては、総務省などと会食などを行うときには、業務として疑念を持たれないように、きちんとしたクリアな形で常にいなければいけないと思っております。
 昨年、私は就任しましたが、もちろん私も総務省の大臣以下、どなたとも会食というのはしておりませんし、昨年からの状況で言えば、当社は何もしておりません。今後、ルールに則れば、会食などをすることはあるかもしれませんが、私は、ルールは今のままでいいと思っていますが、そもそもやる必要があるのかどうかというあたりから問われるのと、結果として行政が疑念を持たれないようにしていくためには、いろいろな意味で透明性を高くしておく必要があると思います。
【記者】
人事異動のところで1点お伺いしたいのですけれども、今回、かんぽ生命と日本郵便では人心の一新を機として、体制刷新のため、大幅な人事異動があったということで、コンサルティング部を中心に異動があったわけですけれども、ゆうちょ銀行ではそういったことはされないのでしょうか。ゆうちょ銀行でも以前、投資信託の販売で、不適切な販売あったかと思うのですけれども、それに関して、同様の人事異動というのを、体制刷新というのはされていないようなので、今回、それについてなかったものですから、なぜないのでしょうか。
【社長】
ゆうちょ銀行もかんぽ生命も独立の上場会社であり、人事権はそれぞれの社長にあるので、それぞれのお考えで人事をやられていると思います。先ほどから申し上げておりますが、これは衣川社長の判断で、支社長をはじめ、いろいろな現場を抱えているわけですが、郵政と郵便は今回の人事異動で、一体的な運用を考えていますので、郵政と郵便はこれからさまざまな機能を一体化させるのと同時に、郵便局、ここが一番主力ですから、ここの人事については衣川社長が相当、私は刷新されたと思っています。
 あと、支社長でゆうちょ銀行出身、かんぽ生命出身の人が入ってきて、これもかなり目新しいことかと思いますが、それぞれの会社のことについては、それぞれの会社の判断で人事異動はされていると思います。
【記者】
日本郵便の衣川社長の、人心一新したという今回の人事異動、ならびに、ゆうちょ銀行ではそれぞれの考えがあって人事異動されているということですけど、それぞれの評価について教えていただけますか。
【社長】
人事異動については、適材適所、本人の能力、それから異動先と現在の仕事をきちんと分析して、本人の特性とうまく合っているかどうかを考えた上で、それぞれ判断されたのだろうと思います。私は人事異動については任せておりますので、それぞれの社長の判断でやっていけばよろしいのではないかと思います。
【記者】
先ほど支社長のほうでもゆうちょからの人材が入ったり、ちょっとこれまでにないような異動もあったというふうなお話だったのですが、ゆうちょ、かんぽの人材も支社で受け入れてということになりますと、以前おっしゃっていた総合コンサルティングサービスとしての金融というのは、まだ路線としては増田社長は維持している、むしろ積極的に展開していきたい考えなのでしょうか。
【社長】
ゆうちょ銀行、かんぽ生命及び日本郵便については、郵政グループの横の連携を進めていきたいと思っております。社内の人事交流はより活発化していきたいというその流れの中で、今回の支社長人事も行われたと理解しています。先ほど申し上げたように、縦の交流、フロントラインと支社との交流や支社と本社の交流に加えと横の交流をより強めていきたいと思っています。今後も支社長だけではなくて、いろいろな場面で横の交流を進めていくということはやったほうがいいのではないかと、私は思っています。
 それぞれ人事担当の考えもあると思いますが、それぞれの社長がどう考えるかが大前提ですが、横の交流も大いに行ったほうが良いと思います。
【記者】
総合コンサルティングサービスという路線は、ではもう取りやめたという形になるのでしょうか。そういうわけではないのでしょうか。
【社長】
総合コンサルティングサービスということを進めていく上で、お客さまのニーズに応えていくためには、それぞれの銀行や生命保険だけでは、なかなかニーズに応えきれません。これからお互いに人事交流を進めていきますし、今の流れから言うと、総合コンサルティングサービスということで、それぞれが知見を高めていくというのは非常に重要だと思います。
【記者】
話題変わりまして、日本郵便が昨日、かもめ~るの廃止を発表されました。ネット上とかでも、結構さまざまな反応があるのですが、増田社長はこれに関して、今のタイミングで、今年からなくなるということに関する所感などありましたらお聞かせください。
【社長】
感覚的に、かもめ~るで挨拶状が届くと、夏が来たのだなという感じがあります。特に役所の知り合いが多いのですが、かもめ~るで送ってくる人がいて、季節を少し感じていたのですが、利用枚数が相当減っていることもあるので、これは時代の流れかと思います。
 地域を絞って配達するサービスは引き続きやりますし、季節性のあるものは、これからは年賀郵便が最たるものということになるかと思うのですが、世の中のニーズを見て、いろいろサービスを考えていくことを、これからもきちんとやっていく必要があると思います。要は、もうニーズが薄れたものについては、どこかで店じまいする、閉じることを考えなくてはいけませんし、一方で、世の中の声などに、よりアンテナを高くして対応していく必要があるかと思います。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)