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2020年10月30日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2020年10月30日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
日本郵政の増田でございます。
 本日は、私から3件ご報告させていただきます。
 まず、10月5日から開始した信頼回復に向けた業務運営について、足許の状況を報告いたします。お客さまへのお詫び活動と併せて、「お客さまの信頼回復に向けた約束」を確実に実践していくことをお知らせする活動を開始したところです。
 お客さまからは、「信頼していただけに、裏切られた、落胆が大きい」との厳しいお言葉を数多くいただきました。その一方で、「私たちのために誠実に邁進してもらいたい」、「変革に向けて進んでいってほしい」といったお言葉も頂いており、この活動を通じてしっかりと一人一人のお客さまと向き合い、信頼回復に取り組んでまいります。
 この活動は、緒に就いたばかりであり、引き続き、お詫びが業務運営の中心になると考えておりますが、私も含め本社の役員が郵便局を訪問するなどして、継続してフォローをしていきたいと考えております。
 2件目、ゆうちょ銀行における一連の不正利用等に関する各種対応状況についてご説明いたします。お手元の資料の表紙をおめくりいただいて、1ページ目をご覧ください。まず、項番1、お客さま対応の状況です。お客さまへの周知については、即時振替サービス利用の決済事業者を登録しておられるお客さま約550万人への、お心当たりのないお取引のご確認をお願いする旨のお知らせの発送が、本日分のお手紙の発送をもちまして、完了いたします(※)。なお、mijicaの全会員さま約20万人への、お心当たりのないお取引のご確認をお願いする旨のお知らせについては、10月3日までに完了しています。
 次に、被害にあわれたお客さまへの補償の状況です。即時振替サービスで9月22日までにお申出のあったお客さまについては、10月2日までに補償対象となったお客さまへの補償手続きを完了しています。また、mijicaで9月28日までに被害にあわれたお客さまについては、同日までに補償手続きを完了しております。
 それ以降、新たにお申出のあったお客さまに関しては、順次、調査を進めております。即時振替サービスにおいて、昨日までに新たなお申出は488件ですが、そのうち387件の調査が終了しております。補償対象となったのは11件であり、うち10件に係るお客さまへの補償手続きが完了しています。調査未了の101件につきましては、早急に調査を進めてまいります。
 なお、お客さまへの周知と補償の状況の詳細については、資料の別紙として添付しておりますので、ご参照いただければと思います。
 続いて、項番2、タスクフォースによるセキュリティー総点検についてご説明いたします。ゆうちょ銀行では、社長が指揮をとるタスクフォースを9月25日に設置し、即時振替サービス、mijica、ゆうちょPay、JP BANKカードについて、セキュリティーの総点検を進めてまいりました。この総点検では、セキュリティー上、本来講じておくべきであった対策と現状とのギャップを分析して課題の抽出を行うとともに、今後講じるべき対応策の取りまとめを実施しております。総点検の結果については、現在、セキュリティー強化策の決定とともに第三者による評価を進めているところであり、この第三者評価が終わり次第、速やかにゆうちょ銀行から発表します。時期としては、11月上旬目途ということで進めております。
 最後に、年賀販売の開始についてご紹介させていただきます。昨日10月29日から年賀はがきの販売が始まりました。今年は、コロナ禍で会いたくても会えないという状況の中、「つながる」ことの大切さを再認識することができたのではないかと思います。年賀状はSNSなどのデジタルコミュニケーションとは異なり、息の長さを感じられるものであることから、今回は「このつながりは、一生もの。」をメインコンセプトとさせていただきました。ぜひ、皆さまにおかれましても、何かの折に報じていただければと思います。
 また、申し込み開始前から、多くの場面で報道して頂いた「鬼滅の刃 年賀はがき」については、本日8時時点で12万セット、「嵐年賀状」についても7万8千セットと大変多くのお申し込みをいただいております。改めてお申し込みいただきました皆さまに感謝いたします。日本郵便においても、サーバーを1.5倍に増強した上で販売を開始しましたが、現在、朝、昼休み、夕方の時間帯において、サイトに繋がりにくくなっており、お客さまにはご迷惑をおかけしております。どちらも受注販売ですので、お申込みいただいたお客さまには必ずお届けいたします。時間をおいてご利用いただければと思います。
 なお、「鬼滅の刃 年賀はがき」については、12月4日からのお届けとしてご案内しておりますが、できる限り前倒しできるよう、体制を強化していきたいと考えております。
 私からは、以上でございます。

(※)11月4日に、一部の発送対象のお客さまへのお知らせを発送していないことが判明したため、ゆうちょ銀行から修正の報道発表を実施。
【記者】
先ほどご説明のあったゆうちょ銀行の調査ですが、この問題は、ゆうちょ銀行1社の問題ではなく、他社を含めたサービス全体の問題だと認識しています。再発防止という観点では、他社を含めたサービス全体の視点が不可欠だと思いますが、他社についても調査対象になっているのか、あるいは、他社とも合同で調査を行っている部分があるのか、どのような形でこの辺を担保していくのか、お考えがあれば教えてください。
【社長】
今回のゆうちょ銀行の問題については、ご質問にございましたとおり、ゆうちょ銀行の中だけで点検をおこない、対策を講ずるということでは不十分です。他の決済事業者と協働して提供しているサービスでありますので、現在、実施しているセキュリティー総点検も、他の決済事業者と連携して、一つ一つ総点検を実施しているところです。今は、主にゆうちょ銀行で今後講ずるべき対応策を考えているところですが、当然、連携している他の事業者と一緒になり、セキュリティーの向上策を構築しているところです。
 なお、このようなセキュリティーの強化策は、両社で連携して対策を講じた後、さらに第三者による評価を受けて、完成品として、内容を公表したいと考えております。11月上旬には、その結果を、ゆうちょ銀行から発表したいと思います。
【記者】
2点お願いいたします。
 1点目は、前の質問と関連しますが、11月上旬に、ゆうちょ銀行から総点検の発表があるということですが、総務省からの報告を求められている期限が、11月10日だったと思います。こちらは日本郵政に対してだったと思いますが、これは同時期に同じようなものを提出することになるのでしょうか。
 2点目は、今日、総務省から、郵便局のDXに関する検討会を立ち上げるとの発表がありました。先般、JP改革実行委員会でも中計に向けた検討を進められるとご案内がありましたが、今後どのように協調していくのか、現段階での見通しを教えていただければと思います。
【社長】
第1点目ですが、総務省から求められている報告は、グループガバナンスや、セキュリティーの向上策など広い観点からご報告いたします。後日、内容を発表させていただきます。
 それから、ゆうちょ銀行の社長直下のタスクフォースで検討しているものは、主にセキュリティーを強化する観点で調査をして、第三者の評価を受けている段階でありますので、総務省への報告とは別に、公表することになると思います。ただし、非常に近接した時期に公表することになると思います。
 2点目でありますが、今日、総務大臣の会見でも触れておられたと思いますが、DXの研究会は、郵政事業にとっても大変意義のある有益なものだと思っております。このDX研究会は、有力な有識者の方々がご参加されますので、十分協力して、私どもも有益なご示唆を賜りたいと思っております。
 また、JP改革実行委員会の山内座長の下で、分科会的に研究者の皆さま方が集まり、成長戦略について、いろいろご議論いただいております。先般の議論の中でも、われわれグループの目指す姿として、共創プラットフォームというお話もございました。両者がオーバーラップする部分もあると思います。さらにJP改革実行委員会では、私どもが今、策定途上である中期経営計画をにらみ、より具体的に経営に資する提案を年明けにいただけると思っております。総務省のほうは大臣主導で、DXを中心にさまざまな検討を進めていくと聞いておりますが、いずれも広い視点でとらえると、日本郵政グループ全体にとって、これからの成長に向けての提言が得られると思います。それぞれでご検討いただいた点を、どう融合させて、私どもの次期中期経営計画や、その先の経営に反映させていくか、経営陣が提言の内容を見ながら、よく考えていくべきものと思っております。
【記者】
今日お配りいただいた資料の補償状況についてお尋ねいたします。補償対象外となったお客さまの内訳で、ご納得、未通電、再調査等とありますが、どのような方が補償対象外となったのでしょうか。具体的な事例があれば教えてください。
 例えば、子供が親のカードを勝手に使っていたのが分かったため補償対象外としたなどの具体的な事例について教えてください。
【社長】
今、お話しがあった事例に加えて、思い違いの事例が多くあります。
【事務方】
今、増田が申し上げましたように、どちらかというと、身内の方が使われていたというケースが多いようです。もう一つは、いろいろな通帳の記帳の中に、多くの支払い先があり、紛れていたため、不審に思われた方がお問合せになられたというケースもございまして、かなりの部分が、そのような思い違いをされていたケースだと思います。
【記者】
この一連の不正出金の問題を受けて、ゆうちょ銀行が止めていらっしゃる電子決済サービスは幾つあり、再開の見通しはどのようになっていますか。
【事務方】
即時振替の事業者が12社ございまして、そのうちの10社でサービスを止めさせていただいている状況です。
 mijicaについては、「おくってmijica」という送金機能、それからウェブサイトでの申し込み、照会等についてはご利用を停止させていただいている状況です。
【社長】
停止をしている各種サービスの再開については、先ほど申し上げましたタスクフォースの中で、セキュリティー強化策を策定し、第三者の確認を得た上で、さらに経営陣として、お客さまへの補償が完全に終了しているかどうか等も加味して、全体を見ながら判断をいたします。今は、タスクフォースの検討が終わっておりません。サービスの再開が決まりましたら、また公表したいと思います。
【記者】
サービスが停止していると、使えないわけですから、お客さまは、なるべく安全策を高めた上で、早く再開してほしいと思っていらっしゃると思うのですが、例えば、年内を目標にされているとか、年度内に一部でも整ったものから再開させたいという思いはありますか。
【社長】
まだ、サービス再開の時期を申し上げる段階にはないと、ゆうちょ銀行の経営陣から聞いております。まずは本来講じておくべき安全策と現状とのギャップをきちんと確認したいと申しておりましたので、もう少しお待ちいただきたいと思います。
【記者】
トール社の事業見直し、売却などについていろいろな報道が出ています。改めて現状を教えてください。関連して、いずれどういう形で決着するにしても、2015年の買収時と同じ過ちを繰り返さないためにどのような経緯だったのか、見直すことは必要ではないかと思います。減損した当時の経営陣の方が率直な総括はされているので、個人的に誰が悪かったということよりも、同じ過ちを繰り返さないために、取締役会が機能したのかなど、当時の出来事を改めて見直す必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
【社長】
トール社について、今の段階で決まった事項はございません。そして、トール社の経営の再建について、さまざまな検討を今、行っている段階です。何か決まった事項があれば、すぐに公表したいと思います。
 買収の2年後に、減損処理をした際、買収した当時にどのような意思決定が行われ、その時の見通しが適切だったのかどうかは、これまでも幾つか検証をしているところですが、今、こうした経営に立ち至っているということは事実です。さらに、今年起きたコロナの問題やサイバー攻撃がさらに経営を悪化させています。一方で、最初の買収の状況について、これまでの検証に加えて、今から新たな検証を行うことは、相当な時間もたっていることから、あまり生産性はないと思います。むしろその後、現在に至るまでの間に、トール社の経営陣に対してどのようなマネジメントを行ってきたのか、折々の経営判断が適切だったのかについては、反省も込めて検証していかなければならないと思っております。
【記者】
郵便法の改正案が、本日、閣議決定されました。成立すれば、土曜日の配達が廃止されるわけですけれども、改めて増田社長の受止めをお聞かせください。
【社長】
本日、閣議決定されたとお聞きをしておりますが、内容は、主に土曜日を休配にするなどといった内容でございまして、この改正法の大きな趣旨は、現在、必要な働き方改革の関係から、土曜日と深夜の労働を減らそうということです。そのことによって、私ども社員が働く環境を向上させようということが主眼となっております。
 会社としても、この内容につきましてはこれまで実現を望んできたものであります。今、申し上げましたような土曜日を休配にするには、法律改正がどうしても必要になりますので、今回、総務省において、法律案を提出いただく決断をしていただきました。国会の審議の中で、その法律の必要性や背景については、さまざまなご議論がされると思います。私どもも、そうした議論に誠実に対応していきたいと思っております。会社としては、今回の臨時国会において法律案の成立をぜひお願いしたいと考えております。
【記者】
4点あります。
 1点目、管理職処分についてお聞きします。一昨日の日本郵便・かんぽ生命の記者説明会で、不正を黙認、指示していた管理職はゼロということですが、そんなことが実態として本当にあると増田社長はお思いでしょうか。不正を黙認、指示していた管理職をとことん特定しようとする意欲にそもそも欠けているのではないでしょうか。
 2点目、関連で、管理職処分と渉外社員との処分の違いについて、ある社員が、本社の幹部に見せられた資料では、渉外社員は保険業法という法律を犯しており、管理者は社内ルールを犯している、処分の軽重はその違いであるということです。1点目と関連しますが、保険業法違反を促してきた管理者のほうが罪は重いのではありませんか。
 3点目、元社員による訴訟準備が全国各地で今、進んでおります。処分を決めるときの調査が、かなり荒っぽく、一筆もらえば、もうそれで大丈夫だという対応をされているということで、これは将来、問題になると思います。いま一度、社員の調査、処分について、どのように行われているのかを確認したほうが良いのではないでしょうか。
 4点目、録音・録画に関して、第三者委員会の報告書に、録音・録画を特例なく実施すべきということが書かれていましたが、その後、徐々にこの録音・録画が緩んできています。始まる前から、窓口では、ほかの社員が聞いているという理由で録音・録画が不要となり、さらに最近では、お客さまが拒否すれば録音なしで募集できることになりました。これでは、現場の社員が、抜け道があると思い、録音拒否をお客さまに勧めるような事態が出てくるのではないかと心配いたします。実際、今月、録音拒否の契約が、成立しているという情報もあります。これでは、また不適正募集がまん延するのではないかと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
【社長】
1点目、管理者の処分ですけれども、一昨日、直近の処分を発表させていただきました。まだ処分の途中経過ということで、現在進行形ですので、これからも引き続き処分を行ってまいります。その中で、当然、管理者についても処分の対象としてまいります。
 そこで、管理者処分の数が少ない、処分が軽いのではないか、という指摘をいただいており、また、現実に社員の間でもそうしたことで、本社や支社などに不信の目が向けられているということも聞いております。
 管理者の処分ですが、おかしなことをした人間がいれば、当然処分をしなければなりません。現場の郵便局などで話を聞いていますが、おそらくタイプは二つあり、一つのタイプは、募集人に対して、高圧的・威圧的に営業目標を達成するような圧力をかけて、いわゆるパワハラ的に、不適正な募集を強いるものです。パワハラ的な言動が現実にあれば当然処分をしていくということになります。もう一つのタイプは、別の調査にも出ていますし、いろいろな手紙などをもらっていますが、高圧的な言動というよりは黙認をしているものです。こうしたタイプも恐らく現場では、行われてきたのだろうと私も思います。
 募集人や管理者に対して人事処分をするときは、いつ、どこでどのようなことをしたのかということがないと人事処分は行えません。これまでもパワハラ的な言動がきちんと立証できたものについて、従来の基準に加え、管理社員を募集人よりも重い処分とした例もあります。全体の件数はまだ十分ではないと思いますが、そうした行為が確認できればきちんと処分につながると思います。一方、黙認をしてきたということをどう処分につなげるかについて、黙認を立証するやり方が、きちんと確立されていないように思います。
 いずれにしても、高圧的・威圧的なことが行われたのではないかということについて、支社でも今、調査をしている案件が残っているとのことですので、そうしたものについて、早く調査を行います。それから、基本的には募集人から不服申し立て等があると、それを端緒としていろいろと調べていきやすくなりますので、高圧的なもの、黙認のいずれの場合についても、支社にきちんと調べるように通知を出す必要があると思っております。
 それ以外の類型等もあるのかもしれませんが、管理者の処分については、いつ誰がどのようなやり方で行動したのかということをきちんと確認しないと、処分に結びつけられないということもあり、これまでの不服申し立てをもう一度よく確認して、調査を進めていきたいと思っています。社員から管理者の行動について内部通報されることがあれば、アンテナを高くして、当時の状況の確認につなげていきたいと思います。
 2点目の処分の量定に関して、渉外社員が保険業法上の募集人資格に係る処分だから人事上の処分量定が重くなっているということはあってはならないと思います。管理者でもパワハラ的な言動がはっきりと確認できた者は、通常の渉外社員の処分のレベルよりも重くしているものもあります。一つ一つ、事実をきちんと確認した上で、公平感のある処分につなげていきたいと思っています。
 3点目、訴訟の動きがあるかどうかについては、特に承知しているわけではありません。もし、処分につながる前段の調査が不十分だというお話があるとすれば、恐らく不服申し立て等が出てきている、あるいは当事者、募集人から、何らかの言動が出てきているはずです。そこでさらに調査が必要なものがあれば、当然調査を行った上で、処分をすることにしていきたいと思います。仮にそうしたケースがあった場合は、いったん処分の手続きをストップして、もう1回、調査をするということは当然あってしかるべきです。改めてその処分の前段の調査をきちんとやるべしということは、かんぽ生命、日本郵便に申し上げておきたいと思います。
 4点目の録画・録音の関係ですが、そうした手法を取る理由は、特に渉外社員がお客さまのご自宅などにお伺いして、その密室の空間で契約書を作っていくということでさまざまな不正が行われるのではないかという懸念が発端です。したがいまして、今の運用としては、特に窓口では密室になるということは通常は想定されませんし、周囲にいる者がやりとりを聞く立場にありますので、そうしたことできちんとチェックをすることにしております。録音を通さないものについては、郵便局の他のセクションで確認をおこなったり、コールセンターから確認を入れるなど、第2線のところできちんとチェックをすることにしております。
 今、こうした録音を始めて、全体の契約の中で録音拒否をされる方が5%程度と聞いております。95%の方々は録音に同意してくださっています。中にはご説明しても、録音されるのが嫌だという方がいらっしゃいますが、録音をされなかった方については、第2線のところで特に念入りに契約内容についてご確認をするようにしています。それから、まだ契約の件数が少ないのですが、特定の募集人で録音をしない契約が数多く出てくるような募集人がいれば、録音をしないことを誘導しているのではないかという見方で内容をさらに厳格にチェックしたいと思っています。今は、かんぽ生命が考えている形で録音から、さらに窓口については録音を行わない形でスタートしておりますけれども、それが不十分ということであれば、すぐに次のやり方に見直しをすることにしていきたいと思います。
【記者】
政府が年末年始の休暇の分散取得について、経済団体や自治体に協力を要請しています。日本郵政グループの場合、日本郵便の特殊性などがあるとは思いますけれども、この呼びかけについて具体的に何か対応をしていくお考えがあるかどうか、お聞かせください。
【社長】
当社に直接ではありませんが、今週、政府から要請がありまして、経済団体を通じた情報収集と、内部で実際の対応について検討しているところです。決まりましたらまたご報告いたします。社員が限られた期間に帰省することで、密の状態になることを避けるために、年末年始の休暇を分散しやすい体制にしたいと思います。
 例えば28日が月曜日になります。25日までに仕事を全て終えることができれば、28日を休暇にするのも良いと思います。年始も1月4日が月曜日ですけれども、必要性が少し落ちる仕事は、4日の週に入れないようにすることで、社員ができるだけ密の状況にならないような工夫はできるのではないかなど、内部で検討をしております。
 それから、郵便局の現場では、お歳暮の配達、年賀状の配達で忙殺される時期は、休めませんので、必要な対策を講じた上で、仕事をしていただくことになりますけれども、1月1日の年賀状の出発式等のいわゆるセレモニー的なものは、極力簡素化して行うことを今、検討中です。
【記者】
キャッシュレス決済の不正利用について、セキュリティー総点検の報告と総務省への報告が、11月上旬と近接した時期になるとのことですが、キャッシュレス決済サービスの提供と安全性の確保のバランスについて、増田社長の原則的なお考えをお伺いできればと思います。
【社長】
ご利用されるお客さまから見れば、簡単な手続きで広範囲なサービスが提供されるほうが良いという当然のお気持ちがあります。私も一利用者の立場であれば、そうした思いがありますが、そちらに振れ過ぎると、安全性が著しく弱くなり、不正利用をする人に付け込まれます。ですから、両者の折り合いをつける必要がありますが、難しいのは、不正利用をする側が常に新しい手口を考えており、いったん講じたセキュリティー策が、時間がたつと何の意味もなくなるということです。一方で、他社が新しいサービスを提供すると、どうしてもそちらに引きずられて、サービスを広げる形になっていくということです。
 結論からすると、両者のバランスを常に考えながらやっていかなければなりませんが、セキュリティーを軽視すると、最終的にはご利用される皆さまに多大なご迷惑をおかけしてしまうということになります。金融機関サイドと即時振替サービスなどを提供している事業者サイドが、きちんとコミュニケーションを取り、セキュリティーを向上させるためにどうしても譲れない一線について利用者によくお知らせをすることで、不正利用をされないようにしていく必要があります。また、それを頻繁に見直していく必要があると思います。
【記者】
先日のJP改革実行委員会の中で、事業を行っているゆうちょ銀行に対して持株会社としてどのようにガバナンスをきかせるのか、ということについて指摘があったと思います。今のセキュリティーのバランスの話とともに、持株会社のガバナンスとして、どのようなチェックが必要だと考えていらっしゃいますか。
【社長】
ガバナンスに関し、ゆうちょ銀行内のガバナンスについて、今、監査委員会などで検証作業に着手しています。これはあくまで当事者であるゆうちょ銀行の中の話です。
 そこで、第三者性を持たせるために、グループ全体のJP改革実行委員会で、グループガバナンスという観点で検証をお願いしています。これは年明けにご報告、ご提言をいただく予定にしています。
 今回グループガバナンスという点では、ゆうちょ銀行で起こった問題の情報共有が、持株会社内でも遅れており、共有してから、ゆうちょ銀行に事案の公表を促していく際に、全体像を十分つかみ切れておらず、タイムラグが生じていることがあったと思います。
 ゆうちょ銀行で起きた苦情やかんぽ生命の苦情など、グループ全体の苦情や社員の内部通報などのリスク情報を感知することが、グループガバナンス上で大きな課題だと思います。事業会社からの報告等がなくても、グループガバナンスがきちんと機能する方策はないか考えているところです。取締役会でもグループガバナンスについては、今回の問題も含めて大変ご関心が強く、JP改革実行委員会の提言などもいただきながら、強化の方策を実行に移していきたいと思います。少なくとも、グループ運営会議等で共有する苦情案件については、時間を取って詳細に報告し、議論するような形にしています。やれることを順次広げてやっていきたいと思います。
【記者】
キャッシュレスの問題とも、DXの成長戦略の情報連携とも関係してくると思いますけれども、金融窓口のシステムが、ゆうちょ銀行はCTM6、かんぽ生命がPT4、日本郵便がPOSという別々のシステムで運用していらっしゃると思います。現場としては、本当は、キャッシュレスが進んでいく中で、グループが一つのシステムに統一できるとありがたいけれども、莫大なお金がかかるので、最終的には持株会社の決断なのだろうということを前に聞いたことがあります。増田社長もJP改革実行委員会の際に情報連携をホチキス的ではなくハンドリングするというお言葉でご発言されていたように思います。池田社長からも、先月、グループのシステムの連動性が必要というご発言があったと思います。その部分に関してどのようなお考えをお持ちでいらっしゃるのかお聞かせください。
【社長】
各社社員が現場で、複数の端末を持たざるを得なくなっておりますと、社員も大変ですので、端末をできるだけ一元化することが必要になります。
 各社の基幹システムは、長い歴史の中で、それぞれの会社としてのシステムをつくり上げてきております。業務が大きく異なるため、それを統一するのは得策ではないと思いますが、お客さま情報の基本的なデータベースをつくることなどは、良いサービスを提供していく上で必要だと思います。他社のお名前で大変失礼ですが、みずほグループは三つそれぞれ大きな銀行が一緒になるために、最近、相当大きな投資をして、システム全体を切り替えて今後に備えたという話を聞いておりますが、それは銀行業としての仕組みという中で、システムを統一されたのだと思います。
 当社の場合は、銀行・生命保険・郵便物流として出来上がったシステムを、一本化するのは難しい話ですので、グループ全体としての新しいサービスを提供する部分に、新しい仕組みを構築していくのがいいのではないかと思います。持株会社としても、これからDXを前面に出していきますが、グループ全体の新しい新規ビジネスを行う上で必要なシステムをつくっていきたいと思います。
【記者】
先ほど、年賀状の二つのセットの販売が好調とおっしゃられておりましたが、去年と比べて年賀状販売の出だしが好調な印象をお持ちですか。
【社長】
昨日の状況を聞いた限りでは、先ほど申し上げました二つのセットは注文が殺到しておりまして、非常に好調です。
 郵便局は、コロナの影響等もあり、来店に少し慎重になっておられると聞いております。例年11月に入ってから販売しておりますが、今年は曜日の関係で10月下旬から販売としましたので、例年に比べてかなり早いため、少し状況が違うのかもしれません。
【記者】
鬼滅の刃の年賀はがきがすごく好調な滑り出しということなのですけれども、増田社長自身は、このアニメや映画をご覧になったことはありますか。
【社長】
話題になっているのは知っていますが、私はまだ見ておりません。アニメなどは、昔は見ていましたが、最近は全然見なくなってしまいました。今おっしゃった鬼滅の刃もまだ見ておりません。
【記者】
今、民間金融機関から郵便局の貯金獲得インセンティブの撤廃を求められていて、来年度、2021年4月から実現するということで労働組合と合意が出来上がっていると思います。貯金の代わりに年金口座の獲得手当を大幅に増額するということで、これについては、民業圧迫となり地域の資金循環に影響が出るのではないかということで、特に高齢者の預金割合の高い信用金庫や信用組合が懸念の声を示しています。こうした声に対して、会社としてどのように捉えていますか。
【社長】
当グループとしては、お客さまニーズにできるだけ寄り添った形でサービスを提供したいということで、ご承知のとおり、預金獲得競争をする状況にもありませんし、むしろ預金をいたずらに増やすと逆に経営にとってもマイナスにもなりかねませんので、信用金庫さまがご心配するような脅威にはならないと思います。
 やはりお客さまのニーズに沿ったサービスを提供するということで、これから、地方銀行や信用金庫さまとも同じ方向を向いてさまざまなサービスを提供していかなければいけない時代だと思います。以前、私が郵政民営化委員長をやっていたときには、限度額の増額など、日本郵政グループで新商品を出すときにはいつもそうした懸念の声がありました。現在、私は一方の当事者であるため、先方からどう見えているのかということはわかりませんが、これからは協調していかなければ、地域でともに生きていけないような状況になります。地域の金融機関とはよく協調、連携しながら、本当に限られたお客さまに、良いサービスを提供するために、お互いに知恵を出していきたいと思います。
【記者】
報酬が変わると、人の動き方も変わってくると思います。かんぽ生命の不適切販売でも、報酬については問題になっていましたが、そのあたりについては、どのように担保するのか、無理な営業はしないということを、会社としてどのように伝えていくのでしょうか。
【社長】
営業手当については商品にもよりますが、できるだけ一過性のものよりもストック目標的なものにします。また、地域に貢献し、発展に寄与していくというのが大きな経営理念であり、販売をする前に、そうした考え方で臨むこと、お客さまに寄り添っていくということを、繰り返し社員に伝えていきたいと思います。
【記者】
関連して、今は貯金を増やす時代ではないというニュアンスの言及もありましたけれども、ゆうちょ銀行の貯金は、今でも年間数兆円単位で増えています。また、コロナの給付金で一気に増えています。長期的な戦略として、積極的に貯金を集めていくのか、もしくは自然増を容認する形になるのか、それとも自然増の状態すら容認せずに、コントロールしていく戦略なのか、教えていただけますか。
【社長】
定額給付金が今年6月ごろを中心に交付されましたが、それによってゆうちょ銀行の貯金残高がかなり伸びたのは事実です。今、残高として188兆から190兆円程度です。ご承知のとおり、年金が振り込まれる月に少し増えて、また減ってという感じになっています。
 貯金残高を増やすという積極的な意図はありません。しかし、貯金残高を減らすとしても、今、コロナの状況の中で、貯金をされているお客さまは、積極的にそれを下ろして消費するというマインドはなかなか持ちづらいと思います。そうしたこともあり、少しずつ増えている部分があると思います。
 一方で、ゆうちょ銀行では、その貯金を有効活用し、お金をより地方に回す仕組みや、いわゆるプライベートエクイティーなどの社会に有用な運用について、日々模索しています。いたずらに貯金を増やす施策は、ゆうちょ銀行としても取らないということです。
【記者】
確認なのですが、今日の資料の中で、即時振替サービスに関して9月23日以降に補償した方は、対象が11人で10件のお客さまに補償手続きが完了し、総額は282万円とありますが、282万円は、10件に対応する金額なのか11件に対応する金額なのかについて教えてください。
【事務方】
10件に対する金額です。
【記者】
この1件を増やすと、どのぐらい補償金額が増えるのですか。大した差ではないのでしょうか。
【事務方】
1件で6万円増えます。
【記者】
増田社長にお伺いいたします。来週、日本郵政グループが上場してちょうど丸5年になりますけれども、この5年はどのような5年だったのか、増田社長から見た振返りをお願いしたいと思います。
 その際、トール社のような経営の失敗や、最近は不祥事が目立っているように映るのですけれども、その辺にも触れながら、どのような5年だったか、振り返っていただければと思います。
【社長】
上場して、企業グループが、多くの株主の皆さまや市場からの監視の目にさらされるということは、本来、よりグループとして緊張感を持って経営をしていく、日々のお客さまに商品を販売するなどに当たっても、より緊張感を持って、社会で受け入れられるものをきちんと提供していく、そうしたきっかけになるはずだったのですが、残念ながら、必ずしもそういう形にはなっておらず、今の状況になっています。
 昨年来のさまざまな不祥事に加えて、今年さらに新たな不祥事が追加され、非常に多くのご批判をいただきました。それを受けての部分が大きいと思いますが、株価についても非常に厳しい状況になっております。当社も、9月末に発表いたしましたけれども、当社が保有するゆうちょ銀行株式について、かなり大きな額を減損しなければいけないという状況にもなりました。
 当社の成長を信じて株主になっていただいた方々、特に少数株主の皆さま方にも大変申し訳なく思っております。それ以外の多くの国民の皆さま方にも、適切なサービスを十分に提供し切れていない部分があり、この5年間の中でより成長を遂げることが出来なかったことを、改めてグループのトップとして痛感しております。何とかこれを切り返さなければいけないということが私の役割だと思っています。
 5年間の歩みの中で、プラスの部分も恐らくいろいろあったかと思いますが、きちんとした反省の上に立って次に進んでいかなければいけないので、そのためには、2007年10月に民営化しておりますが、民営化以降、あるいはその前にさかのぼって、公社時代や国営時代がありましたけれども、そのときから引きずっている体質の問題をどうやって変えていくべきか、日々模索しております。私どもとして変えていかなければいけないことをきちんとあぶり出して、来年から、特に新しい中期経営計画につなげていきたいと考えています。率直なところ、膿のようなものは、今年中に出し切り、新しい年は、次の中期経営計画の実行に臨みたいという想いです。
 地域でこの日本郵政グループに対して期待をしていただいているお客さまが多くいらっしゃるということも事実ですし、そうした期待に懸命に応えようとしている多くの社員がいることも事実です。これは大きな救いであり、宝だと思いますので、そうした社員にこれからの明るい出口をきちんと明示して、それに向かってともに進んでいけるような展開にしていきたいと思います。
(※記者会見における発言及び質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)