現在位置:
日本郵政ホームの中の1
日本郵政株式会社の社長等会見の中の3
2020年9月11日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2020年9月11日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
日本郵便株式会社 代表取締役社長兼執行役員社長 衣川 和秀
株式会社ゆうちょ銀行 取締役兼代表執行役社長 池田 憲人
株式会社かんぽ生命保険 取締役兼代表執行役社長 千田 哲也
【日本郵政社長】
日本郵政の増田でございます。
 本日、報道発表資料「信頼回復に向けた業務運営の開始日について」にもありますとおり、信頼回復に向けた業務運営の開始日を10月5日と決定いたしました。
 業務運営の再開日につきましては、前回の会見で、執行部として2つの点についてしっかりと確認をした上で決定すると申し上げました。
 一つが、今回の信頼回復に向けた業務運営の趣旨が社員に共有・徹底されているということ、もう一つが、本日の発表の二つ目になりますが、かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応について、営業活動の制限が必要な社員が特定されていることです。
 これら業務開始に当たって確認すべき点が確認できたことから、開始日を決定しても良いと判断いたしました。順次ご説明いたします。
 まず、社員への趣旨の徹底につきましては、各職場において研修を行い、考え方、理念を繰り返し丁寧に説明し、浸透を図りました。業務運営を開始するために必要な研修については、新型コロナウイルスの影響により未実施の2局を除き、昨日までに終了した旨、報告を受けております。今後は、お客さまへのアフターフォロー等を中心としたより具体的な取組み内容について研修を行っていくこととしており、これについては9月末までに終える予定です。
 また、私も含めた各社経営陣が、支社長会議、主幹地区統括局長会議を通じてフロントラインの状況について意見交換をし、意思疎通を図ってまいりました。その結果、今回の再開の趣旨はフロントラインに浸透しており、業務運営を開始するための準備が整ったとの判断をしております。
 次に、かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応につきましては、報道発表資料「かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応」をご覧ください。
 資料1ページ目の項番2をご覧ください。苦情を申告されたお客さま79人のうち、ご連絡が取れていなかった16人について、8人とご連絡が取れました。そのうち6人についてお客さま本位でない取引の懸念があり、8月25日時点で判明していた41人に加え、47人となりました。
 既に判明していた41人のお客さまに関連する社員43人については8月末に営業活動を停止済みです。
 新たに確認した6人のお客さまの取引については、順次ご訪問などにて事実関係等の確認を行い、調査が必要な社員を9月18日までに特定し、9月中に営業活動を停止します。
 また、この79人のお客さまとは別に、7月末までに新たに8人のお客さまから苦情の申告がございました。これらについても、調査が必要な社員については、9月中に営業活動を停止します。
 資料2ページ目の項番3をご覧ください。特にお客さま本位でない懸念のある取引と外形上同様の取引が行われた727人のお客さまのうちご連絡が取れていなかった218人について、56人とご連絡が取れ、そのうち24人のお客さまについては、ご訪問等で詳細確認を行うことといたしました。
 8月25日時点で詳細確認が必要な205人のお客さまについて調査した結果、お客さま本位でない懸念のある取引にかかるお客さまは63人、関連する社員は53人(9月10日時点)でした。そのうち、既に17人については営業活動を停止済み、残りの36人について9月中に営業活動を停止します。
 また、新たに詳細確認が必要となった24人のお客さまについても、順次事実関係等の確認を行い、お客さま本位でない取引の懸念の観点から調査が必要な社員を9月18日までに特定し、9月中に営業活動を停止します。
 資料3ページ目の項番4をご覧ください。
 かんぽ生命保険商品と投資信託の同一のお客さまに対する販売において、一定期間内に両方の取引を頂いているお客さまを抽出したところ、約2.1万人(2015年度~2019年度の過去5年間)でした。これらのお客さまについては、9月中にご意向確認を始めさせていただきます。
 以上、2点を確認した上で業務開始を決定した訳ですが、具体的な活動内容については、営業自粛以前の状態に戻るのではなく、お客さまに対しての信頼回復の活動から始めるということです。
 今般の不適正募集により被害を受けたお客さまの怒りや苦しみに思いを馳せるとき、まずは社員一人ひとりがお客さまに対し、ご迷惑をおかけしたことをお詫びすることから始めていきます。あわせて、日本郵政グループが、真にお客さま本位の企業に生まれ変わり、お客さまから信頼いただける企業になるため、今回、「お客さまの信頼回復に向けた約束」を策定し、この約束の達成に向け全社員が一丸となって取り組んでいくことを約束します。
 この約束が、本日の3つ目の発表となります。報道発表資料「日本郵政グループの『お客さまの信頼回復に向けた約束』について」をご覧ください。
 今回のかんぽ問題により、日本郵政グループに対するお客さまからの信頼を大きく失うことになりました。お客さまから失った信頼を取り戻し、再びお客さまに安心して日本郵政グループの商品・サービスをご利用していただけるようになるためには、日本郵政グループが真にお客さま本位の企業グループに生まれ変わることが必要だと考えています。この約束は、その決意を幅広く公表するために策定したものです。
 約束は、網羅的にお客さまの約束事項を規定している日本郵政グループの経営理念・経営方針・行動憲章のうち、特にお客さまからの信頼回復に向けて早急に取り組むべき事項を中心に取りまとめています。具体的には、日本郵政グループ行動憲章の中で、特に「信頼の確保」と「規範の遵守」の内容を中心に策定したものです。
 約束については、資料2ページの枠囲みにありますとおり、目指すべき姿の約束と5つの活動の約束からなっています。
 信頼回復に向けた業務運営の開始日以降、郵便局等へのポスター掲出や、郵便局等をご利用されるお客さまに約束チラシをお渡しすること等を通して、「お客さまの信頼回復に向けた約束」を幅広いお客さまにお知らせするとともに、すべての社員が本約束を遵守し、お客さま本位の事業運営を徹底してまいります。
 この約束が達成されているかどうかについては、外部専門家で構成されるJP改革実行委員会において評価していただき、その結果を公表してまいります。
 また、本約束を策定したことを通じて、お客さまからいただいたご意見・ご要望を事業改善に活用し、お客さまからの信頼回復に向けて全力で取り組んでまいります。
 なお、今般のかんぽ生命保険商品の不適正営業等を契機に、金融商品の販売方法について様々な対策を講じてまいりました。改めて、2020年9月時点の金融商品の募集・販売フローと強化策をとりまとめましたのでご説明いたします。報道発表資料「かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応について」の別紙「金融商品の募集・販売フローと手続きの改善強化策」をご覧ください。
 別紙の2ページ、「かんぽ商品の募集フロー」をご覧ください。
 かんぽ生命保険商品の募集に係る改善の取組みについては、「業務改善計画の進捗状況」のご報告の中で、順次、皆さまにご説明させていただきましたが、この際、改めて、募集プロセス全体について、フロー図の形で整理いたしましたので、皆さまにポイントを紹介させていただきます。大きくわけると4つあります。
 1点目は、70歳以上のご高齢のお客さまへの勧奨を、原則として禁止したことです。
 2点目は、募集時の録音など、募集人による具体的な募集内容の見える化です。
 3点目は、資料の一番右側の列ですが、郵便局の管理者による事前・事後のチェックの強化です。
 4点目は、かんぽ生命によるお客さまへの重層的な意向確認の実施です。
 このようにお客さまのご意向に沿わない契約が発生しないよう、様々な観点から、見直しを行ったところでございます。
 なお、この際、これまで皆さまからご質問があった「がん保険」、「変額年金保険」、「投資信託」についても、改めて、募集・販売フローを整理いたしました。同じ資料の3ページ以降でございますが、内容の説明は省略させていただきます。
 今回の信頼回復に向けた取組みは、かんぽ生命保険商品の不適正営業問題に端を発したものですが、かんぽのみならず、郵便事業やゆうちょを含めたグループ全体で取り組んでいくものです。
 お客さまから失った信頼を取り戻すのは一朝一夕にはいかず、容易ではありませんが、ここにいる私たち4人が陣頭指揮を執って、グループ一丸となって邁進してまいります。
 ここで、各社社長からも、それぞれ一言ずつ決意を述べさせていただきます。
【日本郵便社長】
日本郵便の衣川でございます。今回のかんぽ不適正募集問題におきましては、私どもの実態把握が遅れ、お客さまに多大のご迷惑をおかけいたしました。ここに改めておわびを申し上げたいと思います。また、郵便局、第一線で日々真面目に業務に取り組んでくれている多くの社員にも大変な苦労をかけるということになりましたこと、本当に悔やまれてなりません。この気持ちを忘れることなく、私自らが先頭に立ち、本社や支社を含めました日本郵便の全役職員がお客さま本位の仕事をしていく中で、郵便局に対する信頼回復に努めてまいりたいと考えております。どうかご理解のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 私からは以上でございます。
【かんぽ生命社長】
かんぽ生命の千田でございます。かんぽ生命では昨年7月以降、お客さまの利益回復に最優先で取り組むという基本方針を掲げて、ご契約調査、募集人調査を進めるとともに、再発防止策に向けたチェック体制の強化を、全社を挙げて取り組んでまいりました。そして、本日公表させていただいた信頼回復に向けた業務運営の開始以降が当社の信頼回復の正念場になると考えております。お客さまの信頼を簡単に取り戻せるとは考えておりませんが、改めて当社の経営理念を全社員にしっかりと浸透させるとともに、今回策定をしたお客さまの信頼回復に向けた約束を全社員が実践をし、もう一度お客さまから信頼していただける会社になりますよう、全社一丸となって取り組んでまいります。
 私からは以上です。
【ゆうちょ銀行社長】
ゆうちょ銀行の池田でございます。冒頭、日本郵政、増田社長の発言のとおり、日本郵政グループの一員として、お客さまの信頼回復に向けた約束を果たし、ゆうちょ銀行全社員一丸となって、お客さま本位の業務運営の実現に取り組んでまいる所存でございます。そして、いま一度当行の中期経営計画に掲げている、「やっぱり、ゆうちょ」と言われることをもっとというゆうちょ銀行の目指す姿に立ち返り、安心、安全、便利な商品、サービスを提供し、謙虚に皆様からの信頼回復に努めてまいります。
 私からは以上でございます。
【日本郵政社長】
この約束をしっかりと果たし、必ずや真にお客さま本位の企業グループに生まれ変わることを、お誓いいたします。皆様のご理解を賜りますようよろしくお願いいたします。
 私どもからは以上でございます。
【記者】
いろいろな問題が発覚して、2年余りが経ち、やっと正常軌道に乗ったように見えます。いろいろな問題が起きたのは、郵政民営化のスケジュールというものが政府にあり、上場をして、株式を売却することになっていたためだと思います。そのためにはこれぐらいの価格が適正で、これぐらい利益が必要だというかなり切迫した状況の中で、現場で問題が起きたのではないかと思います。
 このように反省して、ある意味でブレーキがかかったわけですが、これからの郵政民営化や上場、株の売却等の大きな大方針について、郵政民営化委員会や政府とどのような話をされたのでしょうか。こうしたことは政府の約束になっておりますので、簡単には変えられないのではないかと思いますが、基本的な認識に若干ずれがあるように感じられます。正常化すれば収益体質は落ちると思います。人によっては、ゆうちょ銀行やかんぽ生命が生き永らえることができるのだろうかという疑問さえ出てきます。そうした中で、これからの全体像を示していただきたいと思います。具体的に、いつどのようにしていくのか、どのように政府と交渉していくのかということについてお答えください。
【日本郵政社長】
私のほうから、ご質問についてお答え申し上げたいと思います。かんぽ生命保険商品の不適正募集について、ようやくここまでこぎ着けられたと思っております。まだ正常化に向けた道途中ではありますが、信頼回復に向けた業務運営を開始し、まずはお客さまのところに行き、我々の存在自身を認めていただくことから、地道に開始していかなければいけないと思います。
 そして、私どもは郵政民営化法と、それを監視している郵政民営化委員会の枠組みの中で存在し、活動していくものだと思っております。会社の経営陣として申し上げますと、郵政民営化法の枠組みの中で、郵政民営化委員会からのさまざまなご質問に対してお答えを申し上げております。こうした経済環境、低金利の中で、さまざまな不祥事が発覚し、対応にとらわれている中で今後どうするのかということについては、郵政民営化委員会の会合などでもさまざまな問題が投げかけられておりまして、今時点でとり得る対応策などをお答え申し上げているところです。
 そうした中で、私も見聞するに、随分国民的な議論があった中での郵政民営化法でありますので、私ども経営陣が、今、政府に何か物を申すという考え方は持っておりません。おそらく郵政民営化委員会のほうでは間もなく、3年に一度の意見表明というのがございます。その中でどのような意見を表明されるかは、郵政民営化委員会のお考えだと思います。郵政民営化法と郵政民営化委員会の枠組みの中で、民間企業として市場の監視を受けながら、最大限の経営努力をしていきたいと思います。今は、営業も再開されていない段階なので、とにかく内部の規律を高めて、社会に少しでも存在を認めていただけるように、信頼回復に全力を挙げたいと、今はそのように考えています。
【記者】
質問が2問あります。
 一つはかんぽ生命のリニエンシーについてです。これまでリニエンシーは対面調査の直前にリニエンシーを入れるかどうかを求めて、さらに対面調査で否認した郵便局員に対して、判定通知が出る直前のタイミングでも、これまでの証言を翻して反省文などを書けば処分を軽減する可能性があることを伝えている事例が複数あります。こういうことをしていると、虚偽の証言を誘導するようなリスクがあるのではないかという指摘もあります。その点についてどうお考えかお伺いいたします。
 もう1点の質問は、本日の話題からずれてしまい恐縮なのですけれども、ドコモ口座問題が、今週話題になっております。特に、ゆうちょ銀行の池田社長にお尋ねしたいのですけれども、ドコモ口座に連携している口座がどのぐらいあるのかを教えてください。また、本日、高市総務大臣が、ドコモに対し、これまでのお客さまの被害について調べてほしいと発言していましたが、銀行の側でも、お客さまの被害について調べたらどうかという趣旨の発言をしていました。ひもづいている口座全てを調べるのか、最近ひもづいた口座を調べるのか、10万、20万以上の引き出しがあった口座を抽出して調べるのかなど、さまざまな方法があると思いますが、既にそうしたことをやっているのでしょうか。やっているとしたらその進捗について、やっていないとしたら、これからやる予定があるのかどうかについて、お考えを聞かせいただければと思います。
【かんぽ生命社長】
リニエンシーの関係につきまして、かんぽ生命の千田からご回答申し上げます。ご案内のとおりですけれども、昨年来、ご契約調査をした後、募集人調査をするというところで、その進め方について、我々としてどのように進めていくかということをしっかり検討しながら、特別調査委員会ともご相談をしながら進めてきたところでございます。今までのように自白がなければ違反と判定することはないということではなく、客観的な事実を総合的に考えて、事実認定をして判断をしていくという仕組みに変えました。併せて不服申し立ての仕組みを導入しました。全容解明を迅速に適切にやっていくとの目的で、リニエンシー制度というものを導入したということでございます。
 ご案内のとおり、リニエンシー制度は、自分で違反行為があったと申告をして、協力をした場合には、処分を減免するという仕組みでございます。このリニエンシー制度は、先ほども申し上げましたように、事実関係をしっかりと明らかにして、全容解明を迅速に進めていくということで導入をしたものです。募集人調査の段階で、特定事案についてリニエンシー制度を導入したわけですけれども、初めて我々も導入をしたということもあり、1回目のところでは十分に浸透していないという状況が見受けられました。そこで、再度処分予定の通知をしたところで、不服申し立てをそれからいただくことになるわけですけれども、併せてリニエンシー制度というものはどういうものかということをしっかりと説明をいたしました。その際にリニエンシー制度を適用されるという募集人がおりましたら、それを我々としても受けていくことにいたしました。こうした運用についても、特別調査委員会ともしっかりと議論をしながら、進めてきたということでございます。
 先ほどリニエンシー制度について、事実でない自白を引き出すおそれがあったのではないかというご質問でございましたけれども、我々としては、しっかりと制度を募集人にも説明をして、客観的な事実に基づきながら判断をしていくということでございます。よって、そうしたおそれは、全く想定をしておりませんでした。
【ゆうちょ銀行社長】
池田でございます。ただいまのご質問、ドコモ口座を使った不正利用の事象について、ゆうちょ銀行としてはどうなのかというご質問がございました。このたびはお客さまに対してご心配をおかけしていることについて、この場をかりて深くお詫び申し上げます。
 本事象については、現在調査中です。調査中というと非常に紋切り型ですが、既にホームページで、被害があったお客さまはコールセンターも含めてお話をいただきたいという周知をしております。したがいまして、当行への影響等に関する回答は、現時点で差し控えさせていただきます。
 今後の対応については、NTTドコモさまと連携し、なおかつ公的な機関も入っておられるということですので、そうしたことを踏まえまして、被害に遭われたお客さまへの補償も含めて、真摯に対応してまいる所存であります。
【記者】
池田社長にもう一度お伺いいたします。暗証番号を盗まれてしまった方は、誰でも被害に遭いかねない状態だと思いますが、ゆうちょ銀行のお客さまは、自分で調べろというのが池田社長のお考えなのでしょうか。それとも、ゆうちょ銀行としても調べるというお考えなのかについてお聞かせください。
【ゆうちょ銀行社長】
もちろんゆうちょ銀行としても調べられるところは調査をしていきたいと思います。口座から詐取をされたことが通帳に記帳されていたという方は、ぜひお知らせをいただきたいとお願いもしております。我々もできるだけ多く調べていきたいと思っています。
【記者】
かんぽ生命の社員は、どれぐらい処分されているのかという点についてお伺いいたします。郵便局員の間から、「かんぽの作った研修資料にのっとって販売をした。また、実際に契約したのはかんぽではないか、審査をしたのもかんぽではないか。なのに、かんぽにつないだ営業社員ばかり処分されているというのはおかしい。」との声があがっています。おそらくかんぽ生命の社員も相当処分されているのだろうということで、処分状況を教えてください。
【かんぽ生命社長】
今、数字を手元に持っておりませんので、後でその全容については、お話し申し上げたいと思います。基本的に、私も含めた本社の役員、本社の関係の部長以下管理者、現場におりますエリア本部、支店の管理者、支店長を含めまして、7月末にしっかりとした処分をしております。われわれとしても、過度に営業をしていたということについての責任は重大なものがあると考えております。そうした観点から、しっかりとした対応をしたということでございます。
【事務方】
かんぽ生命でございます。先ほどご質問いただいたかんぽ生命の処分者数でございますけれども、かんぽ生命、142名、こちらは日本郵便への出向による重複者も27名を含んでございます。
【記者】
関連して、昨日付で日本郵便が全国の郵便局に発出した、金融商品の販売時における税制の説明等の対応という資料についてお伺いいたします。ここで、不適正なケースの具体例として、相続税対策のニーズを喚起してはいけないという例が幾つも載っています。これは翻りますと、数年前までは、かんぽで税金対策という資料を研修用として配って、まさにそうしなさいと言っていたところですが、それが昨日になって、そうしたニーズ喚起はやめなさいと言われて、現場は何なんだと感じているわけですけれども、これはどのように考えたらよいのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
税制の関係につきましては、さまざまな形でお客さまからお問い合わせをいただきます。営業やアフターフォローの場面を含めまして説明をする機会がございます。そうした場面で、間違った税についての説明はしてはいけないということで、前々から指導をしてきましたが、一部に誤解や不明瞭な文言があったということもあります。そうした中でお客さまに不適切なご説明をしたという事例が一部見受けられるということで、今、確認活動も含めて、取組を進めているところでございます。
 そうした状況でございますので、一般的な税制についての説明については、このチラシを使って説明をしてくださいという、分かりやすく、現場の皆さんの誤解が絶対起こらない仕組みを導入させていただきました。お客さまにも募集人にもご迷惑をかけることがないようなやり方で、これから進めていきたいと思います。
【記者】
今の関係で、商品性が他の民間生保に比べて劣っている中で、税金対策など他のことを言っていかないととても取っかかりのないような状況だと思います。法の範囲内で、他より商品性が劣るものを売っていくための、代替策が必要です。商品性を上げるのか、何か違う方法を考えることが必要だと思います。その辺はいかがお考えなのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
商品につきましても、もう少し商品のラインナップがほしいという、現場やお客さまからのご意見をいただいております。今、かんぽ生命としても、できるだけ早く新しい商品が出せるように検討しているところでございます。
 いずれにしても販売というところは本当にお客さまそれぞれ違います。お客さまの人生設計、これからどのような人生を歩んでいくのかというライフプランシートをしっかりとお作りして、お客さまがこれからの人生の中でどのような資金ニーズが出てくるのかというところをお話しながら、ニーズがあれば、適切な商品を出していくということに尽きると思います。
 今回10月5日からスタートいたします業務運営の開始は、そうしたご提案をこちらからするということではなく、お客さまにお詫びをして、今の状況についてご確認をいただくというステージです。仮にそうしたご提案をすることになっても、総合金融コンサルティングという全体の中で、お客さまの状況をしっかりと把握をしながら、ニーズがあるところに対して適切な商品を提供すると、もうその一言に尽きると思います。そうした中で、お客さまに寄り添って、営業していくという考え方でおります。
【記者】
最後に増田社長にお聞きします。おわび行脚ですけれども、処分が不公平過ぎて、おわび行脚をする意欲が全く湧かないという声が現場から聞こえてきます。かばん持ちの同行社員が処分を受ける一方で、不適正募集で有名な社員が調査すら受けていない現状があるからです。処分の公平性についてこれからどのように担保していくのでしょうか。
【日本郵政社長】
おわび行脚をするということは、全社員がお客さまに対して、個々のこれまでの行為について、会社全体としておわびをするということが必要になります。今、ご質問いただいたような思いを抱いている社員が、お客さまに対して真摯におわびをするという思いになれるように、内部的な研修等、理解を進めていきたいと思います。
 一方で、その根底に、処分の不公平感がもしあるとすれば、今、適宜進めております処分について、できるだけ公平なものにしていくようにいたします。処分をする際は、一定の事実がないと処分ができませんので、現場の社員、管理者について、全体が見られるような形で、そうした事実を見いだしやすいようにしています。事実の端緒がつかめるように、例えば、内部通報制度などについて、これまでも改善の検討をしていますし、幾つかの内部通報制度を新たに整備したものもあります。私どもとすれば、むしろそうした中で、われわれに届いていない事実、考え方などを寄せていただいて、処分の事実として使えるようなものであれば、そうした事柄を処分の判断材料にしていきたいと思います。
【記者】
池田社長にお伺いします。先ほどの発言の中で、心配に対するおわびという言葉を選ばれていたと思いますが、実際、被害が御行から出ていると思います。被害が出たことに対するおわび、あるいは、御行の不備があったことに対する言及はなかったかと思いますが、不備はなかったのでしょうか。
【ゆうちょ銀行社長】
不備があったかどうかについてお答えします。具体的に申し上げますと、カナ氏名、口座記号番号、生年月日、キャッシュカードの暗号番号を照合しておりますが、さらに、もう1つ重要なのは、本人確認の際に本人に電話で確認するという方法がございます。そうしたものについて、現在、どの程度確認しているかということを調査している最中ですので、きちんと調べていきたいと思います。
 いろいろな方々に聞くと、それがあるかないかによって、被害があったかなかったかという違いがあります。それから、われわれとNTTドコモさまとの交渉もございます。われわれの口座からチャージするわけですから、そのときの状況を、きちんと整理して、調査を進めている状況です。
【記者】
そうしますと、完全に原因が分かっている状況ではありませんが、何らかの不備があったかもしれないというご認識で補償もしていくというご判断だと思いますが、金額等については、ドコモさんとの交渉が残されているという理解でよろしいのでしょうか。
【ゆうちょ銀行社長】
被害にあわれたお客さまに全額を補償いたします。その負担については、これからのことですので、NTTドコモさまと交渉していくということです。
 したがいまして、お客さまに対してはご負担を掛けない、補償をするということは、ここで断言をいたします。
【記者】
今回の件は、あくまでも、御行からドコモ口座を利用したケースについての補償という発言だと思います。それ以外にも、フィッシング詐欺等で御行の口座をお持ちの方がいろいろな被害を受けているものもあると思います。今回、ドコモ口座を使ったから、たまたま大きな話題となり補償されることになっています。一方で、ドコモ口座を使っていない、御行の脆弱性によって被害を被った人たちもいるかもしれないと思いますが、そうしたお客さまへの補償もされる認識でしょうか。
【ゆうちょ銀行社長】
例えば、フィッシングにより不正に情報を窃取されたなど、それぞれの事情がございます。その事情に応じて、基本的には、われわれの口座を使って被害があったところはお支払いをしていこうということでこれまでも進んできております。もちろん過失の程度について、それぞれのお客さまと、これまでもお話をしてきておりますけれども、大部分が銀行のほうでお支払をしております。
【記者】
ドコモ以外の部分も補償する方針は、従来も今回も変わらないということでしょうか。
【ゆうちょ銀行社長】
過失がどこにあるのかというところをよく調べて補償するということです。
 私どもは、セキュリティーは一番気にしております。現在は、24時間体制で、相当の人材を投入しウオッチしております。お客さまにご迷惑をお掛けしないように、既に2017年頃から、きちんと対応するようにしております。そこは念を押して申し上げておきます。
【記者】
2点お願いいたします。1点目ですが、8月下旬の会見で、増田社長から、おわびの期間について、年度内というお話がありました。本格的な営業再開については、恐らく来年度になるだろうという趣旨の発言がありました。一方で、高市総務大臣が、その後の記者会見でできるだけ早期の本格的な営業再開を望むという趣旨のご発言をされています。増田社長のおわびの期間のご認識は、現状変わっていないのでしょうか。また、高市総務大臣の発言について受け止めを教えてください。
 2点目ですが、収益環境、保険商品の商品性も含めて、非常に厳しい状況にあります。郵政民営化法による規制があることも分かりますが、一方で、上場企業でもあります。今後の成長戦略をどのようにお考えになっているか、グループ全体についてでも、かんぽ生命についてでも構いませんので、教えてください。
【日本郵政社長】
まず、1点目でありますけれども、コロナ禍でありますので、慎重に対応しなければなりません。これまで当グループとつながりのございましたお客さまのところに、できるだけ訪問をして、もしお会いいただけるのであれば、きちんとおわびと、それから、会社の姿勢をお伝えするということをやっていきたいと思います。ここは丁寧に進めて参ります。その次の段階に進むことができるかどうかは、お客さまお一人おひとりによって異なると思います。大変多くのお客さまがいらっしゃいますので、そうした活動を繰り返し行うにしても、相当な期間がかかると考えております。
 一律に、今年度いっぱいはどういたします、来年度からはどういたしますということではないと思います。こうした活動を行っていく上で、お客さまとの関係が次の段階に進めるかどうかは、我々の伝え方にもよりますが、そのお客さまのお気持ちやお考えによると思います。したがって、いつ次の段階に行くかということは、その場面で異なります。丁寧なおわび活動をしていくことが、基本にありますので、その先の、いわゆる営業活動に進めればよいのですが、その以前のおわび活動をおろそかにはできないと思っております。
 大臣のご発言についてですけれども、私の理解では同じようなことをおっしゃっていただけているだろうと思います。できるだけ早くきちんとおわびをして、ご理解をいただけるように早くきちんとやりなさいということをおっしゃられているのではないかと理解しています。そして、その先の一人前の会社として活動していくということが目標になるわけですから、そういう姿に早く私たちも生まれ変わらなければ駄目だということを大臣のほうでおっしゃったのではないかと理解しております。
 2点目の成長戦略の関係です。まだ公表できる段階ではございませんが、中期経営計画の議論の中で、商品の構成や、我々の業務とシナジー効果がある新しい分野について、検討を深めております。会社の経営理念から考えますと、地域に貢献をしていくということを通じてお客さまの幸せと社員の幸せを実現していくことだと思います。経営理念にきちんと沿って、経営においても、必要だというものをできるだけ積極的に取り組んでいきたいと思います。
【記者】
先日のJP改革実行委員会に出ていた資料の中で、約束について何点かお伺いいたします。時限的なものと記されていますが、何年間といったような期間を区切ったものなのでしょうか。また、各項目を20点満点とし、五つの約束を評価することで、全体を100点満点で評価する仕組みになっています。これは、例えば50点以下だった場合どのようにする、点数の低い社員に対してのペナルティーを科すなど、評価基準やペナルティーを設けるものなのでしょうか。
【日本郵政社長】
時限的なものかどうかということについてお答えいたします。今回公表したお約束の評価は、来年3月までの半年間の状況をJP改革実行委員会に判断してもらいます。こうした社外へのお約束を、度々新しいものに入れ替えるということは、ふさわしくないと思いますが、達成度が非常に高いものは、別のものに入れ替えるということはあり得ると思います。何年間と厳格に決めていくべきものとは思っておりませんけれども、行動憲章は5分野でそれぞれが3つの項目が書いてあり、全体では15あるわけです。その中から、今回、信頼や規律というところを中心に五つを取り出しましたが、ほかのものに少しずつ入れ替えていくことは考え得ると思います。それは第三者に評価してもらった達成度合いや我々の浸透度合いなどを判断しながら、考えていきたいと思います。
 また、一人ひとりの社員に対するペナルティーについてお答えいたします。今回の評価は、会社全体としてきちんと約束が守られているかということを第三者に評価してもらい、それを世の中、特にお客さまにきちんと公表して、世の中の目というものを一人一人社員に取り入れていくものです。個々の社員について、当然順守していただくということを考えておりますが、会社全体を評価するものと考えていただいたほうがよろしいかと思います。
【記者】
本日の会見の発表内容とは別件となりますが、日本郵便の衣川社長にお伺いします。東芝の株主総会で、大株主である海外のファンドが、議決権のはがきを期日前に送付したにもかかわらず、期日後に到着しているという話があると思います。東芝側は今、日本郵便に調査を依頼しているということですが、その調査の現段階の状況を教えてください。
【日本郵便社長】
個別の案件になりますので、全てをお話できる訳ではありませんが、受取人さまからお話をいただきまして、私どものほうでも調査を進めております。いわゆる普通郵便になりますので、いつ、どこで受け入れて、どのようにお渡ししたかということを追跡することが非常に難しい状況になっておりますことは、ご理解いただきたいと思います。私どものほうでも客観的な証拠を集めているところでございます。受取人さまにいつお渡ししたのかについては、受取人さまのご協力が必要ですので、今、そうしたところで調査をしております。全体の事実関係をこの場でご説明できるほど煮詰まっておりませんが、私どもとしては真摯に対応させていただいております。
【記者】
ゆうちょ銀行の池田社長にお伺いします。ドコモ口座の問題で、問題の原因、背景としては、ドコモさんがいわゆるd払い、キャッシュレス決済の普及を狙って、ドコモの会員以外にかじを切り、利用者を拡大しようとしたことが原因になったと言われています。御社もゆうちょPay、キャッシュレスの決済のサービスを手がけていると思いますが、正直、苦戦しているという認識です。サービスを広げていく上で、そうした問題が御社で起こる心配はないのか、セキュリティーの対策をどのようにしているのか、現状と対策などをお聞かせください。
【ゆうちょ銀行社長】
ゆうちょPayの口座登録においては、氏名と生年月日、口座番号入力の上、記憶認証である暗証番号認証と口座に登録した電話番号を利用する所持認証による2段階、かつ、2要素の認証を行うということで、今、考えられる安全を確保しております。
 それから、先ほど申し上げましたが、毎日取引データが動いており、モニタリングは24時間365日ウオッチをしております。相当の人間を投入しております。被害の未然防止に努めているということは、我々も一生懸命やっているところでございます。お客さまにご迷惑をお掛けしないように、安心、安全性の確保に努めております。
【記者】
ドコモ口座の問題で、利用者を増やそうとすると、ある程度利便性を優先するため、セキュリティーが緩くなるといったことが起きたと思っています。ゆうちょPayは今後利用者を増やすために、セキュリティーの対策と利便性をどうするのかお伺いします。
【ゆうちょ銀行社長】
安全は第一です。ですから、利便性によって、安全を緩くするつもりはございません。むしろ、例えばポイント制を導入する、使える拠点を増やしていくなど、そうした部分に力を入れているところでございます。
 今回ポイント制度を導入しましたけれども、前期に比べて、ポイントによって、相当お客さまが増えてきているというのも事実です。その戦略により、お客さまを広げていこうとしております。
【記者】
増田社長にお伺いいたします。JP改革実行委員会の公開資料の中で、郵便局視察のお話があり、その中にグループは一体であるにもかかわらず、まだ会社間で分断の壁を感じるという感想もありました。現場の方々はグループの一体化について頑張ろうと思っていらっしゃると思いますが、現場の壁を取り払うためにどのようなお考えを持っていらっしゃいますか。
【日本郵政社長】
郵便局を視察したときに、局員との意見交換があって、私も幾つか同席をさせていただきました。その中で、郵便物流、金融窓口、金融渉外を担当している方々がおられて、その皆さま方から局の中でどうしても縦割りの構造が否めないという趣旨のお話がございました。それを突き破っていくためには、例えば人事交流を本当に思い切ってやるということも考えられますし、郵便局長のリーダーシップなどが必要になってくると思いますけれども、郵便物流が繁忙期に混雑するのであれば、違う担当の人たちも入れていくなど、一つの郵便局の中で、運用をもっと柔軟にしていくということも考えられると思います。
 今、グループ全体で言うと、個社がそれぞれの事業としてやってきたことをグループ全体で価値を出していき、また、グループ全体でリスクについて感度を高めて芽を摘んでいくことが必要です。例えば、かんぽ生命保険商品と投信の横断的販売もまさにそういう観点で掘り出しましたが、JP改革実行委員会の委員の皆さま方に、まだまだ仕事の業務の性格によって、縦割り構造が残っているという印象を抱かれていたわけです。そこをグループ全体で変えていくために幾つか検討すべき事項があると考えております。先ほど申し上げました人事交流等をもっと柔軟に進めてまいります。それは金融2社と日本郵便ということもありますし、日本郵便の中でも担当の業務で内容の違いが出てきますので、もっと柔軟に進めてまいります。本社、支社と現場の郵便局との間の交流も進めて、支社の立場で全体が見られるような経験を積んでいってもらうということも考えられると思います。
【記者】
衣川社長にお伺いいたします。JP改革実行委員会の中で、委員の方から信頼回復と同時に社員の誇りの回復がすごく大事ではないかとおっしゃる方がいらっしゃいました。郵便局は、仕事そのものが社会貢献と重なる部分が多いと思います。そうしたことを意識してもらうのに、いろいろなことをされていると思います。新しい仕組みや、これからやっていきたいこと、地域貢献など、お金にならなくても評価ができることについて、ご検討されていますか。
【日本郵便社長】
非常に本質的なご指摘で、かつ具体的にどうやっていくのかが難しい質問です。一つは、郵便局の中で毎日の仕事について頑張っている社員を評価する、褒めるということが大事だと思っています。それは、小さな職場の中だけでなく、郵便局と支社との関係、あるいは支社と本社の関係で、いろいろなところで重層的に出てくると思います。今のところ具体的にどうしていくかというところまで申し上げることはできません。地道な活動を評価していく制度を考えていかなければならないと思います。また、コーチングのようなマネジメント手法、あるいは人材育成手法としても考えていかなければならないと思います。JP改革実行委員会でのご指摘を受けて、そのような感想を持ちました。
【記者】
池田社長にお伺いします。春から評価体系を先行的に変えた背景にはどのようなお考えがあったのでしょうか。
【ゆうちょ銀行社長】
評価体制について、できるだけお客さまの評価を取り入れようという考え方をいたしました。サービス向上委員会を設置し、お客さまにそぐわないことをすることは、我々のやるべき仕事ではないという原理に立ち戻り、評価の定量部分を相当落とし、定性部分、お客さまの評価の部分の点数を増やしました。
 もちろん投資信託などの金融商品は、ボラティリティーが高いと、場合によってはお客さまの評価が変わってきます。単純に言うと、押し込み販売をするなということです。そうしたことは評価しないという原理で、新しい体制をつくったところでございます。
【記者】
千田社長にお伺いします。おわび行脚を経た上で将来を考えていくに当たり、大きく今までの方向を変えていくようなお考えはありますでしょうか。
【かんぽ生命社長】
かんぽ生命の存在意義ということを、役員も含めていろいろ考えています。ともすると業界他社と一生懸命競争して、打ち勝つような動きをしてしまいがちです。けれども、我々は、全ての人生に寄り添っていくという経営理念を持っています。広く、簡単な、高齢者も含めて温かい、郵便局だから、かんぽの保険だから出来ることを、どのように実現するのかが我々の存在意義だと思います。そうしたことを胸に、社員の人たちが頑張って、お客さまに対してサービスをしていける会社にならなければならないと思います。そうした意味で、かんぽ生命としての会社の使命をしっかり考えて動いていこうということを、役員でも話していますし、今後、具体的にどうしようかということを考えていきたいと思います。
【記者】
衣川社長に物流戦略についてお伺いいたします。現在、御社はECの荷物を受託することを成長戦略として掲げていらっしゃいます。そのECの荷物の配送の中で、近年、価格競争が起きています。今後、どのように単価を維持しながら受託されていくのかをお伺いいたします。御社の直近の決算でも単価は下がっておりますので、そこをどのように維持していく、あるいは上げていくのかというところの戦略をお伺いいたします。
 関連して、御社の場合、ECの荷物は外部委託パートナーに委託していますが、委託パートナーの中から、委託される荷物の量が多過ぎる、ドライバー1人当たりに対する負担が多くゆうパックの配送委託は受けたくない、などの声があります。委託戦略についても教えてください。
【日本郵便社長】
二つ目のご質問からご回答いたします。ゆうパックの場合、委託先の皆さまにお願いをして配達をしている量がかなりございます。よって、委託業者さまとどのように友好な関係を築いていけるかということは、大きな課題だと思います。
 一方で、1個当たりの単価をどれだけ引き上げられるのかという問題は、世の中の状況を見ながら、お互いが納得できるところで、良好な関係をこれからも維持していきたいと思っております。
 また、私どもは、ゆうパケットなどの小型のECの荷物は、郵便物と一緒に配達できる部分がかなりありますので、一定の有利性は持っていると思っております。当然、価格競争は無視できないわけですけれども、利益を削って、極端に言えば、原価割れを起こしてまで量的な拡大を図ろうとする戦略はとるべきではないと考えております。
 全体的なネットワークの効率化は、常に考えていかないといけないことなので、そうしたところで原価を抑制しつつ、取扱量を少しでも増やしていければと思います。その際、品質面で一定のご評価をいただいていることは、武器になると思いますので、品質面でのメリットを生かしつつ、お客さまにご納得をいただけるサービスを展開していきたいと思っております。
【記者】
価格について、御社は、楽天さんと特別運賃プロジェクトを進めていらっしゃいますが、どうしても定価よりも単価が安くなってしまうということで、昨今の状況を踏まえますと、こちらも改定の必要があるのではないかと感じます。その点について衣川社長のお考えを教えてください。
【日本郵便社長】
今のご質問は、別途担当からお答えさせていただければと思います。
【記者】
先ほどの質問の追加です。経営理念を変えてまっとうな経営をやろうということはよく分かりました。その中で、押し込み販売をしない、お客さまに寄り添うという姿勢などは評価できると思うのですが、現実にさまざまな数字を作ってきたのは、お年寄りなどよく分からない人に対して押し込み販売をしてきた結果だと思います。そうしたものがはげ落ちてしまった後、これから経営はどのような水準になっていくのでしょうか。
 今回、やっと正常軌道に乗って運転再開が始まったわけですけれども、主力商品を販売しない状況が長く続いたことは、当然、業績に影響があると思います。経営理念を変えるということも収益力と関係してくると思います。これから業績はどうなるのか、今まで公表した数字がありますが、これだけの大きな変更があれば売り上げや収益目標などが変わってくると思いますので、その辺についてつまびらかにしていただきたいと思います。
【日本郵政社長】
グループ全体として、今回の問題を重く受け止めておりますので、それぞれの会社で無理な販売をして数字を稼いでいた部分は、当然、落ちることになります。
 一方で、商品性、商品のラインナップの問題になりますが、時代が求める商品をどれだけ展開できるのかが重要になります。例えば、今回も投信が問題になりましたが、今、時代が本当に一過性の商品を求める人ばかりかというとそうではなくて、長い人生の中、積み立て型で将来に備えていこうという、例えばNISAとかiDeCoなどの商品の必要性もあると思います。これは金融教育とも多少重なってくるかもしれませんが、堅実な商品で将来に備えようという方もおそらく出てくると思います。そのようなお客さまを積極的に掘り起こして、私どもでそのような方をお客さまに加えて、お客さまから見てわれわれを加えていただくようなことを徹底してやっていきたいと思います。
 また、郵便物流でもテクノロジーが進化し、時代がデジタル化をして、AI等を使うことで配送の質を極限まで高めたいと思います。そのことによって、例えば今の時代に合っている、厚さ3センチまでのゆうパック、ゆうパケット、レターパックなどは、お客さまから大変支持されていますので、もっと伸ばしていくことができると思います。一方、本来もっと取り込むべきでありながら取り込んでいない部分があるのではないかという考え方も持っています。そういうことがどれだけの数字になるのかはまだつまびらかではありませんが、長い目で見た際、信頼を失うことになる短期的な収益を、取り込むつもりはありません。ゆうちょ銀行をご覧いただくと明らかですが、まだ限度額が設定されており、超富裕層を相手に商売するような金融機関ではありません。広く多くの国民の皆さま方が身近なところで使っていただける、そういう郵便局ということでしたので、そのようなお客さまを大事にしていく姿勢で、これからも郵便物流の世界、金融2社も進んでいきたいと思います。
 数字的にどうなるかは、これから中期経営計画の中で明らかにしていきますが、その中では不動産などを新しい柱にしていきたいと考えておりますので、そうしたものを取り込み、一方で問題を起こした、ゆうちょ銀行やかんぽ生命を通した悪い販売の仕方ではなく、お客さまの人生設計にあった総合コンサルティングサービスの中で両社を通した新しい商品販売ができれば、それはまた経営にプラスになってきますので、そうした発想のもとできちんと数字に計上できるものを大胆に取り込んでいきたいと思います。
 私どものデジタル戦略などが、どこまで中期経営計画の数字に反映できるのかについても検討したいと思います。ダイレクトバンキングなどは、私どもはこれまで非常に遅れていましたので、これに取りかかるということも考えられますが、数字の面については、具体的に計上するのかどうかについて、来年5月の次期中期経営計画の発表までに、よく詰めたいと思います。新規事業にも足を延ばし、経営の観点から数字も積み重ねていきたいと思います。
 ただし、経営理念に反する、あるいは経営方針、行動憲章に反するようなものには、一切手を出さないつもりです。先ほどありましたように、押し込み販売のような形でやることは決してありません。そうした企業として生まれ変われば、国民からの支持が得られるのではないかと思います。
【記者】
経営理念が大事なことはよくわかりました。しかし、上場企業である以上、数字をきちんと示すことが必要で、来年の5月に示すといっても、世の中は四半期業績見通しのようなものを求めています。
 確かに押し込みはどれぐらいかというのは簡単ではないかもわかりませんが、経営を引き継いだ後、いろいろと調べたと思います。ざっくり言って、ゆうちょ銀行にしてもかんぽ生命にしても、あるいは日本郵便にしても、げたを履いていた、ある意味で、押し込み販売でかさ上げしたのは、全体の売り上げや収益の何%ぐらいあったとお考えですか。何割か、何%かなど、自分としてはこれぐらいだと思うことを、それぞれの社長さんに言っていただきたいと思います。
【日本郵政社長】
押し込み販売を数字として計上していたかどうか、私の認識は定かではありません。そういうものがその数字の中で何割入っていたかという分析はできないと、私自身は思っております。
【記者】
ほかの方はどうですか。特に販売を自粛すると、委託手数料に響いてくる日本郵便は深刻ではないかと思います。ゆうちょ銀行にしてもかんぽ生命にしても、底だまった資産が多いのですぐに影響はないと思いますが、販売を控えていけば、当然、経営に影響が出ると思います。その辺について、それぞれの社長の見解を伺いたいと思います。
【日本郵便社長】
日本郵便の衣川でございます。委託手数料については、ご存じのように、今年度は営業目標も設定をしておりません。かつ新規契約はお客さまからお申し出がある場合、非常に限定的な状況でお取扱いをさせていただいている状況です。その意味で委託手数料が大きく減っているのは事実で、今年度金融窓口業務は、非常に厳しい状況になっております。
【記者】
どれぐらい厳しいのでしょうか。
【日本郵便社長】
金融窓口業務だけですと、公表もしておりますが、予算上かなりの赤字になる計算になっております。先ほどご指摘がありました過去の営業において、無理な営業はどれぐらいあったのかという数値については、何割かと申し上げるだけの理解をしておりません。いずれにしましても、げたを履いていたのは事実だと思います。先ほどの増田の話と一緒になりますが、将来に向かって地道にやっていくしかないと思います。短期の無理な営業で、短期の利益を獲得するということはできませんし、やるべきでもないと思います。やはり地道に一歩ずつやっていくしかないと思っております。
【ゆうちょ銀行社長】
私が押し込みなどと申し上げてしまい、非常に乱暴な発言で申し訳ありませんでした。私どもは基本的に全体の収入のうちの9割が市場運用収入です。1割が国内のリテールです。そのうちの約2割が投資信託や新しい商品の販売ということで、決算を公表しています。
 今の投資信託を柱の一つにしようとしてきたことも事実でございますが、先ほどのご質問のとおり、預かり資産を増やしていこうという戦術に前年度から切り替えてきております。したがって、幾らげたを履いていたのかと言われますと、非常に厳しい話ですが、今、2兆4,000億円ぐらいの預かり資産がございます。
 もともと投資信託の商品というのは、お客さまのためを考えるとノーロードになってくるだろうと思います。したがって、預かり資産ベースにしたほうが、われわれはいいと思っております。増田社長が申し上げたように、押し込みはしないのだけれども、そういう形でお客さまの利益に反映していく、お客さまにも利益、われわれにも利益になるような反映をしていこうという考え方でおります。
 したがって、現在は少し足踏み状態が進んでいるところですが、いずれじわじわと上げて、お客さまの信用を得ていきたいとの思いです。
【かんぽ生命社長】
かんぽ生命の千田です。それぞれの人によって営業目標の捉え方は違っていたかも分かりませんが、やはり背伸びをしているような営業目標であったということは、われわれもそうだと思いますし、特別調査委員会の報告でも、そうしたことが記されているということです。
 今は、営業目標を設けていない状況ですけれども、それが来年度から、また戻るのかというと、それは違います。われわれが本当にやらなければいけないことは量ではなく、本当にお客さまの信頼を回復して、お客さまの裾野を広げる戦略に変えていくことです。商品も変えてまいります。そして真の営業力を持つ社員をしっかりと育ててまいります。全く違った形でわれわれとしては動いていかなければいけないということで、ご質問をいただきましたように、以前の売上や収益目標の数字と今後のそれらを比較することはできませんし、するべきではないと思っております。それを踏まえた次期中期経営計画をしっかりつくっていきたいと思っております。
【記者】
確認させていただきたいのですが、今回、業務運営開始ということで、謝罪活動から始められるということなのですが、本格的な販売営業は、その開始の際に、社長から何かおっしゃられるのか、それとも地域ごとに、徐々に段階的に広がっていくのか、お伺いしたいです。
【日本郵政社長】
本格的な営業に移るかどうかは、お客さまお一人おひとりによって変わると思います。これまでの間も、お客さまのご要望があった場合には、満期を迎えて代わりの商品をご希望されるお客さまには販売をしておりました。お客さまによって、そうした行動に進んでいけるかどうかは、お一人おひとり、場面場面によって異なってきます。そこをどのように進めていくかは、現場の判断になります。今回、いわゆる業務運営を開始するに当たって、手続き的には取締役会の決議等を行いましたが、これから先はそうしたことなしに、執行側の判断で、場面場面に応じて、さらに先に進んでいけるかどうかということを考えていきたいと思います。そうした意味では、実際に10月5日以降、いろいろな活動を始めていかないと分かりません。全国一斉に本格的な営業に切り替わるということを、アナウンスするかについては、今のところは考えておりません。それは段階段階で、適宜考えていくべきではないかと思っております。
【記者】
そうしますと、現場の判断で本格的に開始したいというようなところがあれば、その地域では個々に本格的な販売営業ができるということでしょうか。
【日本郵政社長】
現場の判断といいましても、管理者、郵便局、支社など、いろいろな段階があります。そのときそのときで、お求めに応じて販売したものに事故がなかったのかなど、きちんと見ていく必要がありますので、先の段階にすぐに進めるとは思っておりません。これまで、私どもがつながりを持たせていただいたお客さまに、おわびをするだけでも相当な時間がかかると思います。判断を現場に全部任せるということではなく、一定のまとまりごとに判断をしていかなければいけないと思います。これは始めてみないと、どのような単位で先に進めていったらよいのか、これからよく現場の状況を見ながら考えていきたいと思います。
【記者】
池田社長にドコモ口座の件で、2点確認をいたします。一つは、先ほどのお話で、既に被害が出た人や、不審なものを見つけた人へのご対応についてはよく分かりました。ほとんどのお客さまは、多分そうでない人たちですので、お客さまがどうしたらよいのか、何か行動したほうがよいのか、何もしないでよいのか、メッセージをいただければと思います。
 二つ目は、今日、高市総務大臣が会見でおっしゃっていたのは、お年を召されていたり、障害があったり、過疎地にいるなど、なかなか残高チェックをするのにも時間がかかる人もいるので、銀行側で調べたらどうかということでした。そうした調査は、既にやっているのでしょうか。やっていないとしても、今後どのようにしていきたいのかというお考えを、教えていただければと思います。
【ゆうちょ銀行社長】
先ほども申し上げましたとおり、まず一番は、可能であればお客さまに通帳をご確認いただき、ゆうちょ銀行の通帳の中で、自分が腑に落ちないものについて、ぜひコールセンターにお電話をお願いしたいと思います。
 それから、我々はチャージをしておりますので、そのチャージから何らかのヒントがないかということを探り始めているところです。それは先ほどのお年寄りの方々が通帳を常時ご覧になっているわけではないというご指摘のとおりで、両面作戦でいこうと考えております。
【記者】
既にそうしたことを、ゆうちょ銀行として、今週始めているということでしょうか。
【ゆうちょ銀行社長】
まだスタートをしているわけではないのですが、どのようにすればできるかということを頭の中で整理をしているところです。
【記者】
例えば、勝手に口座がひもづけられているとすると、10月にも、またお金を引き出されるケースが危惧されます。
【ゆうちょ銀行社長】
チャージは全部止めました。それから、新規口座登録もできないようにしています。ですから、そうした問題はありません。
 私どもは、具体的に言うと2017年からNTTドコモさまと提携をしています。そこから遡ってチェックをしていきます。どういう形でチェックをするのが適正なのか、あるいは効率的なのかということを検討している最中です。
【記者】
2点あります。1点目、増田社長にお尋ねしたいのですが、前回、JP改革実行委員会で示された約束の100点満点の評価方法なのですが、この点数が何点になったら本格的な営業再開に踏み切るなど、どのような使い方をするのでしょうか。
【日本郵政社長】
お答えします。そうした使い方をするつもりはありません。第三者が評価の基準に則り100点満点で評価をしたものは、世の中にお知らせいたします。世の中にお見せすることによって、お客さまが私どもの商品を買うかどうかについても、まだまだこのグループは危ない、あるいはここまで回復してきたということが、お分かりになると思います。この約束の点数の公表によって抑制効果を期待しているところです。きちんと規律が高まっていないということは、その後、我々がさまざまな営業をしていく上で考慮の要因の一つにはなると思います。ただし、この点数が何点になったら一般的な営業活動を進めてよいなど、営業活動とひもづけて考えていくものではないと考えております。
【記者】
もう1点、池田社長にお尋ねいたします。ドコモ口座の件で、ゆうちょ銀行でも被害が確認されたということですが、それはいつ頃のことなのでしょうか。
【ゆうちょ銀行社長】
ハッカーがまだ狙っておりますので、気をつけなければいけないのですが、NTTドコモさまとの関係がありますので、つまびらかにするのはご勘弁いただきたいと思います。
【記者】
過去に被害が確認できた時点で再発防止策を打てなかったのは、どういう理由だと見ていますか。
【ゆうちょ銀行社長】
再発防止策については、NTTドコモさまと議論をしております。議論は終わっておりまして、非常に奥歯に物が挟まった言い方をするのですが、再発防止を意識して話し合っているということをお伝えしたいと思います。
【記者】
2017年から接続されて、被害が数年前に確認できた可能性もあると思うのですが、そのときに対策を打てなかった理由を教えてください。
【ゆうちょ銀行社長】
私どもは、昨年5月からゆうちょPayをスタートしました。安全性がよいということで、ゆうちょPayに固めてきました。チャージのところでも援用されては問題だということで、それぞれチャージをする会社さまと意見交換をしているところでございます。どのようなセキュリティー対応をするかという判断は、提携先のご判断が一番であり、提携先のご判断を促していたということが事実でございます。
【記者】
増田社長にお伺いします。本日、お客さまへの約束を出されました。これは個人の社員の評価に使うわけではないということでしたが、手当の見直しは既にされています。これから生まれ変わる上で、人事評価も、きちんとお客さまに向かい合っているかということを見ていくことになると思います。グループ全体として社員の評価の部分は、どのように取り組まれますか。
【日本郵政社長】
社員の評価制度についても、今後、見直しをいたします。営業目標の在り方がまず一つあります。それから、営業手当、そして社員の評価と、三つ絡んでいる話ですので、営業目標は今年度は設定しない、営業手当も4月から渉外社員の基本給の比率を多くするなどの見直しを行いましたが、そうしたことと同時に、評価制度も見直しをしていきたいと思います。例えば、お客さまからの満足度をその中に加味していくなど、社員の評価を見直してまいります。検討中あるいは途上の段階です。
(※記者会見における発言及び質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)