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2020年8月26日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2020年8月26日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
日本郵便株式会社 代表取締役社長兼執行役員社長 衣川 和秀
【日本郵政社長】
日本郵政の増田でございます。
 本日は、私どもから4件ご報告させていただき、その後、皆さんからご質問をお受けしたいと思います。
 1件目、信頼回復に向けた業務運営の開始につきまして、ご説明いたします。
 かんぽ生命保険商品、投資信託、提携金融商品については、昨年7月より、本年1月から3月までの業務停止命令期間を含めて、積極的なご提案は控えておりました。
 この間、お客さまに与えてしまった不利益の回復を最優先課題としつつ、このような創業以来最大の危機を招いた原因の分析を特別調査委員会など第三者の力を借りながら行うとともに、再発防止策を策定、実施してきたところです。
 先月、JP改革実行委員会から「再開について最低限の必要条件は充足されている」との評価をいただきましたが、会社側としては、フロントラインの意識や、経営理念の浸透の仕掛けなど、まだ確認すべきことがある旨、先月末の会見では述べさせていただきました。
 この1か月、各社経営陣が、支社長会議、主幹地区統括局長会議や郵便局訪問等を通じて現場の状況について意見交換をしてまいりました。また、お客さま本位の業務運営など経営理念の浸透についての仕掛けも講じたところです。こうした過程を経て、本日、「信頼回復に向けた業務運営」を開始することを、グループとして決定いたしました。
 具体的にどういう意味かというと、お手元の報道発表資料にも記載のとおり、「ただちに金融商品を勧奨する等の積極的な営業活動をするのでなく、ご迷惑をおかけしたことをお詫びするための信頼回復に向けた活動を行うことから始める」ということです。
 今般の不適正募集により被害を受けたお客さまの怒りや苦しみに思いを馳せるとき、まずは社員一人ひとりがお客さまに対し、ご迷惑をおかけしたことをお詫びすることから始めていきます。
 営業自粛期間中は、満期を迎えたお客さまなど限られたお客さまにのみコンタクトをさせていただき、ご要望に応じて商品のご案内をさせていただいておりました。
 これからは、それ以外のお客さまに対してもコンタクトをさせていただき、お詫びと、真にお客さま本位の企業グループに生まれ変わるという決意をご説明することで、新たな第一歩を踏み出させていただきたいと存じます。
 業務開始日については、信頼回復に向けた業務運営の趣旨が、社員へ共有・徹底されていることが確認できた段階で、改めてお知らせいたします。
 2件目、ご契約調査の進捗状況につきまして、ご説明いたします。資料をご覧ください。
 別紙1ページ目の「お客さまの信頼回復に向けたご契約調査の進捗状況」と書かれた資料をご覧ください。記載内容につきましては、大きな変化はなく、前回の公表から数値項目等を更新しております。更新箇所は赤字で表示しておりますので、ご確認いただければと思います。
 ご契約調査につきましては、2ページ目に記載しております「基本方針」に基づき、すべてのお客さまにご加入の契約がご意向の通りになっているかを確認し、お客さまに不利益が生じている場合は利益回復を行うとともに、ご加入の生命保険をお客さまのお役に立てる活動を積極的かつ継続的に実施してまいります。
 3点目、かんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応について説明申し上げます。資料をご覧ください。
 この件については、前回公表いたしました。本日は、その後のお客さま対応の進捗状況等につきましてご報告します。
 まず、項番1本件の「課題認識」について申し上げます。
 2020年4月よりグループ会社各社が連携して複数の商品にまたがるお客さまの苦情を分析いたしました。
 その結果、かんぽ商品と投資信託の同一のお客さまに対する販売において、お客さま本位でない営業が行われた可能性のある苦情、たとえば、「元々かんぽに加入していたが、投信の分配金でかんぽの保険料を賄えるとの誤った説明により、かんぽを解約し、その返戻金をもとに投信に乗り換えた。さらに投信の分配金を保険料に充当する前提で新たにかんぽに加入したものの、分配金が減少して保険料が賄えなくなった」といったものが2019年4月から2020年6月までに複数回発生している状況を把握したところ、79人のお客さまがこれに該当しました。
 今回の報告事項について、まず、項番2「苦情をお申し出の79人のお客さまへの対応」について申し上げます。
 まず、苦情をお申し出された79人のお客さまにつきましては、連絡がついた63人のお客さまに改めてご意向確認、取引内容の精査などを行うとともに、当該取引に関連する社員へのヒアリングを実施しました。その結果、お客さま本位でない懸念のある取引にかかるお客さまは41人、関連する社員は43人でした。
 これらの社員につきましては、既に18人は営業活動を停止済であり、25人については営業活動を停止する手続きを取っております。さらに調査を進めた結果、法令違反等に該当すると判断された場合には、法令等に従い厳正に対処してまいります。
 また、契約無効等のご要望については、ご意向をよく確認のうえ真摯に対応してまいります。
 なお連絡がついていない残りの16人の方には、引き続き対応してまいります。
 次に、項番3「特にお客さま本位でない懸念のある取引の確認」につきまして申し上げます。
 例示で申し上げた苦情に係る取引は悪質性が高い可能性のあることから、苦情の有無にかかわらず、過去5年(2015年度~2019年度)に遡って類似する取引を行われたお客さま、727人の全員につきまして、ご意向を確認いたしました。前回公表した765人は苦情お申出のお客さま79人と一部重複等がございましたので、727人が対象となります。
 その結果、304人のお客さまについて、お取引がお客さまのご意向に沿っていたものであることを確認いたしました。一方、205人のお客さまにつきましては、今後訪問などでより詳細な確認を行ってまいります。
 なお連絡がついていない218人のお客さまには、引き続き対応してまいります。
 詳細確認の結果、お客さま本位でない取引の懸念がある場合は、当該取引に関連する社員について9月中に順次営業活動を停止し、法令違反等の調査を行い、厳正に対処してまいります。
 また、契約無効等のご要望については、ご意向をよく確認のうえ真摯に対応してまいります。
 次に、項番4「その他のお客さまへの対応」につきまして申し上げます。
 その他のお客さまについて、かんぽ商品と投資信託両方のお取引を一定期間内にいただいたお客さまは過去5年間で約2.2万人でした。これらのお客さまについては、9月中にご意向確認を始めさせて頂きます。
 最後に、項番5『改善に向けた取組み』を申し上げます。
 信頼回復に向けた業務運営の開始後は、お詫びとともにアフターフォロー活動に最優先で取り組んでまいります。
 なお、投資信託の販売につきましては、アフターフォロー活動の中で、お客さまに購入のご意向がございましたら、まずは、つみたてNISA等の積立型商品をご提案いたします。
 今後とも、グループ会社間で十分な連携をとり、お客さま本位の業務運営の徹底を図ってまいります。
 4件目、先月に引き続き、日本郵便による募集人及び当時の管理者に対する処分状況についてご説明いたします。
 本件につきましては、日本郵便の衣川から説明いたします。
【日本郵便社長】
それでは、先月に引き続き、日本郵便による募集人及び当時の管理者に対する処分状況についてご説明いたします。
 先月は、募集人及び当時の管理者、そして役員を含む、本社支社の責任者に対する処分について公表いたしました。
 また、併せて「今後の処分スケジュール」として、『本年8月には、特定事案全般に係る募集人の当時の管理者の処分を検討・実施する予定です。』と申し上げておりましたので、今回はその件についてもご説明申し上げます。
 では、資料別紙の右側をご覧ください。
 まず、全体としての処分実施状況です。
 上段のマルの箇所に記載していますように、前回の公表時以降、募集人413人に対して懲戒処分を実施しております。
 また、当時の管理者に対する処分として、今回、229人に対して懲戒処分を実施しております。
 それぞれの詳細については、この後、ご説明いたします。
 まず、募集人の処分状況です。
 懲戒処分の手続きとしては、まず募集人から非違の顛末等を書面で提出させることとしておりまして、これは6月より開始していますが、本日現在で、特定事案に関しては全体の約34.2%の876人から、多数契約調査については全体の81%の64人から徴取しているところです。
 そして、その徴取した書面の内容を精査した上で、懲戒処分の量定を検討し、処分実施となるわけですが、資料の表中「今回実施分」としているところが、前回の公表以降、処分を実施するところになり、多数契約調査分については再掲として表示をしております。
 なお、「今回実施分」については、一部を除き、昨日(8月25日)より懲戒処分の執行を順次開始しております。
 また、累計数として、先月公表した分も含めた合計数を表の右側に記載しております。
 処分内容に関して、まずは「今回実施分」の再掲としております、多数契約調査に係る募集人の懲戒処分についてご説明いたします。
 今回、懲戒解雇として7人、停職が5人、減給1人の合計13人の処分としております。
 懲戒解雇の7人については、前回の公表時も属性等を公表しておりますので、ご説明申し上げます。
 この7名は、30代から40代で、当時、郵便局に勤務し、全員が男性、役職は課長から主任となります。
 地域に関しては、北海道支社エリアで1名、東北支社エリアで1名、東海支社エリアで5名となります。
 なお、郵便局名については個別事案となるので控えさせていただきます。
 事案の概要としては、これも先月ご説明した内容と概ね同じですが、3年程度から長い場合ですと8年程度に亘って、お客さまに保険商品を販売する際に意向を適切に把握することなく、自己の実績欲しさのために既契約を解約又は減額させ、約3年で50件であるとか、短い期間で100件以上という保険契約の受理を繰り返したというものです。
 また、懲戒解雇以外の6人については、募集に係る関与度合い・役割などを考慮し、停職が5名、減給を1名としています。
 特に減給とした1名については、「共同募集」という形で当該事案には関わっておりましたが、採用されてからの年数も短く、主たる役割を果たしていた共同募集人の非違行為を是正できる立場にはなかったと認められること、また、件数や期間も多くはなかったなど、その当たりを考慮して処分量定を決定したものです。
 続きまして、多数契約調査の13人の募集人処分を今回実施分の合計の413人から引くと400人、これが特定事案調査に係る募集人全体の処分数となります。この中には、エリマネ局長、エリマネ局社員、インストラクター、優績者も含まれています。
 各処分量定につきましては、表の「今回実施分」の箇所から、多数契約調査の再掲分をそれぞれ差し引くと、特定事案に係る募集人の処分状況となります。
 今回、停職が1人、減給が141人、戒告が253人、訓戒2人、注意3人、合計400人の処分としました。
 今回も、特定事案調査に係る「社内ルール違反」のうち、「厳重注意」と「処分免除」の一部について、処分を実施しています。
 「減給」あるいは「戒告」処分としたものが多いですが、停職1名については、違反件数が複数件あり、また過去に保険募集に係る処分を受けていたことも確認されたため、他の量定よりも一段重くなっています。
 また、訓戒・注意とした処分については、募集時の役割分担や関与が少なかったり、保険の募集実績確保のため、家族に保険募集を行って、一定期間後に解約があったなど、顧客との関係性や自認の有無等も鑑みて軽減したものがあります。
 これにより、表にありますように累計の処分実施数は603人となります。
 先月公表した処分数は全体の7%程度でしたが、今回の処分数は前回の数の約2倍程度(15.5%)となり、累計で見ると特定事案調査で全体の22.5%、多数契約調査では全体の26.6%と進捗となっており、概ね4分の1まで実施したことになります。
 募集人処分につきましては、再調査等が必要なものを除き、概ね年内には処分執行が終えられるよう、引き続き対応してまいります。
 続きまして、募集人の当時の管理者に対する処分についてです。
 冒頭に少し触れましたが、8月には、特定事案調査に係る当時の管理者に対する処分を実施することとしておりましたので、その部分も含めて説明させていただきます。
 表の作りは、さきほどの募集人の処分と同じです。「今回実施分」の箇所に多数契約調査に係る管理者の処分数を再掲しております。
 さきほど申し上げた、多数契約調査の募集人の当時の管理者だった者に、個別の過怠が認められましたので、訓戒処分を5名としております。
 一方、個別の過怠が認められなかった当時の管理者に対しても、特定事案や多数契約の不適正募集の発生状況に鑑み、「実態把握が不十分」であったと認定し、今回、当時の局長、副局長、部長に対して、懲戒処分を行うこととしました。
 該当する処分数は「今回実施分」合計の229人のうち、多数調査の5人と停職の1名を除いた223人となります。この中には、単マネ局だけでなく、エリマネ局長も含まれています。
 管理者の処分については、募集人の人事処分が未だ始まっていない段階で当時の管理者に対して責任を問うことの難しさもあり、今回からの本格的な実施となります。先ずは、特定事案調査に係る不適正募集を発生させた事案のうち事実認定が比較的容易な案件を対象としました。なお、管理者処分は今回で終わりということではなく、今後も順次実施していきます。
 それから、第1弾の募集人への処分の検討に際して、募集人からの申し出の内容を精査したところ、当時の管理者から、パワーハラスメントに当たる行為が確認されたことから、当該管理者1名に対して、今回、停職処分といたしました。
 今回の事例としては、営業成績が上がらない部下社員に対して、同僚の面前で通常の営業指導を超えた侮辱的な発言等を繰り返して行っていたこと、また、部下社員が不適正な保険募集を行っていたことは、これらの行為を受けていたこととの関係もあると考えられることから、上司の行為はより悪質性が認められると判断し、これまでのパワーハラスメントに係る基本的な処分量定よりも加重しております。なお、本件がパワーハラスメントとしては最初の事案であり、関係者の調査も続いていることもあり、具体的な発言内容等についてはご容赦いただきたいと思います。
 なお、今回は1名の処分としておりますが、あくまでも今回実施分の8月末のタイミングまでに事実認定した事案ですので、既に継続して調査している事案も複数あり、そこから更に深堀りする事案もあろうかと思います。しっかりと調査の上、不適正募集との因果関係についても良く調べていくように担当部門には指示をしております。
 先月の会見で、私から「今後いろいろ調査をしていく過程の中で、個別にパワハラ事案があった場合は個別事項として判断していく」と申し上げましたが、今回の件がそうであるように、社員から書面による顛末や弁明を求めている中で、パワハラに関する指摘が行われるような事案を念頭置いていたものです。
 以上が、今回の募集人の当時の管理者の処分に係る部分となります。
 最後に、資料の右側の一番下に、「(参考)その他の人事処分」と記載しています。先月公表しました本社・支社・エリア本部等の責任者に対する処分状況ですが、人数については先月の時より変更はありません。
 これにより、これまでの処分実施数トータルとしては、かんぽ生命分も含みますが1,217人となります。
 最後に1点補足させていただきます。先月の会見時に、「募集人や管理者が不正な数字により昇職しているのであれば、その昇職させた人物や、そもそも昇職したことについてどうなのか」とのご指摘があり、私から「懲戒処分と人事任用は分けて考える必要がある」と申し上げました。
 これだけですと説明としては不十分だと思いますので、少し補足させていただきます。例えば昇職させる際に重大な事実を見逃していたり、昇職に係る虚偽報告をしたり等、不適正な事案が発覚すれば、それについては厳正に対処してまいります。しかしながら一般的には、昇職に関しても営業成績だけでなく部下に対する指導力や勤務年数等様々な要素が考慮されますし、局長や支社の関与もあるので、懲戒と昇職人事についていえば、基本的には別であると考えております。
 本日報告しました処分状況について、途中経過とは言え、既にこれだけの社員の処分に至ったことを重く受け止め、お客さまに対し、ご迷惑、ご心配やご不便をお掛けしていることを深くお詫びするとともに、今後、信頼回復に努めてまいります。
 私からの説明は以上でございます。
【記者】
最初に、冒頭、発表された信頼回復に向けた業務運営の開始についてお伺いいたします。少しイメージが湧きにくい部分がありますが、例えば信頼回復に向けた業務運営の趣旨が、社員に共有、徹底されていることが確認できた段階でとの部分について、どのような確認をするのでしょうか。関連して、業務開始日を決めるまでの時間は、例えば1、2か月でできるものなのか、年内いっぱい難しいのか、イメージがあれば教えてください。
 2点目、オーストラリアのトール社の業績低迷が続いております。立て直しに向けたお考えについて教えてください。また、事業の売却という話も取り沙汰されておりますが、どのように対応していかれるのか教えてください。
【日本郵政社長】
1点目は私から、2点目のトール社につきましては、日本郵便が親会社として管理を行っておりますので、衣川からお答え申し上げます。
 1点目です。今回の取締役会におきまして、もう少し具体的に申し上げますと、月曜日に日本郵便、本日の午前に日本郵政、午後にかんぽ生命それぞれの取締役会におきまして、業務運営につきましては、業務開始に必要となる条件についておおむね充足されているという認識の下で決議をいただいたところでございます。その際に、幾つかの点については、執行部でさらに、念には念を入れてしっかりと確認をし、その上で業務開始日を決定するようにとのご指摘をいただいたところであります。
 具体的には、二つあると思っております。一つは、今回の信頼回復に向けた業務運営の趣旨を社員に繰り返し繰り返し徹底をするようにということです。すなわち、お客さまの信頼回復の第一歩として、お詫びを中心とし、会社の姿勢というものを伝えるということ、それが今回の業務開始の意味合いだということを、全国多数の社員の隅々まできちんと徹底するようにというご指摘でございます。これにつきましては、これまでも、まずお詫び活動からスタートしようということを私も繰り返し申し上げてきているわけでございます。業務を再開するという決議があって初めて、社員が具体的な活動について意識をするもので、そのさまざまな現場に対して多様な商品を扱っておりますので、事細かにさまざまな点について説明するためには、やはりそれなりの時間も必要となると思います。まず、考え方、理念を繰り返し繰り返し、隅々まで丁寧に説明するために、一定の時間が必要だと思います。それを確認していくために、具体的には、私も含めた幹部が、これまでも支社長や局長などの意見を聞いてまいりましたし、現場の郵便局に足を運んで、どういう状況になっているか確認をしてまいりましたが、そういったことをさらに行う必要があると思っております。
 二つ目は、前回、そして今日もご報告申し上げましたかんぽ生命保険商品と投資信託の横断的な販売への対応についてであります。営業活動の制限が必要な社員を特定し、そうした社員を現場に出さない措置が必要であるということを指摘されているわけでございます。これも当然のことでありますので、執行部でしっかりとその点を確認した上で業務開始日を決定したいと思います。
 かんぽ商品、投資信託、提携金融商品等の営業活動を行ってきた社員には、これまでも研修を繰り返し行ってきたわけですけれども、今、最終段階まで来ていると認識をしております。具体的に、お客さまの前に出て、業務再開日につきましては、ここは私の感覚でありますが、これから非常に多くの作業が必要になるとは思っておりません。これまで積み上げてきたものを最終的に、念には念を入れて確認をし、業務開始日を決定して、きちんと準備に必要な期間を経て、いわゆる信頼回復に向けた業務運営を開始していくことになるわけでございます。その具体的な日にちは、意思決定をしましたら、きちんと公表したいと思っております。
【日本郵便社長】
トール社につきましては、経営の非効率性もあり、これまでも非効率部門の集約、整理等、いろいろなことに取り組んでおりますが、これは物流業界全般に共通する原因ですが、今回、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、業績的には大変苦労をしております。現在、その経営改善に向けて、さまざまな可能性について検討をしているところでございます。
 なお、トール社自身の売却については、現時点で具体的な決定事項はございません。
【記者】
2点お伺いいたします。これまで、再開に当たっての5条件を繰り返し会見等でおっしゃっておられました。改めて、今回、こうした形で公表されるに当たり、どういった点が充足されたとお感じになったのか、増田社長にお伺いいたします。
 2点目、今日も発表がありましたとおり、投資信託との問題等、まだまだ懸案は多く残っており、今後も処分が続くと思いますが、こうした終結が見えない中で活動を再開されていくに当たり、再発防止との兼ね合いをどう留意されていくか、もう少し詳しく教えてください。
【日本郵政社長】
5条件の全部は申し上げませんけれども、被害を受けられた方の経済的な被害が回復をされており、さまざまな契約行為について管理体制がしっかりと構築をされているなど、最低限必要な条件につきまして、おおむね充足されていると考えております。JP改革実行委員会からも、現場もご覧いただきました上で、第三者の目から見て、おおむね充足されているという評価をいただいております。
 その上で、大前提であるわけですが、営業自粛に入る以前の段階は、飛び込み営業と言われるものも含めて、積極的にお客さまのところに足を運び、さまざまな商品についてご説明をした上で、契約を頂戴するということをやってまいりましたが、以前のような形で営業を直ちに行うつもりは毛頭ございません。これだけの大変な問題を引き起こしたわけでありますので、まずお客さまのところに足を運び、お詫びを申し上げることにしております。これは募集人だけではなく、会社全体としてということであります。全ての人間が、その言葉を伝えるというところから始めていく必要があると思います。
 全員がそういう意識になっていくためには、やはり手順や手続き等が必要になると思っております。取締役の皆さま方も、それについて現場等に行き確認等をしていただいているわけでございますが、二度と間違いが許されませんので、念には念を入れて、きちんと確認、徹底をするように、ご指摘をいただいております。今回のようなことを、可能な限り丁寧にやっていきたいということで、こうした手順を取らせていただいたところでございます。
 それから、俗にクロスセルと呼んでおりますけれども、かんぽ商品と投資信託の横断的な販売についての関係でございます。こちらについては、一番問題があるだろうと思われるものについて5年間全ての抽出が終わっております。
 それ以外のものは、今後、内容について調査に入っていくわけですが、既に一番深刻な問題につきまして、販売ルールを厳格化し、文書にてきちんと指示を行い、社員への徹底に取り組んでおります。
 また、きちんとアフターフォローをする体制もつくり上げました。
 加えて、モニタリングの強化も行っております。データをモニタリングし、片仮名氏名と生年月日を突合させて、別の会社であっても、いろいろな商品についても、近接した時点で契約をしたというものを、機械的にどんどん取り上げられるような仕組みになってございます。そうしたモニタリングの強化体制もつくってございます。
 更に、郵便局の現場での第一線において、チェック体制の強化をしたということもございます。およそ取り得る体制については構築をした、ということです。
 かんぽ生命の不正問題があった過去5年間に、ほかにもさまざまなことが行われているのではないかという危機感の下でリスク感度を高める必要があると思います。これまでも業務改善計画の中で申し上げてきたわけですが、リスク感度を高めて、こうした類型があるということを突き止めましたので、特に問題の高い類型の募集人を現場に出さないように、止めるということを大至急やる必要があると思います。
 これらの総数は、727件ということが分かりました。1か月強で、そうした体制が取られるということでございます。まだ信頼回復のための業務運営を開始する日にちを決めていないというのは、そこを完全に見定めた上で次のステップに行こうということです。新たなこうした問題の防止策を我々なりにとってございますので、今回、最後の2点を確認した上で、業務の信頼回復に向けた業務運営を開始していこうと判断したものでございます。
【記者】
積極的な営業活動をするのではなく、お詫びをするためということで、金融商品の勧奨などの積極的な営業活動をするのではないということですが、お会いしたお客さまに勧奨はしてはいけないということなのでしょうか。
 また、勧奨等を再開する日付は、もっと後で新たに定めるということなのでしょうか。
【日本郵政社長】
現場でどのようにお客さまに接するかは、業務そのものでありますので、これまでもその時々に、いろいろなことを会社の中で、それこそ毎日のように相談しながらやってきています。
 今でも営業自粛ということではありますが、お客さまから、例えば保険が満期となり、違うもので継続していきたいといったご要望がございますので、そうしたときはお客さまにお目にかかってご相談をして、十分ご納得をいただき、きちんとチェックをして契約を結ぶということはございます。もちろんトータルすれば件数は限られておりますが、今の営業自粛をしている間でもそういうことは行われております。
 したがって、お客さまのお話やご要望は、その現場、その現場、お一人おひとりで非常に多様でございますので、当然のことながら、これからさらにその範囲を広げていくわけですので、お客さまのご要望で、ぜひ満期についてこうしたいというご要望もあれば、お客さまの強いご希望で新たな金融商品を購入したいというご意思が示されることがあると思います。そうしたお客さまのご要望には、対応していくということになるわけでございます。そうしたお話はなく、こちらのほうから、このような商品がありますというようなことは、私どもは差し控えるということです。コロナ禍でありますので、こちらのほうからお目にかかることが大変難しい場面が多くはございますが、通常で考えますと、多くの場合には電話を差し上げて、大変ご迷惑をおかけしていますので、まず、その気持ちをお伝えに行ってよろしいでしょうか、あるいは、もしそうしたご契約のご関係者が郵便局に来局した際に、お声がけをして、そういうお詫びの気持ちを伝えるなど、多様な場面があると思いますが、お客さまのご意向を最優先に、我々のお詫びの気持ちを伝えることを考えていきたいと思います。
【記者】
増田社長は、業務開始まで長くはかからないとお話しされましたが、これはお詫び行脚に関するご説明だと思います。そこからいわゆる本格的な営業開始までさらに一定の期間がかかるのか、お詫び行脚がスタートしたら、あまり間を置かずに本格的な営業開始に進んでいくのか、そのあたりのスケジュール感についてどのようにお考えでしょうか。
【日本郵政社長】
これは始めてみないとなかなか分からないところがあります。実際に、どこまで私どものお詫びの気持ちが通ずるかということですが、私どもがご契約をいただいているお客さまは大変膨大な数です。単純に計算しますと、900万人以上の方がいらっしゃいます。大胆に申し上げますと、今年度いっぱいはお詫び行脚をするだけで精いっぱいというぐらいになると思います。したがって、今年度は、お詫びを繰り返し繰り返しやっていくだけでもう精いっぱいではないかというぐらいの気持ちでおります。
 あとは、現場に行って、実際に始めながら、そういった状況をよく確認して、次を考えていきたいと思います。
 長くはかからないと申し上げましたのは、取締役会から確認するようにとのご指摘がありました2つの点を確認して、具体的に日にちを決めることについてです。今、最終段階に来ておりますので、間を置いて来年になって決めるなどといったことはないという意味で申し上げたものであります。
【記者】
業務運営は、例えば10月くらいから開始できるのでしょうか。
【日本郵政社長】
そこはまだ申し上げられません。現場に行って、取締役からお話しいただいたことを、きちんと確認した上でということです。ご決議はいただきましたけれども、取締役の皆さま方のご指摘にお応えしていきたいと思います。
【記者】
衣川社長にお聞きします。
 1点目、先ほど管理職の処分について、事実認定が比較的容易なものから行うとおっしゃいましたが、この事実認定が容易なものと容易でないものとでは何が違うのか教えていただきたい。
 2点目、2月に四国で行ったフロントラインセッションで、不適正募集の疑いがあった場合は、お客さまからも社員からもヒアリングを行い、丁寧に対応し、主張が食い違った場合はさらに両者から再度ヒアリングを行い、最終的には弁護士を交えて相談すると回答されたそうですが、現場の社員からは、実際には、社員からのヒアリングは行われず、一方的にこの募集手当の返納が求められたとの不満があるようですが、この点はどうなっているのでしょうか。
 関連して、10年近く前の契約の無効が行われているようですが、消費者契約法では5年で時効ですので、なぜ10年近く前の契約が無効になるのでしょうか。契約を無効にすると、今まで受けていた税控除について税務署に修正申告する必要がありますが、それについて案内していないのではないかとの声がありますが、いかがでしょうか。
【日本郵便社長】
1点目のご質問について。事実認定が容易なものとそうでないもの違いについては、具体的な基準はともかく、考え方としては、今回、特定事案については、実態把握が不十分ということで管理者の責任を認定しようとしておりまして、少なくとも郵便局、あるいは部署で、件数が一定件数以上あれば、それは実態把握が不十分であったと言えるのではなかろうかと考え、まず、一定件数以上の件数が発生している郵便局を選んだところです。
 一方、あまりにも件数が多いところは、実態把握不十分以外の何かがあるかもしれませんので、もう少し個別に確認したいと考え、今回の対象から外しておりますが、いずれにしても、何か問題があるのかないのかはきっちり見ていきたいと考えております。
 2点目のご質問について、四国でのフロントラインセッションでの私の回答は、人事処分を念頭に置いたものではないかと思っています。
 これまでの募集人処分は、リニエンシー等で募集人が事実関係について自認している事例を中心に行っておりますが、今後、募集人がそもそも事実認定自体について認めていない事例が出てきた場合については、より慎重に見ていかないといけないと思っております。
 ただ、そういったものについての具体的な方法は十分に整理できていませんが、まず、募集人処分について、かんぽ生命でいろいろな事実認定を行っておりますので、その際の資料、お客さまがどうおっしゃっているのかについての記録も見た上で、外部の弁護士の意見も聞きながら、日本郵便としての事実認定を行い、処分を検討していきたいと考えております。
 手当返納については、なかなか難しい話だと思っております。手当返納制度自体は、基本的にかんぽ生命が簡易生命保険時代から行ってきたものを引き継いでおり、無効にするかどうかは、かんぽ生命に判断していただいております。従来からあった制度を今回そのまま適用した結果、いろいろと郵便局からおかしいのではないかという声が上がっていることは承知しております。もともとの制度自体がこのような事態を想定していなかったことから、どういうところが問題なのか、論点を整理した上で、かんぽ生命とどのような対応ができて、できないのか相談したいと思っています。
【記者】
契約無効かどうかはかんぽ生命が判断しているから、時効についてもかんぽ生命が考えることということでしょうか。
【事務方】
かんぽ生命でございます。まずは、募集人調査とは切り離して、迅速にお客さまの利益回復を図るが重要だと判断しております。そのため、迅速な利益回復のための手段といたしまして、消費者契約法上の取消ではなく民法上の和解という方法を取っております。ですので、時効には当たらないと考えております。
 10年近く前の契約が無効にされているとのご説明がございましたが、例えば、多数契約というように、短期間で多くのご契約の解約や新規契約を繰り返しているような場合、多くの契約を合意解消として初めから無かったことにしたり、契約を復元しておりますので、古い契約が無効にされている場合があります。
 税務の関係につきましては税務当局からご指導をいただきながら、例えば、ご案内を弊社のホームページに掲出したり、お客さまに送付しております。
【記者】
局長などに現場の声としてお話を聞いたとのことですが、具体的に例えばどのような意見が多く出て、それに対してどのようにお感じになったのでしょうか。
 また、かんぽ商品と投資信託の横断的な販売について、「法令違反等の懸念の観点から調査が必要な社員」と記載されておりますが、具体的にどういったことが法令違反になるのでしょうか。
【日本郵政社長】
現場の声は非常に多様で、第一線のフロントの社員はお客さまの前にできるだけ早く伺い、きちんとおわびをしたいという声が多くございました。
 一方、きちんとおわびから始めて、会社としての新しい姿をお客さまにお伝えするということについて、社員全員に趣旨が十分徹底されていないので、それなりの準備期間を設けて、理念や考え方を徹底していきましょうという意見もございました。
 7月、8月に行った支社長との会議などでも多様な意見がありましたが、業務運営を開始するということについては、突き詰めると、今申し上げたような意見があったのではないかと思っております。そのほか、ただ単に業務をどのように開始するかだけではなく、そもそもの基本、私どもの会社がどういう考え方で、社会の中でどういう存在であるべきなのか、原点から考え直さなければいけないのではないかといった意見もありました。
 繰り返し、繰り返し、創業の経営理念、行動憲章をもう一度みんなできちんと復習をしていこうと、そういう活動を進めていくことは非常に重要な活動だというご意見も聞きました。全てはご紹介し切れませんが、非常に多くの意見、多様な意見をいただきました。
 なお、先ほどの人事処分との関係について申し上げますと、私もこれは別の組織のトップをやっていたときに経験がございますが、現場の社員の中には、処分が行われている中で少しざわつく感じがあるといった現場の状況というか空気感についての意見も出たところでございます。
 これは我々に対して課せられた試練として乗り越えていかないと前に進んでいけませんので、私ども組織全体が今回のことを重く受け止めて、謙虚に反省し、お客さまに改めて繰り返しおわびを申し上げて、その上で、一歩、二歩踏み出していくこととしなければいけないと思います。再スタートを切るに当たっても、ただ単に以前の会社、営業姿勢に戻るのではなく、これから一段高いレベルで進んでいかなければいけませんので、そのための仕掛けを構築する必要があります。
 まずは、お詫びをしたうえで新しい生まれ変わった会社の姿勢をお伝えするということから始めるということを今、繰り返し、繰り返し、社員の皆さんと確認し合っている状況でございます。
 かんぽ商品と投資信託の横断的な販売に係る法令違反については、金融商品取引法違反と保険業法違反の両方が考えられますが、先ほど例示で申し上げました特に非常に悪質だと思われる例は、金融商品取引法に反するおそれがあると思っています。
【記者】
本日決定された「信頼回復に向けた業務運営の開始」について、執行部は、このあとの積極的な勧奨も含めて、開始日をいつにするかについては、取締役会から一任を得られたという理解でよろしいでしょうか。
【日本郵政社長】
信頼回復に向けた業務運営を開始することについては、執行部が先ほど申し上げた状況をきちんと確認した上で行うとの決議をいただきました。
 その先のことについては、実際に現場でお客さまからのいろいろなご要望に対して私どものが、生まれ変わった新しい会社の姿勢でお応えしていくことになります。当然契約に至るものも出てまいりますし、形は非常に多様だと思っております。取締役会からは、そういう慎重な姿勢で、ともかくもう一度会社の姿勢を伝えることからきちんと業務運営を開始していきなさいと言われております。それを受けて、その後どういうふうに進めていくかについては、執行部のほうに委ねられていると考えております。
 したがって、平たく申し上げると、お詫びから開始することについては、きちんと、たががはめられていますので、私どもの理解でも年度いっぱいは間違いなく時間がかかりますし、場合によっては、なかなか伝わらないということであれば、翌年度も、そういったことを進めていかないといけないと考えています。
 その結果、私どもの考え方が伝わっていけば、お客さまとの信頼が回復していくと思いますので、その上で、お客さまからより積極的なご要望などが出てくると思います。そうしていけば、いわゆる通常の活動に戻ることができるのではないかと思っています。そのあたりは、活動を始めていって、それぞれの段階で私ども執行部が責任を持って判断していきたいと考えております。
【記者】
トール社についてお伺いします。先ほど衣川社長は、非効率部門の集約を行ったなどとお話しされていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響が出る以前から、2019年3月期の第3四半期の時点で、もう既にトール社の営業損益は、前年割れし、採算は悪化していました。採算改善策に効果がなかった理由について教えてください。
【日本郵便社長】
ご指摘のとおり、ここ何年間かあまり採算がよくなかったというのは事実です。そのため、今年の1月から新しい経営体制にするために、経営陣の交代を行いましたが、残念ながら、その後新型コロナウイルス感染症の流行があり、タイミング的に非常によくなかったということが主な原因でございます。トール社自体が、合併吸収を繰り返して大きくなってきた会社のため、非効率的な部分があって、集約しようと思ったのですが、それがいろんな事由で想定された効果を発揮できなかったと理解しております。
【記者】
先ほど売却の予定に関しては、現状決まったものはないということでしたたので、現時点ではトール社は保有して立て直す予定と感じました。トール社は日本郵便の郵便・物流事業において全くシナジーがないと思いますが、トール社をどのように今の既存事業に生かしていくのか、今後のお考えをお伺いします。
【日本郵便社長】
もともと国際物流のプラットフォームとして、買収をいたしましたので、その方向で生かしていくには、どういうやり方があり、どういう経営改善策が適当なのかということについてさまざまな検討をしているというのが現状でございます。
【記者】
特に決まったものはないということですか。
【日本郵便社長】
はい。特に決まったものは、現時点でご報告できるようなものはございません。
【記者】
増田社長のお考えもお伺いします。海外で成長していくためにこれまで国際物流が必要ということでグループとしてやってこられたと思いますが、現状もそういった成長戦略に当たって国際物流というのは必要というお考えをお持ちなのでしょうか。
 また、2021年度から始まる新たな中期経営計画において成長戦略が示されることが期待されるフェーズに入ってくることについて、日本郵政グループのトップとしてどのようにお考えでしょうか。
【日本郵政社長】
トール社は国際物流事業の柱にしようとして当時の経営陣が買収したと思います。そして、随分いろいろな手を打ちましたが成績よくない状況にあって、去年の暮れに経営陣が交代をして、それでもう一回立て直そうという考えだったと思います。私は外から見ていて、新型コロナウイルス感染症とサイバーアタックの2つの要因があると考えています。そのような要因がない場合に、経営陣が交代してきちんと立て直せたのか、それとも駄目だったのかは、よく分からないところです。
 経営陣が交代しても、結局、効果は出ていませんが、サイバーアタックは大きな打撃になりました。新型コロナウイルス感染症はそれ以上の大打撃ですが、同業他社も大変な状況ですから、もしそれがなかった場合にどうだったかよく分析できないと、トール社をどうしていくかというところが、本当の意味で、なかなか分析しづらいところです。
 ただ、そういう状況の中で、トール社においても、フォワーディング事業やシンガポールを中心としたアジアのコントラクト事業は利益が出ています。ですから、これから国際物流事業についてトール社にも期待できる部分があるかもしれません。ここはよく分析しなければいけないと思います。
 トール社にこだわらず、国際物流事業については、エクスプレス事業やフォワーディング事業など、いろいろな事業分野ありますが、今後、非常に大きいニーズがありますので、しかもアジアにニーズがかなりありますから、さまざまな観点からぜひ取り込んでいきたい分野だと思っています。
 中期経営計画については、時期が来ましたらまたご説明申し上げたいと思います。中期経営計画は世の中一般の皆様方に会社の姿勢をお示しするものですが、特に投資家に対して、これからどういう社業を展開していくかお示しするものでありますので、その中に成長分野をどういうふうに取り込むか当然のことながら示していかなければならないと考えます。
 年数等も含めて今まさに社内で議論をしております2021年度にスタートする次期中期経営計画において、どの程度の期間を取って、どういう柱を取り込んで、それを成長につなげていく種にしていくかについては、ある程度の段階になりましたら、またきちんとご説明ができると思っております。
【記者】
衣川社長にお伺いします。窓口業務の社員や郵便局長が、そのおわび行脚が始まったらどういう動き方をしていけばいいのか、もう少しイメージを詳しく教えていただければと思います。
【日本郵便社長】
私が抱いているイメージは、窓口社員は窓口でおわびをしていただくことになると思っています。そのための何かツールをつくらないといけないと思っています。窓口にいらしたお客様にお詫びや我々の今後の活動方針をご説明していただきたいと思っています。窓口にいらっしゃるお客さまはご用件をお持ちでいらっしゃっておりますが、お時間を割いていただけるような場合には、簡単でも良いのでご説明をするような機会をつくらせていただければと思っています。基本は窓口での対応になりますが、窓口社員もお客様からご要請があってお客様宅へ行くこともないわけではありませんので、そういった場合には渉外社員と同じようなことをやっていただくというのが基本であると思っております。
【記者】
それは郵便局長も含めてということですか。
【日本郵便社長】
はい。
【記者】
増田社長にお伺いいたします。ゆうちょ銀行が春から投信の評価体系を販売額から預かり資産で評価するよう大きく変えていらっしゃるようですが、日本郵便やかんぽ生命は、今後、商品を販売した際の評価体系をどういうふうに考えていかれるのでしょうか。
【日本郵政社長】
現在多くの投信を取り扱っていますが、ゆうちょ銀行、日本郵便が中心として取り扱っていかなければいけないものは、基本、積立型と考えています。しかも若い方々がこれから将来長きにわたって、少額ですが、ずっときちんと積み立てて老後に備えるような、そういう商品を中心にお勧めをしていくということが、これから、姿勢を示す上でも、必要ではないかと思います。これについては3社でそういう方向に切り替えていこうと考えています。今年になりましてから、たびたび話し合っておりまして、取り扱う商品については、相手先との関係もございますので、今申し上げた方針をお伝えしながら、転換を図っていこうと考えているところです。
 政府も、つみたてNISAやiDeCo等少額ですけれども、きちんと積み立てて将来につなげていく金融商品を税制上優遇しています。我々はなかなか取り込めていませんが、将来、本当に国にとっても大事な若い人たちに対して非常に必要な商品であると思いますので、そういった商品をご案内することが、会社としての一つの方向であると考えております。
【記者】
それは最終的には募集手当にもかかわってくる問題でしょうか。
【日本郵政社長】
手当のことも含めていろいろ見直しをしていかなければいけないと思っております。今回の大きな不正事件の反省に鑑みると、手当の見直しを行ってでも、こういう商品を多くのお客様にお勧めするということが当社にとってはいいのではないかと考えています。
【記者】
販売ルールの強化やアフターフォロー体制、モニタリングの評価などの見直しをやっていかれるということですが、これはおわび行脚の中でも、ある程度実施をしていくということになるのでしょうか。
【日本郵政社長】
先ほど申し上げました販売ルールの厳格化などは、もう既に行っておりますので、これは社員にどれだけ落とし込んでいくかという問題がございますが、先ほど申し上げましたアフターフォロー体制の強化、モニタリング、チェック体制の強化等、概ね制度としては構築し、運用を始めたところです。データモニタリングの仕組みも、一部稼働していたものが、今月、来月ぐらいで全て稼働し始めます。このデータモニタリングをすると、今までなかなか複数の契約が分からなかったのですが、提携商品まで含めて横断的に把握できますので、きちんとしたチェックがより実効的にでき上がってくると思います。既に仕掛けをつくって、動かし始めているものばかりでございます。
【記者】
新しい日本郵政グループを目指す過程において、売りたい商品のみを売る企業体から総合的に金融コンサルティングができる企業体への転換を図られるということですが、郵便局は地元のあらゆる組織のマッチング役を期待されています。地方創生コンサルティングなども含めた何でも相談窓口のようにされていくお考えはありますでしょうか。
【日本郵政社長】
よろず相談窓口みたいな存在として郵便局を変えていきたいという思いは強くあります。すぐに全部のことはできませんが、まずは、地域のニーズ等を把握することから始める必要があります。それから、そういう把握したニーズをきちんとこなせるだけの能力を高める必要もあります。また、そのことが過剰な業務の強化になってもいけません。これは全国の地域ごとにもやれるもの、やれないものがさまざま違ってくるとは思います。これから人口減や高齢化が進んでいきますと、地域から、これまでとは相当違った新しいニーズが出てくると思います。少し公共性が強いものになると思います。そういったものを担うのは、最後は郵便局と役場です。役場は拠点を集約化していますので、地域に残るのは、多分、郵便局ぐらいではないかと思います。私どもは民間企業ですから、ボランティアでやるには限度がありますので、きちんと民間企業として必要な契約を結び、しかし地域のためにお役に立ちたい、そういう拠点でありたいという強い思いがございます。今回、政府でつくっていただいた、「まち・ひと・しごと創生基本方針2020」という地方創生の政府の基本方針にも、郵便局について記述していただきました。ちょうどいい機会であると思いますので、郵便局の機能をより地方創生の中で生かしていく観点で、自治体などとこれから積極的に相談していきたいと思っています。
【記者】
本日の会見に千田社長がご出席されていないのは、午後、かんぽ生命の取締役会があったからでしょうか。
【日本郵政社長】
本日の会見は、基本的に、「信頼回復に向けた業務運営の開始」を含め、グループ全体を代表して私が行うものですが、募集人及び当時の管理者に対する人事処分について説明するため処分権者である衣川社長が同席することといたしました。
【記者】
増田社長に伺います。これまで会見で使われていた「営業再開」という言葉が今回、使われていないことの意図を伺えますか。
【日本郵政社長】
取締役を中心に、単に「営業再開」という言葉をそのまま使うと、社員の中に誤解が生じるのではないか、あるいは世の中に誤ったことを伝えるのではないかというご指摘があり、私も確かにそうだと思いました。1月から3月までの業務停止命令は解かれているのですが、改めて「営業再開です」と言うと、昨年、一昨年等々にずっと誤ったことをし続けた、あのような営業をまた再開するのではないか、あのような営業をやっていいと誤って社員にも伝わってしまうのではないかと思います。失墜した信頼をまず回復するために業務運営を開始するという気持ちを特に社員に伝えるため、このような言葉を使っております。
【記者】
衣川社長に伺います。今年1月以来、上司の不正の関与、パワハラも等については証言があれば調べていくとお話しされていますが、不正の調査の過程で、どのように社員の証言を会社として集めようとされているのか教えてください。郵便局員の方々からは、そのような不正の関与を具体的、積極的に、明確に聞かれるようなことはなかったということもよく聞きます。始末書も上司がチェックしている例があり、なかなかそういう証言が会社として集められないのではないか思うのですが、その点を含めて教えてください。
 増田社長にお考えを伺いたいのですが、今、不正を行った郵便局員の処分が進み、それに併せて、その上司については、件数等に応じて半ば機械的に処分されています。取材を進めていきますと、例えば、若い社員が入社して最初の郵便局で、社内規定違反である例えば乗換の潜脱を上司から教わり、転勤後も続けても誰にも止められず、むしろ成績を上げると褒められたと聞きます。そういう環境の中で、結局、不正を行った社員が一番重い処分を受け、募集手当の返納なども起き、その上司は、今のところかもしれませんが、実態を知らなかったということだけで軽い処分を受けています。
 不正を知っていたり、加担したりした人たちが多くいると見られる状況がかなり明確にあるにもかかわらず、そういう者を処分しないまま、業務運営の再開、営業再開と次のステージに進んでいくことは大丈夫なのかでしょうか。
【日本郵便社長】
本日説明したパワハラと認定した1件は、いわゆる顛末書の中に書かれていたものから調査を進めたものです。それについては、前回、お話ししたと思いますが、特定事案については、220名の方に、事実関係、顛末を書面で説明をしてほしいとお願いして、提出していただきました。そのうち180何名について、前回、処分を執行しました。
 残りの方については、前回、よく確認しないといけないことがあり、個別に検討しておりますと説明させていただきました。そのうちの1件が、今日、ご説明した停職の事案です。先ほども申し上げましたが、このほかにも、よく確認しなければならない案件があり、今、それを行っているところです。
 募集人の処分は、今後も、顛末書を出していただき、事実関係の確認を進めていきます。顛末書を出していただく際には、当該事案に至った経緯、背景事情等について可能な限り記載をしてくださいとお願いをしており、実際、先ほど申し上げましたように記載されている例も一定数出てきておりますので、私どもとしましては、まずはここのところをきちっとやっていきたいと考えております。
 また、ハラスメントの相談窓口、あるいは業務改善計画に記載しております新たな内部通報窓口も設け、前回の増田社長会見で報告されましたが、内部通報の運用面に課題があると思いますので、JP改革実行委員会の横田委員にも実態についていろいろ評価をしていただくようお願いをしているところでございます。横田委員の様々な分析等も踏まえ、問題があれば直して、よりよいものにしていきたいと思っております。ハラスメントの問題については、まずは、総合的に運用していく中で対処していき、それでも足りない部分があれば次のことを考えていきたいと思っております。
【日本郵政社長】
2点目の質問についてお答えします。個々にみれば、現場の募集人、若い方も多いと思いますが、先輩方からいろいろな手法を覚え込まされといった事例も多分あると思います。1問目の衣川からの回答にも関係しますが、当然、現場で契約を取った者、現場の募集人に対してさまざまなことを行う空気感をつくっていった上司、そのような人たちもあわせて、きちんとした処分ができれば、現場での納得感も高いでしょうし、それが望ましいのは当然のことだと思います。私自身は、今回のこの大変な大不祥事の原点は、特別調査委員会の報告書にも書かれておりますが、被害を受けたお客さまのお怒りや苦しみにきちんと思いを馳せることであると考えたときに、背景はいろいろあったかもしれませんが、お客さまから見れば、いろいろな説明をして契約を締結した人がきちんと必要な処分を受けることがあってしかるべきだろうと思いますので、募集人も明確な根拠に基づいて処分を受けることが必要だと思います。その管理者についても、どういう行為を行ったか明確であれば、必要な処分を受けてしかるべきであり、今回、僅か1名でありますが、停職処分となりました。やはり管理者であっても、法令違反という具体的な行為をできるだけ確認をして、多くの行為が確認できれば、その現場の空気感もだんだんに変わっていくのではないかと思います。
 大きく変えていくためには、やはりある程度の年月がかかります。今回、それによって募集人についても、管理者についても、きちんと実態を全て把握できるというわけではないと思います。根が深いだけに、当然のことながら、なかなか表面化してこないものもあるのではないかと思います。ただ、これを繰り返し、繰り返し、やり続けていかないと組織風土が変わっていきません。どういう問題であっても、組織風土が変わって、広い意味でのコンプライアンスの意識が根づくためには相当な年月がかかりますし、いろいろな現場の空気感もさまざまではあるのは他の例もそうなのですが、とにかくお客様のために、全部それを乗り越えて、やり遂げていかないといけないので、その第一歩として、処分をこれからも続けていかなければと思っています。
 したがって、不正に加担をした人は、知らなかったというだけで逃れるということはあってはならないですし、それが事実と異なっていることが内部通報制度などで具体的に浮かび上がってくれば、より公平な処分につながっていくと思います。
【記者】
増田社長にお伺いします。お詫びをするための信頼回復に向けた業務運営の開始に関する資料を読む限り、お詫び行脚といいながら、がん保険、自動車保険については、今後、幅広い顧客に接触をして勧奨するというふうに読めてしまうのですが、そういう理解でよろしいですか。
【日本郵政社長】
昨年来、がん保険と自動車保険については、今回の事案の外側で扱ってきたと聞いております。しかし、当然のことながら、さまざまなモニタリングは、関係する金融商品全部に網をかけることになります。これらの商品は、営業自粛期間中も取り扱っておりますので、このように資料に書いたわけですが、これからの業務運営においては、がん保険や自動車保険も含めて、慎重な上にも慎重に販売をしていきます。ただし、積極的に販売していない商品とは従来から区分けしておりますので、そこは別に考えます。ただ、姿勢としては、お客さまに決して迷惑をかけることがないように慎重取り扱っていきたいと思います。
【記者】
改めて、提携金融商品について、変額年金などは営業自粛をし、がん保険と自動車保険は自粛しなかった理由を教えてください。
【日本郵政社長】
昨年来、前経営陣により策定したことに従っているわけであります。変額年金などについては、今回もきちんとモニタリングの仕組みを作って、全ての商品について、モニタリングを行います。既に金融庁も含めた関係者の間で行った区分けに従っているところです。
【記者】
かんぽ商品と投資信託の横断的な販売に関し、一定期間内の両方の取引を頂いている2.2万人のお客さまについて、この「一定期間」の定義を教えてください。
【日本郵政社長】
取引には、かんぽ商品の加入と解約、投資信託の購入と解約がありますので、取引の組み合わせは4ケースになります。解約と解約という組合せはあり得ませんので、残りは3ケースです。かんぽ商品と投資信託の両方を2カ月以内に購入する場合、一方の商品の加入または購入と一方の商品の解約をこの2カ月の間に行う場合、それから、投信信託の分配金の受取とかんぽ商品の保険料の支払いが1カ月以内に行われている場合を整理して、お客さまを機械的に抽出すると、先ほど申し上げた人数となります。
(※記者会見における発言及び質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)