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2020年7月29日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2020年7月29日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
日本郵便株式会社 代表取締役社長兼執行役員社長 衣川 和秀
株式会社かんぽ生命保険 取締役兼代表執行役社長 千田 哲也
【日本郵政社長】
日本郵政の増田でございます。
 本日は、私どもから、かんぽ生命保険商品の募集に係る問題における人事処分、グループ社員による持続化給付金の申請・受給に係る対応状況等の2件についてご報告させていただき、その後、皆さまからご質問をお受けしたいと思います。
 まず、かんぽ生命保険商品の募集に係る問題における人事処分について、ご報告いたします。資料をご覧ください。
 まず私から、本件の概観、全体像について説明いたします。資料別紙の1ページをご覧ください。
 今般の問題については、多くのお客さまへの不利益を生じさせ、郵便局や郵政グループに対する信頼を大きく損ねたこと、また、業務停止命令という重い処分が下されたことなど、過去の例では収まらない創業以来の危機を招きました。
 したがいまして、今回の懲戒処分については、募集人や当時の管理者である郵便局長や郵便局部長のみならず、日本郵便及びかんぽ生命の本社、支社、エリア本部の営業部門の責任者等についても対象とするなど、これまでに例のない厳格な処分を行うこととしました。
 対象となる人数につきましては、今回、第一弾として日本郵便・かんぽ生命合計で573人の処分を実施いたします。
 本日同席しております、日本郵便の衣川、かんぽ生命の千田も、当時の責任者として処分の対象となっております。
 続きまして、同じ資料の項番2に、かんぽ商品の不適正募集に係る募集人とその当時の管理者、つまり、直属の上司だった郵便局長や郵便局の部長の処分のプロセスについて記載しております。
 募集人に対しては、かんぽ生命において調査の上、募集人資格に係る処分を実施した後、懲戒処分については、日本郵便において、改めて事情の確認の上、処分を執行することとしています。
 管理者については、かんぽ生命の募集人資格に係る処分対象ではないことから、日本郵便において過怠等を調査の上、処分を執行するプロセスとなっています。
 後ほど、両社長から説明をいたしますが、今回は、処分の第1弾として募集人188人、管理者7人を処分したものです。
 次の項番3は、本社等の責任者に対する人事処分です。
 不適正募集に係る調査期間である2014年度以降の、日本郵便及びかんぽ生命における営業部門等の役員、計39人に対して、厳重注意、また、月額報酬の減額を実施いたします。
 それから、両社の当時の本社の営業部門の部長、日本郵便の支社長、支社部長、金融渉外本部長、かんぽ生命のエリア本部長等、計339人を対象に処分をいたします。
 これは、新規契約獲得に偏重した指導・管理や、適正募集に向けた対応や取組みに改善すべき点があったと判断したものです。
 不適正募集に関して、本社支社の責任ある立場の者への懲戒処分を実施するのは、今回初めてのこととなります。
 本処分に係る考え方、対象範囲、処分量定や今後の予定に関しては、日本郵便社長の衣川、かんぽ生命社長の千田からそれぞれ説明いたします。
【日本郵便社長】
日本郵便の衣川でございます。
 まず私から、日本郵便による募集人及び当時の管理者に対する処分状況について説明いたします。別紙の2ページの右欄をご覧ください。
 特定事案と多数契約調査に関し、日本郵便としては募集人と当時の管理者に対し懲戒処分を検討することとしており、その社内手続きは6月より開始しております。
 今回の人事処分は、資料の真ん中あたりに線を引いていますように、かんぽ生命の募集人処分が行われた者のうち「一部を今回実施」するものです。
 まずは、特定事案調査で社内ルール違反として判定された者1,435人のうち、6月時点で募集人処分が免除とされた者の一部220人について、非違行為の顛末等を書面により徴取したところです。
 また、多数契約調査においては同様に業務廃止の通知を受けた者として、6月時点では75人が通知を受けておりましたので、この中から退職者等11人を除いた者64人から、顛末等を書面により徴取しております。
 なお、かんぽ生命から7月に業務廃止の通知があった2名については、今後対応することとしています。
 この顛末等に係る内容について確認・精査した上で、懲戒処分の量定を決定し、7月28日より、順次、処分執行しております。
 その処分量定と人数については、資料右側中段に記載のとおりです。
 まず、多数契約調査については、書面を徴取した64名中、事案や事実関係に齟齬がないと認められる6人の処分を今回実施することとし、懲戒解雇としたものです。
 残り58名についても、今後、順次処分を実施していきます。
 この6人の属性を申し上げますと、30代から50代の郵便局に勤務する社員で、全員が男性で、役職は課長あるいは課長代理です。地域に関しては、茨城県、東京都、石川県、京都府2名、福岡県となります。
 事案の概要ですが、5年から長い場合ですと10年程度に亘り、お客さまの保険商品を販売する際に、契約者の意向を適切に把握することなく、自己の実績欲しさのために既契約を解約又は減額させ、約5年で55件であるとか約10年で100件以上といった、多数の保険契約の受理を繰り返したというものです。
 非違の情状は特に重く、横領ではないものの横領等の重大な不祥事に準ずる行為を行った者に該当すると判断し「懲戒解雇」による措置が相当であるとしたものであります。
 続きまして、停職以下の処分量定に係るところですが、今回は、乗換潜脱等の特定事案に係る募集人が該当いたします。
 先ほど申し上げた220人のうち、これも募集人の顛末等の申出に齟齬がないと認められる182人に対して、今回処分を行います。残り38人については、本人への確認が必要なものや、パワハラ行為のような申告も散見されましたので、事実関係を確認することとしているものです。
 処分の量定ですが、多数の社内ルール違反があった場合ですとか、過去に同様の処分歴があった者については、処分量定を加重し「停職」や「減給」の処分としたものであります。なお、欄外に記載しておりますが、特定事案に係る当時の管理者の人事処分については、8月下旬の実施を予定しております。
 次に、同じ2ページ、下欄の募集人の当時の管理者に対する処分についてです。
 先ほど特定事案に係る管理者処分については8月下旬の実施予定と申し上げましたが、今回は多数契約調査に関して懲戒解雇とした元募集人の当時の管理者7人に対して、当時、本来行うべきであった形式的な確認を怠ったことが認められたため、処分を行っています。
 管理者の処分については、募集人の処分の数に比べて少ない印象があると思いますが、今回は多数契約調査で懲戒解雇とした元募集人の管理者7人を対象として処分を行ったものです。
 なお、管理者におけるパワハラ行為等が認められた場合は、募集人と管理者の処分はセットで考えることとしております。
 続きまして、4ページ目をご参照ください。
 ここでは、今回の懲戒処分に対する会社の考え方を説明させていただきます。
 日本郵便としての処分に係る方針として、まず、募集人に対する処分についてです。
 かんぽ生命における募集人処分では処分免除とされた者もおりますが、人事上の処分といたしましては、厳格に行うこととし、改めて今回の非違行為に対する反省を促したいと考えております。
 特に、多数契約調査の対象となっている事案に関しては、その非違の程度に応じて、原則的な量定から加重して懲戒解雇も視野に入れた処分を検討してまいります。
 次に、郵便局長や郵便局の部長など、募集人の当時の管理者に対する処分についてです。
 管理者として具体的な指導の過怠が認められれば、これに対する処分を実施いたします。
 加えて、特別調査委員会からもご指摘がありましたように、これまでは定められた研修や指導等を行っていたり、書面の形式的なチェックを行っていれば懲戒処分を行っておりませんでした。
 今回は、管理者の責任を明確にするため、不適正募集事案の発生状況に基づき、実態把握不十分、指導不十分という過怠があったことを認定し、処分をすることとしています。
 なお、特定事案に係る管理者の処分については、来月に処分の執行を行うべく準備をしています。
 そして、本社、支社の管理部門の責任者に対する処分についてです。
 今般の事態を招くこととなった実態の把握が遅れたこと、対応や取組みに改善すべき点があったものと判断しまして、今回初めて処分を行うものです。
 支社のかんぽ営業の部長や、金融渉外本部長については、担当する郵便局における不適正募集が多ければ、加重して処分を行います。
 続いて、5ページ目をご覧ください。今回、第1弾として実施する処分内容について説明いたします。
 本社・支社の管理部門については、2014年度から2018年度において金融営業部門等を担当していた役員17人を厳重注意といたしました。
 また、当時の役員3人のうちで、当社退任後、現在グループ各社に在籍している者に関しては、グループ各社に対して、厳重注意と、2020年1月に行った報酬減額では過去の期間の金融営業部門等の担当役員としての責任が考慮されていませんでしたので、今回は、前回の実施分を除いて、6か月の報酬の減額を要請します。
 私自身も当時はかんぽ生命に在籍しておりましたので、かんぽ生命での処分として、同様の措置を受けることとしております。
 表の②の本社及び支社の営業部門等の責任者に関する対象者、処分人数は表のとおりです。
 次に募集人等に対する処分です。区分2の募集人の当時管理者については、先ほどご説明したとおりです。
 なお、今回の懲戒解雇処分は6人ですが、この多数契約調査に係る業務廃止とされた元募集人のうち、既に本年3月30日に2人懲戒解雇処分をしておりますので、今回の分と併せますと、合計8人ということになります。
 今後の人事処分に係るスケジュールにつきましてご説明いたします。6ページをご参照ください。
 先ほど何度か触れましたとおり、まず、本年8月には、特定事案全般に係る指導不十分等に関して、募集人の当時の管理者の処分を検討・実施する予定です。
 このほか、本日ご報告いたしました、特定事案及び多数契約事案については、順次処分を行っていきます。
 その下の段、9月以降ですが、特定事案については、かんぽ生命の募集人処分確定後、順次、処分を行っていくこととし、日本郵便において再度調査が必要なものを除き、概ね年内に処分を執行したいと考えています。
 なお、その他、かんぽ生命における深掘調査の判定がなされると思いますので、これを踏まえて処分手続を開始したいと考えています。
 今回は不適正募集の実態把握が遅れたこと、適正募集に向けた対応や取組みに改善すべき点があったことから、私も含め、本社支社責任者の処分も実施いたしました。もし実態把握の遅れ等がなければ、お客さまに多大なご迷惑をおかけすることもなかったと考えると同時に、日々、真面目に働いてくれている多数の社員にも苦労する目に遭わせることはなかったのではないかと思うと、悔やまれてなりません。ご迷惑をおかけしたお客さま、関係の皆さまに改めてお詫び申し上げます。
【かんぽ生命社長】
かんぽ生命の千田でございます。
 続いて私から、かんぽ生命が実施する募集人資格に係る処分と人事上の処分の状況について説明いたします。
 募集人資格に係る処分については、別紙の2ページ目の左欄をご覧ください。説明を省略させていただきますが、前回の公表から数値を更新していますので、ご確認いただければと思います。
 続いて、募集人調査及び懲戒処分のスケジュールについて説明いたします。3ページをご覧ください。
 項番3の深掘調査について、募集人調査に当たっては、事案ごとに調査するのではなく、お客さまからの苦情等が多い募集人を選定し優先的に募集人調査を行うとともに、調査が終了するまでの間募集を停止することとします。
 現在、1,153人を選定し、募集人調査及び募集人資格に係る判定を行っております。6月末で深掘調査のお客さま確認に一定の目途がついたため、6月末データに基づき、8月には845人の追加を予定しております。
 続いて、かんぽ生命による人事上の処分の状況について説明いたします。7ページをご覧ください。
 かんぽ生命としての処分の考え方については、今般の問題を重く受け止め、保険会社として募集人・代理店に対する管理・指導等の責任があることから、本社・エリア本部・支店の責任者に対して、人事処分を実施するものです。
 まず表上段の執行役については、2014年度から2018年度において、営業や募集管理の部署を担当していた執行役17人に対し、代表執行役である私から厳重注意を行いました。この対象には私自身も含まれております。また、厳重注意対象となる執行役のうち2人が報酬減額の対象となり、2020年1月に行った報酬減額の実施割合分を除いて、6か月の報酬の減額を実施します。
 更に、現在、郵政グループ内他社に在籍している2人については、現所属会社に対して厳重注意と自主返納を要請することとしており、衣川社長もこれに含まれます。
 次に表下段の本社・エリア本部・支店の責任者については、今回初めて、懲戒処分を行いました。
 具体的には、本社については、募集人・代理店である郵便局への管理・指導等の関与の度合いに基づき、処分を実施しました。また、エリア本部・支店については、日本郵便と同様にエリア内・支店受持ち内の郵便局における不適正募集の発生状況に基づき処分を加重して実施しました。その結果、戒告21名等合計123名の処分を実施しました。
 今般の問題の重大性に鑑み、多くの処分を実施しておりますが、私も本社責任者の一人として厳重注意処分を大変重く受け止めております。
 今後は、日本郵政グループの信頼回復に向けて全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 ご迷惑をおかけした多くのお客さま、大変な苦労をおかけした郵便局社員や当社社員など、関係の皆さまに改めて深くお詫び申し上げます。
【日本郵政社長】
過去に例のない不祥事に対してまして、募集人やその管理者だけでなく、本社、支社、エリア本部の責任者に対しても処分を行うことにより、改めて責任を明確化するとともに、コンプライアンスの重要性を再認識し、再発防止の一助としていきたいと考えております。
 次に、グループ社員による持続化給付金の申請・受給に係る対応状況等について、ご報告いたします。資料の別紙をご覧ください。
 本件に関しては、先月の私の会見で、5月末時点で、日本郵便においては107人、かんぽ生命においては18人の申請が判明したことをご報告いたしました。
 その後、6月末の時点で、社員の事業所得(営業手当)の減少の主たる原因は、新型コロナウイルス感染症拡大によるものではないことを改めて社内に周知し、調査したところ、日本郵便においては14人、かんぽ生命においては1人の申請が新たに確認されました。
 全体の状況につきましては、資料に記載のとおりです。日本郵便、かんぽ生命のいずれにおきましても、新たに申請が確認された者を含め、既に受給した者は、すべて返還ないし返還手続き中です。また、申請中の者も、すべて取下げが完了しております。
 しかしながら、日本郵便において新たに申請が判明した14人について、5月末の調査時の状況について確認を行ったところ、未報告又は虚偽の報告であったと認められる者を11人確認いたしました。この11人に対し、昨日(7月28日)より、順次、懲戒処分を実施しております。
 かんぽ生命においても、新たに申請が判明しました1人について、5月末の調査時の状況について確認を行ったところ、未報告が認められたことから、日本郵便同様、懲戒処分を実施いたします。
 一日でも早くお客さまからの信頼を回復すべく取り組んでいる当グループにおいて、グループ社員がこのような不適切な行為を行い、世間をお騒がせし、関係の皆さまに大変ご迷惑をお掛けしたことを心よりお詫び申し上げます。今後はこのようなことのないよう、適切な社員指導に注力してまいります。
 かんぽ生命保険商品の募集に係る問題、グループ社員による持続化給付金の申請・受給のいずれにつきましても、皆さまからの信頼を一歩一歩回復することができるよう、必要な対応を、速やかに、かつ着実に行ってまいります。
 私どもからの本日の説明は以上です。
【記者】
本日の発表資料に「今回、第1弾として」と記載されていますが、営業再開に向けて、今回の処分で一定のけじめがついたとのご認識なのかお聞かせください。
【日本郵政社長】
営業再開に向けて幾つかの条件がございますが、その中で処分をどのように行うかという点は重要な要素だと思います。処分の考え方について公表して、一つの道筋を当社グループとしてつけているつもりでございます。営業再開については、他の要素も考えなければいけませんので、それ以外の要素も含めて判断したいと思います。
【記者】
人事処分は、概ね年内に執行したいというご説明でしたが、今回のこの第1弾の処分は、進捗としてはどの程度終わっているものという認識なのでしょうか。
【日本郵便社長】
資料4ページの項番1をご覧いただければと思います。全体の処分を、検討すべき対象者の数との比較で言いますと、大体7%から8%程度が今回で完了ということでございます。特定事案については、募集人資格処分確定者全体の7.1%、全体2,563人に対して、今回182人です。それから、多数契約事案については7.8%、全体77人に対して今回6人となります。
【記者】
人事処分のスケジュールについて追加の質問です。この後、8月下旬に一部処分を執行、それ以降、順次実施という形でスケジュールが書いてありますが、8月下旬の処分を執行した後では、どれくらいの進捗になるのでしょうか。
【事務方】
日本郵便からお答えさせていただきます。今回公表いたしました懲戒処分は、募集人資格処分者全体の7%、8%程度です。順次、社員から顛末書を徴取しておりますので、次回の処分も同じ規模、またはそれ以上になる予定です。また、管理者の懲戒処分が加わります。
 今回は、初回ということもあり、いろいろな申出があるかと思いましたので、少しスロースタートになっておりますが、処理がだんだん加速していくと思います。数については今後増えてくると思います。8月の時点では、今回と同様に7%、8%、あるいはもう少し増えると思っています。今後、加速してまいりたいと考えております。
【記者】
関連して、資料3ページの深掘調査について、6月末に一定のめどがついて、10月中に845人の募集人調査が終わるということですが、この調査及びその処分はどの段階になればめどがつくと認識されていますか。
【かんぽ生命社長】
募集人資格に係る募集人調査については、1,153人について調査を終えて、判定をしているところです。これについてはもう少しでめどがついてくると思います。
 深掘調査から出てきている845人についての調査は8月下旬から10月中旬ぐらいまでかかると思います。同時並行的に募集人資格処分の判定をしてまいりますが、判定は、恐らく11月ぐらいまでかかるのではないかと思います。その後、その情報を日本郵便に渡し、人事上の処分の手続きに入っていくという流れでございます。
【記者】
増田社長にお伺いいたします。先ほど処分の方向性については、一定の道筋をつけたというご説明がありましたが、営業再開に向けた条件として全員の処分が完了するということを条件としているわけではなく、こうした方向性を示したことで、処分については一つの区切りをつけたというご認識なのでしょうか。
【日本郵政社長】
今、ご指摘いただいた形での理解でよろしいかと思います。処分自体は、繰返しになりますが、年が明けても、また行わなければならない部分がございます。さらに言いますと、深掘調査の中の類型に限って調査をしておりますが、お約束しているのは、経済的な被害のお申出があれば、いつでも随時、調査をして経済的な被害を回復するということです。非違行為があれば、募集人、あるいは関係者を処分いたします。これをこれから続けていくことが会社の姿勢になります。恐らく来年以降も、どのくらいの量になるかは別にして、続くことになると覚悟しております。
 したがいまして、一連の処分が完全に終了するということではなく、処分の考え方、道筋を明らかにするということが私どもとして重要なことではないかと思っております。
【記者】
衣川社長と増田社長にお伺いいたします。
 1点目、今回処分された者には、郵便局長ら管理職と、その上に営業担当の責任者といわれる人たちが広くいると思います。その中で、前回の特別調査委員会の報告書では、不正を知っていて黙認しているような節が見られる管理者、場合によっては、責任者がいた可能性があると読める記述があったと思います。単なる過怠だけでなく、その不正を知っていたか、黙認していたかという視点での調査を行うお考えがあるのかどうかについてお伺いいたします。
 2点目、増田社長にお伺いします。特別調査委員会の報告書やこれまでの報道では、支社に対して不正の実態を訴えたがリアクションがなかったという声がよく取り上げられていたと思います。その部分は、特別調査委員会の報告書も含め、いまだに解明されていないのではないかと思います。その点について、どのようにお考えでしょうか。
【日本郵便社長】
管理者の処分についてですが、今回は、要は確認すべき事項等を確認していなかったという者7名を処分したということでございます。黙認していた者がいたかどうかについては、今のところ明確なものはありませんが、仮にそうした者がいれば、今後、募集人処分の中で、「実は上司が黙認していた」といった証言が出てくると思います。そうした証言が出てくれば、何らかの処分を行っていくことになると思っております。
【日本郵政社長】
2点目について、お答え申し上げます。
 支社のほうに通報したが、リアクションがなかったという指摘は、いわゆる内部通報制度がうまく機能していなかったことに係る問題ではないかと思います。内部通報制度については、私自身の認識を申し上げますと、一定の制度はできておりますけれども、運用に問題があるのではないかと思っております。実は、明後日の定例記者会見で詳しくご説明しようと思っておりますが、現在の内部通報制度が本当にうまく運用されているのかどうか、第三者の方々に現地に行ってきちんと見ていただき、その結果に応じて、新しい仕組みをつくる必要があるのではないかと思っております。今、最終の検討をしているところでございます。いずれにしても、先ほどご指摘いただきました、対応部局にきちんと通報したが、全体は変わらなかったということは、リスク感度の問題であると同時に既存の仕組みが機能していなかったということだと思いますので、運用の問題点をもう一度きちんと突き止めたいと思います。場合によっては、さらに新しい仕組みを追加するということで、対応を考えたいと思います。
【記者】
日本郵便社長とかんぽ生命社長も、今回の処分の対象ということですが、それぞれの対象となった時期とその当時のポストについて教えてください。
【日本郵便社長】
資料の7ページをご覧ください。項番1に処分内容が書いてございます。私が該当するのは、募集管理統括担当、2014年度、2015年度、30%×6か月ということでございます。私は、日本郵政におりました際、10%報酬減額の処分を受けておりますので、それを差し引くと、自主返納による報酬減額は20%、6か月でございます。
【かんぽ生命社長】
資料7ページをご覧ください。左側の対象者の欄に、「1.2014年度から2018年度に以下の部署を担当していた執行役」という記載があり、私は2015年度から2017年度まで経営企画部の担当執行役でしたので、今回の厳重注意を受けました。私の場合、今年の1月から、かんぽ生命の副社長として6月まで40%報酬減額とされましたので、その部分を差し引くと、厳重注意処分だけということでございます。
【記者】
営業再開についてお伺いいたします。先ほど増田社長は、処分以外の要素も考えていかないといけないとおっしゃられましたが、再開に向けた5条件について、JP改革実行委員会から、おおむね満たされているというお墨付きを得ている中で、増田社長が十分に満たされていない条件だとお考えになっているのはどのような部分ですか。
 また、満たされていないところにめどをつけるのに、どれぐらいの時間がかかり、どういう取組みをこれからやらなければいけないと考えているのかについてお願いします。
【日本郵政社長】
まず、必要である条件は5条件です。内容は先月の私の会見でもお話させていただいたので繰り返しませんが、そうした5条件について、JP改革実行委員会に、おおむね、条件は満たされているとご判定いただきましたが、それを受けた上で、改めて、グループ全体として、では一体営業再開はどういう意味を持っているのか社内全体に浸透させる必要があると思います。これは一言で言うとおわび行脚ということだと思います。今、社内で座学の研修を行っていますが、お客さまにお伺いして、面前できちんとおわびをして、会社の姿勢を示すというスタートラインに立っていいのかどうかということだと思いますので、昨年の夏まで行ってきた一般的な営業とは形態が大きく違うことをさらに十分に社員に理解をしてもらう必要があると思いますので、その営業再開の意味は何かということをさらに浸透していくことが必要だと思います。
 2点目としては、現場での空気、あるいは温度がどのようになっているのか。これはフロントライン全部をもう一度調べることがベストではありますが、なかなかそれは叶いませんので、少なくとも支社長の13人、あるいは主幹地区統括局長の13人と、きちんとディスカッションをして、ちゃんと営業再開できる体制になっているかどうかを確認しておきたいと考えています。今月、支社長とのディスカッションを行い、来月も支社長及び主幹地区統括局長の両方と行うことを考えておりますので、きちんと確認をしておきたいと思います。やはり、本社が、現場にできるだけ近いところの方々、責任ある方々との間で、現場がどうなっているかきちんと確認することが、さらにもう一つ、必要かと思います。
 それから、3点目は会社全体の姿勢をさらに組織全体に浸透させるということです。これは突き詰めて言うと、組織風土のようなことにつながってきますので一朝一夕に出来上がるものではありませが、その組織風土を変えるための、仕掛けのようなものが出来上がっているかどうか。これは幾つか考えておりますが、そうした点についても、さらにきちんと確認をしておきたいと思っております。営業再開についてはグループ3社の取締役会で決議していただくことにしておりますので、来月以降の社外取締役の理解が得られる時期にきちんと決議していただいて、その後再開の準備に入りたいと思っています。決議していただいてからも再開までは少し準備期間が必要になりますので、もう少し先になるかと思いますが、来月あるいは再来月、いずれにしても今言ったようなことをきちんと確認した上で、取締役会にお諮りをすることができればいいのではないかと考えております。
【記者】
本日管理者への処分も一部実施されましたが、日本郵便の社員の方からの声として、管理者に対する処分が募集人に対する処分に比べて甘いのではないかと、不公平だというふうな意見もありまして、実際、本日の結果を見ますと戒告が2名で、懲戒解雇や降格などの処分が実施されていません。この処分に対する不公平感というところに関して、衣川社長と増田社長はどのようにお考えなのかお伺いします。
【日本郵便社長】
私からご回答させていただきます。私ども、処分は懲戒規程にのっとって行っております。不適正募集につきましても従来から同じ基準により行っております。
 管理者に対する処分については、今回は検査あるいは指導が不十分であることに対するものですが、これも規程にのっとって行っております。そういった意味で公正にやらせていただいているという認識でございます。
【日本郵政社長】
私としては、人事権者が手続にのっとって行っていることですので、全体としてそのレベルがどうかというのは少し言いにくい部分がございますけれども、日本郵便がさまざまな事情をきちんと調査した上、従来は行わなかったこうした管理者についての処分を今回行ったものと捉えております。
 それから、先ほど申し上げましたように、懲戒処分を受けた管理者は今回7名でございますが、これから一番数多く出てくるのは特定事案に関係する管理者です。これは8月下旬に実施を行う予定でございます。そちらでどういう処分になるのか、内容をまだ全く把握しておりませんけれども、いずれにしてもきちんとしたプロセスを踏んで、その上で日本郵便において厳格な処分を実施してもらいたいと思います。
【記者】
募集人あるいは現場の社員の方が不正な手段でつくった実績、あるいは数字で出世した管理者の方もいる中で、そういった規程に基づいて処分しているので、社員が不公平感を抱いても、そこに関しては問題ないというご認識でよろしいでしょうか。
【日本郵便社長】
まず、懲戒処分といわゆる人事任用は分けて考える必要があると思っております。懲戒処分については今回第1弾として、それぞれのケース、行為に基づいて処分を実施したということでございます。今回のものが、現在のある管理職のそのポジションに何か直接の影響を与えるものが現時点あるかといえば、ないと考えております。
 仮に、今、その職にとどまることがふさわしくないような事例が出てくれば、それは当然判断をしていかないといけないとは思っておりますが、今のところはないということなので、このような結果になっております。
【記者】
先ほどの不公平感の話の関連ですが、管内の優績者の方に対する処分は実施されているわけですが、全国的な優績者、例えばゴールドランク、ダイヤモンドランクといった方々への処分がないということに対しても、社員の方から不満の声が出ているわけですが、なぜなのか教えていただけますか。
【日本郵便社長】
今回懲戒解雇とした6名のうちの1人はゴールド優績者でございました。先ほど十分説明できずに申し訳ありません。
【記者】
ほかにもゴールドの方はいらっしゃったわけですけれども、そういった方々はまだ調査中ということですか。それとも、もう調査は済んだということでしょうか。
【日本郵便社長】
優績者全般に限って言うと、今回の懲戒解雇6名の中にゴールドランクの優績者が1名おりました。それから、特定事案の関係の中で処分した182名の中に、いわゆる優績者と言われる方たちは7名おられました。今後ですが、先ほど申しましたように、まだ全体の7%しか処分できていないわけです。いわゆる優績者という方たちもそれなりの人数いらっしゃいますので、残りの92から93%についてはこれから個別に検討、判断していきます。その時に、優績者であるとかないということは処分に影響を与えることはありません。全てどういう行為が行われたということによって判断をしていきます。
【記者】
増田社長にお伺いします。今回の人事処分に関して、今後、募集人と当時の管理者に関しては、さらなる調査で処分される人数が増えていくという認識は分かったのですが、役員や責任者に関しては今回の処分で大方めどがついた、これが全てという認識でよろしいでしょうか。
【日本郵便社長】
まず、支社、本社の責任者について、私から申し上げます。役員については後ほど増田のほうからお答えさせていただきます。
 先ほど申し上げましたように、今回、実態把握が不十分であった、あるいはそれに伴って過去やるべき対応にもっと改善の余地があったのではないかと思います。これは特別調査委員会からもご指摘をいただいているところでございます。これに関する処分についてはひとまず今回で終わったと思っております。
 ただし、今後、いろいろな調査の過程で、個別にパワハラがあったといったことが分かれば、個別の事項として判断をしていくと考えております。
【日本郵政社長】
私から、役員に対する処分の考え方についてお答えします。役員についても当時在籍した職に応じて今回処分を実施しております。したがって、役員に対する処分の考え方を整理して、実施したつもりですが、まだ未調査のものが非常に多く、そこで新たな事実が判明すれば、役員であっても処分することはあり得ると考えております。
【記者】
日本郵政の親会社としての責任という点で、役員の処分は検討されなかったのでしょうか。検討されなかった理由があれば、教えてください。
【日本郵政社長】
日本郵政については、当時の社長が辞職をすることで責任をとりました。それ以外の者については、今回は雇用関係がはっきりしている者について懲戒処分を実施したということになります。日本郵政は、日本郵便については100%、かんぽ生命についても株式の過半数を持つ株主という意味で経営の支配権を持っておりますが、両社とも、社長が取締役として直接取締役会に出席していますので、基本的には当時の社長が責任をとって辞職することが、日本郵政としての今回のことについての責任のとり方ではないかと考えております。
 それ以外の昨年就任していた者、そのまま就任している者については、特に今、親会社であるからということで個々の募集行為について非違行為があったとは考えておりませんが、全体として見てこのような大変な不祥事を発生することを阻止できなかったということは、親会社としてこの問題に責任があるということはまさにそのとおりだと思います。そのことを重く受け止め、これからさらに一層、日本郵政が両社に対してグループガバナンスをどう行使していくか、今まで以上の責任を果たしていきたいと思っています。
【記者】
担当責任者の懲戒処分の軽重のつけ方について、今日のお話をお伺いすると、自分の担当セクション、役職の関わり度合い、自分の担当部門での不正の数によって、わりと機械的に判断したという理解したのですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
【日本郵便社長】
今回の件についてはそれで結構だと思います。
【記者】
個々の言動やパワハラについては今後判断するということですが、それについても、今日のように公表する対象であるとお考えですか。
【日本郵便社長】
先ほどご説明したように、年末に向けて、3社長で会見するかどうかは別として、何回かこういう形で処分状況についてご報告をさせていただくことになると思っております。その中には、例えば管理者によるパワハラがあれば、パワハラと資料に記載するかどうかは別にして、管理者で何名が処分の対象となりましたというご説明はさせていただくことになると思っています。
【記者】
信頼回復に向けた大変厳しい処分だと思うのですが、先日のJP改革実行委員会で、委員の方が信頼回復のために尽力している姿勢を顧客に見せることが必要、郵便局は地域の要、社会インフラ、災害時の支援の拠点だと思うとおっしゃいました。衣川社長は、郵便局ネットワークの災害時の拠点としての使い方について、どのようなお考えを持っていらっしゃるでしょうか。
【日本郵便社長】
信頼回復ということについては、まず、今回のかんぽ不適正募集問題について、きちんとした解決策あるいは対応策を示さないといけないと思います。それとは別に、私どもの日常の活動の中で、きちんとした仕事をしていくということは、これは基本中の基本だと思っておりまして、災害時の拠点というかどうかは別にして、災害の際も社員の安全が第一ですが、頑張って通常の業務を提供していかないといけないと思っております。日々の仕事を通じてお客さまの信頼を勝ち得ていく、あるいは回復していくということに努めていきたいと考えております。
【記者】
今月の各社の取締役会では営業再開については議論されたのでしょうか。どのような意見が出たのでしょうか。
【日本郵政社長】
営業再開についての議論はございました。取締役会の議論は、通常、外部には申し上げておりませんが、営業再開については、こういうときこそ現場に出ていってお客さまの前できちんとおわびをしながら会社の姿勢を伝えていくべきとか、いろいろな状況が整ってきたのでこの時点で営業再開するべきというご趣旨のご意見と、やはりまだ早くて、もっときちんと体制を固めていくべきという両者の意見があったように思います。
 今月は、3社とも、臨時も含めて2回、取締役会を開催しました。営業再開に向けて、あるいはもっと広く、会社としてこういう時期にどういうことをこれからしていくべきかについて、さまざまなご意見を頂戴したところですが、営業再開の時期について絞って申しますとご意見に幅があったと思います。
 それから、営業再開ということだけではなくて、もっと広く、会社が大きく変わっていくために社員一人ひとりにどういう意識を持ってもらうのか、社員一人ひとりがどういうことを自らの問題として考えるようになるのか、そのあたりについては十分やり方を考えるべきではないか。営業再開、それから、営業再開に関わる広く大きなことについてさまざまなご意見をいただいたと思っています。
【記者】
先ほど、社外取締役の方の理解が得られる時期に、来月なり再来月の取締役会で、再開時期について議論したいとおっしゃっていましたが、逆に言うと、社内の取締役の方々の認識は共通していて、営業再開する時期を見定めてもいいのではないかとお考えということでしょうか。
【日本郵政社長】
社内の意識が決まっていれば、議案を出して、社外取締役の方々に理解いただくよう、いろいろご説明して回りますが、まだ今の段階ではそこまで至っていないと考えております。今、やるべきことをきちんとやって、その上で社外取締役の方々にも理解をいただいた上で、取締役会できちんとした決議をいただきたいと考えておりましたが、少なくとも、営業再開に向けてやるべきこと、営業再開の意味づけをもっと社員の皆さん方に理解していただくように、おわび行脚の趣旨をもっと浸透させていく必要がまだまだあると考えております。
 それから、現場レベルの意見ももう少し確認しておきたいと思いますので、そのような活動を行った上で、社外取締役の方々からご理解いただけるかどうか、その時点で判断したいと思います。
(※記者会見における発言及び質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)