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2020年6月30日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2020年6月30日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
日本郵政社長の増田でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
 まず、6月17日付で日本郵政の取締役に就任いたしましたことを報告いたします。改めて、お客さまの信頼の回復、企業価値の向上に最大限努めてまいりたいと決意した次第です。
 本日は、私からは4件ご報告させていただき、その後、皆さまからご質問をお受けしたいと思います。
 まずはじめに、ご契約調査の進捗状況につきまして、ご報告いたします。「お客さまの信頼回復に向けたご契約調査の進捗状況」と書かれた資料をご覧ください。項番1のA特定事案調査につきましては、お客さま都合によるもの等を除き、3月末でお客さま対応が完了しております。特定事案調査の募集人に対する処分状況のご説明は、別の資料で、後ほどご説明いたします。
 項番1のB全ご契約調査について、ご説明させていただきます。全ご契約調査では、6月21日時点で約102.7万人のお客さまからご回答をいただいており、お客さま都合によるもの等を除き、3月末でお客さま対応が完了しております。お客さまからのお申出に対しては、引き続き丁寧な対応を実施してまいります。
 全ご契約調査は、約1,900万人のお客さまにご案内状を送付し、はがき、マイページ、お電話によりご回答をいただいております。いただいたご回答に関しましては、複数人による内容確認や、お客さまへのヒアリングの上でお客さま宅への訪問や、お手紙の送付等の対応を行っております。
 お客さまからいただいたご回答の内容は表に記載しているとおりです。特段のご要望をいただいていないお客さまが半数以上を占める62.1万人となっております。契約復元など利益回復をご希望される約0.8万人のお客さまへの対応にお時間を頂戴しておりますが、引き続き丁寧な対応を行っております。
 また、苦情・お叱りのお声の中から、法令違反または社内ルール違反の可能性がある苦情をいただいたお客さまは3,750人確認しており、内訳としましては、法令違反の可能性がある事案が2,130人、社内ルール違反の可能性がある事案が1,620人となっております。これらについては、募集人調査や利益回復に向けた対応を行う予定としております。そのほか、住所変更等の保険契約のお手続きのご要望や感謝・激励のお声もいただいております。
 項番2の全ご契約調査の深掘調査ですが、お客さま都合によるもの等を除き、6月末でご契約内容の確認が概ね完了する見込みです。お客さま都合によるもの等についても、引き続き丁寧な対応を行ってまいります。
 多数契約調査については、6月21日時点で、優先対応とそれ以外を合わせますと、対象となるお客さま6,429人のうち、ご契約内容の確認が完了したお客さまは6,014人です。そのうち、ご意向に沿わないとご回答いただいたお客さまは2,929人、契約措置を希望されたお客さまは2,529人です。
 また、多数契約以外の調査につきましては、金額や回数の多寡に応じて、かんぽ生命の社員によるご訪問またはご契約内容のわかるレターによる調査を実施しております。多額契約、被保険者変更・保険種類変更・期間短縮の調査の状況につきましては、資料右側の中ほどおよび下の表中に記載しておりますのでご参照いただければと存じます。
 レターによる調査で、ご意向に沿わないとのご回答いただいたお客さまに対しては、かんぽ生命の社員による訪問での調査を行っております。レターによる調査で、アンケートのご返信をいただけていないお客さまについては、7月以降再案内を行う予定としております。
 続きまして、2ページ目、左肩に「Ⅱ 今後の信頼回復に向けたフォローアップ活動」と書かれた資料をご覧ください。今後の信頼回復に向けたフォローアップ活動におきましては、「日本郵政グループは、すべてのお客さまに対して、ご意向の通りの契約となっているか確認し、ご意見を伺い、ご加入の生命保険をお客さまのお役に立てる活動を積極的かつ継続的に実施していく。」を基本方針といたします。
 これまでは、外形的に不利益が生じている可能性が高い事案に対して、特定事案調査や深掘調査などを実施しております。今後は、基本方針に基づき、すべてのお客さまにご加入の契約がご意向の通りになっているかを確認し、お客さまに不利益が生じている場合は利益回復を行うとともに、ご加入の生命保険をお客さまのお役に立てる活動を積極的かつ継続的に実施してまいります。
 営業を再開したとしても、本年度は営業目標を設定せずに、本フォローアップ活動を中心とした活動を進め、お客さまからの信頼回復を図ってまいります。
 項番3「信頼回復・ご契約内容確認のための活動」について、ご説明させていただきます。この確認活動として、5月より、契約乗換のある法人のお客さまのうち1,818社に対しご契約の内容確認(アンケート)を実施し、契約の内容の詳細確認を希望されたお客さまは28社ございます。お客さま都合による3社を除き、6月末でお客さまへのご契約内容確認が完了しております。引き続き丁寧な対応を実施してまいります。
 また、2019年度以降に契約乗換を行ったお客さま等に対しても、レターの送付やかんぽ生命の社員等の訪問による確認活動を継続的に実施してまいります。
 このほか、契約者・被保険者別人の終身保険の契約や払込完了となった契約を解約し契約乗換を行った契約をお持ちになっているお客さまへのレターの送付など継続的に確認活動を実施してまいります。
 項番4「恒常的なフォローアップ活動、ご契約内容確認活動の充実」について、ご説明させていただきます。継続的なご契約内容の確認活動や年に1度ご契約者さまにお送りしている「ご契約内容のお知らせ」について過去の消滅契約を含めた契約の一覧を掲載する等の改善を行い、お客さまにご契約内容を再確認していただく取組みを行います。
 これからも様々な機会を通じて、お客さまからの声をいただく取組みにより、お客さまのご意向に沿い、お客さまの生活環境の変化に合わせて、ご加入の生命保険をお客さまのお役に立てる活動を続けてまいります。
 次に、募集人に対する処分状況についてご報告いたします。資料の3ページ「募集人に対する処分状況」をご覧ください。
 判定を踏まえた募集人に対する処分は、まず、保険会社であるかんぽ生命が募集人資格に係る処分を実施し、その後所属会社である日本郵便が社員(募集人および管理者)に対する人事上の処分を実施いたします。
 特定事案調査の募集人調査につきましては、判定がほぼ終了しております。6月25日時点で、法令違反420人、社内ルール違反は2,194人となっております。
 特定事案における募集人の資格に係る処分の状況ですが、6月25日時点で、業務廃止が11人、1か月から6か月の業務停止が924人、2週間または3週間の業務停止が1,513人、不服申立期間中など処分判定中が166人となっております。業務停止期間中は、研修を実施するとともに、活動再開後は、4か月間、本人の活動を郵便局管理者がモニタリングすることにより、処分後の適正な募集活動を確保してまいります。
 なお、多数契約調査のうち昨年より実施している事案につきましては、現時点で75人に対して業務廃止処分を実施し、2人に対しては、3か月または6か月の業務停止です。
 続いて、所属会社である日本郵便が実施する募集人に対する人事上の処分については、特定事案調査および多数契約調査に関し、かんぽ生命から募集人資格に係る処分が順次通知されていることから、日本郵便として6月中旬より募集人および管理者に対する懲戒処分の手続きを開始しております。現在、順次、募集人およびその管理者からの非違行為に係る顛末等を書面により徴取しているところですので、今後、内容を精査した上で、懲戒処分の量定を決定し、執行してまいります。
 懲戒処分の種類については、社員就業規則に規定しており、資料に記載のとおりです。募集人等の非違行為に応じて、懲戒処分の量定を決定していきます。
 なお、処分量定の判断にあたっての要素や基準は外部の弁護士にも相談しており、事案に応じて解雇も含めた対応を検討するなど、厳正に対処することとしております。
 7月以降、順次、懲戒処分を執行する予定で取り運んでおり、処分の実施状況については、改めて公表する予定です。
 また、資料下部に記載しておりますが、日本郵便およびかんぽ生命の本社・支社・エリア本部等の責任に関しましては、既に昨年末の経営陣の辞任や報酬の減額のほか、本社・支社等管理社員にも本年度夏期賞与について減額を実施したところですが、これとは別に、本社・支社・エリア本部等の関係部門における責任者等の処分も現在検討しているところです。
 資料の4ページ目に参考として募集人処分と懲戒処分に係るプロセスと実施状況を記載しています。5ページ目はスケジュールです。説明は割愛させていただきます。
 今般のご契約調査では、迅速なお客さまの利益回復と募集人調査を切り離して、お客さまの利益回復を優先して進めております。その結果、多くの場合、お客さまの利益回復の対応をしている時点では募集人調査が終了しておりません。お客さまには、後日募集人調査をしっかり行い、不適正が判明すれば厳格に処分する旨をご説明してご理解をいただくよう努めております。
 お客さまがご納得されず、不適正や処分の有無を知らせるように求められた場合は、募集人調査終了後になりますが、お客さまのご要望にお応えしてまいります。
 なお、ご契約調査に関しまして、多くのお客さまの対応が必要となった結果として、一部のお客さまの調査について時間を要し、お客さまをお待たせさせてしまいました。大変申し訳ございません。
 ご契約内容の確認は、6月末を目途に概ね完了する予定ですが、今後は、お客さまからのお申出やお問い合わせ等に対しては、迅速かつ丁寧に対応してまいります。
 続いて、日本郵政グループ社員による持続化給付金の申請・受給について、ご報告させていただきます。新型コロナウイルス感染症の影響により大変な状況に陥っていらっしゃる方が多数いらっしゃる中、日本郵便およびかんぽ生命の社員が、新型コロナウイルス感染症と因果関係のない事業所得の減少を理由に、持続化給付金を申請し、また給付金を受給しておりました。当グループの社員がこのような不適切な行為を行っておりましたこと、この場を借りまして、深くお詫び申し上げます。
 日本郵便につきましては、申請した社員が107名おり、そのうち申請の取下げや給付金返還の手続きを行っていない者が6月24日時点で11名おりましたが、会社から申請の取下げや給付金返還を指示し、この11名についても、現在、申請の取下げや給付金返還の手続きを進めております。
 日本郵便としましては、当該社員の事業所得(営業手当)の減少の主たる原因は、新型コロナウイルス感染症拡大によるものではないと考えており、社内にも再度、その旨を周知しております。
 かんぽ生命につきましては、申請した社員が18名おりますが、既に申請の取下げや給付金返金手続きを行っている社員も含め、全員が申請を取下げる意向であることを確認しております。
 かんぽご契約調査、当グループ社員による持続化給付金の申請・受給のいずれにつきましても、皆さまからの信頼を一歩一歩回復することができるよう、必要な対応を、速やかに、かつ着実に行ってまいります。
 続いて、かんぽ商品の通常営業の再開の条件について申し上げます。
 かんぽ商品の通常営業の再開については、かねてより、お客さまへの対応状況、募集人の処分状況、チェック態勢の確立等の状況を総合的に勘案して慎重に判断する必要があると申し上げてきました。これらを踏まえて改めて整理をしまして、再開にあたっては、次の五つの条件を満たすことが必要だと考えております。
 1点目は、お客さまの信頼回復に向けたご契約調査が、業務改善計画で公表した対応スケジュールどおりに進捗し、お客さまの利益回復に向けた道筋がついていることです。
 2点目は、法令または社内ルールに違反した、あるいは違反した可能性がある保険募集人については募集停止が行われていることです。
 3点目は、法令または社内ルールに違反した保険募集人およびその管理者に対し、適切な社内処分等を実施する道筋がついていることです。
 4点目は、不適正募集を発生させないための募集管理態勢が整備されていることです。
 5点目は、募集人に対する再教育が実施されているとともに、引き続き、再教育を行う仕組みが作られていることです。
 この点については、5月27日に開催いたしました第2回JP改革実行委員会でも議論となり、外部の専門家でいらっしゃる委員の皆さまも同様の認識をお持ちであることを確認いたしたところです。
 今後、実際にこれらの条件を満たす状態となったかどうかについては、独りよがりにならないよう、第三者のご意見を十分踏まえてきちんと判断することが重要であり、JP改革実行委員会の皆さまにしっかりご検証いただくこととしております。
 かねてから申し上げておりますとおり、通常営業の再開は各社取締役会での決議事項でありますので、現段階で再開時期を申し上げることはできませんが、グループ一丸となって、1日も早く営業再開ができるような環境整備に全力で取り組んでまいりたいと考えています。
 最後に、日本郵政グループに寄せられる様々なお客さまの声などを分析し、その活用の高度化を目指したグループ横断のプロジェクトチームを6月15日に立ち上げたことをご報告させていただきます。
 チーム名は、日本郵政グループを取り巻くすべての声に傾聴するという意味を込めて「JP VOICE プロジェクト」と名付けました。郵政グループには、昨年度約680万件に及ぶお客さまのご意見が寄せられています。これまでは、このような貴重なご意見をグループ各社が個別に把握していましたが、今回のプロジェクトチームでは、これらをグループ横断的に把握し、分析を進めることによって、商品開発やお客さま対応などの当グループ価値の向上に活かしていきたいと考えています。
 さらには、お客さまからのご意見だけではなく、SNS上の様々な情報等も把握・分析することによって、当グループのリスク感度の向上も目指していくこととしています。
 これらの分析情報が、速やかにグループ各社の経営幹部に報告される体制を構築することによって、グループガバナンスの向上につながるものと考えています。
 今後、具体的な成果が現れましたら、随時、ご報告させていただきます。
 私からの説明は以上です。
【記者】
1点目、6月末で不適切販売の全容は把握できたのでしょうか。その結果をどう受け止めているのでしょうか。
 2点目、先ほどご説明がありました営業再開に向けた5条件について、それぞれ現状ではどの程度達成できているのでしょうか。課題となっている部分はどこでしょうか。
 3点目、持続化給付金の問題が営業再開に向けた議論にどのような影響を与えているのでしょうか。
【社長】
不適切販売の全容は把握できたのかどうかということについて、ご質問をいただきました。我々は最初に、外形的に見て、お客さまに不利益が生じている可能性が高いものについて特定事案調査を行い、その後、全ご契約調査に移り、その中で、深掘調査という名称で、外形的に不利益が生じている可能性が高いものについて調査してきました。
 こちらについてのお客さま対応が概ね完了した段階でございまして、引き続き募集人調査も行ってまいりました。こうした状況を見て、いろいろな事案のパターンや、問題が生じた要素などを我々なりに分析したところでございます。
 まだ、やるべき調査等もございますが、我々としては、これまでの調査等を行ってきた中で、さまざまなやるべき対応、業務改善計画の中で多くは取り込んだつもりでございますが、そうした業務改善計画のモニタリングも、JP改革実行委員会の皆さまに評価をしていただきながら、さらにつけ加えることがあるのかどうか、より改善していくべき点があるのかどうか等も含めて、我々の中でも、常に反すう、検証しながら改革を進めていきたいと思っております。
 結果につきましては、特にお客さまにご迷惑をおかけしたことにつきましては大変申し訳なく思っており、これからのお客さまの信頼を回復していく上で、さまざまなこれまでの取組みを、さらにきちんと生かしていきたいと思っております。
 営業再開に向けての条件につきましては、先ほど5点にわたって申し上げましたが、営業再開といいましても、直ちにかんぽの不適正な契約問題が発生する以前のような積極的な営業を行う状況に戻るというのは難しいと思います。今年は、営業目標を設定していないということもあり、まずやるべきは、お客さまにおわびをしつつ、ご契約内容を丁寧にきちんきちんと1件ずつ確認をすることです。そして、信頼回復に向けたフォローアップ活動に徹することが必要です。これを営業再開と呼んで良いのかどうかということはありますが、言葉の問題ではなく、今年1年、あるいは来年に入っても、そうした姿勢で、失われたお客さまとの信頼関係を回復していかなければいけないと考えております。
 我々はそのような考えで、4月20日から営業自粛を続けているわけですが、その営業自粛を解く条件は、先ほどご説明いたしました五つの条件がクリアされることだと思っております。
 1点目のご契約調査、お客さまの利益回復に向けた道筋につきましては、概ね当初の計画どおり進展していると思います。
 2点目の法令または社内ルールに違反した、あるいは違反した可能性がある保険募集人に対する募集停止につきましては、既にそうした措置が取られているものもございますし、今後きちんとした措置が必要なものは講じてまいりたいと思っております。
 3点目の法令または社内ルールに違反した保険募集人およびその管理者に対する適切な社内処分等を実施する道筋につきましては、先ほどご説明いたしましたように、特に人事上の処分については、今、その手続きを進めているところでございます。今年の3月に退職を申し出た者については先行して処分を行いましたけれども、これについては、今後、進めていくという状況です。
 4点目の不適正募集を発生させないための募集管理態勢の整備につきましては、郵便局やかんぽ生命のコールセンターで、募集人が新契約の申出をいただいた場合に、ご契約の内容が契約者のご意向に沿っているかについて重層的にチェックすることで、不適切な募集行為をはじく仕組みを整備し、既に運用を開始しております。そうした措置を行うことで、仮に業務停止処分を受けた募集人が、一定の募集停止の期間経過後に募集活動を再開した場合でも、通常のチェックに加えて、さらに郵便局の管理者、かんぽ生命のサービスセンター等による重層的なチェックを行う仕組みといたしました。このような形で募集管理態勢を整えたところでございます。
 5点目の募集人に対する再教育につきましては、全募集人に対して、かんぽ商品についてはかんぽ営業スタンダード、それ以外の全般的なことを含めて総合的なコンサルティングサービスに関する研修を実施しているところでございます。
 繰り返しになりますが、法令違反、社内ルール違反により、業務停止処分を受けた募集人に対しては、その停止期間中に、今、申し上げましたような再教育のための研修を受けさせ、その研修を終了後に再び募集を行わせてよいかどうか、会社側で改めて判定した上で業務停止を解除します。そして、解除後に、ご契約のお申し込みをお受けした際、今、申し上げました重層的なチェック体制で内容を確認することにしております。
 我々として行ったさまざまな取組みについては、我々が判断するのではなく、第三者がどのように評価するのか、取締役会、特に社外取締役の皆さまがどのように評価するのかということを勘案し、営業再開まで行きたいと考えております。
 営業再開については、通常の意味での積極的な営業という状況にないことは我々も重々承知しておりますので、基本的には今年、来年も、おわび行脚ということを念頭に、実施していかなければいけないと思っております。
 次に、持続化給付金の関係でございます。この問題は、広くコンプライアンスということについて、あるいは、モラルということについて、日本郵政グループとしての姿勢が問われていると思っております。持続化給付金の受給の申請を行ったということに対して、組織として厳正に対処することが必要であり、こうしたことがある限り営業再開にはつながらないと思っております。
 したがいまして、申請が判明した社員については取下げ、場合によっては、受給した者には返還を指示したわけですが、今後もそうしたことが判明した場合、今回と同様に、厳しく対処していくことで、日本郵政グループとしての姿勢を示していきたいと思います。
【記者】
これまでに認定された法令違反のうち、保険業法の何条何項に反する事例が何件くらいあったのか分かりますでしょうか。社内ルール違反は、どのような違反事例が多いのでしょうか。また、全ご契約調査で、法令違反や社内ルール違反が約4,000件ありますが、これらの募集人調査のスケジュールはどのようになっているでしょうか。
【社長】
保険業法の何条に何件違反をしたかにつきましては、かんぽ生命からお答えいたします。
【事務方】
保険業法としては300条の違反になると思います。事例が何件あるのかにつきましては、別途回答をさせていただきます。基本的には、断定的な表現で、すぐに解約できないと虚偽の説明をした違反が多いということでございます。
 社内ルール違反につきましては、やはり特定事案のE事案と言われるものです。6カ月以内に解約するとのお客さまのご意思に反して、例えばペナルティーがあるので二重払いにしてほしいとお伝えする等、いわゆる乗換潜脱という事案が多いということでございます。
 全ご契約調査の法令違反・社内ルール違反につきましては、今後募集人の特定を進め、順次、調査をしてまいりたいと思います。
(※)終了後、次のとおり回答。
  特定事案調査における法令違反315件(420人)の内訳は、以下のとおりです。
  ・保険業法第300条第1項第1号(虚偽説明):270件(355人)
  ・保険業法第300条第1項第9号(誤認させるおそれのある行為):39件(56人)
  ・その他保険業法第294条の2等(意向把握義務違反等):6件(9人)
  (注1)不服申立中など処分判定中事案を含む。
  (注2)複数の条文違反と判定している場合は、事案の内容に照らしていずれかに区分しております。
【社長】
募集人調査のスケジュールは、もう少し状況をはっきりさせてから、お示ししたいと思います。
【記者】
持続化給付金の不適正請求の背景には、営業自粛の長期化や募集手当の返還により、月給が手取り10万円前後となった営業職員の生活困窮、住宅ローン支払いの困難化、教育費の捻出困難化があります。営業職員の生活水準維持の施策や住宅費、教育費の支援策についての検討状況、実施状況をお聞かせください。
【社長】
昨年、夏以降、営業自粛ということになり、営業手当の減少が生じてきているわけですが、ローン等の返済がある社員で、希望がある場合には、日本郵政の共済組合が貸付けを行い、その利子の一部を会社が負担するという取り扱いを実施しております。これは、昨年11月に募集を開始いたしました。今後、こうした取り扱いをどうするのか、また、必要に応じて、ご指摘があった点について、さらに検討していきたいと思います。
 営業手当の返納については、高額の返納によって手取り額の急激な減少、激減が生じないように、必要な場合は分割返納等の措置を講じ、社員の負担については会社としてもいろいろできる配慮をしております。
【記者】
これまでの不正募集をめぐって、社外取締役による適切な牽制機能が働かず、ガバナンスに関する議論も乏しかったという中で、なぜほとんどの社外取締役を再任したのか、その理由について教えていただけますでしょうか。また、同じような社外取締役の顔ぶれで本当に出直しが図れるのでしょうか、増田社長のご認識をお聞かせください。
【社長】
社外取締役の皆さま方には、企業経営者としての大変な経験、知見をお持ちの方が多くいらっしゃいます。私としても、皆さま方のお持ちになっているそうした知見やご見識を、会社経営に大いに生かしていきたいと考えております。一方で、取締役会としてきちんと機能していたのかどうかという論点ももう一つあるかと思います。これについては株主総会の中でも少しお答えしておりますけれども、監督と執行を分けて特に社外取締役のそうした牽制機能を非常に重視する指名委員会等設置会社が増えてきておりますが、いずれにしても私はそのような方たちが入っている取締役会の機能をどこまで生かすのかどうかは、執行側の対応にかかっている部分もあるのではないかと思います。私はこれまでも上場企業で社外取締役を経験しておりますが、情報に非対称性があって、圧倒的に多くの情報を執行側が持っていますから、執行側のほうでどれだけ社外取締役のお持ちになっている見識や知見を生かそうという姿勢を持てるのかどうかということに、かなりの部分がかかっていると思います。
 かんぽ問題等を見ても、従来、執行側にそうした姿勢が欠けている部分も多かったのではないかと思います。リスク感度の問題がありますが、広くリスク的な情報を取締役会にきちんと報告して、そこで見識を生かしてもらうと、取締役の皆さま方の知見をより生かせるのではないかと思います。少し取締役の入れ替わり等もございましたが、先般、株主総会でお諮りをした、特に社外取締役の皆さま方の知見をこれからも最大限有効に活用させていただきながら、会社経営に臨んでいきたいと思います。
【記者】
信頼回復と同時並行で、次期中期経営計画策定も進められていると思うのですが、地方創生施策を少し長期的な視点に立たれて、ビジネスとして位置付けるお考えはありますでしょうか。
【社長】
地方創生の関係については次期中期経営計画の中でも幾つかの観点できちんとこれに取り組みたいと思っております。その具体化をこれからどのようにしていったらいいのかということです。幾つかの観点と言いましたけれども、それは郵政が張り巡らしているネットワーク、特に地方部のネットワークをより活用すると、新しいビジネスを掘り起こせるきっかけになるのではないかという観点です。
 それから、ネットワーク水準を維持して、ユニバーサルサービスを義務づけられている当社としては、そのネットワークをどうしていくのかということも非常に重要ですが、これは当グループの努力だけではなかなか解決できませんので、どこまで連携する主体を広げていくのかということも非常に重要になると思います。そこがうまくいくと、地銀や地方自治体をもっと引っ張り込むことができ、また社会的な存在感も高まり、1点目で申し上げましたビジネス的な観点も視野が広がってくるのではないかと思います。
 人口減少が進んできておりますので、どうしても地方のネットワークやビジネスというと、やや可能性が少ない、重荷だという意見が大勢を占めてきているわけですが、一方で今回のコロナの問題等を見ますと、密度が濃いということが必ずしも経済原則で有利だということに限らないということも分かってきていますので、国の大きな動き、動向の変化もこれから見通しながら、中期経営計画の中で地方創生の芽をうまく盛り込んで、その中に取り込んでいけたらと思っております。
【記者】
かんぽ生命の保険営業時の録音、録画について伺います。顧客の同意内容や録画の保管管理は、顧客本位、お客さま本位になっているのでしょうか。現場での録画内容と許諾内容、管理方法も含めて教えてください。お客さま、顧客には自己情報のコントロール権があります。例えばトラブルになった場合にかんぽ生命側はその情報が使えるが、顧客側、お客さま側は使えないといったことはないでしょうか。録画物が改変されたり、別の用途に使われることはないのでしょうか。情報に誤りがあった場合の訂正の仕方の明記、情報漏えいした場合の対処策など、お客さまや現場の声を含めてご説明ください。
【社長】
詳細はこの後、かんぽ生命から説明いたしますが、基本的な考え方は、録音、録画は、不適正な募集につながらないようにお客さまのために行い、それをきちんとした証拠物として残すことで、お客さまの不利益を解消することにつなげていきます。おっしゃるとおり、個人情報等の問題がございますし、録音、録画物を我々の側で保管をするということで、不都合な使われ方をしたら困りますので、それに対してきちんとチェックをするという意味で、今、現場のほうで試行的に実施しておりますが、お客さま本位として、お客さまにご迷惑をかけない制度としてきちんと確立させていきたいと思っております。
【同席者】
かんぽ生命からお答えいたします。現在、録音、録画につきましては、全国95局で試行しております。まず、このお客さまの事前同意を確実にいただいてから録音することをあらかじめ定めております。まさに今試行におきまして、お尋ねいただいた問題、それから、もっとベーシックに音声の品質、録音フローの適切性を検証しております。しっかり課題の洗い出しと解決策を取った上で、本格実施につなげてまいりたいと思っております。
【記者】
6月15日にJP VOICE プロジェクトを立ち上げられたとのことですが、現場の声を聞くフロントラインセッションが中断したままです。再開のめどはいつ頃でしょうか。ポータルサイトの更新も止まったままだということですが、情報更新の再開のめどはいつ頃でしょうか。
【社長】
フロントラインセッションは、新型コロナウイルス感染症の防止としての3密を避けるため、今中断しております。ただ、こういう現場の声を経営層に反映させる場は非常に重要ですので、新型コロナウイルス感染症の状況を見計らいながら、再開状況について検討しているところです。全国的には東京を別にすると、かなり収まり、地域間の往復もできるようになってきましたので、再開時期をできるだけ早く明らかにして、実施につなげたいと思っております。
 ポータルサイトも随時更新し、皆さま方に経営陣の考え方などをお伝えする必要がありますので、併せてできるだけ早く更新できるように考えたいと思います。
【記者】
日本郵政グループ各社の本部、本社や営業店では、新型コロナウイルス対策で在宅勤務などを実施してきたと思いますが、7月1日以降も継続するのでしょうか。
【社長】
職場によって状況が少し異なると思います。在宅勤務に適さない業務もありますので、それぞれの職場で柔軟に考えていきたいと思います。全体として、例えば通勤で非常に混雑している交通機関を使って出ていかなければならないなど、感染のリスクが非常に高い場合は、避けなければいけません。そのためには、当グループだけではなく全企業が協力して、これからもウィズコロナとしての対策をしていかなければいけないと思いますので、在宅勤務が可能なところはできるだけ在宅勤務も活用しつつ、出勤する場合も時差出勤する、自由な時間を選ぶなど、柔軟な働き方を今後さらに徹底したいと思います。
 在宅勤務、リモートワーク用の資機材が十分ではないということもあり、取りあえず政府からいろいろ措置が発表されたときに、在宅勤務をかなりの割合で高めたのですが、仕事の効率が十分についていかないということもございました。
 今、全体としてはかなり緩和され、出勤する方がずっと多くなってきておりますけれども、勤務体制については、今後の状況を見ながら、また、地域的にもだいぶ状況が違うので、東京とそれ以外の地域、都市部、地方の中核都市等の状況を踏まえ、柔軟に考えられるように本社の人事担当と話をしております。
 ただ、出勤する場合も、社員の安全の確保のため、全体としてやはり混雑にならないように、時差出勤できるような柔軟な働き方を引き続き継続していきたいと思います。個別の対応は、それぞれの部門のトップに委ねていきたいと思います。
【記者】
7月5日までで金融渉外社員、コンサルタントへの在宅勤務指示を全国で解除し、7月6日から通常出社に戻しますが、かんぽの営業自粛を継続している中でコンサルタントの通常出社を命じた理由を教えてください。例えば、岩手県と東京都のように各都道府県によって感染状況が大きく異なる中、全国一律に在宅勤務命令を解除したのはなぜでしょうか。
【社長】
コンサルタントの自宅勤務は、窓口営業時間の短縮と同様、新型コロナウイルス感染症の状況に伴う緊急事態宣言等への対応として実施した施策です。今回の窓口営業時間短縮終了に伴い、通常勤務に戻すものです。
 また、新型コロナウイルス感染症の状況が逼迫してくるということであれば、また在宅勤務を指示するというようなことにもなりますし、地域的に際立った差があるのであれば、その地域的な状況に応じて対応するということも今後考えられると思います。
【記者】
かんぽ商品の通常営業の再開に向けた5条件に関して、募集人処分スケジュールでは8月末が終了時期とされています。少なくとも8月末までは再開はないと考えているのでしょうか。
 保険業法上の処分を受けた募集人が約2,400名に上がったことの受け止めを教えてください。
 7月から、2019年度以降に契約乗換を行ったお客さま等に対して、確認活動を継続的に実施していくとのご説明がありましたが、対象人数はどれくらいになる見通しですか。
【社長】
かんぽ商品の通常営業の再開時期は、私どもではなく、最終的には、途中のプロセスも含めて第三者や取締役会でご議論いただくということだと思いますので、私どもが再開の時期を申し上げるのは僭越で、ふさわしくないと思います。
 5条件が必要ではないかと私どもは考えておりますが、特に募集人の処分については、処分についての考え方、道筋がはっきりしている必要があると申し上げましたが、そういった状況になっているかどうかは第三者的なお立場の方にきちんと判断していただきたいと思っております。
 保険業法上の処分を受けた募集人が約2,400名に上がったこと、これは大変重たいものでございまして、もちろん創業以来最大の危機と就任のときに申し上げたのですが、それだけの大変な社会的な不祥事を発生させてしまった、不十分な営業態勢のもとでコンプライアンスの意識に欠ける営業をしてきたという、これまでの積み重ねがあったということを、大変重く受け止めております。
 来月から確認活動を行う、2019年度以降に契約乗換を行ったお客さまの数については、現在精査中です。
【記者】
生保各社では営業職員の確保が喫緊の課題となっていますが、かんぽ生命では営業職員確保にどのように取り組んでいるでしょうか。また、今回の不適正募集の問題が採用に与えた、もしくは予見される影響などをご教授いただければ幸いです。
【社長】
かんぽ生命では、従来から会社の企業理念、経営理念等をご説明して、いろいろ必要に応じてご覧いただきながら、営業職員を確保しております。もちろん、応募してこられる方々のお考えというのは非常に多様でございますが、お一人おひとりが貴重な戦力でありますので、丁寧に仕事の内容、職場環境、勤務条件等をご説明して、確保に努めてまいりました。多くの場合、代理店である日本郵便に所属するということになります。また、法人営業を行うかんぽ生命の直営店に入る方もいらっしゃいます。所属先に応じていろいろな説明を行ってまいりました。今回の不適正募集問題が営業職員の採用に与えた、もしくは予見される影響につきましては、かんぽ生命からお答えいたします。
 先ほど7月から行う2019年4月以降の申し込みで乗換を行った契約の調査の対象となるお客さまの数について、精査中と申し上げましたが、約2万件の契約に係るお客さまについてご確認のお願いをいたします。
【事務方】
かんぽ生命でございます。営業職員の確保に関するご質問にお答えいたします。現在、私どもといたしましては、今の社員の再教育などに注力していることもあり、あまり積極的に人を増やすことに力を入れておりませんが、営業社員をしっかり確保することも重要でございますので、かんぽ生命として、できるだけ日本郵便の採用活動を支援してまいりたいと思っております。
 かんぽ生命も、直営店で法人営業をしていることから、営業社員の採用活動を行っております。本年度に限っていえば、ほぼ計画どおり新卒採用をすることができております。
【記者】
フォローアップ活動として、「契約者・被保険者別人の終身保険や払込完了となった契約を解約し契約乗換を行った契約をお持ちになっているお客さまへのレターの送付など継続的に確認活動を実施していく」とありますが、具体的にどのようなことを行うのでしょうか。
【社長】
お客さまにレターをお送りし、十分にお答えいただけなかったり、ご質問がある場合は、かんぽ生命の支社の社員が直接訪問し、お客さまのお声を直接聞くという対応を行うことにしております。
【事務方】
具体的な内容については、現在検討しているところです。しっかりとお客さま対応をしてまいりたいと考えております。
【記者】
処分が下っている募集人は全て日本郵便の募集人でしょうか、それともかんぽ生命の募集人も含まれているのでしょうか。かんぽ生命の募集人も含まれている場合は、人数の内訳はどうなっていますか。
【社長】
基本的に日本郵便の募集人です。
【事務方】
基本的には日本郵便の社員ですが、日本郵便へ出向して営業活動をしているかんぽ生命の人間が2名含まれています。この2名は、不適正募集を行ったため社内ルール違反の対象とされました。
【記者】
金融渉外社員、コンサルタントへの短期で解約された契約に対する募集手当の返還請求が、この8月から停止するそうですが、なぜこのタイミングで募集手当の返還請求を停止するのでしょうか。理由を教えてください。
【社長】
今年度に入って手当の返納が多数発生しております。これまでも、ご契約が解約や無効となった場合には手当の返納が生じていましたが、契約措置に係る返納が生じる事例に対しての社員への事前の連絡等が十分でなかったため、事前の返納対象契約の通知等について検討する必要が生じました。したがって、8月からの返納額の通知を一旦停止いたしました。
 今、申し上げました理由により一旦停止をいたしますが、再度、きちんと連絡をして、再開いたします。
【記者】
多数契約や多数契約以外について、ご意向に沿わず、契約措置を希望するお客さまへの対応を終えるのはいつ頃をめどにしていますでしょうか。
【社長】
お客さまへの対応はできるだけ早くと考えておりますが、まだ、いつまでにというめどがつくまでには至っておりません。
 現在、できるだけ早くお客さまのご意向に沿えるように、対応を急いでいる段階です。
【記者】
先ほど、ネットワークの密度が濃ければ優位というわけでもないと、増田社長は発言されておりましたが、ネットワークの密度が何を指すのか、ネットワークの優位性に対する考え方がいつ、どのように変化したのか、具体的に教えてください。
 併せて、このご発言は、ネットワークの密度を維持しなくてもよいエリア内での郵便局の削減を想定されていると理解してよろしいのでしょうか。その場合、どういったエリアが対象になるのか、現時点でのお考えをお聞かせください。
【社長】
先ほど、地方創生の関係で申し上げたのですが、郵便局ネットワークを含め、経済原則でいうと、都市部のほうがいろいろな経済活動するのにはるかに優位です。人が点在する地方の過疎地域は、経済活動としては非常に不利で、密度を減らしてもよいとされてきました。経済原則からいうと、都市にさまざまなものが集積され、密度が重要だと言われてきたのですが、100年に一度なのか、10年に一度なのか分かりませんけれども、今回の感染症が起こり、情報通信技術の急速な変化もあるのですが、これまでは経済的に不利だと言われていた過疎地域でも、通信環境などによっては、勤務も十分可能となって、今までの概念はかなり変わってきているのではないかと思います。
 そういう意味で、例えば、交通機関についても、これは鶏と卵のような関係ですが、人が集積し、それによって交通機関のネットワークの密度を濃くする。そのことによって、またさらに人が集積するといったことがずっと行われてきましたけれども、今回の新型コロナウイルス感染症の問題は、必ずしもそういうことが経済原則上からも有利ということにはならないということを言っているのだと思います。
 したがって、日本郵政グループ全体としての地方創生の取組みについては、アフターコロナ、ウィズコロナという新しい潮流の中で、頭を少し柔軟にして、次期中期経営計画に盛り込みたいと考えております。
【記者】
契約乗換のある法人28社の契約内容を確認したということですが、法令違反等はなかったのでしょうか。中身を教えてください。
【社長】
契約の内容の詳細な確認を希望されているお客さまは28社で、お客さま都合による3社を除く25社についてご契約内容の確認が完了しております。その25社の中で、詳細な説明を受けたかどうか判然としない社が6社あると報告を受けております。この6社について今後いろいろとお話をお伺いするなど調査をしていくことになると考えております。法令違反等の有無は、今後確認してまいります。
【記者】
かんぽ生命が設置した社長目安箱は機能しているのでしょうか。郵便局に目安箱を設置しないのはなぜでしょうか。
【社長】
かんぽ生命は目安箱を昨年の12月から運営しています。6月19日時点で520件の声が届いているとの報告を受けております。内容は多岐にわたりますが、今後もこういう仕組みをさらに生かしていきたいと考えております。
 それから、郵便局に目安箱を設置しないのはなぜかということですが、私としては必要であれば設置しても良いと思います。設置していない理由は、日本郵便から、お答え申し上げます。
【事務方】
日本郵便からお答えいたします。日本郵便は、目安箱を設置しておりませんが、社員が意見・要望を提出できる仕組みはございます。また、役員に直接意見ができる支社改革推進ワーキンググループなどを設置しておりますので、当面、すぐに必要とは考えておりませんが、情報の目詰まりをなくして、組織間の情報を共有していくことは、非常に重要なことだと考えていますので、検討してまいります。
【記者】
生命保険会社各社はオンライン上での非対面募集に踏み切りつつありますが、かんぽ生命は、通常営業の再開後、非対面募集などを検討するご予定はありますでしょうか。かんぽ生命のお客さまは高齢者などが中心であり、新型コロナウイルス感染症リスクが高く、また、オンライン上では遠方の親族などの同席も物理的に可能であり、非対面募集への需要は高いと考えておりますが、どうでしょうか。
【社長】
ゆうちょ銀行も含め当グループ全体として申し上げます。デジタル化への対応は急務だと思っております。新型コロナウイルス感染症との関係からオンライン・非対面・非接触での営業手法が、今後必要となってくると考えております。
 ただ一方で、オンラインによる営業を中心とする生保が出てきている一方で、大手の生保は、それはそれとしつつも、従来の保険の営業スタイルをより丁寧にしていくことが、よりお客さまのご要望に応えることと考えて、これにより営業の質を高めていく戦略を取っています。かんぽ生命においてもそのように考えていたわけです。今回、新型コロナウイルス感染症の問題が出てきて、大手生保にもオンラインによる営業を強化するところがでてきました。ご指摘いただいたように、オンラインにより家族が同席できればいいでしょうし、一番最前線で持ち歩く簡易なツールが開発されていけば、よりその可能性も高まってくるので、総体とすれば、こういうオンラインでの営業スタイルも、これからさらに考えていく必要があるのではないかと思います。
 かんぽ生命はこれまでも、営業の最前線で使用するデジタル化に対応したツール等の機能アップを考えてきておりますので、私としては、こういう新たな営業スタイルが確立できるところまで煮詰まると大変良いと考えております。
 ゆうちょ銀行も同様で、ゆうちょPayや通帳アプリ等、いろいろなものがございます。ダイレクトバンキングは一つの大きな流れですから、当グループとして、金融2社がオンラインを活用した営業スタイルの検討をより深めて、実現に資するものは実現していくことは、今後の大きな方向性だと思います。
【記者】
募集人処分により業務廃止とされた11人はどのような不正を行ったのか、詳細を教えてください。悪質な場合には、刑事告発などを検討されないのでしょうか。2、3週間の業務停止とされた募集人については、処分をしないということでしょうか。
【社長】
業務廃止とされた11人の募集人が行った不正の内容については、後ほどかんぽ生命よりお答えいたします。
 悪質な場合に刑事告発などを検討するかどうかについてですが、事案の内容によると思います。人事上の処分も進めていく中での話になると思います。
【事務方】
まず、業務廃止とされた11名の募集人による不正の典型的な例としては、例えば、「解約は6か月間できません」という虚偽の説明を複数の方にした社員。さらに、「乗換判定期間が経過した後に解約してほしい」というようなことを、いわゆる乗換潜脱として2桁以上の社内ルール違反をしてしまった社員。しかも、反省が見られないということで、リニエンシーの対象外になった社員。あるいは、最初からリニエンシーの適用を申請しなかった社員です。事案の悪質性が重いものが業務廃止になっております。
 2、3週間の業務停止処分を受けた社員は、基本的にリニエンシーを適用している社員です。実質的な業務停止となり、その間にしっかり研修を受けた上で、募集人の資格上の処分としては処分免除としております。こういった社員についても、今後、日本郵便において人事的な処分の要否が検討されるものと考えております。
【記者】
先ほど、契約乗換のある法人のうち6社が説明を受けたが判然としないと言っているとのご説明がありましたが、これら6社の対象人数は合計で何人ぐらいでしょうか。
【社長】
法人のお客さまのご契約の確認は、1,818社を対象に実施しております。そのうち28社のお客さまから、契約内容等の詳細について確認したいとのご要望をいただきました。お客さま都合による3社を除く25社のうち6社の法人のお客さまから、当時、募集人からどういう説明を受けたか判然としない等のお申出をいただいております。
【記者】
法人契約はあくまでも、かんぽ生命と法人との契約であって、法人の各社員との契約ではないと理解してよいのでしょうか。
【社長】
法人契約は、かんぽ生命と法人との契約です。法人6社との法人契約による被保険者である社員の人数は、確認の上、ご回答申し上げます。
(※)終了後、次のとおり回答。
  法人との契約のため、契約件数は6件です。
  なお、当該契約6件に対する被保険者数は26名です。
(※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)