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2020年4月27日 月曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2020年4月27日 月曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 代表執行役社長 増田 寬也
【社長】
日本郵政の増田でございます。本日は、新型コロナウイルス感染症の影響によりインターネットによる記者会見となりました。初めての経験でありますので、ご意見を頂きながら使い勝手を向上させていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
本日、私からは2件ご報告させていただき、皆さんからご質問を受けてまいりたいと思います。
1件目、新型コロナウイルス感染症問題への対応につきまして、申し上げます。
 まずは、グループを代表いたしまして、感染症で亡くなられた方々に謹んでお悔やみを、罹患された方々にお見舞いを申し上げます。
 2月の記者会見で申し上げましたとおり、40万人の社員を抱える企業グループとしましては、社員の中から必ず感染者が出るという前提で対応策のシミュレーション等を行っていたところですが、4月27日朝の時点で、日本郵政、日本郵便、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命のグループ4社で、31名の社員の感染が確認され、現在も二つの郵便局において窓口業務等を休止しております。お客さま、関係自治体の方々にご心配とご迷惑をおかけしておりますこと、この場を借りましてお詫び申し上げます。
 日本郵政グループにおける新型コロナウイルス感染症問題に対する主な取り組みは、A4サイズの資料をご覧ください。
 国民の皆さまへの支援として、政府からの要請を受けて行っておりますマスクの配布につきましては、現在までに、北海道北見市ほか5町全戸、全国の介護施設等への配布が完了しております。
 現在は、4月17日に東京都世田谷区及び港区より開始しました布マスクの全国全戸への配布のほか、全国の小中学校・高校への配布、全国の自治体への妊婦向けマスクの配布を実施しているところです。
 また、政府からの要請を受けまして、特別定額給付金の申請書類等を配達することといたしており、こちらについては、現在、自治体との調整を進めております。
 さらに、かんぽ生命では、感染症によりお亡くなりになられた場合も、死亡保険金に加えて「保険金の倍額支払」の対象として、保険金をお支払いするなど、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた各種取扱いを実施しております。
 また、お客さまと社員の安全を確保するための取り組みといたしまして、郵便物等の非対面配達、窓口へのビニールカーテンの取り付けのほか、郵便局・ゆうちょ銀行直営店の営業時間の短縮をさせていただいております。
 日本郵政グループとしては、郵便局ネットワークは地域に不可欠な社会インフラであるとの意識の下、社員の健康に配慮しながら、政府、自治体をはじめ社会のニーズにも可能な限りお応えし、国民の皆さまのセーフティネットとしての役割をしっかりと果たして参ります。
2件目、ご契約調査の進捗状況につきまして、ご報告いたします。
 特定事案調査および全ご契約調査につきましては、お客さま都合によるもの等を除き、3月末にお客さま対応が完了しております。
 全ご契約調査の深掘調査のうち、多数契約調査につきましては、お客さま都合によるもの等を除き、4月末を目処にご契約内容の確認を進めております。また、多数契約以外の調査につきましては、お客さまへのご契約内容の確認を6月末を目処に進めております。こちらの進捗につきましては、若干、遅れが発生する可能性もございますが、鋭意進めていきたいと思います。
 募集人調査につきまして、昨年より実施していた多数契約調査に係る募集人調査につきましては、現時点で75人に対して業務廃止処分を実施、2人に対して厳重注意処分を予定しております。人事上の処分につきましても、追って実施してまいります。
 特定事案調査の募集人調査の状況につきましては、法令違反380人、社内ルール違反は2,239人となっております。募集人の処分につきましては今後実施してまいります。
 全ご契約調査の募集人調査につきましては準備が整い次第、実施してまいります。
 次に、「信頼回復・ご契約内容確認のための訪問活動」に関しまして、その確認活動の一環として、契約乗換を有する法人のお客さまのうち約1,800社に対してご契約の内容確認(アンケート)を行うことといたしました。法人のお客さまは、事業資金の需要、会社の福利厚生制度の維持などの観点から、会社の方針として契約乗換を行われることがございます。その場合、法人の経営者さまのほか、経理担当者さま、税理士など、第三者の確認を経たうえで、解約等をされることが通常であり、個人契約とは状況が異なりますが、現在のご加入内容やサービスがご期待に添えているか等について、後ほど説明いたします、「新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う特別取扱い」のご案内と併せて、郵送にてご確認をさせていただくとともに電話によるフォローをさせていただくことといたしました。
 現在、新型コロナウイルス感染症の影響拡大の状況を鑑み、ご契約調査については、お客さまへの訪問を控えつつ、郵送や電話によるお客さまへの説明活動を継続しており、募集人調査については、原則面談調査を中断しております。新型コロナウイルス感染症の影響拡大の状況が継続する場合、これらの調査の進捗が遅延する可能性がございます。
 最後に、今般の情勢を踏まえ、法人のお客さまの資金繰り等の事業運営サポートに資するかんぽ生命の制度をご案内するため、5月より、すべての法人のお客さまへ、「新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴う特別取扱い」に係るお知らせを書面にて送付いたします。法人のご契約者さまの中には資金繰りに困っておられる会社さまもおられると考えられますので、無利子での貸付の制度をご案内することで、こうした方々のお役にたちたいと考えております。
私からの説明は、以上です。
【記者】
新型コロナウイルスの感染拡大により、かんぽ不適切契約問題のご契約調査や募集人調査にどのような影響が出ていますか。また、現時点で通常営業を再開する時期は、いつ頃を想定していますか。
【社長】
ご契約調査に対する新型コロナウイルス感染症の影響については、お客さまへの対面訪問を控えさせていただき、郵送や電話で聞き取りを行っております。これまでは、ご契約調査は大きな遅れは発生しておりませんでしたが、今後は遅延が生ずる可能性があります。
 また、募集人調査は面談による調査を中断しておりますので、既に進捗に影響が出てきております。代替策、リカバリー策を検討しているところです。
 営業再開の時期は、監督官庁に提出いたしました業務改善計画の進捗状況、内部管理態勢の構築状況を踏まえて判断する必要があります。お客さまの経済的被害を全て解消するという基本方針をこれまでもこの場で申し上げておりますが、それを徹底してまいります。
 今の時点で、いつ、かんぽ商品の営業を再開するかということについて、申し上げる段階にはないと考えております。
【記者】
トール社について質問いたします。売却を含む戦略的オプションを検討するために、投資銀行をリテインしたとの報道がありますが、事実関係を確認させてください。
【社長】
就任以降、トール社の経営再建は大きな課題だと認識しています。先日、トール社について売却を検討し始めたとの報道がありましたが、トール社本体を売却することを検討しているとの事実はありません。
 トール社の経営再建は、検討過程に入ったところです。グループ全体の問題として処理していかなければいけないと考えておりますので、外部アドバイザーなどの意見を聞いていきたいと思っております。
【記者】
1点目の質問です。かんぽ契約の新規受理解禁日である4月20日に、かんぽ商品の新規契約件数が全国で162件あったと聞いています。4回以上の丁寧な説明、管理者の事前チェックを経る必要があり、解禁日に契約が取れることはないと思います。増田社長はどう思われますか。
 2点目の質問です。高知中央郵便局長は、年度初めに当たり営業目標の必達について「できない、やらないは通用しない」と社員に文書で通知しました。ノルマ必達が不適切営業の原因となっていたはずですが、どのように思われますか。
【社長】
1点目の4月20日の契約状況については、業務停止期間中、お客さまからさまざまな要望や問い合わせがあったことを反映している可能性もございます。
 「業務停止期間に営業的な行為をしていたのではないか」とのご懸念をお持ちになられたかもしれませんが、軽々には判断できませんので、かんぽ生命に確認いたします。
 2点目の高知中央郵便局長が、年度初めにあたり、営業目標の必達を文書で通知したとのご指摘については、文書を取り寄せて内容を確認したいと思います。今回の問題がきちんと解決されるまでは、営業目標を設定せずに、お客さまの信頼回復を最優先していくこととしております。日本郵便本社あるいは日本郵政グループ全体の考え方が、現場にどこまで浸透しているかをきちんと確認することが必要だと思います。
【記者】
政府による外出自粛要請などで企業決算や監査に遅れが生じているとの指摘があります。有価証券報告書の提出期限を延長する必要性、定時株主総会を開催する時期や方法についてどのようにお考えですか。
【社長】
決算については、感染防止に配慮しながら作業を続けております。今時点では5月15日に予定どおり決算を発表したいと思います。したがいまして、有価証券報告書の提出期限も従来どおりに行い、株主総会も6月に実施する方向で準備を進めております。
 株主総会については、招集通知に出席自粛のお願いを記載させていただくとともに、会場への入場人数の制限、電磁的な方法で議案の賛否を送付いただくこと、マスクの着用、消毒液の配備、サーモグラフィの配備、検温、看護師の配置、座席間隔の確保など、さまざまな措置を講じてまいりたいと思います。
 突発的な事態が発生しましたら、予定を変更する可能性もありますが、その場合は早めにお知らせをしたいと思います。引き続き状況を注視してまいりたいと思います。
【記者】
新型コロナウイルスの感染者が31人確認されていることへの受け止めと、感染拡大防止に向けて利用者へ協力してほしいことなど、呼びかけがあればお願いいたします。また、感染拡大防止とユニバーサルサービスの維持のバランスには難しさがあると思いますが、この点についてご意見をお願いします。
【社長】
現在までに、日本郵政グループ4社では社員31名の新型コロナウイルスへの感染が判明しております。グループの規模が非常に大きいため、全国的な患者の発生状況から見て、当グループの感染者数が非常に多いとは思いませんが、今まで以上に予防措置を講じていくことが必要だと思います。時差出勤、リモート会議、テレワーク等の実施など極力3密状態とならないように努めてまいります。
 また、ユニバーサルサービスを提供する観点から郵便局やゆうちょ銀行店舗の窓口を維持していく責務を負っておりますが、業務の維持とお客さまや社員の安全確保を両立させることは非常に難しい問題と考えています。不要不急のご来店をお控えいただくようお客さまにお願いさせていただくとともに、通常9時から16時までのところを10時から15時までとさせていただくなど、営業時間を一部短縮させていただいております。また、当日にご依頼頂いた荷物の再配達を取りやめるなどのご不便もおかけしておりますが、こうした点についてご理解いただきたいと思います。
【記者】
1点目の質問です。契約乗換のある法人のお客さま1,800社の契約内容を確認するとのご説明がありましたが、どのような理由で確認作業を行うのでしょうか。不正が疑われる状況があったのでしょうか。
 2点目の質問です。どのような理由で1,800社を対象とするのでしょうか。
【社長】
日本郵政グループのお客さまには個人のお客さまと法人のお客さまがいらっしゃいますが、法人のお客さまは中小企業が多数を占めております。こうした法人のお客さまに対しても丁寧な対応が必要だと考え、本年3月に契約乗換が一定回数以上、具体的には5年間で被保険者1人当たり4回以上の契約乗換がある法人20社をピックアップして、契約内容の確認を実施いたしました。
 その結果、18社の法人のお客さまは、契約乗換に係る不利益事項を理解された上で解約、新規契約の申し込みをされていることが確認できましたが、残り2社の法人のお客さまにおきましては、契約内容を十分に理解されていない、もしくは契約内容を誤認されているおそれがあることが確認できました。
 こうしたことにより、契約乗換を一定回数以上行っている法人のお客さま1,800社に対してもう一度きちんとしたアンケートを実施することにしました。
【記者】
かんぽ問題に関する募集人の管理者に対する調査は着手され、進捗しているのでしょうか。管理者に対する調査においても、新型コロナウイルス感染症の影響は出ているのでしょうか。
【社長】
管理者に対する調査につきましては、かんぽ生命による募集人調査で事実を固めた上で、かんぽ生命による保険業法上の処分、日本郵便による人事上の処分後に、日本郵便による管理者に対する調査および処分を行うことになります。管理者に対する調査において、明らかなパワハラ等の行為があれば、処分対象になり、そうでない場合でも管理者の責任を問うべきだと考えております。管理者の調査は、一部実施をしている状況です。管理者の処分については、今回の新型コロナウイルス感染症の影響により、遅延が生ずる可能性があると考えております。
【記者】
資料別紙項番2Aの「多数契約調査」の業務廃止処分について、今回処分となった募集人の母数にあたる募集人は何人ですか。また、処分実施日はいつですか。加えて、業務廃止処分となった社員に対する今後の人事処分の方針や時期について教えてください。
【社長】
今回は116人を調査し、調査継続中の者を除いて、処分が確定した者は、業務廃止処分が75人、厳重注意処分が2人でした。業務廃止処分を行った日については、後ほど確認の上、ご案内いたします。
 人事上の処分については、今後日本郵便において検討する、あるいは、現在検討中の状況です。まだ最終的な処分を決めるまでには至っておりません。
(※)終了後、次のとおり回答。
 調査開始以降順次実施してきており、2020年4月13日までに完了しています。
【記者】
元総務事務次官の情報漏洩問題について、鈴木元上級副社長の調査の進捗状況について教えてください。
【社長】
お尋ねの社内調査については、事実確認がほぼ終わったと聞いておりますが、今回の新型コロナウイルス感染症の影響もあり、調査に時間がかかっております。来月には、調査結果をお示しできると思います。現時点では調査報告書を頂いておりませんので、もう少しお待ちいただければと思います。
【記者】
新型コロナウイルス感染症の影響で、テナント賃料の支払いに苦慮する店舗が増えています。日本郵政が保有する不動産の入居テナントに対して家賃の猶予、減額などを検討していますか。また、賃料収入を含めて、新型コロナウイルス感染症が不動産事業の収益に与える影響や懸念があれば教えてください。
【社長】
入居テナントに対する家賃については、各政党で案を考えているようでございます。それらを参考にしながら、当社の対応を考えていきたいと思います。
 また、不動産事業の収益については、今回の新型コロナウイルス感染症の問題がいつ頃終息するかにもよりますが、何らかの形で不動産価値に影響が出てくることが予想されます。前回のリーマンショックの際も、全体的に相場が下がり、それが回復するまでに相当の時間がかかっております。すぐに顕著な影響は出ておりませんが、今後の影響をよく注視してまいりたいと思います。
【記者】
新型コロナウイルス感染症の流行を背景に、デジタル化や非対面化が進むと思われます。日本郵政グループとして、マイナンバーカードに対する取り組み方針があれば教えてください。社員にカードの取得をご推奨されるお考えはありますか。関連して、今後の日本郵便のMyPostの活用方策に何かお考えはありますか。
【社長】
ご指摘のとおり、今後、デジタル化や非対面化が進むと思います。非対面やリモートワークなど、働き方が大きく変わることにより、それらに対応するための環境整備が求められると思います。
 マイナンバーカードは普及率が非常に低く、十数%しかカードをお持ちの方がいらっしゃらないと思います。日本郵政グループとして、社員全員にマイナンバーカードを取得することを推奨することは考えておりませんが、今回の全国一律10万円の特別定額給付金はマイナンバーカードを取得している方は手続きが簡素となる制度設計となっております。こうした制度設計を通して普及が進んでいくことが考えられます。
 日本郵便のMyPostについては、当面、サービス業を中心に雇用が厳しい状況となりますが、広く考えれば、人口減少による人手不足に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響から人の移動が制限され外国人労働力に頼っている現状が変わる可能性があります。テクノロジーを活用し、仕事のやり方やサービス内容を向上させることが必要不可欠だと思います。
【記者】
新型コロナウイルス感染症の影響でかんぽ生命のご契約調査や募集人の処分、お客さまの不利益解消などに遅れが出た場合、かんぽ生命の営業再開の遅れにもつながる可能性があるのでしょうか。
【社長】
今回の新型コロナウイルス感染症の問題と、かんぽ生命の通常営業再開の時期については、さまざまな影響をよく見て考えたいと思っております。
 かんぽ生命の通常営業の再開については、JP改革実行委員会の委員の方々や社外取締役の方々のご意見も聞きたいと思います。お客さまの不利益の解消や、募集人の処分に道筋がつくことが大前提です。よって、今はお客さまの不利益の解消や、募集人の処分に関する新型コロナウイルス感染症の影響をいかにリカバリーしていくかを考えたいと思います。
【記者】
別紙項番2、多数契約調査による業務廃止処分および厳重注意処分の77人の募集人は、項番1の特定事案調査に係る募集人調査の結果、法令違反・社内ルール違反に該当した募集人には含まれないのでしょうか。
 また、その理解で正しい場合、調査がほぼ終わった特定調査事案の募集人調査の結果、法令違反・社内ルール違反に該当した2,619人の募集人の処分は、いつ始まるのでしょうか。
【社長】
多数契約調査により業務廃止処分とされた75人および厳重注意処分とされた2名の77人は、項番1の特定事案調査に係る募集人調査により法令違反・社内ルール違反に該当すると判定された募集人との重複はありません。特定事案調査に係る募集人調査の判定作業はほぼ終了しています。判定が確定した募集人は、4月20日時点で442人です。この442人の募集人については、順次処分を進めてまいります。
【記者】
新型コロナウイルス感染症の収束は依然不明ですが、これを機会に、モニターを使った顧客との対話などを視野に入れたデジタル的な対応を進めるお考えはありますか。
【社長】
お客さまの声については、これまでもさまざまな形で頂戴しておりました。対面でのお客さまとの接触が非常に難しい状況が長期間続くということですので、具体的な方法を検討しなければいけないと思います。ご質問頂いたモニターを使ったお客さまとの対話なども、今後、検討していく必要があると思います。
【記者】
政府の要請により配布している布マスクについて、現時点で何万枚配布が終わったのでしょうか。また、布マスクに汚れが見つかり、政府は未配布分の回収に追い込まれましたが、この点についての受け止めをお聞かせください。
【社長】
全戸配達の布マスクは6,300万カ所に配達の予定となっているところ、4月25日現在で都内の配達を受け持つ郵便局の一部に約230万カ所分が納入され、順次配達に取りかかっているところです。
 可能な限り速やかに配達を行う必要があり、政府の要請に応える形で対応していきたいと思います。
【記者】
外出自粛に伴うネット通販需要の急増で荷物の取扱量にはどのような影響が出ているのでしょうか。ネット通販の宅配において価格競争が起きていますが、今後どのような戦略でゆうパックの取扱量を伸ばしていくお考えでしょうか。
【社長】
国内物流については全体的に増加しておりますが、国際物流はほぼ止まっている状況です。全体として物流は増加しております。ネット通販の需要において、価格競争が起きておりますが、日本郵便の強みは、全国あまねくネットワークを持っていることです。確実性などの強みをアピールしながら、ネット通販需要の急増に対応していきたいと思います。新型コロナウイルス感染症の影響が出始めたのは最近のことですので、様々な状況をよく見たうえで分析を行い、強みをどのように利用していくか戦略を考えてまいりたいと思います。
【記者】
先ほどの質問に関連して、法人契約の調査対象となる1,800社は一定回数以上の契約乗換があった法人のお客さまとのご説明がありました。具体的な契約乗換の回数は4回以上という理解でよろしいのでしょうか。
【社長】
かんぽ生命の直営店で取り扱った契約乗換は2回以上、郵便局で取り扱った契約乗換は1回以上を条件として抽出した結果、1,800社を調査対象とすることにいたしました。
【記者】
かんぽ問題について、多数契約調査による77人の募集人の業務廃止などの処分に対応する法令違反・社内ルール違反の件数はどのくらいでしょうか。
【社長】
77人の募集人の処分に対応する法令違反・社内ルール違反の件数については、後ほど調べて正確な数をご連絡いたします。
(※)終了後、次のとおり回答。
 法令違反のみで47事案です。この77人についてはすべて法令違反です。うち2人はリニエンシー制度の適用により厳重注意処分を予定しています。
【記者】
全戸向けマスク配布、妊婦向けマスク配布、介護施設向けマスク配布など、政府から請け負った業務全体でどの程度の郵便料金が見込まれるのでしょうか。
【社長】
布製マスクの全戸配布は、1通当たり42円で受注をしました。全体で6,300万戸ですので、総額は約26億円でございます。
 妊婦の方々へのマスク配布、介護施設等に対するマスク配布については数字を持ち合わせておりませんが、同じ考え方です。布製マスクについてはできるだけ早く各世帯にお届けする必要があり、特別な体制を組んでお届けを始めたところです。通常の郵便と併せて届けるのではなく、布製マスクについて特別な体制を組むことで、できるだけ早く届けるようにしております。通常、特別な対応を行った場合は追加負担を頂戴しますが、今回は頂かずに、ユニバーサルサービスを使命とする日本郵便として、利益を見込まずにお引き受けしたところでございます。
【記者】
1点目、株価も低迷しており、国の財政支出がかさんでいるため、日本郵政の自己株買いのタイミングと考えられます。自己株買いについてのお考えをお聞かせください。
 2点目、先ほどご質問いただいたトール社に関連しまして、既に外部アドバイザーをリテインしているということでよろしいでしょうか。また、本体一括の売却は考えていないとのご説明がありましたが、不採算部門の売却等による大規模なリストラはあり得るということでしょうか。
【社長】
1点目の自己株買いについて回答いたします。まずきちんと決算作業を行った上で配当政策など様々な事柄について申し上げたいと思います。
 2点目のトール社の関係について回答いたします。トール社はこれまでも不採算部門の売却等を行ってまいりました。日本郵政グループ、トール社双方の経営陣も代わり、トール社全体の経営についてきちんと検討しなければならないとの認識の下、検討を進めているところです。そのためにアドバイザーを決めたところです。
 新型コロナウイルス感染症の経営への影響もよく見きわめていく必要があります。リストラ等については、雇用問題にも配慮しつつ、考えていきたいと思います。
【記者】
契約乗換があった法人のお客さま1,800社を抽出した条件が、かんぽ生命直営店と郵便局で違うのはなぜでしょうか。また、1,800件のうち、かんぽ生命直営店契約分と郵便局契約分の内訳を教えてください。
【社長】
1,800件のうち、郵便局契約のものは約1,100件、かんぽ生命支店契約のものは約700件です。
 郵便局契約分は、契約乗換があるものは全て調査をすることにしました。かんぽ生命の支店は、お客さまに対してきちんと説明をしてきた実績があります。それでも2回以上契約乗換がされているものについては、念には念を入れて、きちんと調査をしていこうという考え方で調査対象を抽出しております。
【記者】
政府の布マスクを迅速に配達するために、特別な体制をとっているとのご説明がありましたが、具体的に通常体制と異なるのはどのような点か、規模感とともに教えてください。
【社長】
郵便局の配達体制は地域によって異なりますので、一概には申し上げられません。今回の布マスクを通常郵便物と一緒に配布することができない場合などは、布マスクだけを通常郵便物とは別の体制を組んで配布することとしています。特別体制の規模感については、地域によって異なると思います。
【事務方】
先ほど増田社長からご説明のとおり、配達に当たり特別にマスクだけを配達する形で対応しているケース、通常の郵便物とともに配達するケースなど、局状に応じて対応を分けているところでございます。
 加えて、今回の布マスクの配達に関しては、政府からのお求めもあり、配布状況の管理を行っております。こちらが通常のお取り扱いとは異なる点です。
【記者】
新型コロナウイルス感染症の影響を受けまして、福祉的な観点で、何か新しい取り組みをお考えですか。
【社長】
社会福祉協議会で行われている生活福祉資金の貸付制度は、生活にお困りの方に小口資金をお貸しする制度ですが、この貸付の申込みを郵便局窓口でも受け付けることができるように関係機関と調整を始めています。郵便局が密になるという問題点もあり調整が必要ですが、早期に実施できるように準備をしていきたいと思います。
【記者】
資料別紙項番1に「お客さま都合によるもの等を除き、」とありますが、「お客さま都合によるもの」の定義を確認させてください。また、お客さま都合で確認がとれなかった件数は、特定事案調査、全ご契約調査、それぞれ何件でしょうか。
【社長】
「お客さま都合によるもの」とは、例えば、お客さまから「病院にご入院されているため、調査はもう少し後にしてほしい」などのお申し出があった場合のものです。様々な理由があると聞いております。
 お客さまのご都合で確認がとれなかった件数については、後ほど、調べてご連絡をいたします。
(※)終了後、次のとおり回答。
 お客さま対応を継続中である事由は、会見の際申し上げた「お客さまから説明を後日にしてほしいとのご要望をいただいた」、「お客さまが海外赴任中」の場合や、「お客さまが契約措置について検討中」、「特定事案以外の他にお持ちの契約も合わせての契約措置のご要望について個別に対応中」の場合などのほか、ご案内状が不着等のため、ご案内ができていないお客さまが一定数いらっしゃいます。
 特定事案調査におきましては、4月19日時点で、契約復元等について、詳細説明をご希望されたお客さま4万8,636人中、4万6,833人に契約復元等のご説明が完了し、4万976人のお客さまの契約復元が完了しておりますので、残りのお客さまへのご説明や契約措置を継続して丁寧に対応してまいります。
 特定事案調査において、ご案内状が不着等のため、ご案内ができていないお客さまは、4月19日時点で2,102人いらっしゃいます。これらのお客さまにつきましては、住所調査などお客さまへのコンタクトを継続して行ってまいります。
 全ご契約調査におきましては、約101万通のご回答をいただきましたが、引き続きお客さまへの丁寧な対応を行わせていただくものが約1.6万通ございます。
【記者】
法人契約の抽出調査で、十分に契約内容を理解していない、誤認しているおそれがある契約が見つかったとのご説明がありましたが、個人契約だけではなく法人契約においても不適正募集が行われていた可能性があることに関する受け止めをお聞かせください。
【社長】
今回調査の対象としている法人の大部分は中小企業です。中小企業の場合、社長さまが即断即決をする場合もございますので、契約内容を十分に理解されていない可能性や、誤認されている可能性がございます。よって、今回、きちんとアンケート調査を実施することにいたしました。
 私としては、さまざまな契約内容を確認し、念には念を入れる必要があると思っております。調査結果については、改めてお知らせをしたいと思います。
【記者】
人手が限られる中、国内の荷物量が増える一方で、布マスク配布も重なり、郵便・物流の現場は逼迫してきています。今後、荷物や郵便物の総量規制や一部サービスの停止を行うお考えはあるのでしょうか。併せて、現場の集配人の方から、業務運行上、新型コロナウイルス感染のリスクがあるため、危険手当の支給を求める声もあがっています。この点についての社長のお考えをお聞かせください。
【社長】
当グループは、物流サービスの基本的なライフラインを担い、国民がこの時期に求めるサービスを提供していると思っております。荷物や郵便物の総量規制や一部サービスを停止する考えはございませんが、営業時間の短縮など、ご不便をお願いすることはあると思います。国際航空便の欠航などにより、引受けを停止することはございますが、サービスは継続していかなければならないと思っております。
 また、現場の社員を守り、感染リスクを低減させていくことも会社のトップとして必要でございますので、現場の声に十分に耳を傾けていきたいと思います。
 そうした中で、お客さまに適切なサービスを提供し、かつ、社員が新型コロナウイルスに感染しないための方策をよく考えていきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

(※記者会見における発言及び質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)