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- 日本郵政株式会社の社長等会見
- 2020年2月27日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
2020年2月27日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
- [会見者]
- 日本郵政株式会社 代表執行役社長 増田 寬也
- 【社長】
- よろしくお願いいたします。私からは5件、ご報告をさせていただきます。まず1件目です。1月31日に金融庁、総務省に報告し、同日、公表いたしました業務改善計画の進捗状況について、ご報告をいたします。
最初に、ご契約調査についてご説明いたします。A3サイズ横長の資料が配布されているかと思いますので、こちらを適宜ごらんいただきながら、お聞きいただければと思います。
A3横判の資料の項番1番、特定事案調査の進捗状況についてです。
「ご意向確認」と書いております表の一番下の段をごらんください。2月19日時点で、約85%のお客さまのご意向確認が完了しております。
「契約復元等」と書いている表の一番下の段をごらんください。3万3,836人のお客さまの契約復元等が完了いたしました。1月31日の公表時から1万2,842人のお客さまの契約復元等が追加で完了いたしております。引き続きお客さま対応を実施していくとともに、契約復元等については、前回、1月31日の会見で申し上げましたとおり、お客さまのご都合による場合を除きまして、3月末までにお客さま対応を完了させる予定としております。
次に、募集人調査のグラフをごらんください。2月19日時点で法令違反が認められた事案は153件、社内ルール違反が認められた事案は1,608件となっております。お客さまへの再確認が必要な事案等を除きまして、3月末までに違反の有無の判定を完了する予定としております。
続いて、項番2番の全ご契約調査の進捗状況ですが、約100万通の返信はがきのご回答のうち、お客さまからいただいたご意見、ご要望については、郵便局からの訪問等に加えまして、専用コールセンターからのお電話、書面でのご説明や、保険契約に関するお手続きなどの対応を進めております。2月21日時点で約22万人のお客さまへの対応が残っておりますが、専用コールセンターの体制増強などを行いまして、3月末を目途にお客さま対応を進めてまいります。
なお、お客さま対応に時間を要する契約措置が必要なもの等につきましては、4月以降も丁寧な対応を継続してまいります。
項番3番です。今後のお客さま対応の取り組み、いわゆる深掘調査の関係の進捗でございますが、2月26日時点で、多数契約調査のうち優先的に対応を行う897人のお客さまについては、ご連絡がとれたお客さまが89%、ご契約内容の確認が完了したお客さまが77%となっており、スケジュールどおり進捗をしております。また、優先対応以外の多数契約のお客さまについては、件数の多寡を考慮の上、4月末を目途に進めてまいります。
多数契約以外の調査として、お支払いいただく保険料が高額になっているケースなどにつきましては、契約内容の確認を3月以降優先度の高いものから調査を開始し、前回の会見で申し上げましたとおり、6月末を目途に進めてまいります。
項番4の信頼回復・ご契約内容確認のための訪問活動や、項番5の恒常的なフォローアップ活動、ご契約内容確認活動の充実については、現在、具体的な実施時期などを検討しておりますので、別途、お知らせをさせていただきます。
以上が特定事案調査、全ご契約調査についての進捗でございます。次に、業務改善策の進捗状況をご説明いたします。
既に2月14日に報道発表させていただいているように、お客さまのご意向に沿わない契約乗換や、契約の乗換潜脱の根絶に向けまして、個人契約の契約乗換については手当を不支給といたします。また、契約乗換の判定期間の拡大、渉外営業社員への営業手当の支給水準(基本給と手当の割合の見直し)について、JP労組の中央委員会で妥結・承認をいただきました。これらの施策については本年4月から開始をさせていただくこととしており、着実に進捗しております。
また、日本郵便においては、お客さまからの信頼回復に向け、フォローアップ活動を最優先に取り組むこととしており、2020年度は、主に金融関係の営業目標は設定しないことといたします。
業務改善計画の全体の進捗状況に関しましては、来月半ばに当局、金融庁と総務省への報告を予定しておりますが、当局へ報告をいたしましたら、皆さま方に速やかにご報告をさせていただきます。
2件目、日本郵便の不動産事業について、ご報告をいたします。
不動産事業をグループの経営基盤を支える収益の柱と位置付けておりまして、1月31日の会見において、旧麻布郵便局の虎ノ門・麻布台再開発、旧大阪中央郵便局、旧広島東郵便局、五反田の旧ゆうぽうとに続く大規模開発案件である、蔵前一丁目における開発計画について発表をいたしました。今申し上げましたことは、配布の資料の3枚目に不動産開発事業の現状と今後の取り組みの中で、一覧表で記載してございます。
本日は、3月に開業する板橋区常盤台の高齢者施設について、公表するものでございます。タイトルに、東京都板橋区に高齢者施設、グランダ常盤台弍番館が完成と記載された資料です。3枚目の全体像を記しました資料において、本日の案件は③の高齢者施設の3番目、グランダ常盤台弍番館と記載されているものでございます。
日本郵政グループは、トータル生活サポート企業グループとして、高齢化社会に対応した高齢者施設、子供・子育て支援のための保育所、働き方改革の一助となるシェアオフィス併設の賃貸住宅の開発を進めてまいります。詳しくは、お手元の参考資料をごらんいただきたいと思います。
3件目です。昨日公表いたしましたとおり、日本郵便が南都銀行さまと連携をして、全国の郵便局で初めて銀行手続き事務等を受け付けることとなりました。日本郵便におきましては、今後も地域のお客さまの生活を総合的にサポートできるよう、地域金融機関との連携を積極的に進めてまいります。
続きまして、4件目です。話題になっております新型コロナウイルスへの対応についてご報告いたします。この関係で、去る2月15日、皆さま方におかれましては、日本郵便における東京国際郵便局および成田空港での中国向けチャーター便の運航をご取材いただきました。また、多数取り上げていただき、ありがとうございました。本日も、この後、広州へのフライトがございます。この便もあわせて、本日までに7便のチャーター便を運航して、約12万通の郵便物を中国に向け発送いたします。明日および明後日に大連へのフライト2便を予定しておりますので、それを含めまして、2月中に合計9便のチャーター便の運航を予定しております。旅客便が減便をされる厳しい状況が続いており、このような形でチャーター便の運航をするということに踏み切ったわけでございますが、私どもとしては、お客さまからお預かりした郵便物を一刻も早くお届けしたいと、考えているところでございます。
コロナウイルスの関係については、グループとしての取り組みといたしまして、現在までにグループ社員に対して、うがい、手洗い、マスクの着用といった各種感染予防策の励行や中国湖北省、浙江省への渡航の取りやめを指示したほか、感染拡大を防止するため、1番目として通勤ラッシュの時間帯を避けるための時差出勤の活用、2番目として、大規模な会議や出張の自粛、3番目として、本社社員についてはテレワーク等の活用を指示したところでございます。
当社社員、グループ全体で40万人を超える社員を抱えております。このような企業グループとしては、もちろん感染者を出さないことが望ましいわけでありますが、これだけ多人数を抱える企業グループでございますので、社員の中から必ず感染者が出るという前提で種々のシミュレーションを行っているところであります。感染した社員が本社から出た場合、郵便局等の現場から出た場合、いずれについても適切に対応することができるよう、対応策のシミュレーション等を今行っているところでございます。現在、終息時期や社会経済活動への影響を見通すことが困難な状況にありますので、引き続き状況を十分注視をして万全の態勢で臨みたいと考えております。
5件目です。かんぽ生命におきましてお客さまにご迷惑をおかけする事案が、最近2件ございました。1つは、先日2月21日に既に公表いたしておりますが、先進医療特約に関するお知らせを誤ってご案内をしたことへのお詫びでございます。こちらは、先週公表済みでございます。
もう1つが、お手元にリリース資料を配布させていただいておりますが、年金保険契約の源泉徴収額等の誤りについてです。お客さまをはじめ関係者の皆さまに多大なご迷惑をおかけいたしましたことを深くおわびを申し上げます。
なお、本日リリースの案件につきましては、この会見終了後、かんぽ生命の担当者が会場に残りまして、ご質問の対応をさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
- 【記者】
- 2020年度の金融商品の営業目標を設定しないとのご説明がありましたが、営業目標を設定しない理由および経営への影響についてお伺いいたします。また、営業目標を設定しないとの対応は郵便局が販売する金融商品だけが対象ではないと理解してよろしいのでしょうか。投資信託については、郵便局よりもゆうちょ銀行直営店の方が不適正な取り扱いが圧倒的に多く発生していましたが、ゆうちょ銀行直営店がどのような対応となるのかについて教えてください。
- 【社長】
- 営業目標を設定しない理由は、信頼回復を最優先にしていきたいという考え方に基づくものです。特別調査委員会などから、営業目標必達主義の弊害を指摘されております。従って、今は信頼回復活動を最優先にした取り組みを進めております。その上で信頼が回復に至れば、やがて営業につながると思っております。
私は、募集品質についてきちんと考慮することが前提になりますが、営業目標自身はあってしかるべきだと思っております。しかし、従来は募集品質の面で不足している部分が多々ありましたので、営業目標のあり方を十分に見直すために、日本郵便やかんぽ生命と相談した上で、営業目標を設定しないことにいたしました。
営業目標は、日本郵便の金融商品に関するものを考えており、2020年は金融部門全体として営業目標を設定しないことにしました。
- 【記者】
- ゆうちょ銀行直営店の投信販売は、次年度の営業目標を設定するのでしょうか。
- 【社長】
- 2020年度は、日本郵便の金融関係の営業目標を設定しないことにしました。ゆうちょ銀行の直営店における営業目標は、募集品質を十分考慮したものであれば、従来どおりであっても弊害は生じないと思います。
- 【記者】
- 日本郵便における金融関係の営業目標は課さないとのご説明でしたが、かんぽ生命保険商品の営業が再開した際に、現場の郵便局員はどのような指示を受けるのでしょうか。積極的に販売をするべきなのか、控えるべきなのか、郵便局員が困惑するのではないかと思います。郵便局員はどうすべきなのでしょうか。
- 【社長】
- 営業再開をどのように考えるのかは、お答えできる段階ではありません。大事なことは信頼回復を確実に実現することです。そうした活動を続けることで営業再開に至ると思います。
営業目標を設定しなくても、お客さまニーズをきちんとお聞きすることで、商品を販売できると思っております。営業開始をいつにするかを別にすれば、2020年度はお客さまへのおわび行脚を含めて状況をきちんと説明し、商品を丁寧に説明するという活動を繰り返して、お客さまのニーズと合うようであれば販売することは可能であると思います。
おそらく営業目標を設定しないことは初めてのことなので、現場が対応に戸惑う場合などは、日本郵便における研修の中で対応してまいります。
- 【記者】
- これまで営業再開の時期について明言を控えていたと思います。金融庁の業務停止命令の期限である3月末まで残り1か月となりました。改めて営業再開についてお考えをお聞かせください。
- 【社長】
- 営業再開の時期は、まだ皆さまに申し上げる時期ではないと思っております。業務停止期間中にやるべきことは、募集人の調査、お客さまへの対応、募集品質向上の研修、かんぽ営業のスタンダードな販売モデルの作成など、総合コンサルティングサービスを提供する会社として生まれ変わることです。今の時点では、業務改善計画を外部にきちんとお示ししながら進めていくことが重要だと思っております。
- 【記者】
- どのような状況となれば営業を再開するのでしょうか。例えば、金融庁に進捗状況を報告した際など、営業の再開を判断する状況やタイミングについて教えてください。
- 【社長】
- 手続きとしては、金融庁や総務省にも報告が必要となりますが、まずは私どもの中できちんと状況を把握し、取締役会の皆さんの意見などもお聞きしながら、対応を考えていきたいと思います。
- 【記者】
- 増田社長は、金融庁の業務停止期間と営業停止期間は別のものとお考えなのでしょうか。
- 【社長】
- 業務停止期間は、監督官庁の判断で、処罰を含めて業務を行うことができない期間です。
それ以前から、私どもの判断としての営業自粛があります。営業再開については、会社としてきちんと判断があるべきであり、それを誤ると信頼回復への道を失いかねないと思っております。
これまで何回か営業再開について言及し、都度先延ばしにしてきた経緯があったと聞いております。このことは会社に対する信頼性を著しく毀損したと思います。またお客さまにもご迷惑をおかけしてしまいました。よって、全ての条件が整い営業再開ができるという判断は、当社としてしなければならないと考えております。
- 【記者】
- 営業目標の関連でお伺いいたします。アフラック社の保険などグループ以外の商品を含めて、営業目標を設定しないという理解でよろしいのでしょうか。
また、2020年度は営業目標を設定しないとのご説明でしたが、2021年度は営業目標を設定し、ストックベースのものとなると理解してよろしいのでしょうか。
- 【社長】
- 日本郵便として、2020年度は金融関係の営業目標を設定しないことにしております。その中には、他社の商品も含まれると思います。2021年度の営業目標については、2020年度の状況を見なければ判断ができないと思っております。私は、営業目標を持つこと自体を悪いと考えているわけではありません。他社においても営業目標を持ち、営業をしています。問題は、営業の品質やお客さまニーズなどを加味せず、営業目標を振りかざしていくことです。仮に2021年度に営業目標を設定する場合でも、そうした弊害が生じない営業目標としなければならないと思っております。
- 【記者】
- 4点質問いたします。
1点目は、「悪いニュースこそ、すぐに知らせていただきたい」と社長は就任時の挨拶で呼びかけました。「1月中旬に、小物ばかり処分するのではなく、大物優績者を処分すべきとの手紙を社長宛に送ったところ、社長はコンプライアンス室に調査を指示されたのですが、コンプライアンス室はきちんと調査をしていない」との話を取材の中で聞きました。また、告発者が誰かという犯人捜しが起きており、告発者が困っているとのことです。こうしたことがあっては、バッドニュースが上がらなくなってしまいますので、きちんと対応してほしいと思います。
2点目は、コロナウイルスについてお伺いいたします。国立の研修所で、一昨日から2日間にわたり250名規模の管理者研修が行われております。これを大規模なイベントと考えるべきなのか判断をしかねますが、参加者は不安に感じているようです。新型コロナウイルス感染拡大予防と社内研修会に関する社長のお考えをお伺いいたします。
3点目です。総務省の前事務次官の情報漏洩問題の調査の現時点の進捗状況を教えてください。
4点目です。昨年4月のかんぽ生命の株式売却は、不適正募集の問題を認識せずに行われたとの会社側の説明の信ぴょう性に関する調査は、いまどこでどのように進んでいるのか教えてください。
- 【社長】
- 1点目のご質問について、犯人捜しの状況にあることは、今初めて聞きましたので調査をします。仮にそうした状況にあるのであれば、趣旨に反するものだと思います。内部通報の数字等を見ましたところ、匿名の通報が多い状況です。おそらく犯人捜しを恐れている側面もあるように思います。制度としては内部通報制度があり、よろず相談窓口も開きましたが、犯人捜しが行われる状況では、制度が機能しないことが危惧されます。運用面で課題があれば適宜見直す必要があると考えております。
2点目のご質問について、国立の研修所で250人規模の研修が行われたとのことですが、不要不急の研修等はできるだけ控えるように指示をしております。それぞれの研修の実施判断は現場に任せておりますが、昨日の政府発表によると、この1~2週間が感染拡大防止の瀬戸際になるとのアナウンスがありましたので、きちんとした対応をしてまいります。
3点目のご質問について、総務省の情報漏えいの関係は現在調査を進めている段階です。
本日申し上げられることはそこまでですが、結果がまとまり次第、皆さまにきちんとご報告したいと思っております。
4点目のご質問について、かんぽ生命の株式売却に関連し、会社として契約乗換の事案の重要性を認識した時期は、会社として見解がまとまっております。特別調査委員会の報告書の指摘には、この問題を調査するとの記述がありましたが、委員会の調査状況は聞いておりません。会社としては、6月末に契約乗換の事案の重要性を認識したと思っております。
- 【記者】
- 郵政3事業のユニバーサルサービスに対して、増田社長はどのようなお考えをお持ちですか。時代の変化に応じて、従来の方針を一部見直すこともお考えでしょうか。
- 【社長】
- ユニバーサルサービスは、日本郵政グループ全体のサービスの根幹にかかわるテーマです。日本郵政グループは、ユニバーサルサービスを提供し続ける企業でありたいと思っており、サービス内容は地域ニーズによって変わり得ると思っております。地域で必要とされるサービスはさまざまで、サービスを提供する企業が撤退してしまったことから役所あるいは郵便局だけが拠点として残っているような地域もあります。そうした時に、郵便局が単に郵便事業と金融事業を提供するだけでは不足しています。新たなサービスは全て直営で運営する必要はなく、他企業との提携を視野に入れるなどして、サービスの中身を地域ニーズに応じて柔軟に見直していきます。そうしたユニバーサルサービスが地域から支持をされると思っております。
- 【記者】
- 全ご契約調査の深掘調査において、多数契約調査の中で優先的に対応を行うお客さまについて、ご契約内容の確認が完了したお客さまは77%とのご説明でした。この中で不適正な疑いのある契約はどの程度の割合を占めるのでしょうか。
- 【社長】
- 今の時点では分析中のためお答えできません。
- 【記者】
- 新型コロナウイルス対策について2点質問いたします。
1点目は、本社あるいは郵便局・支店で感染者が出た場合に、どのように対応するのかを教えてください。今日、メガバンクで感染者が出たとの発表がありましたが、感染者が出た支店は営業を継続されるとのことでした。実際に郵便局で感染者が出た場合、営業は継続されるのでしょうか。
2点目は、研修の開催についてお伺いいたします。金融営業の正常化に向けて、かんぽ商品のスタンダードな販売モデルの定着を3月以降急ピッチで進める予定だったと思いますが、こうした研修は予定どおり実施するのでしょうか。
- 【社長】
- 実際に感染者が出た場合の対応は、本社と郵便局で異なります。郵便局の規模によっても異なります。私どもとして苦慮しておりますのは、速達や配達証明など業務として続けなければならない部分についてです。保健所の指示に従うことが最優先となりますが、その上で、速達や配達証明などの業務は極力止めないように、少しお待ちいただける業務やバックヤードでの業務は違った対応をするなど、感染者を広げないシミュレーションをしているところです。
本社についても、どの部署で感染者がでるのかによって対応が異なると思っております。私自身、合同対策本部の本部長となり、各社社長とともに、対応態勢を作っております。昨日、大手広告代理店さんが、社員が新型コロナウイルスに感染したことで、社員5,000人をテレワーク等により在宅勤務をさせるとのご判断を示されました。さまざまな対応をお聞きしながら、当グループとしてどのような対応がよいのかを考えているところです。
2点目の研修に関する質問について、お客さまの信頼回復に向けて、研修をきちんとやらなければならないと思っております。新型コロナウイルスの感染防止に配慮して、研修は基本的に多人数を集めないように配慮し、可能なものはネット等による研修に切り替えて実施します。また、多くの人を1か所に集めて研修を行なうのではなく、移動が少なく小規模の研修とすることが基本的な考え方です。
ご指摘のかんぽ商品のスタンダードな販売モデルの定着は今月中に作成し、3月以降現場にお示しする予定となっております。研修のやり方を工夫して、当初予定していた研修の効果が落ちないようにしたいと思っております。
- 【記者】
- 感染者が出た場合は、郵便業務は極力継続するとのご説明でしたが、金融窓口は閉鎖する可能性もあるのでしょうか。
- 【社長】
- 保健所からの指示、郵便局の規模、1日のお客さまのご来店数によって対応が異なりますが、社員から新型コロナウイルス感染者が発生した場合、お客さまをお迎えするのは難しいと思います。金融業務よりも郵便業務の方が、業務継続の要請が高いと思いますが、感染した社員がどのような部署の方かによって対応を考えたいと思います。
いずれにしても、多数の社員を抱える組織ですので、必ずどこかで感染者が出るという覚悟で、対応を考える必要があると思っております。
- 【記者】
- 募集人調査に関して、資料に記載された件数に対応する募集人の人数を教えてください。また、募集人資格が停止されている募集人の人数もあわせて教えてください。
- 【社長】
- お配りした資料に記載されております件数について、募集人の人数を申し上げます。法令違反153件に該当する募集人は175人、社内ルール違反1,608件に該当する募集人は1,272人、合計は1,447人です。
- 【記者】
- 法令違反に該当する募集人の人数と社内ルール違反に該当する募集人の人数の間に重複はないでしょうか。
法令違反の件数より法令違反の人数が多い理由は、1件の法令違反の契約に複数の募集人が関与しているということでしょうか。
法令違反、社内ルール違反と判定された募集人は、今どのような状況にあるのでしょうか。また、今後どのような状況になるのでしょうか。
法令違反、社内ルール違反と判定された募集人は、保険を販売できる可能性があるのでしょうか。
法令違反、社内ルール違反と判定された募集人の上司に当たる管理職の処分は、どのような状況でしょうか。
- 【社長】
- 法令違反に該当する募集人の人数と社内ルール違反に該当する募集人の人数の間に重複はございません。
法令違反の件数より法令違反の人数が多いのは、複数の募集人が法令違反を行ったケースがあるためです。
法令違反、社内ルール違反と判定された募集人の状況についてですが、最近受けた報告によると、募集人調査の結果判定の通知書を発送し始めていると聞いております。
また、かんぽ生命が保険業法による処分を、日本郵便が任用上の処分などを行いますが、通知の後に本人から申し立てがある場合もありますので、処分が確定するのはもう少し先になると思います。
法令違反、社内ルール違反と判定された募集人が保険を販売できるのかについては、処分の内容によると思います。一般論で言えば、処分にも軽重がありますが、研修を行なった上で問題がなければ、保険を販売することもあると思います。
法令違反、社内ルール違反と判定された募集人の上司に当たる管理職については、明らかなルール違反があれば、処分を考えていく必要があると思っておりますが、それは次の段階の対応として考えております。
- 【記者】
- 全ご契約調査について、お伺いいたします。昨年12月のご説明では、全ご契約調査に対して約100万通の返信があり、そのうち約20万人がご意向に沿わない契約であったとのことでした。今般説明があった全ご契約調査の残り22万件について、何らかの属性が判っていれば教えてください。
- 【社長】
- 全ご契約調査の残り22万件については、3月末までに連絡を取り、お客さまのご意向を確認することにしております。現段階で属性の分析はできていません。今後、コールセンターから電話等によりお客さまのご意向を確認いたします。この作業によって属性が判明してまいります。作業を終了した後には、属性の分析等も公表できると思います。
- 【記者】
- 先ほど内部通報制度の問題について、課題があれば見直すとのご説明がありました。パワハラ関係の通報やかんぽ商品の契約問題の通報において、内部通報の制度はしっかりと整備されていますが、制度を運用する人、特にコンプライアンス部門の方の能力や資質に問題があることは、これまで報じられている事例から明白だと見受けます。
先ほどのご説明の中で、犯人捜しはいけないとのことでしたが、これまでも同様の発言がありながら実態が伴っておりません。今回、業務改善計画において、新たな通報窓口を設けるとのことですが、運用する人の能力や資質に問題があるままであれば、誰も通報しようとは考えず、依然としてバッドニュースは上がってこないと思います。社長のお考えをお伺いいたします。
- 【社長】
- 内部通報の制度はありましたが、運用は不十分だと思っておりますので、見直すべきところは見直したいと思います。別件でお聞きした話ですが、内部通報を処理する部署と全く別組織で通報者を守る組織を考えるとよいのではないかと思っております。具体化をするところまで準備が出来ておりませんが、他社の仕組みを調べてみたいと思っております。制度本来の目的につなぐため、もう少しお時間をいただいて考えていきたいと思います。
- 【記者】
- 資料別紙の項番3番の多数契約調査に「優先的に対応を行うお客さまについては、2月26日時点でご連絡がとれたお客さまが89%」「ご契約内容の確認が完了したお客さまが77%」とありますが、人数の実数を教えていただけませんか。
また、金融商品の営業目標を設定しないことで、日本郵便の委託手数料収入が大幅に減ると思います。そうした場合、ユニバーサルサービスの責務を負うことによるネットワーク維持費が十分に確保できなくなり、郵便局ネットワーク維持に支障を来すことが推測されますが、どのようにお考えでしょうか。
- 【事務方】
- 1点目の質問にご回答いたします。89%のお客さまにつきましては、802名のお客さまでございます。77%のお客さまにつきましては692名のお客さまにご連絡、ご確認ができているということでございます。
- 【社長】
- 今回のかんぽ商品の契約問題によって、日本郵便が委託手数料を得ることができないために、難しい経営状況であることは事実です。しかし、会社内の他部門の収益や経費節減などで、来年度もユニバーサルサービスをきちんと維持していきたいと思います。今回の問題をきちんと受けとめて、一刻も早く信頼を回復させることに尽きると思っております。
- 【記者】
- 冒頭、ゆうちょ銀行の直営店の営業目標は従来どおりとのご説明があったと思います。先日のインタビューでは、ゆうちょ銀行の不正な手続の一因として、営業目標があったとのことでしたが、ゆうちょ銀行の直営店の営業目標を見直す必要性についてお考えをお伺いいたします。
- 【社長】
- 昨年までさまざまなやりとりがあったようですが、ゆうちょ銀行の投信販売の現場においても、営業目標がプレッシャーになっていたと思います。その点は、ゆうちょ銀行としてきちんと受け止めて、考えていかなければならないと思います。
ゆうちょ銀行の直営店においても、昨年からお客さまの信頼をなくすことがないようにさまざまな取り組みをおこなっております。よって、2020年度は営業必達主義のような販売を行うことにはならないと思います。ゆうちょ銀行においても、かんぽ生命と同じ問題意識で見直すべきところは見直していただきたいと思っております。
- 【記者】
- ゆうちょ銀行は、昨年秋の投信の不正販売の記者発表において、不正販売は営業目標と全く関係がないのかとの質問に対し、全く関係がないと説明されていました。ゆうちょ銀行として、営業目標そのものの問題点は検討されているにせよ、不正との関係性を前提とした対策が講じられているのかというところが心配に思えます。
- 【社長】
- 昨年の秋の資料を取り寄せて拝見しました。ゆうちょ社員の声の中に営業目標の項目が入っており、営業項目が現場社員にとって大きなプレッシャーにつながっていたという気がいたしました。
日本郵政グループは首脳陣が大きく変わり、グループ全体が生まれ変わらなければなりません。きちんと問題を受け止めて、直すべきところは直すよう指示をしております。投信の販売について指摘を受けておりますので、きちんと対応を考えていただいていると思っております。
- 【記者】
- その場合、ゆうちょ銀行の中では営業目標が一連の不正手続きの一因と整理しているにも関わらず、記者会見において営業目標が不正手続きの一因であることを否定したことになります。
- 【社長】
- 当時どのような整理をしたのかは、私は詳しく聞いておりません。いずれにしても、資料を見る限りは、営業目標は社員にとって大きな存在であったのではないかと思います。よって、そうしたことを受けてこれからの営業を考えていかなければならないと思います。きちんと見直すべきところは見直さないと、郵政グループは生きていけないと思います。
- 【記者】
- タスクフォースについてお伺いいたします。タスクフォースの人選を10人規模で行っているとのことでしたが、現在の状況について教えてください。加えて、第三者からのモニタリングを受けるために有識者や消費者団体から人選されていたと思いますが、こちらの進捗を教えてください。
- 【社長】
- タスクフォースは私の直下の組織として、持ち株や事業子会社から人を集め、各社社長にも関わってもらい、活動をスタートさせてまいります。必要があれば、人数はさらに増やしてまいります。また、アドバイザリーコミッティー(仮称)を設けるため、人選と依頼を行っているところです。
アドバイザリーコミッティー(仮称)も含めて、予定どおり4月にスタートできると思っております。
- 【記者】
- 不正に関与した社員の人数は、今後増える余地があるのでしょうか。また、不正に関与した疑いのある社員が現時点で何人いたのかを教えてください。
- 【事務方】
- 不正に関与した疑いのある社員の人数は、出せておりません。
- 【記者】
- 総務省の情報漏洩問題に関する調査について、前上級副社長への聞き取り調査は行われたのでしょうか。
また、増田社長は第一次安倍改造内閣の郵政民営化担当大臣でしたが、その当時、今回のような不正が起こることを見抜けなかったのでしょうか。
- 【社長】
- 総務省の情報漏洩問題に関する調査について、どの段階まで進んでいるのか報告を受けておりません。また、この問題は、途中段階での公表はせずに、全体がまとまってから公表させていただきたいと思っております。
2点目のご質問について、私が総務大臣を務めた際、郵政民営化担当大臣でもありましたが、こうした不正事案が起こることは考えておりませんでした。新しい体制で、郵政民営化の趣旨に沿ってスタートしていただけると思っておりました。
- (※記者会見における発言および質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)