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2020年1月31日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2020年1月31日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 代表執行役社長 増田 寬也
日本郵便株式会社 代表取締役社長兼執行役員社長 衣川 和秀
株式会社かんぽ生命保険 代表執行役社長 千田 哲也
【日本郵政社長】
昨年来のかんぽ商品の問題につきまして、お客さまの信頼を裏切り、契約者の皆さまに不利益が発生いたしましたことを深くおわびを申し上げます。速やかに調査を進め、不利益を一刻も早く解消することにより、信頼を一歩一歩回復してまいります。
 昨年12月27日に総務大臣および金融庁から受けました業務改善命令に関しまして、グループ各社の業務改善計画が取りまとまり、本日、総務大臣および金融庁へ報告をいたしました。本日は、その内容を皆さまにご説明をさせていただきます。
 初めに、ご契約調査についてご説明をいたします。資料表1「お客さまの信頼回復に向けたご契約調査とフォローアップ活動の対応①」をご覧ください。
 まず、項番1特定事案調査の進捗状況ですが、約85%のお客さまのご意向確認が完了し、約2万1千人のお客さまの契約復元等が完了いたしました。引き続き、お客さま対応を実施していくとともに、契約復元等についてはお客さまのご都合による場合を除き、3月末までに完了させる予定でございます。
 また、募集人調査の進捗状況については、法令違反が認められた事案は106件、社内ルール違反が認められた事案は1千3百6件となっており、お客さまへの再確認が必要な事案等を除き、3月末までに違反の有無の判定を完了する予定としております。
 続いて、項番2全ご契約調査の進捗状況について、約百万通の返信はがきのご回答をいただき、順次、お客さま対応を進めており、こちらも3月末を目処にお客さま対応の完了を目指してまいります。なお、お客さま対応に時間を要する契約措置が必要なもの等については、4月以降も丁寧な対応を継続してまいります。
 項番3今後のお客さま対応の取り組みとして進めてまいります、全ご契約調査の深掘調査についてご説明いたします。深掘調査につきましては、お客さまのご意向に沿っていない可能性が高いと想定されるものから優先的に順次実施していく方針で、全ご契約調査等でお客さまからいただいたご回答、ご意見等の中には、多数回にわたって契約の消滅・新規契約が繰り返され、お客さまのご意向に沿ったものではない可能性が想定されるケースがあることから、このようなケースのお客さまを抽出し調査をすることとしました。
 その中でも特に件数が多い約9百人のお客さまにつきましては、契約内容の確認を優先して、2月末を目処に、優先対応以外の多数契約のお客さまについては、件数の多寡を考慮の上、4月末を目処に進めてまいります。
 また、多数契約以外の調査として、お支払いいただく保険料が高額になっているケースなどにつきましては、「B多数契約以外の調査」に記載されている表のとおりとなります。契約内容の確認を3月以降、優先度の高いものから調査を開始し、6月末を目処に進めてまいります。
 項目を区分して対象契約者数を右側のほうに記載させていただいております。
 多数契約と多数契約以外を合算した調査対象となるお客さまにつきましては、約6万人と想定しております。なお、一人のお客さまにつき複数のご契約が対象となることから、調査対象のご契約は現時点で約22万件と見込んでおります。
 項番4として、こうした調査以外にもお客さまのご契約内容の確認が必要な事案については、信頼回復、ご契約内容確認のための訪問活動を順次実施し、誠実にお客さまの不利益解消を図ってまいります。
 項番5として、継続的なご契約内容の確認活動や年に一度ご契約者さまにお送りをしております「ご契約内容のお知らせ」を改善し、お客さまにご契約内容をご確認いただき、お客さまの気付きを促す機会を提供してまいります。
 今の説明をスケジュール線表にしたものが、表2「お客さまの信頼回復に向けたご契約調査とフォローアップ活動の対応②」でございます。こちらの方は上のほうに時期、月を書いてございますので、こちらとご対照の上、ご覧いただきたいと思います。
 続きまして、業務改善計画の主要施策の概要について、ご説明いたします。資料表3「業務改善計画における主要施策の概要」をご覧いただきたいと思います。全体をご覧いただきますと、今回の私どもが行います業務改善計画の全体像がごらんいただけると思います。適正な営業推進態勢を確立するために、各種の施策を実施する。そして、不適正な募集等を行わないよう、けん制機能を整備する。資料左側に適正な営業推進態勢の確立、資料右側にけん制機能の整備、資料下側に両者を支える基盤として情報共有やガバナンス体制の強化、こうした構図となっております。大きく3つの機能を整備するということでございます。
 資料左側「Ⅰ健全な組織風土の醸成・適正な営業推進態勢の確立」についてご説明いたします。「健全な組織風土の醸成、適正な営業推進態勢の確立」(1)から(5)にあるとおり、組織全体にお客さま本位の意識を醸成するとともに、それに基づく保険募集を実践することが適切に評価される態勢を構築してまいります。具体的には、お客さま本位の理念に基づいた行動規範を策定し、具体化するものとしてかんぽ商品のスタンダードな販売モデルを策定し、研修等により関係する全社員へ浸透させてまいります。また、整合的な営業目標の設定、評価、手当に見直すとともに、条件付き解約制度、契約転換制度といった仕組みも整備してまいります。
 資料右側の、「Ⅱチェック・けん制機能」として、第1線では、お申し込みから契約締結までの間で、郵便局およびかんぽ生命による重層的なチェックを実施いたします。第2線では、適正な募集管理のための体制等の強化として、募集管理、コンプライアンス、苦情対応部門の人員の拡充、自己判定においては、自認に頼らない事実認定、処分の区分の追加、管理者への処分を実施いたします。第3線として、内部監査部門を強化いたします。
 さらに「Ⅲ情報共有・全体を支えるガバナンス」についてご説明いたします。
 こちらにつきましては、(1)から(3)の3つに分かれておりますが、まず「(1)のPDCAサイクル」として、お客さまから当社グループに寄せられるさまざまな声を把握、分析するとともに、新たに設置する金融営業専用の社外通報窓口に寄せられる社員の声なども把握、分析し、改善策の効果、継承、さらなる見直しに努めてまいります。
 続いて、「(2)各社およびグループのガバナンスの強化」につきましては、社外取締役の知見を活用して取締役会等を強化するほか、内部統制に関する各種連絡会、委員会を強化し、深度ある議論を実施してまいります。
 最後に「(3)改善策のモニタリングと定期的な進捗状況の公表」については、今回のかんぽ問題を受けて、日本郵政社長のもとに、グループ横断のタスクフォースを設置いたしました。今後は、タスクフォースによる進捗管理のもと、弁護士や外部の専門家を含めた第三者のモニタリングを受けながら、着実に各施策を実行し、グループ全体に浸透させてまいります。
 以上が今回提出をいたしました計画の概要のご説明でございます。詳細は後ろにつけておりますA4判の資料となります。こちらも後ほどご覧をいただければと思います。ご説明いたしました各種取り組みにつきましては、多岐にわたりますが、経営陣が責任を持って実行に移してまいります。
 本日は、不動産事業関係についても、お話をさせていただきます。
 日本郵政グループは2007年の民営化以降、日本郵政グループで未利用となった土地を活用して、JPタワーをはじめ、オフィスや住宅を開発してまいりました。さらに収益拡大のため、2018年4月に、グループ内に不動産事業に特化した日本郵政不動産を設立いたしました。現在は、日本郵政グループにおきまして、旧麻布郵便局の虎ノ門・麻布台再開発、旧大阪中央郵便局、旧広島東郵便局、五反田の旧ゆうぽうとの4件の大規模不動産開発を進めているところでございますが、本日は、さらに2点、お話をさせていただきます。
 1点目ですが、先ほどの4件に引き続き、蔵前の開発計画が固まりました。本計画は、オフィス棟、住宅棟、物流施設棟からなる、延べ床面積約10万平米規模の大型複合施設を開発するものでございます。働く、住む、運ぶという機能を組み合わせることによりまして、下町文化と新しい文化が混ざり合うまち、蔵前の活性化に貢献をしてまいります。なお、蔵前開発事業計画の詳細につきましてご質問がございましたら、後ほど担当のほうからお答えさせていただきます。
 2点目ですが、グループ保有資産の開発とともに、他社との共同事業や収益物件取得等の検討を進めてまいりました。今般、日本郵政不動産が、ヒューリックさまと赤坂物件で共同事業を進めることとなりました。また、日本郵政グループ保有の汐留物件でも、共同で事業を進めることとなりました。ヒューリックさまとは、共同事業や新規不動産の共同取得などにおいて連携を強化してまいります。今後も、引き続き不動産事業においてさまざまな取り組みを進め、グループ経営基盤を支える第4の収益の柱となりますように成長させてまいります。
【記者】
増田社長に営業再開の時期についてお伺いいたします。深掘調査が終了する6月末まで営業再開をしないとのお考えでしょうか。また、営業再開の時期を判断する基準について教えてください。
【日本郵政社長】
本日、処分庁に業務改善計画を提出させていただきました。今後、私どもは計画をしっかりと実行していくことになります。よって、今日時点で営業再開の時期について申し上げることはできません。
【記者】
先日、郵政民営化委員会委員長が記者会見において、業務改善計画に中長期的なビジネスモデルを盛り込でほしいと発言されました。この要請に対して、どのように応えるのでしょうか。
【日本郵政社長】
私どもに対する郵政民営化委員会のヒアリングの後の記者会見において、委員長がそうした発言をされたことは承知しております。今回提出いたしました業務改善計画は、不祥事を起こしたことから、いかに改善して行くかとの観点から書かれたものです。委員長が期待されている将来のビジネスモデルにつながる企業の成長戦略とは少し性格が異なると認識しております。
 一方で、郵政民営化委員会から成長戦略に関する問題提起がございましたので、委員会のお考えも踏まえた成長戦略となるよう、コミュニケーションを図ってまいりたいと思います。
【記者】
金融コンサルティング部(仮称)を立ち上げて金融コンサルタントを行うことに対して、郵便局の現場から「FP有資格者によるコンサルティングという新しいビジネスモデルを展開していくことは困難」との声が上がっています。そうした指摘について、どのようにお考えでしょうか。
【日本郵便社長】
さまざまな商品をお勧めするために、商品知識を持つ必要があります。時間はかかるかもしれませんが、社員の皆さまには資格取得に努力していただきたいと思っております。
【記者】
当初はFP3級を取得させることが検討されていたが、経営幹部からの指示でFP2級を取得させることになったとお聞きしています。そのことにより多くの募集人が資格試験に合格できない結果となりそうです。FP3級では不足だったのでしょうか。
【日本郵便社長】
過去の経緯については十分承知しておりませんが、FP2級の方がさまざまな営業が行いやすくなると判断されたのだろうと思います。
【記者】
全ご契約調査の深掘調査において、多数契約および多数契約以外の調査対象者が合計5.9万人とのご説明でしたが、これらの調査対象者は重複していないのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
重複はかなりございます。一例を挙げると、「多数契約」に該当する0.6万人の中には「多額契約」に該当する方や「被保険者を替えた乗換契約」に該当する方が多く含まれています。「多数契約」に該当する0.6万人のうち3分の1程度は「多額契約」と重複しており、同様に「多数契約」に該当する0.6万人のうち3分の1程度は「被保険者を替えた乗換契約」と重複しております。
 よって、重複の多い「多数契約」の調査を特に優先的に取り組むこととし、2月中に該当するお客さまにアプローチさせていただきます。
【記者】
当社取材の中で、金融渉外部の社員から、「明らかにお客さまのご意向に沿っていない契約が、全ご契約調査の深掘調査対象5.9万人に含まれていないのではないか」との声を耳にしています。例えば、「10倍特別養老保険で、保険金1千万円、満期受取金百万円、毎年の保険料が百五十万円~百七十万円といった保険や、アフラックのがん保険において入院保障の上限が1日6万円といった保険は、とてもお客さまニーズに沿っているとは思えない」との声があります。
 こうした契約が、今後、多数契約以外の深掘調査の項目として追加される予定はあるのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
ご指摘の事例は、多額契約に該当する可能性があるものと推測します。これは、65歳以上の契約者が月額保険料10万円以上の払込みを行っており、かつ短期間に契約の消滅が1件以上あるものです。そうした事例は優先順位を高めて対応してまいります。
 また、多額契約に該当しない場合も、資料表2の項番4にある「信頼回復・ご契約内容確認の訪問活動」において、全てのお客さまに確認を取るために当社からご訪問をさせていただきます。これらの活動は信頼回復に大事であり、不適正募集のけん制機能にもなることから、全てのお客さまをご訪問させていただきます。ただし、他社の商品については、この活動に含まれるものではございません。
【日本郵便社長】
アフラック商品については、現時点で特に問題が発生していると認識しておりません。仮に問題が発見されれば、委託元であるアフラック社と相談の上、調査をすることになると思います。
【日本郵政社長】
特定事案調査については色々とご指摘があったことから、お客さまのご意向とは別に、当社が探し得る問題事案について類型を決めて深掘調査を行うことにしました。
 多数契約は、新規契約に10件以上加入しその3割以上が消滅したものとしておりますが、多額な契約を別に拾うべきだと考えて、資料表1の項番3、Bにある「多額契約」、「被保険者を替えた乗換契約」等の類型により調査をすることにしました。調査スケジュールは、資料に記載のとおりです。
 ご指摘の「深掘調査対象5.9万人に含まれていない」問題事案については、資料表2の項番4「信頼回復・ご契約内容確認のための訪問活動」、項番5「恒常的なフォローアップ活動、ご契約内容確認活動の充実」という形で常に門戸を広げ、きちんと対応させていただきます。あるいは、10月に送付いたします全ご契約者宛のお手紙によって、お気づきいただけるように対応してまいります。かんぽ商品以外の商品においても、当社として問題だと考えるものが見つかれば、かんぽ商品と同様にきちんと対応してまいります。
【記者】
多数契約および多額契約で追加調査対象者の中で、最も多く契約をされていた方の契約件数、および最も多額な契約をされていた方の保険料額を教えてください。契約数の平均値や保険料額の平均値も併せて教えてください。
【かんぽ生命社長】
手元に詳細なデータがございませんので、後ほど事務方から回答させていただきます。(※)
 (※)終了後、次のとおり回答。
 <多数契約>
 多数契約の定義内の契約における平均件数は13.1件となり、最高件数は122件となります。ただし、いずれも消滅している契約を含む件数のため、現時点で保有されている(お持ちになっている)契約件数ではありません。
 <多額契約>
 多額契約の定義内の契約における平均月額保険料額は18.9万円となり、最高保険料額は148万円となります。ただし、保険料を前納払込みされている契約が含まれている場合もありますので、毎月の保険料のお支払い(お払込み)金額とは異なる場合があります。
【記者】
営業目標をフローベースからストックベースに変更するとのご説明がありました。本社、支社、郵便局、個人などの階層のうち、どの階層に課せられる営業目標が変更されるのでしょうか。
【日本郵便社長】
全階層の営業目標が変更の対象となります。
【記者】
これまでは会社全体の販売目標があり、それが支社・郵便局へと割り振られ、個人の営業目標が決まっていたと思います。変更後はどの階層まで営業目標が割り振られるのでしょうか。
【日本郵便社長】
資料P11に個人別目標について記載しております。人事評価上の個人別営業目標額の在り方は検討が必要だと考えております。よって、人事評価上の個人別営業目標額の在り方を検討するまでの間は、営業推進上の個人営業目安は設定しないこととしております。ただし、最終的には設定することになると思います。
【記者】
個人別の営業目標の在り方は、いつ頃検討が終了するのでしょうか。
【日本郵便社長】
現時点で検討終了の時期を明確に申し上げることはできませんが、一定の時間がかかると思います。
【記者】
個人別営業目標と営業再開の関係についてお伺いいたします。個人別営業目標が設定されなければ営業を再開されないのでしょうか。
【日本郵便社長】
営業再開については、現段階では申し上げることができません。一般論ですが、営業再開にもさまざまなやり方があると思います。営業を再開する時点で必ずしも個人別営業目標まで決まっている必要はないと思います。現時点で決まったものはありません。
【記者】
お客さまのご意向に沿わない契約の中で、被害が一番大きいと思われるのは多数契約だと思います。今般、営業目標をフローベースからストックベースに見直した場合、乗換契約に対してはけん制機能が働くと思いますが、多数契約に対してのけん制機能にはならないと思います。お考えをお伺いいたします。
【日本郵便社長】
営業目標の在り方を変えるだけでお客さまが不利益となる契約を一掃することは難しいと思います。ただし、多数契約の定義にあるように、新規契約が消滅と組み合わされていることが問題だと認識しています。そうした意味で、営業目標をフローベースからストックベースとすることは、多数契約に対しても一定の抑制効果があると思います。
【記者】
契約を消滅させずに増加させ続ける場合も、お客さまに不利益となると思います。
【日本郵便社長】
さまざまなケースがあり一般論としてご説明することが難しいのですが、経済的に余裕がありお客さまがご希望されるのであれば、保険契約を増加させることは保障が増えるため、必ずしもお客さまに不利益とは言えないと思います。
 一方で、新規契約が消滅と組み合わされているケースは、お客さまに無理なご負担をお願いしていると推測できます。こうした部分は、ストックベースの営業目標とすることで抑制することができると考えております。
【かんぽ生命社長】
補足させていただきます。資料表3の「(4)営業目標等の体系の見直し」に記載があるとおり、営業目標だけでなくさまざまな評価軸を変更してまいります。「(4)営業目標等の体系の見直し」の②にある募集品質にかかる各種評価ウエートを引き上げ、①から④までを重層的に組み合わせることで営業目標等の体系を見直していきたいと考えています。単純に営業目標をフローベースからストックベースに変更するということではありません。
【記者】
募集人調査が途中段階にあるとのご説明でした。今後、多数契約など調査対象が増えることで、募集人調査の対象者も増えると思います。かんぽ商品の営業再開の際に、判定完了に至っていない疑いのある募集人は営業を再開できないと理解してよろしいでしょうか。
【日本郵便社長】
募集人調査の判定はかんぽ生命における判断となりますが、調査途中にある募集人は、その間の募集を停止しております。よって、一般論としては、ご指摘のとおりです。ただし、今は営業再開について何も申し上げられる状況にありません。
【日本郵政社長】
調査途中にある募集人は営業の現場に出ることがないように対応してまいります。
【かんぽ生命社長】
補足させていただきます。判定完了に至っていない疑いのある募集人にも程度がございます。営業の現場に出すことが出来ない者から、それ程でもない者などさまざまです。個々の条件を勘案しながら、適正な営業ができる仕組みを構築してまいります。
【記者】
郵便局を取材する中で、管理者の処分方針が見えてこないことについての不満の声を耳にします。管理者の処分についてどのような対応をされるのでしょうか。
【日本郵便社長】
募集人調査はかんぽ生命が中心となって実施しておりますので、当社として全貌を把握できていない状況です。募集人調査の中で、パワハラなど管理者の対応に問題がある場合は、社内ルールに則り厳正に対処いたします。
【記者】
「多数契約」や「被保険者を替えた乗換契約」等について、追加調査を行うとのご説明でしたが、なぜもっと早く調査に踏み切らなかったのでしょうか。
【日本郵政社長】
外部からの見え方と内部の意識が相当食い違っていたと思います。例えば、5年間で15件以上の契約があり、その半数が消滅している契約を抽出すると約900人のお客さまがいらっしゃいますが、昨年でもこうした抽出はできたと思います。きちんとリスク感度を高めて対応していくべきだったと思います。
 そこに今の私ども組織の問題点が凝縮されていると思っております。今いただいているさまざまなご批判を重く受けとめ、会社として誠意を持って対応していきたいと思います。
【記者】
営業再開の条件についてどのようにお考えでしょうか。例えば、「特定事案調査や深掘調査が完了することが前提となる」、「再発防止策の進捗度が最低どの程度必要となる」などの目安を具体的に教えてください。
【日本郵政社長】
営業再開の条件や目安はありません。業務改善計画にきちんと取り組むことが、我々に課されている最低限のミッションだと思います。営業再開については、プロセスも含めて、よく考えたいと思います。
【記者】
深掘調査の対象者約6万人、22万件について、追加調査をされるとのご説明がありました。以前から行っている特定事案調査と合わせて考えた場合、15万6千人プラス6万人、18.3万件プラス22万件と理解してよろしいのでしょうか。
【日本郵政社長】
従来の特定事案調査と今般の深掘調査の調査対象者は重複しておりますので、単純な足し算とはなりません。
【記者】
資料P18に「外部の専門家の評価及びアドバイスを受けながら、信頼回復及びお客さま本位の業務運営を実現するために必要な取組を推進してまいります」との記載があります。また、「日本郵政グループにおける適切な理念浸透方法を検討の上、お客さま本位の業務運営を社員一人ひとりに浸透される取組を実施します」との記載がありますが、具体的にどのように取り組むのでしょうか。
【日本郵政社長】
社長直属の組織であるタスクフォースの中で、具体策を検討しております。これまで日本郵政グループの取り組みはわかりにくかった面がありますので、外部からアドバイスをいただく評価組織をつくり、業務改善計画の進捗状況をモニタリングしていただきたいと思っております。
 前経営陣が12月27日にタスクフォースを発表した際には、弁護士の方に進捗状況をモニタリングしていただくことを想定されていたようですが、外部の人たちからアドバイスや評価をいただくための一案として、コンプライアンスやガバナンスの専門家、消費者団体の方などにも入っていただきたいと考えております。
 業務改善計画は、最終的には当社の責任で進めることになりますが、広く外部の方に入っていただき、外部から見える形で進めてまいります。スケジュール表にあるとおり、4月からスタートしたいと思います。
【記者】
ゆうちょ銀行の投資販売について、フォローアップ活動の進捗状況と営業再開の目処を教えてください。
【日本郵便社長】
ゆうちょ銀行においてお客さまのフォローアップ活動の途中であることやかんぽ生命の信頼回復を優先する必要がある状況から、郵便局における投資信託の積極的な営業を控えております。営業再開の時期は、状況を見ながらゆうちょ銀行と相談して決定してまいります。具体的な時期は、今申し上げる状況にありません。
【記者】
就任から1か月間で、増田社長が日本郵政グループの問題点や改善策が必要だと思われたことなど、ご自身の目線でお考えになられたことを具体的にお教えください。
【日本郵政社長】
事業子会社の壁が厚くグループの一体感が不足しているというのが、私の率直な印象です。グループ創設以来の危機を乗り切るためには、グループが一つになることが必要ですが、そうした意識が希薄であると感じています。お客さま本位で、総合的にお客さまの生活をサポートする企業であるとの企業理念をどこまで浸透させることができるかが問われていると思います。
【記者】
かんぽ商品の契約に関する問題が起こる以前から、日本郵政グループは成長戦略が描けておらず、悠長に構える時間もないように思います。営業再開の時期や営業再開後の成長戦略はいつ頃公表するのでしょうか。
【日本郵政社長】
営業再開について示すのは、営業再開できると判断したときです。時期は申し上げられません。
 成長戦略をお示しする場面は、2月中旬の第3四半期決算発表、5月中旬の期末決算発表、6月の株主総会など、さまざまな想定が出来ます。今後毎月行う記者会見の中でも、個別事案だけでなく、トータルの成長戦略もお示ししてまいりたいと思います。
【記者】
業務改善計画は、金融庁に3か月毎に進捗状況を報告することになっていますが、最終の報告はいつ頃となるのでしょうか。
【日本郵政社長】
最終報告の時期は定められていないと思います。よって、最初は1か月、以後は3か月毎に報告をする中で、監督官庁とのコミュニケーションが図られ、自ずと最終報告の時期も決まってくると思います。現時点では、進捗状況を報告し続けることになると理解しています。
【記者】
以前金融庁に質問したところ、「業務改善計画を実行する期間は日本郵政グループが決めることである」との回答がありました。
【かんぽ生命社長】
金融庁のご回答は、「いつまでに何をどのように改善するのかについては、日本郵政グループが考え、3か月毎に報告してください」という趣旨のものと思います。
【記者】
資料表3に「「かんぽ商品販売のスタンダードモデル」を浸透させる研修」との記載があります。スタンダードモデルとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
現在、お客さまのご意向を伺う際のヒアリングシートを改め、お伺いしたお客さまのご意向に対して、どの商品をどのような形で販売していくのかを示す研修教材を作り直しています。行ってはいけない販売方法や、今後の販売活動のスタンダードモデルを示す教材としたいと思っております。研修教材は2月中に作成し、研修は3月から行いたいと考えております。今後、PDCAサイクルの中で研修の内容も改善してまいりますが、そうした研修を通じて、お客さまのニーズに合った「かんぽ営業スタンダード」を浸透させてまいります。
【日本郵政社長】
業務改善計画の報告期日について補足いたします。「3月末までに特定事案調査の契約復元送付、説明完了」など、業務改善計画の中で期限を定めている事項については、監督官庁への完了の報告が済めば、報告は終了となります。
 資料表1の「4信頼回復・ご契約内容確認にための訪問活動」や「5恒常的なフォローアップ活動、ご契約内容確認活動の充実」などは、項目の性格上、恒常的にご報告することになると思います。
【記者】
今回、多数契約や多額契約を深掘調査として調査対象に加えましたが、特別調査委員会の報告書によれば、これらカテゴリーについては、これまでもお客さまの意向を確認する調査を実施しており、対策を施してきたとのことでした。こうした調査や対策が十分であれば、多数契約として優先的に対応する900人のお客さまのご契約にもご意向どおりに沿ったものとなったはずです。増田社長は、これまでの顧客対応が不十分だったという認識をお持ちでしょうか。
【日本郵政社長】
結果として今の時期に改めて調査をする事態を招いており、会社が築いた仕組みが機能していなかった部分があると思っております。
【記者】
募集人調査で不正と判定された場合、募集人本人への処分はどのように進められるのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
法令違反及び社内ルール違反に該当した募集人に対しては、既にかんぽ生命が判定結果を通知しております。併せて募集を行うために必要な登録証を回収し、募集が出来ない状況にしております。処分はまだ行われておりませんが、しかるべき時期に開始いたします。
【記者】
先ほど衣川社長から、募集人調査の中でパワハラなど管理者の対応に問題がある場合は、社内ルールに則り厳正に対処するとのご説明がございました。募集人調査は、募集人が自認をしないことから、判定が出来ていないケースが多いと思います。特別調査委員会の報告書によると、不正を黙認したり、パワハラが行われていたと思われます。管理者に対して積極的に調査を行うお考えはないのでしょうか。
【日本郵便社長】
かんぽ生命において募集人調査を行っており、その中で管理職が関与したとの証言があれば、調査をすることになると思います。まだ具体的な段階に至っていない状況です。
【記者】
管理職の関与について、募集人調査以外に調査を行う考えはないのでしょうか。調査を行うのはあくまで不正が認定された事案に関連する管理職なのでしょうか。
【日本郵便社長】
募集人調査だけでも相当な調査数となります。問題がある管理者は、募集人調査の中で明らかになると考えております。
【記者】
多数契約以外の深掘調査の調査対象者が約5万3千人、多数契約の調査対象者が6千人おり、これらは重複しているとのご説明でした。重複を考慮した深掘調査の対象人数は何人なのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
先ほど重複があると申し上げましたが、重複するものは多数契約として算出しております。よって多数契約には、多額契約であるものを含めて0.6万人の対象契約者がおります。重複したものは多額契約には含まれておりませんので、資料表1の項番3における「A多数契約調査」と「B多数契約以外の調査」の対象契約者数は、約0.6万人と約5.3万人を合算したもの、四捨五入により合計約6万人となります。
【記者】
総務省の鈴木前事務次官をめぐる情報漏洩事件について、日本郵政グループとして調査を行うとのことでしたが、調査について決定した事項を教えてください。
【日本郵政社長】
調査内容を検討しております。結果がまとまり次第公表いたします。
【記者】
全ご契約調査のスケジュールについてお伺いいたします。資料p3に「2020年3月末を目処にお客さま対応を進めてまいります」との記載がございますが、全ご契約調査は3月までに終了させるという意味なのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
基本的に3月末までにお客さまのご意向を確認し、返信はがきをいただいた方にはご要望事項に関する対応をさせていただきます。ただし、契約無効のご要望などお客さまの状況によっては、3月までに終了しない場合がございます。
【記者】
全ご契約調査で回答がなかったお客さまは、問題がないと判断しているのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
全ご契約調査でご回答がなかったお客さまも含めて、当社として問題があると考えているものを深掘調査として選定し、当社からお客さまにアプローチさせていただきます。それ以外のお客さまについても、フォローアップとして、当社からアプローチさせていただきます。よって、全ご契約調査でご回答がなかったお客さまを含めて、全てのお客さまに対応してまいりたいと思います。
【記者】
全ご契約調査でご回答がなく、深掘調査の対象となっていない方へのアプローチは、いつ頃までに終わるのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
資料表2に、「4信頼回復・ご契約内容確認のための訪問活動」、「5恒常的なフォローアップ活動、ご契約内容確認活動の充実」として記載しております。「5恒常的なフォローアップ活動」は継続的に続ける活動です。「4信頼回復・ご契約内容確認のための訪問活動」は、高齢者のお客さまなど、当社からご説明をした方がよいと考えるお客さまを選定し、優先順位をつけて対応させていただきたいと考えております。資料では9月までとなっておりますが、ボリューム感によって長引く可能性があります。この活動に目処をつけ、「5恒常的なフォローアップ活動、ご契約内容活動の充実」につなげていきたいと考えております。
【記者】
調査全体は9月までに終了するということでしょうか。
【日本郵政社長】
当社として問題がありそうだと考えてカテゴリーを設定した「3全ご契約調査の深掘調査」については、6月末を目処に調査を進めます。深掘調査に次ぐ優先順位として、「4信頼回復・ご契約内容確認のための訪問活動」の中で調査が必要となるものがあると思っており、9月末までに対応してまいります。また、千9百万人、3千万件の契約全体についてきちんとフォローしていくために、「5恒常的なフォローアップ活動、ご契約内容確認活動の充実」に取り組んでまいります。
 これ以外の調査は、深掘調査における「B多数契約以外の調査」などの結果を見ながら考えてまいります。
【記者】
深掘調査として5つの類型が示されていますが、これら5つが特に問題があると判断された理由をお伺いいたします。
【かんぽ生命社長】
監督官庁や特別調査委員会と対話をする中で、5つの類型を調査対象とすることにしました。当社としても5つの類型を優先的に調査する必要があると考えております。
【記者】
かんぽ商品の契約を純増させるために商品別に営業目標を設定すること自体が、顧客ニーズに反する営業を助長していると思いますが、如何でしょうか。
 また、顧客は必ずしもかんぽ商品を欲しいと考えている訳ではなく、アフラックや他社生保商品、ゆうちょ銀行の預金や投信をご希望されるかもしれません。今後、一人の郵便局渉外員が、お客さまニーズをお聞きし、かんぽ商品に限らず最適な金融商品を提案する体制にするのは難しいのでしょうか。
【日本郵便社長】
従来の商品別に営業するスタイルから、お客さまニーズに重きを置いて、さまざまな商品をご案内する営業スタイルに変えてまいりたいと思います。
 基本的な考え方はご指摘のとおりですが、一人の社員が多くのセールス知識や商品知識を身につける必要があり、また、金融ユニバーサルサービスを提供する責務を負っていることもあるため、目指すべき方向性と現実の組み合わせの中で、時間をかけてしかるべき姿に落ち着かせていくことになると思います。
【記者】
特別調査委員会の報告書に、「かんぽ生命保険商品の個人向け募集における販売チャネルを郵便局に依存する構造の解消」が提言されております。この提言に対する対応策は提示されないのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
当社として今考えなければならないことは、お客さまの信頼回復だと認識しております。よって、業務改善計画に記載されていることに取り組み、改善策を実行に移してまいります。今はそうしたことを考える時期ではないと考えております。
【記者】
かんぽ商品を直販する、あるいは民間代理店に委託するという選択肢があると理解してよろしいのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
将来の可能性は否定しませんが、今そうしたことを考える状況ではないと認識しております。当社としては、お客さまの信頼回復に全力を注いでまいります。
【記者】
増田社長のツイッターを拝見したところ、日本郵政グループ社員とおぼしき人から70件程度のコメントが寄せられておりました。今回の問題の要因として現場の声が経営層まで上がっていなかったことが挙げられると思います。今後SNSを通して社員の声を把握していかれるのでしょうか。
【日本郵政社長】
以前からの延長でツイッターに投稿をいたしました。寄せられた声は全て目を通しております。多層なチャネルから本音の声を拾う必要があることから、制度上の制約はあると思いますが、傾聴の仕組みについても検討してまいります。
【記者】
営業再開までの間における、郵便局の局長や社員へのメッセージをお願いいたします。
【日本郵政社長】
郵便局長の皆さまには、今私どもが置かれている状況に対する危機感を共有していただきたいと思います。また、社員の皆さまには、さまざまな思いがあると思いますが、そうした思いを支社・本社を通して私ども経営陣にぶつけて欲しいと思っております。これまで目詰まりがあったかもしれませんが、こうしたことにより会社全体の立て直しを進めていきたいと思っております。その上で、やるべきことを愚直にやるという考えに共鳴していただきたいと思います。
【日本郵便社長】
お客さまに多大なご迷惑をおかけし、大変申し訳ないと感じています。同時に、日々真面目に働いている社員の皆さまにも申し訳ない気持ちです。社員の皆さまには、日常の業務を通じて地域の皆さまと密接な関係をお持ちですので、そうした関係を継続して頂きたいと思っております。
【かんぽ生命社長】
今回の事態に社員は本当に苦しんでおり、申し訳ないとの思いを伝えています。頑張っている社員に寄り添い、お声を頂戴し、我々として進むべき道について話をしながら会社を変えていくことが、社員に自信を与え、その先にいるお客さまのために頑張る源となると思っておりますので、そのようなメッセージを出させていただきました。
【記者】
一連の調査は過去5年間を調査対象期間としています。会社がそれ以前のものを調べる必要性について、増田社長はどのようにお考えでしょうか。
【日本郵政社長】
お客さまのご意向に反している可能性が高いということで、区切りとして調査期間を5年間としております。それ以前にも不適正な契約がある可能性はありますので、資料表1の「4信頼回復・ご契約確認のための訪問活動」などで必要な対応をしてまいります。お客さまから疑義がある場合は、「5恒常的なフォローアップ活動、ご契約内容確認活動の充実」でフォローしていきたいと思います。
【かんぽ生命社長】
補足させていただきます。調査対象のお客さまを選定する条件は5年間とさせて頂いておりますが、お客さまをご訪問する中で、5年以前の契約についてお客さまからご意向をお伺いする場面があると思います。その場合、5年以前の契約であるため対応しないということはありません。当社として把握し得る限り、お客さまのご意向に沿った形で解決を図ってまいります。
【記者】
先ほど「グループの一体感が不足している」とのご説明がありましたが民営分社化が失敗であるとお考えなのでしょうか。また、日本郵政グループ社員40万人の半数は「ゆうメイト」と呼ばれる非正規雇用社員です。このことも一体感が不足する原因ではないかと感じますが、お考えをお聞かせください。
【日本郵政社長】
就任から1か月の問題意識とのご質問でしたので、「グループの一体感が不足している」とお答えいたしました。就任後、「事業ごとの壁があり、他で何をやっているのかわからない」との声を随分耳にしましたが、私自身も、グループ全体の中で目詰まりをおこしている部位や原因を理解し、対策を講じる姿勢がとれていないと思っております。
 郵政民営化法によって機能ごとに分社化されましたが、そうした仕組みについて私が意見することはあまりに不遜であるため、差し控えたいと思います。むしろ定められた仕組みの中で、最高のパフォーマンスが出せるように努めたいと思います。本社・支社・フロントの間で、特に下から上への目詰まりがあり、会社間相互あるいは事業相互間に横の目詰まりもあります。これは民営化による弊害というよりは、組織論の問題だと思います。
 また、グループ社員40万人のうち正規社員は20万人で、それ以外の多くの皆さんにご協力いただきながら郵政事業は成り立っています。基本的に、同一労働同一賃金という流れの中で対応していくことになります。正規雇用社員とそれ以外の社員が一体となり、事業を成長させるとの考えに立つことが必要です。全員が同じ意識を持てるように努め、立て直すべきところは立て直したいと思っております。
【記者】
お客さまが何回保険料をお支払いしたら営業実績として認めるといった、営業実績として計上する際の基準は、見直さないのでしょうか。
【日本郵便社長】
資料表3、Ⅰの「(4)営業目標等の体系の見直し」「④営業選奨」に該当します。いわゆる営業選奨は、募集品質を重視する方向で見直します。2020年度の営業選奨は行わないことが決まっており、現在、見直しの具体策を検討しています。ただし、営業目標自体が従来の新規契約によるものだけではなく、保有契約を重視したものに見直しますので、現在とは相当違う形になると思います。
【記者】
質問は、委託手数料については「半年以内に解約があった場合、戻入する」との規定になっている一方、営業実績については「2か月分の保険料が払われたら計上する」ことになっていることから、手数料戻入規定に合わせていく形に見直すのでしょうかという趣旨です。
 取材の中で、「営業実績を計上するために「2か月だけつき合ってください」とお客さまにお願いし、2か月後に解約してもらうという手口が散見される」との郵便局員の声を耳にします。
【日本郵便社長】
そうした手口が横行しているのであれば、防止するためのルールを定める必要があると思います。
【記者】
増田社長にお伺いいたします。6日の年頭挨拶で、「いわゆるかんぽ生命の不正問題」と発言されましたが、2日後、全社員に向けた文書において「かんぽ商品の募集に係る問題」と変更されております。この点に関して、社長ご自身のご認識と、不正問題に対する認識が甘いのではないかとの一部指摘に対する受けとめをお伺いいたします。
【日本郵政社長】
お尋ねの変更は特別調査委員会の報告書やグループ他社社長の挨拶と表現の平仄をとったものでしたが、新聞報道によりご指摘がありましたので、オリジナルの発言に戻すよう指示いたしました。現在はオリジナルの発言に戻っていると思います。
【記者】
内部通報制度についてお伺いいたします。不祥事を内部通報した郵便局長に対して、内部通報をしたことを認めるように迫った福岡県の統括局長経験者が書類送検されました。送検された統括局長経験者の証言では、本社から情報を入手したとのことです。当社の取材の中でも、「内部通報をしても調査をしてくれない」、「通報したことがばれてしまう」といった証言が寄せられています。内部通報をしたことを認めるように迫った福岡県の事件について、受け止めをお伺いいたします。
 また、内部通報制度をどのように改善していくのかお考えをお伺いいたします。
【日本郵便社長】
ご指摘の事件については、裁判で係争中であるためコメントは控えさせて頂きます。
 内部通報制度において難しいのは、小さな組織に調査が入ると通報者捜しが始まるケースがあり得ることです。ただし、内部通報をしてくれた方に迷惑がかかることはあってはなりませんので、調査方法については見直す余地があると思っております。
【記者】
内部通報に関する情報が洩れていることはないとの前提で、通報制度を改善していくということでしょうか。
【日本郵便社長】
そうです。仮に情報が洩れているということがわかれば、きちんと対応策を考える必要があると思います。
【記者】
金融庁から無効・合意解除、撤回等となっている契約が多数認められたが、これらの中には結果的に顧客に不利益が生じていない、または僅少ではあるものの、不適正な募集行為により、顧客の意向に沿わない契約が締結されていたものが含まれているおそれがあると指摘されています。お客さまの不利益に対応するのではなく、不正そのものに関する調査を行うお考えはありますか。
【かんぽ生命社長】
無効や合意解除は、お客さまに不利益を与えていないのではなく、お客さまの不利益が合意の中で解消している状況と理解するべきです。募集人調査において自認がなければ終了となってしまう状況を放置しては、本当の意味でお客さまの不利益がゼロになりません。
 撤回も同様に、お客さまの自律的な意思に基づいてなされるべき制度であり、万が一お客さまのご意向に沿わない形で撤回が起きているようであれば、対応が必要だと思います。
 しっかりとした募集人調査をやっていきたいと思います。
(※記者会見における発言及び質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)