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2019年9月30日 月曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2019年9月30日 月曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 長門 正貢
日本郵便株式会社 代表取締役社長兼執行役員社長 横山 邦男
株式会社かんぽ生命保険 取締役兼代表執行役社長 植平 光彦
【日本郵政社長】
このたびのかんぽ生命保険の問題につきまして、全国のお客さま、そして皆さまに大変ご心配とご迷惑をおかけしております。改めて深くおわび申し上げます。本日の会見では、7月31日の会見でお知らせしました、かんぽ生命保険によるご契約調査の進捗状況の中間報告と今後の取組み、および先般設置した特別調査委員会についてお話しさせていただきます。
【かんぽ生命保険社長】
お客さまを始め、関係者の皆さまには、ご心配とご迷惑をおかけしており、改めて深くおわびを申し上げるとともに、信頼の回復に向け全力で陣頭指揮をとってまいります。
 かんぽ生命保険のご契約調査の進捗状況についてご説明いたします。
 かんぽ生命保険では現在、契約乗換に関わる特定事案調査と特定事案を除く全ご契約調査を実施しております。調査の実施にあたり、本社に約150人の担当部署を設置し、エリア本部、支店、サービスセンターを含めた全社を挙げてお客さま対応を進めるとともに、お客さまからのお問合せに確実に対応するため、約800席の本調査の専用コールセンターを設置するなど体制を拡充しております。
 なお、本調査にあたり、お客さまへのご意向等の確認手法や分析方法について、独立した中立・公正な第三者により構成された特別調査委員会に適宜ご説明し、ご意見をいただきながら、適切に進めております。
 次に、それぞれの調査の進捗状況についてご説明をいたします。特定事案調査においては、お客さま約15万6,000人の方々に対して書面の発送を8月5日から開始し、8月29日に送付を完了しております。この間、並行して、順次お客さまへのコンタクトを進め、9月27日時点では約8万9,000人のお客さまにご連絡がついております。
 その内訳は、ご契約時の状況やご意向が確認できたお客さまが約5万9,000人、お客さまのご都合に合わせて今後確認を行うお客さまが約1万3,000人、調査にご協力を頂いていないお客さまが約1万8,000人です。
 続いて、特定事案調査の結果についてご説明をいたします。
 募集時の状況については、お客さまから頂いた回答を全て検証し、必要に応じて、お客さまの契約状況を確認しながら、社外弁護士を交え、法令違反または社内ルール違反の判定の考え方を整理し、可能性がある事案を洗い出しました。その結果、お客さまから頂いた回答のみに基づいた集計結果ですが、6,327件の法令違反または社内ルール違反の可能性がある事案を把握いたしました。現時点では、このうち約1,400件が法令違反の可能性がある事案と考えておりますが、さらに調査を進めていく過程で変動していく可能性があることをご了解願います。
 今回の調査を通じて、法令違反または社内ルール違反の可能性がある事案とはいえ、このような量感で把握したことについて、お客さま本位という経営方針が徹底されていなかったことを痛感しております。こうした状況に至り、お客さまにご心配をおかけしていること、また、保険募集に関する信頼を損ねていることに関して改めておわびを申し上げます。弊社として、ご契約調査を最優先し、迅速かつ丁寧に責任を持ってやり切るため、役員、社員一丸となり取り組んでまいります。日本郵政グループを挙げ、1件たりとも不正は許さないという姿勢で追加調査を進めてまいります。
 次に、復元のご意向についてご説明いたします。お客さま15万6,000人にご意向を確認させていただき、ご意向を確認できた約5万9,000人のお客さまのうち約2万6,000人の方から復元等の詳細説明のご希望を頂きました。お客さまのご意向に沿わず、不利益を生じさせたと認められる事案については、ご案内状をお送りし、できる限り迅速に対応してまいります。復元等の詳細説明をご希望されないお客さまに対しては、今回の調査に対するご協力への感謝とあわせて、最終ご意向確認のための書面を送付させていただきます。
 また、特定事案調査についての今後の対応として、ご意向確認ができていないお客さまについては、引き続きご連絡をさせていただき、ご意向確認を進めてまいります。具体的には、曜日、時間等を変えた複数回のお電話でもご連絡がつかないお客さまについては、ご回答用紙を送付させていただき、ご連絡をとる努力を継続してまいります。不着となったお客さまは、住所調査を実施し、再度ご案内を送付いたします。電話でのご意向確認にご協力いただけていないお客さまについては、再度ご回答用紙を送付させていただき、ご協力をお願いしてまいります。
 続いて、全ご契約調査の進捗状況についてご説明をいたします。お客さま1,900万人に対して書面の発送を8月23日から開始し、9月20日に送付を完了しております。9月27日時点で約68万通の返信はがき等を頂いており、ご返信いただいたはがきやコールセンターにご相談いただいた内容をもとに調査を実施してまいります。
 また、ご加入いただいている保険契約について、郵便局へお問い合わせいただいた場合も、郵便局窓口はもちろんのこと、ご訪問やお電話により、ご説明をしてまいります。全ご契約調査は、今後も調査を継続してまいります。加えて、10月に、全てのお客さまに保障内容等を記載したご契約内容のお知らせを送付させていただき、ご契約に対するご疑問やご不安があればお知らせいただくこととしております。また、8月から10月にかけて、約120回予定しているテレビCMやウェブ上のお客さま専用のマイページ等、幅広い手段を通じて、引き続き本取組みをお知らせし、広くお客さまからのお申し出に対応してまいります。以上のとおり、かんぽ生命保険および日本郵便が現在取り組んでおりますご契約調査は、今後も継続して丁寧に取り組んでまいります。
 こうした取組みを真摯に進めていくことはもちろんのこと、これからも様々な機会を通じてお客さまの声をしっかり受けとめ、お客さまの声に基づく改善を進め、真のお客さま本位の業務運営の徹底に努めてまいります。
 続きまして、今後の募集品質の向上を目指した改善策の取組みについてご説明いたします。今年度のかんぽ商品の営業目標は、設定しないこととしており、来年度の営業目標についてもお客さまの保有契約をお守りし、増加させていくという考え方に基づくものとするなど、営業目標に関し、抜本的な見直しを行ってまいります。
 契約時のチェック体制については、8月からかんぽ生命保険において、契約申込書等の全件チェックを行い、9月からは郵便局においても管理者が全件チェックをするというダブルチェックの体制を整備しております。契約乗換については、システム上、アラートを表示するなど、新契約をお引受けする様々な局面において、重層的なチェック体制を構築しております。
 また、契約の見直しの際にお客さまの不利益を防止するための仕組みとして、新契約が有効に成立したことを条件として既契約の解約等の効力を発生させる条件付解約制度や、既契約を解約することなく、新たな内容の契約に移行できる契約転換制度についても、今後、順次導入をしてまいる予定です。
 お客さま本位の業務運営の実現に向けた体制整備については、かんぽ生命保険において、お客さま本位の募集体制推進本部を立ち上げ、社長である私が本部長を務め、経営トップ主導で募集品質向上の取組みを推進していくとともに、日本郵便においても募集品質改善部の設置等による募集管理体制の改善に取り組んでおり、郵政グループ全体として、お客さま本位の業務運営の実現に向け協力して取り組んでまいります。
 高齢者募集につきましては、既に80歳以上のお客さまへの勧奨を停止しておりましたが、70歳以上のお客さまへの勧奨も満期等でお客さまからご加入のご意向がある場合を除き、停止いたします。
【日本郵政社長】
ただいまの説明に少し補足をさせていただきます。これらの取組みに加え、グループ会社間の連携を強化するため、内部監査、コンプライアンス、オペレーショナルリスク、お客さま満足といった各種の経営課題に関するグループ会社間の連絡会を新設または充実することといたしました。
【日本郵便社長】
かんぽ商品の営業再開について、ご説明を申し上げます。
 8月30日に日本郵政、日本郵便、かんぽ生命保険、3社連名のプレスリリース、「かんぽ商品に係る業務運営について」を発出いたしました。この時点におきましては、10月1日からお客さま対応に支障のない範囲で、郵便局、かんぽ生命保険支店からかんぽ商品の通常どおりの営業を段階的に実施することをお伝えしておりました。しかしながら、再発防止に向けた対策等をよりきちんと定着させる必要があること、また、かんぽ生命保険における特定事案調査について、今しばらく時間を要すること、そして、特別調査委員会が年内をめどに調査報告書を作成すること、この3点に加えまして、お客さまを始め、関係各所からのご意見を踏まえまして、かんぽ商品の通常営業の段階的な再開につきましては、来年、2020年1月を目途に実施する予定といたしました。
 再開までの間、お客さま対応を最優先とするのは当然のこととして、お客さま本位、再発防止に向けた対策、商品知識の充実につきましての研修等を実施してまいります。これによりまして、再発防止策の浸透を図るとともに、お客さまによりご満足いただけるようなご提案をできるようにしてまいりたいと考えております。
 なお、郵便局で取り扱っておりますその他の金融商品につきましては、11月以降、委託元との調整が整った後、順次、再開をしてまいります。
 一連の問題でお客さまを始め、関係の皆さまに多大なるご迷惑ご心配をおかけしておりますこと、改めておわびを申し上げます。とりわけ、不利益を生じさせたお客さまに深く謝罪を申し上げ、ご意向に沿う形での対応を行ってまいる所存です。これまで以上にお客さまから信頼される郵便局となるよう、しっかりと対応してまいります。
【日本郵政社長】
次に、本日午前にかんぽ生命保険契約問題特別調査委員会委員長から、「調査の現状及び今後の方針の概要について」という調査の中間報告を受領いたしました。7月24日に発表させていただいたとおり、この特別調査委員会はお客さまに不利益が生じた契約乗換等にかかわる問題について、事案の徹底解明と原因究明を中立・公正な外部専門家に委ねるために設置させていただいたものです。
 報告書の内容につきましては、現時点において、詳細を読み込めておりませんが、特別調査委員会の設置経緯、構成、役割のほか、かんぽ生命保険における契約乗換の取扱い、契約調査の検証状況、委員会の独自調査の実施状況について報告されております。加えて、報告書では契約乗換等にかかわる募集活動により、顧客に不利益を生じさせた事象の要因となっている可能性があると思われる事項として、かんぽ生命保険の保険商品にかかわる要因、かんぽ生命保険と日本郵便の関係性にかかわる要因、社内制度に関連する要因、組織風土に関する要因、組織体制および業務運営体制に関する要因、コンプライアンス体制に関する要因、グループガバナンスにかかわる要因など、8項目が示されています。日本郵政グループといたしましては、本報告書も踏まえ、これまで行ってきました自己分析をさらに高いレベルで進めてまいりたいと考えています。
 今後、本調査委員会には、年内をめどに調査を進めていただくようお願いしており、今後、さらに深度ある調査を進めていただくべく、引き続き委員会の調査に全面的に協力してまいります。
 年内をめどに取りまとめられる調査結果に盛り込まれる根本原因分析、再発防止策等に関する提言等につきましては、真摯に受けとめ、再発防止に向け、日本郵政グループ一丸となってしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。
 最後になりますが、一連の問題で関係の皆さまに多大なるご迷惑、ご心配をおかけしておりますこと、改めて深くおわび申し上げます。皆さまからのご批判、お叱りには真摯に向き合い、失われた信頼の回復に向け、日本郵政グループ一同全力で取り組んでまいります。
【記者】
かんぽ商品の営業再開について横山社長にお伺いします。資料項番3の①から③までに書かれていることは、8月30日の時点である程度予測ができたものばかりです。見通しが甘かったとお考えですか。
【日本郵便社長】
8月30日以降、かんぽ商品の営業再開に向けたチェック体制の強化、社員への研修等、必要な準備を行ってきました。ご指摘いただきました3点に加え、お客さま等のご意見、関係各所から時期尚早とのご意見があったことを真摯に受けとめ、日本郵政グループとして、かんぽ商品の営業再開の時期は1月を目途とすることが望ましいと考えました。
【記者】
最終的にかんぽ商品の営業再開の延期を決定した時期は、いつ頃ですか。
【日本郵便社長】
1週間程前に素案を固め、グループ会社間で協議しました。
【記者】
法令違反の可能性がある事案の件数が約1,400件あるとのことです。従前の、法令違反、業法違反の報告件数は、年間20~30件程です。これだけ多数の法令違反を把握できなかったことを、組織としてどう捉えていますか。
 また、特定事案の対象に「ヒホガエ」等が含まれていないと聞いています。6類型だけで6,300件の違反件数が見つかったことを踏まえ、全ご契約調査でもこうした法令違反や社内ルール違反が見つかる可能性があると思います。全ご契約調査をどのように行っていくのか教えていただけますか。
【かんぽ生命保険社長】
現在、社外の弁護士等と相談し、法令違反や社内ルール違反の判断基準等を整備し、お客さまのご意向確認をさせていただいている最中です。今後、募集人に調査をかける段階です。問題事案がどこまで出てくるのかは、これからの調査に委ねられています。
 一方、こうした量感でお客さまの声が把握できている点については、真摯に反省をして、募集品質の向上に向けて、さらに取組み強化を進めていく必要があると認識しています。
 6類型以外の対応ですが、まずはAからFまでに分類した6類型に外形的にお客さまに不利益が発生している可能性が高いことから、これらについて優先的・重点的に調査を行ってきた経緯があります。この他にも不適正な事案が存在する可能性はあると思いますので、全ご契約調査の中で、お客さまの声やご疑問を受けて、問題事案があれば対応していきます。10月には、ご契約内容を添えたお手紙を全てのお客さまにお配りいたします。その機会にも、ご意向、ご疑問、ご不安等の聴取をさせていただく予定です。不正事案については、1件たりとも出さないという決意と熱意を持って、対処していきたいと考えております。
【記者】
法令違反や社内ルール違反について、具体的にどのような事例があったか教えてください。
【かんぽ生命保険社長】
お客さまからお聞きした内容は、法律の専門家と相談し、分類整理することにしています。保険業法などの法令違反には該当せず、当社の募集管理に関する社内ルールを逸脱するケースは、その次の範疇として区分しています。先ほど申し上げましたように、お客さまから頂いた回答のみに基づいた6,300件程度の量感の中で、今後募集人の調査を行い、しっかり特定をしていきたいと考えています。
【記者】
虚偽説明、高齢者の同席ルールなどは、現時点では法令違反や社内ルール違反の事例には入れないということですか。
【かんぽ生命保険社長】
当然入っております。当社の募集ルールに逸脱する全ての事例は社内ルール違反として処理していきます。
【記者】
法令違反の事例に関して、どのような事例が多かったのか、虚偽説明、書類偽装などイメージが分かるよう教えてください。
【かんぽ生命保険副社長】
法令違反にも種類がありますので、件数を占めているE類型でご説明させていただきます。お客さまに解約の意思があるにもかかわらず、「7か月、半年は解約できません」など、虚偽の説明をすることは違反となります。
 それ以外に、お客さまは契約が重なっていることはご存じですが、募集人がお願いをしてお客さまに契約を重ねていただいたケースにも、多数の社内ルール違反がありました。
【記者】
復元等の詳細説明を希望されたお客さまの数が法令違反または社内ルール違反の可能性がある事案数に対して多いことについて、どのようにお考えですか。
【かんぽ生命保険社長】
6,327件は募集対応上の問題の有無に関して今後調査する契約の母数です。一方、2万6,000人は、ご契約当時のお客さまのご意向に沿った形であれば現在と状況が違っていたことが確認でき、今後、ご契約復元等の詳細説明を希望されたお客さまの人数です。
 今後、ご契約を復元する場合は、お客さまへのご説明の中で、保険料を追徴する必要があるか、あるいは私どもから保険料を返金する必要があるか精査してまいります。そのような説明をご希望されるとのご意向をお示しされたお客さまが、そうした量感でいらっしゃるということです。
【記者】
特別調査委員会の報告書第2編第6の5に、想定される原因の一つとして「経営層への報告等の過程で当該問題に関する情報が希薄化・矮小化されていた」と記載されています。この点についての受け止め、およびこうしたことを行った部署についてお伺いします。
【かんぽ生命保険社長】
特別調査委員会と詳細な意見交換の場が持たれていないため、現時点では確たる回答ができません。従前から、お客さまからの苦情把握、募集人とお客さまの意見から、最適な事後的処理を模索する中で、募集品質上の諸問題を把握してきたつもりでした。
 一方、現場第一線で生じている問題を正確に把握するという点について、反省点が多々あるとのご指摘かと思いますが、特別調査委員会とも深度ある議論をし、真因を把握し対応をしていきます。
【記者】
グループ会社間の連携強化のための連絡会を設置するという件について、希薄化、矮小化され、情報が上がらない連絡会で、議論をして意味があるのかとの疑問を持ちます。長門社長のお考えをお伺いします。
【日本郵政社長】
詳細な根本原因については、特別調査委員会、金融庁検査の結論を待ちたいと思います。私ども持ち株会社から見た際の原因の一つが、グループ会社から情報が上がって来ないということです。監査やコンプライアンスの分野で議論をする際、現場で起きている事実が、情報として上がってくることが必要です。日本郵政グループには、持ち株会社、子会社3社それぞれに、社長および経営陣がおります。日本郵便は非上場会社ですが、取締役の5割は社外取締役です、また監査役も多数おります。かんぽ生命保険、ゆうちょ銀行は上場企業で、取締役の7割が社外取締役という構造を持っています。郵政民営化が完結した暁には100%資本関係がなくなることが運命づけられている金融2社のガバナンスを強化する方策として何ができるのか考えています。
 一つは、しっかり情報が上がってくる体制を構築したいと思っています。以前からある内部監査やコンプライアンス担当の意見交換会に加え、新たな機能を構築し、現場からの情報が上がる体制とします。また、私どもは強力な権限を持つ中央集権的な組織ではなく、連邦型の組織です。持ち株会社においても、そうした情報を取るためのアンテナを設置します。
 もう一つは、今回の問題はかんぽ生命、日本郵便の本社においても現場の声が十分に把握できていなかったという点にあるとのことですので、現場から上がってくる様々な内部通報等の情報にタッチできるような組織的な対応が必要だと感じております。
 子会社が持つ情報を持ち株会社にも共有し、潜在的な問題も事前に把握できる体制としていきます。
【記者】
取締役会および経営会議の機能不全を指摘する声があります。組織をつくるだけでは解決できない意識の面や取締役会および経営会議の機能強化について、どのようにお考えですか。
【日本郵政社長】
日本郵政は、取締役総数15名、うち社外取締役9名、社外取締役比率は6割です。日本郵便は、委員会設置会社ではありませんが、取締役総数12名、うち社外取締役6名、社外取締役比率は5割です。ゆうちょ銀行は、取締役総数13名、うち社外取締役9名、社外取締役比率は7割弱です。かんぽ生命保険は、取締役総数10名、社外取締役7名、社外取締役比率は7割です。各界で実績を示された方々に社外取締役をお願いしております。取締役会は厳しい意見が連発し、経営陣も納得させられる議論や、叱責されるような議論も多々あります。活発な取締役会が行われていると自負しています。
 今回の問題に関しては、良し悪しは別として、持ち株会社に全く情報が上がりませんでした。持ち株の取締役会において本件について初めて議論されたのは、7月末です。6月24日の報道を発端とし、私どもの調査で不適切な疑いのある案件が2万件を超えることが発覚しました。各社から上がってきた社外から問い合わせに対する対応状況、想定問答、関連する情報等は、都度、社外取締役の方々と共有しておりましたが、取締役会において議論できたのは、グループ各社のいずれにおいても7月になってからです。
 当社の取締役会は、構造もメンバーもすばらしく、活発に議論できる場になっていると自負しております。情報がしっかり持ち株会社に上がり、子会社と共有できる体制を構築することで、取締役会を活性化していきたいと思っております。
【記者】
法令違反の疑いがある契約の件数は、従前に法令違反事案として届け出ていた件数に比べて多くなっています。従前の法令違反を感知する体制、および多くの法令違反事案が見逃されてしまった原因について教えてください。
【かんぽ生命保険社長】
法令違反事案の全体の量感は、直近で言えば22~23件という件数です。法令違反事案であるかどうかは、お客さまからの苦情、募集人の対応等についての調査を並行して進めた上で、最終的に決定しています。
 私どもの究明のレベル感が十分だったかどうかについては、今回の調査結果も含め、調査のあり方について検証を進めていきます。どんな事案であろうが、不正は1件たりとも許さないという姿勢で、至らない点は、今後しっかり補い、体制を構築してまいります。
【記者】
調査に協力することができないお客さまや、いまだに連絡が取れないお客さまも多いとのことですが、調査の進捗状況をどのようにお考えですか。
【かんぽ生命保険社長】
社内の大半の人間をしかるべき部署にシフトさせ、会社を挙げて取り組んでいます。18.3万件の契約の15万6,000人の全てのお客さまに連絡を済ませております。お客さまがご不在の場合、時間帯、曜日を変えてお電話を差し上げておりますが、既にお亡くなりになっているケース、海外に行かれているなど長期不在にされているケース、お電話をお切りになられてしまうケース、知らない電話番号はつながらないよう設定されておられるケースなど、お客さまにコンタクトを取れない様々なケースがあります。
 電話だけでコンタクトすることが難しいケースは、書面を発送する、郵便局という組織を使う等、今後も様々な手段を通じ、できる限りお客さまのご意向を確認できるよう尽力してまいります。
【記者】
今回の問題の経営責任についてのお考えを、3社長それぞれにお伺いいたします。
【日本郵政社長】
私どもが第一にやるべきことは、お客さまの不利益をきっちり確定し、お客さま一人残らず、最後の1円に至るまで、不利益を解消することです。また、考えられる再発防止策を実施し、定着させることです。148年の歴史の中で頂いていたお客さまからの信頼が大きく損なわれましたので、これを一日も早く回復することができるよう全身全霊で取り組むことが、私の経営責任だと思っております。
【かんぽ生命保険社長】
まずは、18.3万件、1,900万人のお客さまに対する調査をしっかりと仕上げます。お客さまに不利益が発生している場合には、その不利益の解消を徹底して進めます。募集に問題があった場合は、不適正募集をしっかりと解消していきます。1件の不正も見逃さないという不退転の決意で取り組む所存です。そうした意味も含め、失ったお客さまの信頼回復に向けてやるべきことをしっかりやり切るということが、私の責任の果たし方と考えています。
【日本郵便社長】
不利益を生じさせてしまいましたお客さまに対し、ご意向に沿った形での対応を最後までやり遂げること。再発防止策の徹底を含め、お客さまの満足度を向上させる体制をつくり上げることが、私の責任だと考えております。
【記者】
報告書第2編第5「組織体制及び業務運営体制に関する要因」に「営業目標の設定及び配算の過程において、現場の営業の実力に見合わない目標金額が課されていた」とあります。営業の実力に見合わない目標金額を課したということは経営の責任ではないでしょうか。営業目標は証券市場への影響があります。達成できない目標を掲げ、投資家を欺いたということにもなりかねません。
 3社長それぞれ、自分の責任、あるいは何故このような営業目標を掲げたのかについて説明してください。
【日本郵政社長】
私どもは、2015年11月4日に3社同時上場をしました。その後、現在の中期経営計画を発表し、連結ベースの収益目標を発表しました。これは、市場に対するコミットメントと考えています。今般の問題の原因は、金融庁検査、特別調査委員会による調査結果を見て総括いたしますが、個々の募集人、あるいは郵便局に対して、かなり厳しい営業目標があったと感じています。よって、かんぽ営業に関する営業目標は軽減しました。
 また、私ども持ち株会社として日本郵政グループの収益目標を策定しましたが、現場の声とこの連結ベース全体の数字は、まだギャップがあると感じています。
 昨年度の収益目標の作成方法についてご説明いたします。最初に、金利、マクロの経済環境、為替レートなどに関して大きな分断があり得るかという前提を確認した上で、各子会社が収益目標を作成します。大きな前提について意見の相違がない場合、各子会社の収益目標を合計した数字が、連結ベースの収益目標となりました。特段、無理な上乗せを議論することなく、これに、2年目、3年目の目標を加えて中期経営計画としました。
 一昨年度、当初発表したグループ連結の当期純利益の予想値は4,000億円でした。その後2回の上方修正を経て、実績値は4,606億円と606億円上振れました。昨年度、当初発表したグループ連結の当期純利益の予想値は3,300億円でした。実績値は4,794億円と1,494億円上振れました。よって、耐えられない収益目標を課していたとの印象はありません。その一方、今回の問題では、多くの社員が営業目標の大変さを感じていたと思います。
 今後分析が必要であり、また特別調査委員会や金融庁の調査の対象にもなると思いますが、日本郵政グループとして市場にコミットした収益目標として法外な根拠のない数字を置いたという自覚はありません。
【記者】
現場を担当する子会社が無理な営業目標の数字を作成し、それを実現させてしまったということでしょうか。
【かんぽ生命保険社長】
営業目標が不正を行う動機となった可能性があるという点については、当を得た面もあると考え、重く受けとめています。
【記者】
そうでない面もあるということですか。
【かんぽ生命保険社長】
郵政民営化以降、掲げた営業目標を達成することができた年は3~4年程度です。長引く低金利環境と日銀によるマイナス金利環境下で予定利率を大幅に下げて以降、貯蓄性商品の売上が相当厳しく、目標達成が難しい状況でした。掲げた営業目標を追求する中で、今回の事態を招来した要素がないとは言えないと思います。
 一方で、営業目標が高いことは不正を正当化する理由にはなりません。今後は、営業目標のあり方および募集品質のあり方を改善してまいります。
【記者】
「週刊東洋経済」やNHK「クローズアップ現代+」で指摘された問題を受けとめるという配慮はなかったのでしょうか。
【かんぽ生命保険社長】
「クローズアップ現代+」において取り上げられた問題は、現在の特定事案の問題とは異なるものでした。当時、私自身は、募集品質向上に向けた総合対策を進めており、一部指標の改善等も図られていると考えておりました。もう少し情報感度を上げて、対処すべきだったと反省しています。
【記者】
当時、何らかの対応策を打つというお考えはなかったのですか。
【かんぽ生命保険社長】
募集品質向上に向けた総合対策において、新規契約のみならず保有契約についても社員の評価に加えるなど、募集人のモチベーションを引き上げ、募集品質を向上させるための方策等を講じていたことから、多少安心していた面がございます。
【日本郵便社長】
営業目標のあり方は、再発防止に関係する重要な問題だと認識しています。その背景として、かんぽ生命保険の主力商品であった貯蓄性の保険商品は、低金利環境下で、商品の魅力が失われてきたこと、加えて、保障性商品の開発が不足していたことが挙げられます。経済環境が変化する中にあっても、従来型の営業手法が継続されていたと認識しております。
 今年度、全体の営業目標を修正しましたが、まだ高止まりしている状況にあると思われます。よって、今年度は残りの営業目標を設定しないことといたしました。来年度以降は、市場状況、顧客構造等を十分見定め、会社全体から郵便局社員に至るまでの営業目標の決定プロセスを再考してまいります。
 先ほど業績予想の上方修正に関するやりとりがございましたが、日本郵便においては、金融窓口事業よりも郵便・物流事業、特に荷物分野の収益拡大を主な要因とするものです。
【記者】
無理な営業によってつくられた収益がはげ落ちて今日の株価となっています。投資家に損害を与えた反省と責任について、どのようにお考えですか。
 また、日本郵政の上級副社長がNHKに抗議したことについて、どのようにお考えですか。
【日本郵政社長】
ゆうちょ銀行の株価が下落しています。グローバル経済において、銀行の株価が下げ基調であることに加えて、日本では、マイナス金利が深掘りされる懸念があるため、銀行株価全体のパフォーマンスが非常に悪い状況です。上場日である2015年11月4日をスタートラインとしてメガバンク3行の株価と比較した場合、ゆうちょ銀行株価が最も悪いということではありません。
 かんぽ生命保険の株価は、2015年11月4日の水準と比較した場合、特に今回の件が報道された後、下落しています。お客さまの不利益を早期に解消し再発防止体制を構築することで、株価の回復を図ってまいります。
 昨日、NHKが昨年4月および7月に放送した「クローズアップ現代+」を改めて拝見いたしました。今となっては、番組で訴求された点をしっかりと心にとめ、日本郵政グループ全体できちんと対応しなければならなかったと痛切に感じた次第です。
 現在はそうした印象を持っておりますが、当時は非常に驚きました。昨年4月24日に放映された番組の内容はかんぽ商品の営業が一方的に非難されているように感じました。番組放映後、番組の公式Twitterに情報収集のための動画が掲載されました。誤解を恐れずに当時の印象を申し上げますと、内容が少々偏っている印象を受けました。そこで、NHK上田会長宛てに、日本郵政、日本郵便、かんぽ生命保険3社長連名で取り下げをお願いする旨の書簡を送付しました。また、やり取りの中でNHKのガバナンスに関する疑義が生じ、NHK経営委員会に書簡を出しました。その後、内部の議論は承知しておりませんが、NHKより、続編の放映日は未定とし、公式Twitterに掲載された動画も取り下げる方向で検討する旨の連絡が入りました。
 当方からは、昨年7月と8月の2回、NHK会長宛てに、加えて10月にNHK経営委員会宛てに書簡を送付しました。先方からは、10月にNHK経営委員会から、11月にNHK上田会長から回答をいただきました。
 当社上級副社長が元総務次官として圧力をかけたのではないかとも報道されましたが、辞任したのは9年以上前の2010年1月ですので、そうしたことはありません。
 昨日、改めて昨年4月と今年7月に放映された「クローズアップ現代+」を拝見し、本当に反省すべきことが多々あると個人的には感じました。
【記者】
2度目の「クローズアップ現代+」を放映しないという回答は、誰から誰に対してあったものでしょうか。
【日本郵政社長】
確認の上、ご報告いたします。
【記者】
NHKに反論する前に現場に対する調査をしなかったのはなぜでしょうか。
【日本郵政社長】
深く反省しております。
【記者】
8月末に行われた自民党特命委員会の中で、長門社長は「しかるべき責任をとります」、「逃げも隠れもしない」と発言されたと報道されています。「しかるべき責任」とは具体的にどのようなことなのかお聞かせください。
【日本郵政社長】
本日の記者会見で私どもが経営責任について申し上げられることは、「このような事態を招き、大変申し訳ございません。一刻も早くお客さまの不利益を回復し、決して再発することがないよう、再発防止策を徹底します。信頼を失いましたので、簡単ではありませんが、一刻も早く回復するよう努めます」ということです。
【記者】
そうした経営責任のとり方で十分というご認識ですか。
【日本郵政社長】
お客さまに生じた不利益をしっかりと解消し、再発防止に向けた体制を整備します。本当に残念なことですが、2万4,000局のネットワーク、148年の歴史で誠実にこつこつと手紙を届けて得た信頼感、誠実さが失われつつありますので、これを一刻も早く回復することが大事な経営責任だと思っております。
 現在、新契約加入日の前3か月間、後6月間に既契約の解約が発生した場合を契約乗換と判定しています。民営化した12年前、西川社長時代、新契約加入日の前1か月間、後3月間に既契約の解約が発生した場合に契約乗換と判定しておりました。斎藤社長時代に、契約乗換に係る判定期間を新契約加入日の前1か月間、後6か月間に変更しました。私どもが最近まで採用していた新規加入の前3か月間、後6か月間という基準は西室社長時代に変更されたものです。契約乗換に関する問題は以前よりあった問題だと今となっては感じています。うみをしっかり出し切るということが当面の経営責任だと考えています。
【記者】
多数の不正や社内ルール違反を見過ごしてきた経営陣の方々が、今後も経営を続けることは、株価に大きな影響があり、日本郵政株式の売出しに支障が出る懸念があります。経営責任を改めてどうお考えになるのかをお聞かせください。
【日本郵政社長】
私どもが決定する事項ではありませんが、日本郵政株式の第3次売出しが予定されていた可能性があるなかでこのような事態に陥ってしまったことは心苦しく感じています。かんぽ問題を早期に克服し、でき得れば成長戦略に資するような具体的なアクションを打ち出すことで株価に反映される業績を出せるよう努めてまいります。
【記者】
成長戦略を打ち出せない状況が続くことで、じり貧、先細りの状況が危惧されることについてお考えをお伺いします。かんぽ問題に対するけじめがついた段階で現在の職に恋々としないというお考えをお持ちかどうか、お伺いします。
【日本郵政社長】
前段のお尋ねについては、信頼回復が最優先事項でございますが、これに矛盾しない範囲で成長戦略を打ち出していきたいと思います。現段階では、かんぽ問題に関する特別調査委員会、金融庁検査の結論を見届け、再発防止に専念してまいります。
 後段のお尋ねについては、お客さまの不利益を早期に解消し、再発防止策を徹底し、お客さまの信頼回復に専念してまいりたいと考えております。
【記者】
今後募集人にヒアリングする中で、お客さまのご意見と募集人の主張が異なる場合、どのように対処されるのでしょうか。保険業法と社内ルールそれぞれの違反者に対してどのような処分をしていくのでしょうか。
 横山社長に伺います。フロントライン・セッションにおいて現場の社員との対話を進める中で、これまでの認識と違う点があれば教えてください。
【かんぽ生命保険社長】
苦情等を含むお客さまからの声を受けとめ、募集上の問題があれば、募集人のヒアリングあるいは募集時の状況等の確認を行い、募集人に対して必要な処分を行うことになります。
 処分については、かんぽ生命保険と委託契約を交わしている日本郵便との関係で、募集人の資格剝奪等の処分が考えられます。併せて日本郵便の中での人事上の処分も、その内容によっては行われることになります。従前と同様、一定のルール、判断基準に従って対処してまいります。
【日本郵便社長】
フロントライン・セッションは既に5度実施しました。郵便局が抱える問題等についての率直な声を聞けたことが、特筆すべき点だと考えております。
 2時間から2時間半の時間の中で20名弱の社員からの質問の他、会場に置かれたアンケートによる意見にも真摯に対応してまいります。
【記者】
お客さまの声と募集人の主張の間に相違がある場合は、誰がどのような方法で判断することになりますか。
【かんぽ生命保険社長】
かんぽ生命保険及び日本郵便の各コンプライアンス部門において、お客さまの話と募集人の主張を公平に聞いた上で総合的に判断をしてまいります。ヒアリングのほか、状況証拠等の証拠が確認されれば、それに基づいて対処をすることになります。
【記者】
横山社長に伺います。8月30日の時点でお客さま対応に支障のない範囲内での営業の再開を決定した理由について教えてください。また、それはどなたが決定したものでしょうか。
【日本郵便社長】
8月30日時点で営業再開を決定した際は、研修の徹底、再発防止策の徹底、特定事案調査のお客さま宛て書簡の発送完了という三つの観点から、お客さま対応に支障のない範囲で、郵便局窓口でのお客さまへのお声がけなどから段階的にかんぽ商品の営業を再開することを考えておりました。今般は、これら3点に加え、お客さまをはじめとした関係各所の皆さまの声等を真摯に考慮し、前回の判断を変更したということです。これは、日本郵政グループとして決定したものです。
【記者】
NHKに対する抗議について、発案者、長門社長の了承を確認させてください。
【日本郵政社長】
営業再開の問題も同様ですが、議論した上で組織として決定しています。NHKの番組公式Twitterに掲載された動画については、内容が不適切であるとの印象を持ちました。グループ各社間で議論した結果、削除を申し入れることとなり、グループ3社長連名でNHK会長宛てに書簡を郵送しました。これも、日本郵政グループとして決定したものです。
【記者】
自らの意に沿わない番組の放送を止めたいとの意図があったのでしょうか。
【日本郵政社長】
そうした意図はありません。NHKが掲載した動画は、日本郵政グループを悪の権化として扱っているとの印象を受けるものでした。その後、情報収集を求める動画が掲載され、取り下げを申し入れた次第です。圧力を与えた気持ちは全くございません。
【記者】
かんぽ商品の積極的な営業活動の再開の延期を決定したことに対する現場社員の声はどうでしょうか。
【日本郵便社長】
現場社員の声は「お客さま対応が優先されるべき」、「早くお客さまに私どもの金融商品を提供したい」など様々です。現場を通じて寄せられるお客さまの声も勘案して今回営業再開延期の決定に至りました。
【記者】
エリアマネジメント局では今回の不正事案の発生件数は少ないという話を聞きます。そうした郵便局を含めた全局が来年1月までかんぽ商品の営業再開が延期となるにあたり、今回の事案に無関係な郵便局で働く人たちの声にも耳を傾けるべきではありませんか。
【日本郵便社長】
今回の特定事案調査において、どのような郵便局、あるいはどのような募集人に問題が集中しているのかという分析は、これから開始します。それら分析結果を踏まえ、かんぽ商品の営業再開の仕方について考えていきます。
【記者】
法令違反または社内ルール違反の可能性がある6,327件の事案について、関係する募集人の数および5年間の推移を教えてください。
【かんぽ生命保険副社長】
調査は、これから法令違反、社内ルール違反を判定する段階です。調査対象事案18万件の募集人の数も、お答えできません。
 5年間の件数の推移に関しては、基本的に古い方が少なく、新しい方が多い傾向にあります。
【記者】
不適切な疑いのある件数はここ数年増加傾向にあり、17年1月に対策本部を設置した後も状況は悪化していたように見受けられます。NHKの報道があった際、経営陣が現場の状況を自ら調べるべきだったと思います。
 今後も現場からの都合の良い情報を受けて抜本的対応を取ることができないとの懸念を持ちますが、経営陣自身は今後どのように変わられるのかお考えを教えてください。
【かんぽ生命保険社長】
契約乗換件数が増加基調にある中、法令違反または社内ルール違反の可能性がある事案数は直近程増加している傾向が見られます。契約乗換件数の増加とは別に、サンプル調査では、法令違反または社内ルール違反の可能性がある事案数については増加しているというより、むしろ問題がないと考えていたのが率直なところです。
 18.3万件という特定事案調査の調査対象事案数において法令違反または社内ルール違反の可能性がある事案の量感を認識しましたので、徹底してこの中身を調査していきます。
 根本原因の分析は特別調査委員会の結論を待ちたいと思いますが、私どもも独自の原因分析も進めており、その一つに企業風土、企業文化の問題を認識しています。風通しが良く、情報が相互に交流できる体制をつくることが重要だと考えています。
【日本郵政社長】
日本郵政のガバナンスの問題についてお話します。日本郵政グループは、3子会社それぞれが独立した企業体として、社外取締役を置き、ガバナンスを推進しています。かんぽ生命保険とゆうちょ銀行は、上場企業です。
 郵政民営化の推進により将来的に全く資本関係がない会社になることとされている子会社に対する持ち株会社のマネジメントとしては、連邦的な方法を取らざるを得ません。
 今回のかんぽ生命保険の募集品質の問題に限れば、持ち株会社の立場としてより多くの情報を集める必要があったとの問題意識をもっております。内部監査、コンプライアンス、オペレーショナルリスク、お客さま満足といった経営課題に関するグループ会社間の連絡会を新設、充実させることにより、隠れたリスクはないかという働きかけを行いたいと思います。
 加えて、かんぽ生命、日本郵便と同様、持ち株会社も社員から情報を拾い上げる仕組み、例えば目安箱といった手段について検討したいと考えています。
【記者】
先ほど長門社長から、最後のお一人、最後の1円まで不利益を解消するというご発言がありましたが、これは特定事案18.3万件以外の多数契約も含めてのご発言ですか。
【日本郵政社長】
時間がかかると思いますが、その通りです。
(※記者会見における発言および質疑応答を取りまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)