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- 日本郵政株式会社の社長等会見
- 2019年12月18日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
2019年12月18日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容
- [会見者]
- 日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 長門 正貢
- 日本郵便株式会社 代表取締役社長兼執行役員社長 横山 邦男
- 株式会社かんぽ生命保険 取締役兼代表執行役社長 植平 光彦
- 【日本郵政社長】
- かんぽ商品の募集品質に関する諸問題について、お客さまをはじめとする関係の皆さまに、ご迷惑、ご心配をおかけしておりますこと、まず深くおわび申し上げます。今後、社員一人一人に至るまで、コンプライアンスの意識を徹底させ、失った信頼の回復を図ってまいりたいと思います。先刻まで、特別調査委員会による会見が行われておりましたが、私どもも、本日、委員会から調査報告をいただいたところでございます。我々としましては、委員会からのご指摘を真摯に受けとめ、後ほどご説明いたしますが、改善策の確実な実施と、一層の充実を図ってまいります。
本日の会見では、7月31日の会見でお知らせしました、かんぽ生命によるご契約調査について、9月の中間報告以降の状況も含めた調査結果と、今後の取り組みについてお話をさせていただきます。それでは、かんぽ生命によるご契約調査の結果について、かんぽ生命社長の植平からご説明いたします。
- 【かんぽ生命社長】
- お客さまをはじめとする関係者の皆さまに、ご迷惑とご心配をおかけしており、改めて深くおわび申し上げるとともに、失った信頼の回復を図ってまいりたいと思います。
私からは、かんぽ生命のご契約調査の結果についてご説明を申し上げます。かんぽ生命では、現在、契約乗り換えにかかわる特定事案の調査と、全ご契約調査の二つの調査を実施しております。特定事案調査では、対象のお客さまにご契約の状況や契約復元等のご意向を確認し、お客さまの不利益の回復を優先してお手続きを進めさせていただくとともに、ご契約時の状況等の確認結果に基づき、募集人への調査を行っております。全ご契約調査では、ご加入のご契約がご意向に沿うものであるかということのほか、ご要望やご意見をお聞きし、内容に応じて必要な対応や調査を行っております。調査の実施に当たっては、お客さまへのご意向等の確認手法や分析手法について、独立した中立、公正な第三者により構成された特別調査委員会に適宜ご説明をし、ご意見をいただきながら、適正な手続きにより進めてまいりました。
次に、それぞれの調査の結果や進捗状況についてご説明いたします。まず、特定事案調査においては、お客さまのご契約加入時のご意向確認、契約復元等の不利益解消、募集人の調査、この三つの点について取り組んでまいりました。それでは、1点目のお客さまのご意向確認の結果について、ご説明をいたします。特定事案調査につきましては、対象となるお客さま、事案数にして18万3,000件、名寄せ後のお客さまの数で15万6,000人に対して、お客さまごとに該当事例を記載し、質問事項を同封した書面の発送を行った上で、曜日、時間などを変えてのお電話、あるいは、ご高齢のお客さま等にはご訪問をすることなどにより、お客さまのご契約加入時のご意向の確認をしてまいりました。ご連絡がつかないお客さまには、繰り返しご訪問を行う、不着となったお客さまへの住所調査を行うなど、1人でも多くのお客さまにご案内するために、さまざまな工夫を行ってまいりました。こうした活動でもコンタクトができないお客さまに対しては、郵便物を差し出した記録を残す特定記録郵便にて、お客さまのご意向を確認するための質問を記載したアンケート用紙と、お客さまご自身で返信いただけるよう返信用封筒を同封してお送りすることで回答をお願いし、加えて、お電話やご訪問等により意向確認を進めてまいりました。それでも、ご意向確認ができないお客さまに対しては、アンケート用紙配達の際に、お客さまにご都合のよい曜日や時間帯等をその場でご記載いただけるはがきを添付し、配達員がお預かりし、そのまま返信できる返信依頼郵便をお送りしました。はがきの内容によって、アンケートの返信のほか、お客さまのご都合のよい時間にご訪問やお電話等を行うなど、さまざまな連絡手段で繰り返しお客さまへのご意向確認を実施してまいりました。日本郵政、日本郵便、かんぽ生命の経営陣は、随時、これら施策の進捗状況を共有、確認をして、追加施策の必要性を検討するとともに、人員増強が必要な場面ではグループ会社社員をかんぽ生命に出向させて必要な業務に従事させるなど、日本郵政グループを挙げて取り組んでまいりました。2ページの、お手元にございます資料の2ページの中段の、ご意向確認の状況の表をごらんください。その結果、ご案内が終わっているお客さまは約15万4,000人、お客さま数全体に占める割合は約98%、うち、ご意向確認ができたお客さまは12万8,000人、約82%となりました。今後も、引き続きお客さまへのご案内に努めるとともに、ご意向確認いただけるお客さまへの対応を進めてまいります。
次に、2点目の契約復元等の進捗状況について、ご説明をいたします。契約復元等をご希望されたお客さまに対しては、丁寧にその内容をお聞きし、ご要望に沿った形で再提案をするなど、可能な限りお客さまのご意向、ご都合に合わせて手続きを進めております。3ページの、契約復元等について詳細説明をご希望されたお客さまの表をごらんください。契約復元等の状況につきましては、約4万5,000人のお客さまから契約復元等についての詳細説明のご希望をいただいており、かんぽ生命支店社員の訪問や郵送により、約2万6,000人のお客さまに対して契約復元等の手続きのご説明が完了しております。そのうち、約1万5,000人のお客さまからは契約復元等のご希望をいただき、約1万4,800人のお客さまの契約復元等が完了いたしました。契約復元等についての詳細説明希望全体の約75%を占める、保障が重複した事案であるE類型該当のお客さまの数は約3万4,000人でございますが、約2万4,000人のお客さまについて契約復元等の手続きの説明が完了し、約1万5,000人、金額にして約4億2,000万円のお客さまへの振り込み等が完了しております。また、契約復元等についての詳細説明をご希望されないお客さまに対しては、今回の調査に対するご協力への感謝を添えた書面をお送りさせていただくとともに、今後、改めて契約復元等のご要望があった場合には、その経緯等を確認させていただき、契約復元等に対応させていただきます。今後とも、お客さまの声を常に傾聴しながら、お客さまの不利益解消に努めてまいります。
続いて、3点目の募集人調査の状況について、ご説明いたします。まず、募集人調査の方法ですが、かんぽ生命が特定事案調査として、お客さまへのご契約時の状況の確認等を行った結果、法令違反や社内ルール違反の可能性のある事案について募集人からの聞き取り等を行い、募集対応に問題がなかったかどうかの調査を特別調査委員会に適宜ご説明をし、ご意見をいただきながら進めてまいりました。本調査は、弁護士監修のもとに作成をした調査用紙による事実確認、客観性を担保するため複数の調査員による募集人からの聞き取り調査、事実確認、聞き取り調査結果を踏まえ、20名を超える弁護士が関与し、事実の認定、および1件1件、公正な手続きで判定を実施しております。調査の実施に当たっては、自ら違反行為を申告し、かつ調査に十分に協力した場合には、募集人に対する処分について本来よりも軽減または免除を行うなど、新たな手法を用いて、早期の原因究明に努めております。厳正かつ公正、公平に調査を進めるため、募集人の供述に過度に依存することなく、客観的事実、物証、お客さままたは第三者の信用性ある申し出などを総合的に考慮して、事実認定、判定に取り組んでおります。また、判定基準の策定や全ての案件の判定に当たっては、弁護士による確認を得ることにより、適正な判定を行う体制を構築しております。
次に、募集人調査の進捗状況ですが、お手元資料の4ページの募集人調査の状況のグラフをごらんください。特定事案調査の対象事案18万3,000件のうち、募集人調査の対象事案は、中間報告時点では6,327件と公表しておりましたが、中間報告に寄せられたお客さまのご回答を全て検証して、調査対象を随時追加しております。12月15日時点において、募集人調査の対象事案は約1万3,000件となっており、約6,500件の募集人の面談が完了し、法令違反または社内ルール違反の有無の判定が完了した事案は約2,500件となっております。このうち、法令違反が認められた事案は48件、社内ルール違反が認められた事案は622件となりました。引き続き、厳正かつ公正・公平に募集人調査を継続してまいります。
募集人調査において、法令違反および社内ルール違反が判明したことについて、改めておわびを申し上げるとともに、再発しないよう、6ページ以降に記載をしている項番2.募集管理にかかわる当面の取り組みを徹底してまいります。この4ページの表の一番下段にございます非該当と記載をしております1,817件につきましては、不正とは認められないと認定された事案数でございます。判定に関する主な具体例につきましては、募集人がお客さまに不利益になる事項をお伝えしない、虚偽をご説明するなど、保険業法に違反すると認められる法令違反と判定した事案の具体例としましては、募集人が契約乗換を提案する際、お客さまに「現在の契約は6カ月間解約することができません」と虚偽を述べたというもので、この事案は保険業法300条1項1号の虚偽説明の禁止に抵触するため、法令違反と判定をしております。契約の理解に関する社内手続きに違反すると認められる社内ルール違反と判定した事案の具体例としては、募集人が契約乗り換えを希望されるお客さまに、「自分の営業成績のために、6カ月間解約を待っていただけませんか」とお願いをし、お客さまも同意されたため、既契約の解約時期を7カ月後に遅らせたといったものでございます。この事案は募集人がお客さまのご意向に沿わず、解約期間をずらし、契約乗換期間の潜脱を図ったため、社内ルール違反と判定をしております。今申し上げた法令違反および社内ルール違反が認められなかったものとして判定した事案は、合理的な理由がなく既契約の解約時期を遅らせた可能性がある事案として、募集人調査を行ったが、募集人の説明する内容に基づき、お客さまの再調査を実施したところ、お客さまご自身の資金ニーズに合わせて解約時期を決められたことが判明したといったようなものでございまして、この事案は募集人による解約時期の誘導がなかったと認められることから、法令違反および社内ルール違反がなかったものと判定をしております。
次に、全ご契約調査の状況についてご説明をいたします。全ご契約調査につきましては、お客さま約1,900万人に対して、12月13日時点で約100万通の返信はがきのご回答があり、約42万人のお客さまから契約内容を説明してほしいなどのご要望、募集人に勧められるままにそのまま納得して加入したが、もっと十分な説明があれば、加入前に契約内容を吟味することができたといったご意見のほか、感謝や激励のお声もたくさんいただいております。ご意見、ご要望については、順次、内容の確認とお客さま対応を進めておりますが、現在、多数のご意見、ご要望をいただいており、日本郵政グループを挙げて対応させていただいております。今回いただいた多数のご意見、ご要望をもとに、募集活動の改善につなげていくとともに、毎年のご契約内容のお知らせによるご連絡やアフターフォロー活動によるご訪問等、さまざまな機会を通じて、お客さまからの声をいただくことを継続していき、お客さまのご意向に寄り添っていく活動を続けてまいりたいと思います。
続いて、全ご契約調査の今後の対応についてご説明いたします。特定事案とは別に、全ご契約調査等でお客さまからいただいたご回答、ご意見等の中では、募集人主導で新規契約と解約等による消滅を繰り返し、お客さまに不利益が生じていると疑われる事例があることを把握しております。こうしたケースに該当するお客さまの対応については、既に6月27日に発表したとおり、多数の契約にご加入されているお客さまへの取り組みとして、かんぽ生命からの契約の状況の説明と、お客さまのご意向の再確認を進めております。こうしたケースの中には、既契約を解約または期間短縮し、被保険者や保険種類を変更するなどして新規契約に加入する事例があることや、該当する可能性があるお客さまについては、全ご契約調査の中でのご不満やご意見等の確認調査を徹底して行うことを含め、必要な対応を講じ、不利益が発生しているお客さまについては、その解消を図ってまいります。特にご高齢のお客さまには、かんぽ生命からの契約の状況の説明と、お客さまのご意向をご家族とともに再確認いただくなど、丁寧に調査を実施していきたいと思います。なお、こうした契約乗換については、本年7月からは勧奨を停止し、営業成績の計上を行わないことなどの対策を既に実施しておりますが、今後、7ページの上段に記載されている項番2.(1)の募集手当不支給を含め、さらに徹底した改善を図ってまいります。
- 【日本郵政社長】
- 続きまして、今後の取り組みについて、日本郵便の横山及びかんぽ生命の植平から説明いたします。
- 【日本郵便社長】
- お客さまをはじめ、関係の皆さまに多大なるご迷惑、ご心配をおかけしておりますことを、まずもっておわびを申し上げます。
私からは、資料の6ページ、項番2、募集管理に係る当面の取り組み、具体的には、1つ目の営業目標・手当等の見直し、2つ目のお客さま本位の営業活動の強化、そして3つ目のコンプライアンス、監査部門の機能の充実についてご説明を申し上げます。
それでは、1つ目の営業目標・手当等の見直しにつきましてご説明を申し上げます。営業目標につきましては、2020年4月には、販売額を重視したものから、保険料の純増額をベースとしたものへ見直しますとともに、未加入のお客さまの純新規契約を評価の対象とするなど、抜本的な見直しを実施してまいります。また、手当につきましては、契約乗換に係る手当を不支給とし、さらに渉外社員の基本給につきまして手当の割合を見直すといった措置を、2020年4月以降実施をしてまいります。
次に、お客さま本位の営業活動の強化について4点申し上げます。まず1点目でございます。かんぽ商品のスタンダードな販売モデルを定義した上で、郵便局社員がお客さまの目的に合った商品およびサービスを提供していくといった、お客さま本位のコンサルティングサービスを2020年4月から順次展開をしてまいります。これにあわせまして、社員の法令順守の意識の徹底と、コンサルティングに必要な幅広い商品知識を付与してまいります。
2点目でございます。かんぽ商品の契約において、お客さま情報を一元的に管理できる仕組みを2020年4月から順次構築して、募集品質管理に活用することで、お客さまに不利益を生じさせるおそれのある事案をあらかじめ把握、防止できる体制を構築いたします。将来的には、お客さま本位のコンサルティングサービスの展開に伴い、投資信託、あるいは提携金融を含めまして、一元的にお客さま情報を管理してまいりたいと考えております。
3点目に、外形上、品質に懸念のある申し込みにつきましては、2020年1月から、郵便局管理者によるお客さまのご意向確認に加えまして、かんぽ生命の専用コールセンターによる重層的なご意向確認を行います。同様に、ご解約の際も郵便局の渉外社員による説明、確認に加えまして、かんぽ生命のコールセンターからお客さまに意向確認や不利益事項のご説明の有無の確認を行ってまいります。
4点目でございます。かんぽ生命の支店等におきまして、2020年4月以降、代理店支援、指導体制の見直しを実施するとともに、日本郵便におきましても、2020年4月までに金融コンサルティング部(仮称)の設置、あるいは窓口業務を担当する管理者の募集品質改善責任者への指定等を実施することによりまして、保険募集管理体制を強化してまいります。以上4点を徹底することによりまして、お客さま本位の営業活動を強化してまいりたいと考えています。
次に、コンプライアンス、監査部門の機能の充実について申し上げます。2020年4月から、コンプライアンス部門の人員体制の強化、かんぽの募集に特化した監査を実施いたします。監査、検査、モニタリングにおきましては、法令、社内ルール順守はもちろんのこと、お客さま本位の観点を追加するとともに、各部の連携を強化いたしまして、検査から施策まで一貫して実施できる体制を構築するなど、グループのコンプライアンス監査部門の機能も充実をしてまいります。
- 【かんぽ生命社長】
- 続いて、今後の取り組みのうち、契約乗換対策、商品開発、募集人調査体制の強化について、ご説明をいたします。
契約乗換対策については、お客さまに不利益が生じる要因を解消する制度が導入できていなかった反省を踏まえ、できるだけ早期に条件つき解約制度および既契約の解約を伴わない転換制度を導入していきたいと考えています。また、契約乗換潜脱を防止する観点から、契約乗換の判定期間を、従来、新規契約の契約日前3カ月、後6カ月の範囲内に既契約を解約した場合を契約乗換としていたのに対して、見直し後は範囲の拡大を行ってまいります。また、判定期間に近接する契約についてはシステムアラート表示を行い、確認することについて、必要な対応を図ってまいります。
次に、商品開発については、多様な保険商品の開発ができていない中、低金利環境下で商品魅力が低下している養老保険、年金保険等の貯蓄性の高い商品が主力商品となっていたことを踏まえ、青壮年層を含めたお客さまの保障ニーズに応えるための商品の認可取得を目指してまいります。
募集人調査態勢の強化については、原因分析や再発防止策の検討が不十分となっていた反省を踏まえ、募集時において、渉外社員の携帯端末機で募集状況を録音、保管することにより、募集状況の可視化を図り、お客さまから苦情があった場合に、お客さまのご意向に沿ったご提案ができていたかを確認できる仕組みの構築を図ってまいります。
募集人処分については、募集人が否認した場合でも、外形的にお客さまに不利益が認められる契約形態、お客さまからの回答内容、信ぴょう性の高い状況証拠に基づき、不適正募集に関する事実認定を行い、適切な処分の実施を図っていくとともに、従前は業務廃止と厳重注意の2段階の処分としておりましたが、一定期間募集を停止させる募集停止、一定期間、管理者が全ての募集状況を確認する注意を追加してまいります。また、募集人指導の一環として、管理者に対してかんぽ生命から注意文書を送付し、日本郵便においても、管理者の役割や責任を明確化するとともに、その職務に懈怠があった場合には、厳格に処分を実施してまいります。なお、募集人調査の実施に当たって、自らの違反行為の申告や調査への十分な協力を行った場合には、募集人に対する処分について、本来よりも軽減または免除を行うといった原因究明等に資する取り組みもさらに強化をしてまいります。
- 【日本郵政社長】
- 最後に私からご説明させていただきます。資料の10ページ、7の組織風土改革でございます。私ども40万人の従業員、大変長い歴史があり、容易に風土改革ができるとは思ってございません。ここまで申し上げました諸施策を実施するとともに、そこに含まれない幾つかの、主にグループガバナンスの見地からの措置について、追加的に申し上げます。
お客さま本位の業務運営の理念および意識が社員に十分に浸透していなかったことから、グループ会社全社員に対して、認識を共有するためのメッセージを発出するとともに、全てのお客さまに対して、コンプライアンスの徹底およびお客さま本位の業務運営がグループ全社員の姿勢であるということを表明いたします。今回の乗換契約や、その他の保険募集にかかわる問題点および原因等を把握できていなかったことを踏まえ、かんぽ商品の募集をはじめとした金融営業専用の社外通報窓口を2020年3月末までに新設いたします。あわせて、郵政グループ社員の日ごろの業務の中での疑問等について相談を受ける窓口の設置等、社員の声の把握に努めてまいります。また、会社間の連携強化につきましては、業務の縦割りの意識から、部門間の連携が不十分であったこと等を踏まえ、内部監査、コンプライアンス、オペレーショナルリスク、お客さま満足推進といった各種の経営課題に関するグループ連絡会の新設や各種連絡会の内容充実を図ってまいります。さらに、我々グループ各社の経営陣がグループ運営のための認識を共有する場として活用してまいりましたグループ運営会議という会議体が従来からございますが、今般の諸問題のような各社の重要事項に関する内容の報告や議論の場として、この会議を活用する等、グループ内の一層の連携強化に努めてまいります。これらの改善策は、すぐに実施できるもの、これから具体的に検討していくもの、さまざまございます。これらを確実に実行していくために、経営陣が責任を持って計画を立て、進捗管理するとともに、その進捗状況については定期的に公表してまいります。
先刻発表されました特別調査委員会の報告においても同様のご提言をいただいております。加えて、進捗状況については、外部専門家による第三者のモニタリングを受けるべきというお話がありました。第三者により中立・公正な目でご確認いただきつつ、これからの改善プロセスをしっかりと進めてまいります。
最後に、この一連の問題で、関係の皆さまに多大なるご迷惑、ご心配をおかけしておりますこと、改めて心よりおわび申し上げます。皆さまからのご批判、お叱りを真摯に受けとめ、社員一人一人に至るまで、コンプライアンスの意識を浸透させるとともに、これまでに申し上げた再発防止の仕組みを十分に機能させることにより、一日も早く信頼を取り戻せるよう、グループ一丸となり取り組むことをお約束いたしまして、私どもからのご説明とさせていただきます。
- 【記者】
- 3社長にお伺いいたします。ご自身の経営責任をどうお考えになるのか、教えてください。
- 【日本郵政社長】
- かんぽ生命の問題では、多くのお客さまに大変なご迷惑とご心配をおかけし、長らく郵便局ネットワークに寄せられた信頼を大きく裏切ることになり、経営陣全体で大変責任を感じております。従来から、一刻も早くお客さまの不利益を解消し、再発防止策に取り組むことで、こうした問題が二度と起こらないように努め、失った信頼を取り戻すよう、経営陣全体で打ち込むことが経営責任と申し上げてまいりました。
今般、特別調査委員会から厳しいご報告をいただき、また、金融庁、総務省から報告徴求命令を受けましたので、それらを踏まえ、しかるべきタイミングにしかるべき経営責任について発表したいと考えています。
- 【記者】
- 約1,000局の単独マネジメント局に金融渉外部を設置するというビジネスモデルは、今後も持続可能だと考えていますか。ユニバーサルサービスの維持という観点から、金融渉外業務は不可欠とは私は思わないので、エリアマネジメント局に任せるという考え方も成立すると思います。かんぽ生命自ら個人営業機能を持つという考えもあると思いますが、お考えをお聞かせください。
- 【日本郵便社長】
- 地域にあるエリアマネジメント局だけではカバーできないお客さまに対応するため、単独マネジメント局に金融渉外部を設けています。渉外機能の配置の仕方については、お客さまの立場に立ったビジネスのあり方の観点から検討してまいります。
- 【かんぽ生命社長】
- かんぽ生命として、新たな販売チャネルや自らリテール分野の販売を行うことを含め、現時点で方針を定めている訳ではありませんが、様々な可能性を探っていくことが必要だと考えています。
- 【日本郵政社長】
- 金融渉外部については、ユニバーサルサービスに矛盾しない範囲で、強化していきたいと考えています。個人資産が1,860兆円の金融資産を持ち、52%が現預金となっている状況下では、お客さまのニーズをしっかり拾うことが必要です。かんぽ生命と日本郵便は、かつてのトヨタ自動車工業とトヨタ自動車販売のように製造部門と販売部門を分けています。うまく協力することで、かんぽ生命の保険営業を推進していくことが出来ると思います。
- 【日本郵便常務執行役員】
- 補足いたします。全ての単独マネジメント局に、金融渉外部が設置されている訳ではありません。これまでも、効率性に鑑み、設置局の統合や廃止を行ってまいりました。
- 【記者】
- 先ほど長門社長から、「しかるべき経営責任について、しかるべきタイミングで発表する」とのご発言がありましたが、これは辞任を考えているということでしょうか。
- 【日本郵政社長】
- 経営責任の果たし方は、さまざまだと思いますので、特別調査委員会の報告書等の内容を確認し、きちんと整理し、しかるべきタイミングで申し上げたいと思います。
- 【記者】
- 特定事案調査について、お客さまに不利益が生じた可能性がある契約が12万件余り、法令違反・社内ルール違反の可能性があるものが600件余りとの結果でしたが、これら数字の規模感について、どのように受け止めていますか。また、販売の再開についてどのように考えていますか。
- 【日本郵政社長】
- 調査全体の18万3,000件と比べて、現状調査の途中ではあるものの、法令違反が48件、社内ルール違反が622件という数字は、やや少ない印象を受けました。一方で、昨年度、当局に報告した法令違反が22件という数字と比べると、大きな数字との印象を受けております。件数はもとより、お客さまに不利益を生じせしめたことは、大変申し訳ないと考えています。
2点目の営業再開については、特別調査委員会の報告書や当局からの報告徴求等を吟味し、関係者で協議の上、改めて報告したいと思います。
- 【かんぽ生命社長】
- 特定事案調査は、18.3万件の外形的に不利益が認められるA~F類型について、調査を実施しております。調査目的は、①お客さまのご意向の確認、②不利益が発生した場合の不利益解消、③関係した募集人の調査の3つです。不利益解消については、お客さまにご協力をいただきながら順調に進捗していると認識しております。募集人調査については、慎重に弁護士の先生と相談しながら進めております。現時点で、法令違反・社内ルール違反が670件との量感です。2,500件程度が判定完了しており、残りの件数についてもしっかりと仕上げていきたいと思います。
全ご契約調査は、1,900万人のお客さまから100万通のお返事をいただいております。今後、対応していくべき領域をしっかり定め、必要なお客さまのご意向やご要望等を確認し、対処していきたいと思います。加えて、全契約調査の中で特定事案以外に判明した領域がある場合には、その部分も深掘していく必要があると先ほど申し上げました。特に、募集人主導で新規、解約、消滅を繰り返している事案等については、不利益が生じていると疑われる事例があることを把握しておりますので、こうした点についてもしっかり対処していきたいと思います。
- 【日本郵便社長】
- 経営者として法令違反・社内ルール違反が670件という数字を重く受けとめ、全力で改善に努めてまいります。通常営業の再開については、特別調査委員会からの報告の内容も踏まえ、関係各所と調整した上で検討してまいりたいと考えております。
- 【記者】
- 1月の通常営業の再開は難しいとの認識をお持ちですか。
- 【日本郵政社長】
- 今、予断をもって申し上げることはできませんので、改めてご公表いたします。
- 【記者】
- 植平社長にお伺いいたします。募集人調査において、非該当1,800件とされた項目には、どのようなケースが多く含まれていたのでしょうか。
- 【かんぽ生命社長】
- 非該当の1,817件は、社内ルール違反でも法令違反でもないという領域です。資料には二つの事例を記載しております。
一つ目は、契約乗換期間潜脱の可能性がある事案として募集人調査において募集人が説明した内容に基づいてお客さまからお話をお伺いしたところ、お客さまご自身がご資金ニーズのために解約時期をお決めになられ、募集人が解約時期をずらすようお客さまに誘導、働きかけを行ったものではないことが確認され、社内ルール違反でも法令違反でもないと判定されたものです。
もう一つは、募集人が既契約の払込完了時まで契約を継続されたほうがよいとのご案内を差し上げたことから契約乗換期間潜脱の可能性がある事案として調査したところ、お客さまがご資金ニーズ等の事情により解約時期をお決めになられたことが確認され、社内ルール違反でも法令違反でもないと判定されたものです。
資料には、ごくわずかな事例を記載しております。社内ルール違反、法令違反であるかどうかの判定基準は弁護士と相談して定め、個別事例の判断についても弁護士と相談して行っております。
- 【記者】
- 顧客に資金のニーズがあることがなぜ二重払いをする理由になるのでしょうか。
- 【かんぽ生命社長】
- お客さまが二つの保険に加入され、手元の資金が不足し、お客さまご自身のニーズでご契約を解約して資金を捻出することをお決めになったということが確認できた、という趣旨です。
- 【記者】
- 資料中に募集人が既契約の解約時期を遅らせたと書いてありますが、先ほどの説明の資金ニーズという部分との関係について、お教えください。
- 【かんぽ生命社長】
- E事案は、重複した状態で、二つの契約がある場合を想定します。社内ルール(前3後6のルール)上は、6カ月を超えて当該契約が解約になれば、募集人の成績評価は2分の1ではなく1となります。募集人がそうしたことを前提に、解約時期をずらすことを誘導したものであるのか、あるいは、その解約時期は、お客さまの主体的なご判断でなされたものなのかを検証した結果、問題ない事案と判断したものです。
- 【記者】
- 全ご契約調査に42万件の回答があったとの説明がありましたが、その内訳を公表してください。
- 【かんぽ生命副社長】
- 42万件すべてが、ご意向に沿わなかった方ということではありません。ご意向どおりの方も含め、自由記述欄にさまざまなご記載をいただいた方が42万人いらっしゃいました。内訳としては、苦情・お叱りが3割程度、ご相談のご希望が2割程度、称賛・激励が1割程度、その他が3~4割程度いらっしゃいました。
- 【記者】
- 今後、そうした方に対する調査を行うと思いますが、調査の進捗は定期的に公表されるのでしょうか。
- 【かんぽ生命副社長】
- お客さまからいただいた声は、当社のさまざまな活動の端緒だと思っており、お客さま一人一人に、しっかりと対応をさせていただきたいと思います。緊急的な対応が必要なものは1月を目途に、それ以外のものは今年度中を目途に、対応してまいります。結果は、改めてご報告させていただきます。
- 【記者】
- 特別調査委員会の報告書に記載されている多数契約やヒホガエ、全国品質カルテに記載されている料済等の不適正事案について、全ご契約調査の結果を待たずに、主体的に調査すべきだと思います。そうした対応を実施する考えがありますか。
- 【かんぽ生命社長】
- 被保険者の変更や料済などは、他の生保会社においても同様の仕組みや制度を持っており、仕組みそのものが不適正との認識はありません。ただ、そうした中に問題があれば、領域を定めて調査をしていく必要があると思います。
全ご契約調査の中で、解約と新規を繰り返すような事例等、お客さまに不利益が発生している可能性のある領域はスコープを定め、必要な調査を行っていきたいと思います。
- 【記者】
- 長門社長にお伺いいたします。特別調査委員会の報告書によると、パワーハラスメントのような形で、募集人が追い詰められ、不正に走ったメカニズムが浮かびあがってきます。今回の募集管理体制の見直しで、今後どのように是正されていくのか、また見直しの過程について、再検証していくお考えがありますか。
また、横山社長にお伺いします。年賀はがきのノルマについても、営業現場にプレッシャーがかかっているとの話を聞きます。「日本郵政グループは、保険商品に限らず、販売目標ないしノルマ至上主義が残っている」との指摘について、どうお考えですか。
- 【日本郵政社長】
- パワーハラスメントの問題について、お答えいたします。日本郵便において、「土下座をさせられた」、「屈辱的な研修会に行かされた」、「怒鳴られた」、「もう来なくていいと言われた」等の、かなり深刻なパワーハラスメントが、一部にあったと聞いており、大変申し訳なく思います。きちっと対応していきたいと思います。
風土改革について申し上げます。金融営業専門の問題や日本郵政グループ社員の日ごろの業務の疑問について相談を受ける窓口を設置します。形だけでない本気の目安箱とするため、第三者や社長が定期的に確認し、進捗状況を公表することにしています。
- 【日本郵便社長】
- パワーハラスメントは、社員の働きがいのある職場づくりに反するもので、従来から禁止しております。各種研修会や進捗管理等についての声は耳に入っています。全ての研修会を否定するわけではありませんが、本社から望ましい営業スタイルや募集品質について発信していくことで、企業風土を徹底的に変えてまいりたいと考えています。
2点目の年賀はがきの問題について、ご回答いたします。私も着任以降、金券ショップ等で当社の大切な商品が安価で出回っていることは認識しており、対策の必要性を感じておりました。そこで、年賀はがきの営業目標については、昨年から廃止いたしました。今年は、金券ショップ等で、そうした状況を見かけることはないと考えております。
私は全ての営業目標に問題があるとは考えていません。企業が持続的に成長していくために経営計画があり、それに基づき各セクションの目標があります。市場環境と比べ、適切な目標であることを検証し、現場ときちんと対話の上で、しっかりとした営業目標を定めるやり方に変更すべく、検討しているところです。今期は、現時点においては各種営業目標を定めておりません。
- 【記者】
- 法令違反や社内ルール違反の可能性のある事案が約1万3,000件あったとの説明がありましたが、契約者とすれ違いが生じる事案がこれほど多いことに対し、問題意識をお持ちでしょうか。
また、特別調査委員会から「問題や苦情を矮小化する組織風土」との指摘がありましたが、その通りであると感じていますか。
最後に、一部メディアが「長門社長が辞意を表明した」と報じていますが、そのように理解してよろしいですか。
- 【かんぽ生命社長】
- 5年間遡及して行った今回の調査において、お客さまからご疑問があるとの指摘をいただいている件数が1万2,836件あったことについては、大変真摯に受け止め、反省しています。
一方で、お客さまの声を幅広く取り、少しでも疑問がある領域は調べるという方針で調査しております。また、今回の問題が、さまざまなメディアに取り上げられたことでお客さまがご不安に感じ、数多くのお申し出をいただいたとも理解しています。
法令違反や社内ルール違反の可能性のある事案1万2,836件については、現時点で判定が完了した2487件に対して、法令違反を48件、社内ルール違反を622件認識しています。残りの件数についても、しっかり調査を進めていきたいと思います。
- 【日本郵政社長】
- 1点目の質問について、補足します。タイプEの件数が多く、比率も高くなっていることが背景事情の1つとなっているとの印象を持っております。
2点目の質問について、持ち株会社の立場から再発防止策を考えた場合、現場で起きた問題が、持ち株会社まで上がらなかったという状況を解決する必要があるとの問題意識を今は持っています。持ち株会社として、取締役会や経営会議で扱う事項を定めたルールがありますが、今回の問題が上がらなかったことが問題だと感じています。また、今般の問題が、本格的に議論され始めたのは、かんぽ生命が7月18日の取締役会、日本郵政が7月23日の経営会議、日本郵便が7月23日の取締役会と遅くなったことも、問題であると感じております。
現在、持ち株会社として想定している再発防止策は3つです。1つ目は、目安箱など、事業会社から情報を取り、持ち株会社に情報が来る仕掛けが必要だと考えています。2つ目は、NHK「クローズアップ現代+」など外部からの指摘があった場合、強い権限を持って事業子会社を調査できる仕組みが必要です。3つ目は、コンプライアンスや監査セクションが問題の背景や潜在的な問題を深掘する必要があると思います。
3点目の質問の経営責任の問題について申し上げます。しかるべきタイミングに、立場に応じた経営責任を発表したいと申し上げました。これ以上は、申し上げることができません。
- 【記者】
- 募集人調査についてお尋ねします。現在の内部調査では、妥当性を検証することができません。法令違反が疑われる事案は、内部調査で終わらせるのではなく、刑事告発により厳正に対処するべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
- 【かんぽ生命社長】
- 当社のみならず、保険業法のもとで事業をしている会社の募集人が法令違反を行った場合、法令違反の判定を行った上で、必要な措置をとることがルールとされています。通例では、募集人の自認があり法令違反と判定された場合、当局に届け出がなされ、対象募集人に対して保険会社から一定の処分、あるいは代理店会社の人事上の処分が科されます。そうした保険業法の枠組みの中で処理されるものと考えております。
今回の当方の調査は、従来の運営方法とは異なりますが、自認だけでなく周辺の客観事情等も含めた処分を行う方針としています。現時点で刑事告発等による処理は考えておりません。
- 【記者】
- 内部調査が公正で妥当に行われたということを、どのように証明するのでしょうか。
- 【かんぽ生命社長】
- 判定基準を外部弁護士と共同で作成し、個別具体的な判定についても外部弁護士と相談の上で進めています。また、特別調査委員会にも相談の上でご承認をいただきながら調査を進めているところです。当社として、公正公平な判断基準に基づき厳格に判定を行っています。
- 【記者】
- 販売額を重視した営業目標から、保険料の純増額をベースとした目標へと見直しを行うとのことですが、営業目標の一部を保険料の純増額とするのか、営業目標の全てを保険料の純増額とするのかについて、お伺いします。
- 【日本郵便社長】
- 営業目標の見直しの目的は保険契約の増加です。従来の解約、新規でも良しとする営業目標から、お客さまとの契約を増やしていく形の目標とする方向で検討しており、他にも未加入のお客さまとの新規契約を指標化するなど、複数の目標を設けたいと考えております。目標・手当については、本社だけでなく、現場や労働組合とも十分協議の上、4月までに決定したいと考えております。
- 【記者】
- 渉外社員の支給水準の見直しについて労働組合と相談を始めていますか。
- 【日本郵便社長】
- 労働組合との協議は開始しております。2020年4月以降、協議が完了次第、実施いたしたいと考えております。
- 【記者】
- ゆうちょ銀行の問題も含め、来年の全国大会以降の実施となりますか。
- 【日本郵便社長】
- その点も含め、出来るものと出来ないものについて、整理しているところです。
- 【記者】
- 会社側からJP労組に対して、ベースとなる案を提示済みでしょうか。
- 【日本郵便社長】
- 今般お示ししたものは、JP労組に提言を開始したところです。具体的な割合等は、今後議論してまいります。
- 【記者】
- 2014年3月以前の契約については、調査を行わないのでしょうか。顧客から調査依頼があった場合は、調査を行いますか。
- 【かんぽ生命社長】
- 調査において過去に遡る期間を5年間としたのは、①社内データの保管上の問題、②病院における診療履歴の保管上の問題から、それ以上遡ることが物理的に困難であることから決定したものです。
ただし、お客さまからお申し出やご要望があり、当時の事情等の客観的な内容が確定できるものをいただいた場合は、個別に対処していくことになります。
- 【記者】
- 特別調査委員会から、過去5年間に限らず、それ以前から、同様の事案があった旨の指摘がされています。現状の調査の枠組みで、全容が解明できるのでしょうか。
- 【かんぽ生命社長】
- 30年、50年と長年に渡り当社の商品をお持ちのお客さまがおられますが、それら全てを特定事案として対応することには物理的な限界があります。調査については、先ほど申し上げた理由から、5年間遡ることとさせていただきました。
- 【記者】
- 特定事案調査の結果、不利益を被ったと認定されたお客さまの人数をお教えください。
- 【かんぽ生命社長】
- お客さまのご意向に沿わず契約復元等の措置を行うものを不利益とした場合、4万5,000人のお客さまから詳細説明が聞きたいとのお申し出があり、2万6,000人のお客さまに契約復元等のご説明をいたしました。そのうち、1万5,000人のお客さまの契約を、復元いたしました。
この復元が行われた1万5,000件の大半はE類型です。当初、A、B、C類型に不利益が生じせしめているものがあると考え過去に遡り調査を行いましたが、実際には大半はE類型での復元のご希望・ご要望をいただいております。
- 【記者】
- 全ご契約調査に関して、お伺いいたします。返信はがきに42万人のお客さまからご要望・ご意見があったとのことですが、そのうち苦情やご意向に沿っていない契約の件数を教えてください。
- 【かんぽ生命副社長】
- 返信はがきにご要望・ご意見があった42万件の全数について精査・分類は出来ておりません。そのため、割合については推定になります。先ほどの質問に割合でお答えいたしました。先ほどお答えした割合に42万件を掛け合わせた数字を概数としてご理解ください。
- 【記者】
- 全ご契約調査についてお伺いいたします。苦情やご意向に沿っていない契約について、特定事案調査と同様にきちんと調査し公表するお考えはないのでしょうか。
- 【かんぽ生命社長】
- 全ご契約調査において、ご回答中に、ご疑問、ご不安、あるいは苦情があるものについては、特別調査委員会とも相談しながら、厳正に対処してまいります。
- 【記者】
- これまでに確定した法令違反及び社内ルール違反は、社内処分を行っているのでしょうか。社内処分の後でなければ、営業再開が難しいように思います。
- 【かんぽ生命社長】
- 資料記載の法令違反及び社内ルール違反が確定したものは、大きく分けて、募集人の資格はく奪又は厳重注意処分となります。法令違反や社内ルール違反が確定したものについては、かんぽ生命としての処分は、既に確定をしております。
一方、管理者の人事上の処分や日本郵便の人事上の処分は、別に行われると理解しています。募集上問題があった募集人は、募集再開にあたり、直ちに他の募集人と同じスタート地点に並ぶことはないと思います。今後の詳細は、日本郵便とすり合わせて行く必要があると認識しています。
- 【記者】
- 長門社長にお伺いいたします。特別調査委員会の募集人アンケートによりますと、不適正募集をしたことがあると回答した人の約68%が上司や上長が不適正募集を黙認してきたと感じている、と回答しています。これについて、20年程前から、こうした企業風土が長らく続いていた、との説明がありました。経営幹部は、一部の報道で、こうしたことが明るみになる以前、どこまで実態を把握されていましたか。
仮に、全く把握されていなかったとした場合、長きにわたって不正を黙認する組織風土が放置され、改善されてこなかったことになります。これは現経営陣だけの話ではないと思いますが、どのようにお考えですか。
- 【日本郵政社長】
- 持ち株会社における不祥事件の報告を受ける機会として、取締役会及びグループ運営会議がございます。取締役会は、四半期に1回コンプライアンス事案の主な数字について報告を受けます。昨年度のかんぽ生命の不祥事件22件という数字は、今年4月の取締役会で報告を受けました。グループ運営会議は、毎週開催されるグループ4社の情報連絡のための会議で、営業報告等のほかに不祥事件の報告を受けることもあります。重要な事件は、内容の説明もありますが、通常は数字のみの報告です。その他に、社会的なインパクトが大きいと見込まれる不祥事件は、特別に、経営会議、取締役会で報告を受けることがあります。以上のとおり、従来は、相当な大事件でなければ看過してしまうという報告体制でした。今般、大変反省し、その前の段階でさまざまな情報を集める仕組みを打ち出しているところです。
- 【記者】
- 今のご回答は、大事件の報告を受ければ良いとおっしゃっている印象を受けます。問題は、蓄えが少ない方が将来の安心のために加入した保険契約において不正が発生しており、そのような事態を把握することが、経営トップの責任であるということです。今のようなお答えで、組織風土の改革、お客さま本位の理念を浸透させることができるのでしょうか。
- 【日本郵政社長】
- 過去至らなかったことは、大変反省しております。ニューヨーク市のジュリアーニ市長が用いた割れ窓理論のように、小さな事件を将来のヒントとして、再発防止に努めてまいります。ご叱声は真摯に受けとめたいと思います。
- 【かんぽ生命社長】
- 日本郵便という販売ルートを通じて商品を販売し、お客さまから一定量の苦情が入ってまいります。募集対応上問題があるものについては、しっかり認識し、対応に努めてまいりました。募集人に対する処分も行ってまいりましたが、処分の適用に対する厳格さが十分であったかどうかという点が反省の一つです。
5年に渡り遡及して、これだけの量感で法令違反と社内ルール違反が発見されたということは、オペレーションに問題があったということであり、大変忸怩たる思いがございます。
今般、苦情を類型化するという作業に取り組みましたが、一つの事案、一つの苦情、一つの処分等から、その量感がどう広がっているのか想像力を働かせる必要があったと反省をしております。特に今回は、E事案をつぶし込んでいく対処が必要であったと感じています。
- 【記者】
- 資料4ページの募集人調査のグラフについてお伺いいたします。法令違反・社内ルール違反670件が判定完了2487件に対する数字だとすると、募集人調査の対象事案の中に、同じ割合で法令違反・社内ルール違反があると考えられ、単純に計算すると約3,500件となります。そうした目安でよろしいかどうか、お伺いいたします。
また、募集人調査をいつまでに終わらせるお考えか、お伺いいたします。
- 【日本郵政社長】
- 単純に比例計算をしますと、おっしゃる量感となると思います。募集人調査の対象事案1万2,836件の対象事案のうち、判定完了が2,487件ですので、残り1万件程度についても、しっかりと取り組み、年度内には仕上げてまいります。
- 【記者】
- 特別調査委員会から、経営者の責任を調査することは委員会の役割ではない、との説明がありました。日本郵政は、調査依頼時に、経営責任までは調査を行わないとの条件を付与したのでしょうか。
- 【日本郵政社長】
- 積極的に、経営責任問題に触れないとした意図はありません。当初依頼した内容は、①調査方法に関する検証、②根本原因の分析、③再発防止策の提言の三つです。
- 【記者】
- 「経営責任に関する調査は必要ない」との指示はなかった、との理解でよろしいですか。
- 【日本郵政社長】
- そうしたことは、申し上げておりません。
依頼内容は、特別調査委員会の報告書4ページに記されている調査を今年度中に終了していただくことです。当初は、年内を予定しておりましたが、年度内に終了していただくことになりました。きちんと調べていただければ、結果的に、誰がどう責任を持っていたのかについても、おのずと判明すると思っております。
- 【記者】
- 特別調査委員会の概要資料8ページについて、お伺いいたします。「持株会社としての日本郵政が果たすべき役割やグループガバナンスの在り方について、全役員のコンセンサスが得られていなかったこと」との表記について、委員長に「少なくともコンセンサスが得られていなかったという表記があるということは、取締役会でそうした議論が行われていなかったということですね」と確認したところ、「そのとおりです」との回答がありましたが、間違いはありませんか。
- 【日本郵政社長】
- 全く間違いです。持ち株会社の取締役会ではグループガバナンスについて極めて活発に議論をしています。
伊藤委員長のお答えは少し違った意図でおっしゃったもの、との印象を受けます。
- 【記者】
- 将来的に、製販一体の仕組みが必要とのお考えをお持ちでしょうか。
また、コンプライアンスアドバイザーとは、どのようなお立場の方でしょうか。
- 【日本郵政社長】
- 日本郵政グループが、製造と販売を役割分担の中で行う現行の仕組みに問題は感じておりません。また、かんぽ生命は、法人営業組織を持っておりますので、自ら営業を行う必要はないと感じております。
- 【日本郵便社長】
- 日本郵便として、ゆうちょ商品・かんぽ商品とは別に自社商品を持つ考えはございません。ゆうちょ銀行、かんぽ生命に対してお客さまニーズを提言していくことで、問題はないと考えております。
- 【かんぽ生命社長】
- 民営化スタート時点で、かんぽ生命と日本郵便は、生命保険会社と販売代理店の関係で、当社に法人営業部隊がある形で、スタートしております。
今後、この形を継続する必要があるのかどうかについては、自社で新たな直営の営業部隊を持つ、別の代理店との関係を持つ等、様々な議論があると思います。戦略立案については、関係者を含めて相談し、最適解を見定めていく必要があります。現在、決定したことは何もありませんが、必要な議論は行っていきたいと思っております。
- 【日本郵便社長】
- 2つ目のコンサルティングアドバイザーについて申し上げます。商品ありきのセールスは、あってはいけないことだと考えております。お客さまの家族構成、財産状況、ライフステージに応じて、ニーズをご一緒に考えながら、ふさわしい金融商品を提供していく、そうした金融総合コンサルタントを育成することが、コンサルティングアドバイザーの位置づけでございます。
- 【記者】
- 長門社長にお伺いいたします。特別調査委員会の報告書に、持ち株会社として何をすべきかという「ミッションが定まっていない」との日本郵政の役員の発言が記載されております。持ち株会社として何をすべきかという点について、長門社長が陣頭指揮をとれていないとの印象を受けます。このミッションを定めることなく、放置していたのはなぜなのでしょうか。
- 【日本郵政社長】
- ご指摘の箇所を拝読できておりませんので、コメントは控えさせていただきます。報告書を拝読し、特別調査委員会の方にもご趣旨を承りたいと思っております。
- 【記者】
- 横山社長にお伺いいたします。特別調査委員会の報告に、「郵便事業に関しては、件数、経緯、内容が報告されていた」、ゆうちょ銀行・かんぽ生命の「不祥事案の報告の内容は、件数のみで、具体的な内容は報告されていない」との役員の発言が記載されておりますが、そうした状況を放置していたのは、なぜなのでしょうか。
- 【日本郵便社長】
- 当社の役員会等では、郵便事業だけではなく、各事業について同様に報告がされていたものと認識しております。事業により、報告内容を区別しているとの認識はございません。
- 【記者】
- 長門社長と植平社長にお伺いいたします。先ほど、取締役会や経営会議の議題として取り扱われていなかった、との説明がございましたが、個々の取締役や役員は、誰一人知らなかったのでしょうか。
また、取締役の責任として、実態を把握できなかったこと、そうした体制を築かなかったことの理由について、株主、投資家を意識してご説明いただければと思います。
- 【日本郵政社長】
- 持ち株会社の取締役会において、このかんぽ生命の契約乗換問題について問題提起されたことはありません。2018年4月24日のNHK「クローズアップ現代+」の放送後、取締役会とは別の場で放送された内容について私にお尋ねを受けたことはありました。当時は保険業務の募集品質は大事なテーマとして真剣に取り組んでおり、特に高齢者のお客さまへの対応については、中期経営計画の重要テーマと位置づけ、2017年12月からの本格的な取り組みにより、改善しているとの報告を受けていました。そうした状況の中、NHKの報道は公平性に欠くとの議論で終わらせてしまったことは、痛恨の極みです。
今後、持ち株会社として、再発防止策の柱として、情報が上がってこないことを克服すべく、対応策をつくり、実施していきたいと思っております。
- 【かんぽ生命社長】
- 実態把握の主な端緒は、お客さまからいただいた苦情にあると認識しています。単に件数のみならず、中身についても個別に対応し、お客さまの不利益解消や、権利回復を行うための仕組みにより、対処しております。今回の大いなる反省は、一定の類型の下に、お客さまのご意向に沿わず不利益が発生した可能性がある領域をしっかりつぶし込んでいかなければならなかったことを、今回の調査を始めて理解したことです。今般の調査においては、A~Fという類型をつくりましたが、大半がE類型にて不利益解消を行っておりますので、そこに見落としがあったと認識しています。
昨年、「クローズアップ現代+」が、かんぽ生命問題について放送した際も、苦情に対処すると同時に、品質向上のための指標を作成しました。他の生保会社と比較して劣っている指標については、追いつくために指標管理を行いました。日本郵便社長にも相談し、募集品質を他社並みに引き上げていくため、総合対策の取り組みを展開しました。総合対策は、すぐに効果があるものではなく、2~3年かけて募集品質を引き上げていくことが狙いでした。そうした取り組みの中で、実態を把握していきたいと考えておりました。
- 【記者】
- 乗換潜脱の可能性がある幾つかの類型は、昨年度2.8万件と前年度より増加しています。今年の春の時点で、植平社長は、そうしたことをご存じだったのでしょうか。
- 【かんぽ生命社長】
- ご質問いただきました内容は、以前に記事に写真掲載された募集人カルテの内容だと思います。私ども経営レベルでは、募集人カルテの指標は管理しておりません。募集人カルテは、募集人を指導するための管理用データです。
- 【記者】
- 乗換潜脱の可能性がある2.8万件との数字は、どのレベルまで報告されていたのでしょうか。報告を受けていた方は解決策をお考えにならなかったのでしょうか。
- 【かんぽ生命社長】
- 募集人カルテは、募集人の行動様式を管理していくための管理資料だと理解をしております。乗換や料済などの記載もありますが、全てお客さまに対して不利益事項の説明をして、お客さまのご同意もいただいておりましたので、お客さまに不利益が発生しているという認識にまで至っていなかったということが、反省点でございます。
- (※記者会見における発言及び質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)