現在位置:
日本郵政ホームの中の1
日本郵政株式会社の社長等会見の中の3
2019年7月31日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2019年7月31日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 長門 正貢
日本郵便株式会社 代表取締役社長兼執行役員社長 横山 邦男
株式会社かんぽ生命保険 取締役兼代表執行役社長 植平 光彦
【日本郵政社長】
この度、かんぽ生命と日本郵便による保険営業におきまして、お客さまのご意向に沿わず、不利益を発生させている可能性のある案件が多数判明いたしました。郵便局に対する、お客さまの信頼を大きく裏切るものであり、断腸の思いです。ご迷惑、ご心配をおかけし、お客さまに深くお詫び申し上げます。
 また、日々、誠実に業務に精励しておられる社員の皆さまにも、併せて深くお詫びいたします。
 今般の事象、経営陣一同、大変重く受けとめてございます。
かねてより「お客さま本位の業務運営」に取り組んできておりましたが、その徹底が十分ではなかったと真摯に反省しております。今後は、「お客さま第一」の真の実現のために、オール郵政、全力で取り組んでまいる決意でございます。
 この度は、誠に申し訳ございませんでした。
【日本郵政社長】
本日の会見では、かんぽ生命の契約乗換等の問題につきまして、グループを束ねる当社の私から直接お詫び申し上げるとともに、取組の現況等について説明させていただきたく存じます。現時点で申し上げられることは、最大限お話しさせていただきます。
 今回の一連の問題において何よりも重要なことは、お客さまからの信頼を回復することです。迅速に調査を進め、お客さまのご意向をしっかりと確認、お客さまのご意向に沿わずに生じた不利益を特定し、これをきっちりと解消していく、まず、この確固たる決意を表明させていただきます。
 お客さまへのご契約調査については、年内には目途をつけたいと思っており、グループとして最優先事項と位置付け、全力で取り組んでまいります。また、9月中には中間報告的に進捗状況等をご報告させていただきます。詳細は、この後、かんぽ生命社長の植平から説明いたします。
 もう一つの重要な取組は、今後、このようなことが二度と発生しないように、しっかりと原因究明を行い、改善のために再発防止策を講じていくことです。今般、このような事態を招いた原因については、今後の調査、分析により、しっかり明らかにしてまいりたいと考えておりますが、現時点では、営業目標や営業マネジメント姿勢が新契約の獲得に偏重していたのではないか、また、お客さまや現場の社員からの声を本社が汲み取り切れていなかったのではないか、と感じております。こうした反省を踏まえ、種々、対応、再発防止策を講じてまいります。詳細は、この後、日本郵便社長の横山から説明いたします。
 再発防止のためには、ガバナンスの強化が重要であることは言うまでもありません。持株会社として、グループ会社が適切に運営されるよう、より強く指導していかなければならないと考えております。今回の問題については、グループとして事案の評価、分析が十分でなく、事態が深刻であるとの認識を十分に持てなかったことも、このような状況を招いたことの一因と感じております。グループのガバナンスをより高めてまいります。
 再発防止策については、次に述べる特別調査委員会の提言も踏まえ、年内を目途に検討してまいります。この点についても、9月中には中間報告的に進捗状況等をご報告させていただきたいと考えております。
 24日に公表しましたとおり、日本郵政、日本郵便及びかんぽ生命が特別調査委員会を設置いたしました。本調査委員会は、かんぽ生命及び日本郵便による事実確認の範囲及び方法等の妥当性を検証するとともに、独自に事実関係及び原因等について徹底した調査を行い、その結果を踏まえて再発防止策等の提言等の検討を行い、調査報告書を作成することとしております。なお、本調査委員会は、年内を目途に速やかに調査を進めることとなっておりますが、調査がある程度進展した時点で、調査の状況及び見通しにつきまして、中間報告的にご報告いただけることを私どもとしては期待しているところです。
 最後に、経営責任について申し述べます。私、植平、横山とも、それぞれの立場において行うべき職責をしっかりと果たす、これが経営者としての責任のとり方であると考えております。できるだけ早く、現在のお客さまの不利益を確実に解消する、このような問題を二度と起こすことのないよう改善策を講じていく、そしてお客さまの信頼を回復する。これらの課題の実行、実現のため、それぞれの会社において陣頭指揮をとって邁進する。これが私どもの職責であると考えております。
 それでは、次に、かんぽ生命社長の植平からご報告させていただきます。
【かんぽ生命社長】
お客さまをはじめ、関係者の皆さまには、ご心配とご迷惑をおかけしており、改めて深くお詫びを申し上げるとともに、お客さまからの信頼を取り戻せるよう陣頭指揮をとってまいります。
 私からは、ご契約調査の詳細についてご説明申し上げます。
 始めに、ご契約調査の基本的な考え方についてご説明いたします。全てのかんぽ生命のご契約、過去5年分の消滅契約を含む約3,000万件、ご契約者数で約2,000万人につきまして、お客さまのご意向に沿わず不利益を生じさせたものがないかを検証いたします。お客さまのご意向に沿わず生じさせた不利益を、できる限り早期に解消することにより、お客さまからの信頼回復に全力で取り組んでまいります。
 次に、ご契約調査のスケジュール及び具体的な方法についてご説明いたします。かんぽ生命において、お客さまのご意向に沿わず不利益が発生した可能性が特定可能な類型については、過去のご契約データから当該類型に合致するものを全て抽出し、特定事案として、お客さまのご意向に沿わず不利益を生じさせたものがないか調査を実施いたします。
 特定事案については、お客さまの不利益を速やかに解消するため、8月5日からお客さまへ書面を送付し、8月中に送付を完了いたします。その後、特定事案全件について、対象のお客さまにご契約時の状況や契約復元等のご意向を確認するため、かんぽ生命の専用コールセンターから9月上旬までにお電話いたします。コールセンターを大幅に拡張するなど、かんぽ生命のお客さま対応体制を最大限強化の上、迅速かつ丁寧に対応してまいります。
 また、対面でのご説明が必要なお客さまに対しては、かんぽ生命の社員がお客さまを訪問し、ご契約時の状況や契約復元等のご意向を確認し、お手続きを進めてまいります。なお、現時点で、これらの全てのご契約がお客さまのご意向に沿わず不利益を生じさせたご契約と想定しているものではなく、また、これらの全てのご契約が契約復元等の対象となるものでない点について、ご留意いただければと思います。
 特定事案を除く全てのご契約については、全ご契約調査として、9月中にかんぽ生命、日本郵便連名で、返信用はがきを同封した書面送付を完了いたします。ご返信いただいたはがきやコールセンターにご相談いただいた内容をもとに、不利益が疑われる場合はかんぽ生命が調査を実施し、お客さまのご疑問にお答えしてまいります。また、郵便局に直接ご連絡いただいたお客さまには、郵便局の社員が訪問や電話によりご疑問にお答えしてまいります。
 加えて、ご契約者さま専用のマイページや、10月にかんぽ生命から全ご契約者さまにお送りする「ご契約内容のお知らせ」により、お客さまにご契約内容をご確認いただくとともに、ウェブサイト、SNSなど幅広い手段を通じて本取組をお知らせし、広くお客さまのお申し出に対応してまいります。
 このような取組を踏まえ、9月末時点のご契約調査の進捗状況等を中間報告させていただくとともに、12月末までに調査完了の目途をつけ、全体像を把握し、進捗状況等をご報告いたします。
 続きまして、ご契約時の状況に関する調査について、ご説明いたします。ご契約調査を進める中で、募集人が自らの都合を優先し、お客さまのご意向に沿わず不利益を生じさせた可能性がある事案については、ご契約時の状況に関する調査を徹底いたします。募集人に対する調査に当たっては、かんぽ生命、日本郵便のコンプライアンス部門が連携し、グループを挙げた体制を構築してまいります。
 ご契約時の状況に関する調査の結果、保険業法に違反する不適正な事象が発見された場合は、募集人業務の廃止など厳正に対処いたします。また、社内手続に違反する事象が発見された場合も所要の対応を実施いたします。
 7月10日に公表した改善策の状況について、補足をさせていただきます。一定の条件に該当する新規申し込みについては、郵便局の管理者又はかんぽ生命がお客さまのご意向を確認した上で承認した場合のみ、その後の手続きを行える募集事前チェック機能を強化してまいります。また、契約乗換後のご契約のお申込みが承諾されたことを条件に、契約乗換前契約の解約等の効力を発生させる条件付解約制度や、現在加入しているご契約を解約することなく、新たな内容に移行できる契約転換制度の実施時期の前倒しに取り組むとともに、現在実施している契約乗換判定期間外の調査の強化にも努めてまいります。
 最後になりますが、本件により、新契約の減少、追加的な費用の発生等が見込まれるものの、販売費用の減少等も見込まれるため、当社が2019年5月15日に公表している2020年3月期の業績予想の修正は、現時点ではございません。
 ご説明させていただきました本調査を最優先し、役員・社員一丸となって、迅速かつ丁寧に責任を持って取り組んでまいります。
 私からは以上でございます。
【日本郵便社長】
日本郵便の横山でございます。
 この度のお客さまに不利益を生じさせる保険契約が多数判明いたしましたことにつきまして、改めて深くお詫びを申し上げます。
 7月10日の会見におきまして「真にお客さま本位を貫く」ということを徹底し、お客さまからの信頼の回復に全力で取り組むということをお伝えいたしました。本日は、その取組の一環として、「郵便局におけるお客さま対応」と「営業目標の見直し」等について、お伝えします。
 1番目に、郵便局におけるお客さま対応でございます。最も重要なのが、ご迷惑をおかけし、ご不安な思いを抱いておられるお客さまに対して、しっかりと対応していくことだと考えております。郵便局といたしましては、かんぽ商品のお客さまからのお問合せについて、引き続き最優先で対応をしてまいります。また、当面は、かんぽ商品に加えまして、金融商品全般について、委託元との調整が終わるまでは、積極的な営業は控えることとし、郵便局における投信販売につきましてもアフターフォローを最優先に取り組むことといたします。
 なお、がん保険や自動車保険については、委託元と協議した結果、かんぽ商品との商品性の違いやモニタリング態勢、手続的にも不適切募集を生じさせにくい構造になっているということを踏まえ、かんぽ生命と同様の問題が生じる可能性が小さいと判断したため、営業を継続することとしております。
 次に、営業目標の見直しでございます。当社としては、今般の事態を招いたそもそもの要因の一つは、貯蓄性商品の魅力低下等により、これまでどおりの営業が困難になったにもかかわらず、本社部門の推進管理や営業施策、それを受けた支社の推進管理や組織マネジメントを状況に応じて変えることができず、営業目標が新契約の獲得に偏っていた点にあると、現時点では考えております。
 そこで、7月10日の会見においては、営業目標を見直し、新契約の目標を引き下げることを検討するとしてきましたが、今期については、かんぽ商品の営業に係る新契約目標自体を設定しないこととします。その上で、来年度以降の目標については、お客さま本位の営業が可能となるよう、販売額に重きを置くフローベースから、保有資産に重きを置くストックベースの指標へと抜本的な見直しを図ります。
 3番目が、研修の実施でございます。「お客さま本位の営業活動」の徹底に向け、かんぽ商品の営業に携わる全社員を対象とした研修を8月中に実施いたします。加えて、契約乗換に係るチェック体制も強化し、その上で、かんぽ商品のお客さま対応に支障のない範囲で、営業活動を再開したいと考えています。
 4番目が、「フロントライン・セッション」の開催でございます。現在、郵便局社員が直接本社に営業や事務に関する意見・要望を伝えることができる仕組みを構築しておりますが、今後、今回のような事態を起こさないためには、今以上に、日々お客さまに接している郵便局社員の声に真摯に向き合うことが重要だと考えております。
 そのために、郵便局社員と私を含めた本社役員との間でフェイス・トゥ・フェイスで意見交換する「フロントライン・セッション」を各支社単位で定期的に開催をいたします。従来のようにテーマを限定することなく、「お客さまのご要望」から「社員が日常感じている郵便局での負担や不満あるいは喜び」に至るまで幅広い議論を行い、その場で出た意見は速やかに経営に反映させ、働き方改革をはじめ各種改革に活かしてまいります。
 こういった取組を通じて、「真にお客さま本位を貫く」ということを徹底し、全役職員が一丸となり、お客さまからの信頼の回復に向けて全力で取り組んでまいります。
 以上でございます。
【日本郵政社長】
当社グループといたしましては、お客さまからの信頼を一日でも早く取り戻せるよう、これらの取組に全力を挙げて取り組む覚悟でございます。
【記者】
植平社長にお伺いします。私どもの取材で、認知症の女性が23本の保険を契約していたという話があります。これだけの本数を契約している方がいることについて把握していますか。また、認知症の方の契約の対策について伺います。
【かんぽ生命社長】
当社では、多数契約、一人の方が複数の契約に加入されているケース、特に件数が多いものについては、全件把握しております。新しいご契約のお申込みがあった場合には、追加の契約が必要なのかという点について、私どもからお客さまのご意向をチェックする体制としております。
 認知症の方のご契約の対策については、お客さまのご様子、ご事情等を含めて、ご契約することが妥当かどうか一定のチェックを行うこととしたいと考えております。具体的な方法については、専務の堀家からご説明いたします。
【記者】
ご家族の方が保険に加入していることすら知らなかったという話があります。また、被保険者の知らないところで保険契約が結ばれてしまっているのではないかという話もあります。契約を結ぶまで、社員が終日家に居続けたこともあったそうです。そのようなことを把握されていますか。
【かんぽ生命社長】
前者の事例は、契約者さまと被保険者さまが異なるご契約で、被保険者さまであるご家族がご契約についてご存知ないケースと理解いたします。現在、契約者さまが被保険者さまである場合は、確認書等でご契約内容にご同意いただいております。被保険者さまが契約者さまと異なる場合は、その被保険者さまの同意がないとご契約することができません。さらにその被保険者さまから、体調状況やご病気の状況について告知していただく必要があります。
 各種書類により、契約者さまのご意向確認へのご同意、ご家族が被保険者になっているケースでは被保険者さまであるご家族の方の面接、告知の内容が確認されましたら、関係者の方々がご契約についてご同意いただいているものと判断しております。
 契約者さま、あるいは被保険者さまがご存知ない間に、保険募集人が勝手に契約書を作成し契約することは、手続き上、不可能な仕組みになっています。個別事案について詳しくお答えすることができませんが、一般的には、そのように処理されております。
 日本郵便の保険募集人の保険勧誘に関しても個別事案についてお答えすることができませんが、そのような事案がございましたら、調査をさせていただく必要があると思います。
【かんぽ生命専務】
契約者さまが認知症でいらっしゃる場合、ご契約の内容をご理解いただけるかどうか個々の判断が必要です。フロントライン向けにチェックするためのサポートツールを提供しております。
 これに加え、ご高齢のお客さまにつきましてはご契約内容の理解、判断が徐々に難しくなっていくことがございますので、70歳以上の契約者さまにつきましては、お申込み手続きをいただく際にご家族にご同席いただいております。80歳以上の契約者さまにつきましては、当方から商品の勧奨を行わないという対応を進めているところです。その上で、ご同席いただきましたご家族に内容をご確認いただき、お申込みの内容につきましては後日送付する書面でもご確認いただいております。
 さらに昨年4月からは、「ご家族登録制度」としてご家族の皆さまでご契約をご加入後も継続的にご確認いただくサービスを提供しています。このようにして、お申込み時もお申込み後も適切に対応する体制を整備したところです。
 個別の案件につきましては詳細を把握できていないところもございますが、そのようなことが生じないよう改善に取り組んでいるところです。
【記者】
長門社長にお伺いします。本件については、数年前から役員が金融庁と意見交換をしていたと聞いています。長門社長は社員による悪質な販売というのがあることをいつ気づかれたのか、また、どうしてここまで大きくなる前に食いとめることができなかったのか伺います。
 新契約を獲得した際のインセンティブについても伺います。
【日本郵政社長】
本件について、私を含めた日本郵政の経営陣が数年前から金融庁と定期的に意見交換をしていたというお話がございました。日本郵政は金融持株会社ですので金融庁と会話をする機会がございますが、保険契約の募集品質に関して、経営陣が定期的に意見交換をしていたとの事実はありません。この件については、かんぽ生命又は日本郵便でそのようなコミュニケーションがあったのではないかと思っております。
 法令違反になるような保険契約については、認識が十分ではなかったと言われればそれまでですが、私ども、そのような案件について的確に把握していたという状況ではありません。保険の募集品質の向上については、グループとして重要なテーマであると十分認識しておりました。また、様々な対策により品質の向上に努めている状況について報告を受けておりました。
 かんぽ生命及び日本郵便の社長は日本郵政の取締役会のメンバーでもありますので、大事な案件は都度報告を受けておりますが、この問題について報告を受けたことはございません。3カ月に1度、持株会社の監査担当やコンプライアンス担当からの報告の中で、例えば当局に報告した不祥事の件数など主に数字の報告を受けている程度です。募集品質の問題については、かんぽ生命、日本郵便の取組によりトレンドが改善していると認識しておりました。今から思うと、それだけでは認識が甘かったかもしれません。
 インセンティブについては、日本郵便社長の横山からご報告申し上げます。
【日本郵便社長】
インセンティブの計算方法については、別途事務局からご説明申し上げますが、保険の渉外社員の年収における手当の割合の全体の中央値は約25%と記憶しております。
【記者】
横山社長が無理な販売が行われていることを把握されたのは、いつですか。
【日本郵便社長】
お客さまからのご疑問や苦情等により、個別事象の課題として認識していました。
 2017年1月、かんぽ生命と日本郵便との間で募集品質改善の対策本部を設け、同年12月に総合対策を取りまとめました。例えば、かんぽ生命がご契約内容についてお客さまにお電話する「ありがとうコール」や、高齢者の方のご契約についてはご家族にご同席をお願いし、それができない場合はご家族にご連絡する「ご家族登録制度」を開始しました。今年4月からは、80歳以上の方に対しては積極的な勧誘を行わず、ご契約が成立しても実績として計上しないなど、様々な対策を講じてきたところです。こうしたことにより適切性が担保され、実際に高齢者の皆さまからの苦情はこの数年減ってきたと認識しております。ただし、根絶できていなかったことから、私としては、徹底が不十分であったと大変反省をしているところです。
【記者】
新契約の営業目標を設定しないということですが、インセンティブを廃止するのかどうかは分からないということですか。
【日本郵便社長】
今期の営業目標は廃止いたします。ただし、お客さまとの間でご契約を締結したものについては、従来どおり手当を支払います。
 来期以降につきましては、新たな営業目標体系について検討いたします。労働組合とも会社の成長のためにどういう形がいいのか広範に議論をして、計画、営業目標、手当のあり方について考えていきます。
【記者】
今回の問題については、インセンティブも原因の一つと考えていますか。
【日本郵便社長】
前回の会見でも申し上げましたが、貯蓄性商品の魅力が失われている中で、経営計画は、従来どおり右肩上がりに作成しがちなところがあります。経営環境が変わっているにもかかわらず、計画が従来の作成方法のままであったと反省しています。私としては、経営の責任と考えています。
【記者】
2018年4月、取材を申し入れた際、日本郵便の佐野常務とかんぽ生命の堀家専務は、不適正な事例が広がっていて、少なくない数の信頼を裏切るような行為が起きており、会社として非常に深刻に受けとめていると発言されておられます。責任ある立場の方のご発言がありながら、なぜその後も状況は変わらなかったのでしょうか。1年以上前にそういう認識があったこととの整合性をどのように認識されているのかお答えください。
【かんぽ生命社長】
募集品質の向上については、日々、努力を重ねてきています。先ほど、横山から説明がありましたが、募集品質向上のための総合対策を打ち出しました。この結果、苦情は全体で大幅に減少してきています。他の生保との比較のために管理している様々な指標も改善されております。全体の募集品質は改善していると認識しています。不適正募集の発生件数についても、直近では20件、22件といった状況ですが、それも減少させてきたと認識しています。
 そうした中、今般の問題について直近のデータ等で認識し、将来に向けた対策について意思決定を行いました。1、2年前から、募集品質全般について総合的な対策をとってきておりましたが、十分でなかったという点について大変反省しているところです。大変時間を要する取組ではございますが、お客さまのご意向を徹底して確認し、お客さまのご意向に照らして存在が確認された不利益については解消に向けて全精力を挙げて取り組んでまいります。
【記者】
長門社長に伺います。先月の会見から今回の会見までに、認識がどのように変化されましたか。また、このように大きな事態になったことをどのように受けとめていらっしゃいますか。
【日本郵政社長】
私どもは、報道関係者への説明責任の果たし方について大きく二つの手段を考えています。一つは定例の記者会見です。毎月1回、記者会見を開き、持株会社の社長である私が、グループを代表して、各社の報告事項についてご報告し、皆さまからご質問を受けております。もう一つは、各社において適時開示等を含め皆さまにご報告する内容が発生する都度、報道発表資料等でご報告するものです。
 6月は、17日から19日までに開催した上場3社の年次株主総会のご報告も兼ねて、24日に定例記者会見を開催しました。同日の新聞朝刊に今般の事案に関する記事が掲載され、その件について、私個人の印象ではなくグループとしての意見を申し上げました。不適切と考えるかどうかとの質問に対しては、「不適切の定義によります」、「明確な法令違反があったとは思ってございません」とお答えしたと思います。植平、横山がご報告申し上げましたように、募集品質の問題は大事なテーマであって継続的に取り組んでおり、直近の金融庁への報告件数はさほど減ってないように見えますが、様々な指標を見ると改善している手応えがありました。また、今から思うと認識が十分でなかったと思いますが、例外なく全件お客さまからサインをいただいていることから、このような回答になりました。
 その後27日にかんぽ生命の役員から、全てが問題があるものということではありませんが、お客さまのご意向を再確認するご契約の件数として最大2万4,000件という数字を公表いたしました。件数が格段に増えたことで、グループ全体でこれは問題であると急きょ認識が改まったということです。
【記者】
今回、問題の原因とされているノルマを見直すことになりましたが、これまでできなかったのは、営業目標額を上げなければいけない事情があったのでしょうか。
【日本郵便社長】
郵便局の営業目標額については、会社としてのかんぽ生命及び日本郵便、そしてグループ全体の成長という観点から、経営計画を経営全体で議論の上、作成し、これを市場特性等に応じて配分しています。
 保険の新契約額については、直近、外的要因等により達成が難しいことを認識し、見直しを図ったところですが、それ以前は右肩上がりという認識でした。従いまして、郵便局、社員個人の目標額は依然高止まりしております。営業目標に対する経営環境の認識の遅れにより、現場の社員に負荷をかけてしまったのではないかと強く反省しているところです。
【記者】
インセンティブが渉外社員の年収に占める割合の中央値は25%とのことでしたが、例えば、この割合が5割以上の人がどれぐらいいるのか伺います。
 また、3社長は職責を果たすとおっしゃいましたが、ご自分の責任を明らかにするために、今回の調査をどれぐらい熱心に行う考えなのか伺います。
【日本郵便社長】
お答えは控えさせていただきたいと思います。
【日本郵政社長】
調査は独立した特別調査委員会が厳正に行います。冒頭、私から申し上げましたように、本調査委員会は、年内を目途に速やかに調査を進めることとなっておりますが、調査がある程度進展した時点で、調査の状況及び見通しにつきまして、中間報告的にご報告いただけることを私どもとしては期待しているところです。私どもとしても、お客さまへのご契約調査について、9月を目途に方向感を中間報告的にご報告させていただきたいと考えております。
 なお、本調査委員会のメンバーは、厳正に調査していただけるよう検察ご出身のお三方にお願いした次第です。私ども経営陣に慮ることなく、厳正な報告書を作成していただきたいと考えております。
【記者】
特別調査委員会から報告書を受け取りましたら、責任をとる考えはありますか。
【日本郵政社長】
今やるべきことは、一日も早くお客さまの不利益を解消することです。やるべきことを不退転の決意できちんと行うことが、私どものただいまの使命だと考えております。
 特別調査委員会から報告書を受け取りましたら、これも参考に責任問題についても考えたいと思います。
【記者】
横山社長に質問します。先ほど長門社長もおっしゃっていたように、問題が拡大した背景として、問題の発覚当初から、本社経営陣全体の現場の理解や認識が甘かったのではないかという声があります。現場の情報が本社に正しく伝えられていたのでしょうか。
 社員との意見交換の場をつくると説明されましたが、結局、上の顔色をうかがうような意見交換の場では意味がないと思います。社風、社員の意識改革についてどう考えていらっしゃるのか教えてください。
【日本郵便社長】
後段については、こうしたセッションをつくった場合、いわゆる優等生を集めて始めることになりがちですが、今回のセッションは、誰でも参加できるよう、支社、郵便局に限らず、また業務の種類を問わず、お客さまのご不満の声や仕事上での問題点などを広範に伺うことにしています。そうした風通しの良さは必ず確保してまいります。
 前段については、私の朝一番の仕事は私宛ての色々な手紙を読むことです。現場を回った際に名刺を渡した現場の郵便局長、社員の方々から色々な声が入ってまいりますので、私には正確に本社の役員以上にストレートに声が上がってくる体制になっていると思っています。ただ、こういった不適正な事案等に関するものがその中に入っていたかというと、残念ながら、そうではありませんでした。
【記者】
長門社長に質問です。今回の問題で、かんぽ生命株式の売却時にこの問題を把握していたか否かが焦点の一つとなっています。問題把握のレベル感と公表タイミングの正しいあり方について、どのように考えているのか伺います。例えば、調査を始めた時点、グレー案件があった時点、それが黒と確定した時点、あるいは今回のように大量に黒が発見された時点、そのような公表タイミングについて、ご自身の認識を伺いします。また、批判の声にどのように応え、あるいは他社の状況も踏まえて、どういうタイミングでこのような問題を公表するべきとお考えでしょうか。
【日本郵政社長】
郵政民営化委員会の岩田委員長が、4月4日にかんぽ生命株式の第2次売出しを開始した時点で、かんぽ生命、日本郵政の経営者はこの事案を認識していたのではないか、という趣旨のご発言をされました。日本証券取引所の清田CEOも同様のご発言をされました。どのような文脈でどのような情報に基づいておっしゃったのか分かりませんが、これは、問題を隠して株式を売った懸念があるという大変重大な発言だと思います。
 この場をかりて、私どもの立場をきちんと申し上げたいと思います。始まりは、郵政民営化委員会におけるかんぽ生命からの説明に対する岩田委員長のご発言に関する記事でした。まず、かんぽ生命から、本件に関する考え方を申し上げます。加えて、この事象がいつからグレーや黒になったかについてお答え申し上げます。最初に、この岩田委員長のご発言、清田CEOのご発言について、私どもの認識をしっかり申し上げたいと思います。
【かんぽ生命社長】
2018年度、不適正募集の事案は20件程度存在しておりました。お客さまから苦情を頂戴しますと、しかるべき部門がお客さまにご契約時のご事情を確認します。お客さまから意向確認書等にご同意のサインしていただいておりますのでご契約は成立していますが、ご苦情を踏まえて、ご契約時に何らかの錯誤がなかったかどうかについて調査をいたします。お客さまだけでなく、保険募集人からも募集時の状況を聞いた上で、いわゆる不適正募集つまり保険業法違反と認定されるものが年20件程度の量感で発生しています。
 このうち契約乗換に関する不適正募集は1件で、不適正募集は全体で約20件、引受契約件数は年間約200万件ほどですので、その割合は非常に小さいものでございますが、そういう事案をしっかりと認識し、しかるべき対処をし、必要なものは当局に届け出ております。そうした個別事案を通じて様々な形態の問題が認識されます。もちろんお客さま一人ひとりにとっては大変重大な問題であり、会社としても真摯に受け止めておりますが、会社の経営全体における量感として重大なものであるとの認識には至っておりませんでした。
 そうした一件一件の話を今回のかんぽ生命株式の第2次売出しに関連付けることは、全く考えておりませんでした。第2次売出しの際、目論見書を作成いたしますが、その際、証券会社、法律事務所にデューディリジェンスをしていただきます。経営会議等を含む主要な会議の資料、各種のデータを全て提出した上で、チェックをしていただきます。目論見書を作成しましたら、投資家の方々にディスクローズしてまいります。私どもとしては、この時点である領域のものを提出しないという判断は全くしておりません。
 その意味において、個別事案の苦情の処理における認識の問題と当社のデューディリジェンスや目論見書の作成のプロセスは、別の話だと思っております。そこが少し混同された形でコメントをいただいているという点については大変心苦しく思っています。
 今回、こうした事態を生ぜしめたことについては、大変責任を感じています。募集品質の向上は、企業経営上、大変重要なことと認識して、2年前、横山と総合対策を打ち立て、様々な指標の改善を図ってまいりました。それに甘んじていたということであれば非常に問題ですが、そうした流れの中で、当局からご指導も頂戴しながら、様々な改善を加えてまいりました。
 その中、6月27日に報道発表させていただく直前に、謝絶事案等外形的にお客さまに不利益を生ぜしめている可能性のある事案の件数が明らかになりました。その量感は、過去5年程度で2万4,000件程度と把握いたしました。これをしっかり過去に遡及し、お客さまのご契約の復元を含めた不利益解消に努めなければいけないと規模感も含めて重大と認識をしたのが6月27日の公表の直前のタイミングでした。
 そうしたことから、今日、過去に遡り18.3万件という大きな件数について不退転の決意で不利益の解消に努めるという発表をさせていただいたわけでございます。これが今日に至る流れです。そういう意味で、4月時点では、私どもはそうした重大な認識を持っていたわけではございません。
【日本郵政社長】
持株会社の立場としては、問題を隠してかんぽ生命株式を売ったとも受け取られる岩田委員長、清田CEOのご発言は大変大事なポイントです。かんぽ生命が公表した昨年度の法令違反の件数22件、そのうち契約乗換関係1件という数字は、金融庁にしっかり報告しているものです。
 4月4日のかんぽ生命株式の売出しの決定は、証券会社、法律事務所からデューディリジェンスを受けて行ったものです。当方は、全ての情報を提供し、判断していただいております。持株会社の立場から申し上げますと、先ほどの白、グレー、黒の議論につながるものですが、4月4日時点では全く白です。6月27日に2万4,000件という22件と比べて桁が違う異次元の数字が出てきて、これは大変だという認識を持ちました。
 6月、かんぽ生命においては17日、日本郵政においては19日に、株主総会後の取締役会が開かれましたが、本件は議論されていません。良い悪いとは別の問題ですが、これは、かんぽ生命において重大な問題であると意識されてないことの証明です。
 7月24日の日本郵政取締役会で特別調査委員会の設立について決議いたしました。そこで初めて、日本郵政においてこの事案について議論しました。黒の定義は難しいですが、今般の事案が大事件であると認識し、当社の取締役会で議論したのは7月24日が最初です。
 22件の案件についてですが、5月15日の日本郵政取締役会における監査担当からの報告には全く記載がありませんでした。4月25日の日本郵政取締役会におけるコンプライアンス担当からの報告では、1行、22件を金融庁に報告したとの記載がありました。ご批判があるかもしれませんが、この程度の報告を受けただけです。かんぽ生命においても同様です。かんぽ生命の取締役会に22件について報告されたのは、4月24日の取締役会です。岩田委員長、清田CEOのご発言は非常に重いものですので、この場をおかりして、冗談ではないというふうに申し上げたいと思います。
【記者】
今回の一連の問題を受け、郵便局への信頼はまだあるとお考えでしょうか。
【日本郵政社長】
今回の一連の問題については、本当に申し訳ないと思っております。著しくお客さまの期待を裏切ってしまい、ブランドイメージを損なったと感じています。築城三年、落城三日といいます。郵便事業を開始したのは148年前、明治4年です。2021年に150周年を迎えます。郵便貯金事業を開始したのは4年後、144年前です。簡易生命保険事業を開始したのは103年前です。以来、お客さまに最も近いところにある2万4000局の郵便局で、諸先輩、43万人の同僚が誠実に働くことで作り上げた、地味だけど真面目というブランドイメージを大きく毀損したことの責任を痛感しています。
 郵便局への信頼をなるべく一刻も早く回復できるよう全力を尽くして頑張り、現在のたすきを次につなぐことが私たちの仕事だと思っています。
【日本郵便社長】
本件につきまして信用を失墜したことを非常に重く受けております。しかしながら、私は全国2万4,000の郵便局、そしてそこに働く社員が地域に寄り添い、そこで生活しておられるお客さまと共生している姿を知っております。災害が発生した際、どんな機関よりも早く郵便局を再開し、避難されておられるお客さまを一人でも多く探し、避難先まで郵便物を届けるといった大変な社会的使命を社員全員が持っていることを知っています。私は、社員全員を誇りに思っています。
【日本郵政社長】
今般の件でブランドイメージが大変毀損したと思いますが、多くの社員は頑張っています。例えば、熊本地震の際、かんぽの宿阿蘇は避難された近隣住民の方々にあるだけの食事を提供しました。宿泊所にされた自衛隊からは、退去される際、感謝状を頂きました。今回、ブランドイメージを大きく毀損しましたが、一生懸命頑張ってできるだけ早く本来のブランドイメージを回復できるよう頑張りたいと考えております。
【記者】
問題がこれだけ大きくなる前に、自分たちが掲げた営業目標が募集品質を悪化させているのではないかと考えをめぐらせたことはなかったのでしょうか。
【日本郵便社長】
保険の募集品質につきましては、課題を認識し、改善していくための総合対策をパッケージとしてまとめました。募集品質の悪さを無視していたことは、持株会社を含めてございません。
 改善の徹底の度合いやスピードが十分ではなかった点は反省をしているところです。
【記者】
現時点で営業目標は過大だと思っていますか。
【日本郵政社長】
営業目標が過大であったかどうかについては、社員個人間の差もあると考えております。
 今回の問題については、特別調査委員会に根本原因を調査していただきたいと考えておりますが、かんぽ生命の加入限度額、法規制により新商品を販売するのに時間を要するという問題もあると思いますが、今般の事案を惹起した大きな一つの理由として営業目標もあると感じております。
【記者】
これは契約乗換の問題です。なぜ保険契約を乗り換える必要があったのでしょうか。加入限度額の問題ですか。
【日本郵政社長】
加入限度額だけの問題ではなく、例えば、かんぽ生命の新商品である医療特約の付加なども関係しています。
【記者】
本契約はそのままにしておいて特約を付加すれば、よかったのではないですか。
【日本郵政社長】
6月27日に公表しました約5,000件がそれに当たります。ただし、本契約を変えないとそのような特約を付加できない場合もございます。
【記者】
予定利率が6%から0.5%に切り替えられた乗換は何件あったのですか。
【かんぽ生命社長】
精査する必要がございますが、予定利率が6%のご契約は相当昔のものと思いますので、そのような乗換の件数はあまり多くないと思います。旧契約を新しい契約に切り替える問題は、他の保険会社でも、同様のウェイトで発生する問題と考えており、お客さまにとって、新契約に乗り換えるニーズもあると考えています。
【記者】
先月の長門社長の記者会見で、ゆうちょ銀行の投資信託販売について、直営店の9割で社内ルール違反があり、その半分以上が高齢者のお客さまに対するものであったとの説明がありました。適合性の原則が空文化されていたという問題も指摘されています。郵便局ではどんな投資信託を販売しているのでしょうか。
【日本郵便社長】
現在、投資信託を取り扱っている約1,500局の郵便局について調査を行っているところです。郵便局とゆうちょ銀行の直営店とでは、顧客層、金融商品の販売方法が異なると認識しております。
 郵便局におきましては、若年層の方については積立NISA、NISA等によって、貯蓄から資産形成の分野を知っていただくような取組をしております。高齢者については、郵便局におきましてはバランス型の商品を中心に販売していると認識しております。
【記者】
ゆうちょ銀行における投資信託の販売に関する社内ルール違反の問題について、郵便局の調査はすでに行われたのですか。それともこれから行うのですか。
【日本郵便社長】
お尋ねの問題につきましては、現在、ゆうちょ銀行が調査を開始したところでございます。8月中には終了できる予定でございます。
【ゆうちょ銀行副社長】
ゆうちょ銀行代表執行役副社長の田中でございます。
 先般6月24日の定例会見で日本郵政社長の長門が申し上げ、私どもの株主総会で社長の池田が謝罪をさせていただいておりますが、私どもができていなかったところを具体的に申し上げます。
 ゆうちょ銀行は投資信託の窓口販売を開始以降、全ての高齢のお客さまに対して、お申込みを受ける前に管理者による承認を受けることとしてきたところでございますが、2013年10月に日本証券業協会から示されました、勧誘前にお客さまの状況を確認し、勧誘すべきでない方には勧誘しないという趣旨の考え方を踏まえ、私どもも、新たに勧誘前にも管理者の承認を受けるというルールを作りました。
 しかしながら、誠に申し訳ないことですが、マニュアルの分かりにくさ、徹底不足により、勧誘前に管理者の承認を行うことを守ることができていなかったというのが今ほどご指摘を頂戴している点でございます。日本証券業協会のガイドラインの趣旨を徹底することができなかったことについて大変重く受けとめているところでございます。
【記者】
どのくらい違反があったのですか。
【ゆうちょ銀行副社長】
ゆうちょ銀行の直営店については、全体約4万件に対し、約1万7,000件、4割程度でございます。郵便局については、既に調査に着手しており、8月中に結果を取りまとめたいと思っております。
 ゆうちょ銀行で販売している投資信託については、2018年度、70歳以上のお客さまについては、その約8割がリスクの低いバランスファンドを購入いただいております。当行のバランスファンドにもごく一部、為替を用いているものもございますが、専らリスクヘッジのためのもので投機性を高めるものではないと考えております。
【日本郵政社長】
日本証券業協会のガイドラインでは75歳以上の方を、ゆうちょ銀行の社内ルールでは70歳以上の方を高齢者としています。
 日本証券業協会のガイドラインでは、投資信託販売の勧誘前に、お客さまがご説明の対象になる方かどうか確認し、管理者の承認を受けることが求められております。ゆうちょ銀行のルールでは、加えて、販売する直前にもお客さまへの商品の説明の確認について管理者から承認を受けることにしておりますが、1回目を行っていなかったということです。かんぽ生命の契約乗換の問題に比べれば問題は相対的には小さいのではないかというのが私どもの理解です。
 しかしながら、ルールがある以上、しっかりやらなければならないと考えております。
【ゆうちょ銀行副社長】
日本郵政社長の長門が申しましたように、勧誘前にきちんとやらないと、後でやっても価値がないと思っております。社内ルール違反が全体の約4割を占めるということについて非常に重く受けとめております。
 今後、ルールの分かりにくさを直す、もう一度きちんとルールを徹底する等の対策を行い、高齢者の方々に安心して私どもの投信販売にお付き合いいただけるよう全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。私どもも、基本的な、明確に決まっているルールを守ることができなかったことについて非常に反省をしているところです。
【記者】
営業目標は、かんぽ生命が決めるものですか。それとも日本郵便、日本郵政が決定するのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
かんぽ商品の営業目標は、日本郵便が販売するウェイトが9割程度を占めます。私どもが案をつくり、市場動向等を勘案し、日本郵便と協議、調整をして、最終的に営業目標を練り上げ、それに基づいて計画が立てられます。次に、その計画について日本郵政と内容のすり合わせを行い、調整の上、最終決定をする流れになります。
【日本郵政社長】
ビジネスモデル上、かんぽ生命は日本郵便に業務委託しないと保険の契約募集を行うことができないため、営業目標は両社間で協議しております。日本郵政は、持株会社として調整機能を発揮しております。
【記者】
資料の6項目に郵便局の投信販売についても、当面はアフターフォローを最優先するという記述がありますが、これは、郵便局における投資信託の販売プロセスが例えば適合性の原則等について適正だったかどうか、全件チェックするという趣旨と理解してよろしいでしょうか。
【日本郵便社長】
ゆうちょ銀行の直営店の調査は全て終わったところです。この7月からは、同様の調査を郵便局で始めたところです。現段階では、アフターフォローに徹することにしているという趣旨です。
【日本郵政社長】
ゆうちょ銀行の直営店233店の調査は全部終了しました。現在、投資信託を販売している郵便局1,540局の調査をしております。
【記者】
今までの質問、営業ノルマ、営業目標に対する批判が非常に強いと思いますが、一方で日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は上場企業として、収益を増やすことについて株主、大株主である政府からのプレッシャーが働いていると理解しています。日本郵政グループにあっては、売上ベースで見ても、利益ベースで見ても、金融事業への依存度が高いと思います。そうした中、今後の事業モデルについて、ご意見、イメージがあればお伺いしたいと思います。
【日本郵政社長】
日本郵政グループについては、現在、日本郵政がゆうちょ銀行株式を約89%、かんぽ生命株式を約64%保有しています。日本郵便株式については常に100%保有し続けることとされています。今後の経営の姿については、中期経営計画を作成しております。収益の絶対額はゆうちょ銀行が一番大きく、かんぽ生命は純利益が800億から900億の会社です。最近は、日本郵便の収益が増加しております。
 ゆうちょ銀行は融資を行うことができません。業務粗利益の9割以上が資金利益等、残りの約1割が役務取引等利益で1,000億円程度です。その半分以上は為替・決済関連手数料で、その他はATM関連手数料、投資信託関連手数料等です。ゆうちょ銀行の当面の課題は運用収益の深堀りです。役務取引等利益についても、まだまだ色々なことができると考えています。
 かんぽ生命も同様で、売上の8~9割が保険業務です。低金利のため、貯蓄型の商品の販売は難しい状況にありますので、保障型の商品で頑張る必要があります。収益の残りの約1割である資金運用収益についても増やしていこうと取り組んでおります。
 郵便事業は、現状、売上が約4兆円ですが、うち約1兆円はゆうちょ銀行とかんぽ生命からの受託手数料収入です。残り約3兆円のうち国内の郵便・物流事業の収益が約2兆円で、このうちの約3割が物流事業、約7割が郵便です。取扱郵便物数は減少傾向にあります。一昨年度は172億通、昨年度は167億通で、毎年2~3%減少しております。ビジネスモデルとしては、収益性が高く、eコマースの伸長によりラストワンマイルのデリバリーの増加が見込まれる物流事業を伸ばしていこうという方向観をもっております。
 ただ、これだけでは十分でないと思いますので、ゆうちょ銀行株式とかんぽ生命株式を売却して得る資金の活用がビジネスモデル上の回答になります。M&A、オーガニックグロースのための投資も考えられます。現在、それが私どもの宿題と考えております。
【記者】
長門社長に質問します。6月24日の定例会見ではスーパー不適正ではないとご発言されましたが、不利益が発生した可能性がある契約として調査する件数が7月10日の会見で9.3万件あるとされ、今回18.3万件に増えています。時間をかけないと問題の全容をつかめないという実態には、現場の状況を吸い上げる、あるいは調査をする機能に何らかの問題があったと考えますが、日本郵政グループのガバナンスについてどのようにお考えでしょうか。
【日本郵政社長】
大事なことは、お客さまに不利益が生じた可能性があるご契約を、きちんと全部拾っていくことです。18.3万件の全てが問題のあるものとは認識しておりませんが、時間をかけて、最大これだけあるという全体感を把握いたしました。
 記者会見を本日開いたのは、7月23日に日本郵便の取締役会、24日に日本郵政の取締役会、そして本日直前までかんぽ生命の取締役会を開催していたためです。ガバナンスの観点から機関決定された内容を公表することが適当であると考えて、この日時に設定させていただきました。お客さまのためには早く明らかにするべきとの声もございますが、株主等のステークホルダーもおられますので、記者会見の開催までにこれだけの時間を要しました。この点は申し訳ないと思っております。
ガバナンスに関しては、本当に恥ずかしいのですが、十分認識していなかったと思います。マスコミを通じて知った情報もあります。本当に情報が上がるのだろうか、上げたところで何も変わらないのだからマスコミに話してしまおうという社員もいたのではないかと思います。
 ガバナンス強化の課題はそこにあります。事業会社において、そういった社員の声を拾い上げ、しっかりと内容を確認してもらいたいと考えています。できていないではないか、というお叱りもあるのですが、まずそれをやらなければいけないと思っています。
 日本郵政グループは大きく4社からなりますが、子会社3社を束ねて、全体感を把握しなければいけないと考えております。ゆうちょ銀行とかんぽ生命は、当社が保有する株式を全て売ったとしても、ビジネスモデル上、郵便局なしには事業が成り立たない会社ですので、グループガバナンスを強化しなければいけないと思っています。今回の件については、私どもの認識が非常に遅れたという反省を強く持っております。
【記者】
今日の会見で営業目標を廃止するという発表がありましたが、日本郵政グループの収益構造が金融事業に偏っていることに問題の本質があるように思います。問題を解消するためには、グループのあり方自体を見直す必要があると思いますが、どのようにお考えですか。
【日本郵政社長】
グループのあり方の問題と今やるべきことについてのお尋ねをいただきましたが、私どものミッションは、今の郵政民営化法の中でどのように業務を運営していくのかということと思っております。
 時間がかかったため見えにくいのですが、実は随分変わってきております。日本郵便は、昨年度、宅配便の単価の見直し等の努力により、初めて大きな黒字を計上しました。去年12月19日に発表したアフラックへの投資についても、連結ベースの利益貢献が期待されます。まだまだやれることがたくさんあると思っていますので、一見スピードが遅いのではないかといったご懸念を持たれると思いますが、克服していきたいと思っています。
 金利が上がれば、ゆうちょ銀行、かんぽ生命にとっては良好な経営環境になるという議論もあるかもしれませんが、今般の問題についてきちんとお客さまに対応しつつ、成長のための戦略についても一つ一つ実行していきたいと思っております。
【記者】
横山社長にお聞きします。現在、保険の販売は自粛されているのでしょうか。7月30日には447件、1,142万円の保険料が成約され、7月29日には446件、1,236万円の保険料が成約されております。
【日本郵便社長】
アポイントをとってお客さまにお伺いするといった、当方から積極的に働きかけるという意味の保険営業はしておりませんが、お客さまからは満期を迎えるご契約の継続のご相談もございますので、お客さまからのそういったお申し出に対しては真摯にお客さま本位の精神に則って対応していますので、今でも相応の件数のご契約がございます。
【日本郵政社長】
7月14日の適時開示において、「自粛」という言葉は使っておらず、積極的な営業はしないと申し上げました。私どもはユニバーサルサービスを提供する義務を課されておりますので、お客さまからお申し出があった場合には対応しております。
【記者】
積極的な営業かどうかは、どうやって判断されているのですか。
【日本郵便社長】
現場からの報告に基づいて、このご契約が正しいのかどうか確認しております。ほとんど全てが満期を迎えたご契約の代替であり、問題はないと認識しております。
【記者】
2018年に日本郵便金融業務部募集管理統括室が保険募集をしている社員向けに出した適正募集ニュースという資料に、不利益変更や二重払いはしてはいけないと書いてあります。そういうことをしてはいけないと書いてあるだけではなく、そういうことが起きていますと書いてありますが、ご存知でしょうか。
【日本郵便社長】
郵便局の現場にこういった情報を伝達していることは、認識しております。様々な事例を示し、一つ一つに適正に対応するよう適正募集ニュースで注意を促すこととしております。
【記者】
横山社長は、先ほど渉外社員の年収において手当が占める割合に関して中央値を回答されましたが、問題のある営業をしているのは、成績の優秀な人と聞いています。その人たちがインストラクターや支社の幹部になり、今度は成績のあまりよくない成長期待社員に問題のある営業方法を教えているということです。実績が上がれば何でもいいと考えている現場をどうやって変えるのかということが皆さんの直面している問題だと思うのですが、いかがでしょうか。
【日本郵便社長】
ご指摘のとおりと考えております。
 今、私の頭にあった数字が中央値であり、ボリューム感を皆さまにご理解いただくため、私の頭にあった数字を申し上げました。手当については目標のあり方を含めて、組合等も含めた関係する各方面と色々な議論、調整を進めていかなければならないと認識しております。
【記者】
当然、現場までしっかり見るという決意を持っていらっしゃるということですね。
【日本郵便社長】
それができないとこういった改革はできません。
【記者】
今後の調査に関してお尋ねします。認知症の方との多数契約の問題が出ていて、冒頭の質問で例示されたのとは別の事案をこちらの取材でも把握しています。植平社長が個別事案という表現をされていましたが、こうした実態を今後の調査でどうすくい取っていくのでしょうか。認知症の方なので、自発的に被害を申し出ることはなかなか難しいと思うのですが、今後の調査の進め方についてお考えを聞かせていただければと思います。
【かんぽ生命社長】
認知症の重篤度の問題もあると思いますが、お客さまからお申込みいただく際には、商品についてきちんとご理解いただくことが必要ですので、お客さまの理解が十分でない可能性のあるご契約については、当然ながら行ってはいけないものと認識しています。
 そうしますと、どういう状況でそれを判断して対処していくのか、ということになりますが、先ほど堀家からお話ししましたように、こういう症状が出ているとか、こういう状況のときは契約に踏み込まないようにしようといった一定の外形的な基準を、現在、社内で検討しています。問題を確認した上で、しっかり対処していきたいと思います。
【記者】
営業現場で成績が低迷している社員の方に対して、恫喝やパワハラのようなことが起きていたということも聞いているのですが、そうした実態について、今後の調査でどのように把握し、再発防止を進めるのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
先ほど申し上げましたように、お客さまのご意向を確認いたします。さらに、お客さまのご契約当時のご希望にさかのぼって、ご契約の復元が必要かどうかについての判断もしてまいります。それとは別に、そのご契約当時、もう一方の契約当事者であった保険募集人の方がどういうやりとりをしたかについても可能な限り確認したいと思っています。
 保険募集人が社内的にどういうマネジメントの下に置かれていて、どういう環境下にあったのかといった情報も特別調査委員会にご報告する必要があると思っています。日本郵便としっかり連携し、日本郵便のマネジメントや企業風土の改革等にも反映させていきたいと考えております。
【日本郵便社長】
パワハラにつきましては、社内に設けた内部通報窓口や私宛ての手紙により把握できたものについては、実態を把握した上で、一つ一つ是正しています。今後も進めてまいります。
【記者】
長門社長に質問です。先月の会見での、後ほどかんぽ生命に説明させるというご発言から、他人事という印象を受けました。
 今日の件についても、横山社長と植平社長は募集品質について相談していたということですが、長門社長のお話は出てきませんでした。かんぽ生命の取締役でもいらっしゃる長門社長は6月24日の報道が出る前にはどういうご認識を持たれていたのでしょうか。
【日本郵政社長】
かんぽ生命は保険業務、日本郵便はその販売を担っており、持株会社の機能とは異なります。持株会社のトップである私の仕事はグループを束ねることでございます。
 募集品質の向上が大事なテーマとされていることや改善状況については報告を受けておりました。6月24日の定例会見の際には、私からグループ全体としての考え方を申し上げました。しかし、大事なテーマですので、私の会見後に、ゆうちょ銀行から投信販売に関する社内ルール違反について、かんぽ生命から今般の問題について説明させていただいたところです。両社からの説明の趣旨は、私からの回答と同じものとご理解いただきたいです。
【記者】
今回の一連の問題を見ると、営業ノルマを達成しなくてはいけないというプレッシャー、それを達成しなかったら色々な研修を受けたり格付けされたりするという風土があるように見えます。ノルマを廃止したからといって、社員がお客さまではなく上司の反応を考えている風土であれば、いくらお客さま第一と言っても改革できないと思いますが、いかがでしょうか。
【日本郵政社長】
認識が遅かったというご指摘があるかもしれませんけれども、問題は解決されるためにあると思っております。今までお話ししましたように、多くのやるべきことを一生懸命遂行し、よい風土、よい組織にしようと思っています。社員が今日も頑張ろう、と言えるような会社にしていきたいと思っています。
【記者】
植平社長にお聞きします。先ほど4月以前の事の重大性の認識に関して、不適正募集約20件は認識していたが、こういった規模感は認識してなかったというお話をされていましたが、昨年11月のデータを抽出して、顧客に不利益を与えた疑いのある契約乗換は全契約乗換の3割に上る5,800件、謝絶についても1,300件という規模感を認識されていたはずですが、これは6月27日に公表された件数の規模感とは別の位置付けでしょうか。
【かんぽ生命社長】
5,800件は合理性が乏しい契約乗換という枠の中で捉えていた件数です。300件ほどのサンプル調査によりお客さま意向が当初のご契約の内容どおりという確認もできておりましたので、そういう意味においては、この時点では事の重大性を認識していたわけではございません。
【記者】
謝絶がひと月1,300件あったことが分かった時点で、5年間の規模感が大体想像がつくと思います。なぜ、その時点で事の重大性を理解できなかったのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
謝絶をされているという量感として、先ほどの件数を把握したということです。お客さまのご同意をいただいていますので、その全てについて問題であるという認識ではなく、これをしっかり過去に遡及して調査をし、必要に応じて復元しようということです。
 中間報告のタイミングでも、この内容の調査結果についてしっかりとご報告してまいりたいと思います。
【記者】
少なくとも今年2月の調査では、今回のような事の重大性は認識していなかったということですか。
【かんぽ生命社長】
そうです。
【記者】
復元は、どういう基準により、行われたり、行われなかったりするのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
契約行為ですので、募集人とお客さまとの間で合意された内容でご契約が成立していますが、これを遡及して調査し、当時のお客さまのご意向がそうではなかったということが確認されれば、違う対応をとる必要がございます。その対応の一つとして復元が行われる可能性がございます。
 ただし、例えば、旧契約を復元するために追徴の保険料が必要となった結果、お客さまが復元をご希望されないケースも出てまいります。そうしたことを含めて、これから判断していくことになります。
【記者】
日本郵政の株価は、この問題が出る前は1,200円ぐらいでしたが、現在、1,000円目前まで下落しています。日本郵政株式の最大の株主は財務大臣つまり国民です。この問題のステークホルダーは、保険の被害に遭われた方々だけではなく日本国民全員とも言えます。この株価の下落によって日本国民の財産が数千億円程度棄損されていることについて、お三方がどのようにお考えなのかお聞かせください。
【日本郵政社長】
私どもができることは、企業価値を上げるための行動を一つ一つ実行するべく精一杯努力することと考えております。
【かんぽ生命社長】
株価につきましては大変心苦しく思っております。今やるべきことは、先ほど申し上げました18.3万件の調査をしっかり行い、お客さまに不利益が生じている場合は、その解消を徹底してやり抜くことです。そのことで、当社、当社グループの信頼を回復していきたいと思います。それにより、私の責任を果たしたいと考えております。
【日本郵便社長】
私も、不利益を生じせしめてしまいましたお客さま、全ての方々に謝罪をし、最後の1人の方までしっかりと対応することが大事であると考えております。そして、今後こういったことを起こさないようにすることが第一でありますが、私及び日本郵便としては、日本郵政の株価のために、健全な企業価値向上施策を一つ一つ実行していくことにより、ステークホルダー、投資家の方々の支持を集めることに尽きると考えております。
【記者】
1月から2月に行った調査により確認された2018年11月の5,800件や1,300件の規模感を評価できず、4月4日時点で事の重大性を認識することができなかった方々が、今後、信頼回復の陣頭指揮をとれるのでしょうか。もう少し経営の責任について真摯に受けとめるべきと思うのですが、いかがでしょうか。
【日本郵政社長】
問題の重大性を認識していて4月4日にかんぽ生命の株式の売却を発表したとしたら大変なことですが、良し悪しは別にして、今回の問題については重大性を認識しておりませんでした。
 事業会社、持株会社にはそれぞれの機能、役割がございますので、このことだけをもって、今後、信頼回復の陣頭指揮をとることができないということにはならないと考えております。
【かんぽ生命社長】
発表させていただいたように、18.3万件の中にはお客さまの権利を回復をしなければいけない事案が入っております。これをしっかりやり切って、グループの信頼回復につなげていきます。その責任が私にはあると思っております。その点についてやり切るという意思表明をこの場でもさせていただきたいと思います。
【日本郵便社長】
対応が確かに不十分でありました。この問題が明らかになってからは乗換勧奨を停止しておりますが、転換制度をつくることを含めて、今後、同様の問題を絶対に起こさないという体制をつくることが私ども経営の重大な課題であり、今やるべきことであると私は認識しています。
【記者】
提携金融機関商品の販売について質問します。冒頭の説明の中で、商品の特性として、自動車保険、がん保険は不適切な販売が生じないとのことですが、がん保険については、不適切な行為が行われているという報道もあります。問題が指摘されている中でアフラックのがん保険を売り続けることについて、どう思っていらっしゃるのか。
【日本郵便社長】
がん保険につきましては、かんぽ商品のお客さま対応を最優先とするという大前提で、先進医療等に対するニーズに対応する必要があること、商品内容が大きく変わることがないという商品特性があること、募集状況をモニタリングする態勢が整っていること、解約時、お客さまは日本郵便の社員ではなくアフラック社の社員、コールセンター等に直接ご連絡されること等を総合的に勘案し、アフラック社と協議の上、販売を継続すると判断した次第です。
【記者】
提携金融機関商品の販売についても、今後、営業目標を見直すことはあるのでしょうか。また、現在、各提携金融機関が自主調査を行っていますが、日本郵便が共同で調査することはあるのでしょうか。
【日本郵便社長】
各提携先にお願いしております自主調査の結果については、各提携先と共有いたします。その上で、問題点については両者で話し合います。今期の目標につきましては、各提携先と事前に決めたことですので継続いたしますが、来期以降については、調査により実態を確認した上で、各提携先と話し合いの場を持つことになると思います。
【記者】
お客さまのご意向に沿わず不利益が発生した可能性があるものとして説明があった最大18.3万件という件数が今後増える可能性はあるのでしょうか。
【かんぽ生命社長】
お客さまのご意向に沿わず不利益が発生した可能性があるものについては、今回、その領域を可能な限り抽出し、18.3万件程度といたしました。この中には、先ほど申し上げたとおり、お客さまのご意向を確認して発生した不利益を解消するケース、当時の合意のままとするケース等が出てくると思います。冒頭申し上げましたように、3,000万件ほどの保有契約の全てを対象にお客さまにコンタクトをとらせていただきますので、お客さまからご要望、ご不満、ご不安等をいただく中で、さらに深掘りが必要な領域があれば、その時点で対応したいと思っております。
 現時点では、まずは、可能な限り精査して抽出した18.3万件をしっかりやり切りたいと考えております。
【日本郵政社長】
この度は皆さまに本当にご迷惑、ご心配をおかけいたしました。改めまして、深く皆さまにお詫び申し上げます。
(※記者会見における発言及び質疑応答をとりまとめたものです。その際、一部、正しい表現・情報に改めました。)