現在位置:
日本郵政ホームの中の1
日本郵政株式会社の社長等会見の中の3
2019年6月24日 月曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2019年6月24日 月曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

発表日:2019年8月8日

【社長】
本日は、私から3件お話をさせていただき、その後皆さまからご質問を受けてまいりたいと思いますが、その前に私どもより発表したものではございませんが、6月14日のゆうちょ銀行にかかわる報道および、本日のかんぽ生命にかかわる報道につきまして、一言申し上げます。
 ゆうちょ銀行につきましては、高齢者への投資信託販売に関する社内ルール違反について報道されております。これにつきましては、ゆうちょ銀行の株主総会において、池田社長から冒頭申し上げましたとおり、本来守るべきルールが順守されていなかった点について厳粛に受けとめ、深く反省しております。今回の事案を教訓に、改めてお客さま本位の販売体制を構築してまいりたいと考えております。
 かんぽ生命につきましては、募集品質にかかわる報道によりまして、ご心配をおかけしております。かんぽ生命といたしましては、お客さまからの信頼なくして会社の成長はないとの認識の下、これまでも募集品質の向上を経営戦略上の最重要事項と位置付け、お客さま本位の営業活動のレベルアップに関する各種取り組みを実施しております。
 いずれの案件につきましても、会見終了後、両社の担当役員から皆さまに事実関係等についてご説明し、ご質問をお受けすることといたします。
ご報告の1件目、先週行われました定時株主総会についてです。
 6月17日から3日間連続で、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、日本郵政の順に定時株主総会を開催いたしました。株主さまからは、当社グループを応援する声をいただく一方、低迷する株価や配当、成長戦略やデジタル化、IT化等、ご質問を広く、多数頂戴したところです。これらにつきましては、各社社長より各社の方針をできる限り丁寧にご回答させていただいた次第です。また、郵便局窓口での接遇対応や人材教育に関するご質問も多数お受けいたしました。これら貴重なご意見、ご質問等を謙虚に受けとめ、お客さまの利便性向上、株主の皆さまへの利益還元に十分配慮しつつ、私どもの企業価値向上に努めてまいる旨、私からも申し上げた次第です。
2件目、置き配の普及拡大に向けたキャンペーン等の実施についてです。再配達の削減は、CO2排出の抑制、労働力不足への対応などの観点から喫緊の課題です。削減の対応策の一つとして、今回は、利用者があらかじめ玄関先などの指定する場所に非対面で配達する、いわゆる置き配について、その便利さを広く認識していただくため、また、ゆうパックが受け取りやすいサービスであることを改めてご認識いただくため、全国のモニター10万世帯を対象に「OKIPPA」を無償で提供し、体験いただく、置き配体験モニターキャンペーンを展開します。
 ご存知のように、「OKIPPA」は市販品で、ドアノブに固定された袋状の宅配ボックスです。この会見の後、実物の使い方を皆さまに見ていただこうと思っています。
 日本郵便が、2018年12月に東京都杉並区1,000世帯に配布し、1カ月間、実証実験を行い、再配達率が約61%も減少した実績を有します。置き配時にネックになると言われている盗難や、いたずらについても、実証実験時はもとより、現在までに販売した1万数千セットについても報告は1件もありませんでした。本日15時から、日本郵便のホームページで募集を開始しています。応募受付期間は、本日から8月26日までとなります。期間中毎週1回抽選を行い、当選者には順次発送する予定です。多くの方に置き配の便利さを是非ともご体験いただき、再配達が大幅に削減できることを期待しています。
3件目、「かもめ~る」の販売についてです。令和元年、夏のお便り郵便はがき「かもめ~る」を5月30日から販売しています。今年は、絵入りはがき2種類、無地、インクジェット紙の計4種類と、注文販売のオリジナルかもめ~るはがき1種類を発行しています。令和元年と刻印されている新しい時代の記念になるはがきは、現在のところ、これだけになります。今年は、くじにも趣向を凝らしました。1等・1万円、2等・2,000円の現金が当たるほか、小型切手シートについても、かもめ~る専用デザインの切手を発行することとしています。
 私から申し上げることは以上です。
【記者】
社長が冒頭言及された、ゆうちょ銀行の投信販売とかんぽ生命の募集品質の件についてです。この後担当役員からご説明いただけるということですが、現時点で把握されている不適切販売の規模感、件数等があれば教えてください。あわせて、ノルマ重視の考え方が広まっていたなどの要因、再発防止策を教えてください。
【社長】
ゆうちょ銀行の報道について申し上げます。ゆうちょ銀行の定時株主総会でも、池田社長の冒頭発言で、私が今日申し上げた言葉と同じ言葉で、発言しています。社内ルールをしっかり実行していなかったということは大変遺憾だと思っています。
 その上で、内部でも様々な議論があり、一部言い訳に聞こえましたら大変申し訳ありませんが、投信販売については、日本証券業協会が高齢のお客さまに販売する際のルールを作成しております。これは、75歳以上のお客さまに投信をお勧めできるのか否かという入り口のところで、担当者が管理者から勧誘時の事前承認を得た上で、次のプロセスを進めていくというルールです。
 私どもは、ややかために、75歳ではなく70歳以上の方について、このルールを適用することにしました。お客さまに最初にお会いした際、70歳以上の場合、健康状態や理解力がしっかりされているかなど、この方は投信販売業務のお客さまになり得るのかという入り口のところで、一度、担当者が管理者から事前の承認を得ることになっています。その後、投信のご説明をして、実際に契約を申込みいただく段階で、もう一度、担当者が管理者の承認をとるというのが、私どものルールです。
 今般判明しました問題は、勧誘時の管理者の承認をとらずに、申込時の承認で、両方あわせて一緒に承認をとったものとして運用していたケースが多々あったという内容です。
 今回の痛恨の極みは、ルールでしっかりと管理者が勧誘時と申込時に確認をするとしているにもかかわらず、勧誘時には行っていなかったことです。ルールがあるのに、しっかりと守らなかった。担当者の社内ルールや日本証券業協会ルールに対する理解が浅かったですし、管理者についても同じ状況であり、ルールを守っていなかったということについて、大変申し訳ないと感じています。
 内部でも様々な議論をしています。当局ともお話をしています。今後どうするのか、整理している最中です。
 数字のご質問がございました。昨年11月に個別店のケースが発見されて、本年2月からきちんと精査を始めました。本当に承認を両方とっているのか等の精査をしました。2月から4カ月間で精査をした段階での数字ですが、違反が発生した店舗は、ゆうちょ銀行直営店233店舗の約9割です。
 取引件数ベースで見ますと、70歳以上の高齢者取引の約4割です。痛恨の極みですが、私どもの現在の社内規則がきっちり順守されていなかった数字です。
 かんぽ生命につきましても、本日報道がございました。本件は細かい数字が幾つかありますので、この会見の後で、担当役員からご報告申し上げたいと思います。
【記者】
社長は、かんぽ生命のいわゆる契約乗換の件について、どのように報告を受け、どういうご認識でいらっしゃるのか、伺えませんでしょうか。
【社長】
さる報道で、かんぽ生命の営業について批判をされたことがございました。その際、高齢のお客さまへの保険販売についてはきちっとやろうという、コンプライアンスの姿勢が、もう始まっておりました。その前もむやみにやろうという営業方針などあるわけがありませんが、よりきちっとやっていくということで対応が始まっておりました。
 その流れが続いておりまして、頑張っていく方向で進んでいるということです。いたずらに、保険契約をとるところだけで営業成績を評価してはいけない。どれだけお客さまが契約を継続していただけるのかという視点を入れるなど、評価制度を変えてきています。このようなことが報道されること自体が、アウトというような文化を作っていこうということです。
 保険業務の渉外社員は1万6,000人程度おりますが、かんぽ生命自身に所属するのは約1,000人、約1万5,000人は郵便局にいます。よって、日本郵便も含めて、コンプライアンス重視でやっていこうということで、一生懸命頑張っている最中です。
 状況は前よりずっと良くなっていると思っていますが、残念ながら、まだ問題が皆無というわけにはいきません。コンプライアンス重視、お客さま重視の営業を強化していこうとしている最中とご認識いただきたいと思います。
【記者】
去年11月だけを調べて、外形的に見て乗り換えに経済的な合理性がないと判断された契約が約5,800件でした。そのうち、実際に聞き取り調査が行われた契約が約300件。それをもって、適正だったというでしょうか。この限定的な調査で終わっていいのでしょうか。それとも過去にさかのぼって、徹底的に調査するという姿勢でしょうか。そのあたりの基本姿勢をお伺いいたします。
【社長】
コンプライアンスの問題ですから、手を抜いて良いということにはなりませんので、徹底的に良くなるようにします。その方法論として、悉皆調査をするという方法論がベストなのか、それは議論があるところだと思います。
 大事なことは、きっちりとコンプライアンスを徹底することです。そこについては、この後担当役員からしっかりご報告をさせていただきます。
【記者】
投信販売のコンプライアンス違反について、いわゆる押し込み的な販売や、生命保険の契約乗換のような話は、今に始まった話ではなく、金融界ではいつも大きな節目のときに必ず起きてきている問題だと思います。社長は当然、そういうリスクがあるということは理解して、様々な計画を立てていると思います。おっしゃるように、コンプライアンスをきちんとやればよいと言えばそのとおりですけども、コンプライアンスもやらなければならない、一方で株価が下がってはいけないから利益も上げなければいけない、それぞれの店舗にこれぐらいの利益は出してもらわなければ困るということになれば、現場はてんてこ舞いだと思います。
 それは、経営の問題でもあるのかもしれませんが、もっと大きく言えば、政策の問題でもあると思います。今のお立場として、どうこう言う立場にはないのかもしれませんけれども、今回の問題だけではなくて、外債投資など様々なところでリスクがある問題で、どこかで火が噴いてもおかしくない状況だと思います。こういう状況に立ち至っているマクロ的な現状を、経営者としてどのように判断されますか。仕方ない、世の中はいつもこういうものだから、その中で一生懸命粛々とやりますという、そういうお話なのでしょうか。
【社長】
今のお話は、幾つか要素があると思いますが、経営で仕方がないと言ったら、もうそこでおしまいですので、やるべきことはきちんとやっていきます。できる、できないは結果論ですから、大変残念ですけども力及ばずできないということはあるかもしれませんけれども、経営としては妥協せずにきっちりと目標を目指してやっていきたいと思っています。
 経営から見れば、収益を上げないと自分たちのグループの本来求めているパフォーマンスが上がらないから困るということで、鞭を入れるということのないようにするべきです。一方でいくらコンプライアンスと言い、もう一方で、達成できないような営業目標を与えているというのは、経営の矛盾だと思いますので、よく考えてやっていきたいと思います。
 後刻、かんぽ生命から報告があると思いますけれども、ただ成績だけが良ければよいということにならないように、営業目標について見直しをしています。
 報道の域を出ませんが、一部の銀行で営業目標を廃止するということをうたったと聞いています。そういうことも含めて、コンプライアンスをしっかりとできるような環境をつくります。その際、営業目標というプレッシャーで現場がへこたれないような経営環境をまずつくっていきたいと思います。
 マクロ環境をどう考えるのかというお話もありました。かんぽ生命の場合、経常収益の8割から9割が保険料等収入等です。残りが資産運用収益です。ゆうちょ銀行の場合、昨年度、業務粗利益の92%が資金利益等です。8%が役務取引等利益です。一昨年は93%が資金利益等、7%が役務取引等利益でした。役務取引等利益は、昨年度初めて1,000億円を超えましたので、少し資金利益等のウェイトが落ちました。ゆうちょ銀行、かんぽ生命をめぐる外部環境上の問題点としては、日本の低金利が非常に長く継続していることが挙げられると思っています。これを打ち返さないことには、経営になりませんので、色々経営戦略を練っています。日本の投資だけでは収益が十分に上がらない、むしろマイナスになるということもありますので、外国証券等への投資のシェアは上がっています。
 ゆうちょ銀行の場合、民営化したのが12年前です。そのときのポートフォリオを見てみますと、88%が日本国債への投資でした。外国証券への投資は0.1%でした。日本国債への投資が今は28.3%です。外国証券への投資のシェアは30%を超えて増えてきています。その他リターンは高いのですが、商品としては流動性が少ない、俗に言うオルタナティブインベストメントも3年前にスタートしました。現状、残高が2.5兆円を超えていますので、ミドルを非常に強化して、マクロ環境、金利、為替等のリスクに注意を払いながら、ディフェンシブに運用をしているというのが私どもの今のスタンスです。
 ちなみに、ゆうちょ銀行の場合には、他の金融機関と比べて、もう少し勝負できると思っている環境が三つあります。
 一つ目は、含み益が約3.5兆円あることです。二つ目に、自己資本比率です。ゆうちょ銀行は国内銀行ですので、ルールでは最低4%の比率で良いのですけれども、現状では15%を超える自己資本比率があります。三つ目に、205兆円の運用資産です。資産の85%はシングルA以上の格付を持っているものですので、非常に保守的に運用していると思っています。一時、CLOに関する報道がありましたけれども、私どもの200兆円を超える資産の中で、CLO保有額は1兆円強です。何か問題が起こったときに一瞬にして当社グループが相当なことになるということがないようにしています。マクロの現状は、そのように把握しておりまして、外債投資等についてもそうした対応でやっています。
【記者】
かんぽ生命の株式ですが、4月に売り出しを決定してから株価が下落しています。当初、社長もダイリューションを懸念されていて、それが顕在化したように見受けられます。加えて、今回の投信販売の問題、保険の募集品質の問題も株価に影響すると思いますが、金融2社の株式を追加売却していく上で、判断にどの程度影響するのか、社長のお考えに変化などあれば、教えていただきたいです。
【社長】
かんぽ生命の第2次売り出し前後、株価の推移は非常に乱高下いたしました。ローンチが4月4日でございましたが、1,000億円相当の自己株式を購入するというアナウンスメントの影響等により、その後すぐに株価は高騰しました。株価は、IPOの価格よりも200~300円高いところを推移していたのですけれども、それをはるかに上回る水準に上がったというのがまずチャプター1だったと思っています。
 その後、これが理由かどうかはわかりませんけれども、4月9日に国から、日本郵政株式の第3次売り出しに関する準備として、主幹事証券会社の選定手続を始めるというアナウンスメントがありました。既に2回、国は当社株式を売却していますので、現在、発行済株式の保有比率は約57%になっています。郵政民営化法上、国は当社株式の33%超を持ち続けることになっています。既に2.8兆円の売却収入を調達していますので、おそらく今度の売り出しで、4兆円を調達します。この資金を東日本大震災の復興資金に充当するというのが、法律でうたわれていますので、残り1.2兆円を売り出すタイミングがいずれ来るのではないかと考えています。この辺もかんぽ生命の株価に関係しているのかもしれません。
 いずれにしても、その後、かんぽ生命の株価は下落しています。かんぽ生命とゆうちょ銀行を見たとき、IPOの価格を超えていたのは、かんぽ生命のほうです。ゆうちょ銀行の時価総額が約5兆円、かんぽ生命の時価総額が約1.5兆円ですので、大きいほうをまず売るというのが常識的だと思いますけれども、そうした理由もあり、かんぽ生命のほうから売却するという決断をした経緯もあります。その株価が大きく落ちてきています。
 理由は色々あると思います。昨年の暮れ、大手携帯会社の1社が大きなIPOをいたしましたので、国内投資家のお金が流れました。国内投資家は、まだ十分、この取引を消化し切れていないと言う方もいらっしゃいます。グッドニュースは、かんぽ生命の第2次売り出しで経営の自由度を与えるということです。バッドニュースは、マーケットに流通している株式が、多くなることです。ある種のダイリューションの効果もあるかもしれません。そうしたことが諸々あり、こういう株価になっているということです。
 きちんとコンプライアンスをやるというお話をしながら、少し変な話ですが、かんぽ生命の当期純利益は一昨年度、史上最高の数字でございました。昨年度はさらにそれを超える史上最高の数字です。少し時間が経てば、もう少しパフォーマンスが上がってくれるのではないかと、期待をしています。
 今後のゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式売り出しについてのご質問ですけれども、申し上げたとおり、郵政民営化法で株式を売っていくという方向が決まっています。経営の自由度をより与えるという意味でも、なるべく彼らに自由に経営を展開していってほしいと思っていますので、売るインセンティブがあります。
 一方、今回のかんぽ生命株式の第2次売り出し後の株価の状況を踏まえて、マクロの株価状況、そのときの経営状況、当社グループの一体性確保、ユニバーサルサービスの責務の履行への影響等を考えて、今後慎重にタイミングや金額等を考えていきたいと思っています。ゆうちょ銀行、かんぽ生命に経営の自由度を与えるというのが経営陣の大きなミッションの一つになっていますので、絶えずタイミングに目を配っていきたいと思っています。
【記者】
ゆうちょ銀行の外国証券運用について改めてお伺いします。社長がおっしゃったように全体の3割を超えて60兆円ぐらい、外国証券を保有していると思いますが、この規模感自体にリスクを感じていらっしゃるのか、全体に占める大きさとして、外国証券の割合はまだ増える余地はあるとお考えなのかということが一つ。さらに、ヘッジコストそのものは去年の半ばと比べて大分下がっていますが、10年の米国国債と比べた場合、ヘッジコストが高くなっていますが、外債投資を増やしていけるものでしょうか。
【社長】
これが絶対という回答は現実の経営の中にはないと思いますけれども、相対的にけがの少ない方を考えます。私ども、205兆円の運用資産の片側の負債サイドは180兆円の貯金です。これは必ず元本をお返ししなければいけないというお金です。かつ、かんぽ生命の場合には平均デュレーションは、保険のお金ですので14年程度です。ゆうちょ銀行の場合、貯金ですので、平均デュレーションは3年程度、他行より長めだと思います。そうすると、慎重に扱わなければならないですけれども、日本において十分利ざやを確保できる状況にはないということです。昨年度末、30%を切ったと言っている日本国債向けの投資は、まだまだ落ちていくと覚悟をしています。
 それではどこに行くのかといいますと、相対的に利ざや、収入、メリットの大きい外債の方に向かってまいりますので、おっしゃったとおり、3割を超えて60兆円になっているこの外国証券投資は、もう少し数字は増えていく方向です。それで安泰なのかというご質問ですけれども、必ずしもこれで安泰だとは思っておりません。リスクも相応にあると思っていますので、シミュレーションやストレステストをしながら注意深く対応しているということです。注意しながらですけれども、おっしゃるとおり外債投資の数字は増えていくと思います。
 ヘッジコストのお話がございました。おっしゃるとおり、為替リスクは理論的に考えて金利よりももう少し激しく乱高下するものですから、ここでむざむざとキャピタルロスに遭遇するわけにはいきません。基本的にはフルヘッジに近い形で為替リスクを抑えています。結果的に金利裁定のルールが働きますから、海外の金利が上がってくるにつれてヘッジコストが上がっていきます。ですから、従来と比べますと、ヘッジコストは長いスパンで4~5年、あるいは2~3年前と比べますと、明らかに上がってきていますので、私どもがとるネットの金利マージンは減ってきています。ですがまだ、相対的に日本で得られるであろう金利マージンよりは大きいということで外国証券のほうに進んでいます。
 先ほど申し上げましたように、まだクッションがあります。自己資本比率に余裕があること、含み益があること、85%以上はシングルA以上といったこと等がありますので、もう少し、この方向でやれると思っています。これに加えて、オルタナティブインベストメントですけれども、昨年5月15日、3年間の中期経営計画を発表した際に、2兆円近くあったオルタナティブインベストメントを8.5兆円程度に持っていくという内容を発表いたしました。去年1年間やって、とりわけ去年の暮れにアメリカの金利が上がり、ヘッジコストが上がっていましたが、現在は、少し逆方向に向かっていますので、去年の暮れあるいは今年の年初と比べると、ヘッジコストについては一息つける水準になっています。相対的に少し良くなっていることを、念のため申し添えます。
 オルタナティブインベストメントのほうが圧倒的にマージンが大きいので、これを増やそうということで数字をつくりました。ただ、去年の暮れと今年の年初に、マーケットのボラティリティが大きくなりました。その際、オルタナティブインベストメント、すなわちプライベートエクイティーファンド、不動産関係ファンド、いわゆるヘッジファンドが、結果的にマーケットは戻りましたので、大過なく終わっていますが、元本ベースまでインパクトがありました。そういうことも考えて、これからはむしろ、よく入り口でチェックできる、プライベートエクイティーファンド、しっかりした格付けがある不動産関連のファンドのほうに注力していきます。いわゆるヘッジファンドは、少し抑え気味に行こうと考えています。中期経営計画の修正という発表はいたしませんけれども、8.5兆円という数字は少し大き過ぎるというのが1年間やってきた印象です。これは、ゆうちょ銀行の判断ですけれども、もう少し抑えた数字でやっていこうと考えています。
 エクイティーファンドのほうも、入り口のみならず、流動性が圧倒的に少ないですから、少しでも危ないと思ったらすぐ逃げられる構えでやろうと思っています。ただのリミテッドパートナーではないようなアレンジメントで、もう少し良いマージンをいただくなどの対応をしながらやっていこうと思っています。少し長くなりましたが、外国証券投資のシェアは今後も高まると考えています。
【記者】
今日のかんぽ生命の報道についてですが、詳細については後ほどということですけれども、社長としては、これを不適切な行為があったと認識されているのか、どのような受けとめでいらっしゃるのかをお聞かせ下さい。加えて、報道ではノルマが原因だったということでしたが、その辺に対しての受けとめをお願いします。
【社長】
不適切の定義によりますけれども、これから後のかんぽ生命からの説明にあるように、しっかりお客さまのサインをいただいている案件ばかりです。そこについては、何か法に反するようなルール違反をやったとは考えてございません。ただし、指摘されているような側面があったということですから、そこについては、反省しているということです。明確な法令違反があったとは思ってございません。
 営業目標についてですが、新しい保険契約をとることだけに鞭が入る時代とは全く変わってきています。入り口だけよければいいというのではなく、お客さまに信頼され、長く保険を継続していただけることについても評価するといったように、評価システムを変更してきています。少なくとも以前と比べますと相当にお客さま重視の方向に動いてきていますので、営業目標があったからこういうことになったという議論については、にわかにくみしたくないと私は感じています。
【記者】
以前のノルマや今の評価基準が背景でないとしますと、何故こういうことが起きたとお考えですか。
【社長】
いろんな事件が起きるのですけれども、やはり大事なのは、根本原因は何かというところをしっかり探ることです。営業目標が理由である可能性はゼロだというのはあまりにも僣越だと思いますが、どういうところが一番大きな原因となりこのようなことが起こったのかを、きっちりと調べてまいりたいと思っています。
 ゆうちょ銀行でも、私どもが発表した内容ではないと申し上げていたのは、まさに今、そうした部分を関係者で議論している最中であるからです。ですから、今回の事象について、謙虚にあらゆる側面から考え、本当にお客さま本位になれるように、反省材料として活かしていきたいと思っています。
【記者】
今のご回答で、本当の原因は何かを探っていく、という話がありましたけれども、昨年の11月だけを調べた約5,800件以外の期間についても調査をするのか、もしそうでないならば、どういった方法で調査をしていくのか、お考えを伺えますか。
【社長】
これはかんぽ生命から聞いていただいたほうが良いと思いますけれども、現状、この11月について調査をしたわけです。これ以外、絶対しないと決めたとは聞いておりませんし、さればといって、全部やるとも聞いておりません。大事なのは、お客さま本位で本気になるということ、コンプライアンスをきっちりやることです。こういうことが起こらないような根本原因を探るためにベストの方法を関係者で議論をして、決めていきたいと思っています。今の段階で、11月のみならず全部やるとか、この月はやるというように決まっているとは、報告を受けておりません。方法論は幾つもあると思います。例えば、監査部門から意見をもらうことも考えられます。別に悉皆調査が悪いとは言いませんが、色々な手段があると思いますので、これからしっかり議論をしながら決めていきたいと思います。
【記者】
ノルマだけが原因とは考えていないというお話でしたけれど、例えば、予定利率がもともと高かったものを、低いものに切りかえていく。そうすると、保険会社にとってもメリットがあると思いますが、そうしたことが背景にある可能性はあるのかどうか、お伺いできればと思います。
【社長】
あらゆるインセンティブがあると思います。お客さまはサインしているということですから、お客さまのほうにもインセンティブはあると思います。納得してやっていらっしゃるわけです。その辺を、予見を持たずに探っていきたいと思っています。
【記者】
今後も今の調査を続けるということについては、確約していただけるのでしょうか。
【社長】
調査の内容によります。大事なのはお客さま本位、コンプライアンス重視のしっかりした会社になるためにどうしたらいいのかということを探ることです。それを求めてしっかりやるということですから、どのようにやっていくかについては、色々あり得ると思います。
【記者】
今回の原因は、ノルマだけではないということですけれども、調べる前から、原因がまだわからないのに、適正ではないとか、適正であるとか、根拠もないのに、そういうことを言うのは、姿勢としてはどうかと思いますが、そのあたりは如何ですか。
【社長】
先ほど適正の定義は何かということを申し上げました。完璧に適正ではなくて、少なくともお客さまはサインをしているということをどう考えるのか。これは全く100%不適正と言い得るのかという趣意で申し上げています。そのように聞こえたのであれば大変申し訳ありませんが、大事なのは、何回も繰り返しますけれども、コンプライアンスをしっかりやる、お客さま重視でやっていくということです。そうなるために根本原因をしっかり探って、そうなるために何でもやりますと申し上げています。よって、100%営業目標が原因だろうとか、100%不適正だろうという議論ではないと思って申し上げました。そのように聞こえなかったのであれば、私のしゃべり方が上手くなかったとお詫び申し上げたいと思います。
【記者】
コンプライアンスを重視するということは大事だと思いますけれども、予定利率の高いものを低いものに乗り換えるというのは、これはコンプライアンスの問題ではなく、販売員の良心の問題だと思います。そのようなことをしてお客さまが儲かるわけがないのに、売った人に何か利益があるのか、それともそれを売らなければならない事情がない限り、そんなものは勧めないのではないか。それが行われているということは、もしかすると、金融機関が生き残るために、お客さまを踏み台にしているのではないか。今、そうした批判が、日本郵政グループだけではありませんが、多くの地銀で出ています。コンプライアンスをしっかりやります、調査をしますという話ではなくて、社風全体をもう1回、何のためにゆうちょ銀行があるのか、かんぽ生命があるのかというところからやらなければいけないと思います。今までの話は、そのような話になってないような気がしますが、どうなのでしょうか。
【社長】
そういう話と認識しております。
【社長】
どうもありがとうございました。