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2018年5月15日火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2018年5月15日火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

発表日:2018年6月6日

【社長】
今年度、2018年度から2020年度までの3年間を計画期間とする新しい中計、日本郵政グループ中期経営計画2020を発表いたします。
 昨年度、2017年度は、郵政グループ連結当期純利益は、4,606億円と当初計画を大きく上回りました。ゆうちょ銀行の睡眠貯金利益金など一時的な特殊要因もございましたが、低金利環境などで厳しい経営環境の中、前中計の利益目標を達成いたしました。
 新たな中計は、本来であればバラ色の計画をご報告したいところです。やれ、売り上げが5割増えるとか、収益が倍になるとか、華々しく大きなお話をしたいところですけれども、先刻の決算発表に際し、今年度の着地見込みを申し上げたとおりです。最大の理由は、ここ何年か底をはうことが予想されているわが国の歴史的低金利です。ゆうちょ銀行のパフォーマンスがいよいよ影響を受けてまいります。今年度のゆうちょ銀行の純利益が対前年度で1,000億円落ちる見通しである、と申し上げました。来年度、そして再来年度、いろいろ手を打って、だんだん利益水準を戻していくわけですが、一部戻し切れない状況です。
お配りした資料の14ページを見ていただきたいと思います。特殊要因を除いた前年度のゆうちょ銀行の利益は3,107億円です。3年後はこの数字が2,800億円にしかならない、中計期間中に約300億円、下振れます。これを、いろいろ手を尽くして、何とかグループ全体利益を、特殊要因を除いた前年の4,004億円を4,100億円まで戻そうというのが、今回の新中計の一つ目のストーリーです。そして、もう一つのストーリーが、提携、M&A等の投資であり、4,100億円からさらなる利益の上乗せを考えます。
 今後も中計を何回も作成していくことになると思いますけれども、今回の新中計が最も厳しい3年間になると思います。この厳しい3年間を、ゆうちょ自身がどうしのいでいくのか。郵政グループ全体でどうカバーし、今後10年を見据え、どう将来の成長の種まきをしていくのか。今回の中計は、そういうテーマを持っている中計であるということを、まず冒頭、申し上げたいと思います。
資料の2ページ、ごらんください。中計2020の哲学、基本的方針です。郵便局ネットワークを中心に、郵政グループ一体となり、チームJPとしてユニバーサルサービスを維持しつつ、トータル生活サポート企業グループを引き続き目指すことを示しております。
各事業セグメント、各社ごとに新中計の考え方をご紹介してまいります。
 まず、日本郵便、郵便・物流事業です。現在、年商2兆円の物流事業の売り上げの中で、宅配便の占めるシェアは3割程度です。これを5割にまで持っていこうというのが、この事業の主たるストーリーです。
資料4ページをごらんください。郵便物数は、インターネットの普及等により減少傾向が継続し、昨年度、2017年度は対前年比2.9%減の172億通、また民営化後の2007年から2016年度の10年間で平均、年2.4%の減少となりました。郵便の利用喚起に努めるものの、今後もこの傾向は続き、2020年度には154億通程度まで落ち込むと見込んでおります。
 一方、わが国の宅配便市場は、eコマース市場の拡大を背景に着実に成長し、今や年間40億個を超えて、今後も拡大が見込まれています。また、近年、労働力確保難や人件費単価上昇も課題となっております。
 こうした事業環境を踏まえ、郵便・物流事業においては、従来の郵便を中心とする構造から、郵便と荷物とを2本柱とする構造へと転換し、貴重なリソースをこれに応じてシフトすることにより、安定的な成長を実現することが基本方針です。
 荷物分野では、2017年度後半から、対前年同期比で大幅に上回っており、昨年度のゆうパケットを含むゆうパック取り扱い個数は、前期から約2割増加しております。この影響が一巡した後の伸び率は鈍化すると予想してございますけれども、2020年度には、それでも10.5億個を目指し、その後も拡大を続けていきたいと考えております。去る3月には、小口ゆうパックの基本運賃の見直しをお願いしたところですが、法人のお客さまには人件費増等を踏まえ、運賃の見直しを継続してお願いすることにしております。
 この結果、郵便・物流事業における荷物分野の売り上げに占める割合を現在の3割程度、全体2兆円のうちの0.6兆円を将来的に5割程度、1兆円にいたします。この実現に向けて、この3年間で次のような取り組みを実施いたします。
 日本郵便の得意な領域である郵便受箱投函を促進するため、荷物の小型化の促進、規格外サイズ商品の整理など商品の見直しを進めます。あわせて、郵便の集荷担当者を荷物の配達にシフトするなど、リソースの流動化を進めてまいります。「身近で差し出し、身近で受け取り」をコンセプトとして指定場所配達サービス実施、配達希望時間帯の拡充等のゆうパックサービス改善も段階的に進めます。
 荷物拡大に対応して、施設の借り入れを行うなどのキャパシティの増強や、内務作業の地域区分局への集中、大型郵便物の区分の機械化等による生産性向上を実施します。このほか、AIや自動運転等のIoTや、新技術の積極的な活用を検討し、将来の利便性向上、生産性向上を目指します。郵便だけでなく、荷物もお届けするラストワンマイルのネットワークインフラを安定的に提供することを通じて、売り上げ及び利益の成長を実現したいと考えています。
次に、資料5ページをごらんください。金融窓口事業です。郵便局は、お客さまとの接点です。face to faceの価値は、引き続き重要なもので、地域の方々からも郵便局の果たすべき役割への期待が大きいと考えています。しかしながら、キャッシュレス化の進展、インターネットの利用増や国内の人口減少などにより、既存事業の窓口でのご利用は減少傾向にあるのも事実です。
 こうした中で、例えば、メガバンクが展望しているような規模縮小に向かうのではなく、現在のリソースを最大限活用して、ユニバーサルサービスの提供を基本としつつも、多様なニーズに応じた商品・サービスを提供することにより、一層の売り上げ及び利益の確保を目指します。
 郵便局に求められる役割は、地域に応じて異なることから、従来のように、全国一律で商品・サービスを提供するのではなく、必ず実施すべきユニバーサルサービスに加え、地域ごとに異なるニーズに応じた商品・サービスを追加的に提供する、個性・多様性のある郵便局展開をすることも可能と考えています。
 例えば、都市部では金融商品のコンサルティングサービスへのニーズが大きい一方で、地方によっては、みまもりサービスや地方公共団体からの事務受託や地域金融機関との連携等といったニーズもあると見られます。都市部流通センター内の郵便局が休日営業したり、例えば、宮崎銀行のATMを置く郵便局があったりするように、窓口営業時間の延長・短縮、シフト等や局外活動の充実等を組み合わせることによって、現在のリソースをこれまで以上に有効活用することが可能と考えています。まだ検討段階にすぎませんが、今後、郵便局現場とも、その他の従業員等とのステークホルダーともよく協議し、可能なことがあれば、できるところから実行してまいりたいと考えています。
 加えて、金融2社と連携した研修の実施や投信取扱局の拡大等を通じて営業生産性の向上を図るとともに、現金管理事務等の窓口事務の効率化を進め、グループとしての投信残高の倍増や保険契約年換算保険料の維持を図ります。郵便局ネットワークを縮小させるのではなく、維持、より強化、一層活用することにより、地域のニーズに応えつつ、収益を確保する「地域との共生」に向けた取り組みを進めてまいります。
資料6ページをごらんください。国際物流事業です。トール社については、リストラ策を中心とした経営改善策を進めた結果、2017年度においては、国際物流事業セグメントにおいて、対前期プラス46億円の約100億円の営業黒字を確保するなど、業績回復が進んでおります。昨年度は、ディビジョンの再編など、組織の簡素化や2,000人に及ぶ人員削減を行いましたが、今後はさらに、分散しているITの集約や部門間オペレーションの共有といった経営改善策を行うことで経費の抑制を引き続き図ってまいります。
 売り上げ面では、エネルギー、小売、医療などの主要業界に、地域としては豪州、シンガポール、中国、米国に経営資源を集中します。豪州においても急成長しているeコマースの取り組みも図ります。これらの取り組みにより、2016年度には6,900万豪ドルまで落ち込んだトール社のEBITを2020年度には2億2,000万豪ドルまで回復させる計画としています。
 加えて、取り組みが遅れておりました日本国内のBtoB市場における将来の収益拡大に向け、トール社のノウハウを用いて日本国内のコントラクト事業を立ち上げる計画であり、これにより、海外発・日本発ともにお客さまに一貫したソリューションを提供する総合物流事業の展開を目指してまいります。
次に、ゆうちょ銀行です。まず、資金運用業務です。先刻申し上げたとおり、今次中計が苦戦する最大の理由がこの部門です。31ページをごらんください。真ん中のグラフにあるように、円金利収入が大幅に落ちます。これに対し、運用の高度化・多様化で対抗します。既に開始しているプライベート・エクイティ投資等オルタナティブ投資に加え、不動産ファンドやダイレクト・レンディングファンド等を加えた戦略投資領域残高を現在の1.6兆円から8.5兆円程度まで積み増します。これに従来からの外債投資等を加え、リスク性資産残高を79兆円から87兆円程度まで増やします。
 また、かんぽ生命との共同投資会社であるJPインベストメントを活用し、国内産業へリスクマネーを供給することで、国内産業育成にも貢献してまいります。
 なお、ご心配の向きもおられるかと思いますので、ここで、6月の株主総会で退任する佐護副社長関連について一言、付言いたします。
 佐護副社長は、約3年、大いに貢献していただきました。弊社始まって以来の、外部のプロ人材を集めて束ね、資金運用業務の高度化・多様化に没頭していただきました。大変な御貢献で心より感謝しております。ご自身の今後のキャリア戦略で新天地に行かれるご決断をされましたが、是非、新たな職場でも思う存分のご活躍をしていただきたいと思っております。佐護副社長が去られた後も全く心配しておりません。従来から推進していた運用部門でのチームプレーを愚直に今後も継続していくことになります。チームプレー強化を確保する意味で、本日付で一部、人事発令をしてございます。既に池田社長からご案内あったと思いますが、本日のゆうちょ銀行の取締役会等で、一つ、田原常務執行役員を専務執行役に、二つ、星野常務執行役員を専務執行役員に、三つ、笠間執行役員を常務執行役員に、四つ、宇根執行役員を常務執行役員に昇格させました。チームプレーの強化を意図したものでございます。無論、無邪気に投資ばかりに前のめりになるのではなく、リスクガバナンスの強化、財務健全性維持にもきっちり取り組みます。リスク・アペタイト・フレームワークを導入し、経営管理態勢を高度化してまいります。上記運用を実施しても、31ページの一番右のグラフにございますように、自己資本比率は従来の定義で現状17.4%が13.6%にとどまっており、今後強化される金融規制を考慮しても12%程度をキープする見込みであり、8ページにございますように、最低でも10%程度を確保すべき水準としたいと考えております。
資料7ページをごらんください。ゆうちょ銀行のお客さまへの金融サービスについてです。『「やっぱり、ゆうちょ」と言われることを、もっと。』をスローガンに、効率的な経営資源配分を行いつつ、お客さま本位の良質な金融サービスの提供に取り組みます。お客さまの資産形成に貢献することを目指し、現在1.6兆円ある投資信託残高を3年間で約2倍の3.4兆円にすることを目標にします。これを、2027年度末には10兆円にまで拡大します。このほか、お客さまのライフイベントに応じたコンサルティングの充実に取り組み、お客さまの「安心」な暮らしを確保してまいります。また、送金決済サービス等従来のサービスをしっかりと提供していくことに加え、口座貸越サービス・スマホ決済等の新しいサービスの導入、小型ATMの設置拡大等により、お客さまに「新しいべんり」を提供します。こうした「安心」、「新しいべんり」という付加価値を提供することで、中長期的に役務収益を成長・拡大させ、今後の3年間で役務収支を2017年度比プラス30%にすることを目指します。
 一方で、経営資源の再配分にも取り組みます。Fintechやデジタル技術を活用した業務効率化、生産性向上により、2,000人相当分の業務効率化、既定経費300億円の削減を実施します。こうして生み出された人材資源のうち、800人規模の人材を成長分野・重点分野であるコンサルティング業務等に再配分してまいります。
次に、かんぽ生命です。資料9及び10ページをごらんください。かんぽ生命は、「いつでもそばにいる。どこにいても支える。すべての人生を、守り続けたい。」との経営理念の下、お客さまのニーズにお応えする保障を提供し、保有契約の反転・成長により、持続的な利益成長を目指します。
 かんぽ生命は、保有契約年換算保険料で市場シェアの2割を超える日本最大の生命保険会社ですが、民営化以降、保有契約年換算保険料が減少しています。このため、ユニバーサルサービスとして、郵便局を通じより多くのお客さまに基礎的な生活保障を提供していく観点から、本中計における最大のテーマに、保有契約年換算保険料の反転・成長を掲げ、募集品質の確保を前提に、取り組んでまいります。数値目標としては、3年後の2020年度に保有契約年換算保険料を4.9兆円まで反転させ、10年後の2027年度に5.5兆円を目指します。保有契約年換算保険料の反転・成長のため、お客さま本位の営業を徹底します。
 募集品質の向上には、従来から高齢者募集におけるご家族同席の徹底などに取り組んでまいりましたが、一部のお客さまからの苦情を減少させるべく、さらに徹底して対応を強化してまいります。具体的には、保障の必要性を適切に説明できる営業社員の育成や、営業社員の評価基準に、新契約の量だけではなく、お客さまのご納得の証左として一定期間内の契約の継続率を導入するなど、総合的な対策を新たに実施し、お客さまからの信用・信頼に応えてまいります。超低金利の影響により、生命保険の貯蓄機能としての魅力は低下してまいりましたが、長寿化・高齢化の下で医療保障や長寿リスクを保障する生命保険の重要性はますます高まっており、お客さまニーズを適切に捉えたご提案が一層重要となっています。このため、きめ細かい研修等により、ご要望に沿った提案ができるよう営業社員のスキルの向上に注力するとともに、ご家族登録制度やSNS等を活用したマーケティングによって、未加入者、青壮年層など、新たな顧客層の開拓を進めます。
 これら施策の実行のためには、渉外営業社員の増加が必須です。本中計期間中に、郵便局の渉外社員を約1万7,000人から1万8,000人に増員し、また、将来的には約2万人の体制を目指すことで、営業の基盤づくりを行ってまいります。
 新商品開発につきましても、青壮年層を含めたお客さまのニーズに十分応えられるよう、第三分野などの保障性商品の開発・充実を図り、第三分野の新契約年換算保険料が、過去最高であった2017年度の水準592億円から、本中計期間中に2割超の拡大を目指します。
 資産運用については、高利回り資産が償還され、その一部を外国債券や国内外株式、オルタナティブ投資などの収益追求資産に配分し、本中計期間中に、総資産に占める収益追求資産の割合を2017年度の12.3%から15%程度にまで増やします。
 かんぽ生命では、お客さまからの各種ご請求を処理するため、サービスセンターに約5,000人の社員を配置しています。これまで、保険金支払いなどの事務のデジタル化・ペーパーレス化を進めてきましたが、契約保全など一部にペーパーレス化が完了していない手作業領域が残っており、本中計期間中に保全事務のデジタル化、ロボティック・プロセス・オートメーションの活用による請求の受入処理、入力作業の自動化・省力化等や各種帳票の電子化を進めることとしております。これらに加えて、既存事務の改善など、事務効率化策も実施し、バックオフィス業務量を2割程度削減します。人員換算で約1,000人分、コスト換算で約30億円分の効率化効果を見込んでおります。契約社員を含めた採用抑制で500人程度の自然減を見込んでおり、差分の500人につきましては、お客さまサービスの向上につながる新領域や営業支援などの強化領域に配置することとしております。
 その他、ビッグデータを活用したお客さまのQOL向上に資する商品・サービスの展開や、海外事業展開に係る様々な可能性を踏まえた準備が必要と考えており、もろもろの調査・研究や人材育成を進めていく計画です。
資料11ページをごらんください。不動産事業の展開についてです。
 本年4月2日に日本郵政グループの不動産事業を専門的に行う会社として、日本郵政不動産株式会社を設立いたしました。これによりグループ保有資産の開発をより効果的に行うとともに、共同事業参画、収益物件取得などにより新たな収益源を開拓することができるようになりました。今後3年間は大型の開発案件の完成を予定していないため、2020年度は現在稼働しているビル等の稼働率上昇等による売り上げ、利益の増加を見込んでおりますが、2022年度竣工予定の旧ゆうぽうと五反田案件、2023年度竣工予定の虎ノ門・麻布台案件、大阪駅前案件等の準備を進め、今後3年間で総額1,800億円の投資を行う予定です。将来的には、これらのグループ保有資産による開発事業に加え、共同事業参画、収益物件取得などの新たな収益源の開拓により、さらなる収益の増加を目指してまいります。
資料12ページ、ごらんください。日本郵政株式会社は、2017年3月期の連結決算において、トール社の業績悪化に伴い、特別損失を計上することとなりました。この経験を踏まえ、当たり前のことですが、投資の実行に当たっては、投資判断基準に照らして慎重に判断し、規律ある投資を実行してまいります。
 投資の原資といたしましては、既存キャッシュフローのほか、新たな借入金や金融2社株式を売却した場合の売却収入の活用も念頭に置いております。トータル生活サポート企業グループとしてグループの成長につなげるべく、幅広い分野で資本提携、M&Aを検討し、2020年度までの3年間で数千億円規模の投資も視野に入れ、グループ全体利益のかさ上げを目指してまいります。
資料13ページをごらんください。グループ連結での経営目標です。2020年度には、グループ連結の1株当たり当期純利益100円以上を目指します。日本郵便につきましては、ゆうパック取り扱い個数のプラス2億個程度の増加、連結営業利益900億円、連結当期純利益で650億円を目指します。
 ゆうちょ銀行につきましては、投資信託残高を含む総預かり資産残高プラス1.8兆円程度、連結経常利益3,900億円、連結当期純利益2,800億円を目指します。
 かんぽ生命につきましては、保有契約年換算保険料4.9兆円程度、連結当期純利益930億円、1株当たり当期純利益155円を目指します。
 配当については、日本郵政は、1株当たり50円以上で安定的な株主配当の実施を目指します。ゆうちょ銀行は1株当たり50円を確保し、安定的な株主配当の実施を目指します。かんぽ生命は、経営の健全性を確保しつつ、1株当たり76円への増配を目指します。
14ページ、ごらんください。グループ連結及びグループ各社の利益見通しです。一時的な特殊要因であるゆうちょ銀行の睡眠貯金利益金などを除くと、2017年度の実質純利益は4,004億円です。ここから自然体でいきますと、郵便物の減少、国債等利息収入の減少など、厳しい経営環境下での外的要因による減収、コスト増要因により、利益のほとんどが食われる形となります。しかしながら、ゆうパック拡大や役務収支の増などの増収施策、施設・システム費用の減などのコスト削減施策により、この厳しい状況をはね返し、2020年度には、2017年度を上回る利益水準、4,100億円程度の確保を、まず、目指してまいります。
 これに加えて、具体的な金額を申し上げるのは今の段階では困難ですが、資本提携、M&A等の成長投資などによるさらなる利益拡大を見込み、利益水準に相応のプラスアルファの上乗せを目指すこととしています。
 大変長くなりました。私からの新中計の説明は以上でございます。
【記者】
1点、細かい話なのですが、国際物流事業で、国内コントラクト事業のお話があるということなのですが、もうちょっと具体的に教えていただきたいのと、今、国内でトールエクスプレスジャパンという事業会社があると思うのですが、新しい事業にかかわっていくのか、その点も踏まえてお願いしたいと思います。
【社長】
今の段階では申し上げられません。
【記者】
投資のところでちょっと確認させてください。先ほど個別の項目で、不動産で1,800億円とかですね、成長分野についても数千億円規模とお話があったのですが、後半のほうには投資計画で3年間で1兆円程度というふうに書いてあります。こちらは一見すると不動産は入っているのですけども、成長投資というのは、入っていないと思いますが、それは別途なのか、全体の考え方をもう少しお伺いしたいと思います。
【社長】
別途です。1兆円の投資計画の中にはですね、不動産等は含んでおりますけれども、先ほど申し上げた4,100億円を超える利益貢献が期待されているプラスアルファのもとになる投資、これは別途と考えております。原資、ソースオブファンドの話をちょっと申し上げましたけれども、もちろん収益状況によっては、自らの資本勘定とかキャッシュフローとか、そういうものも使うでしょうけども、必要によっては数千億円規模を考えておりますので、借り入れをするとか、あるいは、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の株を、どこかのタイミングで売り出すことが宿命づけられておりますので、そのお金も来るわけです。ものすごくラフに申し上げると、ゆうちょ銀行は時価総額6兆円です。弊社は今、議決権では89%ですけど、株は75%持っているわけです。これを例えば5割まで売ると25%、6兆円の25%とか、あるいはかんぽ生命の時価総額は1.5兆円なのですが、これも5割まで落とす。単純計算すると、今の株価で想定すると、ある程度のお金が入ってくる。これもその原資にして考えます。従いまして、資料である1兆円の外数になります。
【記者】
トールについて少しお伺いしたいのですが、今回の中計の3年間の中で、トールの位置付け、要は経営再建をずっとしていくのか、それともできることは、例えばフォワーディングだとかエクスプレスもどんどん広げていくのか、中計の3年間、トールをどういうふうに位置付けられるのかというところが1点と、日本については、トールエクスプレスジャパンという会社ありますけれども、あの会社はもともとフットワークで、小口の貨物の配送が得意な会社だったと思うのですが、その会社でロジスティクスをやるということは、要は小口関係のロジスティクスを狙っていかれるのかというところがもう1点。
 最後に荷物のところについて伺いたいのですが、市場シェア、今回の中計の最終年度で収益ベースで郵便と荷物の割合を50%にされるということで、取り扱い数も荷物をどんどん増やしていくということですけれども、最終年度のときに、例えばヤマトさんだとか佐川さんだとかも含めて、御社の日本におけるシェアというのは大体どのぐらいになっていると想定されているのか、その3点をお伺いできればと思います。
【社長】
まず1点目ですけれども、トールの位置付け、引き続きこの会社をいい会社にするように、私どもとしてはサポートしていきます。決算のときにもご質問がありましたが、正直に言うと、もちろん回復してきてはいるのですが、売り上げの勢いがまだ十分ではないと感じています。経費をコントロールしたので、営業利益がV字と言わないまでも回復できたという段階で、まだ再建途上にあると思っております。私どもは日本でやることはたくさんあるけれども、これから伸びていく海外にも参加して、海外の伸びる物流業務の収益をシェアするのだという意図で買収をしました。大変残念ながら、主に当初の値決め等のところでちょっと問題があったと、今となっては感じているのですけれども、当初はそういう狙いでやったので、今後もそういう方向でトールを使います。従いまして、もっと立派にきちんと売り上げも伸ばしてもらって、連結ベースの日本郵便の、あるいは日本郵政グループの収益に相応に貢献してもらえるようになってもらいたいと思っています。いつまでも再建モードでは困ると。
 その方法論ですけれども、ご質問の趣旨は何かM&Aか何かやるのかということだと思うのですけども、トールの元気になる状況とか、その次はアベイラブルな会社が本当に海外にあるのか、我々が営業ポートフォリオ上どうしてもそれが必要になるかとかですね、パズル上、そういうものの関数になってくると思いますので、オーガニックグロースで引き続きやっていくのか、何かほかのものを加えていくのか、この辺はまだまだ今は申し上げられる段階にないと思っています。
 それから、2点目について、先ほどの説明では、BtoB、コントラクト事業と申し上げました。ご質問でおっしゃった昔のフットワークが、そういう業務をするビークルとして、スタートの発射台として本当に適切なビークルなのかと、ちょっと考えられると、ご質問のとおり、感じると思うのですけれども、今のままでは十分ではないと思っておりますので、違うアレンジを今考えております。
 3点目、先ほど申し上げたのは、宅配便市場は年間40億を超えたとか、2020年度には10.5億個を目指すとか、年商2兆円の物流事業の売り上げの中で、宅配便の占めるシェアは3割程度を5割にまで持っていこうとか言ったのですけれど、そのときはどういう姿なのかと。去年の秋から対前年で9月が2割増し、10月からは3割増しで増えてきておりまして、しばらくこのモメンタムは変わっておりませんから、そうすると、ちょっと踏み込んで言ったのですが、2割に迫っているのではないかという数字を申し上げたりしているのですね、ある場では。
 3年後どうなっているかというのは、eコマースの増え方とか、ヤマトさんとか佐川さんのビジネスモデルなどにかかわってきますので、うかつには言えないというのが回答です。私どもが求めているのは収益なので、先ほど申し上げましたように、法人のお客さまには絶えずコスト相応の料金体系を求めていっております。先般3月1日に平均12%値上げしたのは、あくまでも小口、現状私どもが扱っている宅配便の中の1割に過ぎない。ほかの9割についても、そういうことはずっとやってきており、これもやってまいります。
 収益額のほうが大事なので、私どもはいたずらにマーケットシェアを大きくするためにはやっておりません。そのような意図もあり、経営メッセージとしてあえてマーケットシェアを出しておりません。
【記者】
不動産について伺いたいのですが、この日本郵政不動産、人が非常に重要になってくると思うんですけども、どういった形で、その人材を確保し、成長に導こうというようなお考えを現時点でお持ちなのか、それに少し関連して、この2023年度竣工の虎ノ門・麻布台、森ビルとの共同事業だと思うのですけども、まさに、このまちづくりをやってこられた森ビルとの共同事業を、例えばですけど、こういった今後の郵政不動産の成長にどう活用していかれたいか、この点を教えていただけますか。
【社長】
4月2日に、日本郵政不動産がスタートいたしまして、50人ぐらいのメンバーがおりまして、既にこの設立とともに、外部人材に10人くらい来てもらって一緒にスタートしております。
 おっしゃるとおり、人材が大変に大事な経営ツールになってきますので、必要な人材は採ってくるという形で引き続き対応してまいります。
 もともと、弊社の中にも1級建築士が130人程度いるのですが、今回はもっと攻める不動産業界を展望しておりますので、外部の方にもお越しいただいて、一緒にやってまいります。
 二問目ですけれども、虎ノ門の場合には経済特区の案件で初めて一緒に共同開発案件、パートナーを組んでやる案件になります。ご案内のとおり、虎ノ門を一生懸命、森ビルさんが開発していて、次のターゲットが神谷町から上がってくるこの地区になる。神谷町が一番底で、だんだん上がっていって、ピークが私どものビルになります。
 従いまして、変な話ですけれど、森ビルさんからするとうちのビルがないと完成しない、画竜点睛を欠くようなプロジェクトになってしまうわけですよね。どうしても欲しかったところだと思います。私どもとしても、単独で十分いいところなので、建て替えることも可能なのですが、都市計画上、日照権などの制限があって高いビルが造れない。森ビルさんと組むことによって、いいビルができるということもあって、私どもの資産価値を大きく生かすためには組んだほうがよかったというのが一つ。
 もう一つは、おっしゃるとおり、自分だけでやるのではなくて、プロの力も、一緒に歩いていきながら、教えていただこうというような気持ちもあります。
 今後も、こういう案件があれば、一緒にどんどんやっていって、ノウハウの吸収をスピードアップしたいと思っていますので、いつも一人でやるとは限らないし、ひょっとすると、M&Aのターゲットにこんな分野もあるのかもしれないということで、あらゆる可能性を考えて、この業務のパフォーマンスアップ、スピードアップをしたいと思っております。
【記者】
低金利に対して、運用を深掘りしていくというところでお伺いしたいのですけども、リスク資産を増やしていくと、リスク管理体制やバランスが問題になってくると思うのですけども、先ほどのお話でいいますと、自己資本比率10%は保つラインに設定すると。聞き漏らしだったら申しわけないのですけども、リスク資産残高を87兆円程度に例えば増やすと。その場合、自己資本比率というのはどのぐらいになるのかということと、そのリスク資産、運用の深掘りというのと関連して、先ほど、海外の一部報道で、ゆうちょ銀行がインハウスのヘッジファンド、15億ドルローンチする計画があるというような報道が流れているのですが、その件でもしお話しできることがありましたら。
【社長】
背景を申し上げますと、国債は全然もうからないと、外債投資しています。主にクレジットになりますが、もちろん、現状投資をしている資産の91%がシングルA以上ということで、フロントとしても非常にコンサバティブに運用していますが、ヘッジコストも、現下の金利、為替の状況ですから、上がってきていて、日本の国債から得るスプレッドとネットでヘッジコスト考慮後を考えると、そんなにすごいリターンではなくなってきている。これは日本全体の状況で、円で投入してやるとこういうことになっています。
 そこで、別途、この戦略投資領域をさらに意図的につくると申し上げました。現状、1.6兆円が8.5兆円になると申し上げました。この数字を含めて、79兆円が87兆円になるということです。
 リスク管理のほうは、ミドルリスクを非常に強化して、これは3年前に佐護チームができたと同時にミドルを強化しました。従来のリスク管理統括部という一つの部から、志々見専務をヘッドにしてリスク管理部門をつくるなど強化をしました。その姿勢は全然変わっておりません。先ほど申し上げたように、リスクアペタイトのストラクチャーもかなり厳しくして、さらに一段とミドルを強化している段階です。
 自己資本比率のお話をされましたが、リスク性資産を87兆円まで増やした数字が13.6%です。現状、自己資本比率17.4%が、2020年度見込みで13.6%です。ただし、G-SIBsとかD-SIBsとか、グローバルに活躍する金融機関には、もっと厳しい資本勘定をつくれと言われてやっています。仮に、ゆうちょ銀行がああいうルールに従わなければならないとしても、この14%が12%くらいにとどまるということです。10%は、どんなことがあろうともと、そこは絶対に切らないような対応でやっていきたいと、そういう意味で10%と申し上げました。
 それと海外の報道ですが、心当たりはございません。ひょっとしたら、JPインベストメントをつくりましたから、そのことを言っているのではと思います。
【記者】
ゆうちょ銀行の市場部門、佐護チームなのですけれども、これからその真価が問われるような形になると思うのですけど、どういう組織に変わっていくのでしょうか。イメージを教えてください。
【社長】
全く変わりません。佐護さんの市場観とか景況感とか、とても大事で、彼のアプローチというのは、彼がヘッドになって、それぞれのプロが部長になる。ユニットをつくって、例えばプライベート・エクイティファンドとか、不動産投資とか、株の投資とか、ダイレクト・レンディングへの投資とか、海外の社債とか、そういうふうに分けていって、それぞれのプロがヘッドになっている。彼は、みんなに計画、インセンティブを与えて頑張れと言ってやる。むしろ彼の仕事は走り過ぎているユニットにブレーキをかけると、言ってみれば、こういうファンクションです。その人が今度、いなくなるのですが、今の運営は、チームプレーになっていますので、トップが代わり、これを専務の田原がやるというふうに考えていただければ結構です。ただし、佐護が副社長で、代表取締役でしたので、きょう、申し上げた4人が中心人物になっていきます。今までと全く同じスタイルでいきますから、何の問題もありません。
【社長】
どうもありがとうございました。