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2018年12月27日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2018年12月27日 木曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

発表日:2019年2月5日

【社長】
私から2件だけお話をさせていただきます。後ほど、皆さんからご質問を承りたいと思います。
まず、年末の業務運行についてです。12月は例年、平常月の5割増が通例ですが、この年末も細心の注意を払って、日々の業務運行に努めております。大口のお客さまには、差出しの時期等にご配慮いただいたり、余裕を持った配達をご承諾いただいたりしている結果、現在まで特段の問題なく業務運行が確保できています。
次に、12月15日から年賀葉書の差出しが始まりました。受付の開始から12日間ですが、26日現在、8.6億枚、対前年比97.4%といった状況です。本日以降に差し出されたものでも、社員一同努力をして、できる限り元旦にお届けするよう努めてまいります。
 なお、元旦は、例年、郵便発祥の地、日本橋郵便局に総務大臣をお招きして、元旦出発式を行うこととしております。
2件目です。ことし1年の振り返りをお話しさせていただきます。
 5月に2017年度の期末決算を発表いたしました。低金利環境などで厳しい経営環境の中、おかげさまで郵政グループの連結当期純利益は4,606億円となり、前中計の利益目標4,000億円を達成することができました。そして、期末決算と同時に、新たな中期経営計画、「日本郵政グループ中期経営計画2020」を発表させていただきました。発表時、この歴史的低金利の中で、今回の中計が最も厳しい3年間になると申し上げました。その新中計の初年度が始まって9カ月が経とうとしております。11月に発表いたしました中間決算では、業績予想を3,800億円に500億円上方修正いたしました。新中計のスタートとしては、おおむね順調なスタートだったと考えているところです。
 その中間決算の好調要因は、郵便・物流事業とかんぽ生命の資産運用でした。そのうち郵便・物流事業は、eコマース市場の拡大によるゆうパックおよびゆうパケットの取扱個数の増加が収益に大きく貢献いたしました。他方、労働力の確保難という側面もあり、働き方改革への対応が急務となっています。日本郵便では、ゆうパックの配達希望時間帯の拡充等のサービス改善を行い、深刻なドライバー不足や再配達によるコスト増などの課題に対応しています。さらには、ドローンを目視外補助者なしで運航する全国初めての取組みや、自動運転の実証実験等、先端技術を活用した荷物輸送の実現に向けた取組みも積極的に行っております。
 また、新中計では、不動産事業について、第4の事業とすべく取り組んでいくことも申し上げました。この点においては、4月に日本郵政不動産株式会社を設立し、不動産事業をより効率的に推進させる体制を構築しました。五反田の旧ゆうぽうと、森ビルとの共同プロジェクトである虎ノ門・麻布台案件、さらに旧大阪中央郵便局など、グループ保有資産の開発も進んでおり、将来的には、収益物件の取得等、新たな事業領域にも取り組んでまいりたいと思っています。
 また、成長投資についても注力していくと新中計で申し上げました。日本郵政キャピタル株式会社において、日本郵政グループの新事業の種を探すべく、ネットワークやブランド力等を活用して、成長が期待できる会社への出資をことしも継続的に行ってまいりました。
 さらに、先日発表させていただいた日本郵政とアフラック・インコーポレーテッドおよびアフラック生命保険株式会社との資本関係に基づく戦略提携は、これまで双方で築き上げてきた信頼関係をより強化し、ウィンウィンの関係をより一層のものとして持続的に成長していくサイクルの実現を目指すものです。
 昨年から課題となっていた国際物流事業については、トール社において、大幅なリストラ等の効率化施策を行ってまいりました。加えて、去る10月にJPトールロジスティクス株式会社を設立しました。コントラクトロジスティクスを中心に、日本国内のBtoB事業を拡大して、日本国内外での総合物流事業の展開による一貫したソリューションを提供した上で、収益改善も図ってまいります。
 総じてこの1年、郵政グループを取り巻く環境は厳しいものでしたが、各事業において工夫を凝らして乗り切ることができたと感じております。
 きのう、26日には、郵政民営化委員会から、郵政民営化の進捗状況についての総合的な検証に関する意見が出されました。意見書でいただいた今後の課題と期待を踏まえ、今後も引き続き中計に掲げたさまざまな取組みを着実に進めてまいりたいと考えております。
 また、意見書の中で、ゆうちょ銀行の限度額についても郵政民営化委員会の意見が示されました。今回、郵便局、ゆうちょ銀行の利用者利便に係る支障の解消や、郵便局等の事務負担軽減等の観点も踏まえ、意見を取りまとめていただいた岩田委員長はじめ委員の方々、政府関係者の皆さまには感謝申し上げたいと思います。今後、意見書に沿って、関係省庁で作業が進められることと理解しておりますが、こうした状況も踏まえつつ、私どもとしても、滞りなく準備を進めてまいりたいと思っています。
 最後に、社内の話題になりますが、本年は日本郵政グループ4社の本社移転がありました。民営化して11年、上場して3年、私たちの拠点もビジネス街の真ん中に移したということで、改めて気持ちが引き締まる思いでおります。グループ一体の本社機能移転で、「チームJP」、グループ一丸となって、これまで以上にお客さま、株主の皆さま等、全ての方に選ばれる会社へと発展していきたいと考えております。
 私から申し上げることは以上です。
【記者】
冒頭のお話でも、最後のあたりでありましたけれども、昨日の民営化委員会の意見書の決定について、ゆうちょ銀行の限度額を、通常貯金と定期性貯金で分離して、それぞれ1,300万円ということで、合計で見れば倍増するということになります。今回の決定を歓迎するようなお話が少しありましたけれども、郵政グループの経営に与える影響をもう少し詳しくいただきたいです。あと、その意見書の中で、今後の限度額見直しの条件として、ゆうちょ銀行株の売却や、インセンティブの撤廃も盛り込まれました。このあたりの具体的な時期等も含めて、お考えがあればお伺いしたいと思います。
【社長】
限度額の問題につきましては、当初より2点申し上げています。1点目が、お客さまの利便性向上、これが第一です。2点目は私どもの事務負担の軽減です。以前申し上げたことがあると思うのですが、限度額を超えた際の処理として、毎月1万通ぐらいの通知をゆうちょ銀行からお客さまに送付しています。これに基づいて、お客さまにオートスウィング基準額を変更する等の手続きをしていただいたり、郵便局から対象のお客さまへの訪問や事務手続を行う等、その1万通に象徴されるような事務の問題等があります。
 限度額の見直しによって、この問題が解決できるのであれば大変に幸いですということを終始一貫申し上げておりましたが、きのう発表されました内容により、通常貯金と定期性貯金が別個の限度額になりますので、オートスウィングに係る事務手続等の問題が格段に軽減されると思います。また、お客さま利便に係る支障は非常に改善されると思っていますので、私どもは本件を大変歓迎しています。二つ目のご質問は、幾つか条件があって、貯金を集めるインセンティブの廃止と、郵政民営化を推進して、ゆうちょ銀行株の日本郵政持分を、3分の2未満まで売却するということを条件に、次の通常貯金の限度額にかかわる議論をすると言われております。限度額関連については、関係者でいろいろ議論していただいて、郵政民営化委員会で調整、意見をまとめようとされていらっしゃるので、決まった際にはもちろんそれに従うと申し上げておりました。今般、こういう形で具体的に条件が提示されましたので、やるべきものは、実行に移してまいりたいと思っています。
貯金のインセンティブの話ですが、他の金融機関からいろいろご意見がある中で、資金シフトが心配というお話があります。大変僣越ですけれども、私どもは今回の限度額見直しの議論の冒頭から、貯金をもっと集めたい、もう少し資産を増やしたい旨の発言は一切しておりません。こういう金利状況ですので、私どもとしても、率先して貯金を増やしていこうというような経営方針で動いておりません。
 5月15日に発表した新中計では、ゆうちょ銀行においてお客さまの総預かり資産残高を増やすとしておりますが、その内容のほとんどを投信でカバーしようという計画になっていて、貯金残高の大幅増額という計画ではありません。
 ただ、今般の意見書では、貯金獲得に係るインセンティブの撤廃を求めるということですので、可及的速やかにそういう方向で対応してまいりたいと思っています。
 ゆうちょ銀行と日本郵便において、自分たちで設定しているインセンティブについては、すぐにもできることですので、社内の所定の手続きを経て動きたいと思っています。一部、従業員の生活給にかかわる部分があります。これは労働協約改定事項になりますので、これについては組合と誠意ある会話を通じて合意していかなければいけません。民営化委員会の意見書では、貯金獲得に係るインセンティブを他の評価項目への振替等により、撤廃することとあります。生活給に関わる部分については調整作業があると思いますが、それ以外のすぐできるようなことは直ちに実行してまいりたいと思っています。
 株の売り出しについても、郵政民営化法に則り、ゆうちょ銀行とかんぽ生命に経営の自由度を与えるために、なるべく早くやっていきたいと思っています。株価の状況、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、あるいは郵政グループ全体の業況の問題、そのときの日本全体の市況、ユニバーサルサービスへの影響やグループの一体性の確保がしっかりできているのか等も検証しながらというかねてからの前提に則って検討してまいります。今般、このような条件が出ましたので、次の限度額については、これができないと議論できないと理解しています。
【記者】
もう1点だけお願いいたします。
 先般、かんぽ生命の新規業務について、総務省からも認可が出ましたが、改めて、新商品の投入の時期など、狙いについてお伺いしたいと思います。
【社長】
3年前の2016年にマイナス金利となってから、養老保険などのいわゆる貯蓄型の商品については、お客さまのニーズが減ってきているため、専らかんぽ生命だけではありませんが、他の保険会社も含め、病気や怪我のリスクに対応する保険商品でお客さまのニーズに対応しようとしていると思います。時代の変化とともに、さまざまなニーズが出てきますが、かんぽ生命もそういう時代のニーズに即応した新商品を絶えずつくっていかなければいけないと思っています。
 今回の商品は、そういうニーズに対応した商品を開発し、認可を求めていたものです。幸い、認可をいただきましたので、2019年4月以降に販売を開始してまいりたいと思います。
 ただ、これは新商品開発の中の一つで、これだけで全てが終わったわけではありません。引き続きお客さまのニーズに対応した新商品の開発を続けてまいります。
【記者】
よろしくお願いします。2点あります。
 1点目は、きのうのゆうちょ銀の、限度額の引き上げに関して、民間金融機関の8団体から声明が出ているかと思います。これまで醸成されてきた民間金融機関との相互信頼に基づく連携・協働の動きに水を差すという形で、否定的な言葉もあったわけです。この点について、今までも長門社長は、地域の民間金融機関との協働は今後も変わることはないとおっしゃってきたと思いますが、今後のお考えをお聞かせください。
 それから、2点目は、アフラックとの提携の件ですが、中期経営計画では、3年間で数千億円程度の投資をするということで、今回、2,700億円くらいになるかと思うのですが、出資はアフラックで打ちどめになるのか。
 それと、トール社については、大きな減損がありましたがその教訓が、今回のアフラックへの出資においてどのように生かされたのかお聞かせください。
【社長】
きのう、新たな限度額について民営化委員会から方針が示されました。これを受けて、他の金融機関からご意見が出ていることは承知しております。地域金融機関と地方創生に協力すべく頑張っていたのに、今後に水を差すのではないかというようなご発言もご意見の中にあると理解しております。私ども日本郵政グループは、全国津々浦々に約2万4,000局の郵便局があり、ゆうちょ銀行の通常貯金は約1億2,000万口座と、ほぼ日本の人口と同じくらいあります。このように、私どもはお客さまと非常に多くの接点を有しております。地域にニーズがある限り、郵政グループとしての方針は全く変わりません。引き続きやれるものはやっていきますし、継続してやりたいと思っております。他行におかれてもそれぞれの地域でニーズを感じていらっしゃると思います。そのときに、自行だけでやるのか、他と組んでチームでやるほうがいいのか、私どもとしては、後者の考え方を取っていただける地域金融機関もあるのではないかと思っています。
 したがいまして、ニーズがあれば今後も共同案件というのは出てくるに違いないと考えています。ちなみに、今、ゆうちょ銀行が関係する地域活性化ファンドは16件あります。私どもの認識では、限度額の議論が盛り上がってきたのはことしの2月くらいからではないかと認識していますが、その2月以降も地域活性化ファンドへ7件出資しています。私どもの考えはいささかも変わりません。おそらく他行の方々もニーズがある以上、今後も協力はできると考えていると思います。
 他の金融機関は限度額の議論の中で貯金が流れるとおっしゃっていましたが、私どもは今回の限度額の要望としてお客さまの利便性向上を訴えてきましたが、ただの一度も、多くの貯金を集めたいからということは申し上げていません。もちろん、中期経営計画でも貯金を集めるという営業方針を発信していません。「貯蓄から資産形成へ」という流れに沿うべく、投資信託でお客さまの資産形成への貢献をしていこうと思っており、今、残高が2兆円を超えました。他行が減っているときに、ゆうちょ銀行は倍になってきております。目標は10年で10兆円としていますので、中期経営計画では3.4兆円と、1.7兆円増やそうと考えています。
したがいまして、ゆうちょ銀行は今まで少なくとも、2年前に1,000万円から1,300万円に限度額が増えましたが、各金融業態の中で貯金残高が最も増えていない銀行なのです。
 決算を見ていただければわかると思うのですが、当座預金という項目はほとんどが日銀の当座預金です。2016年1月29日、日銀のマイナス金利が発表されてから、私どもの残高は、ほとんど増えていません。むしろ最近は少しですが減っている状況です。この間に例えば、メガバンクでは40兆円、50兆円と増えています。
 また、ゆうちょ銀行の融資が全くできないという経営状態を心配していただくご意見をよくお聞きします。おっしゃるとおり、収益の約93%が運用収益で約7%が手数料収益です。したがって、運用が収益の大半となります。しかしながら、本年5月15日に中期経営計画を発表したときに最も厳しいものになると申し上げた理由は、資産が増えて運用が困っているからではなく、国内が低金利になり、運用難になっていることが主因です。確かに運用は大変で、サテライト運用や、オルタナティブ投資などさまざま工夫して、運用の高度化・多様化をすると何度も申し上げています。これは貯金が増えて困っているのではなく、国内の運用先がなくなってきていることで困っているのです。
 加えて、海外にも投資し、2007年10月の民営化時に全資産の中の0.1%しかなかった外債のシェアが、今、日本国債と同程度の約3割になっています。為替リスクをとりたくないので、ヘッジしているのですが、米国金利の上昇とともに、このヘッジコストが上がってきており、こちらのほうも大変になってきています。投資環境が厳しいのは、低金利等が理由であって、資産が増えていくから困っているものではないと申し上げておきたいと思います。
 これが1点目に対してのお答えです。
2点目のアフラックについては、2,700億円という数字を12月19日18時からの記者会見の際に申し上げました。あれは記者の方から幾らくらいなのかというご質問があったので、ちなみにということで、会見前日の為替レートの試算で約2,700億円と申し上げましたが、実際はマーケット次第です。株はTOBではなくて、マーケットで拾っていきますので、そのときの株価や為替レート、あるいは私どもが購入することがわかっている方がプレミアムを乗せるというのもあるかもしれませんので、ひょっとしたら3,000億円かもしれませんし、あるいは最近の円高や株安ではもっと安くなるかもしれません。
 私どもは経営には関心がないと申し上げました。アフラックとは2008年からがん保険で提携して、信頼できる優良企業であることがわかりました。また、企業文化も似ているということで、もっと何か一緒にやれないものかと思い、進めた話です。5月15日に中期経営計画を発表し、その2日後に私どものほうからこの話を先方に申し入れました。中期経営計画を発表した際に、郵政グループの純利益4,100億円プラスアルファと申し上げましたが、プラスアルファは新たな業務で、新たな売り上げ、新たな収益を得たいという思いを込めて、プラスアルファと申し上げました。これは従来やっている業務のオーガニックグロースもあるし、M&Aやどこかと資本提携してもいいという意味で申し上げたプラスアルファです。
 言ってみれば、それに資する、第1弾がこのアフラックと思っております。
 それから、トール社との比較ですけれども、おっしゃるとおり、大変に厳しい最初のM&A案件でした。1年半前、一昨年度の決算で約4,000億円残っているのれん代全部を一気に償却させていただきました。そのときの教訓は、まずは、価格を間違えてはいけないということです。あのときは約6,200億円で契約したのですが、実際は為替レートの問題等があり、初日に約6,100億円を支払いました。そのときののれん代が初日に約5,000億円でした。当初は20年均等償却、1年間250億円で考えておりましたが、2年間償却したのち一気に償却しました。1年半前の償却は為替レートの関係もあり約4,000億円で済みましたが、こういうものは数字が合わないといけないということが教訓となりました。
 今回のアフラックは株全体の7%程度の購入ですので、TOBで買うより、マーケットで拾う方が、プレミアムがずっと小さくなると考えました。株価についても投資に見合うリターンがあり、数字上も問題がないということをかなり詰めさせていただきました。
 アフラックの場合は2008年に提携してからずっとお付き合いをしてきており、トップ同士や中堅幹部同士の会議などでよくコミュニケーションをとっています。そういう意味では密にコミュニケーションをしており、信頼出来るとお互いに思っています。企業文化も合っているという意味では、資本を投下する対象として非常にふさわしいと思っています。
 5月17日に申し入れて、アフラック・インコーポレーテッドのエイモス会長がこちらに来たのが9月25日です。トップ同士でお会いして、この話を進めようとおおむね合意ができたので、12月19日に発表させていただきました。トールについては、日本の物流が飽和状態になってきているので、海外の成長市場に乗りたいと思った戦略の方向感は間違えていなかったと思うのですが、幾つか学習したこともありますので、それを十分生かして、今回のアフラック案件を推進できたと私どもは考えております。
【記者】
1年間どうもありがとうございました。ゆうちょ銀行の限度額と株式の売却の関連で、次回以降、通常貯金の限度額について検討する場合は3分の2未満となるまで売却することという条件がつけられていますが、早期に50%まで売却しますというのは、上場のときからずっと言われていて、上場からこの3年間でゆうちょ銀行、かんぽ生命の2次売却が実現しなかったのはなぜなのか。連結の利益に跳ね返ってくるからなのか、それとも政府が日本郵政株式の売却を優先しているので、それが済んでからと考えておられるのか。また、これから売却を進めていくために、どういう環境整備が必要で、何が足りないのか、このあたりの考え方を教えていただけますでしょうか。
【社長】
3年前の11月4日に上場して以来、なぜゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式の2次売却をやっていないのかということですが、後づけで考えると、幾つか理由があると思っています。
 昨年9月に政府による日本郵政株式の2次売却がありました。政府が日本郵政株式の3次売却をしたいので、その前にゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式の2次売却はやらないようにと言うはずもありません。また、私どもから、政府に売却の順番を聞いたこともありません。ただ、唯一、資金使途あるいは時限性が決められているのは、日本郵政の株式売却についてだけです。政府は日本郵政株式の3分の1超保有義務がありますが、それ以外はできる限り早期に売却するよう郵政民営化法に規定されています。日本郵政株式の売却収入の4兆円程度を東日本大震災の復興財源に充当することになっています。時限性は2022年度までです。まだ先ですが、どんなマーケット状況になるかわかりません。これを度外視して、私ども日本郵政だけでゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式の2次売却について考えてしまうわけにはいかないと思ったことが一つです。
 それから、もう一つあります。1次売却の価格がゆうちょ銀行は1,450円でした。現状の株価を見ていただくと、2次売却の際に買う株主が圧倒的に有利に買うことになります。3年前の11月4日のゆうちょ銀行の株価を100として、その後どのように推移したのか、メガ銀行3行の推移と比べてみました。きのうのゆうちょ銀行の株価は1,180円だったので、270円も下回っていますが、4行の中では一番高い値になっています。
 さらにもう一つ、中期経営計画の4,100億円プラスアルファのプラスアルファについて、これは口で言うのは簡単ですが、トールの例を見るまでもなく、M&Aはむやみやたらに、可能性がある案件だからと行うものではありません。トール買収のときは、借入金はゼロでした。ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式売却のお金だけが資金源ではなく、借入金でもよいと思いますが、株式売却のお金も有力な投資の資金源です。先にゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を売って資金を得ても、何も買うものがなくて動かずにいられるかというと、必ず投資家の方々から、自己株を購入すべき、キャッシュポジションがいいのだから何かやるべき、もっと配当を払うべき等の意見が出ます。これはもちろん投資家の希望であって、私どもがそのまま従う必要はないのですが、確かにそういうプレッシャーもありますので、でき得れば資金使途が明確で、いろいろ検討した上でバランスよく出来ればいいと思っています。
 おっしゃるとおり、マイナス金利が3年前に導入されて圧倒的に運用マーケットが厳しくなり、特にゆうちょ銀行は収益機会が少なくなってきている環境で、ゆうちょ銀行の株式を4割程度売るとすると2兆円くらい入ってきますが、これを全く活用しないのも如何かということも理由かと思います。
 今後どうするのかということですが、このようなことも含めこれから検討していきます。ただ、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を売却することは郵政民営化法で決まっているのに、自分たちの収益が少し不安だから保有しておこうという気持ちはありません。タイミングを見て、やっていきたいと思っています。
 あと、もう一つ、ソフトバンクが12月19日に調達額を2.6兆円として上場しました。やはり今のマーケットで、ゆうちょ銀行も5.3兆円、かんぽ生命も1.4兆円ですので、売ろうとすると結構な金額になると思いますので、マーケットでどの程度の消化能力があるのか、ほかの案件との調整という点も考えないといけないと思っています。
【記者】
長門さんが就任してから、トールの減損処理をしたり、新しい投資会社を設立しました。他にも不動産活用や今回のアフラックとの提携など、また、働き方改革にまで踏み込んで、さまざまな工夫を凝らしていると思います。
 それに対して限度額の引き上げについては、工夫もなく、ただお願いしているだけです。この問題について経営者としてどのように考えているのか。
 今回、民営化委員会から、将来の限度額の見直しについては、日本郵政が保有するゆうちょ銀行株の3分の2未満となるまで売却することという基準が設けられました。今回の引き上げを、それまで先送りすることはできなかったのかどうかと。もう1点、今回、預金を多く引き込めることによって、預金はもちろん増やしたくない、増やす必要もないと思うのですが、これをどんどん投信に回すという狙いはあるのでしょうか。
【社長】
限度額については、ただお願いだけで、経営の工夫もないというご指摘ですが、お願いすることは必須事項なのです。限度額は政令事項なので、いくら私たちが経営上の工夫をしても、政令を共管している総務省と金融庁にご納得いただかなければ、政令改正には至りません。
 お願いした理由は非常に明確で、何回も申し上げていることですが、貯金を増やしたいということではありません。限度額をオーバーしたお客さまに対して、月に約1万件の通知を発出して、そのお客さまが郵便局にお見えになって、質問され手続きをするということがありお客さまにも当方にも大変な手間となっている問題があります。それを改善するために要望しました。
 並べてはいけないかもしれませんが、今お願いをしている土曜配達の休止も、これも法律事項です。これについても、土曜日の配達のために5万5,000人もの社員が働き、内務深夜帯勤務の社員8,700人が、郵便の区分業務等を行っている現状を訴えました。また、配達先が約5,000万件世帯であったのが、現在は約6,200万件に増えていることも報告しました。さらに、郵便は2001年から17年間で約262億通から、約172億通に減り、1件あたり約1.4通が約0.9通に減っています。有効求人倍率は日本全体で1.45倍ですが、運搬の業務が2.57倍で、運輸・郵便事務の職業は6.05倍ですと説明しました。経営でも工夫はしていますがお願いをしました。限度額も同じで、お願いして説明しないと何も始まらないというのが私の理解です。
【記者】
今回、郵政民営化委員会から、新しい基準が示されましたが、3分の2未満まで売却するまで先送りできなかったのか。なぜ、2回目の売却もしてない段階ですぐやるのかお伺いしたい。
【社長】
このルールは、民営化委員会と関係者の方々がいろいろ議論してつくられたものだと思います。私どもが3分の1まで売るタイミングがいつとか、3分の1では厳しいから、4分の3にして欲しい等のやり取りは全くなく基準が決まっています。
 民営化委員会の立場になって考えてみると、他の銀行は、3年前と同じ言葉で民業圧迫とおっしゃるのですが、大分風景が変わってきていて、政府が100%持っていた日本郵政の株は2回売り出されて、今、政府の持っている株は約57%になっています。そして、たった1回ですが11%売却し、日本郵政の持っているゆうちょ銀行の株は約89%です。日本郵政が持つ比率が5割になれば上乗せ規制がなくなるということですから、私どものシェアが大事なのですが、掛け合わせると0.57掛ける0.89で、ほぼ0.5です。
 政府出資100%のときと同じように、民業圧迫の一言で片づけられる環境なのかと民営化委員会委員長が考えたのかもしれません。または、いずれ5割にするのでしょうが、もしかすると政府が先に日本郵政株を売却したがっているかとか、株価が売り出し価格を200円程度下回っているので、すぐには売れないのではないかと。もしかすると、郵政グループは次の成長戦略プラスアルファを考えているようだが、簡単にM&A案件のターゲットは出てこないだろう。そのときに、いきなり5割まで売却するのは多すぎるかもしれないから、せめて3分の1で、少し時間をかけてと思ったのかもしれないなどと勝手に考えていますが、私どもは、この議論に一切関係しておりませんので、経緯については郵政民営化委員会に聞いていただきたいと思います。
 投信については、1,850兆円の金融資産を個人が持っており、その52~3%が貯金、預金です。それで金利ゼロというのは、おかしいと思うのです。「貯蓄から資産形成へ」という方向は、アベノミクスの大事なテーマの一つでもあり、進めていきたいと思っています。
 ゆうちょ銀行の180兆円という貯金は、個人預貯金の約2割のシェアです。このような金額を約1億2,000万口座を通じて持っている銀行が、10年前から投信を扱っていますが、投信の残高が一時全体で約100兆円と言われていた中で、私がゆうちょ銀行社長のときは約1兆円の残高だったのです。3年前は1%のシェアしかなかった。家計の預金残高の約2割も持っている銀行が、投信だけはなぜか1%のシェアでした。「貯蓄から資産形成へ」というトレンドに乗りたいし、もっとやれるはずだと考えました。
 私がゆうちょ銀行社長になったときには、もう既に100種類の投信を扱っていました。他のメガバンクと同じような商品ラインアップなのに、なぜシェアが増えないのだろうといってやり出し、池田社長に引き継いで、今2兆円になりました。
 したがいまして、手応えも感じていますし、ニーズもあると思います。ただし、商品が難しいことから、販売時の丁寧な説明が必要になります。株価の変動や金利の変動により含み損が出ていますがどうしましょうかというようなメンテナンスも重要になることから、簡単には扱えないので、がん保険のように2万局では扱っていません。
 投資信託は、1,315の郵便局と、ゆうちょ銀行の全直営店233店舗での取り扱いから徐々に増やして今は、1,540の郵便局で取り扱っています。また、投資信託紹介局も1万8,000局まで増やしました。手応えも感じているので、これからも投信のシェアを増やしていきたいと思っています。
【記者】
アフラックについてお伺いしたいのですが、アフラックの利益の7割は日本法人のアフラックが稼いでいるということですが、日本は、これから人口減少になり、保険販売も、何かしなければ縮小していくと思われます。ゆうちょ、かんぽに匹敵する投資をしてもリターンが合うというようなお話だったのですが、長期的に見て利益が下がってしまうのではないかと思うのですがお考えをお聞かせください。
【社長】
持分法適用会社化によりアフラックから収益をとるというのは、私どもにとってのメリットです。しかし、物事には必ずリスクがあり、ご指摘のように、株式取得に約2,700億円かかるといっていたことが、何らかの事情でどんどん増えていくことがあるかもしれません。例えば為替レートが円安になったり、あるいはアフラックの株価が上がっていくことも考えられます。また、アフラックは現在、大体3,000億円強もうけています。去年は、トランプ大統領の税制改革があり、5,000億円を超える収益を上げているのですが、これは特殊要因で、これが落ちてくる可能性はあり得ます。したがいまして、そのリスクが全くないとは申し上げません。
 それから、現状の水準でいうと、ネットインカムの約7割が日本のアフラック生命によるものです。私どもは、米国のアフラック・インコーポレーテッドに出資をします。彼らの業況は上がっています。ですから36年連続増配しており、25%ぐらいの配当性向で、毎年増えています。加えて、その配当金額を上回る金額で自己株買いを行っています。それにより、少なくとも昨年まではEPSを上げているという実績があります。
 米国では、中小企業、個人向けの第3分野の保険が強く、伸びています。これから法人、大企業にもアプローチしようということで、商品を開発し、今伸びています。米国の連結収益は上昇基調なので、ものすごく収益が落ちて、計算が合わなくなるという蓋然性は低いと思っています。
【記者】
長期で持ち続けると、利益の7割が日本法人なので、日本の部分が縮小すると、せっかく持ち分で利益が適用できる分が下がってしまうことが、将来的にはあるのかと思っているのですが。
【社長】
日本についても、がん保険を買う人がやや偏っていたのですが、今、このがん保険に加入する人が着実に伸びており、収益がわりと平準化しているようです。
 今までは、働いているご主人だけが保険に入っていればいいという考え方だったのが、女性が働くようになり女性の加入が増えてきたり、がんは不治の病なので、心配だから、若いうちからがん保険に入ろうと思ったり、がん保険に加入する人が、コンスタントに増えてきているのです。
 アフラックの方もいろいろな問題があり、マーケットが飽和状態になっているように見え、期待できないと分析しているならば、私どもと組んで、また、日本郵政グループの販売ネットワークを使ってやっていきたいとは思わないと思うんですね。
 今回の提携契約の中の一つに、これまでのがん保険を再確認するという条項があります。もっとやれることがあるので、日本郵政のネットワークを使ってやろうと言っている項目です。ですから、今はたまたまフラットに見えますが、結果的に全体の収益を引っ張っていくというシナリオをシミュレーションして、買う決断をしました。
【記者】
郵便物流について、12月の宅配の繁忙期も山を越えたと思うのですが、ちょっと振り返りをいただきたいと思います。
 一部、なかなか荷物が届かないとか、配達依頼、再配達の依頼のための連絡がつきにくいということがあったようにも、ちょっと耳にしているのですが、その辺の評価と反省、あるいは、来年以降に向けての改善等もあれば、コメントをいただきたいと思います。
【社長】
昨年はさまざまな事情があり、昨年の9月から、対前年同月比ベースで2~3割のペースでゆうパックが伸びていったというような、私どもにとって、大変すごい伸び率でした。12月も先刻申し上げましたように、例月の5割も増えるようなお歳暮等があって、対前年で約3割増えたという実績があったぐらい、大変でした。
 昨年のこの場で、半日遅れたことがあると申し上げました。トラックが長くつながり過ぎるほど大変で、本当に頑張って、みんなで協力し合ってこなしたということがありましたが、幸か不幸か、ことしは量が昨年よりも少し落ちています。
 理由は簡単で、私どものほうも値段を上げさせていただいたことで、お客さまからすると、ライバルの企業と並んだ価格水準になり、お客さまが配分しているのかもしれません。また、さすがに2~3割の勢いで増えて行くというわけでもないと思いますので、昨年よりは対前年ベースで量が落ちてきております。昨年のような量でも対応できる人員配置と組織配置を考えましたが、全体的に見て、うまくこなし切れていると思っています。
 引き続き荷物はありますし、これからも年賀状が差し出されるので、忙しい最後の1週間という段階ですが、今のところ、特段、大きな問題に遭遇しているという認識はございません。
【社長】
ありがとうございました。どうぞよいお年を。来年もよろしくお願いします。