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2018年10月26日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2018年10月26日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
よろしくお願いします。
私から5件お話をさせていただき、後刻、皆さんからご質問を受けてまいりたいと思います。
初めに、万国郵便連合、UPUの国際事務局長選挙に、日本郵便執行役員の目時政彦が立候補した件についてです。日本時間の本日、午前0時、現地時間の25日17時、スイスのベルンで開催されているUPUの管理理事会後、事務局長に正式に立候補を表明いたしました。
 万国郵便連合は、郵便業務の効果的運営によって諸国民の通信連絡を増進し、文化、社会および経済の分野における国際協力に寄与することを目的に1874年に設立され、1947年に国連の専門機関となりました。19ある国連の専門機関の中でも古い歴史を持つ機関の一つで、現在、192の国と地域が加盟しております。昨今のeコマースの発展や、開発途上国の経済発展の効果と相まって、国際郵便の重要性は、今後ますます増大していきます。
 目時執行役員は、国際郵便分野をはじめ、郵便業務全般に精通しており、UPUでは、2012年以降の6年間、郵便業務理事会の議長を務めるなど、国際的な経験も豊富です。こうした経歴を持つ日本郵便の出身者が世界を牽引する立場に就くことができれば、世界の郵便事業のさらなる発展のための大きな原動力となり得るものと期待しています。
 日本郵政グループとしても、今後、できる限りの支援をしてまいります。
2件目、ドローンによる郵便局間輸送の試験実施についてです。これまで何度か試験飛行を実施してきたドローンですが、このたび、いよいよ実用化の第一歩を踏み出すことになりました。福島県の原町郵便局小高旧集配センターから浪江郵便局への約9キロメートルの郵便局間輸送を試験的に実施いたします。これは、ドローンの目視外、かつ飛行経路に補助者を配置しない運行としては全国初の取り組みです。本日、国土交通大臣から飛行許可承認を受けたところで、早ければ11月中の運行開始に向けて準備を開始します。運行開始日等の詳細については、準備でき次第、日本郵便から改めてお知らせします。
 まだ緒についたばかりではありますが、先端技術を活用した荷物の輸送手段の一つとして、大きな一歩を踏み出したと考えております。
3件目は、2019年(平成31)年用年賀葉書の販売についてです。11月1日から、2019年の年賀はがきの窓口での販売が始まります。既に10月1日から、東京2020大会の公式マスコットの「ミライトワ」と「ソメイティ」をあしらったデザインの年賀はがきは販売しており、販売を開始してから数週間で数百万枚をお買い上げいただきました。お年玉くじ賞品に「東京2020大会へのご招待」もラインアップしておりますので、これらを通じてオリンピック機運を盛り上げていきたいと考えております。
 近年は、メールやスマホなどの普及等により、年賀状に触れる機会が少ないという方も多い中、子供から大人までより多くの方々に年賀状に触れていただく機会の創出を図っていきたいと考えております。既に毎年恒例の年賀特設サイト、「郵便年賀.jp」をプレオープンしておりますが、11月1日から本格的に運用いたします。また、ことしは新たに「ニッポンの名字」というコンテンツを9月19日の名字の日にアップいたしましたが、既に1,000万ページビューを超えるアクセスをいただいております。余談ですが、私の名字の「長門」は約3,800人でした。由来や地域別の状況などもあり、ちょっとした息抜きにお楽しみいただければと思います。
4件目は、かんぽ生命保険の新規業務の認可申請についてです。既に発表済みですが、かんぽ生命では、終身保険、養老保険、総合医療特約の引受基準を緩和した商品、および先進医療特約について、10月16日に認可申請いたしました。認可が取得できれば、2019年4月の販売を予定しており、2017年10月以来の新商品となります。
 かんぽ生命では、超高齢化社会が到来する中、引受基準緩和型の商品を提供することで、これまで健康上の理由からご加入いただけなかったお客さまにも、広く保障を提供していきたいと考えております。また、先進医療特約については、総合医療特約とあわせて低廉な保険料で保障を提供することで、先進医療にかかる技術料の負担に備えたいというお客さまニーズにお応えできるものと思っております。ご案内のとおり、生命保険会社にとっては、低金利環境下での厳しい経営環境が続いております。お客さまの多様なライフスタイル、ライフステージに応じた商品をご提供していくことにより、新規契約を増加させ、収益確保による経営の安定化、企業価値の向上に努めてまいります。
最後、5件目は、スルガ銀行の媒介ローン業務に関するゆうちょ銀行の社内調査についてです。先月の会見でご報告申し上げた、ゆうちょ銀行の調査委員会における住宅ローンの媒介業務に関する調査については、現在、鋭意調査中ですが、現時点では、点検において、ゆうちょ銀行の社員による不正への関与は認められないとの報告を受けております。調査結果が出た際には、別途、ご報告させていただきたいと考えておりますところ、今しばらくお待ちいただければと思います。
私からのご報告は以上です。
【記者】
では、幹事社のほうから質問させていただきます。毎月、定例のような質問となって大変恐縮なのですが、ゆうちょ銀行の限度額をめぐる議論について伺います。なかなか結論が出ない現状に対するご認識と、今後の議論への要望や展望など、ご所感を一言お願いできればと思います。
【社長】
もう何回も申し上げているので、特にこの場で改めてお話しすることはありません。政令事項ですので、最終的には監督官庁の総務省、金融庁の担当大臣がお決めになる案件です。その前に、郵政民営化委員会が、鋭意、各界のいろいろな意見をお聞きになった上でまとめていらっしゃると聞いておりますので、郵政民営化委員会の結論、ご意見の提出を見守ってお待ちしているところです。
【記者】
UPUへの立候補の表明についてですけれども、日本国としての意義だとか、アメリカがUPUから脱退表明していますけれども、そういう難しい舵取りをUPUとして、これから問われていくところではありますが、どういったところを、日本として、今後の選挙とかで訴えていくのか、あと、今回の意義について、伺えればと思います。
【社長】
一般的に、国際機関のトップに日本の方が就任するというのは、それだけで大変歓迎だと思います。このポストは、国連で見ると事務次長というレベルだそうです。そういう国際的にレベルの高いポストに日本人の方が就いて責務を全うし日本が世界をあるべき方向にリードしていくというのはとても良いことだと思います。とりわけ、メールやソーシャルネットワークが進展している時代に、郵便としてどのように世界全体として取り組んでいくのか等の課題を、日本人、しかも私どもの同僚がリードしていく機会が与えられることは、大歓迎だと思っています。
 米国が脱退するという報道がありましたけれども、これにどう対応するかは一義的には総務省、あるいは日米の外交問題になれば外務省がご対応を検討されていかれるのだと思います。当然ながら、日米の郵便活動に支障が出ないよう、私どもとしては側面支援をしっかりやっていきたいと思っています。
 ただし、192の国々が加盟しており、ブレグジットではありませんが、仮にアメリカが抜けた場合、アメリカが各国からの郵便を扱おうとすると、各国と提携するということになるわけです。ここは私の個人的な印象ですけれども、仄聞するところでは、中国といろいろ議論を行い、中国から支払われる料金が安いと不公平だという意見もありますので、もしかするとNAFTA、あるいは韓国とのFTAと同じように、アメリカとしては折衝の一手段として、一つ石を打ったということかもしれないと思います。一義的には、総務省で種々対応されると思いますので、しっかりと見きわめたいと思いますし、日米の郵便業務において支障が起こらないように側面援助に努めていきたいと思っています。目時執行役員が候補になったことはとても誇らしいことで、日本としてぜひリードしてもらいたいと期待しております。
【記者】
交付金制度の省令案について、郵政からご意見が出ていて、実際にかかる費用の実績を10年間見直してきた実績があるので、それに配慮していただきたいというようなものに対して、総務省は、最低限の費用ということで、それ以外は認めていませんでしたが、それについてどのようにお考えになっていますでしょうか。
【社長】
今回の総務省の改正案には、こういうところが交付金の対象の金額ではないかと書いてあるわけです。それを精査すると、どっちが正しい、間違いというわけではありませんが、判断として、こういう部分の経費もユニバーサルサービスを提供するために必要な経費としてあるのだから入れたらどうか、こういう側面もあるのではないか、という細かいところも考えていただきたいという意見を出しました。
 著しく総務省と日本郵政の見解が違って、それでいろいろと議論があって、弊社に不満があるというような話ではありません。
 今後、やっていくに際して、かかる費用も時代とともに変わってくるところもあるので、時期が来たらそういうものもしっかり反映してほしいというのが私どもからのお願いです。そこについて、総務省が絶対認めないと言っていないと理解していますので、今後の進展の中で必要とあればそういう議論もしていきたいと考えています。今の総務省の見解は私どもと同じ考えであると理解しています。
【記者】
ユニバーサルサービスなので、必要最低限のところの消費税を支払わなくていいというか、そこが軽減されるという意味だと思っているのですけれども。
【社長】
消費税を払わないというのは副次的な効果ですから、この部分を交付金で渡して、結果的に副次的効果として消費税があると思っています。消費税の金額として狙った金額があって、その金額になるように、いろいろなことを言っているということではないとご理解いただきたいと思います。
【記者】
ドローンの配送の関係で、改めて、このドローンによる荷物の配送がどういった効果をもたらすか、どんな期待をされているか、あわせて、実用化の時期はいつ頃という目途がありましたら教えていただけますか。
【社長】
今回の実験は、11月の第2週、第3週の火曜から木曜に、2キログラム以内の重さをしっかり運べるようなドローンを使用し、実際に運ぶときに具体的にどのような問題が起こるのだろうかということを実証するための実験です。時間軸の問題だと思っていまして、前の段階も実験でしたが、実験のチャプター2に入ったとご理解いただきたいです。
 日本郵便の物を運ぶ実際の業務にとって、どのような効果が数字で出てくるのか、経費がどれだけ削減できるのか試算しようと思うと、ドローンをたくさん買うなど設備投資も必要になり、それとの費用対効果がどうなるのかという議論になってくると思うのですけれども、残念ながら、そういう議論がすぐ目の前に来ているとは思っていません。国の法制の問題もありますので、そういうことも含めて、チャプター2なのかチャプター3なのかわかりませんが、私どもとしては、一歩進めた具体的な実験が始まるということだと思っています。
 ですから、時間軸でかなり直近から、日本郵便にとって、直接的な効果がすぐあらわれるのかというご質問の趣旨であれば、少々時間はかかるとお考えいただきたいと思っています。
 同じ趣旨でいうと、テクノロジーを使って郵便事業、宅配事業の経費を抑えたいとか、足りなくなっている労働力供給を一部助けたいという意味では、従来からご報告しているとおり、自動運転の車等の様々な実験はやっているのですが、時間軸で考えると、実際に収益に数字として貢献してくるにはもう少し時間がかかると思っています。ただ、やっていかないとそういう日が来ないので、実験として着実に進めていきたいと思っています。
【記者】
年末が近づいてきまして、ゆうパックの最繁忙期を迎えるわけですけれども、昨年は何とかなったと思うのですが、今、足元では昨年来から比べると、ゆうパックの前年比での増え方というのは落ちついてきていると思うのですけれども、人繰りのところは、どの程度確保というか、目途がついているのかというのが一つと、それから、ゆうパックにかかわりますけれども、来春から指定場所配達、所謂置き配達の拡大が始まると思うのですが、できることと、できないことというのは当然あるかと思います。このあたり、長門社長はどのようなご期待というか、当然不在配達を減らせるという効果はあると思うのですが、どの程度消費者がこれを選ぶというか、反応するというか、今の段階でのお考えをお聞かせください。
【社長】
ご質問が2点あったと思うのですが、1点目は、主に人員問題だと思いますが、年末の繁忙度が増してくるときに、宅配便業務における人員の手当ては十分なのかというご質問だと思います。
 一昨年の経験を踏まえて昨年は、様々な準備をしました。昨年の場合は、特に9月以降eコマースが増えているとか、少しライバル会社の値上げの問題があった等のもろもろの事情から、日本郵便のほうに非常に多くの物量が流れてきました。9月に対前年ベースで3割ほど物量が増えて、10月からは、ずっと2割を超えて、翌年の3月ぐらいまで続いていくわけです。
 12月というのは、お歳暮がある関係で、私どもの数字で見ると、通常の月より物量ベースで5割増しぐらいになる月であり、9月から非常な勢いで物量が増えてきましたので、この分だと大変だということで、一昨年、様々な手を打ちました。前広に非正規の方を集める等、それでも不足することから、コストは高くなりますが人材派遣会社も活用し回しました。この実情を踏まえて、昨年はかなり前から、人材派遣会社への手当ても含めて準備してきたところです。今年は、その昨年の実績を踏まえて準備を進めておりますので、現状、労働供給力という面では、十分目配りしているという印象です。
 ご案内のとおり、公表ベースでは、ゆうパックとゆうパケットを含んで公表している物数は3割増ではありません。逆算すればゆうパックのみの物数がわかってしまうと思うのですけれども、4月からの数字を申し上げますと、対前年ベースの数字は月ベースで4月から、対前年同月比プラス21.2、18.0、8.5、6.0、8月は2.7%と、落ちてきています。9月はまだ公表しておりませんが、この落ちてきているトレンドが続いていると思っていただいて結構です。
 ただ、9月は、2営業日少ないことや、大雨や地震といった災害がどのぐらい影響しているか検証できていないのですが、そのような要因があり、落ちてきているのは当然と考えています。ただ、落ちてきているからといって、前年比がゼロでも、12月は通常月の5割増ですから、これに対応できるように、人員手当ては目配りして十分やっております。
 2点目は、おっしゃるとおりいろいろな工夫をして、我々の労働逼迫の対応策や、お客さまに無駄玉にならないように指定場所配達等の手を打っています。ただ、これによって具体的にどのぐらい効率的になるのかは、やってみないとわからないところがあるので、大幅に減って楽になるというような油断はしないで対応しようと思っております。
 昨年も同様の質問があったのですが、仮に大幅に減って大きな効果があったとして、それにもかかわらず人を手当てしていて、物増よりも多いということはあり得ると思うのですが、人件費の負担と宅配便増による収入増の効果では、やはり後者のほうの影響が大きいものですから、仮に物増よりも人の手当ての方が多いということになっても構わないと思っており、油断しないで見ているというのが現状です。
【記者】
先日、砂漠のダボス会議があって、日本の金融界、ソフトバンクの孫さんも欠席するなど、欠席が相次いでいるのですが、出欠の状況ですとか、あの事件によってサウジマネーがちょっと不信感を招いていると思うのですが、日本の産業界とか金融界への影響をどう見ていらっしゃるのか、お考えをお願いします。
【社長】
私見で申し上げますが、3点あります。まず1点目、サウジアラビアをどう評価するかということですけれども、今の国王、その右腕である皇太子、実質的には皇太子が現状のサウジの改革を進めている張本人だと思います。いいところは、例えば、女性が公道を堂々とドライブできるようになったことや、映画館に行けるようになったこと等、国を開放しようと思って努力しているところは、実績も出ており、プラス面だと思います。
 1973年に第1次オイルショックがあって、長い目で見ると、セブンシスターズが牛耳っていた石油についての覇権をOPECが握り戻したというところから始まり、ガスも含めた石油収入でやっていくということでOPECに非常に多くのお金が入ってきます。そのお金で国のソブリンファンドを作って、投資していくというビジネスモデルでした。しかし、今の皇太子の考え方は、それでは不十分で、もっと違う産業を興し、石油収入以外でも持続的に成長し、成り立っていける国にしたいということを狙っていると思うので、そういう路線を打ち出したとことは、プラス面だと思います。
 ただ、マイナス面のほうは、OPECの中で圧倒的に産油量が多く、1,000万バレルを超える生産量をずっと長らく出せる国なので、一番強いのもあってか、やや改革を急ぎ過ぎているのか、少し力に過信があるように見受けられます。例えば、従来からイエメンと小競り合いがありましたけれども、かなり大々的な軍事介入をして、シリアと見まがうような、ひどい状況にイエメンが今、置かれてきてしまって、ますます混迷を深めています。また、普通、ガスというのは石油の上にある随伴ガスが多いのですけれども、ものすごい構造性ガスを持っている大国であるカタールは、私自身、カタールの最初のLNG、400万トンの取引、中部電力案件を担当したこともあるので思い入れがあるのですけれども、サウジアラビアとはっきりと国交断絶しています。さらには、イランとは昔からシーア派、スンニ派の関係で仲が悪いのですが、そのイランと真っ向から勝負する等、非常にけんか腰でいろいろやっていて、危険なところもあると考えています。
 いいところもあり頑張ってほしいのですが、若干危ないところもあるというのが一つあります。
 2点目ですが、砂漠のダボス会議の出欠については、事件が起こって直ちに、アメリカのビジネスラウンドテーブルで現在一番の発言者であるブラックストーンのシュワルツマンCEOは真っ先に不参加を表明し、JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEO、ブラックロックのラリー・フィンクCEOも行かないと表明しました。これを受けてか、三菱UFJ銀行の三毛頭取も、代わりに副頭取を参加させたわけですけれどもご自身は不参加を表明しました。最初からメガバンクのトップが行くと言っていたのは、多分、三菱UFJ銀行だけだと思うので、やめると発言をしたのも三菱UFJ銀行だけだということだと思います。私どものほうにもご招待がありました。私どもはご承知のとおり、運用を主にしております。ゆうちょ銀行の210兆円の運用のうち、約9割以上はシングルA以上、主に先進国の流動性のあるボンドを狙うと言ってやっておりますので、サウジアラビア等、中近東への関心度がやや薄いということもあって、ご招待を受けておりましたけれども、最初からお断りしていました。
 3点目に、これからどうなるのかということですけれども、やはり大変なことなので、当然、各国とも非難するでしょうが、国交断絶するにはあまりにも世界経済におけるインパクトが大きい国なので、皆さん熟慮しながらやっていくのではないかと思います。サウジアラビアは膨大な投資を世界中でやっていますので、マーケットへのインパクトが、ボンドの世界でもエクイティの世界でもあるでしょうから、世界経済、世界市場に大きなインパクトがない範囲でペナルティを科すというような対応をされるのではないかと思っています。
 日本も9割以上の資源を外国に頼っていて、特に原発の問題以降は、ガス、LNG、原油のインパクトは非常に大きく、その中で最大の取引国がやはりサウジアラビアです。しばらくはいろいろ議論があるのでしょうが、それが長期に続くという状況にはならないと思っています。結論的には、マーケットへのインパクトは、他にも米中の貿易摩擦等たくさんありますが、これも当面一つの材料に取り上げられてマーケットが一喜一憂するという局面は幾つかあるかもしれません。しかし、長期的な時間軸で考えると、マーケットへの波乱要因としてのサウジアラビアというウエートは落ちてくるのではないかと個人的には思っています。
【記者】
郵便物流の話に戻りますが、先ほど、ゆうパックの取り扱い、昨年に対する伸びがちょっと落ちてきているというお話で、やはり昨年から1年経ちまして、他社の動きとか、そういうのも、そこから1年経って落ちついてきたと思うのですが、一方で、個人向けの小口の基本運賃を上げたり、法人顧客に対しては値上げのほうも進めてらっしゃって、その辺の影響も多少あるかと思うのですけれども、今後人手不足が続くと、あるいはこういった繁忙期の人手だとか、外部の委託業者の確保とか、こういうところでコストはそれなりにかかるわけですが、今後、利益とシェアのバランスについてどうお考えかというのがまず1点目の質問です。
【社長】
宅配便の量の問題だけ申し上げましたけれども、我々は量掛ける価格の収入を見ておりますので、今、昨年9月からもうかなり物量が増えていたわけですけれども、それは落ちついてきているというのは当然と思っており、あまり焦ってはおりません。当然ながら、昨年9月からの2~3割増の状況が続くとは思っておりません。昨年1年間で物量が約26%伸び、マーケットシェアも15%から20%になっていると思います。それはそれで大変うれしいことなのですけれども、ご承知のとおり3月1日から小口のリテールについて値上げをしています。全体のボリュームの中の約1割にすぎないので、大きな部分ではないのですが、公表しているとおり平均12%値上げをさせていただきました。ご指摘のとおり、法人のお客さまについては、これは常時見直しをしているのですが、こちらはかなり大胆に値上げをしようということでやっておりまして、いよいよ効果が出てきているという手応えを最近ますます感じてきている状況です。
 決算発表が11月中旬になりますので、まだ確たる数字を申し上げる段階にないのですけれども、物量が落ちてくるのは当然だと思っております。昨年までのスピードが続くわけがありませんし、価格を上げましたので、お客さまの立場では、仮にライバル会社と同じような価格になったらどのように配分しようかと考えるはずで、私どもだけに一方的に来るとも思っておりませんので、物量がある程度落ちるのは構わないと思っております。大事なのは価格のほうだと考えておりまして、ここはしっかりとやっていきたいと思っております。かねてより申し上げているとおり、日本には無料のものが四つありました。水と空気と安全とグッドクオリティサービスです。これがあったので、日本のサービス産業の生産性が低かったと思っております。
 日本のサービス産業の生産性が低かった大きな理由は、やはりサービス対価について、費用投入分に即応した十分な収入がとれなかったところが大きいと思います。ホテルオークラや帝国ホテルのホテル代が、四流のホテルと同じような値段だったらおかしいのであって、そういうことがようやくこの世界でも始まってきたと思っており、今、手応えを感じているところです。
 ただ、これも、実質的に毎年見直しをやっていたのですが、上げるというレベルで大きくやってきたのは昨年後半からです。今、手応えを感じているのはその成果だと思いますが、この勢いが永遠に続くかはわかりません。お客さまとの相対の交渉になりますが、私どもは少なくとも投入するコスト分はしっかりいただくという構えでやりたいと思っています。損をしてまでも量を取るということはもうやめようという方針でやっておりますので、値段についても、今後も相応に上げていけると今は思っています。
 来月の中旬に決算発表しますので、そこまで待っていただけるとご理解いただけると思います。
【記者】
今年の3月に引き上げた個人向けの小口の基本運賃もどこかのタイミングでもう一段上げていくということはあるのでしょうか。
【社長】
当面、その計画はありません。先ほど申し上げたように、数字で申し上げますと、大変失礼な言い方ですけれども、そこは全体の1割でインパクトが小さいということもありますが、当面、もう1回上げようという気持ちはございません。
【記者】
それともう1点だけ、ドローンについて、収益面、インパクトというか、それはまだ将来の話かもしれないのですが、空の移動革命とか物流革命、こういうものへの期待もおそらく大きいところかとは思うのですが、ようやく目視外、補助者なし飛行を行うということで、法整備が進んでようやくそこまで来たということなのですが、それでも、海外の動きを見ても、動きが国全体として少し遅いかなという気もするのですが、その辺のご認識をお願いします。
【社長】
国も頑張っていると思うので、引き続き頑張ってほしいと思いますけれども、おっしゃるとおり、技術はもうかなり来ていると思います。空で飛ばしているときに、もう1機のドローンとぶつかった場合、誰がどのように補償するのか、そのときに荷物まで落ちたときにはお客さまへの責任はどうするのか等、法制面がきちんとできていないと、商業化、全国ベースで大きな物量は出てこないと思うのです。
 テスラが事故を起こしましたが、この場合、誰が負担するかというので大きくもめています。無人自動車の問題もそうですが、法制面がきちんと整備されないと、なかなか実用化するには距離があると思っています。
 ただ、国も非常に問題意識を持っており、今回初めて国から承認を受けましたので、そうした問題を見きわめるということでもあり、一歩前進と思っています。もっと早くやりたいと思う気持ちもありますけれども、一歩前進したので、このペースで進めて欲しいですし、私どもも頑張りたいと思います。
【社長】
ありがとうございました。