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2018年1月30日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2018年1月30日 火曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
私の方から、3点お話をさせていただきます。
1点目です。年末年始の業務繁忙期の総括を報告します。おかげさまで、年賀郵便、ゆうパックとも、おおむね順調にお届けができたと思っております。
 年賀郵便ですけれども、元日に15億4,300万枚、対前年比で93.8%を配達いたしました。皆さまのご協力も得ながら、早期に差し出していただいたこともあり、昨年同様、12月31日までにお引き受けした年賀郵便の約9割、前年は89.4%でしたけれども、元日に配達することができ、年賀状を楽しみにしていただいている皆さまにも喜んでいただけたのではないかと確信しています。
 今回、年賀葉書は52円で取り扱いました。幾つかの郵便局で誤った取り扱いは少しありましたが、事前にテレビコマーシャル、ポスター、チラシなどにより周知するとともに、皆様方に報じていただいたこともあり、広く周知され、大きな混乱はなかったと認識しています。
 次に、ゆうパックです。お手元に12月期の引受郵便物等物数のプレスリリースをお配りしていますが、ゆうパケットを除いたゆうパックは、対前年で約19.5%増となりました。例年、12月は通常の月の1.5倍ぐらいの取り扱いがあり、全体でも倍近い量の荷物を扱ったことになります。
 先月の会見でもお話しいたしましたが、幾つかの郵便局では一時的に最大で半日程度の遅れが生じたということがありましたけれども、大きな問題を起こすことなく荷物をお届けできたと思います。
 eコマース市場の拡大や、宅配他社の総量規制などによる、日本郵便への切り替えなどの増加要因はございましたけれども、事前にお客さまと交渉し、荷物の持ち込み時間を調整することで、業務の平準化を図るなどの対策も講じたり、アルバイトの確保が100%に満たなかったものの、配置を工夫するなどで荷物をお届けいたしました。最後になりますが、お客さまにはご理解とご協力をいただいたこと、また、例年にない繁忙の中、業務に尽くしてくれた郵便局の社員にも、改めて感謝申し上げます。
 若干蛇足になりますが、去る1月17日、全国物流ネットワーク協会の賀詞交歓会があり、その場で国土交通省の方から、他社の動向、あるいはeコマースの発展による荷物の増加がある中で、大変な量を何事もなくさばいていただき、大変感謝しているというようなお言葉もあって、同僚たちも大変喜んでいると思います。
2点目です。ダボス会議に参加してきましたので、私の印象を簡単にご紹介したいと思います。
 昨年は習近平国家主席が来られて、彼が主役の1人ではあったのですけれども、参加しなかったトランプ大統領が大きな主役だったと感じております。今年のオープニングは、インドのモディ首相、それからドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、カナダのトルドー首相、イギリスのメイ首相と、いろいろ多くのVIPが来られてお話をされていましたけれども、やはり主役は最終日に現れたトランプ大統領だったという気がしております。マクロン大統領、メルケル首相も、口を極めてグローバリゼーションが大事だ、二国間の交渉よりも多国間の合意が大事なのだということを主張されておりましたが、多くのスピーカーの方々が最後に現れるトランプ大統領を意識してご発言をされていたという印象です。
 トランプ大統領は、最終日の金曜日午後2時にスピーチの時間がセットされたものですから、私を含めて多くの方々は、スピーチがセットされる前にフライトを予約していたため、彼のスピーチだけは生で聞けなかったのですけれども、アメリカファースト、米国第一は米国単独を意味していないというようなことを何回もおっしゃって、その中にTPPもという言葉もありましたので、おとなしいご発言だったのではないかと思います。私自身も、ムニューシン財務長官と近い席でディナーをご一緒したり、ケビン・マッカーシー米下院共和党院内総務とお話をする機会等あったのですけれども、当然ながらトランプ大統領の仲間でもありますので、非常に強気で、減税等で大変な成果も上げているし、何と言ってもマクロ経済も良いし、株価も良いと、みんな中間選挙で苦戦すると言うけれども、いろいろ票読みをしてもそんなことはないと。共和党の発言ですので、相当割り引く必要があると思いますけれども、自信満々だったという印象です。
 二つ目の印象ですけれども、やはり怖いぐらいに皆さん大変、楽観的で、世界経済、非常に好調だと。全体で非常に好調であまり死角がないという意見が多くありました。もちろん、最大のリスクは米国で緩和縮小が始まっていて、国内の金利が上がりそうだと。ヨーロッパも金利が上がるまでは相当時間がかかると思いますけれども、QEの出口に差しかかっている局面にあって、そういうことが起こったときに、本当に絶好調の国際経済は大丈夫なのだろうなという声は、決してなくはないんですけれども、おおむね世界経済は大変好調というのが全体のトーンでした。
 三つ目。そんな中で、お薦めの投資先として真っ先にジャパンというのが挙がってきておりました。エマージングマーケットも含めて、オープニングスピーカーがインドのモディ首相だったこともあるのかもしれませんけれども、エマージングマーケットと同時にジャパンが買い時というのが大方のご意見でした。安倍政権、この前の選挙でまた安定し、既に5年、ひょっとすると2021年までの9年間、1人の首相がやられると。潜在成長率は1%もないのではないかと言っていた日本経済が、瞬間風速2%を超える実質ベースのGDPで伸びている。株価も好調ということで、日本が非常に好調だと、皆さん、ひとしくおっしゃっていて、Buy my Abenomicsというのは、安倍首相ご自身が日本を買えと、こういう宣伝文句でおっしゃっていた言葉ですけれども、We want to buy Abenomicsというような言葉がですね、あちらこちらから聞こえていたのが3番目の印象です。
 それが全体観ですけれども、今回のダボス会議は、日本にとっては特にTPPというのが一つのキーワードだと思います。TPP11は、カナダが最終的に合意できないというので、最終合意にいま一歩至らなかった経緯があったと思うのですけれども、ダボス会議でカナダのトルドー首相が、「TPP11、我々はやる」と言って、TPP11のクロージングについて宣言をしていました。NAFTA等が大変苦戦していますから、そんな簡単にアメリカは乗ってこないと思いますけれども、あのトランプ大統領がTPPという言葉を言ったというのは、日本にとっては一つ、示唆に富むテーマだったと思っています。
 個人的には、インドのモディ首相、インドの経済規模が2025年までに5兆ドルに達すると、今の日本の経済水準に追いつくと宣言をしたり、マクロン大統領が、2021年には石炭を使用した火力発電所をゼロにする等、数字を含めていろいろ議論していて、非常に熱い、パッションのこもったスピーチをされていました。去年の習近平国家主席も、当初20分の予定を1時間もスピーチしていたのですけれども、今回は、メルケル首相もマクロン大統領もモディ首相も、皆さん1時間程度スピーチしていましたので、やはり政治家の方々は熱いという印象を持ちました。
 このほかのインプリケーションは二つありまして、一つはブレグジット。私は少し、日本の企業の対応は甘いのではないかなと思いました。EUの中のイギリスというファンクションはあまり期待できないと。もちろんNATO等の違う分野でのイギリスのEUとの協調というのは必須だと思うのですけれども、例えば銀行免許等含めて、かなり英国は苦戦するなという印象を皆さんが世界中で持っていると思います。少し日本の方でまだ何とかなるのではないかというような期待を持っている節があるのではないかと、少しブレグジットは相当大変なことになりそうというのが一つ目の印象です。
 もう一つは、インダストリー4.0ですけれども、これはマクロン大統領のスピーチの中でも、モディ首相のスピーチの中でも、メルケル首相のスピーチの中でもありましたけれども、やはりデータがこれからの産業の米であると。そのデータを一部のアメリカ企業が独占している、あるいは寡占していると。これはちょっと問題で、何とか工夫して、これを全て、みんながこのデータの恩恵を享受できるような仕組みを国としても考えなければいけないというのが多くのビジネスマン、政治家の声でした。AI、クラウド、IoTの時代ですけれども、このデータを大きな財産として世界で共有しようという声が大変に強かったというのが印象です。
3点目です。ゆうちょ銀行とかんぽ生命両社でプライベートエクイティファンド等と共同して企業に直接投資することを目的とした新会社を設立することになりました。一昨年の4月からゆうちょ銀行ではオルタナティブ投資を開始していますが、その中の一環としてPEファンドへの投資も開始しています。昨年9月末、第2四半期末のベースで、ゆうちょ銀行がコミットしているPEファンドへの投資金額が1.3兆円です。実際に投資されている残高が2,800億円というような状況なのですけれども、これは全てリミテッドパートナー、LPとしての投資です。この案件は、ジェネラルパートナー、GPとして投資をしようということで、ある意味では、この会社自身がPEファンドの運営会社になるというスキームです。
 全体感で申し上げますと、ゆうちょ銀行の運用資産約200兆円のうち、コミットした数字ではありませんが2%程度、多くても3兆円から4兆円程度を6年から7年かけてPEファンドの残高を積み上げて、いろいろとやっていこうと思っている中で、他のグローバルな投資家を見てみると、自らがLPとしてPEファンド投資している中でも、3割ぐらいはGPとなって投資をしているというのがグローバルな現状です。私どももそのように進めていこうと、まず歩を進めたのが今回の案件です。
 目的は、GPに払っている手数料、費用を内製化する等で収益アップを図りたい。また、自らがGPになることによって、ノウハウを蓄積したいということもあります。
 今、日本の経済で少し足りないものは、資本性の出資の担い手が少ないと思っており、この一角を担いたいと思っています。幸い、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は中立的な性格の金融機関だと思っておりますので、もう少し日本製のエクイティの担い手がいてもいいのではないのかなと、まだ時間がかかりますけれども私どももその一角を担うプレイヤーになりたい、一つの看板業務にしたいと思っています。第三者の資金も受けてやっていきたいと考えています。
 概略、内容を申し上げますと、資本金は当初15億円を考えています。優先株が約95%で、約5%が普通株と考えております。普通株が5,000万円。議決権の構成は、ゆうちょ銀行が50%、かんぽ生命が25%、新会社の役職員で25%です。スタートして1年ぐらいで社員30名程度を考えており、1号ファンドは最大1,200億円程度を考えています。GPとなって事業責任を抱える投資の開始になります。本日のゆうちょ銀行の取締役会で決定したところです。かんぽ生命も経営会議協議が完了しています。2月中に新会社を設立し、ファンドの営業開始は、できれば3月中にはスタートしたいというスケジュールを考えています。
 銀行本体ではなく新会社とした理由は、銀行としては5%までしか投資できない、あるいは投資できる業態に制約があるが、子会社としてはGPとなって、ファンドとして取り組むことで、投資できるということです。
 人材、組織ですが、社長にはゆうちょ銀行の清水常務執行役員を充てる方向で考えたいと思っています。
 対象になる案件ですけれども、組織として四つぐらい部をつくり、マジョリティーはバイアウト案件になると思いますけれども、ベンチャーへの投資、事業再生そして、地方創生にかかわる投資についても、これからGPとしては、このビークルを使っていきたいと考えています。
私からの報告は以上です。あとはご質問を受けたいと思います。よろしくお願いします。
【記者】
3問お伺いしたいと思います。今、説明のあった新会社の件なのですが、最初の案件が1,200億円を考えているということなのですけれど、これはいつ頃なのか、またそのめどが立っているのかということと、ゆうちょ銀行がこれまでやってきた事業投資というのは、その考え方としてはこれまでどおりやっていくのか、新たにやっていくのかと、そこをちょっと確認させてください。
【社長】
ゆうちょ銀行がこれまで行ってきた案件というのは、地域金融機関と一緒に組んでLPとして入っていって、金額も案件によりますが1億円から5億円規模でこれまで9件ぐらいやってきていると思うのですけれども、これは従来どおりLPでやります。地域金融機関と組んでやる案件のみならず、何か仮にLPとして入る案件がほかにあるかもしれません。今お話しできるような案件はありませんけれども、あったとした場合には、引き続き、ゆうちょ銀行自身でやってまいります。
 これは地方創生に貢献したい、私どもは融資はできませんが、エクイティはできます。できることなら自分だけで単独でやるのではなく、これまで地域金融機関の皆さまと行ってきた案件は、現在9件ですが、このような案件は今後も行っていきたいと思っており、従来どおり、ゆうちょ銀行は地域金融機関と一緒に取り組んでいくということです。
 それから、1,200億円のつくり方ですけれども、当初は、ゆうちょ銀行とかんぽ生命と新会社の役職員だけで出資し、お金を集めます。当初は、ゆうちょ銀行が600億円、それから、かんぽ生命が300億円拠出して、900億円つくるという資金規模を考えていて、これは会社を設立して業務を始めるときに、すぐに始めます。残りの300億円ですけれども、これは第三者を検討しています。今はまだ話していませんし、打診してはいないのでわかりませんが、同じようなことをやりたいと思っていらっしゃる方がいるのではないかと思っていますので、これからお話をして、ご関心があって、私どもと一緒に組めるというところがあれば、その資金をお受けして、300億円入れて1,200億円にしたいと考えています。このタイミングは業務が安定してからと思っておりますので、例えば半年後とか、あるいはもうちょっと時間かかるかもしれませんけれども、そのようなタイミングでお受けしたいと思っています。
 ニーズがない場合は、自分たちで出すのか、そのときに考えようと思っています。
【記者】
最初に説明いただいた年末年始の繁忙の件について関連でお伺いしたいのですけれども、年賀葉書が今回、期間限定で52円、期間が過ぎると62円ということで運用されたと思うのですが、全体的に大きな混乱はなかったという総括でしたけれども、一部の郵便局ではちょっと配達のミスもありましたが、ことしの結果を踏まえて、来年、例えば料金を統一するとか、52円の期間を変えるとか、何か修正を考えているのか、もしあればお伺いしたいと思います。
【社長】
検討します。まだ決めていません。私ども、年賀葉書を52円に据え置いたのは、やや僭越ですけれども、普通の葉書は一枚一枚お配りさせていただくわけですけど、年賀状はまとめてお配りするので、コストが一枚一枚の通常の葉書ほどかかっていないのです。そうであれば、23年ぶりに昨年6月1日に10円値上げさせていただいたのですけれども、それはお客さまに失礼かなというような感じもあったので、52円に据え置きましたが、複雑になるとか、わかりにくいというような声もあると聞いておりますので、今回の情勢をよく整理して検討したいと思っています。現段階では何も決めていません。
【記者】
最後に、直近の話題でつみたてNISAが始まりましたが、ゆうちょ銀行の口座の申し込み状況、もし出ておればご紹介いただければと思います。
【社長】
昨年10月からつみたてNISAの口座開設のお申し込みの受付を開始しましたが、12月末時点での予約件数は約2万件。私どもの想定を上回って順調に推移していると感じております。聞くところによると日本全体の口座申込件数は約25万件ですが、その中の約2万件と考えると、順調なのではないかと自分自身では評価しております。
 好調だと思っている理由を自分たちなりに整理してみますと、ゆうちょ銀行の直営店233店舗全店と、投資信託取扱局1,415局で始めましたので、ネットワークがかなり広いというのが一つ。わかりやすい8商品に限定しましたので、お客さまから見てもわかりやすかったのではないかというのが2点目です。
 3点目は最低購入金額が1,000円。これは、他の銀行では1,000円から1万円といろいろ幅があるのですけれども、私どもは1,000円でセットしましたので、この辺が理由になっていると思います。
 今のところ、私どものオブザベーションですけれども、既存のNISAに比べて、私どもがターゲットにしたいと思っていた資産形成層、40代以下の方々も利用割合が高いというような傾向が出てきておりますので、ターゲット層に刺さったかなと、大変僣越ですけれども感じております。貯蓄から資産形成、マクロの一つのテーマなのですけれども、それにとっての有力な商品の一つと思っておりますので、今後も他の投信商品ともども、頑張っていきたいと思っております。
【記者】
新しくできるPEファンドについて、第三者からの資金を300億円ほど考えたいということですが、例えば、念頭に置かれている中に日本の地方銀行は入ってくるのでしょうか。もう1点が、集めた1,200億円の投資先ですが、当初は、日本の中小企業みたいなところが、主なターゲットになってくるのか、それとも大きなところも手がけていきたいと考えているのでしょうか。
【社長】
300億円について、どのような方々が出資してくれるかは、打診もしておりませんので、まだ全くわかりません。狙っているところもあるのですが、私どもとしてはこれからある程度ターゲットを絞って、希望される方々がどういうレスポンスでくるかわかりませんので、様子を見ながら決めていきたいと思っています。ただし、投資案件が今そんなに潤沢にあるわけではありませんが、先ほど申し上げましたように、現在日本で一番欠けているのは、この資本性の出資金だと思っていますので、ニーズはいろんな投資家の方々にあるのではないかと思います。これから始めるのですが、ニーズはあると感じています。
 それから、新会社の人事関係ですが、社長を予定している清水はこの分野のプロで、日本郵政グループの中でも第一人者ですが、30人ぐらいプロのスタッフを集めようと思うと、もちろん我々この道のものすごいプロではないので、グループ内だけでは足りないのです。そこで、外部からも採用して始めようと思っていますが、私どものノウハウが十分にそろったと、体制が整ったと思うまでは不要に大きな案件は、リスクもあるのでやらないと思いますが、1,200億円を用意する。これはあくまでも1号ファンドですから、今後、この金額は案件の推移を見て増やしていきたいと思っていますので、日本郵政がつくったJPキャピタルとは違って、もっと大きい案件も対象になると考えています。
【記者】
スタッフというのは、30名ぐらいになっていけばいいとお考えですか。
【社長】
とりあえずはですね。あくまでも資金規模によると思いますが。社長だけ申し上げたのですが、リスク管理もあるし、企業ですので、監査役も必要なので、一部兼務も含めて、ゆうちょ銀行やかんぽ生命からも社員を出す予定です。新会社へ転籍する社員もいるし、兼務という形もあると思います。取締役は7名ぐらいで構成しようと思っていますが、当初全員、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の社員で選出しようと思います。プロのスタッフは、グループ中にもいるのですが、外部からも採用したいと思っています。
【記者】
先ほど6年から7年かけて、大体3兆円から4兆円ほどPEファンド残高を積み上げたいとおっしゃっておりましたが。
【社長】
これは、会社として決定した数字ではありません。あくまでもつかみです。
【記者】
つかみで結構です。その前提で結構なのですが、そのうちの大半は今回のJPインベストメントを使ってというふうになるのでしょうか。
【社長】
まだわかりませんが、その数字の中の内数と思っていただいて結構です。
【記者】
あともう一つ、やはりプライベートエクイティは、その性質上投資リターンを得るまでに時間がかかると思うのですが、収益化については結構気の長い話として腰を据えて考えているのでしょうか。
【社長】
LPとしてはそうです。GPはマネジメントフィー等が入ってきますが、それでも創業赤字、当然あります。金額が大きいですからね。ですが、LPよりはずっと早く回収できる手段はあると思っています。ただ、おっしゃるとおり、本源のところは、やはり上場して上場益を得るとか、リフォームしていい会社にして買ってもらう等ですので、当然ながらボンドを買ったらすぐ利子が入ってくるというほど簡単なものではないと理解しています。その覚悟でやるということです。
【記者】
プライベートエクイティの出資業務はいろいろな金融機関、官民ファンドも含めて、なかなかご苦労をされていると思うのですが、その中で自信はどれくらいお持ちでしょうか。それとゆうちょ銀行、かんぽ生命とほかとの違い、強み、そのあたりの考え方をもう少し詳しくお願いします。
【社長】
自信があるのかということですが、少なくとも当初は、ほかのファンドと違うアプローチをしようと思っています。一昨年の4月からオルタナティブ投資を含むPEファンドの投資をLPとして始めたのですが、門前市を成すと。やはりかんぽ生命が80兆円、ゆうちょ銀行が200兆円持っているということで、名だたる海外のファンドのトップが、このオフィスに来て、私どもに一緒にやらないかというのがありました。そういうことを話している中で、引続きLPとして大きな金額を張っていくのか、それとも、やはりリターンをもう少し高めるような、しかも我々自身にノウハウがたまるような、もっと自分で深くかかわっていけるような案件にGPとして入っていった方がいいのではないかというような考えもありまして、やろうと思っています。
 ですから、最初は、日本のファンドに多い中小企業の事業承継等に一部絡むというような方法ではなくて、大手の有名なエクイティファンドが行う案件にセカンドのGPとして、そこに相乗りするというような手法を当面考えています。案件抽出とか、本当にGPとしてこなせるのかとか、そのような種類の悩みが出てくると思いますが、日本にあるほかのPEファンドとは少し違ったスタイルになるのではないかと感じています。
 二つ目ですが、やはり私どもは本業があります。ゆうちょ銀行もかんぽ生命もですね。お客さまにいろいろ貢献するということはありますが、もう一つの姿は、200兆円ある、80兆円ある、こんなに大きな資金で投資活動を行う宿命を背負った組織はあまりないと思います。しかもゆうちょ銀行の場合は、銀行ですが融資が全く許されていないということですから、エクイティ業務を業務の中心の一つに据えていきたいと思っています。
 そういう意味では、私どもは、非常に向いているのではないかなと感じています。また、非常に中立性もあります。まだ声をかけていないのでわかりませんが、第三者のお金も集まる余地もあるのではないかと思っていますので、あえて300億円別枠をつくり、そういう努力をしようと思っています。その辺がおそらくこの会社の特徴ではないかと思っています。
【記者】
ゆうパックの取扱数についてお伺いしたいのですが、この1億686万個というのは、単月で見ると過去最高と捉えてもよろしいのでしょうか。また、対前年比25%増えた要因もお願いいたします。
【社長】
前者はそう思っていただいて結構です。私どもから見れば過去最高ですね。
 後者ですが、こればかりはまだ本当に宅配他社から流れてきているのか、単にeコマースが爆発的に増えてこの数字になったのかよくわかりません。よく宅配他社がすでに値上げして、私どもは3月1日からの値上げにしたので、日本郵便の方が安いから来ているのではないかという話もありますが、私どもが今年の3月1日から値上げを平均12%させていただくと言っているのは、CtoCの部分です。日本郵便が扱っている宅配便の中のCtoCのシェアというのは、ラフに言うと1割ぐらいです。したがって、この部分だけで2割強増えるというのは、少し考えがたいと思っているので、一部、宅配他社からも流れてきているのではないかと類推しているのが現状です。ですから、自分たちのシェアだけで増えているのではなくて、やはりかなりの量が、宅配他社さんがかつて扱っていたものがこちらへ来ていると。聞くところによると、宅配他社は少し調整をして、お客さまの荷物の量をコントロールしているという話も聞きますので、そのうちの一部が来ているのかもしれないと感じていますが、精緻な分析はもう少し数字が整ってから改めてして、ご報告申し上げたいと思っています。
【記者】
年末に関してですが、先ほど1万個ぐらい遅れたということですが。
【社長】
377万個のうちです。私どもはむしろ大過なくやれたなという感触を持っていて、でも一部あったので正直に申し上げたということです。大変でしたが、本当にうまくいったと思っていただいて結構です。
【記者】
あと現場での長時間労働とか何か把握されていたり、問題があったりということはなかったでしょうか。
【社長】
アルバイトもその分予定して一生懸命採用して、それでも足りないので、前年度も一部やったのですが、人材派遣。当然、単価が高くなるのですが、それも承知で、前年度よりもずっと多い人数をあらかじめ頼んでいたり、それでも足りないので、本社・支社の社員を動員したり、非常に緻密なオペレーションリサーチの数字をつくって対応しましたので、そういうことにはなっていないです。
【記者】
楽天の三木谷社長が、自社物流網、自社配送網を今後2年以内に構築をするといったことを、出店者向けの講演で発表されまして、御社とも深い関係があると思います。郵便局で楽天の商品を受け取るといった取り組みもたしか昨日発表されたと思います。
 楽天が考えているものは、例えば大手私鉄のネットワークを使って沿線の人に宅配をするとか、いわばECに特化したようなサービスを考えているようなことをおっしゃっていました。宅配便に関してはCtoCというのがメインで、やはり非効率な部分があるのではないかということを三木谷社長がおっしゃっていまして、一緒にビジネスをされているお立場ではあるのですが、こういった、アマゾンも含めて、eコマース各社で自社物流網構築の動きが広がっていくことについて、御社としてどのようなご見解なのか。当然このeコマースの振興を取り込みたいというのはかねてから長門社長もおっしゃっていたと思うのですが、このあたりのご見解をお願いします。
【社長】
1月29日、楽天さんから郵便局で受取りサービスの開始をしますという発表をしました。これは、ウイン・ウインの関係で、ラストワンマイルのデリバリーを誰に頼むのか。結局、私どものこのラストワンマイル、どんどんeコマースで増えてきているわけですが、困っているのは、再配達になってしまい、労働力を中心にコストアップになる。当然ビジネスですから、仮に、楽天さんの商品を取り扱ったときに、何回も何回も再配達をやるとすると、当然その分のコストの一部を持ってほしいという交渉が始まるわけですよね。これが郵便局へ一回のデリバリーで終われば、その分のコストが低減できるわけです。楽天さんは、はこぽすと同じ発想で、ここに持っていったらおしまいにしたいというところの一つとして、郵便局を考えたということなのです。私どももここで受け取ってもらえれば、お客さまが取りに来てくれるわけですから、とても助かるわけです。
 そういうことで、昨年4月5日に楽天さんと日本郵便で共同発表させていただいて、eコマース物流における不在再配達削減に向けた楽天さんと日本郵便の連携の強化について検討を始めるというのを宣言したのです。それに基づいて今回合意し、きのうの発表になったということです。私どもはラストワンマイルのデリバリーが最後の生命線になりますから、こういう形で有力なプレイヤーと組めるのであれば、大変いいと思っておりますし、私どもにとってもこれはいいチャンスと感じております。
【記者】
春闘が始まって、安倍首相が3%の賃上げをと経済界に要請しています。それで、こうした働き方改革で残業規制やら同一労働同一賃金が今国会で議論されています。その中で、社員40万人のうち20万人の非正規社員を抱える郵政にとって大きな問題であると思うのですが、今春闘に対する取り組みと今後の姿勢をお聞かせ願います。
【社長】
第一に、3%の水準はともかく、アベノミクスの大事な一つとして、個人消費を喚起したいと。今の日本経済、実質ベースで瞬間風速2%伸びている中で、エンジンになっているのが輸出、設備投資、在庫投資だと思うのですが、個人消費がいま一つはねていない。3年連続、従業員の財布を大きくしているのですが、そんなに伸びてないと。したがって、財布を大きくしてくれというのはよく理解できます。それが1点目ですね。
 それから、2点目に働き方改革。大変に大事なテーマで、従業員それぞれ、非正規を含めて、毎日元気に会社に行けないようでは、意味がないので、働き方改革を、従業員がハッピーになるように、具体的にいろいろ対応策を考えています。とても大事な日本の現代のテーマだと私どもも感じておりまして、できる範囲でやれることはやりたいと思っています。
 3点目に春闘。3%のバーがあるときに、日本郵政グループどうするのかというのは、春闘のまさにテーマになりますので、組合からの提案をもらって、私どももそれを受けとめて、業況や体力もよく考えて、何ができるのか、できないのか、誠意を持って組合側と議論をして、できる範囲で精いっぱい回答していきたいと思っています。
 まだ春闘の議論が始まっておりませんので、不用意な数字は言えるタイミングにございません。ただし、きちんとマクロでこれがテーマになっていることを承知した上で、組合からの具体的な要請も聞いた上で、誠心誠意、彼らと議論してまいりたいと思っています。
【記者】
先ほどのファンドの件で2点あるのですが、こういったLPでやっていらっしゃる業務に近いと思うのですが、ファンドというのは地方銀行でも各地でつくって、各地の企業であるとかベンチャーでやっていこうという機運は結構あって、起こってきているのですが、なかなか実績が出しづらいと。ゆうちょ銀行、かんぽ生命でつくるものが、そういった地域でやっているファンドと対立するとか、投資先がかぶるとか、そういったことが起こり得ないのか、そういった地方銀行との関係というのは、これはどのように見ていらっしゃるのかというのが1点あります。
 あともう1点は、預かっている莫大な資産ですが、投資になるとリスク性も少し出てくるのかなと思うのですが、そのリスクを抱えていくというところに対する今のお考えを聞かせてください。
【社長】
地域金融機関と取り組んでいる地方創生エクイティファンドは、ゆうちょ銀行が引き続き地域金融機関と合意できれば、一緒にやっていきたいと思っています。苦戦しているのではないかというお話がありますが、ゆうちょ銀行がこれまで行うと言っていたオルタナティブ投資、エクイティファンドといった対象案件よりは金額的には小さい案件ですけれども地域振興のためには大事な案件と思っています。
 先ほど大事なポイントを申し忘れたのですが、一般的に銀行がやっているエクイティ投資、一部あるのですが、メガ銀行なんかも、有名なカーライル、KKR、ベイン、ブラックストーン等に出資していますが、LPとして100億円、200億円を出しています。金額は大きいのですが、決定的に違うのは、彼らは案件によってはコンフリクトがあり得るのです。貸し出しもしている、そしてエクイティもするという立ち位置になります。ゆうちょ銀行は貸し出しがありません。エクイティだけでやりますので、そういう潜在的なリスクはないというのが一つ特徴になります。これもあって、先ほど申し上げたように、日本での国内産業振興のために、エクイティが足りない中で、私どもとしては、ビークルとしてやりやすい立ち位置にいるのではないかと思っている一つの理由は、貸し出しがないというところにあります。ここがおっしゃった地域金融機関とのファンドと違うところかなと思っています。
 リスクは、これはエクイティを投資するわけですから、間違えたら全部失うということですので、大変にリスクがあります。だからこそ、最初は少なくとも、有力なグローバルなエクイティファンド、グローバルに限らず国内でもいいのですが、そこから来た紹介案件を一生懸命、分析して、精査して、リスク分析して、良ければ投資するという対応でやっていこうと思っています。GPになったら打ち出の小槌でどんな案件でももうかるなどということは全く考えていません。きちんと分析をした上でやっていこうと考えております。リスクが相当あり、しかも、回収等に大変時間がかかるわけですから、慎重にリスク分析もした上で投資の決定をしようと思っています。
【記者】
JPインベストメントについて1点お伺いしたいのですが、先ほどのお話の中で、銀行法上の規制などをクリアするために、今回、新会社を設立されたということだったのですが、そのところの解説をもう少し詳しくお願いできますでしょうか。
【社長】
出資業務を銀行はできるのですが、資本勘定の5%までしかできないという5%ルールがありますよね。エクイティファンドのGPを狙おうと思うと、企業に出資する金額はもっと大きいことが多いのです。したがって、銀行本体ではできないというのが一つ、理由になります。
 もう一つは、銀行法で銀行が出資する際に、何でもかんでもできるというわけではなくて、出資される業態については、これはだめというのがあるわけですね。銀行の出資が許されている業態に限界があるわけです。そこでまた銀行の制約がありますが、子会社としてはGPとなって、ファンドとして取り組むことで、投資が行えます。
 今回の会社設立に関して、監督官庁との関係ですが、これは銀行法上の届け出の対象です。また、金商法上、適格機関投資家等特例業務の届け出もしなければいけないという関係で、当然いろいろとご相談して、議論しながらここまで来ているということです。
【社長】
どうもありがとうございました。