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2017年10月30日 月曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2017年10月30日 月曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
はじめに、10月14日にご逝去されました西室泰三前日本郵政社長への哀悼の意を述べさせていただきます。
 西室氏は、2013年6月に弊社社長に就任されて以来、郵政グループの経営にご尽力され、2015年11月4日にはグループ3社の株式同時上場を果たすなど、郵政グループの発展に多大な功績を残されました。この場をおかりして、改めて西室氏に深い感謝の意を表しますとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
 なお、11月30日にお別れの会が開催されると伺っております。ご参考までにご報告いたします。
本日は、私から2件お話させていただき、皆さまからご質問を受けたいと思います。
1件目は、日本郵政キャピタル株式会社の設立についてです。
 日本郵政グループは、中期経営計画を踏まえて、トータル生活サポート企業を目指したさまざまな取り組みを行っておりますが、事業を持続的に発展させ、安定的利益を確保していくためには、既存の事業を発展させていくだけでなく、時代のニーズに即した新たな事業を育成していくことが必要不可欠と考えております。今般、このようなトータル生活サポート企業としての新事業の種を探すことを目的として、日本郵政グループのネットワーク、ブランド力等を活用して、成長が期待できる企業に対して投資を行うために、新たに子会社を設立することとしました。
 会社名は日本郵政キャピタル株式会社。資本金は15億円で、日本郵政株式会社100%出資の子会社として、11月1日付けで設立する予定です。
 新会社の代表取締役社長には、現在、かんぽ生命の専務執行役である千田哲也が就任いたします。千田は、日本郵政の専務執行役と新会社の社長を兼職することとなります。
 今後、この新会社において、成長性の高い企業への出資を行うことにより、中長期的なグループ収益の拡大を図ってまいります。
2件目です。2018年用年賀葉書についてお話しします。
 11月1日から、2018(平成30)年用年賀葉書の販売が始まります。今回は、在庫管理の徹底を図るなどして、昨年より若干少ない約26億枚を発行いたしますが、今後の売れ行きを見ながら追加発行を予定しており、最終的には前年並みの販売を目指します。  11月1日に販売開始セレモニーを、すてきなゲストにもお越しいただき、東京丸の内のJPタワーで行います。
 また、はがきの料金は62円に改定いたしましたが、年賀葉書は、12月15日から1月7日までに限り、52円で差し出すことができます。
 私からの報告は以上です。ご質問を受けたいと思います。
【記者】
2点ありまして、1点目はさきの総選挙の結果、自民党、公明党の与党が大勝ということで、アベノミクスの継続が見込まれております。日経平均株価が過去にない連騰をするなど株価上昇基調にある中で、ゆうちょ銀行、かんぽ生命についても株価が上昇傾向にあるのかなとお見受けしておりますが、こういった株価上昇というのは、今後の日本郵政グループへの影響をどのように見込んでいらっしゃいますでしょうか。
 それからもう1点目が、選挙公約に自民党は預入限度額、加入限度額の見直しを掲げておりました。これを掲げた上で自民党、公明党が大勝したという結果なんですが、グループの経営の自由度というのは増していく方向なんでしょうか。
【社長】
安倍政権、選挙して勝利と。米国ではトランプ大統領、イギリスでメイ首相、フランスでマクロン大統領と、おそらく安倍首相より以前から長らく政権にあるのはロシアのプーチン大統領とかドイツのメルケル首相ぐらいだと思いますけども、そのメルケル首相も、先般のドイツの選挙で議席数を大きく減らすということで、先進国のみならず、地政学のリスクがあちこちで起こっているときに、今回の選挙を通じて政権の安定を得たということは、日本にとっては経済をより成長せしめる土壌として、あるいは日本の外交力向上という見地から、大変によかったなと感じております。
 日本の経済。今、非常に好調で、先般、IMFの10月のリバイズ、見直しがあったときに、従来、日本のことしの経済成長率、0.3%上げて1.5%に上方修正したのですけれども、非常に日本経済、マクロベースが好調で、それを受けて、おっしゃったように株式市場等も好調な推移をしているということだと思います。政権の安定あればこその現象だと思っています。株式市場だけではなく、実体経済もいいし、あるいは為替レートもまあまあの円安の水準のところに来ているということで、マクロベースの経済への影響は全体的にフォローの風が吹いていると思っています。私どもも、ゆうちょ銀行で2兆円とか株式市場へ運用もしておりますので、含みも少し増えるということで、全体的なビジネスへの影響はプラスに効いてきていると思っています。
 限度額のお話ですけれども、今回の選挙に際して、自民党、公明党の公約の中に限度額を見直すというのをうたっていましたので、今回の選挙の結果を受けて、政府が今後、前向きに本件についても検討していただけるのではないのかなと期待しております。どうなるか、まだわかりませんが、現状ではそういう印象を持っております。
【記者】
日本郵政キャピタルについてですが、投資先というのは、とりあえずベンチャー企業といったものに限る、いわゆるVCみたいな役割のものなのか。あるいは、事業承継、そういったほかの案件に投資するということはないのかというのが一つ。それからもう一つの役割として、運用という点からも、やはりこういったビジネスに注目されているということでしょうか。
【社長】
ベンチャーというのは、要するに組織が小規模で新しいことをトライして、今後いろんな展開をしようと思っている企業であれば、私どもの投資対象になるという意味では絡んできます。
それから、事業承継等のために私どもが出資するのかということなのですが、今回の狙いはあくまでもトータル生活サポート企業として今後発展成長していきたいと思っている日本郵政グループの方向に沿った、種となるような企業を対象にして投資していこうということです。結果的に、そこが課題として事業承継の問題をたまたま持っているとか、端から見てベンチャーキャピタルに見えるとか、そういうことはあると思いますが、そこが主題ではなくて、あくまでもトータル生活サポート企業に資するようなM&Aにトライしてみたいというのが趣旨です。
 運用の一つとして考えているのかということですが、結果的に買収と投資をして、例えば何らかのリターンが来て、運用として成功した場合は、運用業務として尺度を測るということがあるかもしれませんが、あくまでも狙いはトータル生活サポート企業として、より発展するための種を探すプロセスとご理解いただきたいと思います。
 率直に、ここまで来た経緯を申し上げますと、かねてより日本郵政の経営企画部門で郵政グループの持続的な成長に資するものがあるのであれば聖域なく考えていきたいとM&Aを検討していますが、例えばトール社のような大型案件だけではなく、小型の、今回私どもが対象とするような企業からのお申し入れも幾つかございました。それらをいろいろ検討していた経緯があったり、一方でトータル生活サポート企業としてより成長していくために、どんな業務がいいのだろうか、どんな業種がいいのだろうかという検討もしているのですが、机の上で検討だけしていても、手触り感がなかったり、そこの業種についての的確な把握や十分な分析ができなかったという反省もあったのです。
 そうすると自分で、みずから出資したり、具体的に買ってみたり、いろいろ検討するということも大事なのではないかと思い至りまして、今回いろいろ検討し、リスク分析もした上でこういう方向に打って出ようと考えた次第です。あくまでも将来のビジネスの種探しの一環としてこういうことを考えているということです。
 若干の副産物もあるのかなと感じていまして、やはり具体的に買うときに、何でもかんでも買うのでなくて、相応にやはり私どもで投資基準を考えていて、こういうIRRを取れるな、こういうメリットがあるな、トータル生活サポート企業に合わないものは外すとか、もちろんいろいろなメルクマールがあって実行に移すのですが、ある関心を持って投資をした後、そこの会社をマネジメントすることによって、その産業についての見識や知識についてもいろいろノウハウを蓄積することができるでしょう。一般的な企業が100%子会社をつくったときに、そこに送る経営者は、もうそろそろ卒業間近の人で、最後そこで頑張ってくださいというような方を送ることもあり得ると思うのですが、私どもは、将来日本郵政グループを背負って立てるような可能性のある若い経営者をピックアップして、彼らに担ってやってもらうということも考えていて、もちろんその若い経営者を鍛えるため、教育のためだけではありませんが、副産物としてそういうことも展望して、もともと力ある経営者を送って、彼らにも成長していただきたい。また帰ってきて日本郵政グループを相応に支えてもらおうという人材の育成にもなるというのが2点目です。
 3点目。トール社のような大型案件のM&Aも、実施するときには相応のノウハウがないとスムーズに成功案件に導けない懸念もあると思っておりますので、今回の対象案件は相対的には小さい案件になるのですが、こういうことも通じてノウハウをあわせて蓄積していきたいというような副産物も同時に展望しております。そういう趣旨で今回やろうと思っています。
【記者】
今のキャピタルについてですが、例えば対象業種、具体的にどういった分野の種であるのか、例えば金融業であるのか、金融以外の不動産業であるのか、何か業種の方向性みたいなもののイメージはおありでしょうか。
【社長】
投資物件としてフィージビリティーなど、いろいろなメルクマールの問題を除きまして、業種で考えると広くトータル生活サポート企業になり得る業種であれば聖域なく検討したいと思っています。今の段階から、例えば広い意味での周辺も含めた金融業だけとか、ここの分野だけと限るのではなく、まず案件が来ると思っておりますので、自分たちで探すこともあるのですが、トータル生活サポート企業に資する方向の業種であれば、聖域なくきちんと検討対象に乗せたいと現状では思っています。
【記者】
そうしますと、ベンチャー企業みたいなものが対象になるのかなと想像もするのですが、ベンチャーですと、もちろん各企業の経営戦略でいろいろ投資を、小さい規模感で投資をしていて、その中から成長もあれば、ちょっと成長が見込めないようなものに結果としてなるものもあればと、そういうことも含めて、上下、上げ下げあるということを覚悟の上で、そういったベンチャーのようなものに投資をしていくイメージでしょうか。
【社長】
ちょっと誤解があるといけないのですが、ベンチャーキャピタルの定義にもよると思うのですが、ベンチャーキャピタルが仮に、いろんな案件に多数投資をして、全体的なリターンが上がればいいというものがあるとすると、私どもそういうファンド的なものに投資する狙いは、今はありません。トータル生活サポート企業の業務に資するかもしれないという業務をやっている企業体に投資をしようと思っています。私どもが投資するであろう相手方の企業から見ると、彼らから見ても私どもに投資されることにメリットがあるような業種の企業がいると思います。僭越ですが、例えば、日本郵政グループのブランドイメージを活用したい、私どもが持っている約2万4,000局のネットワークに乗せることにメリットがあると思っている企業というのはあると思います。それが私どもの対象になって、そこでニーズが合致して、先ほど申し上げたような投資のメルクマールを超えられるのであれば、進めていきたいと思っています。一般的にどこの企業体かというとまだわからないところもあるのです。幾つか考えているものもあるのですが、投資をしてみて、一体どういうところが一番多かったかなというのを見ないと、後の姿はまだ申し上げられないですね。
【記者】
キャピタルについて、具体的な業種はまだ限定していないということなのですが、投資する額、あるいは件数、見通しというのを、例えば、年間でどれぐらいというものがあれば教えてください。
【社長】
もちろん、いろいろある前提でつくっておりますが、公表はしません。申しわけありませんが、申し上げません。
 ただ、資本金は15億円と申し上げました。そうすると、資本準備金が幾らになるのかなと。これが1回で終わるのかと考えていただくと、多分、案件の出方にもよるので、案件が恒常的に来ると考えると、ことし1年間だけで出資しておしまいということにはならないだろうと考えています。では何年やるのかというと、計算するとわかるかもしれませんが、そのような規模で考えています。
【記者】
関連して、規模は全く違うのですが、例えばトール社の件では、事前の見通しの甘さなどもあったと思うのです。今回、特に対象がベンチャーになる可能性があるということですが。
【社長】
ベンチャーの定義によりますが、比較的小規模な企業です。
【記者】
その辺の見通しづらさというのもあると思うのですが、そのリスクの部分については、管理できるための体制をとれるのか、その辺はどのようにお考えですか。
【社長】
計数面の分析については、私どもも同様の経験を積んできております。ただ、トール社の件があったじゃないかと言われると、もうご指摘のとおりなので、相当エントランスの分析のところできちんとやらなければいけないと思っています。
 そこで、その人材はというと、経営企画部門や財務部門を中心に人材を登用しているので、十分、人材はいると思っています。
 ただ、買うだけではなくて、会社によっては単なる出資も展望しておりますので、M&Aだけではありませんが、M&A的なノウハウがあったほうがいいと思っておりますので、外部からの人材登用ということについても考えようと思っています。そういう方向で動く予定で、今、準備しております。
【記者】
日本郵便は、この間、サムライインキュベートとの共同事業を発表されて、ゆうちょ銀行やかんぽ生命も、独自で組める相手と提携等していくというような方向感があったと思うが、こういう状況下で、持株会社がトータルで、あえてこういうものをつくる意味を、改めてお聞かせいただきたいのと、あと、当初の人員、何人ぐらいで始まるのか。
【社長】
日本郵便の場合は、郵便物流事業の新規事業等についてのヒントを得たいという提携です。非常に目的が、日本郵便にとって合目的に、はっきり明確にスペシフィックに絞れるという提携をしたのが前回の日本郵便のケースです。
 かんぽ生命は、あくまでも今やっているかんぽ生命の業務についての延長線上で何かできることがあればやると。例えば、一番最近では、資産管理銀行に出資しましたけれど、自分たちが資産管理業務に関し、ノウハウを蓄積することを目的として、出資しました。また、ゆうちょ銀行の場合は、地域金融機関とのファンドがありますが、これも地域金融機関と提携して、地域に、ゆうちょ銀行の約180兆円の貯金を中心とした約200兆円の総資産の還元方法の一環として、本業の一部として行っている投資です。
 今回は、日本郵政グループ全体を俯瞰して、日本郵政グループがトータル生活サポート企業としてより成長するための大きな種を広く探していこうということですので、かなり俯瞰図が大きくなると思います。
 ゆうちょ銀行やかんぽ生命の、それぞれ自社の業務を推進するに際して、必然的に出てきたと思われる、かなり的を絞った投資や出資とは少し性格が違うとご理解いただきたいと思います。
 もちろん、例えば、金融関係のフィンテックの話であれば、当然ゆうちょ銀行と相談しますし、広い意味での保険業務にかかわるものでは、当然かんぽ生命と相談します。トータル生活サポート企業は、郵便局でやることを前提にしていますから、日本郵便ともコミュニケーションをしっかり取ってやっていくことになりますが、そういう意味では、かなり性格が違うとご理解いただきたいと思います。
 人員については6名です。ただ、兼務になっている社員もいますので、今後、少し増えてくる予定です。M&A等に精通した外部人材の採用もあると申し上げましたが、スタート時の11月1日は6名で始めます。
【記者】
キャピタルの話の続きですが、投資先企業のメジャーをとるような投資をすることもあるのでしょうか。
【社長】
大変ファジーで申しわけありませんが、もう企業次第なので何でもあり得ます。100%買う場合や事情によりマイナーな出資だけでとどまることもある。局面によっては人材を派遣することもあり得るかなということまで考えています。この会社をどのように見ていくのかというところが主眼になりますので、あらゆる形態があり得ると考えております。
【記者】
これまでもM&A関係の検討は社内でやっておられたと思いますが、分社化した狙いというのは。
【社長】
このミッションをきちんとやってもらおうというのが趣旨です。今まで検討していたM&A案件は規模が大きくて、例えば、トール社みたいに約6,000億円。例えが少し大き過ぎたかもしれませんが、そういう類いのものです。郵政民営化を実行していくにあたり、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の連結ベースの売上げや収益が将来減っていきます。そのときにも、日本郵政が日本郵便を持った会社として、隆々としてやっていけるような、売上げなり収益のカバーができるようなものというような狙いがあって、結構大物を狙っているわけです。今も虎視眈々と狙っているのですが、それとは少し違う話になります。
 例えば、ベンチャー的なスタートアップ企業を買収した場合に、ひょっとしたらその会社は、いずれ上場したいと思っているかもしれませんよね。その際に別会社の方が、そういう操作がやりやすいというのが一つ。それから、ここでしっかりと、どういう成果がこの会社として上がってくるのかということを評価する意味で、別会社の方がいいと思ったので、ミッションを明確にこの会社に与えてみるという見地から、別会社を考えました。
【記者】
先進的なサービスや技術を持っていれば、すでにいろんなところから出資を受けているケースもあると思いますが、ほかの投資関連の会社と共同で出資することは考えていますでしょうか。
【社長】
物によってはあり得ると思います。あくまでも、向こうが私どもに対して魅力を感じてくれないといけないのですが、日本郵政グループと組むことのメリットを感じてくれる企業に、既にほかのエクイティーが入っているということは、ケースによってはあり得ると思います。
【記者】
みまもりサービスが始まって、もう1カ月ぐらいたつと思いますが、現状は。
【社長】
10月1日から始めたばかりなので、現時点で2,000件ぐらいの件数をお客さまからお申込みいただいております。
【記者】
日本郵政キャピタルの出資額、投資額の規模としては、例えば、数千万円から数億円、それぐらいのイメージになるのでしょうか。
【社長】
1億円から10億円ぐらいと考えています。
【記者】
ゆうちょ銀行の限度額の引き上げについて、先日、郵政民営化委員会の委員長が、来年の春に見解を示すとおっしゃられました。最終的には、政府で考えることではあると思いますが、日本郵政グループとして限度額引き上げについては、今、どういう期待感を持って見てらっしゃるのか。
【社長】
増田前委員長のときに郵政民営化委員会として一つの判断が出ており、具体的に、ゆうちょ銀行の場合なら、300万円引き上げて1,300万円にすると。ただし、時期を見て、大きな資金移動がないのであれば、さらに引き上げることについても、そのタイミングで考えるというのを所見で述べられたわけですよね。
 岩田委員長も、そういう方向でやっていらっしゃると思いますので、政府で適切にご検討いただけるものと考えており、私どもでは様子をみまもっているところです。
【記者】
リリースの中で、オリンピックの関連の発表があるかと思うのですが、読んでみますと、「全国1,000の郵便局で販売」と書いてありますが、いわゆる地方でも潤沢に、しっかりと販売されていくのか、地方の方がしっかり手が届くような販売の仕方なのか、それを教えてください。
【社長】
主に629局、集配局があるのですが、そこを中心に、地方も含めて全国がカバーできるように1,000局選びました。
【社長】
どうもありがとうございました。