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2016年11月18日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2016年11月18日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
こんにちは。私の方からきょうは5件ご報告申し上げます。
 1件目ですけれども、先般14日に発表いたしました今年度上半期の決算について一言申し上げます。数字はもう全てディスクローズしましたのでご案内のとおりでございます。5月中旬に昨年度の決算を発表した際に、今年度の見通しについても申し上げましたけれども、その数字に対してそれぞれ日本郵政傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命とも、ほぼ5割の進捗状況になっておりますので、ほぼ予定どおりの仕上がりと感じております。
 ただ、上半期純利益ベースで見ると対前年同期でマイナス637億円、マイナス29.9%となっております。大きく言って三つファクターがございます。一つ目がゆうちょ銀行のマイナス206億円。二つ目が日本郵便のマイナス163億円。そして三つ目が昨年11月4日の上場に際しゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を11%売りましたので、この部分のコンソリデーション・ベースの利益が落ち、これが212億円ございます。こういうものが3分の1ずつありマイナス3割の637億円の減益だった。この三つが私どもの今の経営の課題と思っています。
 マイナス金利に象徴されますように日本の金利が低くなっておりますので、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の運用ではここのインパクトがあって、これをどう打ち返すかというのが一つ目の経営課題。
 二つ目。郵便の収益が落ちております。課題は日本郵便そのものをいかにして筋肉質な経営にしていくのか。売り上げについては上半期はどうしても落ちまして、年賀状が大きなポーションを占めておりますので、日本郵便の売り上げベースでは下期がどうしても厚くなるという傾向がございますが、売り上げをどのように伸ばすのかということと、特に経費の方で、これをいかにコントロールしていくのかということ。また、トールが予定よりも少し悪くなっているというところがあって、この辺をどのようにするか。トールを含めて、日本郵便の経営をいかに筋肉質にするのかというのが二つ目の経営課題。
 三つ目は、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式を11%売り出しましたけれども、この分が直に効いておりまして、これをいかにカバーするのかというのが三つ目の経営課題。新しい業務を始めて売り上げを伸ばしてもいいし、あるいは、かねてより申し上げておりますけれども、出資、アライアンス、M&A等をやってはね返したい。その経営課題が正直に出たのが今回の決算という印象でございます。
2件目の報告です。地域版Visaプリペイドカード「mijica(ミヂカ)」での決済の試行を始めます。このカードは前払いで発行審査もないなど、クレジットカードよりも利用しやすくなっています。ゆうちょのキャッシュカードをお持ちの中学生以上の幅広い客層の方が、このカードで5万円までですけれども、日常の少額決済の手段として使ってもらうことで、キャッシュレス決済の普及拡大を図ることを狙っております。
 試行地域は、たまたま被災地でございますけれども、仙台市と熊本市となります。国内外4,000万以上のVisaカード取扱店で使えるということに加えまして、それぞれの市内提携店舗での買い物に利用いたしますと、ポイントが優遇されるという特典がございます。また、両市内の提携店ではセール情報等をメールで配信したりして、なるべく地域の身近なお店とつながりを持って使っていただくということを念頭に置いております。カード発行は仙台市と熊本市の提携店の近くにある郵便局などで受け付けて、即時にお渡しいたしますが、取扱郵便局は後日発表します
3件目のご報告です。地域金融機関との連携でございます。地域ファンドへの出資についてご報告申し上げます。
 本年7月に、熊本地震からの復旧・復興を目的とした九州広域復興支援ファンドへ参加させていただいております。これに続いて、北洋銀行様と北海道における地域ファンドに、肥後銀行様、鹿児島銀行様と九州における地域ファンドに参加させていただくことを決定いたしました。
 北洋銀行様との地域ファンドには約1億円、肥後銀行様、鹿児島銀行様との地域ファンドには5億円、それぞれ出資させていただきます。いずれのファンドも、地域の成長期待企業等への出資を通じて地域の活性化を図ることを目的としたファンドでございまして、ゆうちょ銀行としては、ファンドを通じて、ゆうちょ銀行の資金を地域に還元することで、地域の活性化に貢献できるものと考えております。
 また、地域金融機関様と直接連携してのファンド組成は、ゆうちょ銀行にとってこれが初めてとなります。本件は、ゆうちょ銀行と北洋銀行様、肥後銀行様および鹿児島銀行様との連携を一層深めるものと考えています。本件をきっかけに、今後も地域金融機関の皆様とともに、地域の活性化につながる施策や連携を推進してまいります。
 かねてよりやると言っていて、検討中と申し上げていましたけれども、ようやく実現できたと思っております。突然出てきたわけではなく、以前から、こういうトライアルをやっておりました。地域の方にそういうニーズがあり、地域金融機関の方にもございますので、ここはウィン・ウィンで一緒に組めると。私自身も昨年5月11日にゆうちょ銀行社長に就任いたしましたけれども、これも一つの大きなミッションということで、当時から地域金融機関を多く回り、いろいろ動いておりました。
 当時もやってみたいという金融機関は幾つかございましたが、限度額の議論がありまして、そういう時期にやるのはちょっと厳しいというところもありましたが、ようやくできたということです。
 これは、長いテーマでございますので、ゆうちょ銀行では昨年の10月1日付で金融法人営業室というものを設置いたしました。ことしの4月1日には部に格上げしておりますけれども、そういうセクションもつくって、地域金融機関とのいろいろな提携、共同作業を模索しており、今後もこのような案件をどんどんやっていこうと思っております。池田社長に4月1日に来ていただきまして、彼はいろいろなノウハウ持っており、特に地域金融機関との関係等についても大変に人脈などがございますので、一層推進して、また、これからこのようなことを、全てがファンドとは限りませんけれども、地域金融機関と提携し、ウィン・ウィンの関係をつくっていきたいと思っております。
4件目のご報告ですけれども、ゆうちょ銀行ATMのファミリーマートへの設置の件でございます。ゆうちょATMを設置するファミリーマート店舗を全国に順次拡大していくということにつきましては、10月28日に第1弾として、2017年1月以降、小型ATM3,500台を全国のファミリーマート店舗に順次設置すると発表させていただいております。ファミリーマート店舗に設置していくゆうちょATMは、郵便局に設置しているATMと同様に、ゆうちょ銀行のカードをお持ちのお客さまは無料でゆうちょの入出金がご利用できるほか、国内約1,400社の提携金融機関や海外の金融機関が発行したカードをお持ちのお客さまも、365日、24時間、いつでもご利用いただけます。また、ファミリーマートに設置する小型ATMは、16言語に対応してございまして、海外からのお客さまにも使いやすいATMとなっています。
 なお、一部の報道機関から、ゆうちょキャッシュカードでイーネットATM利用における顧客手数料の無料化などが報道されていることは承知しておりますが、現時点で具体的に決定したものではございません。念のため申し添えます。
5件目、最後にみまもりサービスについてご報告申し上げます。
 日本郵政、日本郵便ともに経営会議、あるいは取締役会で何回も議論してまいりまして、全ての会議で正式に事業として推進すると決定いたしましたのでご報告申し上げます。
 詳細については、まだこれからいろいろ決めるべきことがございますけれども、現状についてご報告申し上げます。
 郵便局が高齢者を訪問するみまもりサービス。これにつきましては、現在13エリア、738局で試行しています。また、タブレットを活用したみまもりサービスの実証実験につきましては、IBM、アップルと提携して、山梨県、長崎県において2015年10月29日から2016年9月末まで実施いたしました。加えて2016年6月からは、福島県伊達市において健康増進サービスについても実証実験を行っております。
 この事業は、地方創生や高齢化社会にあって、長寿・健康をどうキープするのかという、今、日本にとっての大きな課題でございますけれども、これに真正面に取り組むことができる事業だと思っております。私ども全国津々浦々に2万4,000の郵便局があり、お客さまに接しておりますので、私どもがやらなくてどうするんだ、私どもにとって、まさにやるべき仕事ではないのか、現在の課題であると認識していることが一点目。
 二点目に、私どもだけでは、もちろん簡単にはできないのですが、昨今の情報・通信技術の進歩・発展というのがございますので、これと組み合わせて、ぜひ、そういうニーズをくみ取っていきたいと考えたのが二点目です。
 三点目ですが、自治体、あるいはさまざまな企業と一緒に、効果的に連携を図ることもできると考え、そういう認識が一致いたしましたので、私どももぜひ本件を推進しようと決断した次第です。
私自身も山梨県都留市、それから小菅村という人口800人ぐらいの村、2カ所へ行ってまいりまして、それぞれ10人ぐらいでしたけれども、モニターをやっていただいているお客さまの声を直接聞いてまいりました。最初心配しておりましたのは、ご高齢の方々はタブレットを本当に使いこなせるのかなと思っておりましたが、村役場などで部屋を借りて、月に1回、1時間、郵便局員がいろいろレッスンを1年間やってきたわけですけれども、お客さまは3、4回やると大分慣れてきて、「なかなかおもしろい、こんなにいいものだったのか」と。テスト期間中でしたのでタブレットをお貸ししているのですが、それが入る袋を作ったというおばあさんもいて、なかなか巧みに使っていました。ちゃんと習得期間があれば十分使いこなせるなとか、私自身もモニターの方々を伺って、こういうところがこうなった方がいいなとか、ここは不便だなとか、いろいろと生の声を聞いてまいりましたけれども、十分にニーズはあると感じてきた次第です。これから日本郵政グループを挙げて、このみまもりサービスと健康増進サービスを事業化して進めたいと思っております。
 タイミング等につきましては、これからの整備状況によりますけれども、できれば今年度内、来年の3月ぐらいまでにできればいいと感じております。
 時間がかかりましたのは、詰めるべきポイントが幾つかあったので、社外取締役の方も含めていろいろと議論し、ここまでまいりましたけれども、例えば、やはり経済性のところ、もちろん多額の金額をお客さまにチャージするわけにはいかないので、適正な価格をセットした上で、本当に事業として成り立つような収益性が十分あるのか等、日本郵政グループの従業員が約40万人おりますが、もっと人手が必要になるとなかなか大変だというようなポイント、それらをいろいろ工夫することによって克服することができるという決意ができましたので、事業化するという決断をして、今、詳細を詰めている段階でございます。
 以上、私からのご報告でございます。
【記者】
きのう、自民党の議連でも、限度額を平成28年度中に引き上げようという決議がなされて、これから議論が活発化していくところかと思いますが、限度額の引き上げについてはどの程度なら許容できるのかや、経営に与えるインパクトみたいなところを中間決算も踏まえながら少しお話をいただければと思います。
【社長】
きのうの会議で、議論が出てきておりますけれども、ゆうちょ銀行については今年4月1日に24年ぶりに限度額が1,000万円から1,300万円に上がりましたけれども、ゆうちょ銀行の貯金残高が相当増えるのではないかというようなお話がございましたが、ディスクローズしておりますとおり、限度額の引き上げによって貯金総額が大きく変動したとは感じておりません。また、仮に、限度額がさらに増えたからといって、そんなに大きな貯金総額の変化が起こるとは予想しておりません。したがって、ゆうちょ銀行に与える経営インパクトが大きくなるとは予想しておりません。
【記者】
少し気が早いですが春闘についてお伺いします。先日、安倍首相からまた財界に賃上げを働きかけるとの発言があり、またそういう動きもあったと思います。日本郵政グループにおいては、昨年は、ベアゼロであったと理解しておりますが、今、経営環境が厳しい反面、相応の利益は上げられる見通しなのかなという印象も持つのですが、年明けの春闘に向けての現時点でのお考えをお聞かせください。
【社長】
二つあって、私どもの春闘に対しての対応ですけれども、これは来年の2月に組合から要求が出てきて、それを受けて、会社側の経営パフォーマンス、業績等も勘案して、その上で会社側の案をつくって、組合側と誠意を持って折衝して、最終的に決定されるというプロセスになります。今はまだ組合から要求をいただいておりませんので、春闘に関わるアクションがまだスタートしていないタイミングですから、2月以降、真摯に検討して、組合と折衝して決めていきたいと思っています。
 二つ目、マクロベースで景気をよくするためには個人消費が要なので、GDPの6割5分、もう7割近くを個人消費が占めるときもあるわけですから、これを上げるために何とか、アベノミクスがよりうまく回転するために賃金を上げて個人所得を高めたいという官邸等の考え方はわかりますけれども、私どもは上場した企業でございますので、個別の状況を踏まえて、真摯に組合と対話をして決めたいと思います。
【記者】
先ほどお話のあったみまもりサービスについてコメントをいただきたいんですけれども、高齢者の需要がどれぐらいあるものなのかというのを改めてお聞きしたいと思います。月1回くらい局員の方が面談されるということなんですけれども、例えばスマホの発達によって家族による安否確認が容易になっている現状があると思うんですが、そのあたり、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
【社長】
デバイスとしてタブレットとスマホ、どちらがいいのかということと、安否を確認するだけだったら遠隔地の息子、娘が確認することがそんなに大変なことではないというご質問だと思うんですけれども、単に元気かどうかを確認するというだけであれば、そういう側面もあるかと思いますけれども、私どもが考えているのは、みまもりを中心にお客さまにとって幾つかのニーズがあって、それも併せてお客さまに貢献できないかなと思っております。私どもの長所は何かというと、やはり全国津々浦々にネットワークを持っている郵便局を通じて、そういう方々と接しているというところなんですね。
 みまもりも、本当に大事なテーマだと思っているんですけども、例えば、お買い物とか何かあったときに誰が駆けつけるのかとか、いろいろなニーズがあると思うんです。現に、モニターの方々といろいろお話をしても、お客さまの立ち位置によっていろいろニーズがあるんです。その中でも大事なのは、タブレットを配布して、お客さまの声が直接聞けるようになる。郵便局員も生の声で接することができる。それを中心に、いろいろなサービスが考えられると思うのです。それをセットでやっていこうと思っておりますので、おそらく相当の手応えを感じて、かなりの数の方々が来ていただけるのではないかと思っています。
 今回は、電子機器としてタブレットをお配りするというビジネスプランです。というのは、やはりタブレットの方が情報量が多いとか、いろいろなことができるということがありますから、日本IBMにその辺のシステムをいろいろ作っていただいてやっているんです。将来的には、もしもいろいろなデバイスが出てきて、そちらでもできるということになれば、そういうものでも対応できるようにしようと思っていますが、当面は、タブレットがさまざまなニーズに一番お応えできるとテスト期間で感じましたので、当面はタブレットでやっていこうと思っております。
【記者】
追加の質問になってしまいますが、これまでの実証実験と違って、タブレット端末の利用代金とか通信代もかかると思います。金額については未定だとは思うんですけれども、仮に月数千円かかると年間1万数千円になるわけで、年金生活者の方が多いと思いますけれども、その辺、本当に需要があるのかという見方もあるんですが、いかがでしょうか。
【社長】
それぞれ10人ずつぐらいでしたか、小菅村と都留市に行ってきまして、いろいろな声を頂戴しましたけれども、まさにそのポイントもお客さまの大変な関心事で、私ども、十分それを踏まえた料金設定を考えているつもりです。
 経済性等の判断をするために、当然ながら感度分析等、いろいろやらなければいけないので、数字をセットして感度分析しているのですが、最終的に決まった段階で発表すべきものですから、あえてこの場で申し上げません。例えばアップルのタブレットだけを貸すというサービスもあるんです。その値段は調べればすぐわかると思うんですけども、そのような値段で提供しているのでは、おそらく年金で生活していらっしゃる方々には選んでいただけないと思うんです。十分、その辺を踏まえて、お客さまが耐え得るような料金設定にしたいと思っております。
【記者】
関連してなんですけれども、収益性であったり、いろいろなところを加味した上で提供に踏み切るという話があったと思うのですけれども、収益性の部分でどれぐらいの利用者を想定されていらっしゃるのかお伺いしてもよろしいでしょうか。
【社長】
別に少ないからではなくて、料金設定とか、それから、どんな時間軸で考えるのか、どういうセールスをするのかにもよってくると思うのですが、基本的コンセプトは、準備ができている郵便局、できていない郵便局、いろいろあると思いますので、当然ながら、多少サービスインの時期はばらつくと思います。けれども、ある期間のうちに全国展開することが前提でございますので、全国のご高齢の方々を対象に全郵便局でやっていくというアレンジになります。
 何年で何万人という感度分析もしておりますが、これはあえて今、まだディスクローズするタイミングではございませんので申し上げませんけれども、大もうけをする類のビジネスではないんですね。郵便局として何ができるのか。お客さまがいる。そこにニーズがある。いろいろ応えるべき手段も出てきた。それに賛同して一緒にやっていただける企業も出てきた。地方公共団体もそれに参加したいと言っている。一部の企業は、特に健康増進等は、自分もやりたいと言っているところもあり、全部ひっくるめてやってまいります。ビジネスとして十分成り立ち得るような人数の方々は集まるという分析をしております。何年で何人かと、これはまだ申し上げられません。
【記者】
ゆうちょ銀行と地域金融機関とのファンドの組成についてなんですけれども、個別の銀行となさるのは今回初めてだと思うんですが、その意味合いについてとゆうちょ銀行は融資ができない、法人に対して融資ができないということがあると思うんですが、その出資されるという意味合いがもし何かあればお願いいたします。
【社長】
大変に意義深いと思っておりまして、地域金融機関との関係でいうと、ゆうちょ銀行は200兆円と非常に資産が大きい銀行でございますので、同じようなことをやると駆逐してしまうのではないかとよく言われてですね、現に限度額の議論があったときには、民業圧迫という言葉で非常に敵対的な対応をとられていたんです。ゆうちょ銀行というのは、全国に郵便局のネットワークがあって、そこを通じて仕事をしている銀行なので、地域にどう貢献するのかというミッションを持っているんです。同じミッションを地銀あるいは信金・信組も持っていらっしゃるわけですよね。そうすると、民業圧迫ということで、絶えず対峙しているのではなくて、何か一緒にできることがあるはずだとかねてより思っていて、その回答の一つがこのファンドで、大変画期的だと思っております。金額的には本当にささやかで、肥後銀行、鹿児島銀行との地域ファンドには5億円、北洋銀行との地域ファンドには約1億円ということですけれども、このモデルは今後も大いに推進できると思っています。
 二つ目に、ゆうちょ銀行は融資ができないんです。ですから、今できること、これは7月の熊本ファンドのときに初めて当局の承認をとりましたので、今回はそれと同じ承認に基づいて二つファンドを組成するんですけれども、お客さまに応えるのは何も融資だけではなくて、エクイティーもあると思うんです。それを通じてやっていく道が開けた、大変画期的だと思っています。
 ただ、見ていただければわかりますように、私どもの立場というのは、パートナーシップの中のジェネラルパートナーではなくて、リミテッドパートナーなんです。熊本ファンドもそうですし、今度の北洋銀行、肥後銀行、鹿児島銀行のもそうです。ジェネラルパートナーは他にいて、ゆうちょ銀行はリミテッドパートナーとして受動的に参加する。結局、そのファンド全体でお客さまにエクイティーを出すんですけれども、そこにもちろん貢献しているのですが、資金の出し手として貢献しているだけであって、ゆくゆくはジェネラルパートナーになって、お客さまと直にニーズを話して、どういう資金交付がいいのか、こういうプランでこういう資金ドローダウンで、こういうふうに出しましょうというのをやっていきたいと思っています。そのためには一足飛びにできませんので、こういうことを通じて勉強していって、さらに深掘りして、そういうこともできるようになりたいと思っています。ゆうちょ銀行の大きな営業手段の一つになっていくと思っています。
 提携、たまたま今回は二つともファンドでございましたけれども、既にATMについて、ゆうちょ銀行は既に2万7,000台のATMを持っていて、地域金融機関が撤退されてもお客さまは残っている。ゆうちょ銀行のATMを使わせてという話があって、全行と今、提携しているわけですね。こういうのもあるし、今度、ファンドの出資という形でご一緒したんですけれども、いろいろと地域金融機関のニーズはあって、私ども2万4,000局の郵便局ネットワークを効果的に使ってウィン・ウィンの関係をつくる具体的方法というのはまだ他にもあると思うんです。その一つの実績ができたと考えております。
【記者】
もう1点、国際知見が豊富でいらっしゃる長門社長にお伺いしたいんですが、トランプ氏が大統領選挙で当選したと思うんですけれども、それをどうご覧になったか。また、金融へ与えるインパクトというのをどういうようにご覧になっているかお伺いできますでしょうか。
【社長】
まず、そもそも論で言うと、民主党と共和党しかないんですけれども、その党が連続3期勝ったというのは、おそらく最近ではレーガンさん、レーガンさん、ブッシュさんと、あの共和党のとき以来ないと思うんですよね。その前も、カーターさんも1期で終りましたし、ニクソンさんのときには2期目、ニクソンさんが勝ったんですけれども、結局、ウォーターゲート事件で失脚してしまって、副大統領のフォードさんが上がった。あれも言ってみれば、ニクソンさん、ニクソンさんで、共和党、共和党。飽きと言ったら怒られてしまいますけれども、一つの党で3期続けるということはかなり難しそうだというのが一つベースにあったと思います。
 トランプさん、いろいろ問題がありましたけれども、結果的には、彼の強いところは、チャプターイレブン(会社更生手続)を4回もやっていますけれども、これは戦略的にやったところもあるわけであって、ビジネスマンとして相応の成果があった方。いわゆるプロの政治家だけではなかなか自分たちは満足していない、これはもう変えなければいけない、チェンジなんだというときに、その実績に乗ったというのが今回のトランプさんの勝った一番大きな理由だと思います。
 今後の経済へのインパクトですけれども、まだわかりません。どうも減税を相当やるらしい、インフラ投資のために相当の財政支出をするらしい等、またドッド・フランク法等、厳しくなっているレギュレーションを少しルースに(緩く)して、金融機関がもうちょっとアクティブに活動できるような環境を整えるらしいとか、いいところを捉えて少しマーケットの期待が高まっておりますけれども、あまり根拠があるわけではないので、やはり彼が実際にどういう閣僚を使って、どういう政策をどのように実行していくのかを見るまでは、十分にアメリカの経済について、あるいは世界の経済について、インパクトは読めないと思っています。
【記者】
地銀とのファンドなんですけれども、競合するのでなかなか提携は抵抗感があるというところもいろいろある中で、この2行が賛同されたのはなぜなのか、相対的に競合がそんなにしなかったということなのかどうなのか教えてください。
【社長】
特にこの3行がゆうちょ銀行と特別に他の銀行と比べてポテンシャルなコンフリクトがないということはないと思います。いろいろ先ほど申し上げましたように、ゆうちょ銀行の金融法人営業部、実質的につくったのは昨年の10月で、ゆうちょ銀行はほぼ全行、かなりの頻度でお伺いしていて、いろいろな会話をしているんです。それで、そうだな、確かに一緒に組んだ方がいいな、何かできるかもしれないと、より早くご理解をいただいたところが3行だったとご理解いただきたいと思います。トップを含めてご理解があり、絶対一緒にやろうじゃないか、きっと何かできると早々に思っていただいたところが3行でした。
 これはゆうちょ銀行の方の責任もあってですね、ゆうちょ銀行も一律全ての地域金融機関にお伺いしているわけではなくて、池田社長も身一つですから、順番に回っておりますので、そういうことも影響したのではないかと思っていますけれども、特にその3行が特別にゆうちょ銀行といい関係ということはないと思います。
【記者】
ファミリーマートのATMの話を聞かせてほしいんですけども、とりあえず3,500台入れるというお話ありましたが、その次の展開をどのように考えていて、どういう話をファミリーマートとしているのか聞かせてください。
【社長】
ファミリーマートとどういう会話をしているのかは、これはいろいろ話をしておりますけれども、申し訳ありませんが、現段階でこれ以上の情報をお話しできるところにありません。
 今、合意しているのは発表したとおりですが、3,500台、沖電気から調達して、来年の1月から順次設置して2年ぐらいかかります。入れるまでは次の展開、出てきません。ですから、申し訳ありませんが、設置してみて、もう少し言うと、今、話をしていて、この間にいろいろやっていきたい。ファミリーマートの方も、どのように便利なのか等、いろいろあると思うんですけれども、あるいは今、500台設置しています。これから3,500台に増やすわけです、2年かかりますけれども。ゆうちょ銀行のATMの手数料はゼロなんです。そうすると、郵便局のお客さまがそのATMを利用しに来るはずだということでファミリーマートは期待していらっしゃると思うんですけれども、500台から3,500台に増えたときにどのようになるのか等、そういうのを見ながらやっていく側面がありますので、今決まっているのは、この3,500台を2年間かけて設置するということだけでございます。
【記者】
きょう、安倍首相がトランプさんと会談を行ったんですが、世界で一番最初に会談した相手が安倍首相だったのですが、日米関係については、今後どういうふうになっていくと思いますでしょうか。
【社長】
私は一民間企業の人間ですけれども、日米関係が、首相が代わったから、大統領が代わったからといって変わるわけにはいかないので、日本にとって最も大事な相手国との関係であるので、もちろん個人的なタッチというんですかね、キャンプ・デービッドに小泉元首相が行って、ブッシュ元大統領とキャッチボールをするとか、引退した後、エルビス・プレスリーの真似をして和むという関係と、オバマ大統領と安倍首相の関係、いろいろあると思うんですけれども、何があっても日米の関係は揺るがないというふうになるべきであるし、そういう方向に両者で、トランプ次期大統領、安倍首相で持っていっていただきたいと思っています。
 両国を思っていればこそですね、トランプさんが大統領に選ばれた直後にトランプさんが会った最初の外国の要人が安倍首相だったというのは、大変に良かったと思っています。きょうの報道を見た後、米国の報道等を見ていると、ことさらにですね、まだ一私人の、トランプさんが大統領になる前の関係なので、公的な発表はしない等、非常に注意深く対応されていると思うのですが、安倍首相の記者会見を見ていても、大変に手応えを感じたと、あくまでも第1回目のミーティングでしたから、少なくともお互いに信頼できるとか、いろいろ話ができるという関係になったというような手応えを得ることが一番だと思いますけれども、十分手応えがあった会談だったと思っています。
 今後、これを続けて、揺るがない日米関係になれるように、両者で努力もする必要があるし、周囲もそれをサポートして、ぜひそういう関係になってほしいと思っています。
【記者】
高齢者みまもりの話なんですけれども、自治体とか企業とかとの整理も、3月ぐらいまでを目途にというふうに、聞こえたんですけれども。
【社長】
このみまもりサービスをスタートする時期、今年度内にやりたいと思っていて、実は今そういうプランで動いているんですけれども、やはりいろいろ手続き等がありますので、遅れてしまうかもしれないというので、ヘッジして言っているんです。それで、遅らせる理由はないので、準備ができたらすぐやりたいと思っています。もう組織的にやるという決断はしましたから、準備が整ったらやります。
 もう1点、地方自治体との関係ですけれども、場所によって熱心な地方自治体の方々がいて、より協力してくれるところもあるでしょうし、わりとクールにやられるところもあるかもしれませんし、これは場所によって濃淡はあると思います。あらゆる地方自治体と何かの関係で契約を結ばないとやれないということではありません。
【記者】
日本郵便のデジタルメッセージサービス、中計とかにも新たな収益源として入っており、関係性をつなげていくような、そういう構想はあるのでしょうか。
【社長】
将来はあるかもしれませんけれども、みまもりサービスは初めての仕事になりますので、これを頑張って立ち上げて、皆さんのご理解もいただいて、手応えを感じて、実はみまもり自身も進めながら考えるところは幾らでもあるんですね。例えば健康増進はスポーツジムが出てくるかもしれないとか、いろいろあるので、これは事業を進めながら考える部分もあるんです。先ほどの質問につながるんですけれども、最低限のみまもりサービスがあるんですけれども、「こんなのもある」、「あんなのもある」といろいろなものがある。私どもの接点は、郵便局でお客さまと会うことができるというところが特徴なので、これはいろいろ、私どもがまだ気づかないようなサービス、ビジネスも出てくるかもしれませんので、事業を進めながら考えます。
どうもありがとうございました。