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2015年5月29日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2015年5月29日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
今日は、4点、私どもとしては、極めて将来にとって大事だと思うような発表をさせていただきたいと思います。
 その前に、ご承知のように9時59分頃噴火がありまして、口永良部島ですが、ここにも郵便局がございます。局長、期間雇用社員の3名がおりまして、いずれも全く問題はなく、現状では避難をして、それでフェリーが着くのを待っている状態だということです。
 それから、東京証券取引所は、先ほど場が閉まったんですけれども、今日で11日間の連騰ということで、全体的に経済状況が、私どもにとっても、そして、日本のトータルの経済にとっても非常に好調であると思います。
それではまず、一番最初の話題ですけれども、みまもりサービス関係ということでございます。
 今年の4月30日に日本郵政グループ、IBM、そしてアップルの3社が日本における高齢者向けの生活サービスの提供に向けて、高齢者向けのタブレット等を活用した実証実験を共同で行うという発表をニューヨークでやらせていただきました。これはその時にもご説明しましたけれども、日本の高齢化社会というのは世界の中の最先端を行くということでありまして、いわば高齢化の先進国である日本、そこにおいて、IBMとアップルの協力を得ながら、日本郵政グループが先頭に立って高齢者対策というものに対して、これから具体的にいろいろなサービスを提供していかなければいけない。いわば、私どもは日本の全体の国民に対する責任もあるという立場でございますので、そういう意味で、いろいろなこれからのサービスについての検討をしようということになりました。
 ご承知のとおり、既に一昨年の2013年10月から、郵便局の社員等が高齢者を訪問するサービス、郵便局のみまもりサービスの試行を始めておりまして、そのサービスの拡大の中で、高齢者の皆さま方からご要望の多い買い物支援サービスを実現する必要があるということになりました。高齢者に対するサービスというのはいろいろございますけれども、やはりまずは元気でいらっしゃるか、そういうことの確認でありますけれども、しかし、やはり何かお買い物の不便さというか、お買い物のお手伝いというのは、やはり全国的には非常に要望の多いことでございます。
 これに関しまして、全国サービス展開、これからやっていくということを念頭に置きまして、全国津々浦々に小売店舗網をお持ちのイオングループさん、イオングループさんは地域振興を企業理念の中にも掲げておられ、その実績もあり、チェーンストア業界の雄であるということ。そのイオングループ様とサービス提供について共同で検討しようということになりました。それを開始するというのは、私どもの将来にとって極めて大事な部分であると思います。これは、イオングループさんは、日本全国規模において私どもと一緒にやらせていただくということなんですけれども、しかしながら、イオングループさんだけで日本全国を本当にカバーするのかというと、なかなか難しい点がございます。そういう意味では、地域の商店街から商店様、あるいはいろんなチェーンさんではなくても小口の、それぞれのご協力というのは、一緒にやらせていただくということになると思います。
 イオングループさんだけでやるということは申しておりませんし、イオングループさんも日本郵政グループだけというわけではない。しかしながら、今回、IBM、アップルと一緒にやろうという、いわばビッグデータをいかに活用して、そしてまた、高齢者にとって非常に必要なサービスというものを手軽に入手できるような、そういう動きというものの最先端の部分について、イオングループさんにもそれを分かち合って、お互いに日本の皆さまのために努力をしていこうと、そういうことであります。これが第1点でございます。
第2点は、がん保険の件で、アフラックさんのがん保険の取扱郵便局数を拡大するということでございます。
 これは2013年の7月、私が着任してすぐでございますけれども、その時に日本郵政とアフラックとの基本合意をいたしました。これは順次取扱局を拡大していくということでありまして、今までで約1万局まで拡大をいたしておりました。7月1日から簡易局、あるいは一部の郵便局を除く全国の直営の郵便局、20,076局。これは人数から言うと約10万人態勢になりますけれども、ここまで拡大するということになりました。これは一番最初の一昨年の7月に合意した時に、金融庁とも相談をした上で、私どもとしてはアフラックさんのがん保険というのを、いわばこれから先の郵便局の生きる道を探すための1つのガイドとなるということで合意を作ったわけでありまして、それはどういうことかというと、全国をカバーする郵便局ネットワーク、そして、それが永続的にユニバーサルサービスを続けていくためには、郵便局のネットワークそのものが自分でいろいろなサービスを提供できる、そういうふうになっていく必要があって、保険の代行というのがそのうちの1つというか、重要な部分であります。
 アフラックさんのがん保険を題材にした理由は、その時にも申し上げましたけれども、現在、がん保険というカテゴリーの中ではアフラックさんが一番知名度も高くて、しかも規模も大きい。それで、そのがん保険がやはり都会中心の傾きがありますので、私どもの郵便局ネットワーク、全国津々浦々含めて扱えるようになる、これを扱えるようになるというのは簡単な話ではなくて、今日からやりますからと言っておしまいではなくて、その前にしっかりと保険に関する知識、そして、何をやればいいのか、何をやってはいけないのかということについて、しっかりとしたトレーニングを行うということが前提でありますので、それをやっておけば、これから先、アフラックさん以外のいろいろな国内外の保険会社からも代行の依頼が来ておりますけれども、そういうものにも拡大することができるということであります。
 これをやることによって、いわば郵便局ネットワークというのが、一層皆さまのためになる活動ができるようになるということであります。つまり、保険代行業の一歩が進んでいく、そして、全ての、今回の2万局全てが保険代行を必要とする場合に、それ以外の保険についても代行ができるという体制に変えていくということであります。
3点目は、これはプレスリリースは昨日出したものですが、本年2月18日に契約締結を発表させていただきましたオーストラリアの物流企業トール、この買収でございますけれども、昨日28日に全ての手続きが終了いたしました。全ての手続きというのは、法的なオーストラリア側の手続きを含めてというよりは、そこが最終段階だったわけですけど、無事に、トール社を日本郵政グループの一員として迎えることができたということであります。
 これにつきましては、今日の午前中に、現地で、日本郵便社長の髙橋が、トール社の社長のブライアン・クルーガーと一緒に、現地で記者会見をやっておりますが、改めて、少し説明をさせていただきたいと思います。
 これから、日本郵便とトール社は、100%の親子会社として、お互いの強みを生かしながら、国際物流業界という、いわば大海原にこぎ出していくということになります。近い将来、厳しい競争環境の中で、世界の大手インテグレーターとも肩を並べるような企業グループへと成長していく。そのためには、日本郵政および日本郵便は、トール社に対して、適切なガバナンス体制を構築し、そして、日本郵政グループ共通の戦略のもと、トール社が今後もグローバル物流企業として企業価値の極大化をしていけるよう、最大限のサポートをしていくつもりでございます。
 前にも申し上げましたけれども、多分、我々の一番の、グループとしての弱みは、グローバリゼーションに対する対応が遅れているということであります。物流企業であるという我々の非常に大事な側面、それをカバーするためには、やはりグローバル化は避けて通れないと。そのために、このトール社の買収を決めたわけであります。
 新生トール社ということになります。それは、日本郵便の子会社としてのトール社ですけれども、役員人事については、トール社の取締役として、前体制つまりトール社の従来の体制に引き続いて、レイ・ホースバーグ氏と、ニコラ・ウェイクフィールド・エヴァンス氏、それから、MDをやっておられるブライアン・クルーガー氏、その3人に就任をしてもらおうということにいたしました。日本郵便からは、社長の高橋をはじめとして、上級副社長の米澤、それに副社長の諫山、常務の若櫻と、この3人が就任をすることになりました。旧体制でのブライアン氏以外の11名の執行役員については、新体制でも引き続き、トール社の経営にあたってもらうということになっております。トール社の取締役となることになっております諫山と若櫻の2名ですけれども、この2人は、オーストラリアに常駐しながら執行役員として、他の執行役員とともに、経営にも参画するということであります。これは、私どもからの派遣の2人が、いわば一番上に乗っかって仕事をするということではなくて、この2人が常駐して、常に両者の間のコミュニケーションをしっかりと保ちながら、トール社のこれから先の発展に寄与していくということであります。
 それから、2人だけというわけにもいきませんので、別に日本郵便の方から若手の社員をトール社に約10名程度派遣するということになっております。実際には、採用の時の経過を見れば、本来は英語ができてもおかしくない人、これは私ども従業員の中にも多いわけで、希望をとったら、相当に希望が多かったと聞いております。
 私どもがやっていなかったフォワーディングの事業だとか、それから、サードパーティー・ロジスティックスというBtoBのロジスティックス、この事業を海外展開するということは、多国籍経営の豊富な経験を持つトール社グループと国際戦略の上で学ぶことが非常に多いと思います。
 私どもは、郵便局を中心にした国内のネットワークには、確実な自信があり、そしてまた実績があり、これを必ず将来も守っていこうと、当然のことながら思っているわけですけれども、しかし、海外の物流企業の動向を見ていれば、日本の中に国際的な物流企業が展開しているこれも現実であります。これに対して、日本の国内だけを補強して済むわけではなくて、我々自身が一歩を踏み出して、そして、世界企業として、あるいはグローバル企業として、今まで我々の弱みであったサードパーティー・ロジスティックスですとか、あるいは、それ以外のBtoBの仕事、こういうことをしっかりと体験していくということが必要であろうということであります。
 日本郵便から派遣する社員には、日本郵政グループとトール社との協調・連携の役割を期待すると。それと同時に、トール社からいろいろ多くのことを学んできてほしいと思っております。当社の社員にとっても当然のことながら、その将来にとって、あるいは、グローバル化していく日本郵政グループ、その全体の中で、将来に役立ってくれることと思っております。簡単に言えば、日本郵政、あるいは日本郵便というのが、トール社を、単なる日本郵便の子会社ということで管理するということよりは、親密なコミュニケーションを図りながら、グループ全体として一緒に成長していく。そして、それのグローバルサイド、あるいは、我々が未経験なBtoB、サードパーティー・ロジスティックス、あるいはフォワーディングのような分野については、トール社が中心になって、これから進めていくということになると思います。この日本郵政グループとして、将来の成長にとっては極めて大事なことだということであります。
4点目ですけれども、これはプレスリリースが、ちょっとわかりにくい表現の仕方をしております。市場運用担当管理社員となっておりますのは、実は、取締役会が終わっていないので、外部に対しての発表の時に、こういう言い方しか現状ではできないということになっておりますが、現実には、ゆうちょ銀行の副社長ということで、そして、これから先のゆうちょ銀行の預かり資産の管理、運用、そして、リスク管理も含めて、そういうものの中心のリーダーになる人ということで、佐護さんを採用するということを決めたということであります。
 佐護さんについては、皆さま方もお名前はご存じでいらっしゃるかと思いますけれども、いろいろ、候補もおありになりましたけれども、その中で、実績と、知見と、そしてまた、海外でのレピュテーションその他も含めて考えれば、国際的な評価が極めて高い人であります。また、実績についても、ご承知のように、非常に高い方であります。それから、人格的にも、私自身、何回かお会いしましたけれども、しっかりとした、非常に簡単に言うと、こういう言い方はおかしいんですけれども、今まで、ゴールドマンさんで築いてきた信頼があり、年齢的には若い、できれば国のためになるようなこと、そういう企業に関わっていきたいという、極めて、私どもにとっては歓迎すべき志を持っているということが確認をされましたので、そういう意味で、長門社長に、まず、就任していただいたわけですが、長門社長の下で資産全体のこれからの管理、運用について、中心になってやっていただく副社長になっていただくことになっております。
 ここで、統括役と書いてありますのは、差し当たっての称号でありまして、取締役会の手続きを経て、副社長に就任していただくということを予定しておりますが、先走ってあまり取締役会で決議しなければいけないことを私がしゃべると、一歩踏み出し過ぎたと、取締役の方々からいろいろ非難を被る可能性もありますけれども、今日、そこまで申し上げてもいいと思います。
 その他長門さんと一緒に仕事をしていく方ですけれども、これについての選考も続けてやっております。これについては、長門社長のもとで、佐護さんを中心にして、新しいチーム作りを考えなければいけないわけですが、従来から私どもも相当莫大な資産の運用をやっておりますので、それに従事していた人たち、そういう人たちも同時に一緒に参加をしてもらいながら、新しい資産運用あるいは預り資産の運用あるいはそのリスク管理というものについて、一歩はっきりとわかる形で踏み出すためには、極めて大事な人材を私どもは獲得することができたと申し上げてもいいかと思います。
一応、以上4点、私どものいわば将来にとって極めて大事な意味を持つことでございますけれども、皆さま方に説明をさせていただきました。
【記者】
幹事社です。2点質問させていただきます。
 まず、ゆうちょ銀行の資産運用ポートフォリオの見直しについてです。佐護さんが副社長に就任されるということですけれども、新設する資産運用チームの進捗状況を教えてください。それと、改めてですが、現時点で考えておられるポートフォリオ見直しの考え方を教えてください。
【社長】
まず、佐護さん以外の人の採用については、まだ誰も確定をしておりません。いろいろ候補になって、私どもに「来たい」とおっしゃっておられる方のリストはでき上がっていて、現に面接もさせていただいておりますけれども、それぞれの方々が、ほとんど全員が現実に仕事を持っておられる方々で、それぞれのご都合もあることですから、チーム編成そのものは社内分も含めて、いろいろ着実に進めていこうと思っております。全体の骨格がはっきりしてくるのは、今年の前半の終わり頃までには、ある程度の姿は出ると思います。ただ、その時点でも、まだ従来勤めておられるところを辞め切れない方がいらっしゃる可能性はあるので、それはあまり無理してそれぞれの会社から引っ張り込むみたいなことは避けたいと思っていますので、少し時間をかけながら、社内の融和も同時に考えてやっていくということで、少し時間がかかります。
 ですから、まずは佐護さんを中心として据え、そして、長門社長のもとで新しい体制を組み上げていくということで、採用そのものの開始はなるべく早く始めたいと思いますが、それぞれご都合がありますから、まだはっきりしておりません。
 そもそも現実に資産運用はもう既に相変わらず続けさせていただいていますので、今月のALMはどうするとか、あるいは現状で考えた資産運用はどうするという、月別のものは相変わらずやっております。これから先をどう変えていくかについては、まだ決まっていないということです。
【記者】
2点目です。みまもりサービスについてです。先ほど、イオングループと共同で全国展開を検討しているということをおっしゃられていましたけれども、先日、一部報道で、本年度中を目標に全国2万4,000局でサービスを提供しようというような報道があったんですけども、その事実関係についてと、あと、展開していくのは買い物サービスだけなんでしょうか。他のサービスはどうお考えでしょうか。
【社長】
これは、今日ご説明したイオングループさんとの全面的な提携のお話は、イオングループさんも合意をされたので、それで前向きに進めますけれども、これはそれ以外のところを拒否するわけでもないし、それから、それ以外に既にサービスを始めになっておられて、それでこれから一緒にやりたいというお申し出もいろいろございます。その他に、更に介護の問題、これは非常に、これから先を考えると大きな問題ですけれども、見守りだけではなくて、寝たきりとなっているような方々の状況をリアルタイムで把握しながら、把握するだけでは役に立ちませんから、やはり介護のサービスも一緒に付けられるようなスキームというのを作ろうという考えもございました。いろいろそれの準備も進めております。
 その他、既に開始されている会社もいろいろございますから、そういうところとの提携のご依頼もいろいろあります。ただ、私ども既に発表したIBMとアップルと、それから日本郵政グループ、これの今考えていることというのは、やはりビッグデータの、いわば塊ができるわけですから、それを将来どのようにフル活用することができるのかという観点。これを本当の意味で活用できるようにするということ。
 それからもう1つは、お年寄りの方が扱いやすい、本当に便利な端末というのはどんなものなのかということについてのいろいろな実証実験はやっていきたい。いろんなことを進めていきます。それを進めていくことが、とりもなおさず、日本の他の同じような志を持っておられる方々と提携あるいは協力を続けていく根本になるのだろうと思います。
【記者】
すいません、実質的な目途と郵便局、どれだけの数でやられるのかという……。
【社長】
差し当たっては、地域的には県が2つありまして、山梨県と長崎県、この2つをいわば実験の対象にしようと思っています。
 それで、それぞれが既にみまもりサービスをやっている、みまもりサービスは全部で6カ所やったわけですけれども、その中の2つをまず最初に力を入れてやっていこうということで、あまり最初に急いでバラバラな展開をするというよりは、ある程度、集中的にやる。そこのそれぞれのサービスそのものも、どこまで必要なのかということも見定めながら、最大限のサービスをしたらここまでできる、ここまで需要がある。しかし、それはどれだけコストがかかるんだということも、同時に考えながらやっていく必要がある。幸いにして、私どもは郵便局ネットワークがありますので、それを活用するということで、いろんな意味で郵便局ネットワークそのものの多様な活用という意味では、確実に将来はあるように思っています。あとは、地域別でいろいろ考えて、地域の金融機関さんとも協働しながらのプロジェクトもできれば進めていきたいということで、そういう話も一部ではやっています。
【記者】
がん保険を2万局に倍増させるということですけれどもですね、当然ながら、それを売っていく営業、渉外の社員とかそういうトレーニングが大事になってきますし、採用も大量に採用していかなくてはいけないと思うんですけれども。
【社長】
いや全然、大量採用はありません。既存の郵便局ネットワークを活用しながらやるというのは、そもそものスタートです。これは、現在、既に郵便局で仕事をしている方、そういう方のトレーニングは当然のことながらやるんですけれど、これはそういう方々を再教育して、それで、いわば多能化する、多能工っていう、プロダクションの方ではそういう言い方をしますけれども、そのようないろいろなことができる、いろんなことができるから、我々の郵便局ネットワークは価値があるんだと考えております。
【記者】
わかりました。中計の中ででもですね、渉外社員ですね、今、1万7,000人位いるのを2万人体制に持っていくというのが出ていますが。それもやはり、この2万局に広げて、また別の保険なんかも取り扱えるようにすると、これとつなげていくというねらいがあるのでしょうか……。
【社長】
一部重複する点はあります。ただ今回の2万局にするというのは、郵便局ネットワークそのものの最大限の利活用ということが目的です。
【記者】
わかりました。最後にもう1点がですね、先ほど、他の保険会社、国内外での取扱いも視野にということをおっしゃっていましたけど、現時点で何か方向性とか、お伺いできれば。
【社長】
もう実際には少ない局数ですけれども、200局位で、全部で7社やっています。その中で、どういうところとさらにネゴしながら広げていくかというのは、これから決める形になります。
【記者】
ありがとうございます。
【記者】
よろしくお願いします。佐護さんについてなんですが、採用されたということで、かなり佐護さんはGSでリスクを取って稼がれてきた方だと思うんですが、その日本郵政の投資スタンス、まあもうちょっとかなりポートフォリオの見直しとかされると思うんですけれど、どの位、その外資系のマインドというのが反映される、されてくるのでしょうか。本当に日本郵政の役割に沿って佐護さんを雇った意味というのはある程度出てくると思うのですけれど、その辺のところをお聞かせください。
【社長】
佐護さんには今までの知識と経験をフルに活用してほしいとお話をしています。ということは、とりもなおさず、従来の私どもの投資スタンスというものと違ったやり方でいいんだと言ったのと同じです。簡単に言うと、今までのやり方と、なかなかすぐに全部そういう形まで移ったら大変ですから、それはゆっくりとやっていくという面を同時に持たなければいけないんですけれども、究極的には、今まで日本の金融機関は、投資について極めてティミッドであって、そして国債に依存しながらやっていく、国債依存のいわば私どもは最大の会社、日銀さんの次に多いんですけれども、こういうことについてのオブリゲーションは感じないで、しっかりとした運用をやる、そういう金融機関があってもいいのではないかと。ということで、一歩先に、数歩先に進むことができるような金融機関になりたいということです。ただ、同時にリスク管理についても、細心の注意を払わなければいけないというのもあると思います。
【記者】
あと、すいません、ちょっと追加なんですが、先ほど西室社長がおっしゃられた6月、今年前半の終わりぐらいに大体チームというのが……。
【社長】
チームの骨格です。
【記者】
チームの骨格が。
【社長】
実際に、運用の本当の意味で変わっていくのは年末、あるいは来年にかけてになると思います。その社内の今までずっとそれに関わる仕事をしてきた方もいます。そういう方のマインドセットの問題もある。それと同時にスキルはしっかりお持ちでいらっしゃるので、そういう方が積極的に参画していけるような、そういう新しい形を作っていこうということです。
【記者】
今のところ、応募は何通来て、どういったバックグラウンドの人が多いんですか。
【社長】
応募は、前の記者会見でもお話ししましたけれど、たしか一番最初に新聞広告を出して、それで応募をいただいたのが37件。中身は申し上げませんけれども、全て、ほとんど全部ですね、実際に現役で仕事をしている方です。
【記者】
メガバンクとか、日本の銀行が多いとか……。
【社長】
あまり詳しいことは申し上げたくないんですが、というよりはプライバシーの問題もありますものですから、全員佐護さんと同じというわけにはいかないと思います。
【記者】
トール社の買収手続きが完了したということでお聞きしたいんですけども、4月の初めに中期計画を出していて、その中にトール社の数字というのは織り込んでないということだったと思うんですけれども、これ、手続きが終わったということで、今後の数字的な目標というのがあるんだったら教えていただきたいということと、なければいつ位までに公表できるようなものをまとめてくるのか。
【社長】
そうですね。いずれにしても、これはつまり、今回、発表させていただいた中期経営計画は、全ての規制、あるいはいろいろな制限というものが現実に存在し続けるということを前提にしても、我々としてはここまでやれるはずであるという自信を持って出したものでして、3年間です。これから先、トール社も含めて、いろいろなアディションを付け加えながら、それの更に発展していくということを、皆さま方にアピールするということをしなければいけない。これはこれからなんです。ですから、今日すぐに右から左に、こういうことでトータルの経営はこうなりますというのは申し上げられない状況です。
【記者】
単純に日本郵便とトール社の直近の確定した数字だけを足し合わせると純利益で600億円位になるのかなと思うんですけども、もちろん子会社化して、相乗効果をねらっていくということですから、かなり上を目指すということになるのだろうと思うんですけど、どの位をというか、どんなイメージで……。
【社長】
まだ、それをやるのはこれからの話ですから。
【記者】
ただ、それがなくて買収なんかしないわけですから。そういう目標、目標というか、目論見が。
【社長】
当然ですよ、それはありますけれども、それを公表すると、いわば手品のタネをさらす形になりますから、それはできない。
【記者】
わかりました。
【記者】
よろしくお願いします。2つありまして、1つ目なんですけれども、人員の計画のところなんですけど、先ほど、がん保険では採用しないということだったのですけど、みまもりサービスの方ですが、もし全国的に展開するとなるとですね、現状、確か月1回訪問位のサービスあったと思うんですけれど、かなり、人手が要るようなイメージなんですが、ただでさえ人手不足と言われている中で、どういう人員を増やしたりですね、どういうイメージを持っていらっしゃるのか教えてください。
 あと、2つ目が、きょう佐護さんのご就任を発表されたんですけれど、長門さんももうご就任されていて、それで、就任お披露目の会見を開くお考えはないのでしょうか。
【社長】
就任お披露目会見は、やる予定はなしです。これは今までですね、私は全体の社長で、交代したときはお披露目やりましたけれども、それ以外の交代が幾つもあって、1回もやってないんですよね。ですから、今回長門さんだけ例外ということにはしないことにしました。
【記者】
ただ、何でしょう、今後、上場を目指すに当たって、上場企業として紹介するという意味もあると思うんですけど、そういう意味では何か対外的に、何か出てこられるというのも1つあるかなと……。
【社長】
もちろん、対外的にもうあちらこちらで顔を出して、ちゃんとお話もしていますから、そういう意味では取材をしていただければよろしいと思います。
 それで、一番最初の人員の話はね、実際には、人手必要です。必ず必要になります。ただ、その人員は、今、私どもの考えているのは、私どもの会社のOBで、それでもう既に半分リタイアされたような方で、しかも最近年寄りの、私も年寄りで働いている方ですけれども、やっぱり65歳過ぎてからも仕事をしたいという意欲がある方、すごく多いんです。そういう方々を活用するのが一番いいんじゃないかと今、考えています。ですから、新規の大量採用をするようなことは全く考えないで、それで、私どものOBの中でそういう意欲がある、そして、しかも地域にちゃんと住んでおられる方、そういう方にお手伝いいただくのが一番いいだろうと思います。
【記者】
中計の件でお聞きしたいんですけれども、先般発表された決算で、前提となる2014年度の純利益の数字が中計で出された想定よりも上回っているかと思うんですけれども、それで発射台が引き上がるということにはならないのでしょうか。
【社長】
なりません。
発射台と言っても、発射台はうちが決めればいいわけですから、あれは現実にこうなりましたという発表をしたので。
【記者】
そうすると、今の計画では、最終年度減益、2014年度比減益の計画を今そこに出しているという理解でよろしいですか。
【社長】
これから先のトール社の買収だとか、いろんなプラスファクターがありますので。ただ、現状で我々の実力としてやれる範囲ということで、いろんな規制が全部存在するという前提のもとに作ると、中計のような形になると。それで、それは1回固めた形ですから、それを今すぐに変える気は全くありません。だから、発射台を下げるということは、もっと大がかりにやらなければいけない話ですね。つまり、トータルの我々の将来計画というもの、これは、中計はもとにあるけれども、その先にどういう絵が描けるかということについての、これから先の努力、きちんと語ることができなければ上場する意味がありませんから。
【記者】
トール社入れた数字はなるべく早く出されたいと……。
【社長】
いや、別に出す必要はないと思います。
 というのは、部分修正をやりながら積み上げていくという方法を取ったのでは、皆さん方も迷惑でしょうし、私どもにしても、あっちで出て、こっちで引っ込んだみたいな話が当然ありますよね。それをきちんとまとめた形で、最初の3年については、この間発表したのは、確実性のある数字として発表した、あの中計はね。それで、そこから先まで含めたような話というのは、これからの発表でまとめてやらせていただきたいと思います。
【記者】
すいません。佐護さんの就任について、2つほど確認がありまして、1点目がすごく細かいことなんですが、これ、実質上、ゆうちょ銀行のチーフインベストメントオフィサーという、CIOというような感じで捉えていいのかというのが1点と……。
【社長】
はい。すぐにそういうポジションには発表できませんけれども、将来的にはそのつもりで佐護さんに入ってもらうということです。
【記者】
あと、ゆうちょ銀行というか、そもそも、先ほどの質問の中でお答えがあったんですけど、日本の金融機関の有価証券運用だと非常にティミッドで国債依存が高いということをおっしゃったんですが、佐護さん率いるチームの判断次第によってはですね、今後、より、いわゆる日本の商業銀行がやっているような有価証券とは全く違う運用スタイル、それから国債依存から脱却というのも、フリーな範囲の中ではやってもいいというご発言ですか。
【社長】
はい。そういうことです。そういう発言をしたつもりです。
【記者】
すいません。ちょっと、非常に細かくて恐縮なんですけれども、佐護さんは取締役には就かれない……。
【社長】
これはですね、今日、あえて私は副社長にと言ったのは、今後のその辺りのことも踏まえながらということです。
【記者】
わかりました。あと、すいません、みまもりサービスのところでちょっと整理をさせていただきたいんですけれども、イオンとの提携のところで、現状展開しているみまもりサービスに、イオンの買い物サービスを載っけていくというのと、アップル、IBMとの共同実験にイオンにも加わってもらうという、2本立てみたいな形になるという理解で……。
【社長】
両方です。
つまり、アップル、IBM、日本郵政グループという1つのコアのまとまりがあって、それが新しい世界の中で最先端を行くような高齢者対策をやろうということでまとまったわけですね。それの成果をイオングループさんにも活用していただきたいし、同時にそのいわばショッピングに必要な部分については、イオングループさんの力を借りることができるということです。
【記者】
ということは、当面山梨、長崎でというのは、これは買い物支援のサービスを、まずイオンと一緒に山梨、長崎でやっていくということで……。
【社長】
それは、まだ決めていません。
【記者】
決めていない。
【社長】
ええ。申しわけないんですけれども。それは今、プランを作っている途中ですから、将来の姿を、決め打ちする気は全くありません。というのは、非常に多くの提案がいろんなところから出ているわけですね。それぞれの提案そのものが、それぞれ意味があると思います。それぞれのところから私ども、一緒にやろうよというお話はたくさんいただいているので、それで、そういうのをお互いに整理し合いながら、やはり国民のためになるようなことを作り上げていく。これは地方創生の担当大臣にも話をしに行く予定です。
【記者】
ありがとうございます。
【記者】
すいません、よろしくお願いします。
 トールのこちらから送る人事についてちょっと質問があるんですが、先ほど、西室社長の発言の中にですね、若い人かなり数多くて、勉強してもらうとか、現場レベルの方ですね、とか一番上に乗っかって仕事をするわけではないというような発言があったと思うんですけれど、そうすると、やっぱりトールは、ただ買収したただの子会社というよりは、国際物流を教えてくれるパートナーみたいな位置付けになるんですかね。
【社長】
位置付け的には、まさにご指摘のとおりですね。というのは、今から私どもがスクラッチでやって間に合うようなスピードで世の中動いていませんから、ですから、いろんな意味で、トールは、先に走れるところは走っていいよということでやっています。
【記者】
では、すいません、ちょっと意地の悪い質問になってしまうんですけれど、そうすると、やっぱり、今の日本郵政グループの中に、トールで経営の根幹、かじを取りながら成長させていけるような人材は、今のところはいないというみたいになるんですかね。
【社長】
それは相当難しい質問なんですけどね、いないとは言いません。
【記者】
トール社に限らずということですかね。
【社長】
可能性のある人はいるでしょうね。日本郵政の中で、これから先、全体のコーディネーションなり、リーダーシップをとっていく人というのは、いなければいけないわけですから、そういう人材というのを養成するという必要は当然あります。
【記者】
では、逆に言うと、今回、現地に送られる方は、役員から現場レベルの方まで、そういう可能性を担っている方という理解でいいんですかね。
【社長】
今後の人事評価、その他にも関連する話になるので、この場でコメントするのは難しいですね。しかし、皆さんにとって世界に進出する日本郵便の将来を考えてのトレーニングという意味では、意味があると思っています。
【記者】
ありがとうございます。
【記者】
介護をやっている企業さんとこれから提携されるようなお考えとかはありますでしょうか。
【社長】
はい、十分あります。そのつもりでいろいろなプランをつくっている最中ですね。
【記者】
あともう1点だけすいません。全特総会に来賓としていらしていた時に、中計のその先の考えというのは、はっきりエクイティストーリーの中に示さないとというようなこともおっしゃって……。
【社長】
そうです、はい。
【記者】
あったんですけども、その先の成長というのは、今、もういろいろ発表されている中の柱になるものというのは、何でしょう……。
【社長】
多分ですね、エクイティストーリーを発表するというのは、目論見書を出す段階ですけれど、そこまでにまとまったことは全部入れ込みます。ただ、まだいろいろ手を広げて、あれもやりたい、これもやりたいという話、外からも言われておりまして、私どもの頭の中にもある。そして、実際にお話も進めているという案件が結構ありますけれど、これ全部出せるかと言ったら、とても出ませんね。これから、いろんな可能性がまだたくさんあると、ご期待いただきたいと思います。
【記者】
ありがとうございました。
【記者】
2点、お願いします。
 市場運用部隊の規模感というのは今、37名応募があって、最終的に何名の部隊にしようみたいなことは今、固まっていらっしゃるのでしょうか。それに付随して、例えば二次募集とか、そういうものの可能性というのは、現時点であるのでしょうか。
【社長】
はい、わかりました。
 まず、基本的に私ども市場運用をしてないわけではなくて、ゆうちょ銀行というのは、市場運用をしながらずっと育ってきた会社ですから、そこで関係している従業員というのが約200名います。その人たちは、いろんな意味でトレーニングを積んでいる人たち。それの他に、全体の方向性を決めていくというところが今回の佐護さんに来てもらうところなので。それで、それに伴って増員するというのは、幹部社員だけですね。ですから、幹部社員何名になるかは、これは佐護さんと、それから、社長が決める話なので、まだ確実には決めていません。佐護さん自身もまだ決まっていないと思いますよ。
【記者】
すいません、もう1点なんですけれど、郵便局の話で、今回、がん保険が件数、固まってきたと思うんですけれど、ざっくりと、今後のイメージとして、郵便局が取り扱う代行サービスとか、いろんな取扱商品であるというのは、金融に限らずというか、本当にいろんな分野の何かを取り扱える場所になるというふうに……。
【社長】
そうですね。おっしゃるとおりです。今でもね、お買い物のお手伝いだとか、あるいは地方の物産をやったり、それから、ふるさと納税のお手伝いだとか、それから、その他に、お役所でやっている仕事の中の、例えば証書の発行とか、印鑑証明だとか、そういうものを代行するとかいうところの、いろんなご依頼があるんですね。そういうものは前向きに受けていこうと。つまり、多機能の郵便局ネットワークというのは、多機能の住民サービス、それができる拠点になっていくということです。
【記者】
ありがとうございます。
【記者】
トールの件で、先ほどパートナーのような存在でということで、反対にトール側から人材を郵政グループに、幹部、現場含めて受け入れるという予定、考えはありますでしょうか。
【社長】
現状ではまだ何も決まっていません。まだ実際に、昨日現在でようやく、ディールが終了したところですから、ここから先いろんなバリエーションあると思いますけどね。まだ決めていません。
【記者】
すいません、ちょっと重複で恐縮なんですけれども、みまもりサービスの今各社いろんな会社が始めているところですが、日本郵政ならではの強みですとか、違いというあたりを教えていただきたいのと、この全国展開される時期のめどみたいなものがありますでしょうか。
 もう1点、先ほどの佐護さんの方は、6月の下旬の取締役会で決められて副社長になられるという想定ということ……。
【社長】
一応そういうことですね。6月下旬よりはもうちょっと早いと思いますけれど、まあ、いずれにしても。
【記者】
最初のみまもりの方は。
【社長】
みまもりの方はですね、まだ全く固まっていない状態で、実際には、私どもだけではなくて、他のいろんなみまもりサービス風のものをやっておられる会社も、本当にこれで全国展開するなんて言ってるところは、どこもないんですよね。全国展開の可能性を考えるのは、私どもだろうと思います。
 そういう意味では、私どもが、やっぱりできる限りオープンマインドで、しかもオープンスタンスでやっていかないと、既にいろいろな目的を持ってお始めになっておられるところが、私どもと一緒に協力してやろうというお話だったら、それはいろんな形で受けていくことは可能だと思うし、それはそういうふうにやっていきたいと思います。
 非常に巨大な資産を持っている会社ですから、やろうと思えば全国展開できるのではないかとお考えかもしれませんけれども、そんな野望は持っておりません。それぞれの既にスタートされている方々と、しっかりと協力しながらやっていくというのが、我々の態度であるべきだと思っています。
【社長】
どうもありがとうございました。