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2015年3月18日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2015年3月18日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
どうもご多忙の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 私から6点ばかりお話しします。一番大物の中期経営計画の話というのは、まだ完成しておりませんので、本日は発表しません。それ以外のことについて発表させていただきます。
 まず、本日の第1点目はゆうちょ銀行の社長人事であります。前回の会見で、井澤社長の在任が長期にわたるということ等、本人の申し出によりまして辞任をお伝えしました。本日、ゆうちょ銀行の取締役会で、私がゆうちょ銀行の社長に選任されたということをご報告申し上げます。本年4月1日付けで社長に就任することになります。これは現在の日本郵政の社長兼務ということになります。ゆうちょ銀行の上場に向けて、更にはグループ全体の企業価値の向上に向けて全力を尽くしたいと思っております。
 2点目はですね、ゆうちょ銀行の市場運用及び市場リスク管理を担当する管理職の募集、これは2月18日に皆さま方にお話をした件でございます。新聞広告も出させていただきました。これにつきまして、3月13日に一応第1回、これが1回で終わるかどうかはわかりませんけれども、いずれにしても応募を締め切りにいたしました。おかげさまで、合計で40人近い37名の方のご応募をいただきました。今後、採用委員会を立ち上げて選考していくことになります。正直申し上げると、少しはばかりがありますけれども、現職の方が結構多くていらっしゃるので、面接等の選考には多少時間をかけてゆっくりと、それぞれのご都合に合わせての面接をしていきたいと思いますので、すぐには決定できませんが、できる限り早く決定をしていきたいと思います。
 この分野は、ご承知のとおり、ゆうちょ銀行のこれから先の成長がかかる収益力の向上のためには極めて重要な部分でありますので、今回の採用によりまして、ゆうちょ銀行の市場運用及び市場リスク管理能力が飛躍的に向上するような組織にしていきたいと思っておりますし、それは実現できるだろうと確信をしております。
3点目は、日本郵政グループの将来の会計基準の件ですけれども、今後の事業活動がグローバルに拡大するという点も踏まえまして、グループ連結の会計基準についてはIFRS(国際財務報告基準)を導入したいと考えております。これは完全に私どもが決めて、それで準備を今から始めるわけですけれども、これは完全に移行するまでにはしばらく時間がかかると思いますが、できる限り早くやっていきたいと思います。
 それから導入時期のお話ですけれども、不確かな点がありますのは、保険の分野のIFRSの適用、この基準が確定していない状態にあるというのは、ご存じの方はご存じでいらっしゃると思うのですが、その不透明な要素があります。これから先の議論もしっかりとフォローしながら、可能な部分から作業を進めていきたいということで、差し当たって郵政グループとしての連結の決算の仕方をIFRSに移行していくという作業をできる限り早く始めたいと思っております。
 それから4点目。ふるさと納税支援スキームについて。この4月から、ご承知のように、ふるさと納税が拡大されまして、ほぼ倍になったんですね。それで、それに日本郵政グループとしても、地方創生を推進するために是非とも協力したいと考えております。
 具体的には、ゆうちょ払込取扱票がセットになった、ふるさと納税のリーフレットを政府が作成する予定ですが、その払込取扱票を利用して、全国の郵便局の窓口で簡易にふるさと納税を行うことができるようにするとともに、寄附案件の増加等に伴う地方自治体の業務負担増を解決するように、寄附金申し込みの受付の事務をお手伝いする。そして寄附情報等の管理業務、それからお礼状、払込案内書等の発送業務、それから、お礼品の発送業務等、やはり一連の仕事が、私ども日本郵政グループの中で提供しているサービスに適していると判断しておりますので、このふるさと納税を増加していこうという政府の地方創生の方針に、全面的に協力ができると思っております。
 既に一部の自治体には、実際に寄附金を払っていただくところから、寄附金のお礼品をお送りするところまでですけれども、解決フローを提案させていただいている自治体もございます。それぞれ地方自治体でイニシアチブをお持ちにならなければいけないわけですので、今後ともご相談いただければ、問題解決のお手伝いになるということであります。
それから、5点目ですが、日本郵便の新商品に関して、まずは「クールEMS」の取扱郵便局が現在25局から78局に拡大をいたします。取扱国につきましても、シンガポール、香港、マレーシア、ベトナムに加えまして、新たにフランス宛てを4月1日から開始をする予定でございます。正式発表は明日の予定となっております。これは、日本料理に対する関心が世界的に高くなっているので、それをお手伝いするという意味では材料がなくてはいけない、それが空輸できなくてはいけないということで、クールEMSの対象を、まずヨーロッパではフランスから始めよう、そういうことであります。
それから、同じく日本郵便の新商品、皆さま方にも数多く取り上げていただきましたけれども、4月3日からインターネットオークション等のお客さまの利便性の向上に資するために、「スマートレター」の取扱いをいよいよ開始いたします。また、4月9日には、ゆうパックなどの荷物をお客さまのご希望の場所で受け取れるという、もう既に発表済みですけれども、「ゆうパック受取りロッカー」の運用を開始いたします。どちらも日本全国一斉にというわけにもいきませんので、最初は首都圏からの取扱いですけれども、今後の需要の動向によりましては、早期に全国展開をしていきたい。これは必ず全国展開をしないと意味がないわけですから、全国展開をできる限り早くしたいと思います。
 発送手段として、ゆうパックやEMS等をご利用になられるお客さまの多種多様なニーズにお応えするための商品やサービス、これは発表したもの以外にもいろいろと考えておりますので、そのメニューを広げるということで、より多くのお客さまの利便性を向上するということ。それが、今後の日本郵便の経営基盤の拡充に必要性が極めて高いという認識をしており、注力をしていきたいと思っております。
それから6点目は、これは昨年4月、郵政の創業以来初めて企業スポーツとして産声を上げました「日本郵政グループ女子陸上部」でございます。これが創部1年を迎えます。
 この3月に、東京都小金井市に選手専用の寮も完成いたしました。それから、4月からは新卒で新たに4名の選手が加わるということで、2015年度4月からは10名の選手の体制で活動することになります。
 今後も選手の方々が全力を挙げて頑張れるように、会社としてもしっかりと応援をしていきたいと思っております。皆さまからの温かいご声援をいただければ幸いです。
 冒頭、私の申し上げることは以上でございます。
【記者】
幹事社です。よろしくお願いします。
 早速、質問を申し上げます。一つは、中期経営計画の策定状況と、公表時期のめどを教えていただけますでしょうか。もう一つは、春闘の交渉状況について教えてください。お願いいたします。
【社長】
わかりました。まず、最初の中期経営計画については、内容の見直しをしっかりと進めている最中でございまして、まだ最終段階に至っておりません。計画の見直しに当たっては、グループの更なる収益性を上げていきたいと、それから生産性も向上しなければいけない、コーポレートガバナンスの強化等大きな課題がいろいろございます。課題は解決するためにあるわけですから、できる限り皆さま方がご納得いただけるような中期経営計画にしたいということで、これから先の成長が郵政グループの商品・事業戦略、こういう縦の成長、それともう一つは、郵便局ネットワークというのが私どもの事業の基礎でございますが、このネットワークを活性化するグループの横断戦略。この縦横をしっかりとつなぎ合わせるようなこれからの発展を考えていく、そういう中期経営計画にしていきたいと思います。
 昨年、中期経営計画を1回発表させていただいて、それが初年、最初でございますけれども、今回は、前の中期経営計画に必ずしもこだわらないで、いろいろな施策、戦略、計数目標の設定、そういうものをしっかりとやっていきたいということで、3月末までには完成するつもりでございます。ただ、公表が本当に3月末にできるかといいますと、あまり自信がない点もございまして、それで、そうですね、4月以降にずれ込む、ずれ込むといっても4月の頭には必ず発表できるようにしたいと思っておりますけれども、そのようなタイミングになるとご理解いただきたいと思います。
 それから、春闘ですけれども、これは話題にされると私どもとしては、まだ全く見当がついていない状況であります。ですが、交渉の状況、いろんな意味で両方とも誠実に時間をかけてやっておりますから、進展はしておりますけれども、やっぱり先頭を行っている非常に業績のいい会社とは、私どもは立場が違います。そういう意味で、労働組合の方もいろいろ苦心をしているところです。コメントは本日、恐縮ですけれども、させていただくのは、早過ぎると思います。現実に厳しい状況がある、しかし我々としてはできる限り、社員の方々の満足がいくかどうかわからないけれども、我々のできるぎりぎりのところまで提案をして、早期に妥結するようにやらせていただきたいと思います。
 ご承知のように、明日19日が回答指定日ということになっておりますので、明日は、私自身も夜中までお話をする覚悟でおります。
【記者】
冒頭に、市場運用部門の管理職の募集で、37名の応募があったとおっしゃったんですが、これは多かったと感じられたのか、それとも、思ったより少なかったという感じだったかということと、あと、応募してきた方々、現職ということだったのですが、差し障りのない範囲で、どのような属性といいますか、国籍、若しくは現在の状況と、三つ目は、コンペティティブな報酬というものを日本郵政グループとしては用意できるのかどうか。その辺についてお聞かせいただければと思います。
【社長】
はい。これは先月の記者会見で、割に詳細に方向性についてのお話をしたと思いますけれども、私どもは、幹部社員の募集ということで、管理職の方、それ以上のレベルの、それから、それのクオリフィケーションは、広告にも載せておりますように、少なくとも英語はできなければいけないとか、それから、少なくとも3年位の実際の実務の体験があるとか、それと同時に、私どもはコンペンセーションについては、最初は私どもの会社の給与規程に基づいてということですが、これはご想像のとおり、そんなに大きなものにはなりません。ですから、幹部社員といっても、せいぜい多くても2,000万円とか、その前後の話になるんだということですね。
 募集条件の中にも、業績評価に基づいての報酬制度は別途作りますと言っております。ですから、基本的な給与については私どもの幹部社員と同じようなレベル。しかしながら、しっかりと成績を上げていただいたと評価される方についてのコンペンセーションは、別途成功報酬的なコンペンセーションの体系を作ります。そういうことであります。ですから、他社から移っていただくというようなことを考えてみますと、現在勤務中で応募された方々、ほとんど同程度、あるいは、それ以下の収入になるというのを覚悟していただかないといけない。郵政という会社はそんなにアウトレージャスな給与を提示して、それで人の引き抜きをやるような会社でもないし、やれるわけもないということ。しかし、これは日本の金融業界にとっては大変野心的な計画でもありますので、そういう新しいパラダイムをつくっていこうという意思があって、そして給料は少し位安くても、やはりそれに参画をしたい。そして、自分が持っている資産運用の能力、それからあるいはリスク管理の能力、そういうものを発揮してみたいと。そういう方をお呼びするというつもりで考えております。
【記者】
人数については。
【社長】
先ほど申し上げた37名というのが数字。また、実は締め切り後も来たとか来ないとかいろいろあるんですけど、大体40人位の応募があればいいなと思っていましたから、ほぼそのとおりですね。なかなか最初の、やっぱりハードルが、私どもは給与の高さで他社から引き抜くというつもりは全くありません。むしろそれよりは、我々と志を一緒にしてくれる方、そういう方々が集まってくれるような組織がつくれればという、少し青臭いかもしれないけれども、そういう夢を持っております。そういう形であります。
【記者】
今のお話を聞いたら、今から応募しようっていう人が出てくるかもしれませんけど……。
【社長】
あるいはね。一応締め切りはいたしましたけれども、これを言うと、また余計な話になりますが、そういうご希望の方がいらっしゃれば、別途候補に入れることは考えたいと思います。
 それともう一つは、現実に仕事を持っておられる方がほとんどという状況なので、それでこれは引き抜くことによって、今あるお仕事を持っておられるその組織にとってはダメージがあるんだろうと思いますから、急いで「うん」と言ったから、すぐ明日からみたいなことはやれるわけもないし、やりたくもないということです。時間をかけながらしっかりと厳選したい。しかし、あまり時間をかけたら組織はできませんから、ある程度見切りは必要だと思います。
【記者】
二つあるんですけれども、一つはゆうちょ銀行の社長を兼務されるということで、まず一つは、井澤さんの後任がなぜ見つからないのかということと、西室さんが社長をやったまま、上場をしていくということなのかと、どの位兼務をするつもりなのかということを教えていただきたいというのが1つ、二つ目はまた別の話で、自民党の郵政の特命委員会が始まりましたけれど、先生方は非常に熱心な感じがしたのですが、この議論というものを、社長としてはどのように活かして欲しいのか、あるいは活かしていきたいのかということを教えてください。
【社長】
まず、最初のほうのお話ですけれども、正直言って私は、今回はやむを得ない選択として、積極的ではないけれども、しかし事業としてのコンティニュイティーのためには、私がしばらくこのゆうちょ銀行の社長をやるのが、今の私どものアベイラブルな人材から言えば、最善の策だと思ってやります。それはどういうわけかというと、当然のことながら後任の方がまだ決まっていないということなので、後任を選ぶという作業はこれから積極的に更に進めていきたいと思います。後任の方がはっきり決まれば、それはもう、後任の方にできる限り早く、経営に入っていただきたいと思います。
 実際にコーポレートガバナンスの点から、本日のゆうちょ銀行の取締役会では、取締役の方から移行期間的、あるいは兼務の間、利益相反を防止するための体制整備を行うべきだというご提案もあったので、これもつくるつもりです。やはり、どこが利益相反するのか等、そういうことは我々の勝手な判断でやるよりは、きちんとした判断をできるような体制を整備するつもりで考えております。自民党の特命委員会の会議、非常に活発にやっていただいているのが、わかりました。それで、特命委員会そのものの、これからのご予定を聞いておりますと、多分これから2、3カ月は少なくともかかるということでやっていかれるのかなと思っておりますので、できる限りしっかりとした調査をやっていただいて、それで方向づけを出していただきたいと思っています。ただ、私もその間、何もしないということよりは、むしろ今、私どもがその間にやらなければいけないのは、国内の中小の金融機関、具体的には地銀ですとか、場合によっては都銀も入りますけれども、あるいは信金、信組、その他そういう金融機関の方々が、郵政あるいはゆうちょ銀行というのは、いわば敵対的な組織であって、背中合わせにしか進めないんだというようにお考えになっているとすれば、私どもはやはり金融機関全体として考えたときに、私どもの力も、地方の我々の持っているネットワークの拠点、そういうもののメリットのご利用もいただきたいし、それからお手伝いもしたい。特に地方自治体に対しては、そのようにお願いをしておりまして、地方自治体はご理解があるのですが、金融機関に対して、もっとしっかり私どもは、お友達なんだから一緒に仲よくやりましょうという雰囲気を醸成していくというのは、まず我々の努力が必要だと思います。
【記者】
ゆうちょ銀行の話は、上場はいつになるかわからないですけれど、どういうイメージで考えられているのか。
【社長】
私のイメージとしては、きちんと専任の社長がいるというのが、一番わかりやすい方法だと思っています。
【記者】
では、上場前までには、もちろん後任を決めて。
【社長】
ええ、ですから、いつまでものんべんだらりと私が社長を中途半端に続けるようなつもりはありません。その責任がある範囲では集中して一生懸命やるつもりですけれども、そんなに長く続けるのは、私も体がもちませんから。
【記者】
続けてゆうちょ銀行の件で、上場プロセスへの影響というのは、今回の社長兼務されることで、どのように考えていらっしゃいますかというのが一つと、あと、先ほどのガバナンス上の利益相反を防止する体制を整備する、これは3月中に、早急につくって就任前に対応されるという理解でよろしいでしょうか。
【社長】
二つ目の方からいくと、これは今日の取締役会で、そういう体制をきちんと整備して、それで今月中に、各取締役にしっかり報告するようにということで決めておりますから、そちらはクリアだと思います。
 それから、上場のスケジュールに影響しない範囲はどこまでかというのは、ちょっと答えにくい話ですけれども、具体的に申し上げれば上場の仕方というのは、いわば上場申請を正式に出さなければいけないわけですね。それで上場申請を出して、審議期間が大体3カ月から4カ月は、普通はかかる。東京証券取引所で。それで、その期間が少し長いので、その前の予備申請というのがありますから、このプロセスにはなるべく早く入りたいと思ってます。それをやっておくと、この期間で多分3カ月は必要でしょうけど、それをやっておけば、本申請をしてからの期間がひと月くらいで終わるという、今までの例ではそうだったらしいので、それが全部できるのでしたら、私どもが最初から申し上げているように、来年度の後半での上場、これはスケジュール的には大丈夫だと思います。
【記者】
地域金融機関と仲よくするというのは、例えば、具体的にどういうことで、それでそのためのアプローチをこういうご発言ということだけじゃなくて、どのようにこれから働きかけていかれようとしていらっしゃるのか、もし何かお考えがあればお願いします。
【社長】
そうですね、仲よくしようと言っても、別に集まってお遊戯するわけにはいきませんから、実際にはですね、いろいろなお互いに困っている部分の助け合いができないかというお話は、別途それぞれ小さい規模ですけれども、もう始まっています。これは、ですから、我々と一緒に基金のようなものをつくって仕事をしようと、そのような考えのところもいらっしゃるし、あるいは、もう出先を閉めたいので、かわりの代行をしばらくやってくれないかというようなお話もあったり、個別具体的なお話はちょっと避けさせていただきたいのですけれども、既に実は、開始されている話を、私どもとしては、門戸を閉じるのではなくて、もっとフレキシブルに一緒にご相談に乗りながら、役に立てるような郵政グループ、あるいはゆうちょ銀行、かんぽ生命でなければいけないと思って、いろいろなことをやり始めています。ただ、中身については、全部具体的な話がいろいろあるんですけれど、これは、申し上げるわけにはいかないので、勘弁してください。話が決まったらすぐにきちんと公開をいたします。ただ、その間のプロセスがお互いになかなか、あんまり目立たないようにやらなければいけないという意味では大変なんですよね。
【記者】
ゆうちょ銀行の社長についてお伺いしたいんですけれども、なるべく早くということをおっしゃったんですけど、一つの節目としては、6月の株主総会というのがあると思うのですけれども、例えば、それまでにできれば間に合わせたいとお考えになっているのかというのが1点とですね、あと、社長の、こういう資質を望むみたいな、例えば、当然金融機関出身でなければいけないとか、あるいはマネジャーなので直接運用はやらなくてもいいとかですね、もしくは、直接メガバンクとかから来られると、競争上やりにくいとか、何かそういうあたりはありますでしょうか。
【社長】
まず、クオリフィケーションのスペックというのは、すごく難しいことなんですよね。まず、やっぱり人物、人柄、経験、その辺が先に来るだろうと思います。それと同時に、それまでの仕事との関連を考えていくなり、あるいは、そうではなくて、今までやったことはないんだけれども、実際に金融業でない方、そういう方もやはり視野に入れないと、我々としてはベストな人材を何とか選びたいという思いでいっぱいですから、ですから、資質はどうであれという、それを大々的に打ち上げて、それで公募するというようなことはしたくありません。少なくとも、日本の今の風土には合わないと。
 それから、タイミングはその今おっしゃられたタイミングが、私はベストだと思います。
【記者】
IFRSの導入ついて伺いたいんですけれども、今回、上場を控える中で、IFRS導入するのとしないのとで、どういう違いが出てくるのか。具体的にどのような効果が期待できるのかというところについて、ご説明いただければと思います。
【社長】
まずお断りしておかなければいけないのは、IFRSそのものが最終的に全部決まっているわけではないんですよね。いまだにまだ審査中だとか、あるいは協議中だとかいう部分がまだ残っている。そういう中で方向づけとしてIFRSの採用という方向で、私どもは準備を始めたというのは、いろいろ私どもが、この前トール社の買収で相当多額の投資をすることになりました。それで、つまり償却をしていたら赤字になるのではないか、大変だねという評論を書いておられる方が何人もいらっしゃった。
 それで、それはIFRSを採用した場合には、これはすぐに、それは償却をしなければいけないという条項が現在はついていませんから、ですから、そういう意味では、その方向を目指すということは、つまりあの分についての全額を20年なり、10年なりで償却しなければいけないというような負担はないように私どもは考えたいと、そういうことです。
 最終的に決まっていません。今は、準備をしてそれからシステムをきちんと入れかえたりなんかありますので、手間はかかりますけど、方向づけとして、簡単にあれを買ったら10年償却だ、20年償却だ、財政的に心配だろうみたいな議論があるので、そうではない方法もありますよという提示をしているということです。
【記者】
地域金融機関との連携を今水面下でいろいろ進められていると思うんですけれども、自民党の中での限度額の引き上げの議論については、当然各金融団体、機関とも絶対反対だという姿勢を崩すわけにはいかないというのもあると思うんですけれども、その話を、その水面下で話し合う中で、今、政治サイドでの議論が進んでいるということが障害になったりであるとか、ちょっと待ってくれという話に……。
【社長】
これはちょっと待ってくれというようなことを我々は言うつもりも全くありませんし、もしも自民党の部会で、この政令が決まって、これがこのとおり政令化されれば、それは私どもにとっては有利なことになりますから、反対は全くしていません。しかし、実際にはやるとなると大変ですねと。政府保証というのは、明示的なものは全くないというのは、皆さんお認めになっている。暗黙の政府保証というのは、私どもは全くそんなものはいただいているどころか、少し余計に税金も払っていますというのが従来からの立場。それから、郵政民営化委員会そのものも、暗黙の政府保証というものは全くないと言い切っていらっしゃいます。ですから、その辺のところが主な理由として、今、自民党で検討していることについて、反対をなさるとすると、それは反対の方もいらっしゃるかもしれない。しかし、本当に、多分ご心配なのは、地域の金融機関、本当にそのことを我々と一緒に考えませんかということの提案を現在はしていますということです。
【記者】
ということは民間金融機関、お話しされている個々の間では、今の限度額の議論というのは問題になることはないであろうと。
【社長】
そういう動きがあるというのは、もう新聞にも大々的に報道されているので、誰でも知っていますので、ですから、みんなが知っている話は現実に存在します。ただ、我々はお互いに金融機関としての実利をとらないとお客さまのためになりませんから、ですから実利をとる方法、それは自治体の方でも非常に期待されているところですから、そういうことはしっかりとやっていく以外に仕方がないかなと思っています。
【記者】
先ほど日本郵便が4月3日から始める新商品、スマートレターについてお聞きしたいのですが、これ商品性を見ていると、クロネコさんがやめたメール便の利用者が代替商品として使うにはかなり良い商品なのかなという商品なんですが、信書を入れても大丈夫ですし。なぜ今、先方が3月でやめて新商品とか投入して、何か4月からこのタイミングで新商品が出てくるというのは、ちょっとうがった見方になってしまうかもしれませんが、これはやはりクロネコさんの動きもあったので商品にしようとかそういう狙いがあったりはしている……。
【社長】
経営的に勝負だとは思っていません。ただ、お客さまにとって便利なものというのはどんなものかというのを検討していくと、やはりサイズの小さいものがあればその方が使い勝手がいい。それを提案して、それであのときに、クロネコさんのご発表があったときに、記者会見でも申し上げたとおり、私どもが見ていると、一番採算の悪い部分を切り捨てになるのに、これは政府がいけない、日本郵便が、こういう話に近いようなおっしゃり方を、それはないでしょうと。経営上の判断をなさってやったときに、大体全部で8件何かあったというお話も、もう数千万分の1の話ですよね。それが理由でおやめになるということを前面に押し出されたんですが、私どもは冷静に考えて採算の悪い部分から撤退するというお話なんだなと。私どもは採算の合わないものをやる気は全くありませんので、ですから、一番今、足りない部分で、便利にお客さまの役に立つもの、それが今度のスマートレターだと思っています。
【記者】
ちょっと、質問が繰り返しになってしまうかもしれませんが、するとヤマトさんがやる、やらないに関係なく、ずっと前から準備してきたものが……。
【社長】
そうです。
【記者】
このタイミングで出てきただけ。
【社長】
そうです。前から、もうちょっとサイズの小さいやつ出せないのかねと。今の、それのまた半分サイズですよね。そういうものを出せないのかなというお話はあちらこちら、お客さまから言われていたので、それの準備をしていて、それでその最中にヤマトさんがおやめになるというお話がありました。あれに触発されて、対抗策として、火事場泥棒をやる気は全くありません。
【記者】
逆にそれだけお客さんのニーズも細分化しているし、宅配便というか、物流に求めるお客さんのニーズが高まってきているという。
【社長】
そう思います。ですから、最後のお客さまにお届けするというところ、これがやはりコストが当然かかりますけれど、私どもは一応採算がとれることをやっているつもりでおりますし、それをお客さまのためにもっと一つでも二つでも便利になった方がいいね、それが今度のスマートレターです。ありがとうございます。
【記者】
今の質問と関連してなんですけど、ヤマトさんがメール便やめたというのはですね、後から聞いたとしても、日本郵便、現実的には採算に苦しんでいて、決算の数字をみる限り。もしヤマトさんのメール便がなくなったということで、数がまた増えたりすると、ますます採算が悪くならないのかという心配もあるんですけど、その点におきましては……。
【社長】
これはね、私どもは採算無視でコンペティションに参加するような気は全くありません。今の状況で、損益が悪いのは、ボリュームがまだ足りないから。ボリュームを更にプラスすれば十分採算にのると考えています。大丈夫です。ありがとうございます。
【記者】
IFRSについて二つお聞きしたいんですけれども、上場時に正式にIFRSで上場されるということなのでしょうか。それとも徐々に業界基準でですね、それからまたしばらくしてIFRSに変わっていくということなのでしょうか。
 二つ目は先ほど、トール社のお話が出たと思うのですが、IFRSでものれんはやはり償却すべきなのではないかという議論が今あるかと思うんです。結論が、今年出るのかどうかというところだと思うんですけれど、もし償却するという形になった場合もIFRSを適用される形になるのでしょうか。
【社長】
今のご質問にまず正確にお答えすれば、我々はIFRSの方の利点というものについていろいろ検討して、そちらに移行した方が良いだろうなということを考えますけれども、しかしながら、これ実際にやるのには大変な時間がかかるんですよね、ご承知のとおり。言ったからすぐに上場時って、今年ですよ。今年なんかできるはずないんです、最初から。ですから、これは、今日お話ししているのは、将来の形としてそれがあり得ると、検討をしっかりやり始めました。やるについてはコストがかかります。システムを変えなければいけませんから。コスト要因的にはダメージであるかもしれないけれども、そこから先はIFRSが、今言われたのれん代の償却の議論というのが、今いろいろまた再燃しているというよりは議論中の話で、これはどっちに決まるか最初から決め打ちできませんよね。だったら決まったとおりのIFRSをやるかやらないかは、そちらが決めてくださった後で、我々は最終決断をします。ただ、やれるような方向づけの検討段階に入りました。その方が上場する前でありますけれども、フェアであろうと思って、今日お話をしたと、そういうことです。
【社長】
どうもありがとうございました。ちょっと誤解ないように言っておきますけれども、今月末までに本当にもう一回皆さまをお呼びして中期経営計画を発表することができるかどうかはまだはっきりしていません。ですから、場合によったら4月の初めといっても、4月の第1週以内、その辺が最後のデッドラインだと思っています。よろしくお願いします。ありがとうございました。