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2014年4月23日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2014年4月23日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
どうもお忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
今年度初めての定例の記者会見ということで、私から5点くらい、トピックスのお話をさせていただきたいと思います。
まず、最初に、2013年度末の繁忙に対する社員の頑張りについて、お話をしたいと思います。
私が、あえて、これを申し上げたいと思いましたのは、昨年度末、ご承知のように、消費税の駆け込みで、大変、販売が増え、そしてまた、デリバリーのご要望も非常に多くて、ほとんどの会社が年度末の1日、2日前には、受付をやめたところが多かったようであります。多かったようでありますというのは、具体的には、年度末の最終日に、私どものところだけ、受付をさせていただいていたようで、他の方から明らかに流れたという感じの入荷が結構ございました。これを断らないで、しっかりと受け付けようということで、大変な努力をいたしました。そういうことが影響して、郵便営業収入の目標も実績額も前年を大きく上回ることができたということであります。
郵便営業収入目標は、今まで3年間連続して達成しております。今年度は特に、最後の3月に消費税率の改正に伴って、新しい切手の販売が始まりました。切手の販売で申しますと、一番たくさん売れたのは2円切手ですから、そんなに金額的には多くはありませんが、それでも、切手の販売が非常に好調であったということもございます。
それで、オペレーションの面では、2013年度3月末にゆうパックの引受けが対前年130%、約3割増ということで、お中元あるいは年末のお歳暮の時期の繁忙期とほとんど同じか、それを上回る位の業務量でした。大きな荷物がいろいろ入ってまいりましたけれども、滞ることなく、ほぼ1日でそれを解決し、4月2日には通常状態に戻れたということは、ひとえに社員1人1人の皆さま方が、本当に真剣に頑張っていただいたということで、改めて「ありがとう」と申し上げたいと思います。
この頑張りが最後の土壇場でできるということこそが、日本郵政グループの力でもあり、強みでもあり、これから先の、我々の生きていく道を示しているところだろうと思います。
2番目の話題は、2月に発表した中期経営計画にもあるように、日本のトップクラスの物流企業を目指して、いろいろなことをやっていこうということについて、改めてお話をしたいと思います。
基本的には、中期経営計画で示していますように、郵便・物流ネットワークを再編し、物流の拠点である地域区分局に、高性能で高速の設備を導入して仕分け業務などを集中させて、スピードアップと生産性の向上を同時に図るということです。その際、物流にはあまり適当でない、従来の我々の物流拠点のロケーションが、いわば、鉄道中心の時代の、駅に近いロケーション、そういうところからではなくて、運送トラックの発着能力を強化するためにも、高速道路のインターの周辺に新たな施設を建設していくことを着々と始めております。既に、全部で7拠点、新しいものを追加する決定をしています。
今回のポイントは、単なる仕分け業務の集中というこれまでの郵便・物流ネットワークの機能の強化だけではなく、さらに、全く新しい機能として、新たな施設には、営業用の倉庫も付加していくことにしております。これは、つまり、従来のサービスに加えて、営業的な面の付加価値を上げていくということです。
さらに、従来のサービスに加えて、ファイナンスやあるいはシステム構築だとか、そういうことのお手伝いもできる、そういう高度な企業ネットワークも含めたトータルサービスを提供するという必要性が益々高まっておりますので、この観点から4月1日に組織改正をして、日本郵便にソリューション企画部を設置しました。既に動きだしていますが、今後、専門営業部隊を全国に展開して、整備が進むスペースなどを活用し、さらに積極的に広げながら、従来のただ物を運ぶだけ、お届けするだけということではないトータルサービス営業を展開していこうということであります。
こういった取り組みをフル回転させて、きめ細かな配達網と高い配達の品質、それから、信書を扱うというセキュリティの高さなど、日本郵便の強みに磨きをかけて、日本のトップクラスの物流企業へ一歩一歩と進んでいこうと考えております。
これに関連して、5月14日から16日まで、東京ビックサイトで開催される「通販ソリューション展」に、日本郵便として初めて出展する予定をしております。その時に、日本郵便の提供する物流ソリューションとはどういうものかということについてPRをしっかりとやらせていただきたいということであります。
3番目は、皆さま方のお手元に資料をお配りしてございますけれども、『中国・アジア販路開拓チャレンジ2014「日本商品商談会 IN 上海」』を開催することにしました。
昨年の9月、上海市に現地法人「郵便(中国)国際物流有限公司」を設立して、ロジスティックサービスの提供を中心に、日本企業の中国への進出、あるいは販売・販路開拓の支援などを行っているところであります。その事業の一環として、来る9月3日から4日、「日本商品商談会 IN 上海」を私どもが主催し、上海マートで開催をすることにいたしました。
これは、日本郵便が海外で初めて開催するものであります。中国で、まだ本格的に販売されていないメイド・イン・ジャパン(Made in Japan)のよい製品、逸品をお持ちの日本企業をお誘いして、その日本企業の皆さまが、中国の市場にデビューする機会となる場を提供したいというものでございます。つまり、既に中国でいろいろ販売をしておられるところを中心にするのではなく、日本郵便らしく、日本の地域、地方にある中小企業の方々のお手伝い、あるいは非常に特徴のあるユニークな製品の中国における販売のお手伝いをしっかりとやらせていただこうということであります。
また、日本郵便と日本郵便の中国現地法人が連携をいたしまして、商談の準備段階から商談成立後のところまで、一貫してしっかりとサポートしていく。物流・商流、それも含めて、ただ、商談をするだけではなく、その品物をお届けするところまでサポートするということですので、中国での販路開拓を検討されておられる企業の皆さま、1人で行くのは大変だ、しかし、中国の市場でチャレンジしてみたいという企業の方々のご参加を大いに期待をいたしております。これについては、中国郵政にも話を通してありまして、そちらの方の協力もお願いできると思います。
4番目は、もう1回記者の皆さま方にリマインドさせていただきたいのですけれども、ゆうちょ銀行の総貯金残高について、中期経営計画で6兆円を増やす目標であるということを書き込みました。これに関して、大手地銀1行の総預金残高に匹敵するというような記事が出たのですが、それだけの規模であるというのは比較対象が地方の、あるいは大手地銀であったらそうなんですけれども、実際には、中期経営計画ではっきり申し上げました通り、日本郵政グループの事業規模は2000年以降どんどん小さくなっております。私どもはこの小さく縮んでいく日本郵政グループというのを、もう一度しっかりとここをボトムにして、さらに将来に向かって成長しなければいけないと。そして、それが正に日本の国民の皆さま方の郵政に対する基本的な期待だと思っておりますので、もう少し詳しくその話をさせていただきますと、ゆうちょ銀行はどんどん小さくなってきたのです。総貯金残高、これが1999年度、これは2000年3月期末の数字ですけれども、そのときには261.6兆円ありました。それがピークでございまして、その後、大幅に減少を続けて、2012年度末、つまり昨年の3月期末には177兆円ということで、ピーク時に比べて約85兆円減っているという状況、パーセンテージで言えば32.3%の減少となっておりました。
一方、世の中で何が起こってきたかというと、私どもはどんどん減少する、しかしながら、他の金融機関の個人の預金残高というのは増加傾向でありまして、私どもが約85兆円減った期間に約144兆円、約40%の増加となっております。
それから、ゆうちょ銀行の総貯金残高がようやく増加に転じたと申しましたけれども、この増加に転じたのはこの1年、2年の話であって、せいぜい0.5%程度の話です。それに対して、この間、他行の総預金残高は年間で3%程度伸びているということで、中期経営計画で書きました6兆円というのも、せいぜい年率1%程度の増加。全体のパイは3%増加している中で、毎年少なくとも1%位の増加を目指すべきだということで、日本の金融機関、私ども以外の金融機関の皆さま方の脅威になるような数字ではないということを、もう一度皆さま方にしっかりとご説明しておく必要があると思いました。
低金利が継続している中で、安定的に利益を確保する金融機関として、運用の原資となる総貯金残高の確保は不可欠であることから、日本郵便と連携しながら、ゆうちょ銀行の総貯金残高をこの中期経営計画期間で6兆円位増やすことを目標として置かせていただきたいと思っております。
これは特に報道の方々に申し上げたいところですけれども、今までずっと7、8年、この日本郵政グループというのは小さくなるのが常態でありましたし、非常に大幅に縮小を続けてきたのですが、これでは私どもが本来やらなければならない地域、地方に対するサービスも怠らざるを得ない。現実にその間に設備投資もほとんどしないで頑張ってきたのですが、もうこの辺で方向転換をして、積極的なサービスの向上を更に図っていきたいと、思っているわけであります。
それから5番目の話題は、4月16日にかんぽ生命がアフラックのがん保険を受託販売するために、金融庁と総務省に保険業法と郵政民営化法の認可申請を行いました。
これはもう既に郵政民営化委員会で記者会見もされておられますが、今回のかんぽ生命の認可申請というのは、かんぽ生命の直営店、79支店ございますけれど、これにおける受託販売の方でありまして、今後、取扱郵便局が拡大していく中で、かんぽ生命の直営店がかんぽ生命として郵便局のお手伝いもしながら、更に自らも主要なお客さまである中小企業の経営者の方々に対して従来から行っているサービスに、更にこのアフラックのがん保険を加えるということであります。ご承知のとおり、既にこのかんぽ生命の直営店では、大手の生命保険会社、これは日本の生命保険会社と、それから海外も3社ばかりありますけれども、全部合わせて8社の定期保険を受託販売しておりますので、これにもう1つつけ加えるということであります。
このかんぽ生命という組織は保険についてのエキスパートであります。この保険のエキスパートは郵便局の事情もよく知っているので、これから郵便局においてアフラックの保険の販売を更に増やしていきますので、そのためのノウハウ、その他の伝授をかんぽ生命が手伝う方が安全、確実であろうと考えています。やはり保険ですから、間違ったプレゼンテーションをしてはいけませんし、それよりも、わかりやすく、メリットとデメリットを同時にご説明ができるような、そういうノウハウ、スキルが必要だということで手伝ってもらうことにしました。
今回のかんぽ生命の認可申請というのは、昨年7月のアフラックとの業務提携の発表後に、かんぽ生命とアフラックとの間で、具体的な条件について事務手続きその他様々な詰めを行った上で申請したものであり、現在約3,000局で扱っているアフラックの保険をさらに各郵便局で、少なくとも2万局の郵便局までは扱えるようにすることによって郵便局の収入も増えるようにしていこうということであります。
本日、準備した話題は5つ、私からは以上でございます。
【記者】
先ごろ、財政制度等審議会が開かれまして、上場に向けて主幹事証券会社選びの手続きの一環が始まるということになりましたけれども、改めてご所感を伺いたいというのと、併せて、金融2社の上場方針についてはマーケットからも注目される話かと思うのですが、この方針についてどういった枠組みで、どんな工程、どんなメンバーで決めていかれるのか、わかる範囲で教えていただきたい。
【社長】
ちょっと仕組みの方からお話をしておかなければいけないと思うのですけれども、毎年、次年度の予算に向かって財政制度等審議会というものが継続的に開かれまして、その財政制度等審議会では、予算の内容について精査をしながらまとめた答申を大体11月末から12月の初めに出すということになっております。それで、この中で、国有財産の処分につきましては、国有財産分科会という財政制度等審議会の下部組織ですけれども、実はこれは行革のプロセスの中で、財政制度審議会が財政制度等審議会に変わって、その下に付く形になりました。それで、国有財産の処分については、この国有財産分科会が最終的な答申を出すということで決まっております。そういうことで、ようやく国有財産分科会が開かれて、我々の上場の話について審議をするということになったのは、非常にありがたい話だと思います。
第1回が今月14日に始まったのですけど、今の予定では、第2回はいろいろな人に意見を聴取して、第3回で最終的な審議をして、その結果としての審議、分科会としての答申、つまり結論的な部分については6月の初めに出すという発表をされました。ここで審議をしていただく分というのは、国有財産になっている日本郵政の100%政府持ち株。この処分について方針を決めて、そして答申するということになっております。
差し当たっては、6月の中旬にそういう答申が出て、それから実際に財務省理財局でそのまず第一歩として主幹事証券会社が決定されます。これは1社とは限りません。何社かになるのだろうと思いますけれども、主幹事証券会社を決めて、そして主幹事証券会社に提案をもらい、それで、いろいろ相談をしながら、どういう形で、どのようなボリュームで、最初の株式上場をするのかということを決めていくということが、実際に行われるプロセスで、恐らく、それには8月、9月までかかるだろうと思っています。
それと同時に、日本郵政として持っている金融2社の株式の処分については、財務省とも相談しながら、そのプロセスの中で、どのように位置付けていくか。オプションはいろいろあります。私どもが金融2社を上場しないというオプションもありますし、金融2社も上場するというオプションもある。そうなると、タイミングはどうなるかという話になるわけです。できれば、我々としては、金融2社の上場も、親会社である日本郵政の上場からあまり離れない、遅れない状況で上場させていただくと。そのようにしないと、最初に日本郵政だけ上場すれば、これは金融2社が下にぶら下がったままというか、金融2社の資産を含めて、市場の評価を仰ぐということになりますから、そうすると、そこでついた株価、つまり市場価値というものは郵政グループ全体の市場価値になってしまう。もしもそれで値づけを行い、売り出しが行われるとすれば、一定の期間が経たないとその子会社である金融2社の上場はできないだろうということになります。
そうだとすると、やはり親会社の上場をする時には、子会社をどうするかということについて、具体的な表明がなければいけない。そのプロセスは、まず親会社の方の上場の仕方、その時の主幹事証券会社をどのようにしていくかということを決めていく。それと一緒に、私どもも、それに平仄を合わせながら、何らかの形で子会社の上場を考えるということになります。非常に難しいプロセスになります。恐らく、今まで前例の少ないような形になる可能性もありますけれども、現状では、私どもとしては、金融2社の上場も、時期をほとんど空けない形でやらせていただきたいと思っています。
ただ、これは、実は解説をしておかないと皆さま方が不審に思われるといけないと思って解説をしたのですけれども、そういう状況の中で、私どもとしては、まずは親会社の上場をしっかりと決めさせていただいて、主幹事証券会社をどうするかということ。これは主幹事証券会社を選ぶだけでも大変なことなんですね。1社だけでは、多分できないようなボリュームだろうと思います。それで、数社ということに多分なるとすれば、この中に外国の証券会社を入れるかどうかというのも大きなディシジョンメーキングになるだろうと思います。
それから、その他に、日本の国内でできる限り株の保有をしていただきたいというのも、一応、法律そのものに売り出しに当たってはそこには留意しろということは書いてございますので、それもやはり配慮しなければいけない。難しいナローパスになろうと思いますけれども、そこを克服していかなければいけないということであります。
これ以上話してしまうと、私としても、今でも話し過ぎだと言われそうな話をしたわけですから、これ以上は、お話ししないことにしたいと思います。
ただし、ご承知のように、東日本大震災の復興財源に4兆円を充てると、これは政府が決めておられますので、その点、4兆円は今回の第1回の売り出しで全額出すのかどうかということについては、別次元の話で、4兆円は何年かに分けて回収するということも可能であろうというふうに、私どもは解釈しています。これはしっかりと金融庁あるいは財務省とも相談しないといけない部分になります。
【記者】
関連ですけど、そうすると、金融2社の上場を併せてするのか、落ちつくのは年末頃とか、そんなイメージですか。
【社長】
以前からですね、来年の3月末には上場できるところまで持っていきますと御説明してきましたが、その、上場できるというのは、上場できるような会社としての体制を完成させますということですとずっと言い続けてきました。これは、中期経営計画でもはっきりと説明しておりますけれども、来年の3月までにはいろんな財務的な報告書、それからその他いろいろな透明性だとか、そういうことも含めて、手配はほぼ終わっていると思います。それを前提にして考えれば、政府あるいは財務省でいつごろ最終結論を出すのかまだはっきりしていませんけれど、その最終結論を出すという段階の中で、できる限り、それよりあまり遅れないで、私どもの方針も決めていきたいと思っています。
正確に、すぐにやると言っても、すぐにというのは、どの程度のタイムスパンかというのは、まだまだ、今はわかりません。できる限り早くそれを決めていきたい。だから、今おっしゃられたように、来年までかかるような話ではなくて、今年のうちには、我々の方の方針もしっかり一緒に決めておかないと、これは親会社の上場と密接に関連する話ですから。それについて配慮しながらやっていく以外ないと思っています。
【記者】
2つ教えてください。1つ目が、確認になるのですけれども、親会社の上場の時期をどうするかという話がある程度まとまって発表される時には、金融2社についても、どうするかというのを決めて発表されるという認識でよろしいのでしょうか。
あと、いろいろ聞いていますと、金融2社の資産運用のポートフォリオの面で、随分、国債に偏っているのではないかという話を証券系のアナリストの方に聞くことが多く、この点について今後の方針を変えたりすることが、もしあるのであれば、教えていただけないでしょうか。
【社長】
1つ目はタイミングの問題ですよね。同時に発表するというのは、相当に難しい手間がかかる話だと思いますけれども、あまり遅れないで、金融2社についてどうするのかということをやらないと。それを決めないで、親会社だけ単独で先に上場すると、すぐに意思決定をすれば一番簡単なやり方になります。しかし、それをやらないで済むようにできれば私どもとしては、あまり期間を置かないでとしか言えませんけれども、金融2社の状況についても、方針を決めていきたいと思います。どの位の期間かは、まだ決めていません。実際に手をつけてみないとわからないです。
それから、2つ目は日本国債の話ですけれども、最近GPIFが、ご承知のようにいろいろ記事になったりして、かまびすしい状況になっておりますが、日本国債を大量に保有してくれてありがとうと誰にも言われていないですよね。売ったら大変だよという話ばかり来るんですよ。正直言って私どもとしては、現状においては、急に方針変更して、日本国債をばたばた売り出すみたいなことは現状で考えるべきでもないし、言うべきでもないと思います。ですから、国債保有は当分続ける。そして、国債保有を続けながら、それから先の規制緩和がどうなっていくのかも見ながら、方針を決めていくという以外、言いようがないと思います。
【記者】
最初の質問の答えの中で、金融2社の上場というのも、親会社の上場とあまり遅れない状況がいいということをおっしゃっていたと思うんですけれども、そのあまり遅れないというのは、イメージとしてではですね、その何年以内とか、あるいは同じ年度内とかですね、どういうイメージを持ったらいいのか......。
【社長】
イメージ的に言いますとね、私が今言っているのは、もしも金融2社を上場するのだったら、なるべく早く上場すべきだという話をしているだけで、まだそれを本当に、金融2社の上場をするかどうかという、一番基本のところがはっきりと決まっておりませんので、それについての結論をなるべく早く出すということです。結論を出したら、なるべく早く金融2社の上場の仕方についても内容を決めると。そして、先ほど透明性の話もしましたけれども、なるべく早く決めて、早く発表するということが、透明性の点から言っても大事な部分だと思います。しかし、それはまだ決まっていません。
【記者】
金融2社の件ですけれども、上場させるか否かも含めて検討ということですが、上場させる、させないを決める要素というのは何が考えられるでしょうか。例えばですね、親子上場の問題があったり、持ち株会社と傘下の会社が両方上場すると、そのバリュエーションとか、おっしゃられたようにすごい難しい作業になると思うのですけれども、そもそも、果たして可能なんでしょうかということも含めてですね、考えるにあたっての要素について、ちょっとお聞かせください。
【社長】
さて、難しいご質問ですけれども、考える要素がたくさんあるので、それを一々潰しながら、最終的なディシジョンメーキングしなければいけないということです。それで、バリュエーションが一番大事な部分ですけれども、市場に誤ったバリュエーションをしていただくというわけにはいかないので、市場からも正当に評価できるようなバリュエーションが可能であるようなやり方、言い方はちょっと難しいし、実際にそのスキームが本当にできるかどうかというのはわかりませんので、今、申し上げるのは少し時期尚早です。ただ、我々がもう一つ、どうして上場したいと言っているのかというと、ご承知のように、後で質問も出るかと思っているのですが、ゆうちょ銀行の金融庁への認可申請が少しも進んでいないという現実があるからなんですね。
これは、やはり何とかその状況から脱却するためには大きく言えば2つあって、1つは巨大な政治の動きが出るか、これは代議士さん方がそういうことをおっしゃっています。そういうのは、俺たちが早く通してやるとおっしゃっている方もいらっしゃる。そういうことになるのか、それでなければ、こちらのほうがやはり民営化を進めていくということで、モメンタムをつくるかというようなことではないかなと、それも配慮の要件の1つです。
あとは、まだたくさんいろいろ配慮する要件があって、それで、しかもできる限り日本国内で株を売ることが望ましいという話にはなっているので、それもやはり配慮しなければならないし、非常に難しくて、現状では多元連立方程式を解くために苦労をしております。これはコンピューターを使ってやる話ではなくて、いろいろなところと相談をし、そして決めていくことにならざるを得ないと思います。
曖昧な返事しかできないというのが、現状では一番正しい返事になります。
【記者】
持株の日本郵政が、上場するというのはほぼ間違いないと思うのですけれども、この上場した後の日本郵政株というのは、マーケットにおいてですね、どのような株になるのか、つまり、成長性を期待させて株価の値上がりを目指す株になるのか、それとも、安定した配当を見込む高配当株になるのか、どのようなイメージなのでしょうか。
【社長】
これまで上場に関して申し上げたことのいずれもまだ最終的に決まったものではないのですが、これも同様で、あまり詳しく申し上げるのは控えさせていただきます。
【記者】
日本国内で、できるだけ株を保有してもらえるようにという配慮も必要であるとおっしゃいましたけれども、例えば外資の保有規制をするとか、そういったことまで踏み込むことに対してはどのような考えをお持ちでしょうか。
【社長】
外資の保有規制など、政治の力に頼って、そういう形で歯止めをかけるということについては賛成できない。私の個人的な意見ですけれども。それから、日本株でというお話はありますけれども、売り出しのときの話とそこから先、日本の株主さんがお売りになる、ならないということは、私どものパフォーマンスによっての話もありますから、そこから先まで制限するような、つまり保有株主の属性を制限するようなものはつけるべきではないと思います。やはり、フリーのマーケットできちんとした取引がされるような株でありたいと思います。
【記者】
株式を少しずつ処分していけば、例えば同時もしくは時期的に近い金融2社の上場と、親子上場、もしくは少し時期をずらしても、日本郵便の経営に、問題は生じないとお考えなのかということと、もう1点、上場によって、いろんな問題があると思いますが、西室社長が全国郵便局長会という任意団体の存在価値をどのように見てらっしゃるのかということについて......。
【社長】
株式上場に関連して?
【記者】
必ずしも関連してなくてもいいのですけれども。
【社長】
まず、ばらばらに分けて小さく売り出すのか、あるいは大きくやるのかということについては、考え方次第です。したがって、株式の上場の規模というのは、やはり市場が吸収できるレベルの分を出して、何年かかけてということに必ずなると思います。これは、主幹事証券会社も決め、証券会社とマーケットについてのディスカッションをしっかりやった上で、しかも実際にIPOを行う時に、世の中がどうなっているかを見極める必要があるかと思います。
全国郵便局長会さんは大事な組織だと思います。少なくとも政治的な影響力をはっきりと示すことができ、今、与党である自由民主党の中で、最高の票数を集めた支援団体ですから、そういう意味では、その政治力というものについては、敬意を持つものですし、しかもその方々が当社の社員であるということを、むしろ誇りにしてもいい話だろうと思いますね。それで、局長会の方々ともいろいろお話もしますけれども、お互いに利害が反するところはほとんどないような気がするんです。我々、お互いに何が大事かというと、やっぱり郵便局ネットワークをもっと良くして磨き上げて、そして地域社会のためになるようにやるということ。そして、地域、地方の小さい郵便局について、経済性だけでの判断はしないと私ども言っております。全体を通して考えての生産性の向上、合理化、これは絶対にやらなければ通り抜けられませんから、これは必ずやります。規模から言ったらその部分が非常に大きい。ですから、そういう意味で、全国の郵便局ネットワークはしっかり保持する。これも局長会さんと言っていることは同じ。それから郵便局の設備、その他を含めて、環境を良くしようとしていること、これも同じ。相反するところはほとんどないですよね。ですから、そういう意味では、局長会さんと対立的な関係に立つ気は全くありません。これはJP労組についても同様です。連合の中で、最大の組合員数を誇る主要メンバーであるわけで、それについてJP労組としてしっかりと前向きに会社の方針を理解しながら協力を約束してくれているという意味では、これもありがたいと思っています。ですから、現状では、その局長会さんもJP労組さんも、いずれも私どもの協力者だと思っていますし、私どもがその2つの組織については、違和感を覚えることはありません。
【記者】
今、郵政民営化委員会にアフラックの商品の販売について、パブリックコメントがかかっていると思いますが、社長としては今後の反応をどのように予想されているのかということが1点と、あと、全国2万局での販売までどれ位の時間がかかると読んでいらっしゃるのか。
【社長】
まず、申請をさせていただく状況まで周囲の環境が熟してきたと、私どもは思っています。つまり金融庁と総務省の両方に申請し、それで結果としてまず第一関門としての郵政民営化委員会ですから。だから郵政民営化委員会にお願いしたということは、我々はできる限り早くこれを認可してもらう方向で動いていただくことを大いに期待しているということです。
それからアフラックの話については、私の期待だけを言います。来年いっぱいには2万局までいくと、その位のスピード感で考えたいと思っています。ただ、ここでお約束をするというわけにはいきませんので、その点はお含みおきいただきたいと思います。それでないと結局何のためにアフラックと提携したかといえば、アフラックのがん保険が一番売りやすいという話を郵便局の皆さんが言っておりますから、まずそれで2万局で販売できる力があるということを示したい。もっとたくさんの郵便局で扱って欲しいと言っておられる日本の保険会社さんや外国の保険会社さんもいらっしゃいますから、そういうところにもっと門戸を開放するということは、お互いのためになるんだと思います。保険会社さんのためにもなるし、従来の保険の売り方というのがどんどん変わっていく中で、いわば地域に根差したような地味な活動で保険を売るという、そういう手足がだんだん弱くなっておられるところがほとんどである。そういうところのサービスを我々ができれば、これは我々にとっても郵便局のネットワークを維持するための原資にもなるし、しかも海外も含めた保険会社さんのためにもなる。ですから早くアフラックさんの保険をまず2万局まで持っていくことができるんだと証明し、何しろ保険の販売というのは、言い方を間違えると、それなりのペナルティーを考えないといけない位の話になるわけですから、そういうことのないような販売網であるということを確証しながら、いろんな保険会社の商品の取り扱いをやらせていただきたいと思っています。
【記者】
特に販売教育みたいなものをお決めにならないんでしょうか。販売教育改善みたいな。
【社長】
ですから、今回の申請を出しているのは、その販売教育のためでもあります。アフラックさんと協力しながら、かんぽ生命の保険のプロフェッショナルが、郵便局で販売教育をしっかりやると。そのために今回の認可が必要なのです。そういう話なのです。アフラックさんにも手伝ってもらう。それと同時に、かんぽ生命の方でも正面から郵便局ともっと密接に交流をしながら、郵便局の保険知識・販売レベルを格段に良くしていく。これがそもそもの目的で始めたわけですから、それは早くやりたいと思っています。
どうもありがとうございました。