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2014年3月26日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2014年3月26日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
どうも、きょうはお集まりいただきまして、ありがとうございます。
あまり派手な話題はありませんが、やはり、これから先も、月に1回の定例の会見は、できる限り、やらせていただきたいと思っております。それが、やはり郵政という会社の透明度を増すことでもあり、かつ、また、皆さま方からのご質問いただく機会を、少なくとも、月に1回はつくらなければいけないだろうと考えております。
社長に就任しましたのが、昨年の6月20日でございますから、それから、約9カ月経ったわけです。それで、まずは、その所感、あるいは来年度へ向けた抱負について、簡単に話をさせていただきたいと思います。
社長をお引き受けした時にも話をしましたけれども、日本郵政グループというのは、長い歴史と伝統を持つ企業グループであり、さらに、郵便、貯金、保険などの事業や、あるいは、郵便局ネットワークを通じて、国民の皆さま方の生活に与える影響が極めて大きな企業であると認識をいたしております。
社長就任以来、グループの舵取りをし、改正郵政民営化法の趣旨、つまり、その前の郵政民営化法と違って、郵便局ネットワークをしっかりと維持し、そして、郵便、貯金、保険のユニバーサルサービスをグループ一体でしっかりと提供していくということ、これを大前提として、どのようなグループ運営ができるかということを真剣に考え、そしてまた、いろいろ発表させていただいております。
その一つの解が、この段階における集大成として、先月26日に発表しましたグループ中期経営計画であると考えております。今後も、中期経営計画に示しておりますグループ運営の基本的な考え方に沿って、このようなネットワークの強化につながる取り組みをさらに展開していきたいと考えております。
今年度は、その中期経営計画に入る前の助走期間として、例えばアフラック社とのがん保険分野での業務提携の拡大ですとか、あるいは、年が明けてからはっきりしました改定学資保険の認可の取得、それから、まだ規模が小さいのですけれども、将来の方向を示すものとして、郵便局のみまもりサービスの提供などに取り組んでまいりました。これら、いずれも将来のグループ作りの基盤としては、極めて有効なものであろうと思っております。
中期経営計画においては、来年度以降の3年間は、グループの確立期、基盤固めの時期と位置づけておりまして、大規模な設備投資を行うことを発表いたしております。
社長就任以来、様々な現場を見させていただき、やはり、将来、上場を目指す企業として考えたときに、その基盤である郵便局ネットワーク等への投資というのが、従来、徹底的に欠けていたという認識を持ち、そして、それを共有しながら、この投資の不足、それを改善することは、喫緊の課題であるという認識を持ちました。
これに基づいて、設備、あるいは施設、情報システム等への投資についても、その効果はすぐには現れるものではないと思います。しかしながら、今やるべきことをきちんとやって、それが将来の成長につながるという姿勢が一番大事であろうというふうに思います。
来年度以降は、この中期経営計画の実行の年ということになりますので、計画どおり実行できるよう、しっかりとフォローアップをしていきたいと思っております。
もう1点、今年度の取り組みの大きなものとして、株式上場の準備が挙げられます。
上場の時期などについては、様々な報道をしていただきました。それは承知しておりますけれども、具体的に申し上げる段階にはないというのが、相変わらず変わっておりません。しかしながら、我々としては、まずは将来の上場に備えて、準備を粛々と進めていくという方針で、内部管理態勢の強化、財務状況の開示、上場審査に必要とされる書類の作成など、取り組んでまいりました。これは、最初から、来年度の終わりを目途に上場会社として求められる基準を整備できる形まで持っていけるようにしたいといった、その路線に沿っていると思っております。
次に、日本郵政グループの各社の役員の4月1日付の人事異動について。本当は、日本郵政の社長が発表する案件ではないというお話もあったのですが、たまたま、この時期に報道発表をする予定になっていましたので、私の方から発表することにしました。お配りした報道資料のとおりでございます。
全体として、上場に向けた態勢の強化、あるいは経営機能強化の観点から、役員の異動や、あるいは所掌業務の変更を行ったものであります。
日本郵便については、特記すべきところがございます。一つ目は、従来、郵便事業総本部と、郵便局総本部というのがありました。これを4月1日から両総本部をなくし、統合した組織にします。そして、二つ目は、郵便のロジスティックス、ソリューションの発展に応じて、従来の縦割りではなく、よりお客さま志向のフォーメーションにするということ、これも今回の機構改革で実施をいたしております。三つ目は、その機構を改革するというだけではなくて、中期経営計画中に、営業力、生産性を上げていくのにふさわしいような人材配置をするということ。これで、全般的に役員態勢を強化していこうということであります。
かんぽ生命については、実は、従来から申し上げていることでもありますけれども、「心のこもったサービスの提供」、それから、「地域での郵便局との関係強化」、それを目指しまして、フロントライン体制の強化を図るために、昨年度から、エリア本部制を導入しております。今回、各エリア本部への役員をそれぞれ配置するということにいたしました。きょうの人事異動の発表の中に入っております。
そのほか、持株会社の日本郵政やゆうちょ銀行についても、態勢強化の観点から、小規模な異動を行うということであります。
これが、4月1日の機構改革と人事異動ですが、6月の株主総会のときには、また異動は当然ございます。今日は、ちょうど機会がありましたので、これをご披露するわけでありまして、一人ひとりの役員の人事については、答えることはできないと、ご承知おきいただきたいと思います。
それから、次の話題ですけれども、昨年の10月1日に女子陸上部の発足を発表させていただきました。いよいよ4月1日から、正式に活動がスタートいたします。
まず、活動のためには選手が必要で、選手の内定者が、最初発表しました時は5人でありましたけれども、今回7名に増えて、それで4月1日の入社式に参加してもらい、これで数的には駅伝出場のメンバーが揃ったということでありますが、今後さらに補強は続ける予定であります。
それから、これをサポートする監督については既に発表しておりましたが、そのほかにコーチですとか、マネジャーですとか、あるいは管理栄養士ですとか、そういうスタッフもしっかり揃いました。こちらもプレスリリースを配布しましたので、ご覧いただければありがたいと思います。
最後に、先週、中国に連休を利用して行ってまいりました。これは、郵政以外の仕事もあったんですけれども、郵政に関しては、金曜日に中国郵政を訪問いたしまして、李国華総経理をはじめとして、関係幹部にお会いして、いろいろな意見交換を行いました。
それから、今まであまり行ったことがなかったのですが、この上の監督官庁である国家郵政局の馬軍勝局長にも表敬訪問をいたしまして、いろいろ意見交換をいたしました。
中国郵政と日本郵政の間では長い時間をかけて培われた信頼関係に基づいて、今後とも、お互いに経験を共有して、さらに協力を進めていくことを再確認をいたしました。
中国のお話を聞いておりますと、やはり、日本でも同じですけれども、eコマース、あるいはネットショッピングに伴う小荷物の配送が急増しているという説明もありまして、これはその中でも特に国際郵便、小包への対応が日中の郵政にとって重要な課題だという話がありました。それで、このための技術開発ですとか、あるいは研究の重要性についてお互いに認識し、意見を交換し、協力すべきことは協力するということを確認いたしました。
中国郵政は、いろんな仕事を、私どもと違った部分まで進出している部分がありまして、例えば、新聞の配達を相当大規模にやっているということです。これは、午前4時くらいに刷り上がったものを7時半に家庭に届けるということを、政府からの要請でやっているというお話でした。
それから、eコマースの部分については、中国郵政が「郵楽(ゆうらく)」というサイトがあり、現状では非常に順調に加速度的に伸びているし、しかも収益的にも事業に貢献をしているというお話がありまして、その郵楽のサイトへの協力を具体的にお話し、双方でチームを設置して、具体的な協力を進めていこうということを決めてまいりました。
大体、最初に私から申し上げるのは以上でございます。
【記者】
最初のお話のところにありましたけれども、ご就任されて約9カ月間、この間を振り返っていただいてですね、印象深かったこと、苦しかったことなどがありましたら、お伺いしたいのですが。
【社長】
そうですね。改めて本当に社長になって実感したのは、監督官庁がたくさんいらっしゃるなということであります。それだけではなく、国会が開会になりましてから、やはり、それぞれの政治家の方からのお話もいろいろ伺うようになったので、そういう政治との関わり、あるいは行政との関わりということを本当にしっかりと正面から受けとめてやっていかなければいけない組織だと実感しました。私は、今まで民間企業しかやったことがなかったものですから、それが一番大きかったと思いますね。
それから、もう一つは、私どもの発表が、例えばアフラックの話もそうですけれども、私どもの本当の意図についてなかなかご理解がいただけないなと。非常に簡単に言うと、あれは郵便局のネットワークというのが、これからさらにお客さまのためになると同時に郵便局ネットワークが金融事業による支援がなければひとり立ちできないようなものではなくて、郵便局ネットワーク自体を更に企業価値があるものにしなければいけない。そうすると、特に、地方だとか僻地だとかそういうところの郵便局ネットワークを本当に、本気で維持していくのであれば、それがネットワークとしてのカバレッジ、それはつまり、人がいて郵便局があるということだけで終わらないで、それがさらに役に立って、しかもそのネットワーク自身がしっかりとした利益創出ができるという形も必要であろうと思います。
その一端として保険の代理業務というものは、さらに大きく拡張する可能性があるのではないかということで、発表の時にも申し上げましたけれども、アフラックとの提携は、差し当たって現在言われている2万局を超える郵便局ネットワークが、本当に代理業をやれるのかどうか、そして同時に、それがどの位のスピードで展開できるか、実際に問題なく保険代理業をやっていくということは、どういうことかについて、全体の検討をするために、一番簡単なというと語弊がありますけれども、わかりやすく知名度の高いアフラックのがん保険だけを私どもはまずトライアルとして取り上げているということであります。順調に今、約3,000局で取り扱っていますが、来年中には取扱局数を大きく伸ばしたいというふうに思っております。
例えば、そういうことを、私どもとしては、しっかりご説明をしたつもりだったのですけれども、なかなか世の中にわかっていただいていないようです。TPPがあるからアメリカに媚を売るというような見方をしておられる方もいらっしゃるようですが、それよりは、我々が根源的により一層強くなり、そして、サービスを更に向上させていくには、例えばこういうことをまずやって、それができるという確証を得ながら他の保険会社へのサービスもオープンにしていく。
具体的には、日本のほとんどの大手の保険会社、それから海外の、アメリカ、ヨーロッパ等の会社からも、なるべく早く、日本の郵便局ネットワークで代理業をやって欲しいという申し入れをいただいております。それは、それぞれ具体的に話が進行中です。
そういうことで痛感した2つ目は、先程の最初のご質問に戻って答えれば、やはり私どもの意図というのは何度も説明を申し上げないといけないのだなということで、今日もあえて申し上げたわけです。あとは実際に、趣旨をわかってもらうためにお話をし、社内で新しい方向を出そうと思っています。そして、それに向かって社内の皆さんには、前向きに受けとめてもらえているというふうに思っています。
【記者】
具体的な事業とか、そういうことからは少し離れるのですが、全国に活動の拠点をお持ちである、その郵政グループのお話ということで、日本全体としてデフレを脱却して、本当に経済を活性化する方向に向かっていると思われますか。それともう一つ、経済が本当にデフレ基調からインフレ基調に変わるとすると、御社にとって、例えば資本の調達ですとか、利潤の分配ですとか、あるいは、さらなる資本の投下とかそういったことに何らかの変化というのもあらわれてくると思われますか。
【社長】
まず基本的に、今、いわゆるアベノミクスというのは、なかなか進んでいないと言われていますけれども、明らかに進んでいると思います。そして、具体的に申し上げれば、第1の矢、第2の矢については、どういうものか見えてきましたし、第3の矢については、今期の今度の国会で30以上の新しい法律が通ります。これをもとにしながら、規制改革がその中心になりますけれども、具体的に一歩ずつ進んでいる。
それとインフレに基調を変えていかなければいけないということの一番ベースになるのは、やはり所得を増やすということがなければいけないという意味で、これは政府がいろんな意味でリーダーシップをとりながら、産業界に要請をしているとおり、ベースアップをしっかりと、ほぼ、大手の7割以上がベースアップをし、そして、いわば中小企業においても実際に上がってきているというのが現実です。特に建設業関係については、工賃の値上がりその他がはっきりと見えてきている。その他のところでも、やはり人員の不足というのが聞こえてきているという意味では、現状ではその方向、今言われた大きな意味での方向は一歩ずつと言った方がいいのでしょうが、進みつつあると思います。来年になると、多分様変わりするだろうなという期待を持っています。これは日本政府の持っている最後に残った一番規模の大きな政府系企業である日本郵政の民営化に実際に手をつけることを来年具体化することで、私どもも、その大きな日本のトレンドの交代のいわば先兵として、この民営化を徹底的に進めていく必要があると思っています。
【記者】
4月に消費税8%上がるということで、一部報道では、駆け込み需要みたいなものがあって、なかなか難しいとか、配達が遅れるかもしれないという報道もありましたけれども、そういった話も含めて、この消費税と絡んで何か影響が出ていましたら、ちょっとお聞かせいただければと思うのですが。
【社長】
今のご質問は消費税が上がる前の駆け込み需要が増えているという状況に、どういう影響があるかというお話と、それからもう一つは、その後にどうなるかという、その2つだろうと思うんですね。
それで実際に増えています。荷物の申し込みが増えておりますけれども、幸いに私どもの持っているネットワークで、これがオーバーフローするから引受けを止めるということはありませんし、これから、あと1週間の間にそんなことをするような気は全くございません。きちんと通常どおりのデリバリーが今のシステムの中でやれるということであります。
それから、消費税が上がって大丈夫かという話ですが、これについては、もう既に私どもの場合には郵便料金の値上げは発表もしておりますし、今月は新しい切手もいろいろ発行いたしました。切手を新しくするということで、2月の郵便切手の販売は、量は落ちましたけれども、3月にほとんど取り戻せる位の勢いですから、差し当たって次の段階において私どもの収益の問題は、あまりないだろうと思います。
それでそうなった時に、ほかのいろいろな、インフレーションとまでは言わないにしろ、料金を上げるという動きについて、現状で私どもとしては、それに伴っての値上げについては考えていません。ただ、現実問題として、マーケットの中で非常に大きな変化があった場合には、なるべく素早く対応する必要があります。
【記者】
先ごろ発表した、かんぽ生命の新しい学資保険の詳細を発表されてですね、CMなんかも打ち出されましたけども、その後の反応とか、問い合わせ状況はどんな感じでしょうか。
【社長】
簡単に申し上げると、CMのキャラクターのおかげもあり、知名度が上がったような気がしますね。しかも、郵政グループのかんぽ生命保険がつくったコマーシャルは出来がよいと言われておりますから、ありがたいことだと思います。実際には、非常に強い需要が期待できると思っております。4月2日からの学資保険のスタートは非常に快調にいけるだろうと思っています。何%増えるとかいう予想をすると、差し障りがありそうなので、あえて避けますけれど、相当なインパクトがあると思っています。
【記者】
先ほどお話があった、中国郵政との提携というか協議なんですけど、2010年に1度、国際事業の関係で提携を発表されておりまして。
【社長】
そうです。
【記者】
このショッピングモールの「郵楽」、日本企業への出店支援についてもやりますよということで発表されているんですけれども、それにさらに加えて、何か提携を拡大するのでしょうか。
【社長】
そういう意味では、もともと非常に緊密な連携を保っている相手ですから、実際に今まで話したことを具体化しようということ。ですから、「郵楽」の日本における販売については、私どもはお手伝いするという話もありますし、それから「郵楽」ではない日本のeコマースのお手伝いを、日本と中国郵政を通じてやるということも視野に入れて、それでやっていこうということであります。
【記者】
もう少し詳しく、どのような取り組みをされるかというのを、わかる範囲で教えていただければと思いますが。
【社長】
もともと、中国郵政とはカハラ・ポスト・グループと称するメジャーな郵便事業体で、国際提携をやっている、その主力な会社ですから、お互いに。いろんな意味で、協力できるところが多いと思っています。
【記者】
国際EMSだとか、その提携を拡大するとか、そういったお考えはあるのでしょうか。
【社長】
これは拡大するというよりも、マーケットが増えているんですよ。だから、これにしっかり対応していこうというのがお互いに今回も話したところであります。これは意識的に増やそうと思わなくても、実はこの部分は、我々がマーケティングする必要がない位の成長があるわけですから、国際EMSについてはしっかりと品質を確保しようと。
国際EMSの品質を確保するというのは、つまりデリバリーの落ちがないとか、そんなことも含めて、私どもの方はノウハウを提供できそうなものですから、そういう部分もあると思います。
【記者】
2月に発表された中期経営計画の中身に少し話が戻るのですが、ゆうちょ銀行は、経営計画の目玉として、3年間で6兆円位、貯金を増やすという目標を出されたと思います。日本郵政グループが民営化して以降ですね、これだけの長期間の間に、貯金は今、横ばいにはなっていますが、ここから大きく反転させるという計画を出したのは初めてだと思うのですが。
【社長】
そうです、はい。
【記者】
これについてですね、特に中小の金融機関がこれまでにない位の勢いで反発しているのですけれども、この状況についてどのようにお考えでしょうか。
【社長】
そうですね、正直言うと、あまり刺激的なことを言い過ぎたかなと、その部分については思わざるを得ないんですけれども。私どもは改正郵政民営化法によって郵便局ネットワークの強化・維持と社会・地方に対する貢献というのを期待されているんですね。それをやるために、私どもは郵便局ネットワークをしっかりと力を入れてやります。結果として、急速に減ってきた規模、それが今ようやく横ばいになったものを反転することは、もともとは私どもの郵便局がやっていた分を少し返していただく程度の話。今の規模はそんなに大きな規模じゃないと思いますね。お気になさっている業界があることは承知しておりますけど、そうかといって私どもも、生きていかなければいけないですから、殊に郵便局ネットワークを本当にしっかりとエスタブリッシュするというのは大変な作業だと思います。
【記者】
やはり上場という大きな目標がある以上、中長期にわたってグループの資産は目減りしていきますとは宣言できないということなんですよね。
【社長】
そうではなくて、しっかりと運営しさえすれば、これだけしっかり規制があっても、ここまではできますよということを3年間の計画として掲げて見せたということです。
ですから、上場によってこれだけのことが変わりますということは1カ所も書いてないと思います。それは意図して基礎固めの年、3年間と言っている意味はそういうことです。
【記者】
それに関連して、最近、永田町方面ではですね、限度額の引き上げについて検討なりした方がいいのではないかみたいな意見も出ているみたいなんですけども、これについてのお考えというのはどうでしょうか。
【社長】
これは、永田町でお考えの話であって、私どもが先走りして話をする話でもないし、限度額の変更なり何なりということは一切考えないで今の計画は作っています。
考えいただいて困ると言ってるわけではないのですけど、やっていただければありがたいけれども、それを期待しながら書き込んで、責任は私どもがとらなくてはいけませんから、そういうことは計画の中には全く入らなかったということです。
【記者】
先ほど出ていました消費税の関係の郵便料金の値上げなんですけれども、私の周りでもまだ知らないという人がそれなりにいたりもするんですけれども、料金の値上げについての周知の状況について、社長、どのようにお考えでしょうか。
【社長】
周知不足だったと正直言って思っていないのですけどね。料金改定の話についてはもう、約4カ月前には認可を得て、発表をしていますし、それから実際にプラスになった2円切手を、あちらこちらから早く出せと言われている中で、3月3日に発売しました。売れ行きは、極めて好調です。これが売れるということは、つまり周知は、相当にできていると思っていますが。ご存じない方がいらっしゃいましたら、教えてあげてください。
【記者】
役員の異動のお話で、上場準備、上場態勢の強化ということをおっしゃられていたんですけれども、どのような観点で行われたのかということと、あと、特記すべき事項の2番目に、物流が縦割りだったので、お客さまと向き合うような態勢をというようなことをおっしゃられたと思うんですけれども、もう少し具体的にどのようなことだったのか教えてください。
【社長】
上場準備との絡みということは、今日も、今のお話で申し上げたように、今までの態勢を変えて、お客さま向きにつくっていくということが、とりもなおさず上場できるような企業になるということだと思うんですね。
そういう意味で、ペンディングになっていた部分もあった。例えば、郵便局事業と郵便事業、別々だったものを、本当にきちんと統合しなければいけない。これがようやく日の目を見ることになったと、こういうことが恐らく具体的な上場準備でもあり、態勢の強化でもあるというふうに思います。
今まで両郵便事業会社と郵便局会社を統合して、日本郵便となり、それでもう既にこれで約1年半たったのですから、なるべく早く組織をきちんとつくらなければいけない。組織は人が大事ですから、その人事を早く発表しようと思って、それで4月1日からこの体制になります。4月から上場準備の最終期間に入りますから、それに対応できるような人事異動をやったと、そのようにお考えいただきたいと思います。
【記者】
先ほど消費税増税前の駆け込みの影響で、実際に荷物の申し込みは増えているということだったんですが、大体どんなふうな増え方か、ちょっと少しでも具体的に。
【社長】
そうですね。3月の駆け込みというのは、大体、量的に言うと3割ぐらいは増えているんじゃないかと思いますね。特に、量販店の利用数が相当に増えていますし、それから百貨店、あるいはスーパーまで含めて、いろんな消費物資が、しかもバルクなものを、皆さん、持って帰るのは大変だからというので、それで増えるという部分もありますから。実際にお買いになっている部分が、そんなに、大幅に金額的に増えているということは、ないような気がするんですけど。量的には非常に増えています。
【記者】
先ほど、デフレ基調を転換させるのだというようなお話もあったのですけれども、先日、春闘でですね、ベア1,000円と一時金3.5カ月プラス特別手当という形で妥結されましたですけど、この水準について、どのようにお感じになっておられるか、お願いします。
【社長】
今回の春闘、実は私はこの会社の春闘は初めての経験でした。それから、以前いた会社の方も、ほとんどがユニオンショップの会社だったものですから、ですからそういう意味での春闘そのものの、しかもそれは社長が出ていくシーンがほとんどなくて済んでいたのですが、日本郵政の場合には、今の組合との関係でいうと、最終的な段階は社長が出て話をするというシーンがありました。
今回の春闘、幹部折衝というのは、副社長まで入って折衝したのが合計で十数回、ずっと連続的にやりました。最後は夜の11時30分に妥結し、それで、両者が納得してサインをするということになったのですけれども。
最後のサインは私がしなければいけない、なかなか体力も要りますし、夜中までこういう交渉をやったのは久しぶりの話です。
それで、レベルの話ですけれども、組合との折衝の中で、組合側は、一時金について、トータルで4.3カ月というお話。それで、これは絶対に譲れない線であるというお話で。
それで計算すると、明らかに郵便部門の損益は赤字になります。とてもそれは受け入れられないということになって、いろいろ折衝していたわけですけれども、プライオリティーは、あくまでも一時金ということだったので、それで相当に熾烈な交渉をしました。更に、ご承知のように、連合の組織の中で最大の単組であることから、ベースアップも多少はやらなければいけないだろうなと。最終的には、経営としてギリギリの判断として、ベースアップは1,000円、一時金は3.5カ月、ただし、業績がよかったら、その分、上積みはしますよということになりました。
組合がおっしゃっている要求も、組合側のロジックからいえば、従来からいろいろ経営困難な部分について、それを手伝うために一時金を削るということに協力を続けてきたから、元に戻して欲しいという話があって、それもそれなりの理屈にはなっているのですけど、こちらもこちらで、ない袖は振れないという話をせざるを得ない。
結局、妥結内容は考えていた私どもの目算よりは高い水準になったと。この間、発表した中期経営計画で想定していたのは3.3カ月、ベースアップなしで最初に計算をしておりました。そこから考えたら、郵便事業セクターでは明らかに赤字食い込みということになります。
しかし、それをお互いに努力して、赤字を消す位のことができなくては困るだろうと、2014年度赤字は私どもも覚悟するから、お互いにそれよりは前に向かって、この組織を良くして、郵便局ネットワークの活用、活性化、それをやろうじゃないかということで円満に解決したということです。
どうもありがとうございました。