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2014年2月26日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2014年2月26日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
どうも皆さん、きょうは急な発表になりまして恐縮ですけれども、お忙しいところお集まりいただきまして大変ありがとうございます。本日は、今紹介がありましたように、「日本郵政グループ中期経営計画~新郵政ネットワーク創造プラン2016~」と名づけておりますけれども、これを発表させていただきます。実はこういう自主的な形で中期経営計画を発表させていただくというのは、この郵政の歴史の中でも初めての取り組みということであります。今回、発表させていただく中期経営計画というのは、グループを取り巻く環境変化の中で、グループが持つ豊富な経営資源を活用して、郵便局ネットワークをさらに活性化し、お客さまや地域・社会のお役に立てるような存在となるために、企業価値の向上を目指していくということを、お客さまをはじめとした内外のステークホルダーの皆さんに示すものでございます。
今回の中期経営計画の主要テーマは「新郵政ネットワーク創造プラン」であります。このテーマは、郵便局ネットワークと金融2社が有機的に結合して新たな郵政グループの形を創っていくということを意味しているものであります。この「新郵政ネットワークの創造」を通じまして、お客さまの生活をトータルでサポートさせていただき、世界でも類の見ないネットワーク企業である「トータル生活サポート企業」を目指していくということが、我々の目指すべき方向だと確信をいたしております。その具体的な戦略、ロードマップ、計数目標等を取りまとめましたので、ご説明をさせていただきます。
それでは、資料の説明に移らせていただきます。
資料の3ページ目をご覧ください。
日本郵政グループは、明治以来、郵便、貯金、保険といった、お客さまの生活に密着した商品・サービスを提供してまいりました。我々の認識する外部環境は、まずは、景気や国内市場の動向、低金利の継続、そして、少子高齢化に伴う社会構造の変化、さらに、IT化の進展、経済のグローバル化に伴う産業構造の変化であります。これらの動向が、お客さまの生活様式の変化に深く関わってくることは言うまでもない事実であります。
さらに、我々にとっての大きな環境変化は、一昨年、2012年の改正郵政民営化法の成立であります。当初の民営化の下では5社体制でありましたが、日本郵便株式会社の誕生に伴って4社体制となりました。さらに、これまで郵便の業務についてだけ提供することとされておりましたユニバーサルサービス、この提供の範囲が金融サービスにまで拡大されることとなりました。
また、株式売却凍結法、これもこの改正郵政民営化法の施行と同時に廃止されました。できる限り早期の日本郵政株式会社及び金融2社の株式上場についての検討を再開していくことになりました。
その中でも、特に日本郵政株式会社の株式売却収入については、東日本大震災の復興のための財源に充てられることになっておりますので、日本郵政グループの企業価値をできるだけ高めて、震災の復興支援に寄与していく必要があると考えております。
日本郵政グループは、これらを含む環境変化に速やかに対応し、お客さまにご満足をいただける商品・サービスを安定的に提供する責任を果たしていく所存であります。
郵政グループの現状について少しお話をさせていただきます。資料の4ページです。
郵政グループの強みは、その大きな潜在能力にあります。事業規模は、昨年度、2012年度の決算ベースではございますけれども、郵便・物流事業収益が約1兆7,500億円、郵便局の窓口事業収益を合わせますと、日本郵便全体では約2兆8,000億円の規模になります。さらに、ゆうちょ銀行の保有する総貯金残高は177兆円、かんぽ生命の総資産は約90兆円に上ります。これらを合わせましたグループ全体の総資産は、現在280兆円になっております。
さらに、全国に張りめぐらされた郵便局ネットワークは約2万4,000局の郵便局でつながれております。その拠点の1つ1つを支えている社員の数も約40万人に上ります。
おかげさまで地域の皆さまからの信用・信頼は極めて厚く、郵便局ブランドは確立されているものと考えております。
このような内部環境を踏まえて、今後、我々が進むべき道は、郵政グループのポテンシャルを最大限発揮するための郵便局ネットワークそのものの発展を目指すこと、加えて、主要三事業をはじめとする各事業をそれぞれに成長・発展させていくことだと考えております。ネットワークの活性化とそれぞれの事業の発展との相乗効果が生まれて、そこに新しい郵政グループの姿、すなわち、新郵政ネットワークが創造されるものと確信をいたしております。
資料の5ページです。
我々が将来、目指すべき新しい郵政ネットワークの姿は、お客さまの生活全般に深く関与をし、生活に必要な商品・サービスを提供していく「トータル生活サポート企業」であります。その「トータル生活サポート企業」となるためには、まずは、郵政グループの経営基盤を安定させ、事業を持続的に発展させていくこと、そのために必要となる安定的な利益の確保が前提となります。さらに、郵政グループが担うユニバーサルサービスの提供につきましては、新商品・サービスのヒントをいただく強みでもあり、地域に密着した公的サービスの提供に努めてまいります。
これからの3年間、いわば、その道筋の第1ステップにあたります。その途中経過での目標を明確にし、進むべき道を見失わないようにするために、我々は、この3年間の中期的なグループ経営方針として3つの柱を定めております。その3つの柱が、「主要三事業の収益力と経営基盤を強化」、「ユニバーサルサービスの責務を遂行」、「上場を見据えグループ企業価値を向上」ということになります。
中期的なグループ経営の3つの柱の考え方につきまして説明をさせていただきます。資料の6ページです。
まず、「主要三事業の収益力と経営基盤を強化」、これは、我々が「トータル生活サポート企業」になるための最も重要な要素の一つとなります。
次に、「ユニバーサルサービスの責務を遂行」であります。地域・社会の発展とともに歩んできた「あなたの街の郵便局」の精神を受け継ぎ、お客さまと地域・社会に貢献していくことを目指し、地域・社会と郵政グループの共生を実現してまいります。
最後に、「上場を見据えグループ企業価値を向上」です。まずは、郵政グループの企業価値向上のために、郵便局ネットワークと金融2社の有機的な結合を目指していきます。
これらのことによって、お客さまにとってなくてはならない価値あるネットワークを構築しています。
資料の7ページです。
一つ目の柱は、「主要三事業の収益力と経営基盤を強化」であります。トータル生活サポート企業を目指していくために、郵便局ネットワークの上で、郵便・物流事業、銀行業、生命保険業、不動産事業、金融受託事業、物販事業を展開してまいります。そして、それぞれに、安定的な利益の確保、収益源の多様化、経営基盤の強化を目指していきます。
これらの事業別の内容につきましては、後ほど改めて説明をいたしますけれども、主要三事業についてまず簡単に申しますと、郵便・物流事業では、郵便・メール便の収益1兆5,000億円の規模を維持するとともに、通販事業等の成長分野に対応した商品開発等によって安定的に利益を確保していきます。また、国際分野では、国際eコマース市場へ進出すること等によって収益確保を図るなど、収益源の多様化にも努めてまいります。
次に、銀行業でありますけれども、継続する低金利の下、期間中に6兆円貯金残高を増加させるなどの取り組みを展開し、総貯金残高を確保していきます。さらに、資金運用収益だけではなく、投資信託をはじめとする手数料ビジネスも強化することによって、安定的な利益の確保を目指していきます。また、資金運用面では、適切な管理の下で、国際分散投資も進めてまいります。
さらに、生命保険業でありますが、支払管理態勢を強化し、引受けから支払いまで簡易・迅速・正確に行う態勢を整備し、サービス品質の向上に努めてまいります。さらに、ITガバナンスの強化、リスク管理の高度化に取り組み、経営基盤の強化に努めてまいります。収益力の強化としては、郵便局の渉外社員2万人体制を構築して、営業力を強化していくこととしております。
資料の8ページです。
二つ目の柱は「ユニバーサルサービスの責務を遂行」することであります。
これは文字通り、郵便と金融のユニバーサルサービスの着実な実施を目指すものであります。
さらに、それらの取り組みだけではなく、地域の皆さま方から信用、信頼されている郵便局ブランドを活かした地域に密着したサポートサービスを展開して、「地域・社会」と「JPグループ」の共生を実現していくことを考えております。具体的には、自治体等との連携として、引き続き、郵便局窓口での公的証明書の交付、あるいは、公営バスの回数券の販売、高齢者の生活を支援するひまわりサービスの展開などに取り組んでまいります。
また、地域密着型サービスの展開として、高齢者の方の生活状況を確認・報告する郵便局のみまもりサービスの展開などにも取り組んでまいります。
資料の9ページ目です。
三つ目の柱は、「上場を見据えグループ企業価値を向上」することであります。これは、今後、グループが上場を目指して、更なる高みに挑戦していくために、マネジメントの刷新、事業継続のための環境整備、内部統制の強化等の経営基盤の強化を徹底的に行うということであります。そして、それらの基盤の上に、提携金融商品販売の拡大等の提携戦略の推進、グループ総合力を活かした新サービスの展開、グループの成長のための投資という3つの取り組みを行っていくということであります。
マネジメントの刷新としては、意思決定の迅速化や人事制度の改革、人材育成の強化に取り組みます。さらに、ITによる業務の刷新を目指し、全国2万4,000局の郵便局をつなぎ、ユニバーサルサービスの提供を支えているPNETシステムの品質向上や郵便局窓口のIT武装化に取り組み、お客さまサービスの向上に努めてまいります。
事業継続のための環境整備につきましては、民営・分社化以降の設備の老朽化対策のための投資、社員の作業効率が非効率になっている部分の改善を目的とした積極的な投資を行ってまいります。
内部統制・企業統治の強化としては、コンプライアンスの徹底、内部管理態勢の構築といった企業としてのフレームワークの強化と将来の上場を見据えた決算等の企業情報の適時開示、財務報告による内部統制制度であるJ-SOXへの対応など強化をしていきます。
これらの取り組みを通じて、将来の上場を見据えたグループの企業価値向上のための基礎となる土台作りを行ってまいります。
さらに、その土台の上に、例えばアフラック社との提携に代表されるような提携金融商品の販売拡大、商品ラインナップの拡充、全国の郵便局の空きスペースの有効活用等、提携戦略に取り組んでまいります。
また、改定学資保険の販売開始や現在認可申請中の融資業務への本体参入に代表されるようなグループの総合力を活かした新サービスの展開も図っていきます。
グループの成長のための投資について説明させていただきます。
資料の10ページです。
グループでは、この中期経営計画期間中に総額約1兆3,000億円の投資を行う予定です。単純に平均しますと、民営・分社化後の年平均の投資額は約1,600億円だったのに対しまして、これからの3年間で年平均約4,300億円の投資を行う予定ということであります。この投資は長期にわたってこのペースで続けるというものではなく、いわば、強固な経営基盤の確立のための投資だとお考えいただきたいと思います。
まず、お客さまに魅力的な店舗をつくり、ご来店の機会を増やしていただき、収益の増加につなげることや、職場の作業環境の改善に努めることによって、社員のモチベーションの向上が図られることなどを目的とした施設・設備への投資を行います。グループ総額で約5,500億円の投資でございます。
また、システム投資を総額約4,900億円行います。郵便・貯金・保険の各事業は、独自に基幹システムを保有しております。それらシステムの更改、改修に取り組むことやゆうちょのダイレクトチャネルの刷新など、お客さまの利便性向上を目的とした投資、イメージワークフローシステムの段階的導入、グループ各社の共通インフラ基盤の提供などを目指したプライベートクラウドの構築などへの投資であります。これらは、郵便局でのサービス提供の品質の向上や社員の事務作業の効率化を実現していくための投資ということになります。
また、ネットワークの高度化等に資する投資として約1,600億円の投資を予定いたしております。郵便・物流ネットワークの再編、郵便局ネットワークの最適化等による経営基盤の強化に努めることにしております。
資料の11ページです。
私たちが事業を行う上での最重要基盤の一つとして、IT基盤が上げられます。特に、「郵政総合情報通信ネットワーク」、略称、PNETでございますけれども、全国の郵便局と郵便・貯金・保険、それぞれの基幹システムとをつなぐ、いわばグループの生命線とも言えるものであります。
郵政グループは、全国の隅々まで、ユニバーサルサービスを確実に提供し、さらに便利な商品・サービスを皆さまにご案内するために、PNETを活用したシステム開発、郵便局の窓口や情報管理のIT化によるレベルアップ、グループ共通のIT基盤の整備・強化に取り組んで、ユニバーサルサービスを支える情報ネットワーク基盤をしっかりと構築してまいります。
具体的に申し上げますと、例えば、より生産性の高い端末、渉外社員など担当業務に合わせた情報端末といった次世代端末の全国展開の検討・実施、グループのプライベートクラウド、これによるインフラ基盤の拡張などのグループの事業を安定して提供するとともに、さらなる事業展開の可能性を拡大できるよう、取り組みを進めてまいります。
資料の12ページです。
当社は、ご承知のとおり数多くの不動産を所有しております。昨年3月にオープンして、大変ご好評をいただている東京駅前のJPタワーを筆頭に、市場価値の高い不動産を幾つか保有をいたしております。不動産事業につきましては、投資から回収までの期間が非常に長いことから、短期間で利益を生み出すまで成長するものではありません。長期的・持続的な収益の柱としてこれを育成することを考えております。
具体的には、業務の効率化のために実施する郵便・物流ネットワークの再編や、入居率の低い社宅を集約すること等によって生じる未利用資産や、駅前、都心等の市場価値の高い不動産をビル事業や住宅事業等として利用することを考えております。
現在進めている主要な不動産開発事業は資料に記載の通りであり、景気動向等も踏まえつつ、今後も様々な不動産開発を進めていきたいと考えております。
資料の13ページです。
この巨大なグループを支える最大の経営資産は「ヒト」であります。「ヒト」への投資についての説明を少しさせていただきます。
郵政グループのビジネスは、社員がお客さまと直接顔を合わせて商品・サービスを提供することが基本でありまして、社員のスキルやモチベーションの向上というのは、必ずやお客さまの郵便局に対する満足感・安心感・信頼感の更なる向上につながると考えております。そこで、この最大の経営資源である「ヒト」への投資としての人材育成を軸としてグループの成長を目指していこうと考えております。我々の求める人材は、「期待役割を果たす人材」、「豊かな営業力を有する人材」、「専門性の高い人材」、「幅広い視野を持った人材」などでありまして、それぞれの人材を育成するための具体的な方法は、ここに記載をしているとおりであります。
再来年度2015年度には、社員の頑張りがきめ細かく反映される新たな人事・給与制度を導入することからも、会社として、社員の意欲・能力をさらに引き出し、伸ばす機会をきちんと提供しなければならないとの思いもございます。経営基盤の強化につなげるために、「ヒトへの投資」はしっかりと続けていきたいというふうに思っております。
資料の15ページです。
次に、中期経営計画期間中におけるグループ各社の主要施策を事業別に説明をさせていただきたいと思います。事業別施策の基本的な考え方は、ご覧のとおりであります。
資料の16ページです。
郵便・物流事業については、現在、国内人口の減少やインターネットの普及などにより、手紙・はがき等の取扱物数は減少し続ける一方、eコマース市場など、通販市場の拡大によって宅配ニーズが高まり、ゆうパック、ゆうメールの取扱個数は増加している状況であります。
そこで企業としての命題である、「収益力の強化」に向けまして、成長分野での収益拡大を目指し、営業主要目標として「3年間でゆうパック取扱個数5億個、ゆうメール取扱物数40億個の達成」を掲げることにいたします。
次に、「地域・社会への貢献」として、法律で定められている郵便のユニバーサルサービスを着実に実施してまいります。
また、より強固な経営基盤の構築につながる「成長のための投資」として、郵便・物流ネットワークの再編や、次世代郵便情報システムの開発に取り組みます。
以上の施策を確実に実行し、日本トップクラスの物流企業に成長することを目指しております。
資料の17ページです。
ユニバーサルサービスである郵便事業の収益を確保しつつ、成長分野である通販市場における小荷物配送などで、ゆうパック・ゆうメールの取扱個数・収益の拡大を目指すための具体的な数値目標が、「3年間でゆうパック取扱個数5億個、ゆうメール取扱物数40億個の達成」ということでございます。
この営業目標の達成のために、第1に、ゆうパックを差し出せる場所を増やすことや、コンビニでの受取りを可能にすること等による「差出し・受取りの利便性の向上」に取り組みます。
第2に、通販市場をメインターゲットとしました、本やCDなど小型の商品配送向けで、郵便受箱に投函可能な新サービス、「商品ゆうメールの拡大」に努めてまいります。
そして第3に、商品発送までの事務作業や通販事業者向けの決済サービスの提供など「物流サービスの拡大」にも取り組んでまいります。
これらの市場ニーズに対応するための3つの主要施策を中心に、「収益力の強化」につなげていきたいと思っております。
資料の18ページです。
銀行業につきましては、ご承知のとおり、低金利が継続しており、また、お客さまの資産のお預け先が「貯蓄から投資へ」と進展している中で、貯金残高は2011年度より増加傾向にようやく転じたものの、他行の増加率にはまだ劣っているという状況であります。
銀行業の「収益力の強化」につきましては、主たる収入源である貯金残高を増加させるために、主要営業目標として「3年間で総貯金残高を6兆円増加させることを達成」するということにいたします。
次に、経営基盤の強化につなげる「成長のための投資」として、お客さまにより安心して便利にご利用いただけるような、システム面での投資を行います。例えば、インターネットバンキングであるゆうちょダイレクトを刷新し、無通帳型総合口座サービスの提供、あるいは、インターネット上での各種のお取引を安心してご利用いただけるようなセキュリティの強化にもつなげてまいります。また、郵便局窓口でのお客さま対応に利用する端末につきましては、操作性を改善した機器を段階的に導入してまいります。
最後に、「マネジメントの刷新・事業継続のための環境整備」として、特にお客さまへの商品・サービスの提案力を向上させるような人材育成に努めてまいります。また、人の目で確認していた書類処理をイメージ画像による処理へと移行させることで業務を効率化し、また各設備の老朽化対策にも取り組んでまいります。
以上の施策を着実に実行し、「お客さま満足度No.1への挑戦」に取り組んでまいります。
資料の19ページです。
主要営業目標である「3年間で総貯金残高を6兆円増加」させるためには、総貯金残高を毎年約1%増加させることが必要であります。そのための具体的な取り組みとしましては、お客さまのニーズに応じて一層手厚いサービスを行い、例えば、給与や年金の口座受取を考えておられるお客さまにゆうちょ口座をご利用いただくとともに、投資信託などの資産運用商品について多くの方々に提供できるような夜間・休日の相談窓口開設にも取り組みたいと思っております。
また幅広いお客さまに商品・サービスをご提案できるような人材を育成することにも力を入れております。例えば、全国の郵便局と協働して各地域のお客さまにきめ細かなご提案をさせていただけるような体制を整えます。さらに、法人のお客さまにも給与振込などゆうちょの商品・サービスをご活用いただけるよう、特に、都市部を中心に郵便局と連携して提案力の向上に努めてまいります。
続いて、資料の20ページです。
生命保険業の施策の説明をさせていただきます。
生命保険業界についても、少子高齢化や核家族化の進展などの影響を受けまして、お客さまニーズが死亡保障から生存保障にシフトするといった、大きな変化が起きております。このような環境の中でも、お客さまに選んでいただける保険会社であり続けるための取り組みを進めてまいります。
はじめに掲げるのは、「成長のための投資」であります。これは、システムの導入などによって、新たなご契約の引き受けから保険料のお支払いまで、簡易・迅速・正確に行う態勢を整え、さらに質の高いサービスをご提供していくための取り組みであります。お客さま視点に立った手続きの改善を進め、心のこもったサービスを提供できる態勢を整えていきたいと思います。
次に、「収益力の強化」ですけれども、生命保険業においては、2016年度に新契約月額保険料500億円の達成を目指しております。また、お客さまの声を経営に活かす取り組みの推進、リスク管理の高度化といった経営の根幹となる内部管理態勢を強化して、かんぽ生命をさらに安心してご利用いただけるような取り組みを進めてまいります。
以上の施策を着実に実行し、「お客さまから選ばれる真に日本一の保険会社へ」を合言葉に取り組みを進めてまいります。
資料の21ページです。
生命保険業では2016年度に新契約月額保険料500億円を目指すと先ほど申し上げました。この達成を目標として掲げておりますが、この2016年というのは、簡易生命保険の創業100周年の年にあたります。この記念すべき年を目指して、成長軌道への転換に向けた基盤固めをしていこうというのが、今回の計画とお考えいただきたいと思います。
この目標達成のために、まず大きな力となるのが、先月ご認可いただきました改定学資保険の販売であります。お客さまのニーズに応える商品のご案内を、4月2日から開始できる予定でありますので、若い世代のお客さまのお役に立ちやすくなるのではないかと考えております。
また、郵便局で生命保険をご案内する体制の強化も進めてまいります。具体的には現在、全国に約1万8,000人おります保険を販売できる渉外社員を2万人までこの期間中に増員する予定です。また、日本郵便とかんぽ生命が連携して、人材育成の取り組みを強化することによって、お客さまとの接点の「量」と「質」の向上に努めてまいります。
また、かんぽ生命の直営店におきましては、かんぽ生命以外の商品のご提案も含めて、法人のお客さまのご要望に応えていくように取り組んでまいります。
資料の22ページは、郵政グループの最重要経営資源の一つである郵便局を活用した事業の展開についての説明であります。ここには、既に申し上げた施策も掲げておりますけれども、それらを含めまして、私たち郵政グループが「トータル生活サポート企業」となるために取り組んでいく内容をご理解いただければ幸いでございます。
まず、取り組んでいかなければならないのは、郵便・貯金・保険事業以外の事業を、グループの収益源として確立させることであります。物販ビジネス事業、不動産事業を掲げており、特に物販ビジネスにつきましては、全国2万4,000局を数える郵便局は、強力な商品販売網となると考えております。より良い商品を、より多くのお客さまにお届けできるように態勢を整えていく所存であります。
地域・社会への貢献といたしましては、郵政グループらしい施策を展開していきたいと思っております。具体的な取り組みとしては、2013年10月から試行開始をいたしました、「郵便局のみまもりサービス」、この本格的な展開というのが挙げられます。
昨年夏にはアフラック社との提携を発表いたしました。これからの3年間で、がん保険をはじめとした他社の金融商品の取扱局を着実に拡大し、お客さまのお役に立てるだけではなく、商品・サービス提供インフラとしての郵便局ネットワークの力をお示しできるようにしていきたいと思っております。
そして、郵便局舎の配置や設備といったハード面、そして、営業時間やシステムといったソフト面の、その両面から、経営基盤の改善に取り組んで、郵便局ネットワークの力の底上げを進めてまいりたいと思っております。
資料の23ページです。
これまで挙げました各事業の主要施策を中心に、主な取り組みを時系列に並べたものがこちらの表になります。刻一刻と変化する経営環境に対応するために、できるだけスピーディーにこれらの取り組みを一歩、一歩、着実に実行し、我々が目指す「トータル生活サポート企業」に近付いていきたいと思います。
資料の25ページにお示ししているのが、セグメント別の経営目標でございます。セグメント別の経営目標につきましては、多彩な業種で構成されている我がグループでは、共通の目標を設定することが難しい面もございますので、この点を踏まえて、各業種に特化した経営目標をそれぞれ設定いたしております。
まず、日本郵便株式会社は、郵便・物流事業収益1兆8,600億円、経常ベースです。同じく、郵便局事業収益1兆2,100億円、これも経常ベース、経常利益720億円、当期純利益280億円を目指すこととしております。
次に、株式会社ゆうちょ銀行につきましては、総貯金残高プラス6兆円、経常利益3,400億円、当期純利益2,200億円を目指すこととしております。
株式会社かんぽ生命につきましては、新契約月額保険料500億円、これは新契約を年間に換算すると大体5,200億円位になるわけです。それから当期純利益は800億円、EV成長率、RoEVでありますけれども、8%、これは当然のことですが、経済環境が現状と同じように推移するということで計算をしますと、こういう数字になります。
資料の26ページが、グループ連結の経営目標であります。先程、申し上げましたけれども、グループ共通の経営指標の設定が難しいことから、最もベーシックな利益目標をグループ連結での経営目標に掲げております。
グループ連結で安定的利益の確保に努め、2016年度の最終利益3,500億円の確保を目指すことをグループの目標といたします。2013年度の通期見通しである4,200億円と比べると、700億円の減益計画ということであります。低金利継続の影響、あるいはIT化の進展による郵便物数の減少などの外部要因と、グループの生産性向上の取り組みの進捗状況を勘案すれば、まずまずの利益水準だと思います。
さらに、株主への利益還元につきましては、将来における安定的な企業成長と経営環境の変化に対応するために必要な内部留保資金を確保しつつ、経営成績に応じた利益還元を継続して行うことを目指すことを原則といたしております。
したがって、今回のグループ中期経営計画期間中も、将来にわたって事業を継続していくための経営基盤の充実、持続的成長に資する投資等を確実に実施するとともに、将来的に株主に利益を還元していくということを検討しているところであります。
以上、時間をいただいて恐縮でありますけれども、「日本郵政グループの中期経営計画~新郵政ネットワーク創造プラン2016~」の説明でございます。
これで、中期経営計画の説明という、本日お集まりいただきました主目的の説明は終わりですけれども、もう1点だけ、スライドはございませんがお知らせがございます。
先程、中期経営計画の中でご説明しました「ヒトへの投資」に関連いたしますけれども、本年4月1日付で、非正規社員、これは、非正規社員というのは月給制契約社員でございますが、月給制契約社員の正社員への登用について、昨年10月に募集を開始いたしまして、その後採用の選考を経て、今般、グループ全体で約4,700人を正社員へ登用することを決定いたしました。
昨年度は約1,000人、それから一昨年度は約2,000人と今までの実績からすれば、大幅に正社員への登用を増やしたということになります。
このような取り組みを今後も継続していきたいと思っております。そういうことによって非正規社員のモチベーションアップにもなりますし、労働力の安定的な確保を図って業務運行や、あるいはサービス品質を強化していくことができるだろうと思っております。
なお、来年度、2014年度ですけれども、新たにコース制を導入することにしておりまして、今回の登用者は新たに設けられる(新)一般職ということになります。(新)一般職というのは、定型的な業務に従事し、役職登用はなく、それから転居に伴う転勤もございません。そういう形で新しく採用するということであります。
以上、極めて長時間の説明になりましたけれども、ご清聴いただきまして大変ありがとうございました。
もし質問があれば、お受けをしたいと思います。ありがとうございました。
【記者】
株式上場について準備状況と上場の時期についても、来年の春までに準備を終えたいというようなお話だったと思いますが、延期等もあり得るのか。
【社長】
前から何回か申し上げているとおり、私が着任いたしましてから、上場の準備は、来年の春までには完了しますと申し上げてきました。上場の準備というのは、つまり決算の適時開示だとか、あるいは経理資料の公表ですとか、あるいはコンプライアンスの問題だとか、そういうことですね。それを来年の春までには終わらせますということを申し上げてまいりました。それから先、来年の春以降、いつになるかというのは、正直なところ、100%株主は斜向かいの財務省ですから、そちらの方と私どもは相談をしながら、何とかなるべく早く上場するような形に持っていきたいと考えています。したがって、来年の4月以降、いつでも上場できる態勢に我々はなっていたいというように考えますけれども、具体的なタイミングについてはまだ決定していないというのが現状です。
【記者】
中期経営計画ということでご説明いただきましたが、ちょっと成長戦略というには、少し数字が難しいところがあるのかなと思っています。
【社長】
はい、おっしゃるとおり。
【記者】
特に、金融系の2社についてはですね、収支予測もなかなか見通しが立たないということだと思いますけれども、そのあたりは、上場によって成長したいお気持ちはいっぱいおありだと思いますが、どのようにお受けとめになっているのか。
【社長】
今回、あえてこういう、いわば見方によっては極めてコンサバティブなものをお出ししました。上場するときには、我々は基礎固めをしっかりやらなくてはいけないという認識を、正直言って持っております。上場して成長の過程に入る前に、我々としてやっていかなければいけないこと、それをこの3年の間にやり遂げようということであります。したがって、成長の部分というのは、いろいろな我々の手が届かないような条件がありますよね。例えば、金利の動向がどうなるか、これは去年の2013年の末の予想に従ってやっておりますから、金利の動向というのは一番響いてくるところでありますし、それ以外の条件として、現在あるいろいろな形の規制というのは、申請は出しているけれどもまだ認可を受けていないものなど、そういうものが実際に動き出せば、成長の姿は書きやすいわけですけど、まだまだそういうところを取り入れて胸を張って成長の道筋を描くというよりは、基礎固めの3年間を着実にやって、そしてお客さまのご要望に対し、今よりももっとレベルの高い対応ができるようにしていきたい、それが私どもとしての今回の基本的な姿勢であります。
【記者】
今の話にも絡みますけれども、16年度の目標が3,500億円ということですが、仮定で言いますと、今回多額の投資をしていますから、例えば来年度、再来年度、そして16年度という流れで言うと、3,500億円に向けて最初の初年度、来年度は大分利益が落ちますけれども、そこから右肩上がりになっていくということでしょうか。
また、今回3年度の中計だけですけれども、それ以降も3,500億円を底にしてこれから成長していけるという意味でのこの3年間は基礎固めという意味なのでしょうか。そのあたりお教えいただけますか。
【社長】
3,500億円というターゲットそのものは、それから先、成長していくという道筋をたどるためには、少なくともこれは着実に我々としては達成できると思うし、そこが一番ボトムで、それから先は成長がなければ、それこそ株式上場する意味もなくなりますから、そこから先は成長を期待したいと思っております。それから、初年度、2年度、3年度と、大幅に離れた数字で損益の計画を立てるようなことはないつもりでおります。それぞれの年は、それぞれの年の予算をちゃんとつくってやっていくわけですが、これから先、大幅に下げるというふうなことは考えてはおりません。
【記者】
上場に関連した質問ですけれども、親子上場というものについて、現在どのように考えているか、まずお願いします。
【社長】
一番答えにくい、しかも一番核心の部分の質問なのですけれども、現状ではまだ株主のご意向が決まっていない。株主のご意向が決まっていないところで、我々の方からどのようにするという方針をお話しするわけにはいかない。何とか早くお互いに納得のいくような形で上場を実施したいという思いはやまやまですけれども、現状ではあえて申し上げることができないという回答しかできない。誠に申し訳ないです。
【記者】
株式市場の動向などにもよって、実際、いつ上場するかという時期を決めるというのはなかなか難しいと思いますけれども、一方で、復興のフレームに売却益というものが計算されているということもあります。で、そう考えた場合に、PBRが1倍を切った状態で上場するということがどうだろうという意見も当然出てくると思いますけれども、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
【社長】
そうですね。株式上場のタイミングというのは、そのときのマーケット状況による、それは事実です。しかし、逆に最もコンサバティブで、これから先の上場に対して、いろんな期待がある中で、確実な数字がまずあった上で、それから先の上場の計画というのは、やはり今年の前半に検討しておかなかったら来年前半の上場はあり得ないだろうと思いますから、なるべく早く結論を出してやっていきたいと思います。
まだ確定的なお話をできない状態、株主のご意向が最終的に決まっていないというところもありますし、それから上場について、今回の中期経営計画ではほとんど触れていないという形にわざわざ作っているのは、これはいわば上場の事前勧誘行為みたいなことに誤解されるのを避けているということです。ちゃんとした答えになっていません。自分でもそう思っています。
【記者】
ITを活用する上で、意気込みですとかお考えをお聞かせいただけますか。
【社長】
一番基本的な部分として、我々はIT活用するだけの社内における力をしっかりと蓄えなければ、ITの活用というのは非常に難しい。これが一番の基本だと思います。そこからスタートして、積極的なIT活用はやります。それと同時に、三つの事業部門がありますが、それらを共通化できるようなものはしっかりと共通化しながら、それぞれ独自性のある部分は既に基礎ができておりますから、その基礎をさらにリファインし、使い勝手のいいものにし、そういうことを採用していく。ご承知のとおり、昨年の9月から小松副社長に来ていただいて、CIOとしてやっていただいております。
他にその部分での人員の増強も着々と進めておりまして、私どもとしては、力を蓄える前からあまり大きなことは言いませんが、しかし、ITを活用することが我々のこれから先の生きる術だと思っていますから、そこについての実力を付け、そして実際に投資も行い、そして人材も確保するということは続けていきたいと思います。
ですから、端末の方の問題もあったり、いろんなことについて具体的に進めて行こうと。これはもう、できる限り早くやらなくてはいけないのですが、足元を固めた上でないと早くやるということも絵に描いた餅になってしまう。そんなことで、具体性に欠けていますけど、正直言って、具体的に個別でどの部分がどうなっているという話についてはいろんな戦略がありますけれども、概観的には、今、申し上げたようなことであります。
【記者】
2点質問があるのですが、1点目は、ゆうちょ銀行の2,200億円の目標、当期利益の目標なのですが、これは融資業務の認可が下りていないことが前提ということでよろしいでしょうか。
【社長】
はい、そうです。
【記者】
国際投資の多様化という部分で、どういった商品への投資というのを念頭に置かれていらっしゃるのでしょうか。
【同席者】
外国の社債とかですね、今もやっておりますけども、外債ということです。
【社長】
外国の社債のことですけれども。
【同席者】
外国の社債等を中心にということでございます。それから、最初の質問につきましては、お答え申し上げましたように、認可申請しているものについては数字には反映しておりません。
【記者】
2点目の質問ですが、上場のことで、まだわからないことがたくさんあると思うのですけれど、抽象的ですが日本郵政は、やはり国際的に見てもユニークな会社だと思うのですけれど、そういった点でも海外の投資家も、やはり巨大な規模のIPOというのは、すごく関心のある部分だと思います。今回の中期経営計画で投資家に理解をしてもらう、御社が何をしているのか、どういったビジネスをして収益を上げようとしているのかという、関心を引きつける要素とか判断材料になったとお考えでしょうか。実際のところ、投資家からの問い合わせとか、そういったものは感じとられていらっしゃるのでしょうか。
【社長】
まず、中期経営計画は上場のために策定しているものでもなく、上場計画でもないという点をご理解いただきたいと思います。いろいろなお問い合わせをいただいておりますし、私どもに簡単にいえば、上場に当たっての将来の成長の夢を語れと、こういうお話はあります。
しかしながら、現状で先程ご指摘になったように、いろいろな制約条件がある。制約条件がなくなればこうなりますというお話を今、するわけにはいかないので、少なくとも現在の制約条件の中で我々はここまではしっかりやれます。ここから先、株式上場に当たって、我々が夢を語るよりは、報道機関というよりは、むしろ証券会社を中心とした機関に、このような夢があるというのを語っていただけると、アナリストの方々には、そのような期待をしております。
つまりベーシックなところは今回ちゃんとやります。それで、ここまではちゃんとできる。しかし、いろんな制約条件がついているというのは、はっきり申し上げたとおり。その制約条件込み、しかも、相当に低い現在の金利水準、それを基にしている。そうすると、そこがどうバリエートするかによって企業価値は、可能性としてこうなるということは、今は申し上げられませんけれども、やはりそういうストーリーというものを作っていかなければいけないと思っています。
どうもわかりにくい説明ですけれども、よろしくお願いします。
なるべく夢を膨らませて書いていただければ、ありがたいと思います。
【記者】
3つありまして、上場の具体的な計画、まだ株主の意向が固まっていないということは聞いているのですが、いつ頃までに策定したいのかという西室さんの希望を聞きたいのが1つ。郵便局再編の計画で、統廃合を3年間でどの位やるお考えになっているのか。3つ目、月給制の非正規社員を正社員に登用の話、4,700人という話は、これは全部が(新)一般職ということでよろしいのでしょうか。
【社長】
それでは、順番逆ですけれども、最後のご質問は、合格者は全員(新)一般職としての登用ということであります。
それから、逆にいくと、統廃合の数字、具体的な数字については答えられる範囲で説明してください。
【同席者】
先程の郵便局の店舗の話でございますけども、ご承知のとおり、法的にネットワーク水準の維持というところがございますから、この施策につきましても、当然、現状のネットワーク水準を維持するということが前提でございます。
その中で統廃合だけではありませんので、マーケットのあるところには新しい店舗を出店するというようなところと、それから、少し稠密になっているところについては、店舗統廃合をやる。そういったところを、全てひっくるめた形で、検討するというような言葉を使っています。
具体的には、大体年間で新規出店が10局くらい、それから、統廃合は20局から25局位ですか、このくらいの規模のところを考えているというところでございます。
【社長】
それから、上場計画。先程から非常に答えにくいというように申し上げておりますけれども、いずれにしても、私どもの株主は国であり、財務省理財局であって、それで、そちらの方は、これを売却するというご意向だけは示しておられるわけですから、そうなると、来年度の予算には、それを組み込んでくれなければいけないはずですよね。
そうすると、来年度予算は、最終的に結論が出るのは、今年の年末ですけれども、実際には、その骨格がほとんど決まってくるのが今年の6、7月位だろうと想像をしております。余程いろんなことが変わらない限り。その位の時期には、実際に結論を出しておかないと、来年度予算の中に組み込むことができないと考えています。
【記者】
3年間で1兆3,000億円という巨額の投資をなさっていくのですけど、資金の出どころが、御社はキャシュリッチではありますが、借り入れなんかもお考えなのかというのを教えてください。
【社長】
資金調達ですか。今のところ、これを行うための資金調達というのは、特に考えておりませんけれども、これ、投資金額そのものの中で、例えば設備として償却するのは20年でやるとか、そんなようなものがありますよね。それで、基本的には資金調達のニーズがあるとは思っておりません。
今のところ、新しく社債を発行するとか、銀行からの借り入れとか、うちも中に銀行があるものですから、いずれにしても、そういうことは考えていません。外部資金の導入は、現状では考えていないということです。
【記者】
経営計画の話とは離れるのですが、NHKの籾井会長が、今日の予算委員会で、辞表を10人取りまとめるのは、一般社会ではよくあることであるというように発言されているのですが、一般社会で、そのような辞表の取りまとめというのがよくあるとお考えですか。
【社長】
何か理事の方全員に辞表を、日付ブランクで出せと言ったという話で、これは一般企業ではよくあることだというふうな報道になっていますね。直接、籾井さんに聞いたわけではないのですけど、私は、今まで、勤めたのがこれで3社目ですし、それから、いろいろな経済団体、その他の活動もやっていますけど、そういうことが一般社会で常識的に行われているというようには思っておりません。
【記者】
そうすると、もちろん、日本郵政グループにおいても、そのようなことはされていないのか。
【社長】
ええ。もちろん。誰にも辞表をブランクで提出させるということはやっていません。昔の遺産として、そういうものがあるのかもちゃんと調べ直す必要もない位、我々は常識的にそのようなことを経営陣に入る方に要求するつもりもないし、今後もやりません。
【記者】
先程ネットワークの最適化のお話の中で、25局でそれが1,600億円ということになるのかどうか。10ページの、グループ投資予定額の、施設・設備だとか、システム構成とか書かれている部分ですが。
【同席者】
この1,600億円のことではございません。これは郵便・物流ネットワークの再編でございますとか、そういったところでございますので、郵便局の最適化の話だけで、こんなに投資をするという計画ではありません。
大宗は、郵便事業の方のですね、ネットワークの再編。集約のための費用、投資ということでご理解いただきたいと思います。
【記者】
この分けられているものを見ると、「ヒトへの投資」というか、新しい人事・給与制度だとか、いろんなものを入れていくに当たってのものが入っていないと思うのですけれども。今まで、人件費を抑えて黒字化をしてきた部分というのが若干あったと思うのですけれども、これに関しては、どのように計画されているのか、もしあったらお願いします。
【社長】
いろいろ必要なものを先送りして、苦労して、ずっと、できる限り赤字を出さないように黒字にしようということでやってきた部分はあります。例えば、いろんな修理だとか、補修だとか、あるいはエアコンを取り換えるとか、エレベーターを取り換えるとか、そのような話について先延ばしにしてきたという歴史が明らかにありますので、この3年のうちに、少なくともそういうことはなく、皆さんが喜んで訪問してくださるような郵便局にする。郵便局に来てトイレは借りられないなんていう噂まであるようですから、そんなことは絶対にないように、皆さま方のお役に立つためには、まずはお客さまにいい気持ちでお店に来ていただかなければいけないわけですから、そういう郵便局につくりかえるための費用というのを相当規模計画しているということで理解していただけると思っています。例えば女性の方をターゲットにしてお店づくりをやってみたいとか、いろんな計画もありますけども。今質問の記者さんに確認しておかなければいけないのは、我々は、末端まで含めての郵便局ネットワークをしっかりと維持し、保持します。言い方を変えれば、経済的な理由だけで閉めるというふうなことは全く考えておりません。採算が悪くても必要なものはそのまま続けるという覚悟で、これから先も運営していくということです。
ただ、それを可能にするためには、全般的に郵便局がお客さまにとって、もっと行き易い、そして、行って何か新しいことがある、そういうところにしていかなければいけないと思うのです。
殊に人口の過疎地だとか離島だとか、そういうところに行くと、郵便局だけが残っているというところも当然あるわけなので、我々は最後に残っているということに甘えるわけではありません。行政ともよく相談をしながら、最後に残って存在する郵便局というものを、その地域の皆さんのいろいろなニーズに応えられる郵便局にしていかなければいけないと思っています。
【記者】
1兆3,000億円の巨額の投資の中で、やはり今まで話題になっていたように、その老朽化更新というのに、すごい重点があるなと思ったのですけれども、せっかく、更新をする中で、これもさっき話題に出たのですけど、ネットワークの最適化というのを同時に図られないのかというのと。ネットワークの維持というのは局数を維持するという意味ではないはずですね。特に都市部の小型分散化したところを統合するというのは、非常に、話題の西新橋郵便局もそうですけど、効果が上がっているのですが、今のお話を聞いていると、局数は維持するのでしょうか。
【社長】
局数をトータルで維持するとは一言も言っていません。
【記者】
都市部の効率化というのは。
【社長】
都市部ですね。大きく分けてね、大都市という部分については、これはあまりに輻輳して、しかも稠密になり過ぎている部分がありますね。それは、それを統合することがお客さまにとって、もっと便利になる、ということと同時に、統合することによってサービスはもっと良くなるということだと思います。だから、その部分については、もちろん経済的な問題だけでなくて、全体のお客さまを考えながら統合するということ、あるいは統合することは、つまり廃止があるから統合になるわけですけど、そういうことはやります。ただ、地方、地域にとって、欠くべからざるものだというものであれば、それはやはり残していくということを我々としては努力をしっかりやっていきますと、これも皆さんの前できちんと約束をしておけることだと思っています。
【記者】
地方でのネットワークのお答えだったと思うのですけど、今回、老朽化更新に巨額の投資をされる中で、都市部の小型分散化されたところの再構築というのは当然、この投資計画の中にはありますか。
【社長】
あります。
【記者】
そこは、その、量的なというか。
【社長】
これはもうちょっと具体的に話します。どうぞ。
【同席者】
多分お聞きになっていらっしゃる話が、少し先程のご質問等にもあるのですけども、その投資の額が大きい、巨額の投資になっていますのは、郵便局と申しましても、その郵便事業、あるいは物流、小包ですとか、こういったところに使います。大きな郵便局ですね。こちらの方を集約していくとか、新しい区分機を入れていきますとか、そういったところに巨額のお金がかかっているというところでございます。いわゆる窓口としての店舗の関係につきましては、当然その大都市で稠密なところもありますし、最初にお答えしたとおりの統廃合というところも考えておりますけれども、それが直ちに、この設備投資というふうな話ではないということでございます。
【記者】
一般事業会社の中期経営計画の場合ですね、EPSだったりOHRだったりとか、経営指標が幾つか、中長期にわたって掲載されているケースが多いと思うのですが、これが出なかった理由。ちょっと昔のことを掘り返すようで申しわけないのですが、昔OHR出しますかって聞いたら、当然出しますと聞いたような気もしたのですけど。
【社長】
ご承知のように、三事業は非常に性格の違うものがあるので、それで今出しづらいということもあります。今回は出していません。当然内部での計算もやっていますし、実際に株式の上場の時には、そういう参考資料というのはお出しできる。それだけの準備はできております。
【記者】
金利の動向を、現在の状況から引き直して、中期経営計画をつくっているという状況の中で、これからの中期経営計画の3年間は、ずっと減収傾向がこのまま続くという理解でよろしいでしょうか。経常収益の部分、ゆうちょとかんぽ、数字が目標がなくてですね、利益が減っているので、ベースとなる売上高に計上する部分が減るのかなという気がするのですけど、これはどうでしょう。
【社長】
これはそれじゃあ、せっかく今日は、各社そろっていますので、ゆうちょとかんぽ両方から説明します。
【同席者】
まずゆうちょ銀行から説明します。先ほどもちょっとお答え申し上げましたけど、今回の、この計算の金利は、12月末のIFRを前提につくらせていただいております。
基本的な構造から言いますと、ゆうちょ銀行の大宗を占めます金利の、そのいわゆる資金収支の部分については、やっぱりそういう前提を引きましても、償還を迎えるものと新しく運用するものの差額を考えますと減収傾向にございます。ただ、少しでもそれを、手数料のフィーを上げたりですね、コストの削減だとか、先程申し上げた運用の多様化などで食い止めて行こうというような基本的な構想になっています。
【同席者】
かんぽ生命につきましては、当期純利益について、3年後で800億円という数字を出しておりますけれども、確かに2012年の数字に比べると減収という形にはなっておりますけれども、ご案内のとおり、今、責任準備金の対応がございますので、そういうところで減収になっていくという、そのような状況でございます。ただ、下にEV、エンベディッド・バリューという成長率を出しております。我々としては、現在価値ベースでの、企業価値というものを8%に伸ばしていくというところで成長を示しているというように考えております。
【社長】
ついでに2016年の話をしてはどうですか。2016年には、反転しますと。
【同席者】
付け足します。我々としては、プラスで一番上に、営業のですね、月額保険料を500億円という数字を出しております。これを達成することによりまして、今、個人契約が減少しておりますが、それで中期経営計画期間中にその減少が止まるということではないのですけれども、もうその直後位のところで歯止めをして、そこからは反転をして行くための営業努力をするという数字でございます。そういう意味では、この中期経営営計画期間中に反転のために我々は基礎固めをしていこうという形でこの数字を出させていただいております。
【記者】
この中期経営計画3年間の後ですね、17年度以降は、「トータル生活サポート企業」になられるという計画になっていまして、これを考えますと、郵便局ネットワークを前提としたものが、重要になってくると思います。そうすると、上場したときの姿として、持株会社が上場しているということはあり得ても、その下の、銀行だけ、あるいは保険だけが上場するというのはちょっと望ましい形じゃないようにも思うのですが、西室さんは上場後の姿はどのように考えていらっしゃるのですか。
【社長】
これ、今のは、なかなか答え方の難しいご質問の仕方で、簡単に言うと金融2社の上場ということについて、現状でどういうふうに考えているかというご質問ですね。これは実は決めておりません。まだ株主とも話がついておりません。
私は、今、法律的には、その金融2社についてはいつでも上場していいということになっています。それでしかも全額IPOをしてもいいと法律的には読める。そうなっておりますけれども、それを全額IPOというめちゃくちゃなことをやる気は全くありませんが、何らかの形で、金融2社のIPOというのは考えていかなければいけないと本音では思っています。
どうもありがとうございました。