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2014年1月24日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2014年1月24日 金曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
今日は大勢の方にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。まず最初に私から、3点、申し上げておきたいと思います。
一番最初は、2012年の9月に金融庁長官と総務大臣に対して認可申請を行っておりました学資保険の改定についてです。これについては、同年の11月に郵政民営化委員会の意見書を両大臣に提出しまして、その時に両大臣からは、条件付きで認可をいただいておりましたが、本日これらの条件について承認をいただきました。
先程、総務大臣と金融庁長官から、郵政民営化法の承認と、それから金融庁長官からは保険業法の認可をいただきました。これにつきましては、審査の期間が、郵政民営化委員会から意見を提出した後1年2~3カ月掛かったということで、極めて長期間のご審査をいただきました。今、考えてみれば、これは我々にとっては必要な審査であったと非常に痛感しています。
これについて少しだけお話をさせていただきますと、日本郵政グループは、郵政民営化法の下で民営化されたという形になっておりまして、その時の金融庁の監督というのは、当然のことながら銀行法と保険業法に基づくものであり、そして総務省の監督もあったわけですけれども、それが他の保険会社あるいは銀行と同等の監督をしておられたかというと、少し甘くしていただいた部分もあったかと思います。これは、私が郵政民営化委員長を一昨年はしておりましたので、その審査の過程の中でいろいろはっきりとしたことであります。特に保険の関係につきましては、未払の処理というのが、残念ながら、かんぽでは一昨年の3月まで手をつけていなかった部分もございました。これは、我々にそういうことをしっかりやりなさいという指示があったのが一昨年、その2~3年前には、一般のほとんど全ての保険会社に対して、未払いの処理について、しっかりと手当てをするようにという指示が出まして、それぞれの会社が、ほぼ1年、2年かけて、やっておられました。それに対して、私どもは一歩、遅れていたというのは明らかな事実でしたので、それも含めて今回、全ての審査が終了したということは、かんぽ生命が、いわば一般の他の保険会社と同じような規制に対する対応だけではなくて、体質の強化というものができたと思っております。
この学資保険の改定の認可によって、お客様の利便性の向上につながるということ、それから経営の安定にも資すると、非常に意味があるものでございます。準備は相当前から、これは必ず何とか通していただけるということで準備も始めておりましたので、本年4月2日から販売を開始することができると考えております。それがまず1点目であります。
それから、2点目は、新年初めての会見でございますので、平成26年の年賀の総括について、簡単に申し上げたいと思います。
毎年、各地で元旦の恒例となっております元旦の出発式、それに私も初めて新藤大臣とご一緒して、日本橋郵便局の式典に参加をさせていただきました。今回の年賀販売については、いろいろなご意見も頂戴していました。新しい取り組みをしっかりとして、年賀はがきの販売を開始したわけでございますけれども、その結果として、残念ながら、昨年の販売枚数よりは1億枚以上減少となりました。正確に言えば、本年が1億1,423万枚、前年比でいうと96.5%という厳しい状況になったと思っております。
しかしながら、新しい取り組みとして始めたスマートフォンを活用した年賀はがきが約162万枚の差出増となり、そしてまた、年賀タウンによるビジネスユース獲得で、約300万枚の差出増につなげることができました。
年賀とは異なりますけれども、今年度から取り扱いを開始した喪中見舞い用の商品については、昨今、近親者のみで故人をお送りするという家族葬が増えている関係もありまして、喪中はがきをいただいて初めてご逝去になったことを知る機会が多くなっておりますので、それに対する新しいニーズに応えることができたと思っております。
一方、業務運行につきましては、元旦には大きな事故もなく、順調に配達をすることができました。社員の皆さん方の本当に献身的な頑張りに敬意を申し上げるとともに、各社の皆さん方には、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。
3点目は、日本郵政の社長の他に、私は日本郵政共済組合の代表にもなっておりますので、その立場において嬉しいご報告がありましたので、お伝えをしたいと思います。
このたび、日本郵政共済組合は、プライバシーマーク指定審査機関であります一般財団法人医療情報システム開発センターの審査を受けて、合格をいたしまして、一般財団法人日本情報経済社会推進協会から、国家公務員共済組合としては初めてプライバシーマークの認定を取得することができました。全国では約1,500箇所ある同様の業務を行っている健康保険組合等の中で、プライバシーマークの認定を受けた事業所は、1,500に対して42事業所ということになっております。
この保健医療福祉分野のプライバシーマーク取得の意義でございますけれども、日本郵政共済組合というのは、個人情報を適切に扱っているということを会社の内外にアピールすることができますし、それから社員、組合員の方々からの信頼を得るのと共に、日本郵政共済組合に勤務する職員の皆さんの個人情報の取り扱いに対する意識も高まって、モチベーションアップには当然のことながらつながるということでございます。
まず、冒頭に私からは以上3点のご説明を申し上げました。
【記者】
かんぽ生命の新規業務が、本日、認可が出たということで、おめでとうございます。ゆうちょ銀行の方はまだ認可が出ていないと思うのですが、今の進捗状況はどうなっていますでしょうか。
【社長】
残念ながら、時系列的に言えば、一昨年の11月に本日認可になった学資保険の改定については郵政民営化委員会での審査を終えて、総務大臣と金融庁長官に意見書を提出し、翌12月にゆうちょ銀行の関連の案件についても意見書を出しておりました。
これにつきましては、厳重審査の上、結果を出すということになっておりますけれども、未だ、進展していると申し上げられる状態になっておりません。
基本的には、私どもの会社は、政府が100%株を保有している会社でありますので、100%保有という会社の子会社としてのいわば業界全体の中での位置付けというよりは、むしろそのコンペティションの状況その他についても、いろいろ配慮をしながらの審査が行われていると理解をしています。
本日、午前中の麻生大臣の記者会見の中で、本件についてお触れになって、ゆうちょ銀行は回収の業務というのはやったことがないのにできるのかというお話だったんですが、やったことがないというのはどういう意味なのか、ちょっとよくわからないんですけれども。いずれにしても、銀行としての業務は、私どもができるような状況になってきたと思っております。直接手を出すことができない範囲が非常に広範囲でありますので、それについては、慎重かつ厳正に対処しながら、今のゆうちょ銀行の業務をやっているわけであります。しっかりと審査をしていただいて、それなりの体制を作ったことを認めていただければと思っております。
【記者】
来月に中期経営計画の提出をされたいという意向をこれまでも発言されてきましたが、時期に変更はないのでしょうかということと、その中身の進捗状況についてお聞かせください。
【社長】
まず、来月、2月に中期経営計画、もともと昨年の9月に中期経営計画を策定して発表すると申し上げていたものを、諸般の事情があって、2月まで延ばしました。現在、まだいろいろな点で最終的な修正をやっているところであります。計算のやり直し、あるいは新しいビジョンをどう入れていくかということを含めてやっている最中であります。それで、期限については、もちろん2月中には中期経営計画は出せると確信をいたしております。
【記者】
学資保険の改定について、経営の安定につながるという話がございますけれども、業績への影響というか、プラスの影響、どれくらいインパクトを持っているのか、もしわかれば数字を教えていただけますでしょうか。
【社長】
そうですね、今、認可を受けたばかりのところですから、とらぬタヌキの皮算用をやっても仕方がないような気がします。はっきりとしたインパクトはあります。インパクトはポジティブなインパクトで、これは必ずや契約件数の増加につながると確信をしておりますけれども、どの位のボリュームでというのを、今、想定するのは少し時期尚早だろうと。
ご承知のとおり、私どもが保険の基本契約の改定をやったのは10年振り。つまり民営化以前からずっと同じ保険約款を担いで商売していたわけです。ですから、その中で、特に学資保険については、10年ほど前に7割以上のマーケットシェアがあったものが、現在は3割まで落ちているという状況。それはもうひとえに私どもの学資保険の約款そのものが時代に合っていないということで、その部分を改定したいという申請をしていたわけです。ようやくこれができたばかりで、10年の空白を一挙にそれを全部無事に埋めて、シェア7割になるだろうという野望を抱いているわけでは全くありません。着実にお客さまのためになるような販売活動をしていこうと思っています。
【記者】
学資については7割以上のマーケットが3割に落ちたというお話がありました。ただ、これでも、新契約のシェアで見ればトップなのですが、今回、認可されたことについて、民間の生保からは民業圧迫というような声も出るかと思うのですけれども、その辺については、新しい商品の競争力も含めてどのようにお考えか、お聞かせください。
【社長】
新しい商品は、民間と比較をして、全てがまさっていて、圧倒的な競争力があるだろうというものではありません。民間でやっておられることと、少なくとも同等の構成になっているということであります。
それで民業圧迫というのは、私どもが何か新しいことをやると、全部民業圧迫というお話が出るわけですけれども、私どもは民業を圧迫するというつもりはなくて、我々の使命は、郵便局のネットワークというものを大事に、社会あるいは地方のために保持をしながら、ユニバーサルサービスを提供する、それが本旨であると。その本旨に基づいて慎重に、かつ厳正にしっかりとした販売をしていくということであります。
確かにナンバーワンかもしれませんね。ですけど、ナンバーワンであったら、そこから先もナンバーワンであり続けるということができるような約款改定になったのではないかと思います。ただ、それが民業圧迫と言われてしまうと、私どもは仕事をしない方が褒められるということになりますから、やはり我々の使命を果たすためにも、この事業ははっきりと前向きに進めていきたいと思っています。
【記者】
改定学資保険がアフラックの商品の販売力拡大の弾みになると捉えていらっしゃいますでしょうか。
【社長】
いや、全く関係ないと思います。これはアフラックとの提携をご説明した時にも、アフラックとの提携というのはアフラックのがん保険だけに特定したもので、これは今、郵便局のネットワークの持っている保険代理業というものを、これから先の業界全体の為になるようにやらせていただくということを、もっと拡大しなくてはいけないと。今は、他社の代理業をやっているのは、大体1,000局、2,000局の単位ですが、私どもは、少なくとも2万局の事業の可能性のある、そういう郵便局ネットワークを持っているわけですから、それが保険業界全体の為になるように活用いただくということが、取りも直さず私どもの郵便局ネットワークの活用にもつながると。そのためには、一番売りやすい保険ということで、アフラックのがん保険をお願いしたわけです。もう既に全部で16社の保険代理業を始めています。それぞれの会社からもっと拡大をして欲しいというご依頼もいただいております。あまり急いで一斉に進めるということは危険な部分もありますので、慎重に、しかしスピーディーに拡大していくということをこれから続けたいと思います。海外からの要請だけではなく、日本の主な保険会社ほとんど全社から代理業をやって欲しいというお話は頂戴していますし、前向きに検討します。
【記者】
先程のゆうちょ銀行の新規業務について、未だ進展している状況ではないというお話がありました。ゆうちょ銀行の新規業務ですが、結局、地銀、信金などの反発を受けて、郵政民営化委員会がかなり限定した形が望ましいという意見を出されました。当時の委員長は社長でしたね。その後、社長になって、結局あのときの申請を、例えば変更するとか、あるいは、今、膠着している状態を打開するために、今、どのようなことをお考えなのか。
【社長】
まず、郵政民営化委員会が検討し、それで、元々の申請のあったものを修正して、総務大臣と金融庁長官に、郵政民営化委員会としては是非ともこれで認可してはどうですかという形で意見書を提出したわけです。それが今、膠着状態になっているということですけれども。その間に我々は、今ある制限の中で、いろいろな銀行としての業務を誠実にやっているつもりでありますし、現実に成果も上がっていると思います。しかし、それについてはまだ不十分だということで認可されない状況だと思います。これは、我々としては孜々として努力をして、それで、まず第一段階は、申請したものを認可をしてもらいたいということ。それがやはり、一つの努力の結晶になると思いますから、それを続ける以外に仕方がないですね。すぐ近所に金融庁がありますが、なかなか、まだ我々の努力を認めていただく段階になっていないということです。努力が足りないのかもしれません。しかしながら、我々は一生懸命努力しているつもりです。
【記者】
今回の認可の背景に、アフラックとの業務提携があったために認可がされやすくなったということはありますか。
【社長】
それだったらもっと早く認可していただいてもいいはずですが。そのことについては、私どもが提携の発表の時にも申し上げましたけれども、これはTPPの交渉とは全く関係ありません。私どもの郵便局ネットワークを強化し、そして、もっと大きな、いろんな仕事をやることができるようになり、それが我々のためになるということだけを考えているわけではなく、保険業界の皆さんのためにもなるような代理業が本当にできるということをテストするためにアフラックのがん保険を取り上げた。一番分かりやすくて売りやすい商品だからです。その時から全く変わっていないと思います。だから、直接影響するのでしたら、もっと早くオーケーが出ても良さそうな気がします。
【記者】
同じくそのアフラックとの提携の関連で、2万局のネットワーク全体で販売をするには、かんぽ生命のサポートがかなりキーになると思うのですが、かんぽ生命がアフラックの商品を取り扱う手続きというのは今、どういう状況ですか。
【社長】
今度の認可の中にはそれはまだ入っていませんが、認可申請をすれば、これは早晩、それについての認可が得られるものと思っております。
【記者】
日本郵政及びかんぽ生命、上場を目指して、かんぽ生命も準備室を確か作ったと思いますが、今回のその学資保険の新商品といいますか、商品改定ですが、これは上場を目指す時に、どの位のプラス影響と考えていらっしゃるのか。あるいは、まだこれだけはちょっと収益基盤としては十分ではないとお考えなのか。どういうことが整えば、上場に足る収益基盤になるのか、お考えをお聞かせください。
【社長】
今のご質問そのものが正に正しいご指摘だと思います。上場の時にこれがプラスの影響があるかないかという意味では、プラスの影響は当然あると思います。ただ、これだけを柱にして上場の条件をクリアするというわけではありませんから、これを1つの例として上場が可能になるような形にしていくということであります。そういうことで、我々としては、まず、一歩踏み出すということができると思っております。
【記者】
ちょっと今の関係ですが、特にかんぽ生命の場合、医療保険を自分でやるとか、そういうことが上場を確実にするためには必要条件とお考えですか。
【社長】
はっきり申し上げて、現状で我々が自分の医療保険をちゃんとつくり出して、それでやるというところまでいかなくても、上場が不可能になるとは認識していません。同時に、他の医療保険を持っておられる会社から保険代理業をやって欲しいという申し入れは色々いただいています。そういうもののお手伝いもしながら、もっと長期的に将来を考えていきたいと思っています。
現状では、現在私どもが持っている養老関係の保険、それともう一つは伝統的に郵便局がやっていた学資保険、こういう保険を中心にして自前のものはやって参ります。それ以外に、代理業ももっと可能性を、視野を広げていくことが業界全体の役に立つだろうと思っています。
【記者】
代理業を広げると、かんぽ生命の収益基盤の強化になるということでしょうか。
【社長】
かんぽ生命そのものの収益基盤としては、極めてボリュームは少ないと思いますけれども、かんぽ生命のノウハウその他は、郵便局のネットワークで代理業をやるときに、教育その他の貢献ができます。仕組みとして出来ていますから、そういう意味では、当然、結果的には収益基盤が広がるということになります。
ただ、自前の医療だとか、あるいは損害保険だとか、いろんなものもやるというところまで事業を膨らますことは、以前から考えているわけでは全くありませんし、現状では新しい計画は持っていません。
【記者】
今回の認可が長引いた1つの原因が、支払態勢の強化だと思いますが、今どれくらい改正して、今後どのように強化していくのか。また、もっと他に強化が必要なところがあると思うのですが。
【社長】
支払管理態勢に特定して言えば、他の保険会社さんと同等の準備は全部できたと。これから先はそれに基づいて、今もうやり始めていますが、システムも完成しましたし、そのシステムが有効であることも証明されつつあるということで、他の保険会社に見劣りすることがない状況まで行ったと思っています。
【記者】
西室社長が郵政民営化委員長だった時、かんぽの新学資保険を容認する意見書をまとめた際の会見で、単品の医療保険やがん保険に関しては、申請を出されても、プラスの方向の意見書は出せないという趣旨のことを発言されていました。
その時に、理由を記者から問われて、「米国への配慮があるのですか」という質問に対して「ないといえば嘘になりますね」という発言があったと思うのですが、今、日本郵政の社長の立場になって、それについて改めてお聞かせいただきたい。
【社長】
何か難しい質問ですね。まず、その新しい分野を広げていくという形をとらないで、まずは、郵便局が従来から提供しているような性格の保険ができるという形はしっかりつくる。そこで、今、学資保険について新しい約款ができることになりました。
それを以って、当分の間は新しい形の保険を導入しなくても済むと思っていますから、その時の意見書とあまり変わっておりません。あまり、意見書と違ったことを今さら言うのも、社長になったから言うことが違うのではないかということには、現状ではなっておりません。
【記者】
ゆうちょ銀行の新規業務についてお伺いしたいのですが、認可申請の概要として、本社内に担当部署を設置する、これは法人向け貸し付けですが、具体的に現時点で、貸し付け業務に関して、法人も個人も含めて部署としてどういう部署が今設置されていて、それから、人については中途採用、他の金融機関からの中途採用も含めて、人材の確保に努めるということでしたけども、現時点で、どれ位の人材が何人確保できているのか、それをお聞かせいただけますか。
【社長】
今、手元に資料持ってないので、お答えは今すぐにはできないですけれども。細かい数字は当然把握しています。
【記者】
部署は設置されていて。
【社長】
部署はあります。
【記者】
何十人レベルは確保できているということでしょうか。
【社長】
そうですね、何十人というレベルは確保できています。
【記者】
貸し出しに関するシステムについては、現時点でどれ位まで完成しているというご認識か。
【社長】
貸し出しのシステムの中で、直接貸し出しということに伴う業務、それは直接貸し出しできない部分がありますから、それについては、まだ手直しが必要なところはあると思いますけど、現状では、スルガ銀行の個人向けローンの代理業務など、色々な業務を始めていますので、ほとんどのものはすぐにでもできるという状況になっていると思います。
後は、麻生大臣のお言葉によれば、回収業務などは難しいのに、それはやったことがないだろうと、こうおっしゃるのですが、ちゃんと従来もシンジケートローンに参加して貸し出しを行い、デフォルトになったところは1つもありません。きちんとしたシステムができてはいます。
【記者】
回収のシステムはできているのか。
【社長】
できています。今、回収するシステムがなかったら、何もできないでしょう。
【記者】
上場についてですが、来月、中計の中でも発表されるかと思いますが、現時点のお考えとして、持株会社だけの上場なのか、傘下の会社も含めて、それぞれが上場するということなのか、お考えをお聞かせください。
【社長】
まず、来月、発表する予定の中期経営計画は、上場とは切り離して考えていただきたいということです。中期経営計画は上場とは無関係です。全く別々のものです。
それから、今のご質問の親会社、ホールディングカンパニーの上場と、それから金融2社の上場と、それぞれを多分やらなければいけないと考えて、いろんなシミュレーションを行っています。
ですが、まだシミュレーションの結果が出ていない。というよりは、何といっても、株主は財務省理財局ですから、そちらとのコンセンサスもできてない。
ただ、はっきりしていることは、法令に従い、上場の準備は粛々と進めていくということです。
それで、政府の期待では、復興事業の財源として「日本郵政株式会社の売却収入として見込まれる4兆円程度を追加する」という話がありますから、それをきちんとできるように、色々な形の準備を粛々と進めるという状況です。
あまりはっきりしたことを言ってはいけないみたいですね、上場の話とそれから中期経営計画の話など。ですから、そういうことで今、大体できる範囲でご説明をしていただいております。
一方で、上場は3社の上場の話なのか、1社の上場の話なのかは、まだ最終的に株主との合意ができていませんので、これは私どもからも言えないし、財務省理財局も言えないという状況になっています。
ただ、そちらを待っていて、中期経営計画を止めるわけにいきませんので、中期経営計画は2月にはでき上がったものを必ず皆様方に発表できると思っています。
【記者】
そうすると、2月に必ず出すのはあくまで中期経営計画......。
【社長】
そうです。2月に出させていただくのは中期経営計画で、上場とは無関係です。
【記者】
今、上場の質問がありましたけれども、震災復興財源として4兆円、国庫に入るようにしてくれと言われているとおっしゃったのですが、上場で調達する、新規公開で調達する金額は4兆円を超えると考えてよろしいでしょうか。
【社長】
これはまだ決定事項ではありませんから、政府がそういうご意向であるというのは、一度、昨年の初めに発表されていますから、それがそのまま続いていると思っています。それで、現状で株主である財務省の理財局がどんな形で幾ら最初のIPOで捻出できるかは全く決まってないという状況です。
【記者】
その目指す一つの尺度として......。
【社長】
はい。そうですね。
【記者】
IPOで4兆円を目指すという考え方があるということなのか、それとも、別に2兆かもしれないし、1兆かもしれないということか。
【社長】
そうですね。それを正確にお答えする状況にないというのが現状です。
【記者】
時期尚早ということですか。
【社長】
時期尚早というよりも、販売することが確定するまでお話できないということです。ですから、上場も準備は当然やるわけですけれども、年次的には分からない、まだ発表もしてないし、コンセンサスもできていません。
【記者】
順番はホールディングカンパニーが先になるのですか。
【社長】
これはまだ最終的に決めていません。最終的に決めてないというと、何かホールディングカンパニーより前に金融2社みたいな考え方があるかということになってしまうわけですが、当社だけで決めることでもないので、実際はまだ決まっていません。
【記者】
3社が来年上場できるということも、その市況や様々な判断の結果、あり得ると考えてよいでしょうか。
【社長】
あり得るという蓋然性を否定するわけにいきません。ですから、それはあり得ます。ただ、本当に1社だけに留めるのか、3社にするのか、それのタイミングが一緒なのか、ばらばらなのか、それはまだ全く決めていません。決めていませんというか、コンセンサスはできていません。
【記者】
中期経営計画と上場計画を別々に発表されるというお話でしたけれども、上場計画がどの位のタイミングで発表できそうかという時期的なものを、もしお考えがあれば、教えてください。
【社長】
これはね、私どもが勝手に時期を言うわけにいかない事情は、ご承知のとおり。株主は私どもの向かいにある財務省理財局ですから、そちらとのコンセンサスはまだできてないので。それで、現状では言えないというのが本当のところです。いろいろなシミュレーションをやっています。
【記者】
大雑把でも構わないです。年度をまたぎそうだとか。
【社長】
今年の3月末までに上場についてお話ができるかというと、多分難しいと思います。
【記者】
まず、年度は超えるだろうと。
【社長】
最終的な予算の枠組みの関係もあり流動的なのです。
【記者】
わかりました。
【社長】
これは予算審議そのものの進行状況にもよります。
【記者】
暗黙の政府保証と言われることに関して、上場を以って、やっぱりそういったフレーズに関しては周りからもというか、聞かれなくなるものと考えてよいのでしょうか。
あと、先程、ゆうちょ銀行に関して、シンジケートローンの話、回収という話がありましたが、住宅ローンや企業向けの小口の融資であるとか、こういったものに関してもある程度能力を備えてきているものと考えていいのでしょうか。
【社長】
まず、順番を追って、最初の方の暗黙の政府保証について。私どもとしては、政府出資が50%を切る状況にならなければ、いわゆる暗黙の政府保証という段階から脱し切れないだろうと思います。しかし、今のTPP全体の方針の中でも、これは国有企業の定義の問題、つまり、ガバメント・オウンド・エンタープライズというものの定義の問題が未だにTPPの全体交渉の中でまとまっていない。
ですから、国際的な普通の常識的なものから考えると、50%以上の持ち株が政府でなくなるということになれば、暗黙の政府保証といういわゆるガバメント・オウンド・エンタープライズというカテゴリーから外れると未だに考えています。ただ、実際に暗黙の政府保証は何もないのが現実ですけどね。
また、ゆうちょ銀行の今の状況について、住宅ローンは今、銀行がやっている私どものプランは、スルガ銀行の個人向けローンのいわば代理業をやっている。代理業を通じて住宅ローンの審査その他スルガ銀行の関係部署に社員を出向させ練習をやっていますから、これについては相当程度の実力がついたと思います。それ以外の小口の貸し出しは今のところできませんけれども、大口のシンジケートローンその他はシンジケートの中に入って、その一員としてやることは、きちんと部門もあるし、人材もいますので、他の銀行さんに色々教えていただかなくても、大抵のことはできるだろうと思っています。
どうもありがとうございました。よろしくお願いします。