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2013年12月4日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2013年12月4日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
それではまず、先日、日本郵便で会見を行いました、チルドゆうパックの取り扱いについて、一部不備な点があり、ご利用いただいたお客さまに大変ご迷惑をおかけしたことにつきまして、私からも、この場を借りて改めてお詫びを申し上げたいと思います。
なお、本件について、会社としては、本社の指示・徹底が十分でなかったことにより、結果的にお客さまに多大なご迷惑をお掛けしたことを、極めて重く受け止めております。また、ゆうパックは、今後の郵便事業の展開を考えたときに、極めて重点を置いている部分でありますので、日本郵便の関係役員が報酬を自主返納することにいたしました。
日本郵便の役員の自主返納は、代表取締役社長が月額報酬の10%の自主返納を3カ月間、郵便事業総本部長の専務執行役員が10%の自主返納を2カ月間、郵便事業総本部オペレーション本部担当の常務執行役員が10%の自主返納を2カ月間。それから、さらにもう1人、郵便事業総本部オペレーション本部担当の執行役員補佐をしている執行役員が、10%の自主返納を1カ月間ということで、合計4名が自主返納することになりました。
また、それに併せて、私自身も役員報酬月額の10%を3カ月間、それから、日本郵政の鈴木副社長は、報酬月額の10%を2カ月間、それぞれ自主返納することを決定いたしました。
日本郵便というのは、最も基幹になる私どもの大事な事業であります。グループ全体の中でも、人数的にも重要性においても大事な部分であります。6月から新しい体制になって、私自身、最初に皆様方にも申し上げましたように、全体のグループの責任は私が持つと申し上げ、いろいろなことをやってきました。その具体的なマネジメントの変更の一つに、各社におりました会長に全員ご退任いただいたということがありました。これはつまり、グループの最終的な責任は日本郵政の社長である私にあるということをはっきりと示したということです。したがいまして、当然のことながら私自身も、その責任の一端を担い、自主返納をするという結論に至りました。
万全の体制を整えて、お歳暮のお届けなど、チルドゆうパックにつきましても、全力で取り組んでいくという決意を日本郵便がしっかりと固めて、教育や現場への指示もしっかりとやり直しているという状況です。
これを本日初めて発表させていただきました。
他に発表が2つあります。
1つ目は、お手元に既にプレスリリースをお配りしていますけれども、郵便局などフロントラインの設備環境の改善をやっていくということで、10月の会見のときにも申し上げましたけれども、本社機能については、2018年度をめどに、現在のこの日本郵政ビルから、旧東京国際郵便局などが所在していた大手町2丁目の再開発ビルに集約・移転をする決意を固め、各グループ会社の取締役会でもその決議をしております。
日本郵政グループの本社機能につきましては、現在、ご承知のように、周辺のビルに分散している状況であり、業務遂行上も非効率となっています。私どもは地権者として、大手町の再開発ビルの権利を有しております。そしてまた、この霞が関のビルは、もともと国有地でございます。財務省が再開発ビルに持っている権利と交換をしてもいいという財務省のお話もあったので、霞が関のビルの権利を全部、お渡しする代わりに、再開発ビルの権利を取得することになりました。移転をすれば、日本郵政の本社と各社の本部機能がすべて同じビルの中に入るということで、結果的にはグループ各社が一体となって一つのビルに入り、相互に有機的なシナジーを発揮することによって全体の企業価値と、サービスを求めるお客さまに対する利便性、それも含めて向上することを目指していきたいと思います。
2018年度というと5年後ですけれども、これから全社を挙げて移転計画を検討・策定し、郵政グループが入るのにふさわしい、本社機能を集約し、移転を完了する方向に向かっていきたいと思います。
それから2つ目は、「エコプロダクツ2013」というものに出展を決めさせていただきました。今回、「エコプロダクツ2013」というのは、晴海の東京ビッグサイトで、12月12日から14日まで、約700社の企業・団体が参加するという、国内最大級の環境展示会です。日本郵政グループとしては、これに参加して、特徴のあるブースを設営したいと考えております。
森の中の郵便局を一つのテーマとして、間伐材を使用した森のはがきを、そこで手に入るようにアレンジし、それに絵をかいて特設のポストに投函していただくワークショップも設けます。それから、エコプロダクツ展ということでもあるので、既に一部、埼玉県などで導入している電気自動車も展示する予定です。
そんなに大規模なブースではありませんが、特徴のあるブースができると思っていますので、できれば皆様方にもご観覧いただければありがたいと思います。
入場料は無料ということで、ご負担をかけることがないと思いますので、お運びいただければありがたいと思います。
最後にもう一つ、12月1日付けで、女子陸上部に埼玉県の昌平高校3年生の小座間夏子さんを内定いたしました。これで選手が1人増えましたので、合計6名になります。6名は、駅伝に参加するミニマムの人数ですが、もちろんこれだけでは足りません。さらに募集し、人数を増やしておかないとチームとして成立しませんので、その努力は続けていくことにしております。来シーズンの皆様方の応援をよろしくお願いしたいと思います。
冒頭、私の方から申し上げることは以上です。
【記者】
本社機能の移転という発表がありましたが、これも含めて、2月に発表予定の中期経営計画に盛り込まれると思われますが、まずその中期経営計画の進捗状況並びに以前発表された設備の老朽化とシステム関連の投資額など、以前から更新した部分を教えていただきたい。
【社長】
以前の中期経営計画は発表しておりませんので、新しい中期経営計画を2月に発表させていただくということです。
変更した部分と言われると、ほとんど全面的に見直しをして、また、先ほどご指摘にあったような、例えば設備の老朽化対策や、あるいはシステムの充実・完備などといったいろんな要素を組み込んで作り上げつつあります。
現在、一応、全体の概略はできていて、これはプロセスから言えば、概略、大体こんなことになるのかなという感覚はありますけれども、詳細については、各事業会社が再検討して、完成するのが来年の1月、2月ということになります。したがって、どの位の金額で、どの様な変化があるのかということは、まだまだ申し上げる段階ではありません。
【記者】
金融二社が申請していた新規業務について、未だ金融庁側の動きというのが、見えてこない状況ですが、現在、何か動きがあるのかどうか、また、販売計画、販売時期など、どのようにお考えなのか。
【社長】
ご承知のように、郵政民営化委員会が昨年の11月、12月に、これでやったらどうかという案を、総務省と金融庁に提出をしたわけですけれども、その後、かんぽの部分は全部で8項目の認可条件があって、その中で、特に支払管理態勢の整備というのが一番手間のかかる大きな仕事。これは昨年の3月くらいに金融庁からご指摘があったものですが、この部分が一番手間のかかりそうな部分だと認識しています。その部分については、10月1日から新しい取組みを始めましたし、実際に実績も上がりつつあると。それで、金融庁には、いよいよシステムの関係も目処が立ち、万端の準備ができつつあり、実際に動き出しているという報告をしています。
評価の結果というのは、もうしばらく様子を見ないとわからないということです。その部分についてのきちんとした評価、あるいは指導など、結論が出るのがいつなのか、実はまだわかりません。いつ頃に認可するという内示があるわけではなく、今、審査をやっていただいており、追加の質問が途絶えた感じです。追加質問がないということは、いい知らせだろうとは思っていますが、まだしばらくかかるようで、年を越えてしまうかもしれないと思っています。
私どもの希望は、特にかんぽの学資保険については、なるべく早く始めさせていただきたい。明らかにその条件が劣後していますので、きちんとやらなくてはいけないと思っています。
それから、銀行業務については、新規事業をいろいろ申請して、審査していただくことになっており、質問は続けて、あるいは間欠的にいただいています。我々としては、それにはきちんと適切にお答えしているつもりではありますが、これは私どものやり方の問題というよりは、むしろ全体の銀行業界というか、金融業界の中での比較と審査をし、全体のバランスの中でこれを認可していいのかということにもウエートがあるわけで、まだどこまで進展しているのか皆目見当がつきません。もう1年経過していますので、そろそろ見当くらいついてもいいのではないかとは思っています。きっと、慎重かつ万全を期してご審査をいただいているということだと思います。
【記者】
年賀はがきを社員が自費で買い取る、いわゆる自爆営業の問題について、社長はどのように考えておられるか。あと、日本郵政にとって、どのような対策をとっておられるか、お聞かせください。
【社長】
まず、自爆営業は、あってはいけないことですよね。私もそう思っていますし、少なくとも管理者、経営者の意識は、繰り返して、今年の年賀はがきの販売が始まる前に周知したつもりですが、特定の新聞が集中してお書きになっているように、具体的な例があちらこちらにあるということですけれども、それについては真摯に受けとめて、これについては犯人捜しをする話ではなく、本当に、本質的にそのようなことがなくても仕事が進むような事業体でなければいけないと、気を引き締めながらしっかりやっていきたいと思っています。
具体的に言えば、今までよりも目標枚数を相当減らした形で計画しています。それから、直接これについて問題があるときには、内部通報窓口を社内で公表もしていますが、そういうところにはなかなか上がってこない。新聞で金券ショップでパトロールをされているようですが、私どもは、パトロールを我々がやって、犯人捜しをするというようなことはしないで済ませたいと思っています。そもそも、本質的にこういうことはあってはならないことです。もちろん、セールスプロモーションというのは、みんなで一生懸命たくさん売りましょうと、気持ちをそろえてやることは大事なことですが、しかしながら、それについて自爆営業と言われるようなことについては、今年はまだ叱られているから、来年は叱られないで済むようにしっかりと努力をしたいと思っています。
【記者】
年賀はがきのノルマ設定の方法について、前年度実績に応じて、各郵便局にノルマが割り振られると聞いております。そうすると、結局、自爆分というのが、要はビルトインされるような形で前年度実績に入ってしまっているので、実際に、前年度実績に応じて今年度の販売ノルマを設定すると、かなり実需に基づかない形になるのではないか。
【社長】
前年度実績は、一応需要があるという仮定です。むやみやたらにたくさん売って、それでおしまいというわけにはいかないので、一応、目標額的なものはそれぞれあります。それをノルマと言うかどうかですが、目標が達成できない場合のペナルティーは、一切存在していません。ですから、それについて、本当に無理をすることがないような郵便局をつくっていかなくてはいけないと思っています。そして、社員全員がそういう意識でなくてはいけない。本質的な部分のご指摘は非常にありがたいことですけれども、犯人捜しをするようなことを、私もする気もありませんし、やってもいません。それよりは、そういうところを根源からないようにする。ですから、先ほどおっしゃったような、ノルマを当てがって、達成できなければペナルティーを科すということは一切やっていません。今年は、それをはっきりと確認をしております。
【記者】
実際には、取材に基づいて、そういう実態が起きているわけで、本質的になくすということであれば、ノルマ設定のつくり方自体を抜本的に見直すということをお考えか。
【社長】
ノルマを設定しているということではない。
【記者】
数値目標として販売目標を設定しているのではないか。
【社長】
それはそうです。それがないと経営計画ができませんからね。
【記者】
その設定の仕方についてはどのようになっているのか。
【社長】
目標の設定の仕方については、私どももいろいろ検討を重ねています。実は今年の目標は昨年の全体の目標よりは明らかに下げているのです。そういうことをやりながら、どれが正しい方向か検討しています。ただし、経営の面から考えても、そしてお客さまの利便性を考えても、年賀というのは大変重要な事業ですから、この重要な年賀はがきのプロモーション事業について、我々としては、後ろ指を指されることのないような会社をつくっていきたいと努力しています。これは、ずっと努力をしていると言いながら、実際に、目標値を大きく下げることは、やってきていませんでした。今年は目標値も下げていますし、今年は指摘されるようなことがいろいろあったようですが、誰が悪かったという具体的な話をトレースするような犯人捜しをするよりは、そういうことがないようにしていくのが経営として正しい方法だと思っています。
【記者】
郵便局ネットワークの将来像について話し合いが行われていて、来年早々にも考え方を取りまとめられるというようなお話を聞いていますが、この考え方を中期経営計画に反映させるということでよろしいでしょうか。
【社長】
郵便局ネットワークをどのようにやっていくかということは、それこそ、このグループ全体がどのようにやっていくかということの根源的な部分ですから、常にいろんな意味で検討・改善し、郵便局ネットワークは、我々がしっかりと守りますと、私は着任したときにも最初に申し上げました。殊に、地域や社会にとって必要な部分を経営の合理化のために減らすようなことはしません。これは相変わらず基本方針として、そのとおりです。
ただ、より効率的にやっていくという中で、都会地の再配置やあるいは中心になる集配局のやり方をもっと合理化する。これがビジネスの基本である以上、それこそ本業として必死になってやらなくてはいけない部分ですから、見直しは常に反省しつつやっている。結果的に、それは中期経営計画の中にも入りますが、中期経営計画があるからやっている話ではないのです。これは、本当に我々の事業を進めていく上で、郵便局ネットワークについては、これを中心にして社会的・地域的な影響が出ないように、しっかりと気配りをしながら、むしろ、日本の社会、地域にとって重要な事業であるという認識のもとにやっていますので、ぜひともご理解いただきたいと思います。
今、具体的に言われた何か会議があって、その結果が出たからどうするというような、会議は、幾つもあります。いろいろな検討をしていることは事実です。そのような検討は、常に続けながら、一番いい方法を模索し、実現していくということが、我々に課せられた義務だと思っています。
【記者】
今後、さらに郵政グループがさまざまな企業と連携することが必要になってくると思いますが、具体的に、特にこういう分野の企業とこれから連携していきたいというような構想はございますか。
【社長】
構想というか、そういうことも中期経営計画の中には、当然、入ってきます。それだけではなく、将来を考えて、この企業が上場して、そして、企業として収益も上げ、成長するという姿を示さなかったら上場できない。ですから、連携するというのは、いろんな機会をたくさん検討していく必要があると思います。それぞれ、規模の大小はありますけれども、このグループだけでやれることは限られていますから、いろいろな連携は、これから先も続けていきますし、それは、国内だけでの話ではなく、海外、あるいはグローバルな連携も考え、我々としては、いろんな形の連携を模索して、オープンに考えていき、そして、一つ一つ必要なものは進めていくということです。
【記者】
グループ本社機能の移転によって、いろんな効率化のメリットがあると思いますが、グループ全体でもいろんなコストカットをしている中で、費用対効果という面でバランスのとれたことでしょうか。移転にかかる費用というのは、大体どのぐらいを見込んでいますか。それから、上場との関係で、この場所に移転するということの意味付けがあれば教えてください。
【社長】
上場と関連してやっているというよりは、全体の将来を考えたときのプログラムとして当然やらなければいけないことだということ。今、この方向を決めたという理由は、この土地・建物について、財務省の方から、交換してほしいと今年中に言ってくれれば、審議会などちゃんと具体化できるようなプログラムがつくれるというお話もあり、つまり、ここの権利と財務省が持っている権利の交換もできる。そこで、なるべくコストをかけず、なるべく広い床面積を確保していきたいということです。これは、ビルそのものは私どものものではありませんが、それを区分所有していくわけです。
それで、その区分所有をしていく床について、新しく購入しなければならない部分も当然出てくるわけです。しかし、トータルで、全体的に見れば、むしろ、かかる経費と、それから実際の効果を考えて、費用対効果という意味では、決して持ち出しになるようなことにはならないと思っています。
ここ霞が関の日本郵政ビルで持っている権利が、大手町再開発ビルの床の面積に影響するわけですから、結構、難しい問題です。それで、その部分は簡単に言えば、ツーウェイでチャラになるわけです。それでは足りないので、購入しなければならない床の面積もありますので、そういう詳細なことをこれから詰めるためには、まず第一歩として、この霞が関の日本郵政ビルを明け渡して、そして大手町再開発ビルの権利を取得するという基本的な方針を財務省に決めていただかないと何も進まない。本日、財務省から発表していると思いますけれども、これが本日のタイミングです。
それから関連して言えば、地理的には、すぐ向かいが産経新聞社で、読売新聞社の新しいビルがその先にありますから、非常に交通も便利で、一部のメディアの方々には、アクセスが非常によくなる。それから、地下を通じて有楽町まで直結しますから、そういう意味では、社員全体の利便性、あるいは、いらっしゃるお客さまへの利便性という意味では、はるかに向上すると思います。
それから、引越費用、これは当然かかります。新しく模様替えするための費用やあるいは什器設備だとか、恐らく、数十億はかかるだろうと思います。ただ、全体のスケールから考えると、それは当然の出費であって、十分負担可能であり、それが経営に影響を与えるようなことはありません。
【記者】
上場との関係で、狙ったものではないということですけれども、結果的に、民間企業らしさというのをアピールできる面があるのではないかという印象なんですけれども。
【社長】
そうですね。これは、できれば、メディアの皆様方が、そのように受けとめてくださると評判がよくなると思いますので、よろしくお願いします。
【記者】
先ほどの、自主返納の確認をさせてください。西室社長の自主返納について、もう一度教えていただきたいのと、かんぽの宿の料理の誤表示の件ですが、そちらに関しては、自主返納などの議論はなかったのでしょうか。
【社長】
私自身は、日本郵便の社長と同じで、報酬月額の1カ月分の10%を3カ月間返納することにしました。
それから、かんぽの宿の件については、食品の表示の仕方がいけなかった。細かくご覧いただければわかると思いますけれども、例えば「稲庭風うどん」と表示しなければいけなかったところを「稲庭うどん」と表示してしまっていた等、表示の仕方での不手際はありましたけれども、それに関連しての賠償請求的なものは、全て円満に解決をしております。
そして、すぐにその表示は全部訂正しております。具体的なお客さまへのご迷惑をおかけしたことは、誠に申し訳ないことは事実ですが、これはやはり管理の中の不行き届きには違いないのですが、経営陣の自主返納に値するようなものではない。つまり、これについても犯人捜しをして懲罰することは、一切やっていません。
【記者】
チルドゆうパックの件で、先週、発表があったときには、自主返納というか、責任の所在については、お歳暮商戦を乗り切るのが最優先だというお話で、あまり考えていないというお話であったのですが、その後、自主返納に至るのに、どういう議論があって判断が変わったのか教えてください。
【社長】
それについて、全社としての経営判断はどうなんだという根源的な部分の議論については、まだしていなかったということです。
したがって、先週はわかっているところだけ、また、対策に絞り込んだご説明をさせていただきました。経営としてどう思うかということについては、しっかりとした議論を行った上で、4名の自主返納ということを決め、それに応じて日本郵政の方は、私と鈴木副社長の2名の自主返納となりました。やはり全体に対する経営責任というよりは、これから郵便の将来、あるいは日本郵政グループ全体の将来を考えても、やはりゆうパックの事業というものは、非常に重要な分野なのです。
しかも、みんなが気を配ってやっているはずの中で起きたということは、やはり、経営の責任だろうと。そして、一番重要な分野を、本当にしっかりと立ち上げていくためには、はっきりとした経営の意思表示が必要であろうと、そのように考えました。
【記者】
ヤマト運輸が、このチルドの関係で、今年のお歳暮商戦や、来年のお中元商戦において総量管理制度というのを設けて、さばけない分の引き受けをお断りするという措置も導入するようなことを発表しているのですが、日本郵便としての考えは。
【社長】
私どもとしては、数量制限をすることは考えておりません。これは、具体的に、全部の取扱郵便局を個別にきちんと調査した上で、その足りない部分は全部補強しました。そして、今まで、手続き上、あるいは取り扱い上、問題のありそうなところをきちんとトレーニングし直したということです。
それで、先週、発表しましたのであえて繰り返しませんが、集配郵便局及び窓口引き受けのみ行う郵便局4,835局、実際にチルドゆうパックに関連している郵便局全局を点検しました。全局点検した結果として、お歳暮の商戦の時に、繁忙になったとしても、耐えられないような状況ではなく、自信をもってやれるということですので、取り扱いあるいは引き受け制限はやらないと意思決定をしたわけです。
それで、ホールディングカンパニーまで責任問題にしたのは、少し大げさではないかという話は社内でもありましたが、やはり、我々はこのゆうパック事業を大事に思っているということを考えると、やはり、本社あるいはホールディングカンパニーも同様に責任を感じて、しっかりと業務をするという再決心をしたということです。
それから、日本郵便4名、日本郵政2名、役員の自主返納をしますが、それ以外の方々に対しては、一切ペナルティーは科していません。
【記者】
上場に関してですが、上場した時にかなり大きな金額の資金を調達されるかと思うんですけれども、その時には、そのお金を使って、具体的にこういうことをやりたいとかっていうのは、ある程度見えているものがあればお聞かせください。
【社長】
そうですね、まだね、そのスケールでというのは、つまり兆円単位の話までのことですよね。これは実は、まだ正直言って、その金額が確定する状況にはないので、今からとらぬタヌキの皮算用をやってもしようがないなということで、いろんな情報を集め、いろんな提案はいただいているけれども、具体的に決めているものは何にもありません。
【記者】
基本的に、業務拡大の路線の方向に使っていくとか。
【社長】
業務の拡大には、そもそも幾ら残るかわからないんですよ。ご承知のように、 100%それは政府が持っているわけです。それで、そこで今、少なくとも、表面上は決まっているというか、政府の方針として決まっているのは、日本郵政の上場を行って、上場による株式の売却収入については、全て政府が震災復興に使いますということになっています。そうすると、つまり、私どものところにお金が全然残らないって話ですよね。
【記者】
同時に新株発行されるとか、そういう。
【社長】
同時に新株発行は考えていません。それよりもむしろ、それから先は、子会社である金融の会社2つの上場というのを、当然のことながら考えておりますけれども、ちょっと今、全く金額がわからないんですよ。金額わかんないから、いろいろ夢物語は考えていますよ。だけど、それを口に出すほど、もとになる金額が全く決まってないんです。
【記者】
先ほど、年賀はがきのお話が出ましたが、私の記憶では、確か毎年30億から40億枚くらい販売していると思うのですが、そのうち、年賀はがきとして使われないものが6億枚くらいあると思っているのですが、その部分については、どの様に分析しているのでしょうか。私も、年賀はがきは買いますが、そこまで余らないものですから。
【社長】
私も年賀はがきを使っていますが、毎年余らせています。売れ残りが幾らあるかみたいな話は、あんまり建設的な話にならないものだから。
【記者】
売れ残りというよりも、販売したけれども、年賀状として使われていなかったという部分はどれくらいあるのか。
【社長】
これは、お買い上げいただいた方の自主判断でお願いする以外、どうしようもないと思います。使用しなかった年賀はがきを普通のはがきや普通切手に換えられるということも当然、できます。それから、当選した賞品を引き取りに来ていないという、その権利はどうなるのかということもありますが、それは、お買い上げいただいた方々の自主的な判断にお任せする以外、方法はないと思います。
【記者】
お買い上げいただいた方とは、かなり多くの社員だと認識していないのか。
【社長】
社員だという認識はしていません。そんなにたくさん社員からの年賀はがきが皆さんに届いているということではないと思います。
【記者】
逓信病院とかんぽの宿について、売却や事業縮小の方向に着手されていると思うのですが、現時点での進捗状況について教えてください。
【社長】
前回の記者会見の時にお話ししたように、具体的に手を着けることにして、一部の逓信病院とかんぽの宿については、売却を基本にして、地元とのお話を始めているところがあります。まだ、それの結論が出たところは一つもありません。
ただ、全くどうにもならないということは、病院についてはないと思います。幾つかのご希望があるということは、病院はありますが、かんぽの宿の方は、継続して欲しいというお話はきますけれど、まだどこも成約はしていません。 ただ、実際にきめ細かく、それぞれの土地の事情などを勘案しながらやっていかなければいけないことですから、手間暇かけながら、結果が出るようにしていきたいと思っています。今年度のうちに成約まで持っていくというのは相当難しいと思います。来年度には、少しは結果が出るのではないかと思っているところです。
【記者】
国内債券中心の公的年金の運用について、政府の有識者会議が見直しをすると提言をしましたけれども、その提言を踏まえて、金融二社での運用が何らかの影響を受けることはありますか。
【社長】
いえ、全くありません。私どもの方が先に検討はしていますし、あちらにかかっている今までの制約と、私どもに対する制約の条件は違います。私どもの場合は、特に注目をされている部分は、大量に日本国債を保有しているところです。それについて処分をするのではないかと、殊に外国系の報道機関から、質問を受けることもありますが、我々としては、政府の指示ということではなくて、日本国債の安定的な保有については、社会的責任の一部という側面もあると思っていますので、大幅な動かし方はしません。これは従来からそのとおりです。
どうもありがとうございました。