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2013年10月23日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2013年10月23日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

【社長】
皆さん、こんにちは。西室でございます。よろしくお願いいたします。
まずは、10月1日に女子陸上部の発足を発表させていただきました。
その時には皆様方たくさんお見えいただきまして、ありがとうございました。この間、開催されたばかりの東京国体でも、女子陸上部の内定者、鈴木亜由子選手が5,000メートルで2位、それから佐々木明花選手が800メートルで3位、よい成績を収めてくれたということで、今後の活躍に大いに期待したいと思っております。
本日、あまり記事になりそうな話がなくて申し訳ないですが、全部で4件ぐらいお話をさせていただきます。
まず、1つ目は、平成26年用の年賀はがき、これを11月1日から例年どおりですけれども、販売を開始させていただきます。今年は、JPタワーのKITTEで販売セレモニーをやらせていただきます。ぜひともご取材いただければありがたいと思います。
今年の総発行枚数は、昨年と同規模でございまして、約35億9,000万枚ということです。この年賀はがきが初めて発売されたのは、終戦間もない1949年、昭和24年でございまして、今から64年前になります。年賀状のやりとりというのは、お互いの消息を確かめ合って、そしてまた励まし合うという、そういう大きな意味がありますし、それから多くの方々に届けるとか、伝えるとか、あるいは繋げるとか、そういう思いを込めて年賀状をお届けしていきたいと考えております。
毎年、特設サイトに「郵便年賀.jp」というのを設けています。これには、スマートフォンで年賀状の作成を手軽にお楽しみいただけるさまざまなコンテンツがありますので、それも一度覗いてみていただければありがたいと思います。
それから、皆さんご承知のとおり、先日、文化庁が「国語に関する世論調査」を実施しました。10代から30代の半数以上の方に、「手紙は手書きにすべきだ」と答えていただいたそうですが、年賀状を通じた郵便文化の良さも見直されているということで、非常に元気づけられた次第であります。今、申し上げたとおり、これが、特に若年層の半数以上の方々ということで、誠にありがたいことだと思いますけれども、お年寄りの方はもっと同じような考えを持っておられるかなと想像しております。一人でも多くのお客さまにご利用いただきたいと思っておりますので、いろんな意味で年賀状を出していただければありがたいと思います。
2つ目は、10月1日に政府から「2014年4月1日から消費税率を5%から8%に改定する」と正式に発表がありましたので、日本郵便においても増税分は郵便料金に適正に転嫁することとしたいと考えております。
現在、総務省において、封書の料金を80円から82円にする、その省令の手続きが進められているということですけれども、消費増税分として105分の108倍しますと82円29銭になります。この80円については、82円で端数切り捨てにさせていただきまして、同様に端数処理を行うとして実際に試算してみると、郵便全体で年間で約68億円の不足になります。これを賄うため、他の料金とも勘案して、はがきの料金については端数を切り上げて52円とし、郵便料金全体として増税分を補うよう料金設定していきたいと思っております。その他の具体的な料金額につきましては、省令改正の手続き後に届出等と併せて公表させていただきたいと思います。
新しい料金額に対応する切手やはがきでございますけれども、これはできる限り早く出しておいた方が良いと思っておりますけれども、その他、ゆうパック、あるいはゆうメールの運賃につきましても、増税分を適正に転嫁する予定です。これも総務省の省令改正が行われた後で、改めて体系的に発表をさせていただきたいと考えています。
3つ目になりますが、もう既に発表しております郵便局のみまもりサービスの話です。これは10月1日から全国の6エリアで試行を始めましたところ、18日現在では33件のお申し込みがあっただけです。反響は大きいのですが、実際に加入してくださる、サービスをご利用してくださると決めた方は、まだ数としては少ないと思っております。利用者、あるいは利用予定者の間では、郵便局が来てくれるということだったら安心だという趣旨のお言葉もいただいております。つまり、このようなサービスは必要であるということ。そして、また、これからも地域貢献という立場から、お客さまの声やニーズにしっかりと耳を傾けながら、郵便局ネットワークを活かしたサービスを進化させていきたいと考えております。
その上で、6つのエリア以外の方々からもこのサービスを利用したいというお申し出を相当多数頂戴していますので、2014年度以降も、実施エリアを拡大していきたいと考えております。
最後にもう1つ、これも発表済みの話ですが、上海市に現地法人を設立いたしました。最初は、日本からの産品の中国への輸出支援、それから郵政グループとして中国をはじめ海外からモノを調達しておりますので、中国からの調達物流なども手がけていきたいということであります。
同時に、これと軌を一にして、北京の事務所を閉めましたので、今まで北京の事務所が背負っていた、中国政府、あるいは中国郵便との連絡事項並びに業務などもここでやることになると思います。これから先は、日本での取引先の多いところ、そういうところにサービスを展開していかなければいけないと思っていますけれども、まだ具体的に、どのタイミングで、どの都市にということは決まっておりません。拡大の方法、地域、その他につきましては、これから検討していきたいと考えております。
今までドメスティックなサービスしかやってこなかった会社だと思うのですが、日本の外での仕事は、正直言って慣れていないと言わざるを得ない状態です。しかし、国際物流という分野は、我々としては、将来、決してないがしろにできないところですので、ぜひとも上海以外の地域についても検討していきたいと思っております。
皆様方、既にご承知のお話ばかりで恐縮ですけれども、本日のところは以上です。
【記者】
2つ質問させていただきます。1つは、就任会見の時にもおっしゃっていましたが、かんぽの宿と逓信病院の規模縮小について、最近いろんな報道もございますが、現在の進捗状況について教えてください。
【社長】
まず、読売さんが一番大量の記事を出されたので、そういう意味では一番よくご存じかなという気もいたしますけれども、いずれにしても、就任のときにも言いましたように、かんぽの宿については、不採算施設の休廃止、これは検討せざるを得ない。そしてまた、逓信病院についても、1つも黒字のところがないという状況ですので、これから健全経営になるような努力をするのと同時に、一部の逓信病院の譲渡についても検討しているところです。
これは、現在、関係先といろいろ交渉を始めております。どちらから出たニュースかわかりませんが、そういう意味ではそういうことをやっていることについての情報を持っておられる方も多くなっているような気がいたします。
現状では、どの記事が正しくて、どの記事が間違っているとは申し上げることはできません。皆様方正しい方向に記事をつくっておられるというのはよくわかるのですが、それ以上のディテール、個別の件につきましては、やはり現状でお話しするのは少し時期尚早だと感じております。
これはもう最初から申し上げているとおり、地域別に、具体的に自治体ともお話をし、そして、それ以外の関係の部門ともお話をしながら進めていかなければいけないということです。今までの郵政の歴史の中では、例のかんぽの宿の一括売却で大変な非難を浴びたことがあります。結局、売却をやめるということに立ち至った経験もありますので、今回は具体的に理解を得ながら慎重に進めていくというのが基本的な姿勢です。最終的に、地元、あるいは関係先との合意を得たものについては、その都度個別に発表させていただきますけれども、最終的に決まる前に発表するということは、これからも多分あり得ないだろうと思っております。その点、ご理解いただきたいと思います。
【記者】
もう1点、今週、ある雑誌にインタビューということで出られておられて、上場の形態について発言されていましたが、現状、社長のお考えをお聞かせいただければと思います。
【社長】
今週の雑誌というのは、日経ビジネスの、恐らく私の写真が掲載されている記事だと思いますが、8週間くらい前に受けた取材です。そのときにお話しした考えと、正直言うとあまり変わっていません。まだ進展がないというのが実際のところです。恐らく、ご質問の点は、金融2社の上場をどう考えるかということだろうと思うのですが、これについては、まだ関係先との話も進行中で、どういう風にこれを処理していくかは、日本郵政の100%株を持っている株主との折衝だけではなく、金融2社は銀行法と保険業法のそれぞれによって規制されている金融事業なので関係先が極めて多いのです。それに加えて総務省もありますから、そういう関係先との折衝を考えるとすぐに結論は出ないと思います。
はっきりしない話で申し訳ないのですが、いずれにしても、1つだけ決まっているのは、日本郵政の上場だけは確実にやるということです。そのときにどういう形態でやるのか、今はまだ決まっていないということです。上場を発表するときに、金融2社をどうするかを書き込むか書き込まないかがキーポイントになると思います。というのは、子会社が3社ありますから、書き込み方をどうするかということについて、全く書かないというオプションもあるので、先ほどのお話の雑誌に書いてあるのは、書き込まないというオプションを取った場合のことです。そのときは、金融2社については、少なくとも4、5年は上場が先になると話しました。これは上場を受け付ける関係者と話をした結果で、そのように言われています。オプションとしてはどうするのかということがあるわけですけれども、実はまだ折衝中で、最終的には決まっていないというのが現状です。
【記者】
新しい切手を考えられているということでしたが、具体的には何月くらいに出そうと考えているのか、イメージ、デザイン等々、教えていただけますでしょうか。
【社長】
差し当たって新しい切手が必要なのは、恐らく2円切手だと思います。1円切手はありますが、2円切手がありませんから、早急につくらなければいけないと考えています。実際には、消費増税が実施される1カ月前くらいまでには何とかなるだろうと思っています。いずれにしても、消費税率が改訂されたときに切手が無くて困らないようにしたいと思っております。
【記者】
先ほどの消費税の負担増についてですが、確認ですけれども、68億円負担増になることについては、他のものを切り上げることで取り戻すということでよろしいでしょうか。
【社長】
他のものを切り上げることでカバーするようにしたいと思っています。それは先ほど申し上げたとおり50円はがきを52円にすることでカバーしたいと私どもは考えております。その部分は四捨五入するというよりは1円未満の端数を切り上げて52円ということになります。それで、便乗値上げだと言われないように、主にその部分で不足分というよりは、損失分は補填するという形になります。
【記者】
アフラックとの提携の話ですが、その後の進捗状況と、以前から提携しているニッセイへの説明、ほかの外資系保険会社との提携の話もあり得るのかなど、その辺も教えていただけますでしょうか。
【社長】
まず、アフラックとの提携は、ご承知のように、もう既に発表いたしました。その時点で発表した内容は、アフラックとがん保険の取り扱いについて提携し、現在、約1,500局でやっておりますけれども、それを2万局まで増やす。これはがん保険に特定しての契約ということです。それによって、私どもが何を考えているかというと、郵便局ネットワークをこれから先も維持し、しかも皆様方のお役に立つように確保していかなければいけないという立場から、郵便局のネットワークでできることをいろいろ考えながら、そこで収益が上がるようなこともやっていかなければならない。そのうちの1つの方法というのが先ほど話題に出ました高齢者の方々を対象としたみまもりサービスです。そのほか、保険代理業についても、やはりこれだけしっかりとしたネットワークがあれば、極めてアトラクティブであろうと思います。
そして、実際に郵便局で保険の勧誘をやっておられる方々とも相談したところ、一番、アフラックのがん保険がわかりやすいし、しかも、簡単に言うと売りやすい商品であるということがわかりました。それで、最初の1,000局から徐々に増やし2万局まで持っていく。大体3年はかかるだろうと思っていましたが、現状ではまだ500局増やしたばかりです。これをさらに増やしながら、2年くらいの間に2万局まで行くようなペースになれば、我々としては非常に幸運だと思います。幸運というよりは、1つの所期の目的が達せられたと思います。
あの発表をしてからいろいろな反響がありました。1つは、従来から私どもは日本の保険会社の商品を扱わせていただいていますけれども、大体、1,000局以下です。それをもっと拡大したいので手伝ってくれないかというお話がありました。それについては前向きにこれから対応させていただこうと思っています。これはアメリカの保険会社からもそういうお話があります。これについては、アメリカの保険会社だから優先的に扱うということではなく、また、アフラックが全部、2万局になるまで待つのではなくそれぞれの保険会社の商品の中で、魅力があり、しかも郵便局で扱いやすいもの、それに集中しながら、拡大していくペースを早めていきたいと思っています。
それから、ニッセイとの関係、ニッセイの保険も実は代理業務をやらせていただいています。がん保険につきましては、もう既に昨年の4月の時点でニッセイとお話をして、ニッセイとのがん保険の共同開発の作業は中断しましょうということでご了解もいただいております。私どもとしては、そのつもりで、あれは消えた話だと思っています。
ですから、ニッセイとの間でわだかまりが残っているようなことは全くなくて、今、扱わせていただいているニッセイの商品はそのまま継続的にやるし、これから先も、ニッセイだけに限らないですが、新しい商品で私どもが扱えるようなものがあれば、それは扱わせていただきたいと思っています。
【記者】
ほかの保険会社からも業務提携の話は持ちかけられているということはありますか。
【社長】
実際に業務提携、つまり保険代理業としてやっているのが、全部で現在16社ございます。それは日本の保険会社もあるし、それからアメリカでは、もう1つ、ご承知のとおりメットライフアリコがあるのですが、そちらも、小さい規模ではありますが、既に取り扱いをしています。
【記者】
IPOに関連してですが、財務省や金融庁や総務省といった関係先がたくさんあり、その折衝でまだこれからどうなるかわかりませんというお話でしたが、現在の状況として、社長の中でこういう形態が望ましいというようなアイデアはあるのでしょうか。
【社長】
望ましいアイデアというのは、3社がきちんと上場することが、最終的な形だと思います。親会社だけ上場し、それで当分の間それ以外の会社が全く上場できないという状況が、一番望ましくないと心の中では思っています。
親会社の上場のほうは、これは東日本大震災復興財源確保法で規定されている復興財源の調達というマンデートがあるわけですから、これは絶対にやらなければならない話なのです。しかし、それ以外の金融2社については、法律の中では最終的には全株を売ってもよいと書いてある。条件がすごく違うのです。
ただ、マーケットから見ると、問題の難しさというのはいろいろありますので、まだ、最終的にどんな形になるかというのは皆目見当がつかないというのが正直なところです。
【記者】
学資保険の改定について、申請からもう1年近く経ちますが、どのように受けとめていらっしゃいますか。
【社長】
私どもとしては、学資保険の改定については、なるべく早く認可していただきたいのですが、この認可に際し、全部で8項目のご指摘があり、それはほとんどクリアしたと思っております。一番問題であった過去の請求案内漏れについては、私どもが全部、しっかりとした準備をして、10月1日から新しい取組み、仕組みがシステムで稼働し始めております。エビデンスがまだそろっていないとおっしゃられると、それは確かに、実際に全部終了したということにはなっていません。
ですから、一方的に、途中の状況で認可して欲しいというのが、今、私どもが言っていることですが、あと数カ月たてばエビデンスも全部そろうので、数カ月のうちには前向きのOKが出るだろうと期待しております。
そういう意味で、金融庁からも我々に対するしっかりとした指導をいただいていますので、我々としては最大限の努力をして、実際にやろうとしていること、やったこと、システムについても恐らくご了解いただいていると考えています。しかし、実際に、きちんと結果が積み上がってきているかというと、まだ途中段階であるというのも、同時に認めなければならないので、その点について、あと数カ月必要だと思っています。
【記者】
資金運用について質問なのですが、この前、米国で米国債がデフォルトするという騒ぎがありました。上院、下院のねじれが続く限り、これからもこういう問題がたびたび出てくると思うのですが、一方で郵政グループに目を向けると、JGBの代替投資先として、かなり米国債をチョイスされてきた経緯があると思うのですが、ここに対する投資の姿勢というのは変わるのでしょうか。あと、今持っている米国債についての扱いを教えていただきたいのですが。
【社長】
米国債、確かに保有しています。現状では、それを慌てて売るとか、そのようなことは考えていません。それから、積極的に増やすにはまだアトラクションが足りませんので、積極的には増やさないし、現状では、米国債の保有は続けていくということです。
これは、もうご承知のように、デフォルトのうわさが出たり、あるいは実際にそれが延長されるまで、大変な混乱があったことは事実ですけれど、混乱があったからといって、積極的に売っているところはほとんどいないという状態です。私どもも同様です。
【記者】
上場については、まだ決まっていないと、今日もおっしゃっていましたが、金融2社を同時にということになった場合、ゆうちょ銀行やかんぽ生命の単独店舗が増えていく形になって、3事業一体という形が、どうしても厳しくならざるを得ないのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
【社長】
ご質問の趣旨は、つまり金融2社も上場してしまったら、グループとして、ばらばらになりはしないかと、それぞれ、銀行は銀行、保険は保険と、それらがそれぞれ個別の利益追求をして成長性を考えたら、郵便局ネットワークが崩壊してしまうという基本的な考え方ですね。
【記者】
逆に、もし3事業一体ということを守りながら同時上場という方法もあり得るのでしょうか。
【社長】
実は今、私どもが考えているのは、同時にとは言いませんけれども、別々の会社として上場するという形になったとしても、お互いにグループとして助け合うという基本的な部分をしっかりと構築しておかないと、上場したら、ばらばらになるという危険性がある。ですから、そうならないように、郵便局ネットワークは確実に維持しますと、これははっきりと公言もしているし、我々がやらなければいけないことです。
それから、グループとして郵便局ネットワークを使ってユニバーサルサービスをやらなければいけないということになっています。その観点から言うと、金融、つまり、銀行、保険の業務と、それから郵便局の業務が一体的に運営される、一体的にというのは無理があったら、言い方として大げさかもしれないけれども、有機的に結合しているという現在の形をさらに進めていく。例えば、1つのエビデンスが出ているのは、アフラックの代理業をやっているということです。何のためにやるかというと、2万局の郵便局ネットワークには、保険代理業の力もあるのだということを、しっかり見せるということ、その手伝いをかんぽがやる。そういう形で、お互いに助け合いながら、郵便局ネットワークの収入を増やすような形をつくっていけるはずだろうと思っています。実際に、郵便局ネットワークは、今でもかんぽの商品を売っているわけですので。
それから、銀行の場合も、やはり実際に預金を集めたりしているのは、郵便局です。それはお互いに十分理解しているのですが、十分理解しているだけではなくて、お互いに郵便局ネットワークがなければ、ゆうちょもかんぽも存続し続けられないような、そういう形に、いわば有機的な結合と言っていますけど、そういう形をしっかりと再確認しておきたいと思います。そうでなかったら、上場するということは、私は難しいと思っています。
【記者】
アメリカでは、金融の窓口が郵便局になくて、それで、累積赤字が1兆円以上という事態になっているということですが。
【社長】
そうなんです。考え方として、金融2社は、郵便、郵便局事業が不採算だから、それを助けるために存在するだけだったら、市場から見ても魅力の少ない銀行であり、保険会社になってしまうわけです。そうではなくて、郵便局ネットワークがあって、有機的に助け合っているから、今の他の銀行より我々は収入を増やし、あるいは新しい事業をやるというチャンスに恵まれている事業なんだと。そういうことを打ち出さないと、上場するときに、いわば、うたい文句が出せなくなってしまいます。
ですから、今、これから上場までの間にやらなければならないことは、この前、中期経営計画の期限を延長するということを申し上げました。上場の準備のためには、まだやることがいろいろあるので、それを組み込んで中期経営計画の見直しをもう一回やらせてくださいということで、皆様方にも発表したのですが、その真意は、グループとして上場し、その次の形を考えたときに、お互いに不可分な関係をつくって、きちんとでき上がっているかどうかということ、その方向づけがしっかりできているかということが、一番大事な部分だろうということで、今、いろいろ、やっているところです。
前の郵政民営化法の条文を読んでいると、どう見ても5つの会社に分かれてばらばらになって存在しなさいと。だんだん小さくなることはいいことなんだと。それで、お互いにだめなところはだめで、潰れてもいいとは書いていませんが、そう読まれても仕方がないような法律があったわけです。今はそれが根本的に違った法律になっています。それで、我々はその新しい法律のもとで、これから先のグループ運営をすることが、国家のため、国民のため、地域のため、社会のため、それが我々の一番重要な使命なんだとみんなで思い込んで、仕事を続けていこうと思っています。
【記者】
郵便料金の引き上げに伴う新しい切手、はがきについてですが、先ほど当面、2円切手が必要だということはわかったんですけれども、来年4月、消費税率が8%になって、例えば郵便の主力である第一種、第二種、特に25グラム以下の定形とはがきについて、切手を2枚貼ってくださいという状況はあり得るのでしょうか。
【社長】
そのときまでには、1枚で済むような切手を発行させていただきます。ただ、前の料金の切手をお持ちの方が、これを全部取りかえに来られたら、それにはもちろん対応しますけれども、お取りかえにならないでお使いになるという場合には、2円の切手が必要になります。あるいは1円切手を2枚貼っていただくことになります。現在、1円切手はあります。ですから、ご不便をかけないために、両方の方策、つまり、お手持ちの切手を有効に使おうとお考えになった場合には切手を2枚貼っていただくことになります。それから、1枚で済むようにしたい方には新しいものをお買い求めいただければよいという形にしていきます。
【記者】
そうすると、例えば52円とか82円とか、利用の多い部分に関しては、1枚で貼れるように1枚の切手を出しつつ、既存の50円、80円を持っている方のために2円切手も出し、例えば過去にも消費税率が3%になったときみたいに、旧料金のはがきに切手を貼って新料金に変えるとか、そういうことも包括的にやるということですか。
【社長】
そうですね、包括的に考えていきたいということです。
【記者】
郵便料金なんですけれども、先ほど80円を82円に上げたら、68億円の負担増になる。一方で50円を、52円に上げた場合、幾らプラスになるのか、教えてください。
【社長】
もちろん計算はあります。それは実際に、全体のバランスを考えなくてはいけないものです。ほかの郵便料金はまだ決まってないので、全体を考えたときに、その分をカバーできるかどうかということの検証がまだ終わっていません。それで、まず差し当たって、80円を82円にしたことによって、我々としては持ち出しになりますから、それ以外のものも全部計算して、52円でカバーできるかどうかということについて、最終的にはまだ決まっていません。まず差し当たって、切り捨てしたわけですから、幾ら損になるのかということを計算しました。
【記者】
それは一応、関係省庁に相談して、52円についても了解は得ているということでよいのでしょうか。
【社長】
はい、関係省庁と相談しています。
【記者】
先ほどの郵便料金の関係で、ゆうパックとゆうメールについても適切に転嫁したいとおっしゃっていましたが、これは基本的に増税分を転嫁するということでよろしいですか。
【社長】
増税分の転嫁のつもりで考えています。ですが、現状でそれを転嫁するかどうかを決めたわけではありません。まず、皆様方が一番ご関心のあるはがきと封書、これが一番マジョリティーで一番量が大きいので、それについての方針を、はっきりさせたということです。
【記者】
みまもりサービスについて、エリアを拡大したいというご意向なんですけれど、何カ所くらい拡大するのか、もしイメージがあれば教えてください。
【社長】
最終的には、都会地でないところ全部のつもりでしたが、何か都会地も必要なんだというリクエストの声も多いため、恐らく、私どもとしては、それなりの持ち出しになるのではないかとも思います。しかし、そのサービスを本当に必要としておられる方々がいらっしゃるのであれば、それを受けて立つのが、郵便局ネットワークを持っている会社としての、当然の使命だろうと思います。
【記者】
ちょっと確認させていただきたいのですが、金融2社の上場時期は、郵政の上場と同時とか、それより前ということも可能性としては残っているのでしょうか。
【社長】
まだ、現状で何も決まっていないため、全ての可能性を排除するわけではありませんが、常識的に考えると、郵政の上場と同時、または、それより遅いと考えていただきたいと思います。金融2社が先行で上場するということを、実はまだ、全く消しきれていないのですが、それはまずないだろうと思っています。
ですから、今、私が申し上げているのは、観測、感想を言っているだけであって、実際に決まっているお話をしたわけではありません。
【記者】
整理させていただければと思うのですが、金融2社が先行することが今の段階で、まずないだろうと考えられる理由と、金融2社を郵政の後にするのではなくて、仮に同時にした場合のメリットというのは、どんなことがあると考えられますか。
【社長】
メリット、デメリットはいろいろありますので、今、具体的に申し上げるのは、ちょっとはばかられるのですが、考えなくてはいけないことは、国庫収入が幾らあるかという話と、それから郵政の会社として、IPOによってどれだけのことが得られるかという話と、それからマーケットがどのようにリアクションするかということだと思います。そのときのマーケットの状況がどうなっているか、例えば、3社同時にということになると、株数も膨大になるだけではなく、規模的に大きくなりすぎて、今の日本のマーケットでそこまでの消化能力があるのかということに疑問がつくという話が結構あります。ですから、その点も含めて、市場の状況、市場の吸収力、そして株、それぞれがどれくらい市場に対してアピールする力があるか等、いろんなことを考えなければいけないので、まだ悩んでいる途中であり、かつ、また関係省庁、諸関係先といろんな相談を始めた段階です。まだ始めた段階ですから、それぞれの関係先で方針を決めているというところは、今はどこもありませんし、私どもも方針を決めているわけではありません。それははっきりしています。何か回りくどい言い方になってしまいますが、説明しにくいというよりは、一言で説明するのには、考えなければいけないファクターがすごく多すぎて、それで最終的な形を決めていくというのは、大変困難な作業だということだけはご理解いただきたいと思います。
【記者】
これまでは赤字に伴って設備投資が抑えてこられた時期があったと思うのですが、今後、設備投資とか、IT対応みたいなことは、どのような姿勢で取り組まれていくのか、改めて教えていただきたいのですが。
【社長】
民営化の動きが始まって以来というよりは、最初の、郵政民営化法が国会を通過して以来、この会社そのものの運営の仕方について、いろんな意見がありました。それで、会社側としても、もしかすると、この会社は、小さくなって潰れるかもしれない。利益を出すことをきちんと見せておかないといけない。しかも、不採算で、非効率だという非難だけを被っているのは嫌だと。やはり、利益をきちんと上げる会社であり続けたいという強い意思は、会社側には、あったわけです。
そうすると、勢いその設備投資を抑えるというよりは、ほとんど完全に抑えていたといってもいいくらいでした。それから、システムの構築についても、5社別々にそれぞれやりなさいと言われていた。それだと、やはりトータルコーディネートされたようなシステム構築にはならなかったというのも、残念ながら事実だと思います。それが、システムの弱体化の危険性をはらんでいるというのは、私も着任以来、心配しています。それがあったので、まず中期経営計画の見直しをさせてもらいたいと皆様方にお話ししました。1つは設備投資の不足分、これについては、上場前に、しっかりとあからさまに、必要な部分についての投資はする。あるいは、投資ができないんだったら、上場計画の中でこういう投資もしていきますということを入れるという実はある。それから、システムそのものを全般的に、もっと将来に向かって、テクノロジーもいろいろ進化していますから、次の世代にも持ちこたえることができるようなシステム構築をしっかりとやり直そうということで、日立ソリューションズさんからCIOとして、小松さんに来ていただきました。それで、システムについて、これから見直しもやる。その結果として、これから先どれくらい、資金が要るのかというと、その計算は終わっていません。計算が終わるのは、恐らく、来年の1月くらいになると思います。システムの試算は難しいと思います。実際、設備ごとに、いろんな施設の老朽化の対応というのは、具体的に雨漏りがあったり、壁が剥がれ落ちたり、トイレが老朽化していたり、いろんなことがありますから、それについては積算はできます。それはやらなければいけないことで、上場してからでないとできない話ではなくて、むしろ上場する前にやっておかないといけないことですから、そういう意味では相当大幅な経費計上をせざるを得ない状態にあると思います。来月、上期の決算発表をします。上期のところまでは、外見からいうと、しっかりとしたいい数字がでます。ですが、これは、まだ、今、申し上げたような中期経営計画の見直しに伴う設備経費等を含んだものではありません。皆様方を驚かすつもりはありませんが、最終的な年度決算は、設備経費等の見直しが影響せざるを得ないだろうと思います。
【記者】
博多郵便局の跡地に建てるビルのテナントとの交渉の進捗状況について、もしご存じでしたら教えていただきたいのと、あと郵政グループにおいて、KITTEとかは非常に好調ですが、不動産部門の位置づけが、かなり重要な部分であるかどうか、その辺のお考えを教えてください。
【社長】
まず、不動産部門というのは極めて重要な部分だと思います。日本全国にいろんな意味での不動産、資産を持っている会社ですから、それを有効活用する、あるいは不要だと判断するものについては、処分するということを進めていかない限り、この会社の中身はよくならないだろうと思います。そしてまた、不動産事業そのものが、事業としては、収益事業にすることができると思っていますので、それは重要だということをまず申し上げます。
それから、博多駅前の郵便局の取り壊しが始まっているわけですけれども、2年半先にできるビルのテナントの話は、最終段階には入っておりますが、まだ最終的に決まったわけではありません。できる限り今月のうちには、最終的に決めなければいけないし、決めたらすぐに発表しなくてはいけないと思っています。
どうもありがとうございました。