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2012年12月19日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

2012年12月19日 水曜日 日本郵政株式会社 社長会見の内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 齋藤 次郎
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役副社長 坂 篤郎
【齋藤社長】
本日10時から、臨時の取締役会が開催されまして、満場一致で、私の退任に伴い、坂副社長の社長就任ということが決まりました。長い間、皆様にお世話になり、ありがとうございました。
考えてみますと、私が社長に就任いたしましてから、3年を超える期間が経過し、この間、いろいろなことがございましたけれども、最も大きなエポックメーキングとも言うべきことは、今年の4月に、郵政民営化法の一部改正が、自民・公明・民主の3党の合意で成立したということが、とても大きな出来事だったと思っております。その結果、政権が交代しても、我が社は安定した基盤の上で経営できることになったわけで、これが一番大きな出来事であったと思います。非常に難産でしたけれども、大変ありがたい結果になったと思っております。
この法律が10月1日に施行されまして、長い間の懸案だった郵便局株式会社と郵便事業株式会社が統合して、日本郵便株式会社になりました。何ら混乱もなく、この大きな会社の統合ができました。その結果、従業員数において、日本一の規模の会社が成立したというのが、2番目の大きな出来事であったと思っております。
3番目は、私どもは金融2社の新規事業について認可申請し、郵政民営化委員会に、まず、審議していただくという手続きに入りました。西室委員長の非常に的確なご指導のもとに、最初にまず保険について、続いて、銀行のローン等について、条件がつきましたけれども、基本的に賛成という意見をいただきました。これが3番目の大きなエポックメーキングの出来事であったと思っております。
今後、この認可の問題は、基本的に金融2社が、監督官庁である金融庁、総務省からご指導いただきながら、体制を整備していくという事項でございますので、親会社としての基本的役目は、一応済んだと思っております。
このように、私が3年間、この会社の経営、グループの経営を預かって以来、一応、やるべきことは全てやったと、個人的に思っておりまして、いい潮時と申しますか、この際、長い間、私と一緒にこの経営の基盤を担ってきてくれた坂副社長に後事を託するのが、最も適当であると判断したわけでございます。
坂さんは、皆様ご承知のように、大変有能な方でございまして、3年間、共にこのグループの経営基盤を確立するために、奔走してくださった方です。今朝の臨時取締役会でも、満場一致で選任されました。さらに、私どもが法案の審議過程でも一緒にやってまいりました、日本最大の労働組合であります日本郵政労働組合も、諸手を上げて、坂さんに後任をお願いしたいと。それから、郵便局長会、郵政研の皆さんも、ぜひ坂副社長にお願いしたいということでございまして、いわば、今度の坂社長就任は、日本郵政グループの管理職、従業員、全てを通じた共通の認識であるということを最後に申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。長い間、ありがとうございました。
【坂副社長】
坂でございます。よろしくお願いいたします。
今、ご紹介にありましたように、3年前に副社長に就任いたしまして、経営企画ですとか、総務とか人事とかをやってまいりました。この3年間、一生懸命仕事をさせていただいて、この会社の、日本郵政グループの持っている課題がたくさんあるわけでございますが、その課題が重いこととか、なかなか苦労が多いということは、よく存じておりまして、社長ということになりますと、また一段と荷が重いというか、大変だなとは思っておりますが、先ほど、取締役会でご選任いただきましたので、精いっぱい仕事をさせていただきたいと思っております。
基本的には、昔、国営事業であった私どもグループの仕事を、いかにきちんとした民間会社にし、かつ、発展させていくか。また、なるべく早く株式の上場も果たして、政府の財源にしていただくことが基本的な仕事だろうと思っております。大変重い課題でございますが、精いっぱいやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【記者】
今回の社長交代ですけれども、昨日、郵政民営化委員会の答申が出たばかりで、齋藤社長は、6月まで取締役としての任期がおありだということなので、ちょっと急かなというような印象を持っているんですけれども、このタイミングで交代されることについて、もう少し詳しくご説明いただけますか。
【齋藤社長】
私自身は、早い時期だと思っておりません。3年間やってまいりましたので、いずれは道を譲りたいと思っておりまして、幸い、新規事業につきましても、郵政民営化委員会から賛成の意見も出ましたし、さらに、私どもの経営も、順調に推移しておりまして、この中間決算では、民営化以降最高の純利益を上げております。そういうことで、経営も順調でございますし、残る仕事としては、先ほど坂が申しましたように、株式の上場に向けて、経営をさらに発展させていくということですけれども、これは、私どもが一緒になって、今まで敷いてきた既定路線の上で、坂新社長以下の経営陣が、粛々と進めていただければ、無事達成できることでございますので、私としては、この時期に身を引くのが最も適当であると考えたわけでございまして、決して早い時期とは思っておりません。
【記者】
3問ございます。まずは、齋藤社長にお伺いしたいのですが、今の質問に関連して、自民党から一部反発の声が出ているという話もあるのですが、新政権が発足していないのに、なぜ、このタイミングに辞められるのでしょうか。改めてお聞かせください。
【齋藤社長】
自民党から反発が出ているという話は、今、初めてお聞きしましたが、この会社は、株式会社でございまして、株式会社というのは、社長が後任についていろいろ考えた末に、取締役会で選任されるということが全てでございまして、皆様ご承知のように、取締役会のメンバーは、財界、学界、言論界、それから法曹界という、全部で19人のそうそうたるメンバーでございまして、その取締役会が全会一致で、このたびの人事を決定したわけでございますので、これは、政権交代に関係なく、実施できるものだと思っております。
【記者】
今回の人事で、自民党の安倍総裁からの指示とかはあったのでしょうか。また、今後、何か指示を受けることはあるのでしょうか。
【齋藤社長】
全くございません。
【記者】
あと、旧大蔵省のお二人が続いたことに関して、何かご所感はありますでしょうか。
【齋藤社長】
3年間、この2人で経営を担ってきたわけでございまして、その結果、経営も順調にいっていますし、株式会社として、取締役の中から最も適当な人を社長に推薦あるいは選任するというプロセスを踏んでいるわけですから、出身がどこの省であるとか、どこの会社であるとか、民間人であるとか、官僚であるとか、私は一切関係ないと思っております。
【記者】
坂副社長に伺います。中期経営計画は、いつごろ策定されるご予定でしょうか。
【坂副社長】
今年の10月にグループビジョンを発表したときに、齋藤社長から中期経営計画についてもご指示をいただき、既に検討に入っておりますけれども、発表する時期はまだ決めておりません。
【記者】
今まで何度も、この質問は出ていると思うのですが、坂副社長に改めて上場のタイミングについてお聞きします。
【坂副社長】
上場のタイミングについては、先般、郵政民営化委員会でご説明したので、皆さんご存じかと思いますが、会社としては3年以内に上場できるように準備するということでございます。持株会社につきましては、政府が全株持っているわけですから、売る時期も最終的に政府がお決めになるわけです。会社としては、3年ぐらいのうちに政府がいつでも売れるように少しでも早く準備を整えたいと思っています。
【記者】
ユニバーサルサービスを維持しなければならないという会社の役割から、本当に政治に翻弄されてきたと思うんですけれども、今後の政治対応というか、それについて何かお考えがあればお聞かせください。
【坂副社長】
先ほど、齋藤社長からもコメントがありましたとおり、今年の4月に郵政民営化法が改正されたわけですけれども、その改正は、自民・公明・民主3党の共同提案だったわけです。そういう意味では、いわば、基本的な対立軸はなくなったのだろうと思っておりまして、我が社のあり方そのものについては、安定した基盤になっているのだろうと思います。また、ユニバーサルサービスにつきましては、同じように、法律の改正の中で、従来は、郵便だけであったユニバーサルサービスが、今度は、全国津々浦々の郵便局で、貯金と保険についても基本的なサービスをきちんと提供すべしというふうになっておりまして、私どもも、それをきちんとやっていこうと。そういうことを踏まえ、10月にグループビジョンを皆様にご紹介しましたけれども、ユニバーサルサービスがきちんとでき、かつ会社としても成り立ち、上場もできるような、いわば公益性のあるりっぱな民間企業をつくっていきたいと思っています。
【記者】
坂副社長に伺いたいのですが、内閣官房副長官補をやっていらっしゃったときに、竹中平蔵さんと対立していたことが報道されたり、事実はどうあれ、小泉政権のときに、改革の抵抗勢力とみなされていたこともあったと思います。今回の選挙で、菅さんとか、今度、政権の中枢に入るといわれる方と郵政に関して考え方が違うのではないかという方もいるわけですけれども、そういう中で、自民党から、坂新社長に対する反発というのも予想されると思うのですが、その辺についてはいかがでしょうか。
【坂副社長】
まず、内閣官房副長官補のときに、改革の抵抗勢力だったというのは全くの誤解だと思います。副長官補の前も、実は、小泉政権のときも、経済財政諮問会議を担当しておりました。そういうこともあって、多分、副長官補に起用してくださったのだろうと思っています。
そういう意味では、小泉政権のときも、それから、安倍政権のときも、福田政権のときも、それなりに副長官補としての役割はきちんと果たしたと思っています。
今申し上げたような経緯ですから、私が、政治的に、自民党さんの反対勢力だということは、全くないと思っています。
【記者】
坂副社長にお伺いします。趣味と家族構成を教えてください。
【坂副社長】
家族構成は、家内と息子が2人。1人は結婚していまして、今は、結婚してない息子と3人家族です。それから、犬が2匹います。
趣味は、いろんなことをやるのですが、最近は孫の写真を撮るのが、一番の趣味です。要は、あまり芸もなくて、いろんなことをやることはやるけどみんな下手という、そういう感じです。
【記者】
同居されている息子さんは、ご長男ですか。
【坂副社長】
そうです。
【記者】
新規事業について、見通しをお伺いさせていただきたいのですが、昨日の郵政民営化委員会による意見書の発表を受けて、金融庁は現状では、民営化法上の認可や銀行法上の承認は考えていないというコメントを発表していますけれども、これからは金融2社が、金融庁と調整していけばよいのではないかと、先ほど齋藤社長はおっしゃいましたけれども、これについて、かんぽ生命と合わせて、4月からの新規事業の見通しについて、今、どのようにお考えになっているのか、改めて教えてください。
【坂副社長】
実は、私も銀行局にいたことがありますけれども、金融当局が、きちんとした審査をされるのは当然のことでありまして、例えば、学資保険のときにも、詳細な条件がつきました。金融庁さんからも、こういう条件が満たされたら認可するというのが出されています。かんぽ生命なり、ゆうちょ銀行なりが、きちんとご説明して、審査をお受けし、あるいはご指導いただいて、条件を満たしていくということに尽きるのだろうと思います。
【記者】
4月から事業を始めるのに十分なタイミングで、認可が得られるとお考えでしょうか。
【坂副社長】
これは、やってみないと、絶対ということはないのですが、そういう努力もすべきだし、一生懸命努力すればできるのではないかと思っています。
【記者】
坂副社長にご質問ですが、先ほどの質問の絡みで、仮に、新規業務の開始が4月に間に合わなかった場合、日本郵政グループ全体の業績に与える影響はどの程度なのか、教えていただけますか。
【坂副社長】
間に合わないということは、あまり想定したくないのですが、とにかく、今は、間に合うように一生懸命審査を受ける、ご説明もする、ご指導もいただくと、こういうことではないかと思います。
【記者】
お2人に伺いたいのですが、小泉内閣の竹中郵政担当大臣が制度設計したときに、金融2社にはユニバーサルサービスを課さないということだったと思うのですが、それがまた否定されて、金融2社を入れたユニバーサルサービスになったわけです。
今度、安倍内閣になって、菅さんとか、当時の小泉民営化の方たちが発言力を持つと、またこの議論が蒸し返される可能性もあると思うのですが、その辺、お2人は、経営者側として、どのようにこのユニバーサルサービスについて捉えているのでしょうか。
【齋藤社長】
ちょっと認識が違うのではないかと思います。今度の金融のユニバーサルサービスというのは、自民・公明・民主が、合意の上で成立しているわけです。したがって、今度、政権党になります自民党にも、賛成していただいているわけです。これは、ほとんど全員の方に賛成していただいているわけですから、その方向については、全く変わることはないと思っております。
したがって、私ども経営陣としては、この方向を維持していくために、いろんなことをやっていくということに尽きるので、金融のユニバーサルサービスについて、どうこう言う立場にはないと思っております。
【坂副社長】
今、齋藤社長が言われたとおりですが、先ほども少し申し上げたように、法律をつくるのは、私どもではなくて、私どもはその法律に基づいて仕事をするということでございますから、きちんと現在の法律に基づいて仕事をしていくということです。
【記者】
坂副社長にお聞きしたいのですが、官房副長官補時代は、次期総理になると思われる安倍総裁の下でも働いていたそうですが、坂副社長から見て、安倍総裁はどのような方でしょうか。
【坂副社長】
おっしゃるように、安倍総理のいらした期間、あるいは、総理が官房長官のときもそうでしたが、約2年間、直属の部下としてお仕えしてきました。大変すばらしい政治家でいらっしゃるし、総理としても大変立派な方だと思っています。
【記者】
坂副社長に3つ質問がございます。先ほど、すばらしい方だという、安倍総理の評価がございましたが、今回、就任に当たって、何かお話をされたようであれば、その中身を教えてください。2点目は、3年以内の上場に向けて、今後、企業体質の向上というのが不可欠だと思うのですが、その具体策、具体的な数字をまじえて、経営方針をお聞かせいただきたいと思います。
最後に、アメリカ、民間金融界からは、親会社の、持株会社の上場ではなくて、まず、金融2社の上場をすべきだという意見がございますが、子会社の上場時期についてのスタンスをお聞かせください。以上3点です。
【坂副社長】
今回、私が社長になるか、ならないかについて、安倍総裁とそういうお話をしたことはありません。
それから、上場については、この前のグループビジョンにも出ていましたが、私どものグループは、もともといろんな経営資源が潜在的にあり、かつ、足元の収益力も相当あります。
ただ、問題は、どの事業もやや縮小気味になっているということです。郵便も、これは日本ばかりではなくて世界的に縮小気味ですし、それから、ゆうちょ銀行とかんぽ生命についても、今のままでは、やはり将来、なかなか力強い見込みが立てにくい。あるいは、グループとしてまだまだいろいろやるべき仕事があるだろうと。そういったことを1つ1つ解決し、手を打っていって、私どものグループの将来性をもう少し確かなものにしようと思っております。
10月に発表したグループビジョン、あれは簡単に書いてありますけれど、実は中身を1つ1つ、いろいろ議論しながら取りまとめたものなのです。そのグループビジョンを実現するために、より具体的な数字を入れた中期経営計画を、今、作成中というか、検討中ということです。
それから、上場の順番の話ですが、これについては総務大臣からのご指示があったわけですけれども、その中で、日本郵政については上場のための準備を進めなさいと。更に、子会社も含めて企業価値の向上に努めるための準備も進めなさいということになっています。
それから、子会社についても、同じ文書の中に出てくるのですが、株式処分に関する基本的な方針を検討せよというふうになっています。政府のお考えは、明らかに、持株会社の方を先に株式処分すること。あるいは、上場することなのだろうと思います。そのため、私どももそれに従ってやっていくことになります。
さらに言えば、持株会社の方は復興財源確保法との関係があって、いわば、二重に早く売るべしというのが、かかっているということだと思います。
【記者】
今、将来性を確かなものにとおっしゃいましたが、準備中の新規業務、住宅ローン、学資保険、これらの実現というのは、将来性を確かなものにするのに欠かせないものだと思われますか。
【坂副社長】
いずれも、私どもとしては、かなり控え目な認可申請だと思っていますけれども、やはり金融機関というのは、ある種、仕事の多様性というのが必要だと思っています。
郵政民営化委員会でもご説明したように、例えば、ゆうちょ銀行は基本的に資産運用の半分以上は国債であるといったような、その基本的なスタイルは近い将来変わることはない、機関投資家的なものであると思っています。しかし、やはりその中で、いろいろな多様性というか、そういうものを持っておくことは、収益力とか将来性とか、あるいは安定性という、いろいろなことを考えると、非常に重要なことだと思います。
かんぽ生命につきましても、今回お願いしたのは、全く新しい商品というよりは、いわば改定です。やはり、お客さまのニーズに合わせて商品を変えていくというのは、お客さまサービスという意味でも、経営という意味でも非常に重要なことだと思っています。
さらに言えば、私どもの社員の士気という観点からいっても非常に重要なことだと思っております。
【記者】
民間の金融機関などからは、住宅ローンなど真っ向から競合するものではなく、企業再生とか、震災復興とか、より公的金融に近い事業を積極的にやるべきだという声もありますが、それについてはいかがでしょうか。
【坂副社長】
そもそも、民営化した目的のかなり大きな部分は、ゆうちょとかんぽのお金の流れを、国とか国債ばかりというのではなくて、もっと民間にお金の流れを切りかえるべきだと、あるいは多様化すべきだと、それが日本のためなんだということがあったわけです。私どもとしても、やはり、それにお応えしていくべきではないかと思います。
【記者】
齋藤社長にお伺いしたいのですが、現在の心境と、退任されてから取締役としては、当面会社に残ることになるのでしょうか。
【齋藤社長】
現在の心境は、3年間、大変忙しい思いをしてきましたので、今まで忙しくて読めなかった本でも読みたいと思っております。株主総会が開かれる来年6月まで任期があるものですから、そのまま非常勤の取締役としてとどまることになるのではないかなと思っておりますが。いずれにせよ、もう全て後事は、坂新社長以下の執行陣に渡して、私は口を出さないということは確かでございます。
【記者】
だいぶ前から坂副社長が適任だということでお考えになっていたと思うのですが、正式に社長に就任してほしいということを告げたタイミングと、その時のやり取りなんかを少し教えていただきたいのですが。
【齋藤社長】
それは、なかなかプライベートに近い話ですが、長年の、いわば友人みたいな存在ですから、あうんの呼吸ということもあったと思います。正式に言ったのは、それほど前ではございません。
【記者】
坂さんにお尋ねしたいんですけれど、かんぽ生命の新規業務として、今後、がん保険とか、医療保険とか、そういう第3分野のほうに申請するおつもりはあるのかどうか、その辺のお考えをお願いします。
【坂副社長】
まだ、特段の結論を持っていません。先ほども申し上げたように、私どもはお客さまの需要、お客さまにとってどういう商品がいいのかということ、それから、私どもの能力の問題、私どもがその商品をうまく取り扱うことができるかなど、常にそういうことも合わせ考えていかなければならないと思っていますが、今、特に何か具体的な計画があるわけではありません。
【記者】
坂副社長にお伺いします。先ほど齋藤社長が、あうんの呼吸で伝えたというお話があったんですけれども、それを伝えられたとき、どのように思われたかというのが1つ。あと、長く官僚としてのお仕事をしてこられて、この3年間は民間企業の仕事をされて、その違いみたいなものをどのように感じていらっしゃるのか。さらに、おそらく天下り批判みたいなものも出てくると思うのですけれども、官僚としての経験を、これから日本郵政の経営にどのように生かせるとお考えでしょうか。
【坂副社長】
実は、私、もともと商家の生まれですから、民間企業で、商売的な感覚でものを考えるということに、ほとんど違和感はありません。むしろ官僚、役人をやっていたときのほうが違和感があったかもしれません。そういう意味では、別にそれほど違和感はないのですが、両方の世界を見てきましたけれども、やはり違うというのは、私どもの会社も、役所の中では、昔から事業をやっていたので、単なる役所ではありませんでしたが、やはり他の民間会社の方々、同業の方々と比べて、どうしても新しいことにチャレンジし、それも採算を考えつつチャレンジするという意気込みみたいなものは、他の隆々たる民間会社に比べると少ないような気がします。
採算性についていえば、例えば、日本郵便の支店ごとの採算、損益を算出する、いわゆる管理会計的なことは、おそらく民間会社ではごく普通というか、ほとんどのところはやっておられると思うのですが、そういうのも去年6月から始めました。やはり民間会社として、能率よく、かつ、お客さまに喜んでいただくために、そういう意味で、民間会社としてきちんとやっていくためには、いろいろなことを変えていかなければならないと思っています。それから、グループビジョンの柱の1つが社風改革となっているのですが、うちの社員の人たちのマインドなんかも改善していく必要があると思います。
【記者】
旧郵便局株式会社と旧郵便事業株式会社との間で、まだ少し温度差があるような部分について、今後どのように一体化を目指していくのか、何かお考えがあったら一言お願いします。
【坂副社長】
郵便局株式会社と郵便事業株式会社が統合して、10月1日から日本郵便株式会社になったわけですが、ご承知のように、法律が通ってから半年くらいの期間で統合したため、例えば、コンピューターシステムとか、あるいは人事制度、機構とか組織とか、きちんと直し切れていないところが、まだあるわけです。そういう意味では、部内的にはDAY1、DAY2と言っておりましたが、10月1日がDAY1だったわけです。それをより実質的に、例えば、組織をもう少しスリム化するとか、シンプルにするとか、統合した機能を使って、そういったことをこれから鋭意やっていかなければなりません。これは、今、日本郵便株式会社の古川さんと鍋倉さんが、陣頭指揮を取って鋭意やっています。
それから、グループ全体の一体化についていえば、今度、改正された法律では、先ほど話題になりました金融も含めて、郵便局にユニバーサルサービスが課されることになっているわけです。したがいまして、やはり、この基本的な我々のスタイルというのは、グループビジョンにも書いてあるように、郵便局をハブにして、3事業のサービスを、いかにお客さまに喜んでいただけるか、かつ、安定してご提供できるかということが非常に重要なわけで、そういう意味では、おのずとグループが一体とならないと、そもそも仕事がうまくいかないというのが、法律からも容易に読み取れると思います。
私どもとしては、法律の要請にもお応えできる、りっぱな民間企業にしていきたいと思っているわけです。
【記者】
今、グループ一体化というお話があったのですが、1つ1つの子会社の規模を見ると、株式会社としては非常に大きな組織であると思うのですが、機動力ですとか、あるいはガバナンスですとか、あるいは民間企業との競争条件みたいな話になったときに、わりと規模の大きさがやり玉に上がりやすいというところで、何かデメリットはお感じになっていますでしょうか。
【坂副社長】
実は、私どもも民間企業なんですね。今は、まだ、政府が株を100%持っておられるところが違うだけで、他の点は全く民間企業と一緒です。ただ、先ほど申し上げたユニバーサルサービスの義務ですとか、そういう公益的な、あるいは公共的な役割をきちんとすべしということが法律で決まっている。そういう意味では、公共的な色合いは持ってはいますけれども、組織としては民間企業で、税金も全部全く同じように払っているので、別に何も特権はありません。あとは、大きさということですが、大きさだけで、ハンディキャップがあるというのなら、実は、私どもよりもっと大きい企業はあります。人数、社員数でいうと、多分、うちが一番大きいと思いますけれども、いろんな企業のサイズからいえば、例えば、メガバンクさんだって大きいですよね。会社の大きさが、特に有利・不利になるということは、必ずしもないのではないかと思います。
私どもは、法律上、いろいろお願いして、認可していただかないと動きがとれないことが非常に多いのですが、収益力のある良い民間企業にするためには、いろんなステップが要るということだと思います。
【坂副社長】
どうもありがとうございました。
【齋藤社長】
長い間、どうもありがとうございました。