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2012年1月10日 火曜日 日本郵政グループ各社CEO(最高経営責任者)合同記者会見内容

2012年1月10日 火曜日 日本郵政グループ各社CEO(最高経営責任者)合同記者会見内容

[会見者]
日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 齋藤 次郎
郵便事業株式会社 代表取締役社長  鍋倉 眞一
郵便局株式会社 代表取締役会長 古川 洽次
株式会社ゆうちょ銀行 取締役兼代表執行役社長 井澤 吉幸*
株式会社かんぽ生命保険 取締役兼代表執行役会長 進藤 丈介

*

【齋藤社長】
今年もよろしくお願いします。
各社がそれぞれ抱える課題については、後ほど、各社のトップからご説明させていただきたいと思います。
まず、東日本大震災で被災された方々に対して、改めて心からお見舞いを申し上げます。私ども日本郵政グループも社員61名の貴重な命をこの大震災で失ったところですが、これからの私どもの使命は、郵便局網の復活を着実に推進していくことを含め震災の復興に、日本郵政グループを挙げて、協力していくことであると考えております。それが今年の第1の課題であります。
そのためにも、ずっと店ざらしになっております郵政改革法案に関連する与野党協議が、今進行しているわけでございますが、その与野党協議で一刻も早く結論を出していただいて、私ども日本郵政グループが新たな体制のもとで、今マイナスのベクトルの方向を向いているすべての経営指標をできるだけプラスの方向に向けられるような会社再編のきっかけとなるように、できるだけ早く与野党協議を終えて、新しい体制の出発に導いていただきたい。これが最も大きな願いでございます。
各社、郵便事業会社をはじめとしてそれぞれ多くの課題を抱えておりますが、私が、今、共通の課題として思っておりますのは、1つは経営基盤の強化ということです。特に、これから、郵便事業会社の次世代システムとか、ゆうちょ銀行の五次システムとか、次世代に向けてのシステム網のために相当額の投資が要ります。いわばシステムは、我が日本郵政グループにとっても最も基本となる基盤整備でございます。このシステム投資に相当の経費がかかると思いますが、円滑に進めていきたいと思っています。
また、これから、子会社の再編やその他があるとして、各社の営業を強化することはもちろん当然ですが、同時に、今、長い間続いているいろいろなシステムを、今、基本的に見直していかなければならないということがあると思います。
もう1つは、一生懸命働いている社員が報いられるような人事制度の確立ということで、その他にもいろいろやらなければならないことがあると思います。
また、経営の統合等が行われた場合、再編に伴うコストの削減とか、生産性の向上とか、いわばそういう意味でやるべきことが多々あると思っています。
また、いろいろな不祥事がまだまだ発生しておりますし、長い間の社風である、縦割りの風潮というのがまだ直っておりません。これらについては、本社にプロジェクトチームを2つ立ち上げることにしております。プロジェクトチームを立ち上げて、縦割りの風土などを直して日本郵政グループ全体として横の風通しの良い自由闊達な、そしてその中で規律があり非常に活気のある社風を、新しくつくりあげたいと考えています。
昨年、再挑戦ということを申し上げましたが、今年は、与野党協議の成立を是非とも実現していただき、改革に兎に角全力を挙げて、我が日本郵政グループの再建というか、ベクトルをプラスの方向に向けていきたいと考えております。
また、先に成立した復興財源確保法の附則第13条で、株式の早期売却ということが明定されております。この法律には、3党がいずれも賛成されております。現在、株式売却は全くできませんが、それを打破するという意味でも、3党協議はぜひ成立させていただく必要があると考えております。
3党協議がまとまり、法案が成立して、会社再編ができた暁には、我々日本郵政グループは、経営努力に全力を挙げて、ベクトルを上向きにして、できるだけ高い価格で株式を売却して復興財源に資することが、復興の再生に協力するもう1つの方法であると考えております。その方向に向かっても努力したいと思っております。
以上が私の年頭の考え方でございます。
【鍋倉社長】
まず初めに、新年のごあいさつを申し上げたいと思います。本年もどうかよろしくお願い申し上げます。
昨年3月の大震災に際しましては、ライフラインが復旧しない中で、震災の翌々日から速達配達を始めるなど早期の郵便配達業務を再開し、避難所にもいち早く配達しました。多くのお客さまから感謝のお言葉もいただきましたし、それからたくさんの報道関係の方にも報道していただきました。改めて郵便の重要性と温かさというものを実感いたしました。
郵便物数減少のトレンドは止まっておりませんので大変厳しい状況ではありますが、こういったお客さまの声を支えに本年も目標に向かって頑張っていきたいと思っていますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
では、まず初めに年賀のお話をさせていただきたいと思います。今年の年賀の販売に当たりましては、「人の心が、年の初めに届く国。」というキャッチコピーで、年賀が持つ思いを届ける、伝える、そしてつなげるという特性を訴求いたしましてやってまいりました。また販売にも取り組んでまいりました。
全体では、1月5日までの数字でありますが、33億4,500万枚、対前年比97.4%という状況になっております。また、7日までに引き受けました物数も26億7,200万枚、対前年比95.3%という数字になっております。
私ども、毎年できるだけ1枚でも多く元旦に配達をということで、25日までにお出しいただくようにお願いしておりますが、今年は特に、いわゆる私どもの言葉で、遅出しということで、29日以降、29、30、31、1日という、この4日間が対前年比で100%を上回る差し出しになりまして、そういう意味で、遅出しがかなりきいたものですから、元旦の配達は残念ながら5年ぶりに20億枚を下回るという結果になりました。
ただ、これは、今申しましたように、4日間の非常に大きな山があったということに起因するものでありまして、一部の報道にあったような配達に混乱があったということは全くございません。スムースに全国でオペレーションができたと考えております。
この販売枚数ですとか、あるいは元旦の配達物数、あるいは引き受け物数、いずれも昨年を下回っておりまして、これら詳細をこれから分析したいと思います。これらの数字が何を意味するのか、大震災の影響がどの程度あったのか等々、分析を急ぎまして、問題点を解決し、そして来年の年賀につなげていきたいと思っております。
このほか、お歳暮時期のゆうパックについても11月20日から12月31日までの期間中、ほぼ昨年並みの物数を引き受けましたが、これにつきましてもオペレーション上、特段の問題点なく、スムースに実施できたと考えております。
2点目は経営状況でございます。
先ほど申しましたように、郵便物数の減少が続く厳しい環境でございますが、会社を挙げて聖域なき経営改善に取り組んでいるところであります。
その結果、平成23年度の中間決算、これはご承知だと思いますが、上期における営業損失は719億円ということで、依然と厳しい状況にありますが、私どもの計画の想定を若干上回って、おおむね順調に推移いたしております。
年末繁忙を終わりまして、年賀の販売、先ほど申しましたように、昨年を下回っておりまして、厳しい結果となっていますので、まだまだ予断は許しませんが、平成23年度におきましては、当初想定していました営業損失403億円、これを少しでも、損失を減らせるように取り組んでまいりたいと思っております。
いずれにしましても、平成24年度は、郵便の再生にとって勝負の年でありますので、さらなる収支改善に向けて会社を挙げて全力で取り組んでまいりたいと思っております。
3点目は、またちょっと年賀の話に戻らせていただきますが、やはりこの分社化の影響が非常に問題があるのかなと思っております。と申しますのは、今、郵便局会社と私どもの会社で、同一商品を同一エリアで別の会社で売るという形になっているわけで、そういったことから、例えば準備段階で臨時出張所を設けるにしましても、フロントライン同士でお客さまがたくさん出入りするようなところの取り合いをやっていたりとか、それぞれの収入を上げるために、1社であればやらなかったようないろいろ過剰な競争というようなものが生じています。それから、今までだと、1系統で済みましたものが、それぞれの会社で別々に営業方針をおろすということで、その年賀の売れ行き1つをとりましても、報告1つをとりましても、会社同士のミーティングをしなければいけないとか、その結果に基づいて効果的な営業を行おうと思いましても、また、いろいろな打ち合わせが必要ですとか、適時的確な手がなかなか打ちにくいような感じに分割されてしまっているのかなと、今回の年賀で思った次第でございます。
また、これまでも繰り返し申し上げておりますが、当面の震災復興の対応の迅速化を図るためにおきましても、早期の郵便局会社との合併が不可欠であると思っていますし、私ども郵便事業1つをとりましても、なかなか今は規制が強くて、新規事業を早期にやることができないような状況になっておりますので、これもスピーディーな展開、新規事業を図るためにも、できるだけ早くこの合併ができればいいなと思っておりますし、それをお願いしたいと思う次第でございます。
【井澤社長】
明けましておめでとうございます。
今年度2012年3月期までを、ゆうちょ銀行は経営基盤強化の着実な遂行の期と位置づけておりまして、このテーマで取り組んでいるところでございます。これを踏まえまして、本日、2点お話しさせていただきます。
まず第1点目は、足元の経営状況でございます。
当行は、ご承知のように業務規制の影響によって、企業貸し出しが認められていない状況の中で、収益源は運用関係収入にほぼ限定され、金利リスク一辺倒という特異な状況にございます。現在、ご承知のように10年物の国債の金利が1%を割る水準が継続しており、本日は、0.986%でございます。これが当行の収益への影響が悪い意味で非常に大きい状況になっております。
ただ、今の内外の金融状況の非常に厳しい状況下において、私どもが今行っております確固たる経営基盤の構築が、「ゆうちょ銀行及び郵便局を利用していただくお客さまの期待に応えること」とイコールであると確信しております。
昨年の7月26日の会見の際にも申し上げましたが、当行は、規制体系や納税義務等、銀行としての義務はすべて負担しております。他の銀行と同じように、すべて負担しております。しかしながら、業務範囲や限度額の規制が残り、銀行としての権利が認められておらず、いわば義務は負担しながら、権利は認めておらず、収益源は運用関係のみという、片肺で他行との競争を強いられているものでございます。
また、お客さまから、なぜ限度額なんてあるのかとか、あるいは、貯金を集める銀行が、お客さまに対して貯金を減らせなどと要求するのはけしからんといった限度額規制に関する強い苦情を、会社並びに私に対して受けております。
さらに、限度額に関するお叱りの手紙に加え、郵便局の商品・サービスを、その範囲を広げろと、こういうことを求める声をお客さまから直接いただくこともあります。
是非関係者にご理解いただいて、お客さまの期待に応え、収益を確保するためにも、例えば限度額見直し、住宅ローンといった経営の自由度を是非認めていただき、確固たる経営基盤の構築に結びつけていきたいと思っております。
また、今ほど、齋藤社長からお話がありましたが、年末年始、1月1日から3日までの間、ATMシステムを休止させていただきました。この休止期間中に、来年から稼働予定の第五次システムの準備作業を700名を超える体制で実施させていただきました。引き続き、2013年のシステム更改に向けて全力で取り組む所存でございます。
2番目に、2012年の抱負ですが、これは全社員に1月4日に徹底させた点であります。もちろん昨年までしてなかったというわけではありませんが、今年は特にお客さまのことを第一に考え、お客さまの視点で発想し、今まで以上にお客さまのご期待に応え、ご満足いただける会社にしたいと考えている。そのためにも、郵便局会社とさらなる連携を図り、営業力及び経営基盤の強化に努めていきたい。以上でございます。
【進藤会長】
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
まず最初に、かんぽ生命の経営現状についてご説明申し上げたいと思います。
昨年7月の会見でも申し上げましたが、当社の最大の経営課題は、事業規模の急激な縮小すなわち保有契約の右肩下がりに対して歯止めをかけることが一番重要であると思っております。
保有契約はピーク時に8,400万件あったのですが、直近では4,000万件ということで、半分以下になっております。それに伴いまして総資産もピーク時より30兆円も減って、直近では95兆円でございます。
昨年11月に発表させていただきました中間決算では、昨年並みの最終利益を確保させていただいたわけですが、保有契約減少に伴いまして、保険料等収入、一般の会社でいう売上高でございますが、この保険料等収入が5%も落ちており、大変な危機感を持っているところでございます。
このような状況で、お客さまからのニーズが非常に強い限度額の引き上げ、新商品のご提供ができない中、私どもの代理店であります郵便局会社と連携しながら、できる限りの工夫をして、努力しているところでございます。
例えば、全国の郵便局と連携いたしまして、お客さまへの契約内容のフォローアップ活動を行っております。できるだけ多くのお客さまを訪問して、営業基盤の強化を図ろうというのが1つでございます。
また、昨年10月に全国展開が終わったところでございますが、新契約システムを導入いたしまして、正確、簡単、迅速な事務フローに改めまして、お客さまサービスの向上と生産性向上の両立を図っているところでございます。
この2つを地道に行うことによりまして、民営化直後、大きく新契約件数が落ち込み、例えば平成19年ですと179万件でしたが、昨年、平成22年度は206万件にまで回復しております。しかしながら、新契約にやや上向き傾向が出てきたとはいえ、保有契約の右肩下がりを食いとめるまでには、まだまだ不十分であると考えております。このまま事業規模の縮小が続けば、国民の大切な財産、そして生活拠点でもあります郵便局のネットワークを支えることが難しくなります。私どもとしては限度額の引き上げや、がん保険の発売など新規事業を認めていただきまして、お客さま利便の向上と経営基盤の安定化を図らせていただきたいと思っているところでございます。
先ほど、ゆうちょ銀行の井澤社長からもお話がありましたが、私どもは、民営化以後、保険業法の下、他の民間生命保険と同じ義務を果たしているわけでございますが、上乗せ規制として郵政民営化法の業務規制があり、なかなか権利が認められていないという苦しい立場でございます。ぜひともその辺をご理解いただきまして、制度を早期に固めていただき、私どもが新しい事業展開を進め、企業価値を高めて、市場で高く評価されるような会社を目指していけるよう、切にお願い申し上げたいと思います。
以上でございます。
【古川会長】
どうぞ今年もよろしくお願い申し上げます。
私ども郵便局株式会社は、全国に直営の郵便局約2万局、それから業務を委託しています簡易郵便局があるのですが、簡易郵便局は約4,000局、正確に申し上げれば合計で2万4,225局の郵便局をもって、郵便、それから貯金、保険を中心とするサービスを提供をして、それぞれの委託元から手数料をちょうだいして、それをもとに生業とする会社でございまして、民間的にあえて申し上げれば、金融代理業兼郵便代理業というふうな言い方が当たるのではないかと思っております。
今、それぞれ3事業の責任者からいろいろご説明がございましたが、3事業全部足した日本郵政グループの総収入は、ここ10年間くらい、逐年右肩下がりになっておりまして、そういう意味におきましては、私どもの得られる手数料もそれに応じた格好で、減少が続いているのが実態でございます。
一方、先ほど申し上げたとおり、2万4,000局の拠点を全国にくまなく張りめぐらしておりまして、つまり、ユニバーサルサービスを行っています関係上、人を張りつけてサービスを行っていますので、経費は極めて固定的に硬直化しているのが現状でございます。したがって利益総額は減っていく一方で、経費はなかなか減らない、そういう極めて危険な企業体質を持っておりまして、収支のラインがどこかで交差して逆転をするという、このままだとそういう宿命にあると私は感じております。
その時点が、実は去年の今ごろから見えておりまして、したがって、去年はいろいろな意味でボーナスの一部削減などを実行した結果、水面上に出ましたが、常にそういう危険に脅かされているという状況にあるのでございます。
私はそういう本質的な問題も含めて、当社及び日本郵政グループが持ついろいろな問題の解決策は現場にあるとずっと思っておりました。したがって、この郵政に来る直前から、前回も申し上げたとおり各郵便局をずっと巡回してきました。私のやり方は予約なしに突然行きまして、ふだん着の郵便局を見て、忙しいときはお客さまとお話したり、社員と、郵便局長とお話して、実情を見て回る。全部日帰りで実は帰ってくるのでございますが、大体1日10局くらい回って、今日までで929局は回ってまいりましたが、回りながらも確実にと言っては変ですが、店頭にお越しになるお客さまの数が減っているなというのを、実感として感じているところもございます。
先ほど、ざっくり2万4,000局と申しましたが、2万4,000局のうちの4,000局は簡易郵便局でございますので、原則1人で業務を受託してやっておられます。
それから2万局のうち、実は9,850局くらいは、2人もしくは3人の社員で切り回しています。つまり、1、2、3人局というのが合計で1万4,000局弱あるということです。2万4,000局のうち1万4,000局は、そういう1、2、3人局だということです。
過疎地域自主自立促進特別措置法という法律があり、この法律に基づいて過疎地と区分けされた市町村が全国で776ありますが、この1万4,000局弱のうち、実は7,400局、正確には7,374局なのですが、これがいわゆる過疎地にあります。つまり、半分くらいの郵便局は過疎地にあるということなのでございます。
私もあちこち行きましたが、極端な例では、1日に1人もお客さまがお見えにならないという郵便局も、実は相当あるのでございます。お客さまが1人や2人とか、10人くらい、あるいは20人くらい来られても、実際私どもの郵便局の経費は賄えないのでございまして、そういうところがたくさんあるということでございます。そういうところに参りますと、郵便局長も悩んでいるし、社員も悩んでいる、お客さまも「なくなるのじゃないかしら」という危惧を持っておられる。そういうことに、私はたくさん逢着いたしました。
新潟と山形の方以外はちょっと知らないと思いますが、新潟県の北の方、山形県の南、鶴岡市と新潟県の村上市の境に、日本国麓郵便局がございます。ここには日本国という山があるのですね。そのふもとにある郵便局なのでそういうのですが、ここはいわゆる2人局なのでございます。ご案内のとおり、ここも過疎地でございまして、そこは小俣という集落にあるのでございますが、小俣の集落は世帯数は73世帯ということなのですが、実際は空き家が多くて50世帯だそうです。そこに9月25日に、実は一番に参りましたが、私が滞在していた1時間の間に一人もお客さまはお見えにならなかった。つまり、お天気は大変よかったのですが、お天気のいい日はみんな農作業で来ないということなのです。それから雪が降ったり、雨が降るとまた来ない。お客さまにとって本当に行きたいのは早朝の農作業に行く前だとか、暮れてから、帰ってきてから行きたいのだが、そのときは郵便局が閉まっているということで、これでは真の意味でのお客さまサービスになっていないのではないか、そういう局面が、実はあちこちにあるのでございまして、したがって、これは何とかしなければならないなということで、私は、今、そういう意味におきまして、この郵便局の中のマネジメントを中心に、いろいろ考えておりますが、何とかもっと効率的にスタッフのやりくりをしないことには、これは結果的には郵便局のコストがかさむばかりだなという思いを大変強くいたしております。
つまり、今は2万4,000局の拠点に、人を張りつけておくという、そういう現実があるのでございまして、私はこれを何とか流動化して、少しでもお客さまにとってもいいサービス、私どもにとっても経費の効率的な使用につなげたいと考えて、今いろいろな施策を打っているところでございます。
先ほど齋藤社長ほか皆さまからお話があったとおり、いろいろな意味で与野党協議が整って、制度が新しくなりますと、これはいろいろな意味で分社化による弊害が確かに解消されます。この日本国麓郵便局でも、それでは、あなたはどうしたらいいと思うかと聞きますと、日本国麓郵便局は、大変なお米の産地でもありますし、農産物の産地でもありますから、毎日のように皆さまがいろいろなところに荷物をお送りになる。年間に30キロのお米を500袋あちこちに送っているし、それから、カブの産地でもあり、それから、山菜の産地でもある。年間で大体1,000個を超えるゆうパックを出しているので、そのゆうパックを私たちができれば、お年寄りのお宅へ集荷に行きたいのだが、今の法律のもとでそれはできない。郵便事業会社もなかなか人手が大変だし、そんな1日何回も集荷には来てくれないということで、貯金や保険の業務は1週間に1日か2日でもいいので、私たちが集荷に行けば、ひょっとしたら、彼らはもっと喜んでくれるかもしれないと話がありました。
それから、いろいろな郵便局に参りますと郵便事業会社と私ども郵便局会社は、別々の会社でございますので、2つの会社の体裁をしているところが多いのでございますが、そういうところも、もし会社間の障壁が取り払われれば、集荷のお手伝いを私どもの渉外社員ができるとか、あるいはいろいろな意味で両方の会社のフロントラインを有効活用できるのではないかということを実感いたしておりますので、私としては1日も早くそういう状況になることを希望しております。
今のところはそういう意味で、体制整備を整えて、しかるべき日に新規営業やそれから限度額が見直された場合には、それに応えられるような体制づくりを行うことが私の一番の役目だろうと、今そういうことを粛々と行っているわけでございます。
私は今年の4月で会社に入って50年目になるのですが、45年間、日本郵政グループ以外の民間会社で仕事をしてきた実感から申し上げれば、変わる世の中に先駆けるのは無理にしても、遅れないように会社を変えていくということが、生き残る最大のポイントであろうと思っていますので、引き続き少しずつ着実に郵便局会社を変えていきたいと思って、今取り組んでいるところでございます。以上でございます。
【記者】
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
齋藤社長にお伺いしたいのですが、郵政改革法案が先の国会で審議入りしましたが、これを廃案として民営化法を改正する方向で、今、議論が進んでいるわけですが、これに対する受けとめ、それから早期成立にかける社長の思いをお教えください。
【齋藤社長】
郵政改革法案がなかなか実現しないことについては、昨年、何回か記者会見を開いて、両手両足を縛られている状況だとか、分社化の弊害が今回の震災で露わになったとか、震災復興計画も本格的に描けない状況にあるとかいうような苦衷を何回も申し上げました。その後の状況としては復興財源確保法の附則の第13条で私どもの株式を早期に売却して震災の復興財源に充てることが明定されました。今の状況は、株は1株も売却できないわけですから、その状況を打破していただくというのは、この復興財源確保法の趣旨にも合致するものだと思います。今の状態はまさにその2つの法律が矛盾している状況ですから、それを解消していただくのは、これは政府、国会の責任であると私は個人的に思っております。
また、協議の中身が、改革法案の修正ではなくて、民営化法の修正ということで進んでいるということではありますが、私にとって問題なのは、でき上がった協議案の中身でございまして、その法形式が民営化法の修正であろうと、あるいは今提出されている郵政改革法案の修正であろうと、それは私どもには関わりのないことでございます。問題は修正協議の決着の内容如何であると思っております。そして、その決着は、私ども、先ほど子会社の各社CEOが申しておりますように、なるべく経営の自由度を高めていただいて、すべてのベクトルがマイナスに向かっている現状を打破して、これをプラスに転ずるような契機、モーメントになっていただくような決着をお願いしたいという1点に尽きるわけでございます。
それは同時に、将来行われる株式売却にとっても、あるいは震災復興の財源にとってもプラスになることでございますので、ぜひその方向でお願いしたいということでございます。
【記者】
それに関連して質問させていただきます。与野党協議が進んでいるわけですが、この議論が行き詰まった場合、経営への影響をどういうふうに考えていらっしゃるか。この議論の結論がなかなか出ないという場合、経営者としてどのような対応をとられるつもりでいらっしゃるのかを教えてください。
【齋藤社長】
何回も申し上げておりますように、先ほど子会社の各社CEOも申しましたように、すべての経営状況はマイナスの方向に向かっており、今のところ、東証の上場会社の中で7、8位の経常利益を上げていると言っても、将来性という点では全く暗いわけでございます。
同時に、もう2年間もこういう状況が続いていて、社員のモチベーションというか、士気も著しく低下していますので、今度は、さすがに是非とも何とか協議を決着していただき、先ほど申したような活力ある社風を築き上げるモーメントになってもらいたいという気持ちです。協議が成立せずに、このままの状態が続くということは目下のところ想定していないわけでございます。経営者としては当然でございますが、もし仮にそうなっても、その下で全力を尽くして経営に当たるというのは、当然の責務であると思っております。
【記者】
鍋倉社長にお聞きしたいのですが、先ほどもおっしゃいましたが、年賀はがきの販売減がもたらす影響について、今後の通期見通しの修正など、そういったことはお考えでしょうか。
【鍋倉社長】
毎年、年賀状は、残念ながら少しずつ減ってきておりまして、大体この3、4年間を見ますと、対前年で98.5%くらいの状況がずっと続いておりました。私どもも目標は目標として高く掲げましたが、事業計画上は、年賀状もやはり今年も98.5%くらいなのかなというふうに思っておりました。
ところが、その予定を超えて97.4%くらいですので、1%ぐらい想定よりは低くなっております。その年賀状の売り上げというのは、千六、七百億円ありますので、1%ということになりますと想定よりも16億円低いということになります。ただ、幸いなことにゆうパックですとかゆうメールが、私どもの想定以上に4月から好調ですので、全体とすれば計画の中におさまっているし、先ほど少し申し上げましたが、それ以上いけるかなと今のところは思っております。
【記者】
齋藤社長にお伺いします。今月の下旬からTPPに関連して、日米の事前協議が始まる見通しになっていますが、その中で日本郵政グループの金融事業について、アメリカ側からおそらく何らかの要求があると思われます。それに関する日本郵政グループの経営への影響についてどのようにお考えでしょうか。
【齋藤社長】
これについては話が具体化したわけではなくて、私の理解するところでは、いまだ推測の段階を出ませんので、その結論がどうなるかを申し上げることは当を得ないと思います。また、この交渉自体、私どもが行うわけではなくて、政府が行うわけでございますので、その結果を受けとめて、どういう影響が出るかを具体的に分析して、対応するというのが私どもの立場であると考えています。
【記者】
進藤さんにお伺いしたいのですが、2008年に日本生命と提携して、その後の新規商品の開発、申請等ができなくなって、スタックしたままだと思うのですが、現状進めている提携内容の具体化というのは、どの段階にあるのかを教えていただきたいと思うのですが。
【進藤会長】
私どもも新商品の発売を熱望しており、基本的な準備は終わっているというのが現状でございます。ただ、時間もたっておりますので、商品性の問題などかございます。そういうことも含めまして、お客さまのニーズ等も敏感に考えながら対応の準備をしているというのが現状でございます。
【記者】
人材というのは、お互い交換しているのでしょうか。
【進藤会長】
交流という意味では、日本生命さま側から数人ご出向いただいておりますが、必ずしも新規事業の開発ということではなく、事務システム等の通常業務にも貢献をしていただいているところであります。私どもから先方に出向していることはございません。
【記者】
井澤社長に伺いたいのですが、先ほど運用環境の話が出ていたと思うのですが、このところ、その、海外での運用というのが、徐々に増えてきている状態だと思うのですが、最近の、欧州などの金融情勢によって、経営に関し、影響があるのかないのか。もし、あるとしたらどういったところに出ているのか伺えますでしょうか。
【井澤社長】
運用は、PLとバランスシートを見ていただければわかると思いますけれども、まだ国債が76%を超えておりまして、我々、基本的には、国債、地方債、それから日本の社債、それから過疎債、それからサムライ債の一部、これを中心にやっていまして、あと海外も一部やっておりますが、海外全体のポートフォリオから見ますと、まだまだ非常に少ない金額でありますし、今回の欧州の問題に関しては、我々の経営に対する影響というのは非常に、ほとんどないと考えておりますが、この欧州の影響が、実体経済に対する影響というのが、これから大変大きな問題になってくると思います。特に、アジアに対する貸し付けが欧州の銀行は非常に多いので、アジア経済が悪くなると、それが日本経済に影響してくると。そうすると日本の金融にもいろんな影響が出てくると。そういう意味で、欧州の経済に対しては、我々非常に注意深く、今見守っております。ですから、今すぐどうのこうのじゃないのですが、将来的には我々の金利その他にもいろいろ影響が出る可能性があるのではないかと考えております。
【記者】
井澤社長にお伺いしたいのですが、経営の自由度を認めてほしいというところはあると思うのですが、そこは別にして、今の運用は金利一辺倒であるというところなのですが、国債の金利もずっとこう、低下した中で、今後の金利の見通しとかですね、運用の、資産の振り分け方とか、今のところ、今の収益源になる運用環境とかですね、今後の考え方ってどのように見ておりますか。
【井澤社長】
今はですね、先ほど申しましたように、どうしても国債が運用の中心でございます。ただ、国債の運用も短期、中期、長期とさまざまに、そのときの状況に応じ買い進めております。年間に大体30兆円から40兆円の償還がございますので、それをどのように振り向けるかでございますが、あまり細かいことはあれですが、基本はもうちょっと金利が上がったら国債は買うと。
それから、日本の社債が、今、極端にスプレッドが低くなっております。これが普通の状況に戻りましたら、日本の社債も少し、もう少し買い進めていきたいと思っております。
それから、株につきましては、ボラティリティーが非常に高いので、ある枠を設けまして、リスクをミニマイズしながら、よくリスクを考えながら買っております。したがって、金利動向の見通しというのは、我々はこの1年は国債の金利はあまり上がらないのではないかと、当面1%前後を上下するのではないかという見通しで、それをベースに経営を、また運用をやっているのが現状でございます。
したがって、さっき最初に申し上げましたように、金利の与える経営上のインパクトは非常に強く、来期の見通しも、これをベースに考えますと非常にきついものがあるということでございます。
【記者】
郵政改革法案の内容について、ご質問なのですが、今、持ち株会社の下に4社ありますが、例えば、郵便事業会社と郵便局会社が一緒になり、子会社が3つになって4社化という案が言われていますが、例えば、日本郵政の下に郵便事業会社と金融2社を並べると、日本郵政のトップ、経営者によってユニバーサルサービス化というのが、見づらくなるということも考えられます。郵便局会社の下に金融2社をつけたほうが、よりユニバーサルサービスが維持しやすくなるような気がするのですが、その辺はどういったことが最良だと現時点で考えていらっしゃいますか。
【齋藤社長】
物事にはすべて一長一短がありまして、長所、短所があります。
いろんな修正の結果がどうなるかわかりませんが、仮に郵便局会社と郵便事業会社が一緒になり、そのほかに、ゆうちょ銀行とかんぽ生命が、親会社の下に揃うということになりましても、法律上は郵便と貯金と保険のユニバーサルサービスの義務というのが明定されますから、あとはそれをどうやって維持するかという話、それほど大きな弊害はないのではないかと、個人的には思っています。
一番問題なのは、郵便事業会社と郵便局会社が分かれているということです。これが一番大きな問題であって、その点が解消されるのが一番の眼目であり、その他が、どうなるかというのは、それぞれ努力次第で解消し得るものだと考えています。
【各社CEO】
どうもありがとうございました。